JP5672728B2 - 無線装置、歪補償装置及び歪補償方法 - Google Patents

無線装置、歪補償装置及び歪補償方法 Download PDF

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Description

本発明は、無線装置、歪補償装置及び歪補償方法に関する。
近年、無線通信において、デジタル化による高能率伝送が採用されるようになっている。このような無線通信を行う無線装置は、一般に電力増幅器を有する。そして、無線装置は、送信信号を電力増幅器に入力し、電力増幅器から出力される電力増幅後の送信信号をアンテナを介して空中に放射する。なお、以下では、電力増幅器に入力される信号の電力を「入力電力」という場合があり、電力増幅器から出力される信号の電力を「出力電力」という場合がある。
このような電力増幅器は、入力電力が一定値よりも大きくなると、入力電力と出力電力との関係が線形でなくなるという特性を有する。かかる特性について図9を用いて説明する。図9は、電力増幅器の入出力特性の一例を示す図である。図9の横軸は、電力増幅器に入力される信号の電力を示し、図9の縦軸は、電力増幅器から出力される信号の電力を示す。
図9に示した例において、入力電力が一定値「PX」よりも小さい場合には、入力電力と出力電力とは線形の関係にある。一方、入力電力が一定値「PX」よりも大きくなると、入力電力と出力電力とは線形の関係でなくなる。具体的には、出力電力は、入力電力が一定値「PX」より大きくなると飽和する。このように、電力増幅器の入出力特性は、入力電力と出力電力とが線形の関係にある「線形領域」と、入力電力と出力電力とが線形の関係にない「非線形領域」とに分けられる。
このような非線形領域を有する電力増幅器から出力される信号には、非線形歪が含まれるので、通信品質を劣化させるという問題がある。かかる問題について図10を用いて説明する。図10は、周波数スペクトルの一例を示す図である。図10の横軸は周波数を示し、図10の縦軸は電力を示す。また、図10に示した実線L11は、非線形領域において電力増幅が行われた信号の周波数スペクトルを示し、図10に示した点線L12は、線形領域において電力増幅が行われた信号の周波数スペクトルを示す。
図10に示すように、非線形領域において電力増幅が行われた信号の電力は、線形領域において電力増幅が行われた信号の電力よりもサイドローブが持ち上がり、隣接チャネルに漏洩する。これは、非線形領域において電力増幅が行われた信号には、線形領域において電力増幅が行われた信号よりも非線形歪が多く含まれるからである。このような漏洩電力は、隣接チャネルの通信品質を劣化させる。
近年の無線装置には、通信品質の劣化を防止するために、送信信号に含まれる非線形歪を補償する歪補償部を有するものがある。具体的には、歪補償部は、所定の記憶部に記憶されている歪補償係数を用いて、電力増幅器に入力される入力信号に対して歪補償処理を行う。また、歪補償部は、電力増幅器に入力される入力信号と電力増幅器からフィードバックされるフィードバック信号との誤差信号を算出し、算出した誤差信号にステップサイズパラメータを乗算する。そして、歪補償部は、乗算結果と、所定の記憶部に記憶されている歪補償係数とを加算することにより歪補償係数の更新値を得る。そして、歪補償部は、所定の記憶部に記憶されている歪補償係数を歪補償係数の更新値に更新する。
上記のステップサイズパラメータは、歪補償係数を徐々に更新させるための値であり、歪補償係数の更新率を示す。すなわち、歪補償部は、入力信号とフィードバック信号との誤差信号にステップサイズパラメータを乗算することにより、歪補償係数記憶部に記憶されている歪補償係数を徐々に更新する。
ここで、ステップサイズパラメータが大きい値である場合には、歪補償係数の変動量が大きくなり、歪補償係数が収束しないおそれがある。特に、誤差信号が大きい値である場合には、大きい値のステップサイズパラメータと、大きい値の誤差信号とを乗算することになるので、歪補償係数の変動量が大きくなり、歪補償係数が収束しないおそれがある。
また、ステップサイズパラメータが小さい値である場合には、歪補償係数の収束速度が遅くなる。さらに、誤差信号が小さい値である場合には、小さい値のステップサイズパラメータと、小さい値の誤差信号とを乗算することになるので、誤差が消えてしまい歪補償係数が更新されないという事象も発生する。
近年では、所定の範囲の入力電力毎にステップサイズパラメータを適応的に可変させる技術が提案されている。かかる技術によれば、所定の範囲の入力電力毎に歪補償係数の収束速度を調整できると考えられる。また、送信信号やフィードバック信号の複素共役信号を送信信号やフィードバック信号の振幅値で除算することにより、歪補償係数を更新する技術も提案されている。かかる技術によれば、入力信号の振幅レベルに因らず安定した収束特性を実現できると考えられる。
特開2006−270246号公報 特開2005−102029号公報
しかしながら、上記の従来技術には、回路規模が増大するという問題があった。具体的には、所定の範囲の入力電力毎にステップサイズパラメータを可変する従来技術には、複数のステップサイズパラメータを保持することになるので、メモリサイズが増大するという問題があった。また、複素共役信号を送信信号やフィードバック信号の振幅値で除算する従来技術は、送信信号のI信号(In-Phase Component)及びQ信号(Quadrature Component)と、複素共役信号のI信号及びQ信号とを除算する。すなわち、かかる技術を実現するためには4個の除算器を用いることになるので、回路規模が増大するという問題があった。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、小規模の回路により入力電力に適した歪補償係数更新処理を行うことができる無線装置、歪補償装置及び歪補償方法を提供することを目的とする。
本願の開示する無線装置は、一つの態様において、入力される信号の電力を増幅する電力増幅器と、前記電力増幅器に入力される入力信号の電力に対応付けて、前記電力増幅器で発生する歪みを補償するための歪補償係数を記憶する記憶部と、前記電力増幅器に入力される入力信号の電力に対応する歪補償係数を前記記憶部から取得し、取得した歪補償係数を用いて該入力信号に対して歪補償処理を行う歪補償部と、前記電力増幅器に入力される入力信号の電力と、前記電力増幅器から出力される出力信号の電力との誤差を算出する算出部と、前記算出部によって算出された誤差を前記入力信号の電力又は前記出力信号の電力に基づいて正規化する正規化部と、前記正規化部によって正規化された後の誤差を用いて、前記入力信号の電力に対応付けて前記記憶部に記憶されている歪補償係数を更新する更新部とを備える。
本願の開示する無線装置の一つの態様によれば、小規模の回路により入力電力に適した歪補償係数更新処理を行うことができるという効果を奏する。
図1は、実施例1に係る無線装置の構成例を示すブロック図である。 図2は、実施例2に係る無線装置の構成例を示すブロック図である。 図3は、実施例2における歪補償部の構成例を示すブロック図である。 図4は、実施例2に係る無線装置の詳細構成の一例を示すブロック図である。 図5は、実施例2に係る無線装置による歪補償係数更新処理手順を示すフローチャートである。 図6は、実施例2に係る無線装置の詳細構成の一例を示すブロック図である。 図7は、実施例2に係る無線装置の詳細構成の一例を示すブロック図である。 図8は、実施例2に係る無線装置の詳細構成の一例を示すブロック図である。 図9は、電力増幅器の入出力特性の一例を示す図である。 図10は、周波数スペクトラムの一例を示す図である。
以下に、本願の開示する無線装置、歪補償装置及び歪補償方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本願の開示する無線装置、歪補償装置及び歪補償方法が限定されるものではない。
まず、図1を用いて、実施例1に係る無線装置について説明する。図1は、実施例1に係る無線装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、実施例1に係る無線装置1は、電力増幅器2と、記憶部3と、歪補償部4と、算出部5と、正規化部6と、更新部7とを有する。
電力増幅器2は、入力される信号の電力を増幅する。具体的には、電力増幅器2は、後述する歪補償部4から入力される信号の電力を増幅する。電力増幅器2によって電力増幅された信号は、算出部5へフィードバックされる。記憶部3は、電力増幅器2に入力される入力信号の電力に対応付けて、電力増幅器2で発生する歪みを補償するための歪補償係数を記憶する。
歪補償部4は、記憶部3から、電力増幅器2に入力される入力信号の電力に対応する歪補償係数を取得し、取得した歪補償係数を用いて入力信号に対して歪補償処理を行う。なお、歪補償部4は、電力増幅器2で発生する歪みに対応する歪みを予め入力信号に与えておく。これにより、電力増幅器2の入力信号の歪みと、電力増幅器2で生じる歪みとが相殺される。
算出部5は、電力増幅器2に入力される入力信号の電力と、電力増幅器2から出力される出力信号の電力との誤差を算出する。正規化部6は、算出部5によって算出された誤差を電力増幅器2に入力される入力信号の電力に基づいて正規化する。例えば、正規化部6は、算出部5によって算出された誤差を入力信号の電力により除算する。
更新部7は、正規化部6によって正規化された後の誤差を用いて、入力信号の電力に対応付けて記憶部3に記憶されている歪補償係数を更新する。例えば、更新部7は、正規化部6によって正規化された後の誤差を用いて、歪補償係数の更新値を算出する。そして、更新部7は、算出した記憶部3に記憶されている歪補償係数を歪補償係数の更新値に更新する。
上述してきたように、実施例1に係る無線装置1は、電力増幅器2に入力される入力信号と電力増幅器2から出力される出力信号との誤差を、入力信号の電力により正規化する。これにより、実施例1に係る無線装置1は、入力信号の電力に応じて、歪補償係数の更新率を変動させることができる。
一般に、電力増幅器2へ入力される入力信号の電力が大きい場合には、入力信号の電力及び出力信号の電力が大きい値であるので、入力信号の電力と出力信号の電力との誤差も大きい。したがって、入力信号の電力が大きい場合には、歪補償係数の変動量が大きくなり、歪補償係数が収束しないおそれがある。そこで、一般的には、入力信号の電力が大きい場合には、ステップサイズパラメータが小さい値であることが望ましい。
また、電力増幅器2へ入力される入力信号の電力が小さい場合には、入力信号の電力及び出力信号の電力が小さい値であるので、入力信号の電力と出力信号の電力との誤差も小さい。したがって、入力信号の電力が小さい場合には、小さい値の誤差を大きい値で除算すると、かかる誤差が消えてしまい歪補償係数が更新されなくなる。そこで、一般的には、入力信号の電力が小さい場合には、ステップサイズパラメータが大きい値であることが望ましい。
実施例1に係る無線装置1は、入力信号の電力と出力信号の電力との誤差を入力信号の電力により正規化する。すなわち、無線装置1は、入力信号の電力が大きい場合には、大きい値の電力により誤差を正規化し、入力信号の電力が小さい場合には、小さい値の電力により誤差を正規化する。
例えば、実施例1に係る無線装置1が、入力信号の電力と出力信号の電力との誤差を入力信号の電力により除算するものとする。かかる場合に、無線装置1は、入力信号の電力が大きい場合には、大きい値の電力により誤差を除算するので、歪補償係数の変動量が小さくすることができる。また、無線装置1は、入力信号の電力が小さい場合には、小さい値の電力により誤差を除算するので、誤差が消えてしまうことを防止することができ、その結果、歪補償係数が更新されなくなることを防止することができる。
また、実施例1に係る無線装置1は、入力信号の電力と出力信号の電力との誤差を入力信号の電力により正規化するので、1個の除算器等が追加されるだけで実現される。このようなことから、実施例1に係る無線装置1は、小規模の回路により入力電力に適した歪補償係数更新処理を行うことができる。
[実施例2に係る無線装置の構成]
まず、図2を用いて、実施例2に係る無線装置の構成について説明する。図2は、実施例2に係る無線装置の構成例を示すブロック図である。図2に示した無線装置100は、例えば、無線基地局やRRH(Remote Radio Head)等である。図2に示すように、無線装置100は、送信信号発生装置110と、S/P(Serial/Parallel)変換器120と、歪補償部130と、D/A(Digital/Analog)変換器141と、基準搬送波出力部150と、直交変調器161と、周波数変換器171とを有する。
送信信号発生装置110は、送信信号を発生させてS/P変換器120へ出力する。具体的には、送信信号発生装置110は、シリアルのデジタルデータ列をS/P変換器120へ出力する。
S/P変換器120は、送信信号発生装置110から入力されるシリアルのデジタルデータ列を1ビットずつ交互に振り分けて、同相成分信号(I信号:In-Phase Component)と直交成分信号(Q信号:Quadrature Component)との2系列に変換する。そして、S/P変換器120は、I信号とQ信号とを歪補償部130へ出力する。なお、以下では、I信号又はQ信号のいずれかの信号を単に「送信信号」という場合がある。
歪補償部130は、S/P変換器120から入力される送信信号に対して歪補償処理を行う。そして、歪補償部130は、歪補償処理後の送信信号をD/A変換器141へ出力する。なお、歪補償部130による処理については、図3及び図4を用いて後述する。
D/A変換器141は、歪補償部130から入力されるデジタルの送信信号をアナログのベースバンド信号に変換する。そして、D/A変換器141は、D/A変換後の送信信号を直交変調器161へ出力する。
基準搬送波出力部150は、周波数帯が搬送波である信号を直交変調器161と後述する直交検波器162へ出力する。直交変調器161は、D/A変換器141から入力される送信信号のI信号と、基準搬送波出力部150から入力される基準搬送波とを乗算する。また、直交変調器161は、D/A変換器141から入力される送信信号のQ信号と、基準搬送波を90[°]移相させた信号とを乗算する。そして、直交変調器161は、I信号に対する乗算結果と、Q信号に対する乗算結果とを加算することにより直交変調を行う。そして、直交変調器161は、直交変調後の送信信号を周波数変換器171へ出力する。
周波数変換器171は、直交変調器161から入力される直交変調後の送信信号と、図示しない局部発振器から出力される局部発振信号とをミキシングすることにより、送信信号に対して周波数変換を行う。そして、周波数変換器171は、周波数変換後の送信信号を後述する電力増幅器180へ出力する。
また、図2に示すように、無線装置100は、電力増幅器180と、方向性結合器190と、アンテナ191と、周波数変換器172と、直交検波器162と、A/D(Analog/Digital)変換器142とを有する。
電力増幅器180は、周波数変換器171から入力される送信信号の電力を増幅し、電力増幅後の送信信号を方向性結合器190へ出力する。方向性結合器190は、例えば、カプラ等であり、電力増幅器180から入力される送信信号をアンテナ191及び周波数変換器172へ出力する。なお、以下では、方向性結合器190から周波数変換器172へ出力される信号を「フィードバック信号」という場合がある。アンテナ191は、方向性結合器190から入力される送信信号を空中へ放射する。
周波数変換器172は、方向性結合器190から入力されるフィードバック信号の周波数を変換する。そして、周波数変換器172は、周波数変換後のフィードバック信号を直交検波器162へ出力する。
直交検波器162は、周波数変換器172から入力されるフィードバック信号に、基準搬送波出力部150から入力される基準搬送波を乗算するとともに、フィードバック信号に、90[°]移相させた基準搬送波とを乗算することで直交検波を行う。これにより、直交検波器162は、ベースバンド帯のI信号とQ信号とを再現する。そして、直交検波器162は、I信号及びQ信号をA/D変換器142へ出力する。
A/D変換器142は、直交検波器162から入力されるI信号及びQ信号をデジタル信号に変換し、A/D変換後のI信号及びQ信号を歪補償部130へ出力する。このようにして、方向性結合器190、周波数変換器172、直交検波器162、A/D変換器142は、電力増幅器180から出力される信号を歪補償部130へフィードバックする。
[実施例2における歪補償部の構成]
次に、図3を用いて、実施例2における歪補償部130の構成について説明する。図3は、実施例2における歪補償部130の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、歪補償部130は、歪補償係数記憶部131と、プリディストーション部132と、歪補償係数演算部133とを有する。
歪補償係数記憶部131は、S/P変換器120から歪補償部130へ入力される送信信号x(t)の電力piに対応する歪補償係数h(i)を記憶する。電力piのiは、例えば、0〜1023である。かかる場合には、歪補償係数記憶部131は、送信信号x(t)の電力p0〜p1023に対応する歪補償係数h(0)〜h(1023)を記憶する。なお、歪補償係数記憶部131は、例えば図1に示した記憶部3に対応する。
プリディストーション部132は、送信信号x(t)に対して歪補償処理(プリディストーション)を行う。具体的には、プリディストーション部132は、歪補償係数記憶部131から、送信信号x(t)の電力piに対応する歪補償係数h(i)を取得し、取得した歪補償係数h(i)を用いて送信信号x(t)に対して歪補償処理を行う。なお、プリディストーション部132は、例えば図1に示した歪補償部4に対応する。
歪補償係数演算部133は、送信信号x(t)と、A/D変換器142から入力されるフィードバック信号y(t)とに基づいて、歪補償係数h(i)の更新値を演算する。そして、歪補償係数演算部133は、歪補償係数記憶部131内の電力piに対応する歪補償係数を更新値に更新する。
具体的には、歪補償係数演算部133は、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いた適用信号処理により、送信信号x(t)とフィードバック信号y(t)とを比較する。そして、歪補償係数演算部133は、送信信号x(t)とフィードバック信号y(t)との誤差信号e(t)を送信信号x(t)の電力piにより除算する。そして、歪補償係数演算部133は、除算結果にステップサイズパラメータμを乗算する。そして、歪補償係数演算部133は、歪補償係数記憶部131から送信信号x(t)に対応する歪補償係数を取得し、取得した歪補償係数と、乗算結果のμ・e(t)とを加算することにより、歪補償係数h(i)を演算する。なお、歪補償係数演算部133は、例えば図1に示した算出部5、正規化部6、更新部7に対応する。
次に、図4を用いて、図3に示した歪補償部130の構成についてより詳細に説明する。図4は、実施例2に係る無線装置100の詳細構成の一例を示すブロック図である。なお、図4では、図2に示した各部のうち、送信信号発生装置110、S/P変換器120、D/A変換器141、直交変調器161、周波数変換器171、アンテナ191等については図示することを省略している。
図4に示すように、無線装置100は、乗算器11と、電力増幅器12と、帰還系13と、LUT(Lookup Table)14と、アドレス生成回路15と、遅延部16と、遅延部17とを有する。乗算器11は、例えば図3に示したプリディストーション部132に対応する。また、電力増幅器12は、例えば図2に示した電力増幅器180に対応する。また、帰還系13は、例えば図2に示した周波数変換器172、直交検波器162、A/D変換器142に対応する。また、LUT14は、例えば図3に示した歪補償係数記憶部131に対応する。
乗算器11は、S/P変換器120から入力される送信信号x(t)と、送信信号x(t)の電力piに対応する歪補償係数h(i)とを乗算する。これにより、乗算器11は、送信信号x(t)に対して歪補償処理を行う。なお、乗算器11は、後述するLUT14から、送信信号x(t)の電力piに対応する歪補償係数h(i)を取得する。
電力増幅器12は、乗算器11から入力される送信信号の電力を増幅する。電力増幅器12によって電力増幅された送信信号は、図示しないアンテナや、帰還系13へ出力される。
帰還系13は、上述したように、図2に示した周波数変換器172、直交検波器162、A/D変換器142に対応し、電力増幅器12によって電力増幅された送信信号をフィードバック信号y(t)として極座標変換部19へ出力する。
LUT14は、送信信号x(t)の離散的な各電力に対応するアドレス位置に、電力増幅器12で発生する歪みを補償するための歪補償係数を記憶する。なお、LUT14は、送信信号x(t)の離散的な各電力に対応する2次元アドレス位置に、歪補償係数を記憶してもよい。例えば、LUT14は、送信信号x(t)の電力piに一意に対応するX軸方向アドレスと、送信信号x(t)の電力piと送信信号x(t−1)の電力piとの差異ΔPに一意に対応するY軸方向アドレスとを保持する。そして、LUT14は、X軸方向アドレスとY軸方向アドレスとの組合せによって決定されるアドレス位置に、歪補償係数を記憶してもよい。また、LUT14は、上記のX軸方向アドレスとY軸方向アドレスと、さらに他の情報によって一意に対応するZ軸方向アドレスとの組合せによって決定されるアドレス位置に、歪補償係数を記憶してもよい。
アドレス生成回路15は、送信信号x(t)の電力piを演算し、演算結果の電力piに一意に対応するアドレスを生成する。なお、上記例のようにLUT14が二次元アドレス位置に歪補償係数を記憶する場合には、アドレス生成回路15は、送信信号x(t)の電力piを演算し、演算結果の電力piに一意に対応するX軸方向アドレスを生成する。また、アドレス生成回路15は、送信信号x(t)の電力piと、保持しておいた送信信号x(t−1)の電力piとの差異ΔPに一意に対応するY軸方向アドレスを生成する。
遅延部16は、アドレス生成回路15によって生成されたアドレスを遅延させてLUT14へ出力する。例えば、遅延部16は、送信信号x(t)がアドレス生成回路15に入力されてからフィードバック信号y(t)が減算器20へ入力されるまでの時間を遅延させて、アドレス生成回路15から入力されるアドレスをLUT14へ出力する。
ここで、アドレス生成回路15からLUT14へ入力されるアドレスは、乗算器11に用いられる歪補償係数の読み出しアドレスとなる。具体的には、LUT14は、アドレス生成回路15から入力されるアドレスに対応する歪補償係数を直交座標変換部25へ出力する。そして、乗算器11は、送信信号x(t)に、直交座標変換部25によって極座標系信号から直交座標系信号に変換された歪補償係数を乗算することにより歪補償処理を行う。
また、遅延部16からLUT14へ入力されるアドレスは、後述する加算器24によって歪補償係数が書き込まれる書き込みアドレスとなる。なお、書き込みアドレスは、上記の読み出しアドレスと同様のアドレスである。遅延部16によってLUT14にアドレスを入力する時間を遅延させる理由は、後述する減算器20、乗算器22等が更新値となる歪補償係数を演算する時間を要するからである。
遅延部17は、送信信号x(t)が入力されてからフィードバック信号y(t)が減算器20へ入力されるまでの遅延時間を送信信号x(t)に付加する。例えば、遅延部17は、電力増幅器12における遅延時間D1と、帰還系13の遅延時間D2とを加算した遅延時間D=D1+D2を送信信号x(t)に付加する。
また、図4に示すように、無線装置100は、極座標変換部18と、極座標変換部19と、減算器20と、正規化部21と、乗算器22と、遅延部23と、加算器24とを有する。極座標変換部18、極座標変換部19、減算器20、正規化部21、乗算器22、加算器24は、例えば図3に示した歪補償係数演算部133に対応する。また、減算器20は、例えば図1に示した算出部5に対応し、正規化部21は、図1に示した正規化部6に対応する。
極座標変換部18は、遅延部17から入力される直交座標系の送信信号x(t)を極座標系信号に変換する。そして、極座標変換部18は、極座標系信号に変換した送信信号を減算器20へ出力する。
極座標変換部19は、帰還系13から入力される直交座標系のフィードバック信号y(t)を極座標系信号に変換する。そして、極座標変換部19は、極座標系信号に変換したフィードバック信号を減算器20へ出力する。
減算器20は、極座標変換部18から入力される送信信号と、極座標変換部19から入力されるフィードバック信号との差e(t)を算出する。そして、減算器20は、送信信号とフィードバック信号との差e(t)を正規化部21へ出力する。
正規化部21は、極座標変換部18から入力される送信信号に基づいて、減算器20から入力される送信信号とフィードバック信号との差e(t)を正規化する。具体的には、正規化部21は、差e(t)の電力を送信信号の電力により除算する。例えば、極座標変換部18から入力される送信信号x(t)が「r∠θ」である場合には、正規化部21は、送信信号「r∠θ」の振幅成分である「r」により差e(t)の電力を除算する。そして、正規化部21は、除算結果を乗算器22へ出力する。なお、以下では、正規化部21から乗算器22へ出力される信号を「e(t)/r」と表記する場合がある。
乗算器22は、正規化部21から入力される正規化された誤差信号e(t)/rに、ステップサイズパラメータμを乗算する。かかるステップサイズパラメータμは、歪補償係数を徐々に更新させるための値であり、歪補償係数の更新率を示す。
遅延部23は、LUT14から出力される歪補償係数h(i)に遅延時間Dを付加する。かかる遅延時間Dは、上記の遅延部17によって送信信号x(t)に付加される遅延時間Dと同様である。
加算器24は、乗算器22から出力される値μ・e(t)/rと、遅延部23から出力される歪補償係数h(i)とを加算する。これにより、加算器24は、LUT14に記憶されている歪補償係数h(i)の更新値となる歪補償係数を得る。そして、加算器24は、遅延部16からLUT14へ入力される書き込みアドレスが示す位置に、歪補償係数の更新値を格納する。
[実施例2に係る無線装置による歪補償係数更新処理手順]
次に、図5を用いて、実施例2に係る無線装置100による歪補償係数更新処理の手順について説明する。図5は、実施例2に係る無線装置100による歪補償係数更新処理手順を示すフローチャートである。なお、以下では、図2及び図3に示した各部による歪補償係数更新処理について説明する。
図5に示すように、無線装置100のS/P変換器120は、送信信号を歪補償部130のプリディストーション部132及び歪補償係数演算部133へ入力する(ステップS101)。
続いて、歪補償部130のプリディストーション部132は、S/P変換器120から入力される入力信号の電力に対応する歪補償係数を歪補償係数記憶部131から取得し、取得した歪補償係数を用いて入力信号に対して歪補償処理を行う(ステップS102)。歪補償部130によって歪補償処理が行われた送信信号は、電力増幅器180へ入力される。そして、電力増幅器180によって電力増幅が行われた送信信号は、アンテナ191を介して空中へ放射されるとともに、歪補償部130の歪補償係数演算部133へフィードバックされる。
歪補償係数演算部133は、S/P変換器120から入力される入力信号と、フィードバック信号との差を算出する(ステップS103)。続いて、歪補償係数演算部133は、入力信号の電力に基づいて、入力信号とフィードバック信号との差を正規化する(ステップS104)。例えば、歪補償係数演算部133は、入力信号とフィードバック信号との差を入力信号の電力により除算する。
続いて、歪補償係数演算部133は、正規化後の誤差信号にステップサイズパラメータμを乗算し、かかる乗算結果に、歪補償係数記憶部131に記憶されている歪補償係数を加算することで歪補償係数の更新値を演算する(ステップS105)。このとき、歪補償係数演算部133は、歪補償係数記憶部131から入力信号の電力に対応する歪補償係数を取得する。
続いて、歪補償係数演算部133は、入力電力に対応する歪補償係数記憶部131の歪補償係数をステップS105において演算した歪補償係数の更新値に更新する(ステップS106)。
[実施例2の効果]
上述してきたように、実施例2に係る無線装置100は、電力増幅器180(電力増幅器12)に入力する信号の電力と、電力増幅器180から出力される出力信号の電力との誤差を入力信号の電力により正規化する。すなわち、無線装置100は、入力信号の電力が大きい場合には、大きい値の電力により誤差を正規化し、入力信号の電力が小さい場合には、小さい値の電力により誤差を正規化することができる。これにより、実施例2に係る無線装置100は、入力信号の電力が大きい場合であっても、歪補償係数の変動量を小さくすることができ、入力信号の電力が小さい場合であっても、歪補償係数が更新されなくなることを防止することができる。そして、実施例2に係る無線装置100は、誤差を入力信号の電力で正規化するので、小規模の回路により入力電力に適した歪補償係数更新処理を行うことができる。
ところで、上記実施例2では、図4に、無線装置100の詳細構成例を示したが、無線装置100の詳細構成例は、図4に示した例に限られない。図6〜図8に、無線装置100の詳細構成の他の例を示す。なお、以下では、既に示した構成部位と同様の機能を有する部位には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
図6に示す無線装置200は、図4に示した無線装置100と比較して、正規化部21の代わりに正規化部31を有する。正規化部31は、乗算器22によって、入力信号とフィードバック信号との差e(t)にステップサイズパラメータμが乗算された信号μ・e(t)を正規化する。このように、無線装置200は、ステップサイズパラメータμが乗算された誤差信号を正規化してもよい。
図7に示す無線装置300は、図4に示した無線装置100と比較して、正規化部21の代わりに正規化部41を有する。正規化部41は、極座標変換部19から入力されるフィードバック信号に基づいて、減算器20から入力される送信信号とフィードバック信号との差e(t)を正規化する。例えば、正規化部41は、減算器20から入力される送信信号とフィードバック信号との差e(t)をフィードバック信号の電力により除算する。このように、無線装置300は、フィードバック信号の電力に基づいて、正規化してもよい。
図8に示す無線装置400は、図7に示した無線装置300と比較して、正規化部41の代わりに正規化部51を有する。正規化部51は、極座標変換部19から入力されるフィードバック信号に基づいて、乗算器22から入力される信号μ・e(t)を正規化する。このように、無線装置400は、フィードバック信号の電力に基づいて、ステップサイズパラメータμが乗算された誤差信号を正規化してもよい。
なお、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(例えば、図5等)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
1 無線装置
2 電力増幅器
3 記憶部
4 歪補償部
5 算出部
6 正規化部
7 更新部
11 乗算器
12 電力増幅器
13 帰還系
14 LUT
15 アドレス生成回路
16、17、23 遅延部
18、19 極座標変換部
20 減算器
21、31、41、51 正規化部
22 乗算器
24 加算器
25 直交座標変換部
100、200、300、400 無線装置
110 送信信号発生装置
120 S/P変換器
130 歪補償部
131 歪補償係数記憶部
132 プリディストーション部
133 歪補償係数演算部
141 D/A変換器
142 A/D変換器
150 基準搬送波出力部
161 直交変調器
162 直交検波器
171、172 周波数変換器
180 電力増幅器
190 方向性結合器
191 アンテナ

Claims (6)

  1. 入力される信号の電力を増幅する電力増幅器と、
    前記電力増幅器に入力される入力信号の電力に対応付けて、前記電力増幅器で発生する歪みを補償するための歪補償係数を記憶する記憶部と、
    前記電力増幅器に入力される入力信号の電力に対応する歪補償係数を前記記憶部から取得し、取得した歪補償係数を用いて該入力信号に対して歪補償処理を行う歪補償部と、
    前記電力増幅器に入力される入力信号を極座標変換する第1の極座標変換部と、
    前記電力増幅器から出力される出力信号を極座標変換する第2の極座標変換部と、
    前記第1の極座標変換部により極座標変換された前記入力信号と、前記第2の極座標変換部により極座標変換された前記出力信号との誤差を算出する算出部と、
    前記算出部によって算出された誤差を、前記第2の極座標変換部により極座標変換された前記出力信号の振幅成分に基づいて正規化する正規化部と、
    前記正規化部によって正規化された後の誤差を用いて、前記入力信号の電力に対応付けて前記記憶部に記憶されている歪補償係数を更新する更新部と
    を備えたことを特徴とする無線装置。
  2. 前記算出部によって算出された誤差に歪補償係数の更新率を乗算する乗算部をさらに備え、
    前記正規化部は、前記乗算部による乗算結果を前記第2の極座標変換部により極座標変換された前記出力信号の振幅成分に基づいて正規化することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
  3. 前記正規化部によって正規化された後の誤差に歪補償係数の更新率を乗算する乗算部をさらに備え、
    前記更新部は、前記乗算部によって乗算された後の誤差を用いて、前記入力信号の電力に対応付けて前記記憶部に記憶されている歪補償係数を更新することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
  4. 前記正規化部は、前記算出部によって算出された誤差を前記第2の極座標変換部により極座標変換された前記出力信号の振幅成分により除算することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
  5. 電力増幅器に入力される入力信号の電力に対応付けて、前記電力増幅器で発生する歪みを補償するための歪補償係数を記憶する記憶部と、
    前記電力増幅器に入力される入力信号の電力に対応する歪補償係数を前記記憶部から取得し、取得した歪補償係数を用いて該入力信号に対して歪補償処理を行う歪補償部と、
    前記電力増幅器に入力される入力信号を極座標変換する第1の極座標変換部と、
    前記電力増幅器から出力される出力信号を極座標変換する第2の極座標変換部と、
    前記第1の極座標変換部により極座標変換された前記入力信号と、前記第2の極座標変換部により極座標変換された前記出力信号との誤差を算出する算出部と、
    前記算出部によって算出された誤差を、前記第2の極座標変換部により極座標変換された前記出力信号の振幅成分に基づいて正規化する正規化部と、
    前記正規化部によって正規化された後の誤差を用いて、前記入力信号の電力に対応付けて前記記憶部に記憶されている歪補償係数を更新する更新部と
    を備えたことを特徴とする歪補償装置。
  6. 電力増幅器による信号の歪を補償する歪補償方法であって、
    前記電力増幅器に入力される入力信号の電力に対応付けて前記電力増幅器で発生する歪みを補償するための歪補償係数を記憶する記憶部から、前記電力増幅器に入力される入力信号の電力に対応する歪補償係数を取得し、取得した歪補償係数を用いて該入力信号に対して歪補償処理を行う歪補償ステップと、
    前記電力増幅器に入力される入力信号を極座標変換する第1の極座標変換ステップと、
    前記電力増幅器から出力される出力信号を極座標変換する第2の極座標変換ステップと、
    前記第1の極座標変換ステップにより極座標変換された前記入力信号と、前記第2の極座標変換ステップにより極座標変換された前記出力信号との誤差を算出する算出ステップと、
    前記算出ステップによって算出された誤差を、前記第2の極座標変換ステップにより極座標変換された前記出力信号の振幅成分に基づいて正規化する正規化ステップと、
    前記正規化ステップによって正規化された後の誤差を用いて、前記入力信号の電力に対応付けて前記記憶部に記憶されている歪補償係数を更新する更新ステップと
    を実行することを特徴とする歪補償方法。
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