JP5668389B2 - 接合部の制振構造 - Google Patents
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Description
また、第1部材と第3部材との間には、複数の第2部材が架け渡されており、複数の第2部材の各々と第1部材とが第1接合部をなし、複数の第2部材の各々と前記第3部材とが前記第2接合部をなすので、各々の第2部材に設けられた第1接合部と第2接合部とを独立させて機能させることが可能である。具体的には、1つの第2部材に複数の第1接合部又は第2接合部が設けられていたとしても、単一の第1部材又は単一の第3部材の間では、いずれかの第1接合部の相対移動にて、その他の第1接合部における相対移動が規制されてしまう虞がある。このため、複数の第2部材を第1部材と第3部材との間に架け渡して、各々第1接合部と第2接合部を有する構成を有することにより、より効果的に振動を制振することが可能である。
このような接合部の制振構造によれば、小さな振動のエネルギーを吸収する第1接合部にて許容される相対移動量が、第2接合部にて許容される相対移動量より小さいので、振動エネルギーが大きく、相対移動量が大きな振動が入力された際には、より早く第1接合部より大きな摩擦力が発生する第2接合部にて振動エネルギーを吸収させることが可能である。
このような接合部の制振構造によれば、振動が入力されると、まず第1接合部にて第1部材と第2部材との間にて相対移動するとともにエネルギーが吸収される。そして、入力された振動が第1接合部の許容される相対移動量を超えたときには、第1接合部のボルトを介して、第2接合部に振動により第2部材と第3部材とが相対移動する力が伝達される。即ち、入力された振動が第1接合部にて許容される相対移動力を超える場合には、その振動が第2接合部に伝達されて、第2接合部にて振動エネルギーが吸収される。このため、第1接合部と第2接合部との制御手段を備えることなく、小さな振動は第1接合部にて、大きな振動は第2接合部にてそれぞれ吸収することが可能である。
このような接合部の制振構造によれば、第2部材は、端部同士が互いに間隔を隔てて対向している第1部材と第3部材との間に架け渡されているので、第1部材と第2部材とが相対移動して摩擦量が発生する部位と、第3部材と第2部材とが相対移動して摩擦力が発生する部位とを同一平面上にて配置することが可能である。このため、摩擦力が作用したときに、第1部材、第2部材、第3部材にねじれが生じ難いので、より効率良く振動を抑制することが可能である。また、第1部材と第3部材は、第2部材に対して同じ側に配置されるので、第1部材と第3部材とが第2部材に対して反対側に配置される場合より、重なり方向の厚みを小さくすることが可能である。
このような接合部の制振構造によれば、第2部材と第3部材とが相対移動する力は、パイプ材を介して第1部材から第2部材へと伝達されるので、ボルトをパイプ材により保護するとともに、ボルトを圧接力の付与のみに特化させて使用できて、その健全性を高く維持可能となる。
このような接合部の制振構造によれば、第2部材と第3部材とが相対移動する力は、第1接合部にて第1部材と第2部材とが相対移動した際に許容される相対移動量を超えた際に第1貫通孔がパイプ材に当接されてパイプ材が移動することにより、パイプ材と共に第2部材が移動される。このとき、第2部材と第3部材とが相対移動する力がパイプ材と第1貫通孔との係合を介して第2部材に伝達されるので、ボルトに剪断力が作用することは殆どなく、ボルトを圧接力の付与のみに特化させて使用できて、その健全性をより高く維持可能となる。
このような接合部の制振構造によれば、第1部材と第2部材とのうちの一方、及び、前記第2部材と前記第3部材とのうちの一方に、設けられた滑り板と、第1部材と第2部材とのうちの他方、及び、第2部材と第3部材とのうちの他方に設けられ、第1部材と第2部材、及び、第2部材と第3部材が相対移動したときに滑り板と摺動して摩擦力が生じる摩擦板と、を有しているので、第1接合部及び第2接合部がそれぞれ相対移動した際に安定した摩擦力を生じさせて制振することが可能である。
このような接合部の制振構造によれば、第1圧接力付勢部材及び第2圧接力付勢部材は、圧縮方向の変形量に対して、荷重の変動がほぼ一定となる非線形ばね領域を備えた皿ばねなので、安定した圧接力を発生させることが可能である。特に、本接合部の制振構造では、第1圧接力付勢部材と第2圧接力付勢部材とにより付勢する圧接力を違えるために、安定した付勢力が得られる皿ばねを使用している。また、皿ばねは複数枚を重ねて使用することが可能なので、重ねる皿ばねの数を相違させることにより圧接力を容易に調整することが可能である。
このような接合部の制振構造によれば、第1部材及び第3部材を第2部材にて両側から挟むことにより、第2部材を第1部材及び第3部材に対して安定した状態にて相対移動させて安定した摩擦力を発生させることが可能である。
図1は、本発明に係る接合部の制振構造を建物の間柱に組み込んだ状態の一例を示す斜視図である。図2は、本実施形態の摩擦ダンパーユニットを正面から見た模式図である。図3は、図2におけるA−A断面図であり、図4は、図2におけるB−B断面図であり、図5は、図2におけるC−C断面図である。
間柱10は、上階層3と下階層5との間にて上下を架け渡し方向として配置されている。また、間柱10は、その長手方向たる前記架け渡し方向の略中央の位置において分断されており、分断された端部を利用して摩擦ダンパー20、30を形成しつつ接合されている。
摩擦ダンパーユニット25に、地震による振動が作用すると、まず、圧接力が小さな下摩擦ダンパー30にて間柱下部11と2枚のスプライスプレート21とが間柱下部11の丸孔11bの内周面が丸パイプ17に当接係合するまで相対移動する。ここまでは、風荷重下の場合と同じであり、図6に示すA点の状態、即ち、図7(b)の状態である。その後、地震による外力は風荷重より大きいので、そのまま同じ方向に相対移動する。このとき、丸パイプ17が間柱下部11の丸孔11bの内周面により相対移動方向に付勢されることにより、丸パイプ17とともに移動する2枚のスプライスプレート21が間柱上部12に対して相対移動し上摩擦ダンパー20にて摩擦力が発生する。
11 間柱下部(第1部材)、11b 丸孔、11c 上端部、
12 間柱上部(第3部材)、12a 長孔、12c 下端部、
16 ボルト、16a 頭部、17 丸パイプ、 18 ナット、
20 上摩擦ダンパー(第2接合部)、21 スプライスプレート(第2部材)、
21a 丸孔、21b 丸孔、25 摩擦ダンパーユニット、26 滑動板、
28 摩擦板、30 下摩擦ダンパー(第1接合部)、45 座金、
46 ブッシュ
Claims (9)
- 相対移動自在に重ねられた第1部材及び第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材に圧接力を付勢する第1圧接力付勢部材と、を備えて接合された第1接合部と、
相対移動自在に重ねられた前記第2部材及び第3部材と、前記第2部材及び前記第3部材に圧接力を付勢する第2圧接力付勢部材と、を備えて接合された第2接合部と、
を有し、
前記第1接合部は、前記第1部材及び前記第2部材との相対移動量を規制する移動量規制部を有し、
前記第1部材と前記第2部材とが振動により相対移動するときに前記第1接合部にて発生する摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
前記第2部材と前記第3部材とが振動により相対移動するときに前記第2接合部にて発生する摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
前記第1接合部にて発生する前記摩擦力は、前記第2接合部にて発生する前記摩擦力より小さく、前記振動による前記第1接合部の相対移動が前記移動量規制部にて規制されたときに前記第2接合部にて相対移動し、
前記第1部材及び前記第3部材に重ねられた第2部材は、前記相対移動の方向に沿って複数設けられており、
前記複数の第2部材の各々と前記第1部材とが前記第1接合部を成し、前記複数の第2部材の各々と前記第3部材とが前記第2接合部を成すことを特徴する接合部の制振構造。 - 請求項1に記載の接合部の制振構造であって、
前記第1接合部にて許容される相対移動量は、前記第2接合部にて許容される相対移動量より小さいことを特徴とする接合部の制振構造。 - 請求項2に記載の接合部の制振構造であって、
前記第1圧接力付勢部材は、重ねられた前記第1部材及び前記第2部材とともに貫通されたボルトにて圧縮されており、
前記第2圧接力付勢部材は、重ねられた前記第2部材及び前記第3部材とともに貫通されたボルトにて圧縮されており、
前記振動により前記第2部材と前記第3部材とが相対移動する力は、前記第1接合部における相対移動量が前記許容される相対移動量を超えたときに前記第1接合部の前記ボルトを介して前記第2接合部に伝達されることを特徴する接合部の制振構造。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
前記第1部材及び前記第3部材は、端部同士が互いに間隔を隔てて対向しており、
前記第2部材は、前記第1部材と前記第3部材との間に架け渡されていることを特徴する接合部の制振構造。 - 請求項3に記載の接合部の制振構造であって、
前記第1接合部の前記ボルトは、パイプ材に挿通されて設けられ、
前記振動により前記第2部材と前記第3部材とが相対移動する力は、前記パイプ材を介して前記第2接合部に伝達されることを特徴する接合部の制振構造。 - 請求項5に記載の接合部の制振構造であって、
前記第1部材は、前記第1接合部にて前記パイプ材が貫通される第1貫通孔を有し、
前記第3部材は、前記第1貫通孔より前記相対移動方向の幅が広い第2貫通孔を有し、
前記振動により前記第1接合部にて前記パイプ材が前記第1貫通孔と係合することにより、前記第2部材と前記第3部材とが相対移動する力が前記第2部材に伝達されることを特徴とする接合部の制振構造。 - 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
前記第1部材と前記第2部材とのうちの一方、及び、前記第2部材と前記第3部材とのうちの一方に設けられた滑り板と、
前記第1部材と前記第2部材とのうちの他方、及び、前記第2部材と前記第3部材とのうちの他方に設けられ、前記第1部材と前記第2部材、及び、前記第2部材と前記第3部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
を有していることを特徴する接合部の制振構造。 - 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
前記第1圧接力付勢部材及び前記第2圧接力付勢部材は皿ばねであり、
前記第1接合部にて付勢する前記圧接力、及び、前記第2接合部にて付勢する前記圧接力は、前記皿ばねにより調整されることを特徴とする接合部の制振構造。 - 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
前記第2部材は、前記第1部材及び前記第3部材を挟んで両側に設けられていることを特徴とする接合部の制振構造。
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