以下、本発明に係る電動式建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図12を参照しつつ詳細に説明する。
図中、1は電動式の油圧ショベルを示し、この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3とを備えている。上部旋回体3の前部側には、土砂の掘削作業等を行うスイング式の作業装置4が設けられ、該作業装置4は、スイングポスト4A、ブーム4B、アーム4C、バケット4D、ブームシリンダ4E、アームシリンダ4F、バケットシリンダ4G等により構成されている。
ここで、上部旋回体3は、前部側に位置する前部車体5と、該前部車体5の後端側に取付けられる後述の後部車体9とにより構成されている。
前部車体5は、後述する前部フレーム12を有し、該前部フレーム12の左側には、後述するフロア部材27、運転席28、キャノピ42等が配置されている。また、前部フレーム12の右側には、電動モータ6、油圧ポンプ7、作動油タンク8等が搭載され、電動モータ6によって油圧ポンプ7を駆動することにより、作動油タンク8に貯溜された作動油が、走行用および旋回用の油圧モータ(いずれも図示せず)、作業装置4を構成する各シリンダ4E,4F,4G等の油圧機器に向けて供給される構成となっている。
次に、9は前部車体5の後端側に取付けられる後部車体を示し、該後部車体9は、前部車体5と共に上部旋回体3を構成するものである。
後部車体9は、後述する後部フレーム43を有し、該後部フレーム43には、後述するバッテリ搭載台50を介して多数のバッテリ51が搭載されている。そして、これら各バッテリ51によって電動モータ6への給電が行われる構成となっている。
10は上部旋回体3のベースとなる車体フレームとしての旋回フレームを示し、該旋回フレーム10は、支持構造体をなし前,後方向の前部側に作業装置4が取付けられるものである。ここで、旋回フレーム10は、前部車体5のベースとなる後述の前部フレーム12と後部車体9のベースとなる後述の後部フレーム43とを連結ピン11(図3参照)等を用いて連結することにより構成されている。即ち、旋回フレーム10は、別部材として形成された前部フレーム12と後部フレーム43とを一体に連結することにより構成されている。
次に、旋回フレーム10の前部側を構成する前部フレーム12について説明する。この前部フレーム12は、前部車体5のベースとなるもので、電動モータ6、油圧ポンプ7、作動油タンク8等が搭載されるものである。また、前部フレーム12には、後述するフロア部材27、運転席28、サポート部材31、キャノピ42等が設けられている。
ここで、前部フレーム12は、図5ないし図7に示すように、左,右方向の中央部を前,後方向に延びる厚肉な平板状の底板13と、該底板13の上面側に左,右方向に離間して略V字状に立設され前,後方向に延びる左,右の縦板14,15と、これら左,右の縦板14,15の前端部に設けられスイングポスト4Aを支持する支持ブラケット16と、左,右の縦板14,15の前,後方向の途中部位を横切るように底板13上に立設された横板17と、左縦板14の後部側から左側方に張出した左張出しビーム18と、右縦板15から右側方に張出した前右張出しビーム19,後右張出しビーム20と、底板13の左側に配置され横板17の左端部と左張出しビーム18の左端部とに接続された左サイドフレーム21と、左縦板14の前端側に左方向に延びて設けられ左縦板14の前端側と左サイドフレーム21の前端とを接続する左前横板22と、底板13の右側に配置され前,後の右張出しビーム19,20の右端部に接続された右サイドフレーム23と、右縦板15の前端側に右方向に延びて設けられ右縦板15の前端側と右サイドフレーム23の前端とを接続する右前フレーム24と、該右前フレーム24の後側に位置して右縦板15と右サイドフレーム23とを連結する連結部材25と、横板17の後側に位置して左縦板14と右縦板15との間に設けられた仕切板26とにより大略構成されている。
ここで、横板17は、左縦板14と右縦板15との間に位置する中央横板17Aと、左縦板14と左サイドフレーム21との間に位置する左横板17Bとにより構成されている。そして、左横板17Bの左端側には、後述するサポート部材31の傾斜脚部39の下端側をボルト固定する左ブラケット17Cが固着され、中央横板17Aの右端には、サポート部材31の前脚部33の下端側をボルト固定する右ブラケット17Dが固着されている。また、中央横板17Aの左端側と仕切板26の左端側との間には、サポート部材31の板状脚部37の下端側をボルト固定する略矩形状の中央ブラケット17Eが、中央横板17Aと仕切板26との間を架渡すように設けられている。
さらに、後右張出しビーム20には、サポート部材31の後脚部35の下端側をボルト固定するボルト取付孔(図示せず)が設けられている。これにより、サポート部材31は、左ブラケット17Cと右ブラケット17Dと中央ブラケット17Eとを介して、傾斜脚部39の下端側と前脚部33の下端側と板状脚部37の下端側とが横板17に固定され、後脚部35の下端側が後右張出しビーム20に直接固定される構成となっている。
また、左前横板22の上部には、フロア取付板22Aが左,右方向に延びて取付けられている。そして、フロア取付板22Aには、後述のフロア部材27の前側を支持するフロア支持ブラケット22B(図2および図3参照)が取付けられている。
一方、左縦板14の後端側と右縦板15の後端側には、それぞれ左,右方向に貫通するピン挿通孔14A,15Aが設けられ、これら各ピン挿通孔14A,15Aにそれぞれ連結ピン11が挿通される構成となっている。
27はオペレータが搭乗するフロア部材で、該フロア部材27は、後述のバッテリ搭載台50に搭載される各バッテリ51の前側に位置して前部フレーム12上に設けられている。ここで、フロア部材27は、後側が立ち上がって運転席台座27Aおよび運転席支持部27Bとなると共に、前側がオペレータの足乗せ部27Cとなっている。即ち、フロア部材27は、後側に位置して後述の運転席28が取付けられる運転席台座27Aと、該運転席台座27Aの後部から後向きに延びた運転席支持部27Bと、運転席台座27Aの前側に位置してオペレータが足を置く足乗せ部27Cとにより大略構成されている。
ここで、運転席台座27Aは、足乗せ部27Cの後部から立上がった立上り壁27A1と、該立上り壁27A1の上端から後側に延びた座席取付板27A2と、該座席取付板27A2の後部から上側に延びた背面板27A3とを有している。そして、座席取付板27A2上には、後述の運転席28が取付けられている。
運転席支持部27Bは、運転席台座27Aの背面板27A3の上部から後向きに延びて設けられている。そして、運転席支持部27Bは、後述するサポート部材31の支持台32に支持され、これにより、フロア部材27の後端側をサポート部材31を介して前部フレーム12上に支持する構成となっている。さらに、運転席支持部27Bの上面側には、後述するキャノピ42の基板部42Fが取付けられている。
一方、足乗せ部27Cは、運転席28に着座したオペレータが足を置くもので、ほぼ平坦な長方形状をなし、前側部分はレバー・ペダル取付部27C1となっている。そして、足乗せ部27Cは、その前側位置がフロア支持ブラケット22Bに支持され、これにより、フロア部材27の前端側をフロア支持ブラケット22Bを介して前部フレーム12上に支持する構成となっている。
28は運転席台座27Aの座席取付板27A2上に設けられた運転席で、該運転席28は、オペレータが着座するものである。そして、運転席28の左,右両側には、作業用の操作レバー29が設けられ、前側となる足乗せ部27Cのレバー・ペダル取付部27C1には走行用の操作レバー・ペダル30(図1参照)が設けられている。
31はフロア部材27の後側に位置して前部フレーム12に設けられたサポート部材で、該サポート部材31は、フロア部材27の後端(運転席支持部27B)を支持するものである。ここで、サポート部材31は、図11および図12に示すように、後述する支持台32と、前脚部33と、後脚部35と、板状脚部37と、傾斜脚部39とにより大略構成されている。
32はサポート部材31の上側位置に設けられた支持台で、該支持台32は、フロア部材27の運転席支持部27Bの後端を支持するものである。ここで、支持台32は、例えば鋼板等の金属製の板材に折り曲げ加工等を施すことにより断面が逆U字状の梁状部材として形成され、後述するバッテリ搭載台50に搭載された前側のバッテリ51の上方を左,右方向に延びるものである。また、支持台32には、左,右方向に離間してフロア部材27の運転席支持部27Bを直接または防振部材(図示せず)等を介して支持するための取付孔32Aが形成されている。さらに、支持台32の左端側には、後述する傾斜脚部39の上端側を固定する取付ブラケット32Bが設けられている。
33は支持台32の右端側(左,右方向の一端側)から前方に向けて延びる一側脚部としての前脚部で、該前脚部33は、後述の後脚部35と共に支持台32の右端側を支持するものである。ここで、前脚部33は、支持台32の前,後方向の動きと上,下方向の動きを止める(支持台32に加わる前,後方向の力と上,下方向の力を支承する)もので、例えば鋼板等の金属製の板材(棒材)に折り曲げ加工等を施すことにより形成されている。
この場合、前脚部33は、支持台32の右端側に固定されると共に前方に延びる支持台取付部33Aと、該支持台取付部33Aの前端側から下側に向けて斜めに前方に延びる傾斜部33Bと、該傾斜部33Bの前端から真下(鉛直方向下側)に延び下端側にボルト取付孔33C1が設けられた横板取付部33Cとにより構成されている。そして、横板取付部33Cの下端側は、前部フレーム12の横板17に設けられた右ブラケット17Dにボルト・ナット34を用いて取付けられている。
35は支持台32の右端側(左,右方向の一端側)から後方に向けて延びる一側脚部としての後脚部で、該後脚部35も、前脚部33と共に支持台32の右端側を支持するものである。ここで、後脚部35は、前脚部33と同様に、支持台32の前,後方向の動きと上,下方向の動きを止める(支持台32に加わる前,後方向の力と上,下方向の力を支承する)もので、例えば鋼板等の金属製の板材(棒材)に折り曲げ加工等を施すことにより形成されている。
この場合、後脚部35は、支持台32の右端側に固定されると共に後方に延びる支持台取付部35Aと、該支持台取付部35Aの後端側から下側に斜めに(右側に傾斜して)延び下端側にボルト取付孔35B1が設けられた張出しビーム取付部35Bとにより構成されている。そして、張出しビーム取付部35Bは、前部フレーム12の後右張出ビーム20の後面側にボルト・ナット36(図6参照)を用いて取付けられている。
37は支持台32の左端側(左,右方向の他端側)からフロア部材27の運転席台座27Aの下側に向けて前方に延びる他側脚部としての板状脚部で、該板状脚部37は、後述の傾斜脚部39と共に支持台32の左端側を支持するものである。ここで、板状脚部37は、支持台32の下方に後述のバッテリ嵌入空間41を確保しつつ、支持台32の前,後方向の動きと上,下方向の動きを止める(支持台32に加わる前,後方向の力と上,下方向の力を支承する)ものである。
このために、板状脚部37は、支持台32から前方下側に向けて真直ぐに(左,右方向に傾斜せずに)延びる板状部37Aと、該板状部37Aの下端側に固着され水平方向に延びるブラケット部37Bとにより構成されている。これら板状部37Aとブラケット部37Bは、例えば鋼板等の金属製で十分な強度を確保できる厚さ寸法を有する板材(厚板)により形成され、板状部37Aの下端側とブラケット部37Bの上面とは、例えば溶接手段を用いて固着されている。また、ブラケット部37Bには、4個所位置にボルト取付孔37B1が設けられている。そして、ブラケット部37Bは、前部フレーム12の横板17と仕切板26との間に設けられた中央ブラケット17Eにボルト・ナット38を用いて取付けられている。
板状脚部37は、前部フレーム12の中央ブラケット17Eに取付けた状態で、板状部37Aの厚さ方向が左,右方向と一致するように構成している。これにより、板状部37Aは、縦板の如き強度部材としての役割を発揮することができ、支持台32を板状脚部37により下側から強固に支持することができる。この結果、支持台32に支持されるフロア部材27と後述するキャノピ42とを十分な強度をもって支持することができる。
39は支持台32の左端側(左,右方向の他端側)からフロア部材27の運転席台座27Aの下側に向けて前方に斜めに(左側に傾斜して)延びる他側脚部としての傾斜脚部で、該傾斜脚部39は、板状脚部37と共に支持台32の左端側を支持するものである。ここで、傾斜脚部39は、支持台32の下方に後述のバッテリ嵌入空間41を確保しつつ、支持台32の左,右方向の動きを止める(支持台32に加わる左,右方向の力を支承する)ものである。
このために、傾斜脚部39は、例えば鋼板等の金属製の板材(棒材)により形成され、支持台32の左端側から前方下側に斜めに(左側に傾斜して)延びるように配置されている。この場合、傾斜脚部39の上端側は、支持台32に取付ブラケット32Bを介して取付けられている。また、傾斜脚部39の下端側には、ボルト取付孔39Aが設けられ、傾斜脚部39の下端側は、前部フレーム12の横板17に設けられた左ブラケット17Cにボルト・ナット40を用いて取付けられている。
本実施の形態のサポート部材31は、支持台32の右端側に前方に延びる前脚部33の他、後方に延びる後脚部35を設けているのに対し、支持台32の左端側には、前方にのみ延びる板状脚部37と傾斜脚部39を設け、後方に延びるものは設けていない。即ち、支持台32の一端側である右端側に設けられる一側脚部としての前脚部33と後脚部35とは、前方に延びるもの(前脚部33)だけでなく後方に延びるもの(後脚部35)もあるのに対して、支持台32の他端側である左端側に設けられる他側脚部としての板状脚部37と傾斜脚部39は、何れも前方にのみ延びるものとしている。これにより、支持台32の左端側(他端側)の下側に形成される後述のバッテリ嵌入空間41の容積を大きく確保できるように構成している。
41はサポート部材31の支持台32の下側に形成されたバッテリ嵌入空間で、該バッテリ嵌入空間41は、サポート部材31の支持台32の下側で該サポート部材31の板状脚部37と傾斜脚部39に向けて後述のバッテリ51が入り込む空間として形成されている。ここで、バッテリ嵌入空間41は、図3に示すように、サポート部材31の支持台32の下側で、板状脚部37と傾斜脚部39よりも後側となる部分に形成されている。換言すれば、運転席28の下側、即ち、フロア部材27の立ち上がった部位である運転席台座27Aの後側でサポート部材31の支持台32の下側がバッテリ嵌入空間41として形成されている。
この場合、バッテリ嵌入空間41は、図3に示すように、板状脚部37と傾斜脚部39とを支持台32から前方に延びるように設けることにより、支持台32よりも前側となる板状脚部37と傾斜脚部39との下側まで、後述のバッテリ搭載台50に搭載されたバッテリ51(の前端側)が入り込むことができるように形成している。また、これと共に、図2に示すように、支持台32よりも下側で該支持台32の左端よりも左側にも、バッテリ51(の前端側)が入り込むことができるように形成している。これにより、旋回フレーム10の後部側に、バッテリ嵌入空間41内を含んでより多くのバッテリ51を搭載することができる。
42は運転席28の上方を覆うようにフロア部材27に設けられたキャノピで、該キャノピ42は、左前柱42A、左後柱42B、右前柱42C、右後柱42Dおよび天井部42Eからなる4柱キャノピとして形成されている。また、キャノピ42の後側には、左後柱42Bの下端部と右後柱42Dの下端部とに亘って平板状の基板部42Fが設けられている。そして、キャノピ42の前側は、左前柱42Aと右前柱42Cがフロア部材27を構成する足乗せ部27Cのレバー・ペダル取付部27C1に例えばボルト(図示せず)を用いて取付けられている。
一方、キャノピ42の後側は、基板部42Fがフロア部材27を構成する運転席支持部27Bを介して該運転席支持部27Bと共にサポート部材31の支持台32に例えばボルト(図示せず)を用いて取付けられている。これにより、安全フレームの役割を有するキャノピ42は、その後側をサポート部材31を介して前部フレーム12に強固に(安全フレーム規格に沿った強度を十分に確保できる状態で)支持することができる。
次に、旋回フレーム10の後部側を構成する後部フレーム43について説明する。
この後部フレーム43は、後部車体9のベースとなるもので、図2ないし図4に示すように、後述するベースフレーム部44と、外周フレーム部45と、左,右の支柱46,47と、左,右のガードパイプ48,49とにより大略構成されている。そして、後部フレーム43は、連結ピン11等を用いて前部フレーム12の後端側に着脱可能に取付けられ、後述のバッテリ搭載台50を支持するものである。
44は後部フレーム43のベースとなるベースフレーム部で、該ベースフレーム部44は、下側が底板(図示せず)により閉塞されると共に上側が開口した矩形状の箱体として形成され、後述するバッテリ搭載台50が取付けられるものである。ここで、ベースフレーム部44の上面側には、複数の弾性支持部材(マウント部材)44Aが設けられ、該弾性支持部材44Aを介して後述のバッテリ搭載台50をベースフレーム部44に対して弾性的に支持できるように構成している。
また、ベースフレーム部44の後側には、前部フレーム12の各ピン挿通孔14A,15Aと対応してピン挿通孔44B(図4に左側のみ図示)が設けられ、これら各ピン挿通孔14A,15Aとピン挿通孔44Bとにそれぞれ連結ピン11が挿通される構成となっている。そして、後部フレーム43と前部フレーム12は、前部フレーム12側のピン挿通孔14A,15Aと後部フレーム43側のピン挿通孔44Bとに連結ピン11を挿通した状態で、前部フレーム12と後部フレーム43とをボルト等(図示せず)を用いて締結することにより、旋回フレーム10を形成することができる。
45はベースフレーム部44の後端側に設けられた外周フレーム部で、該外周フレーム部45は、例えば上部旋回体3の旋回中心を中心とした円弧状に形成されている。ここで、外周フレーム部45は、円弧状に湾曲した外面板45Aと、外面板45Aの下端側からベースフレーム部44側に張出し、該ベースフレーム部44に溶接等の手段を用いて固着された底面板45B(図2参照)とにより構成されている。
46は後部フレーム43の後端左側に設けられた左支柱で、47は後部フレーム43の後端右側に設けられた右支柱を示している。これら左,右の支柱46,47は、断面四角形状の中空な角筒体からなり、ベースフレーム部44の後端部および外周フレーム部45の底面板45B等に溶接されることにより上,下方向に伸長している。
48は左支柱46から外周フレーム部45に沿って左前方へと延びる左ガードパイプ48で、49は右支柱47から外周フレーム部45に沿って右前方へと延びる右ガードパイプ49を示している。これら左,右のガードパイプ48,49は、後述するバッテリ搭載台50に搭載された多数のバッテリ51を外側から取囲むことにより、これら各バッテリ51を保護するものである。
次に、後部フレーム43のベースフレーム部44(旋回フレーム10の後部側)に設けられたバッテリ搭載台50について説明する。
50は後部フレーム43のベースフレーム部44上に弾性支持部材44Aを介して弾性的に支持されたバッテリ搭載台で、該バッテリ搭載台50は、多数のバッテリ51を組立体として効率良く搭載した状態で後部フレーム43に取付けられるものである。この場合、バッテリ搭載台50は、後述の基台52と、バッテリテーブル53とからなる枠状体として形成されている。
ここで、バッテリ搭載台50に搭載される各バッテリ51は、バッテリ搭載台50を介して後部フレーム43(旋回フレーム10の後部側)に搭載され、電動モータ6に対する給電を行うものである。また、各バッテリ51は、左,右方向に延びる直方体状をなし、互いに電気的に接続されている。そして、各バッテリ51からの電力が電動モータ6に供給されることにより、当該電動モータ6が駆動される構成となっている。
52はバッテリ搭載台50のベースとなる基台で、該基台52は、各弾性支持部材44Aを介して後部フレーム43のベースフレーム部44上に弾性的に支持されるものである。この基台52は、全体として後部フレーム43のベースフレーム部44よりも一回り小さな矩形の枠状に形成され、基台52には、多数のバッテリ51が搭載される構成となっている。
53は基台52上に取付けられたバッテリテーブルで、該バッテリテーブル53は、下段テーブル53Aと、中段テーブル53Bと、上段テーブル53Cとを複数の取付脚53Dを介して上,下方向に積重ねた枠状体として構成されている。そして、バッテリテーブル53を構成する各段のテーブル53A,53B,53C上に多数のバッテリ51を効率良く搭載することができる構成となっている。
ここで、バッテリ搭載台50に搭載される多数のバッテリ51のうち前側に位置するバッテリ51の前端側は、前部車体5と後部車体9とを連結した状態で、図3に示すように、バッテリ嵌入空間41内に入り込む。即ち、前部フレーム12に設けられたサポート部材31の板状脚部37と傾斜脚部39とを支持台32から前方に延びるように設けることにより、支持台32よりも前側となる板状脚部37と傾斜脚部39との下側までをバッテリ嵌入空間41として形成している。また、これと共に、図2に示すように、支持台32よりも下側で該支持台32の左端よりも左側もバッテリ嵌入空間41として形成している。そして、前部車体5と後部車体9とを連結した状態で、バッテリ嵌入空間41には、バッテリ搭載台50に搭載されたバッテリ51の前端側が入り込む構成となっている。
より具体的には、バッテリ搭載台50に搭載された多数のバッテリ51のうち、基台52の最も前側に位置するバッテリ51と下段テーブル53Aの最も前側に位置するバッテリ51と中段テーブル53Bの最も前側に位置するバッテリ51とが、サポート部材31の支持台32の下側に形成されたバッテリ嵌入空間41内に入り込む構成となっている。このため、このバッテリ嵌入空間41内に入り込むバッテリ51分、旋回フレーム10の後部側により多くのバッテリ51を搭載することができる。
なお、54は運転席28を取囲んで前部フレーム12上に配設された外装カバーを示し、該外装カバー54は、前部フレーム12上に搭載された電動モータ6、油圧ポンプ7、作動油タンク8等の搭載機器を収容するものである。55は後部フレーム43上に配設された後部カバーを示し、該後部カバー55は、後部フレーム43上に取付けられたバッテリ搭載台50と該バッテリ搭載台50に搭載された多数のバッテリ51を収容するものである。
本実施の形態による電動式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、バッテリ搭載台50を介して後部フレーム43に搭載された多数のバッテリ51からの電力によって電動モータ6を回転させ、油圧ポンプ7を駆動する。そして、運転席28に着席したオペレータが操作レバー29、操作レバー・ペダル30を操作することにより、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4によって土砂等の掘削作業を行うことができる。
ここで、本実施の形態による油圧ショベル1は、サポート部材31の支持台32の下側を、サポート部材31の板状脚部37および傾斜脚部39に向けてバッテリ51が入り込むことのできるバッテリ嵌入空間41として形成しているので、旋回フレーム10の後部側にバッテリ嵌入空間41内を含んでより多くのバッテリ51を搭載することができる。即ち、フロア部材27の立ち上がった部位、具体的には、運転席台座27Aの後側でサポート部材31の支持台32の下側がバッテリ嵌入空間41として形成されるため、このバッテリ嵌入空間41分、より多くのバッテリ51を搭載することができる。これにより、バッテリ51の充電(ないし充電済みのバッテリ51への交換)が必要になるまでの稼働時間をより長くすることができ、電動式の油圧ショベル1の安定性、信頼性を向上することができる。
また、本実施の形態によれば、サポート部材31の板状脚部37は、板状部37Aとブラケット部37Bとからなる板状の脚部としてサポート部材31の支持台32の左端側から前方に延びる構成となっている。これにより、バッテリ嵌入空間41の前部左側の容積を確保しつつ、支持台32に加わる上,下方向の力(主として上部からの力)と前,後方向の力を十分な強度をもって支承することができる。
また、サポート部材31の傾斜脚部39は、サポート部材31の支持台32の左端側から前方下側に斜めに(左側に傾斜して)延びる構成となっている。これにより、バッテリ嵌入空間41の前部左側の容積を確保しつつ、支持台32に加わる左,右方向の力を十分な強度をもって支承することができる。
さらに、サポート部材31の前脚部33と後脚部35は、サポート部材31の支持台32の右端側からそれぞれ前,後方向に延びる構成となっている。これにより、支持台32の右端側を前脚部33と後脚部35とにより十分な強度をもって支承することができる。この結果、バッテリ嵌入空間41の前部側の容積を確保しつつ(バッテリ嵌入空間41の前部を前側および左側に向けて大きく確保しつつ)、サポート部材31の支持強度を十分に確保することができる。
しかも、本実施の形態によれば、前部フレーム12を構成する横板17に、サポート部材31の前脚部33の下端側と板状脚部37の下端側と傾斜脚部39の下端側とを固定する構成としているので、前部フレーム12のうち横板17よりも後側をバッテリ嵌入空間41として形成することができる。これにより、前部フレーム12と後部フレーム43とにより構成される旋回フレーム10上にバッテリ嵌入空間41を大きく確保しつつ、サポート部材31を旋回フレーム10の横板17に強固に固定することができる。
さらに、本実施の形態によれば、各バッテリ51を組立体として搭載するバッテリ搭載台50を旋回フレーム10の後部側となる後部フレーム43に設ける構成としているので、バッテリ搭載台50を介して多数のバッテリ51を旋回フレーム10の後部側にまとめて(ユニット化して)搭載することができる。これにより、バッテリ51を搭載する部位の構造の簡素化、配線の容易化、部品点数の低減、組立工程数の低減、コストの低減を図ることができる。
また、バッテリ51の充電量が不足した場合は、前部車体5と後部車体9とを分離させ、充電済みのバッテリ51が搭載された別の後部車体9に交換することができる。これにより、さらなる稼働時間の延長を図ることもできる。この場合、前部車体5と後部車体9とを分離させる作業を連結ピン11等の着脱により行えるため、作業現場等での充電済みのバッテリ51への交換作業を容易に行うことができる。
また、後部フレーム43に対してバッテリ搭載台50の取付け,取り外しを行うことにより、各バッテリ51をまとめて交換等することができる。このため、バッテリ51の点検、修理等のメンテナンス作業や、充電容量が向上した新たなバッテリ51への交換作業を容易に行うこともできる。
なお、上述した実施の形態では、運転席28を上方から覆うキャノピ42を備えたキャノピ仕様の油圧ショベル1を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、図13に示す変形例のように、フロア部材(図示せず)にキャブ61を設け、このキャブ61内に運転席28を配置したキャブ仕様の油圧ショベルに適用してもよい。この場合も、安全フレームの役割を有するキャブ61の後側を、サポート部材31を介して前部フレーム12に強固に(安全フレーム規格に沿った強度を十分に確保できる状態で)支持することができる。
上述した実施の形態では、サポート部材31の支持台32の右端側に一側脚部としての前脚部33と後脚部35とを設けると共に支持台32の左端側に他側脚部としての板状脚部37と傾斜脚部39とを設ける構成とした場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、サポート部材の支持台の左端側に一側脚部としての前脚部と後脚部とを設けると共に支持台の右端側に他側脚部としての板状脚部と傾斜脚部とを設ける構成としてもよい。
上述した実施の形態では、サポート部材31の支持台32の右端側に一側脚部として2本の脚部(前脚部33と後脚部35)を設けると共に、支持台32の左端側に他側脚部として2本の脚部(板状脚部37と傾斜脚部39)を設ける構成とした場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、支持台の一端側に3本以上の一側脚部を設けたり、支持台の他端側に3本以上の他側脚部を設ける構成としてもよい。
上述した実施の形態では、車体フレームとしての旋回フレーム10を前部フレーム12と後部フレーム43とに分離できる構成とした場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、車体フレームを分離できない一体のフレームとして形成する構成としてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、電動式建設機械として油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイールローダ、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができるものである。