JP4019511B2 - 建物の制振構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物における高力ボルト接合部を摩擦ダンパとして機能させて制振する建物の制振構造に関し、特に高力ボルトで接合する部分にあって、構造体の変形や摩擦部分に摩耗が生じても略一定した摩擦減衰力を長期にわたって発生させることができるようにした建物の制振構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、中,高層建築物では、地震や風等の水平力に対する抵抗要素として、例えば特公平4−12790号公報(Int.Cl.E04H 9/02)に開示されるブレース構造を用いた建物架構が広く用いられている。ブレースは山形鋼等の型鋼材を用い、ボルト接合によりこれを柱梁架構に取り付けた構造とし、地震や風などにより発生するせん断荷重の多くの部分を上記ブレースにて負担するようになっている。
【0003】
ブレースの耐力は、引張り力に対してはボルトの耐力やボルト孔欠損を有するブレースの耐力、およびブレースを取付ける接合板の耐力などの最小値とし、圧縮力に対しては、座屈耐力で算定するようになっている。
【0004】
ところで、一般的な従来(現行の耐震設計法以前)の建物架構では、地震等の振動入力に対してブレースの引張りおよび圧縮に対する耐力のみで設計しており、その変形性能は考慮されていないし、ブレースの接合部は母材の耐力を完全には伝達できる構成とはなっていない。このため、ブレースの引張り力に対して母材が全強度に達するまでに接合部が破断するので、耐力が低く、かつ変形能が全くないという非常に耐震性能に劣る構造となっている。
【0005】
これ故、このような既存建築物の耐震補強をするには変形性能を高めるために全ての接合部を切断して改修する必要があり、これは現実的には困難である。また、仮に接合部が改修されたとしても、ボルトの滑りや繰り返し荷重に対する強度低下や圧縮座屈などによる劣化が起こってしまう。従って、一般には耐震補強の方法としては、建物の強度を高める方法に依っているため、大規模な耐震改修工事となる等、建物使用の上から実施困難な場合が多い。
【0006】
そこで、最近の耐震設計法による地震時の扱いは、ブレースの水平力分担化や細長比に応じ、その変形性能を考慮して建物の必要耐力を定めている。また、ブレースの接合部は母材の耐力が伝達できるだけの強度を確保するようにしている。
【0007】
しかしながら、最近の耐震設計法によるものであっても、ブレース構造は強度抵抗型の考え方で設計されており、経済的に建物の耐震性を高めようとすると、架構の変形性能を高める必要があり、また、この変形性能を高めようとすると、ブレースの細長比を小さくする必要がある。しかし、そのためにはブレース断面を大きくする必要があり、剛性調整の問題やコストアップが来される。この場合でも、建物の変形性能は柱梁ラーメン架構に比べると劣るので、建物の必要耐力を高める必要がある。
【0008】
即ち、ブレース母材が全強度に達するまでに接合部が滑るので、繰り返し荷重に対して図14に示すスリップ型の復元力特性となり、地震エネルギーの吸収性能の面で望ましいとはいえない。
【0009】
また、建物架構に入力された振動の減衰効果を更に向上させるために、特開平5−10050号公報(Int.Cl.E04H 9/02)に開示されるように、制振用のダンパを組み込むようにしたものがある。しかし、この場合は鋼材ダンパが用いられ、ある程度以上の変形が生じて鋼材が降伏するまではダンパとしての機能が得られないという欠点がある。また、力の繰り返しによる疲労によって性能が劣化するという問題がある。
【0010】
ところで、建物の揺動を抑制するためには建物架構に入力された振動エネルギーを吸収すれば良い。このため、上記ブレースの接合部に限らず、建物架構の剛節部分をボルト,ナットで結合し、この結合部分に摩擦ダンパを構成することにより、簡単な構造の制振装置を得ることができる。
【0011】
即ち、この摩擦ダンパ1は、図29に示すように互いに結合される一方の部材に滑り板2を設けるとともに、他方の部材に摩擦板3を設け、そして、これら滑り板2と摩擦板3とを、一方に形成したルーズホール4を介してボルト5,ナット6で結合して圧着固定したものである。つまり、この摩擦ダンパ1によれば、建物に地震や強風を起因とする過大な水平力が入力された場合に、ボルト5,ナット6の締め付けによる軸力で設定される摩擦力に抗して滑り板2と摩擦板3とが相対摺動し、この際の摩擦によって振動エネルギーが効果的に吸収されて建物振動が減衰されるようになっており、より広い範囲の振動領域で減衰効果を得ることができる。
【0012】
しかし、上記摩擦ダンパ1では、建物架構が地震や風、あるいは荷重や温度伸縮等の外部要因によって変形したり、滑り板2と摩擦板3との相対摺動によりそれらに摩耗が生じて板厚が変化したりすると、軸力が急激に低下して所望の摩擦力が得られなくなる。
【0013】
そこで、上記外部要因や摩耗による軸力の急激な低下を防止し得る摩擦ダンパとして、ボルトによる締め付け部分にばねを介在させ、滑り板に摩擦板をばねの付勢力で押し付けるようにしたものがある。つまり、当該ばねを組み込んだ摩擦ダンパでは、その摩擦力Fは滑り板に摩擦板を圧接させる圧接力Pと、これら両者間の摩擦係数μとの積(F=μ×P)によって与えられ、このときの圧接力Pはばね定数とばね変形量との積として得られる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記ばねを組み込んだ摩擦ダンパであっても、摩耗が進行すればばねの変形量が予め設定した値から変化し、延いては、ばねの弾発力が変動してしまう。このため、摩擦係数が一定であっても摩擦ダンパの摩擦力に変動が生じてしまい、摩擦減衰力を長期にわたって一定に維持することが難しい。そして、このように摩擦減衰力を一定に維持することができないと、摩擦ダンパを設計値通りに作動させることができず、該摩擦ダンパを設けた耐振壁やブレースの機能が低下して建物架構に不慮の損害を生じさせる虞がある。
【0015】
ここで、これを解決するには、ばねに皿ばねを用い、この皿ばねをその変形量に対して発生弾発力の変動がきわめて小さな非線形領域で使用することが考えられるが、皿ばねを非線形領域で使用するようにすると、摩擦力を皿ばねの弾発力で調節するのが困難になり、当該摩擦力を適正値に設定するためには、摩擦係数μを適宜に容易に設定できるようにすることが不可欠となる。
【0016】
しかしながら、従来の摩擦ダンパにあっては、摩擦板と滑り板とは構造部材の一部をなしていて、その材質は限定されて制約を受けるため、摩擦係数を任意の値に設定することができず、必要に応じた摩擦係数を得ることが極めて困難であるいう課題があった。
【0017】
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、簡単な構造をもって所望の振動減衰力を長期にわたって安定して得ることができる高力ボルト接合部に摩擦ダンパを組み込んだ建物の制振構造を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の請求項1に示す建物の制振構造にあっては、
摩擦ダンパを備えた建物の制振構造であって、
前記摩擦ダンパは、
(a)滑り板、及び、該滑り板に摺動自在に摩擦材を介して重ね合わされる摩擦板を貫通するボルトと、
(b)前記ボルトの頭部と前記摩擦板との間に配置されたワッシャと、
(c)前記ワッシャと前記摩擦板との間に配置され、内径が前記ワッシャの外径よりも小さい皿ばねであって、前記滑り板と前記摩擦板とを前記摩擦材を介して互いに圧接する方向に押圧する皿ばねと、
(d)前記ボルトの軸方向において、前記ワッシャと前記摩擦板との間に配置され、前記ボルトの径方向において、前記ボルトの外側、且つ前記皿ばねの内側に配置されたガイド環と、
(e)前記ボルトの前記頭部とは反対側にて、該ボルトと螺合するナットと、
を備え、
(f)前記皿ばねが、弾発力の小さい非線形ばね領域内でたわみ変形されていることを特徴とする。
【0019】
請求項2に示す建物の制振構造にあっては、前記請求項1のものにおいて、前記摩擦ダンパは、建物架構と該建物架構に取り付けられるブレースとの間、または該ブレース自体の荷重作用経路の途中を分断したブレース間に設けられることを特徴とする。
【0020】
請求項3に示す建物の制振構造にあっては、前記請求項2のものにおいて、前記摩擦ダンパの滑り耐力強度を、前記ブレースの降伏耐力や座屈耐力より低くしたことを特徴とする。
【0021】
請求項4に示す建物の制振構造にあっては、前記請求項1のものにおいて、前記摩擦ダンパは、建物架構の柱部材と梁部材とで区画される空間内の柱梁仕口部近傍の柱部材および梁部材から、これら柱梁を各一辺とする三角形の仮想対辺に沿って突設された柱側ブラケットと梁側ブラケットとの接合部に設けられることを特徴とする。
【0022】
請求項5に示す建物の制振構造にあっては、前記請求項4のものにおいて、前記柱側ブラケットおよび前記梁側ブラケットを、前記柱部材および前記梁部材で画成される空間の下層部分に形成される腰壁、または該空間の上層部分に形成される垂れ壁の形成スペース内に収納したことを特徴とする。
【0023】
請求項6に示す建物の制振構造にあっては、前記請求項1のものにおいて、前記摩擦ダンパは、建物架構の柱部材と梁部材との接合部に設けられることを特徴とする。
【0024】
請求項7に示す建物の制振構造にあっては、前記請求項1のものにおいて、前記摩擦ダンパは、建物架構の梁部材と壁との接合部に設けられることを特徴とする。
【0025】
請求項8に示す建物の制振構造にあっては、前記摩擦ダンパは、建物と該建物に隣接されて独立して設けられる構造物とを繋ぐ接合部に設けられることを特徴とする。ここで、上記構造物は建物、あるいは外階段とすることができる。
【0026】
請求項9に示す建物の制振構造にあっては、前記摩擦ダンパは、建物架構の上下の梁にそれぞれ分断されて取り付けられる上部間柱と下部間柱とを繋ぐ接合部、あるいは上記上下の梁にそれぞれ分断されて取り付けられる垂れ壁と腰壁とを繋ぐ接合部に設けられることを特徴とする。
【0027】
請求項10に示す建物の制振構造にあっては、前記請求項1〜9のものにおいて、前記摩擦材を前記摩擦板と前記滑り板とが対向する各々の面に一体的に設けて摩擦ダンパを構成したことを特徴とする。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
【0049】
図1から図7は建物の高力ボルトによる接合部に摩擦ダンパを組み込む本発明の建物の制振構造の第1実施形態を示す。ここで、当該第1実施形態にあっては、上記接合部を建物架構とこれに取り付けるブレースとの接合部としている。なお、図1は摩擦ダンパを取り付けたブレース取付け部の正面図、図2は同側面図、図3はブレースの概略図、図4はブレース取付け部を示すもので(a)は上端部の正面図、(b)はその側面図、(c)は下端部の正面図、図5は摩擦ダンパの荷重変形性状の履歴特性図、図6(a)は付勢手段の構造を示す側断面図、(b)はその変形例の構造を示す側断面図、図7は皿ばねのばね特性の一実測例を示すグラフである。
【0050】
即ち、この第1実施形態の建物の制振構造は、図3に示すように一般的に用いられるV形ブレース10に適用した例をとって説明するが、ブレース形態としてはこのV形に限られることはない。本発明の第1実施形態である上記V形ブレース10は、左右鉄骨柱12と上下鉄骨梁14とによって構成された建物架構16に取り付けられ、該V形ブレース10の中央部の取付け部10aが上方鉄骨梁14の中央部に結合されるとともに、二股状端部の取付け部10bは下方鉄骨梁14と左右柱12とのコーナ部に結合される。
【0051】
上記ブレース10は山形鋼を用いて構成され、図4(a),(b)に示すように上端部側の取付け部10aは、通常は鉄骨梁14に溶接された台形状のブラケット18の両側を挟むようにして配置され、これらを貫通するボルト,ナットを介して結合される。また、図4(c)に示すように下端部の取付部10bは鉄骨梁14と柱12とのコーナー部に溶接されたブラケット18に、後述する摩擦ダンパ20を介して接続される。尚、上記ブレース10の構成材料は山形鋼に限ることなく、他の形鋼若しくは所定の剛性を有する棒状部材で形成してもよいことはいうまでもない。
【0052】
ここで、本第1実施形態における基本構成は、ブレース10の取付部10aまたは10bと建物架構16との間に摩擦ダンパ20を介装するというものであるが、図1、図2及び図4に示すように具体的な実施例としてはブレース10の下端部側の取付け部10bと建物架構16との間に摩擦ダンパ20を介装するようにしている。
【0053】
すなわち、この摩擦ダンパ20は、上記介装部分の一方であるブラケット18に所定間隔をもって平行配置される一対の摩擦板22,22を取付けるとともに、上記介装部分の他方であるブレース10下端部の取付部10bに、上記一対の摩擦板22,22間に滑動自在に挿入されて重ね合わせられる滑り板24を取付け、かつ、一対の摩擦板22,22間に摩擦材37、37を介して滑り板24を挟圧して圧接する方向に押圧する付勢手段26を設けて構成してある。そして、特に該付勢手段26を、設定圧接力が加えられて弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内でたわみ変形される皿ばね28で構成してある。このとき、上記摩擦板22,22と上記滑り板24とは、上下関係を逆にして一対の摩擦板22,22をブレース10下端部の取付部10bに、また滑り板24をブラケット18に取り付けてもよい。
【0054】
即ち、上記摩擦ダンパ20は、ブレース10の取付け部10bとブラケット18との間に介装される。上記摩擦板22,22と滑り板24及び摩擦材37、37とはほぼ等しい幅に形成され、これら摩擦板22,22と滑り板24と摩擦材37、37とが重なった部分に上記付勢手段26が設けられる。上記摩擦板22,22は下端部が、上記ブラケット18の両側を挟むようにしてボルト,ナット(溶接でもよい)結合され、上端部がブラケット18より上方に突出される。
【0055】
上記滑り板24は上端部が上記ブレース10の取付け部10bに挟まれるようにしてボルト,ナット(溶接でもよい)結合され、下端部が該取付け部10aより下方に突出される。そして、滑り板24の下端部が上記一対の摩擦板22,22間に摩擦材37、37を介して相対摺動可能に挿入される。このとき、滑り板24と摩擦材37,37を重ねあわせた厚さは上記ブラケット18より僅かに厚く形成され、滑り板24の両面が摩擦材37、37を介して摩擦板22,22の対向面に接触される。
【0056】
摩擦材37には摩擦係数μが一定の部材、例えばμが小さい(0.2程度)ものとしては四フッ化エチレンや超高分子量ポリエチレン(例えば、ソマライト(商品名))等の摩擦材、μが中くらい(0.5程度)のものとしては表面を平滑にしたステンレス板等、さらにμが大きい(1.0程度)ものとしては表面を平坦にした鋼板等が適し、さらには自動車用ブレーキパッドとして用いられる軟質ウーブン、ゴムモールド、レジンモールド等を用いることもでき、これらから必要に応じた摩擦係数μを有する材料を選択して形成される。
【0057】
あるいは、上記摩擦材37には、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料を用いても良い。
【0058】
滑り板24としては、通常、両面を適切に磨き仕上げ円滑面としたもの、あるいは表面が滑らかなステンレス板などを用いる。上記滑り板24には摩擦板22,22間に挿入された部分にブレース10の軸方向に沿って延びる2条のガイド孔24aが平行に形成されるとともに、上記摩擦板22,22及び摩擦材37、37にはこれらを貫通して上記ガイド孔24a(ルーズホールでも可)に挿通される締付け用の高力ボルト32が設けられる。ここで、高力ボルト32は高張力鋼で形成されている。
【0059】
従って、上記摩擦板22,22と上記滑り板24とは摩擦材37、37を介してブレース10の長手方向に相対摺動可能に連結される。また、上記摩擦板22,22と上記取付け部10b先端との間および上記滑り板24と上記ブラケット18先端との間に、これら摩擦板22,22と滑り板24との相対移動を許容する隙間δが設けられる。
【0060】
上記付勢手段26は、一対の摩擦板22,22を貫通する上記高力ボルト32と、この高力ボルト32が摩擦板22,22を貫通して突出した先端部に嵌合される皿ばね28と、この皿ばね28をワッシャ34を介して押圧するナット36とによって構成される。上記付勢手段26ではナット36を締め付けることにより皿ばね28を圧縮し、一対の摩擦板22,22と摩擦材37,37を互いに近接する方向に付勢して上記滑り板24を両側から挟圧する。
【0061】
さらに詳述すれば、図6(a)に示すように、皿ばね28は複数個が笠状に積層されて皿ばね組28aとされており、拡径する下側が摩擦板22側に向けられ、頂部側が高力ボルト32の頭部32a側に向けられて配置される。そして、皿ばね組28aはボルト頭部32a側に配置されたワッシャ34及びカラー35aと、摩擦板22側に配置されたカラー35bとの間に挟まれるようにして、高力ボルト32が挿通され、かつ、皿ばね組28aの内周には高力ボルト32との同心性を保つためにガイド環38が嵌挿される。また、ナット36側にもワッシャ34が配置され、この状態で高力ボルト32、ナット36を締め付けることにより、この締め付け力によって皿ばね組28aに最適な予圧力(設定圧接力)を付加できるようになっている。そして、この締め付けにより発生する皿ばね組28aの弾発力が、高力ボルト32の軸力として摩擦板22と滑り板24との間に作用して、これら両者間に介在される摩擦材37を挟圧しつつ所定の摩擦力を発生させるようになっている。なお、図6(b)に示すように、ガイド環38はワッシャ34と一体形成するようにしても良い。
【0062】
従って、ナット36の締め付け度合いによって、上記皿ばね組28aに最適な予圧力(設定圧接力)を付加できるようになっている。このように取り付け状態で個々の皿ばね28に予圧力が付加されることにより、それぞれの皿ばね組28aは、ばねが変形してもその弾発力の変動がきわめて小さいばね領域Rに達するようになっている。
【0063】
ここで、上記ばね領域Rとは、図7の皿ばねのばね特性グラフに示すような設定圧接力(予圧力)が加えられて弾発力の変動が小さい非線形領域をいい、そしてこの皿ばね組28aはこのばね領域R内で使用されることになる。すなわち、皿ばね組28aのたわみ量σが変化してもその発生弾発力の変動がきわめて小さな非線形領域R内を当該皿ばね組28aの使用領域として設定するようになっている。
【0064】
ところで、このようにした皿ばね組28aを用いて構成された摩擦ダンパ20の滑り耐力は、これが取り付けられる上記ブレース10が備えた降伏耐力や座屈耐力より若干低くしておく構造とする。
【0065】
以上の構成により本実施形態の高力ボルト接合部における摩擦ダンパにあっては、建物架構16に地震等によって水平方向のせん断荷重が入力されると、鉄骨柱12および鉄骨梁14のたわみ変形に伴って、建物架構16とブレース10の取付け部10a及び10bとの間に力が入力され、これが摩擦ダンパ20に入力される。すると、滑り板24と摩擦板22,22とが、これらの間に摩擦材37、37を介して圧接された状態で相対的に滑動して相互に摩擦抵抗力を発生し、この摩擦抵抗力をもって振動が効果的に減衰されることになる。なお、通常は摩擦材37を摩擦板22に固定し、滑り板24と摩擦材37との間に滑りを生じさせる。
【0066】
このように本実施形態では、建物架構16のブレース10に上記摩擦ダンパ20を組み込んで設けることにより制振効果を向上できるのであるが、摩擦ダンパ20を、摩擦板22とこれに重なる滑り板24と、これら摩擦板22と滑り板24とを圧接させる付勢手段26、並びに摩擦板22と滑り板24との間に介在させる摩擦材37とで構成したので、該摩擦ダンパ20を簡単な構造にすることができる。そして、このような摩擦ダンパ20は、ブレース10の取付け部10bと建物架構16との間に介装できるので、既存の建物架構16にあっても、ブレース10の取付け部10bを取り外すことにより、この取り外し部分に上記摩擦ダンパ20を簡単に取付けることができる。このため、既存のブレース付き建物架構16に大改修を加えることなく簡単に制振構造に改修できる。勿論、本発明の高力ボルト接合部における摩擦ダンパは、新たに構築される建物架構16にあっても適用できる。尚、上記一対の摩擦板22,22と摩擦材37,37は片側のみの1枚構成としても良いことは云うまでもない。
【0067】
ところで、上記付勢手段26の個々の皿ばね28は、設定圧接力が加えられてたわみ変形に対して弾発力の変動が小さい非線形ばね領域R内でたわみ変形されるように設定されているため、種々の原因によって皿ばね組28aの変形量が非線形ばね領域R内で変化した場合にあっても、皿ばね28の弾発力の変動はきわめて小さくなる。さらに、上記摩擦ダンパ20の該摩擦板22と該滑り板24との接触面に摩擦材37を介在させる構成としたので、摩擦材37には摩擦板22や滑り板24のような構造部材用材料を使用しなければならないと言う制約がなくなり、必要とされる摩擦力に応じて摩擦材37の材質を任意に選定することが可能になる。従って、摩擦板22,22と滑り板24との間に発生される摩擦抵抗力を、建物の立地条件や使用条件、ブレースの設置個所等の諸条件に合わせて略一定に維持することが容易になる。即ち、摩擦抵抗力Fが依存する圧接力となる皿ばねの弾発力Pを安定させ、摩擦係数μを任意に設定することができるため、建物架構16に入力される振動に対する減衰性能が変動することを防止し、建物の耐震性能を大幅に向上することができる。
【0068】
ここで、上記摩擦材37に、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料を使用した場合には、摩擦材37が一定の摩擦係数を有する摩耗の著しく少ない部材として形成される。従って、摩擦板22と滑り板24とが相対変位する際に、これら摩擦板22と滑り板24との間の摩擦係数はほぼ常時一定に維持され、かつ、滑動部分の摩耗がほとんどないためクリアランス変化が生じず、この点でも皿ばね28による圧接力がほぼ一定に維持されるようになる。
【0069】
このため、上記摩擦板22と滑り板24間の相対移動部分に発生する、摩擦係数と付勢手段の圧接力との積として得られる摩擦抵抗力を可及的にほぼ一定に維持することができる。従って、2つの部材22,24間の減衰力特性がより一層安定化され、当初設定した制振機能を長期に亘って維持することができるようになる。
【0070】
また、本第1実施形態のブレース10を用いた建物架構16の荷重変形性状は図5に示すようになり、減衰を大きくし、また変形性能が大となる関係上、耐震性に著しく優れた結果を出すことができる。
【0071】
そして、種々の原因により非線形ばね領域R内で皿ばね28の変形量が変化しても、一定した摩擦減衰力を発生させることができるので、摩擦ダンパ20による制振機能を設計値通りに発揮させることができる。従って、これによりブレース10の信頼性を向上することができ、延いては建物架構16を効果的に制振することができる。また、皿ばね28にたわみ変形が生じても滑り板24や摩擦材37,37に加わる弾発力がほぼ一定で変動がないので、摩擦ダンパ20の機能維持のための複雑なメンテナンスを軽減することができる。
【0072】
また、上記摩擦ダンパ20の滑り耐力を、上記ブレース10の降伏耐力や座屈耐力より低くしたので、ブレース10や当該ブレースの接合部が不安定現象を起こすブレースの座屈発生よりも先行して、上記摩擦ダンパ20の摩擦板22,22と滑り板24との間に滑りを生じさせることができる。このため、大地震時にもブレース10が降伏したり座屈したりすることがないので、建物の被害が防止でき、再使用が可能になる。
【0073】
なお、摩擦ダンパ20の付勢手段は図8(a),(b)のように構成しても良い。即ち、図8(a)のものでは、1組となった皿ばね組28aを抱き合わせ状態で一対設けることにより、それぞれの皿ばね組28aを合わせた全体の許容たわみ量を大きく変化させることができる。このため、1組の皿ばね組28aだけではチューニングができなかった弾発力を、摩擦ダンパによって目的の摩擦力を得るように緻密に調整することができる。
【0074】
さらに、このように一対の皿ばね組28a,28aを設けた場合に、図8(b)に示すようにボルト頭部32a側とナット36側とに分離して配置することもできる。さらに、上記皿ばね組28aの組合せ配置構成は、上記図示した態様に限ることなく、本発明の皿ばねに求められる設定が可能である限り、種々に変更して組み合わせ構成でき、例えば、複数枚を直列にまたは並列に積層したり、その積層方向を正・逆に向けたりすることができる。
【0075】
図9,図10は本発明の第2実施形態を示し、上記第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。尚、図9は摩擦ダンパを取り付けたブレース取付け部の正面図、図10は同側面図である。
【0076】
即ち、この第2実施形態では図9,図10に示すように摩擦ダンパ20を、ブレース10自体の荷重作用経路の途中を分断した間に介装するようにしたものである。このブレース10の荷重作用経路とは、建物架構16の歪みにより発生した荷重が作用する経路で、本実施形態ではV字状のブレース10の取付け部10aから二股状の一般部分に至る全体となる。また、この実施形態にあっても上記摩擦ダンパ20は、一対の摩擦板22,22と摩擦材37,37と滑り板24、および付勢手段26とによって構成される。
【0077】
そして、上記摩擦板22,22は上記ブレース10を切断した一方の端部10cに取り付けられるとともに、上記滑り板24はブレース10を切断した他方の端部10dに取り付けられ、一対の摩擦板22,22間に摩擦材37,37を介して滑り板24が挟み込まれる。このとき、この第2実施形態では摩擦板22,22および滑り板24はブレース10より若干幅広に形成されてブレース端部の3辺に沿って溶接により上記端部10c,10dに結合されるが、上記第1実施形態と同様にボルト,ナット結合してもよい。
【0078】
また、滑り板24のガイド孔24aを通って摩擦板22,22を貫通する締付けボルト32に皿ばね28を介装してなる付勢手段26が設けられる。また、この実施形態にあっても摩擦板22,22と滑り板24とを逆にして、滑り板24を切断した上記一方の端部10cに取付け、摩擦板22,22を切断した上記他方の端部10dに取り付けることもできる。
【0079】
従って、この第2実施形態にあってもブレース10を切断するのみで、その切断箇所に摩擦ダンパ20を介装できるので、既存の建物架構16の制振構造への改修を簡単に行うことができる。勿論、上記付勢手段26の皿ばね28は、予圧力をもってばね特性の荷重−変位関係が非線形となる領域Rに設定され、建物架構16を振動減衰するようになっている。すなわち、減衰能力が変動することを防止した上記構成の摩擦ダンパ20により、設定にしたがった確実な振動減衰作用を確保しつつ、ブレース10が本来有する耐振機能を有効に発揮させて、建物架構16をより効果的に制振することができる。また、この実施形態にあっても上記摩擦ダンパ20の破壊強度をブレース10の座屈耐力より低くして、大荷重の入力時にブレース10の損傷を防止して建物架構16に大被害が被るのを防止できるようになっている。
【0080】
ところで、上記第1,第2実施形態ではV形ブレース10における高力ボルト接合部に本発明を適用した場合を開示したが、これに限ることなく、図11(a)〜(f)にそれぞれ示す様な各種形態のブレースを備えた建物架構16にも摩擦ダンパ20を組み込んで本発明を適用できることは勿論である。なお、図11(a)は建物架構16に対角状に配置されるブレース10の中間部に摩擦ダンパ20を介装する例であり、同図(b)は逆V字型をなす2本のブレース10,10のそれぞれに摩擦ダンパ20,20を介装する例、同図(c)は対角状にX字型に交差する2本のブレース10,10にそれぞれ摩擦ダンパ20,20を介装する例である。また、同図(d)〜(f)は水平方向に摩擦ダンパ20を配設する例であり、(d)は一方の鉄骨梁14から他方の梁側に延びて三角形状に接合される2本のブレース材101,101の接合部(三角形の頂点)と他方の鉄骨梁14とをL字型のブレース材102で結合し、このL 字型ブレース材102に摩擦ダンパ20を介装する例、(e)は上下の鉄骨梁14,14のそれぞれに三角形状を形成するように2本のブレース材103,104を設けて、各々の接合点の頂点同士を水平にブレース材105で結合し、この水平配置するブレース材105に摩擦ダンパ20を介装する例、(f)は(d)のものを2組並設する例をそれぞれ示すものである。
【0081】
図12と図13は、本発明の第3実施形態を示す。この第3実施形態は建物架構16の柱部材(鉄骨柱)12と梁部材(鉄骨梁)14とで区画される空間S内の柱梁仕口部45近傍の柱部材12および梁部材14から、これら柱梁を各一辺とする三角形の仮想対辺に沿って摩擦ダンパ20を介装する構成としたものであり、このようにしても同様の効果が得られる。
【0082】
即ち、この第3実施形態では制振構造が適用される建物架構16は、柱部材としての鉄骨柱12と、梁部材としての鉄骨梁14とによって矩形状の空間部Sを画成する、いわゆる門形架構として構成されている。そして、上記建物架構16の外周部に設けられる上記空間部Sは窓開口部となり、この窓となる空間部Sの下層部分には腰壁43が形成されるとともに、上層部分には垂れ壁44が形成される。
【0083】
ここで、上記建物架構16の制振構造は、図12,図13に示すように上記空間S内の柱梁仕口部45近傍の鉄骨柱12および鉄骨梁14から、これら柱12,梁14を各一辺とする三角形の仮想対辺Lに沿って柱側ブラケット46および梁側ブラケット48を対向させて突設する。このとき、上記柱側ブラケット46および上記梁側ブラケット48は、上記腰壁43および上記垂れ壁44の形成領域内に納められる。そして、梁側ブラケット48の先端部に、所定間隔をもって平行配置される一対の滑り板24,24をボルト,ナットを介して取付ける(溶接でもよい)とともに、柱側ブラケット46の先端部を、上記一対の滑り板24,24間に滑動自在に挿入されて重ね合わされる摩擦板22としてある。また、上記一対の滑り板24,24と摩擦板22との間には摩擦材(図示せず)が介在され、これら滑り板24,24と摩擦板22と摩擦材とには、これらを挟圧して圧接する方向に押圧する付勢手段26を設けて摩擦ダンパ20を構成する。なお、この摩擦ダンパ20の構成は前述した第1実施形態並びに第2実施形態のものと共通し、基本的に全く同様のものであるので、同一部材には同一の符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0084】
即ち、上記柱側ブラケット46は、板状の本体部分46aの基端部に必要に応じて上下フランジ46b,46cを形成することにより構成され、この基端が上記鉄骨柱12に溶接されて一体に突設される。そして、上記本体部分46aの先端部を所定幅をもって突出させることにより上記摩擦板22が一体に形成される。
【0085】
一方、上記梁側ブラケット48は略三角形状の鋼板で形成され、その一辺が鉄骨梁14に溶接されて一体に突設される。そして、該梁側ブラケット48の突出側先端部の表裏に上記滑り板24,24を当接して、これら両者をボルト,ナット固定し、この梁側ブラケット48の厚さをもって滑り板24,24が離隔される。また、上記滑り板24,24と上記摩擦板22とを入れ替えて、滑り板24,24を上記柱側ブラケット46に取付け、摩擦板22を梁側ブラケット48に取り付けることもできる。
【0086】
以上の構成により、この第3実施形態の建物の制振構造にあっては、建物架構16の柱梁仕口部45近傍に、柱12,梁14を各一辺とする三角形の仮想対辺Lに沿って、これら鉄骨柱12および鉄骨梁14からそれぞれ突設した柱側ブラケット46および梁側ブラケット48間に、一対の滑り板24,24,摩擦板22および摩擦材と、これらを挟圧付勢する付勢手段26とからなる摩擦ダンパ20が設けられる。従って、地震や風等によって建物架構16に水平荷重が入力され、これによって発生する鉄骨柱12および鉄骨梁14のたわみ変形を伴って上記柱側ブラケット46および上記梁側ブラケット48に上記水平荷重が伝わると、上記摩擦ダンパ20が作動して滑り板24,24と摩擦板22とが相対移動してそれらの間に介在させた摩擦材と摺動し、これにより摩擦抵抗力が発生してこれが減衰力となって建物架構16を効果的に制振する。
【0087】
このように上記柱側ブラケット46および梁側ブラケット48を設けて、これら両者間に摩擦ダンパ20を設けるという簡単な構成により建物架構16の制振を行うことができるが、これら柱側ブラケット46および梁側ブラケット48は、上述したように柱梁仕口部45近傍で柱12,梁14を各一辺とする三角形の仮想対辺Lに沿って配置して、鉄骨柱12および鉄骨梁14で画成される空間Sの隅部に位置させることにより、この空間Sの中央部には大きな開口部を設けることができる。従って、上記柱側ブラケット46および梁側ブラケット48を設けた場合にも、これらが建物架構16の内部に設けられるオフィス空間や店舗空間等のレイアウトに影響を与えることが無くなる。このため、上記柱側ブラケット46および梁側ブラケット48を各階においてバランス良く配置できるようになり、延いてはバランスのとれたダンパの配置が可能となり、建物架構16の制振効果を著しく向上することができる。
【0088】
特に、本第3実施形態では上記柱側ブラケット46および上記梁側ブラケット48を、上記腰壁43および上記垂れ壁44の形成スペース内に収納してある。従って、上記柱側ブラケット46および上記梁側ブラケット48を、腰壁43または垂れ壁44を利用して隠すことができる。このため、柱側ブラケット46および梁側ブラケット48および摩擦ダンパ20からなる制振機構部分を、上記腰壁43および上記垂れ壁44が設けられる建物架構16の外壁周りに均等に配置でき、バランスの良いダンパ配置により構造上優れたものになることは勿論のこと、上記腰壁43,垂れ壁44内に隠れることにより外観上においても優れたものとなる。
【0089】
図15,図16は本発明の第4実施形態を示し、図15は本発明の制振構造を構成する建物架構の要部を示す正面図、図16は図15に示す制振構造の要部拡大正面図である。
【0090】
即ち、本第4実施形態の高力ボルト接合部を摩擦ダンパとする建物の制振構造は、図15に示すように柱部材としての鉄骨柱12と梁部材としての鉄骨梁14との接続部分に適用され、これら鉄骨柱12および鉄骨梁14はH型鋼によって形成されてラーメン架構を構成する。鉄骨柱12の梁接続部分には、鉄骨梁14と同じH型鋼を短尺に切断した梁接続部15を溶接して一体化し、この梁接続部15に上記鉄骨梁14の接続端部が結合される。本実施形態では上記梁接続部15は鉄骨柱12のフランジ12a面に溶接されるとともに、該梁接続部15の上下フランジ15a,15b位置に対応して、鉄骨柱12の両側フランジ12a,12b間に跨って補強ブラケット17が溶接されている。
【0091】
上記鉄骨梁14の接続端は上記梁接続部14の先端に突き合わされ、これら鉄骨梁14と梁接続部15の互いに対応される上方フランジ14aと15aおよび下方フランジ14bと15b、そして、ウェブ14cと15cの両側面間に跨って摩擦板22を配置する。そして、両側面に配置した摩擦板22と滑り板となす上記鉄骨梁14の上下フランジ14a,14bおよびウェブ14cとの間には摩擦材37を介在し、摩擦板22間を貫通して複数のボルト32で取り付け、摩擦板22間には、上記梁接続部15の上下フランジ15a,15bとウェブ15cを介して複数の高力ボルト32が貫通して取り付けられている。それぞれの高力ボルト32には図6に示すようにナット36を螺合して締め付けることにより、上記鉄骨梁14と上記梁接続部15つまり鉄骨柱12とが結合される。
【0092】
ここで、上記摩擦板22を介して鉄骨梁14と梁接続部15とが接続される部分を摩擦ダンパ20として構成し、この摩擦ダンパ20によって建物架構に入力される水平方向の振動を減衰する機能が付加される。上記摩擦板22は図16に示すように、梁接続部15側に高力ボルト32,ナット36を介して確実に締め付け固定(この部分は溶接でも良い)された上で、該摩擦板22と鉄骨梁14との間に摩擦材37,37を介在させて摺動自在とし、これら三者間に高力ボルト32の軸力をもって摩擦力を発生させるようになっている。
【0093】
即ち、上記摩擦ダンパ20は、鉄骨梁14の上下フランジ14a,14b端部およびウェブ14c端部を滑り板とし、この滑り板となった上下フランジ14a,14bおよびウェブ14cには、高力ボルト32の貫通部分に水平方向に長孔となるルーズホール24bが形成され、これによって鉄骨梁14と梁接続部15との水平方向の相対移動が許容される。また、上記高力ボルト32には摩擦板22と摩擦材37,37と上下フランジ14a,14bおよびウェブ14cとの間に圧接力を付加するための付勢手段としての皿ばね組28aが設けられる。尚、この皿ばね組28aとは、複数枚の皿ばね単体28を同一方向に積層して構成したもので、ここでは該皿ばね組28aを単なる皿ばね28と同意として用いるものとする。
【0094】
上記高力ボルト32の取付け部分を拡大して図6(a)に示すが、同図に示すように上記皿ばね組28aはボルト頭部32a側に設けられ、笠状に形成された該皿ばね組28aの下側が摩擦板22側に向けられ、頂部側が高力ボルト32の頭部32a側に向けられて配置される。そして、該皿ばね組28aはボルト頭部32a側に配置されたワッシャ34及びカラー35aと、摩擦板22側に配置されたカラー39との間に挟まれるようにして高力ボルト32が挿通され、かつ、該皿ばね組28aの内周にはボルトえ32との同心性を保つためにガイド環38が嵌挿される。また、ナット36側にもワッシャ34が配置され、この状態で高力ボルト32,ナット36を締め付けることにより、この締め付け力によって皿ばね組28aに最適な予圧力(設定圧接力)を付加できるようになっている。そして、この締め付けにより発生する皿ばね組28aの弾発力が、高力ボルト32の軸力として摩擦板22とウェブ14cとの間に作用して、これら両者間に介在される摩擦材37を挟圧しつつ所定の摩擦力を発生させるようになっている。なお、図6(b)に示すように、ガイド環38はワッシャ34と一体形成するようにしても良い。
【0095】
ここで、上記皿ばね組28aに付加される設定圧接力は、該皿ばね組28aのたわみ変形に対して弾発力の変動が小さくなる非線形ばね領域内で作動するように設定される。非線形ばね領域とは、皿ばね組が備えた特有のばね特性で荷重−変位関係が非線形となる領域のことである。この非線形ばね領域では、設定圧接力(予圧力)の変動分に対する弾発力の変動分がごく小さくなり、つまり、皿ばね組28をこの非線形ばね領域内で使用することにより、線形領域を超えて皿ばね組28のたわみ量σが変化しても、その発生弾発力の変動がきわめて小さくなる。
【0096】
以上の構成により本第4実施形態の建物の制振構造にあっては、鉄骨柱12と鉄骨梁14との接続部分にあって、該鉄骨梁14の端部が鉄骨柱12から突設する梁接続部15に摩擦板22を介して高力ボルト32,ナット36結合される部分を摩擦ダンパ20として構成したので、地震や風等により建物架構に水平荷重が入力され、この力がラーメン架構を構成する鉄骨柱12および鉄骨柱12のたわみ変形を伴って、これら両鉄骨12,14の接続部分に設けられた上記摩擦ダンパ20に入力されると、滑り板となる鉄骨梁14と摩擦板22と摩擦材37,37とが相対移動してこれらの間に摩擦抵抗力が発生し、これが減衰力となって建物架構を効果的に制振する。
【0097】
ところで、本第4実施形態では上記摩擦ダンパ20は、鉄骨梁14と摩擦板22と摩擦材37,37との間に発生する摩擦力は、高力ボルト32と同軸に配置された皿ばね組28aの弾発力によるものであり、該摩擦力は鉄骨梁14の上下フランジ14a,14bおよびウェブ14cに摩擦板22を圧接させる圧接力と、これら両者間の摩擦係数との積によって摩擦力が与えられ、このときの圧接力は、上記皿ばね組28aのばね定数とばね変形量との積として得られる。
【0098】
そして、上記皿ばね組28aは、設定圧接力が加えられて弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内でたわみ変形されるように設定されるので、上記上下フランジ14a,14bおよびウェブ14cと摩擦板22と摩擦材37,37との摺動面が摩耗して、皿ばね組28aのたわみ変形量が変化した場合にも、該皿ばね組28aの弾発力の変動はきわめて小さくなり、延いては、上下フランジ14a,14bおよびウェブ14cと摩擦板22と摩擦材37,37との間の圧接力が低下されるのを防止することができる。従って、上記摩擦ダンパ20で発生される摩擦抵抗力を略一定に維持することができるため、振動減衰能力が変動することを防止し、皿ばね組28aを用いるという簡単な構成にもかかわらず、難しいとされたエネルギー吸収能力の安定性向上が大幅に改善され、延いては、建物の耐振性能を大幅に向上することができる。
【0099】
図17,図18は本発明の第5実施形態を示す。この第5実施形態は梁と壁との接合部に摩擦ダンパを組み込んだもので、前記実施形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。尚、図17は制振構造が適用される壁を概略的に示す正面図、図18は図17中B部の拡大図である。
【0100】
即ち、この第5実施形態は建物架構の梁部材としての鉄骨梁14とプレキャストコンクリート板でなる間仕切壁52との接続部分に摩擦ダンパ20を構成したものである。上記間仕切壁52はある程度の入力荷重に対して十分に耐え得るように大きな強度を持って構成され、ラーメン架構を構成する上記鉄骨梁14と鉄骨柱12とで囲まれた空間部分に、これを閉塞するように取り付けられる。なお、接続対象となる壁は上記間仕切壁52に限らず耐震壁であっても良いことは勿論のことである。
【0101】
鉄骨梁14と間仕切壁52との接続は、図18に示すように間仕切壁52の上端部を一部切欠いて、この切欠部分52aに露出する間仕切壁52の枠板58と、鉄骨梁14の下方フランジ14b下面にボルトまたは溶接等により結合される垂設ブラケット60とが、高力ボルト32および図外のナット36を介して結合されるようになっている。また、上記垂設ブラケット60は、枠板58の両側面を挟むように一対設けられる。
【0102】
そして、この第5実施形態にあっても上記枠板58を滑り板とし、上記垂設ブラケット60を摩擦板として用い、枠板58と垂設ブラケット60との間に摩擦材37、37を介在し、かつ、上記高力ボルト32に皿ばね組28aを取付けることにより上記摩擦ダンパ20が構成される。ここで、滑り板と摩擦板との関係は上下逆であっても良い。勿論、上記枠板58の高力ボルト32挿通部分に水平方向のルーズホール58aを形成して、枠板58と垂設ブラケット60とは摩擦材37,37を介して水平方向の相対移動が可能となっている。
【0103】
ところで、上記摩擦ダンパ20の高力ボルト32および皿ばね組28aの取付け構造は、上記第4実施形態で図6に示したと同様の構成とすることができる。この場合、フランジ14aは枠板58に対応し、摩擦板22は垂設ブラケット60に対応する。そして、上記皿ばね組28aは上記第1実施形態と同様に、該皿ばね組28aのたわみ変形に対して弾発力の変動が小さくなる非線形ばね領域内で作動するように設定される。
【0104】
従って、本第5実施形態にあっても鉄骨梁14と間仕切壁52との間に構成される摩擦ダンパ20の皿ばね組28aは、上記第4実施形態と同様に弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内でたわみ変形されるように設定されるので、枠板58と垂設ブラケット60と摩擦材37,37との摺動面が摩耗して、皿ばね組28aのたわみ変形量が変化した場合にも、該皿ばね組28aの弾発力の変動がきわめて小さくなる。このため、上記摩擦ダンパ20で発生される摩擦抵抗力を略一定に維持して、振動減衰能力が変動することを防止し、建物の耐振性能を大幅に向上することができる。
【0105】
また、上記摩擦ダンパ20は、複数枚の皿ばね28単体を積層した皿ばね組28aを1本のボルト32に対して1組設け、これをボルト頭部側に配置した場合を開示したが、これに限ることなく第4実施形態に例をとって示す図8(a)のように、1組となった皿ばね組28aを抱き合わせ状態で一対設けることにより、それぞれの皿ばね組28aを合わせた全体の許容たわみ量を大きく変化させることができる。このため、1組の皿ばね組28aではチューニングできなかった弾発力を、摩擦ダンパによって目的の摩擦力を得るように緻密に調整することができる。
【0106】
また、上記間仕切壁52は耐震壁とすることもでき、耐震壁であっても同様の作用効果が得られる。図19,図20は摩擦ダンパを梁と耐震壁との接合部に組み込むようにした第6実施形態を示し、図19はその全体的な概略構成を示す正面図、図20はその要部である摩擦ダンパ部分を示す断面図である。
【0107】
ここで、この図示例の耐震壁は鋼板耐震壁70でなり、薄鋼板72とその外周縁に一体的に設けられた矩形のフレーム74とこのフレーム74の内側に格子状に配設されたスチフナ76とからなる。フレーム74の上辺と下辺とにはそれぞれL型鋼の取付け部材80,82が溶接固定されていて、これら取付け部材80,82が建物架構を構成する上下の鉄骨梁14,14からそれぞれ垂直に突設されて溶接固定されたブラケット84,86に高力ボルト32で接合されるようになっており、当該図示例では下辺側の取付け部材82と下側の鉄骨梁14に溶接固定されたブラケット86との接合部に摩擦ダンパ20が組み込まれている。
【0108】
取付け部材82とブラケット86は重合されて互いに対面し、ブラケット86が摩擦板22とされる一方、取付け部材82が滑り板24とされている。ここで、摩擦板と滑り板との関係は上下逆であっても良い。
【0109】
摩擦板22をなすブラケット86には高力ボルト32が貫通する小孔が形成されており、滑り板24をなす取付け部材82には、摩擦板22としてのブラケット86に設けられた小孔と重なり、かつ水平方向に延びるルーズホール24aが形成されている。また、滑り板24と摩擦板22との間には、前記ルーズホール24aと平行して、そのルーズホール24aの両側に摩擦材37が介在され、さらに、高力ボルト32のボルト頭部32aと摩擦板22との間にはワッシャ34を介して皿ばね組28aが介装されいて、高力ボルト32にナット36を螺合させて締め付け、皿ばね組28aを所定の非線形ばね領域まで圧縮させて滑り板24と摩擦板22とを摩擦材37を介して圧接接合させて摩擦ダンパ20を構成している。
【0110】
図21,図22は本発明に係る建物の制振構造の第7実施形態を示し、この第7実施形態は摩擦ダンパを、建物100とこの建物100に取り付けられる非常用等の外階段108との接合部に適用した例であり、図21にその概念図を示す。図22はこの第7実施形態に適した摩擦ダンパの構造を示す要部拡大図である。
【0111】
図示するように、建物100と当該建物100の側方に隣接して設けられた外階段108とは、建物構造体をなすH型鋼からなる梁部材110と外階段108の踊り場を形成するやはりH型鋼でなる梁部材111とが、相互に摩擦ダンパ20を介して接合されるようになっている。
【0112】
即ち、両梁部材110,111は互いに側方に突出して対向し、建物側の梁部材110の上方に階段側の梁部材111が位置されている(なお、上下の位置関係は逆であっても良い)。建物側の梁部材110の突出部には上部フランジに垂直に溶接固定あるいはボルト・ナット固定されて滑り板24が設けられる一方、階段側の梁部材111の突出部には下部フランジに垂直に溶接固定(ボルト・ナットでもよい)されて摩擦板22が設けられ、これら摩擦板22と滑り板24とは互いに対向して接するように重合配置される。ここで、滑り板24と摩擦板22との位置関係は上下逆であっても良い。
【0113】
そして、摩擦板22には高力ボルトが貫通する小孔が形成され、滑り板24には、摩擦板22に設けられた小孔と重なり、かつ建物100と階段108とが近接離間する方向に延びる長孔状のルーズホール24aが形成されている。また、滑り板24と摩擦板22との間には、前記ルーズホール24aと平行して、そのルーズホール24aの両側に摩擦材37が介在され、さらに、高力ボルト32頭部と摩擦板22との間には皿ばね組28aが介在されて、前記高力ボルト32の締め付けにより滑り板24と摩擦板22とを圧接接合して摩擦ダンパ20として機能するように構成されている。
【0114】
以上の構成でなる第7実施形態の建物の制振構造では、建物100と外階段108とを摩擦ダンパ20を介して結合したので、地震等により、建物と外階段とが異なる震動モードで揺れてそれらの接合部の滑り板24と摩擦板22との間に作用する相対変位力が滑り耐力以上になると、それらにずれが生じて当該接合部が摩擦ダンパ20となって摩擦による減衰力を発生させて震動エネルギーを吸収し、建物と外階段との震動が抑制され、もって制振性能が大幅に向上される。また、建物100と外階段108との間に介在した摩擦ダンパによって、建物100と外階段108との相対変位が吸収されつつ許容されるから、建物側の過大な振動エネルギーが全て階段に入力されることがなく、この外階段が破壊されるのを防止することができる。従って、大地震の発生後においても、外階段108を避難通路として確保することができるようになり、安全性の大幅な向上が図れるという優れた効果を奏する。
【0115】
図23,図24は本発明の第8実施形態を示す。この第8実施形態は、独立した2つの建物100a,100b同士を相互に接合して、その接合部に摩擦ダンパ20を組み込むようにした例であり、図23にその概念図を示す。また、図24はこの第8実施形態に適した摩擦ダンパの構造を示す要部拡大図である。
【0116】
即ち、隣接して建てられている2つの建物100a,100bからそれぞれ相手側の建物に向けて側方に突出する突出部材112,113を設ける。この突出部材112,113にはH型鋼等の型鋼材を用い、各建物100a,100bの柱や梁等の建物構造体に一体的に剛接合させて、相互に対向するように配置する。本図示例ではH型鋼が使用されており、第1の建物100a側の突出部材113の上方に、第2の建物100b側の突出部材112が位置されて、それらの上・下フランジ部が対面されている。ここで、突出部材112と113との位置関係は上下逆であっても良い。
【0117】
そして、第1の建物100a側の突出部材113の上部フランジと、第2の建物100b側の突出部材の下部フランジとの間に、前述した第6実施形態と同構成でなる摩擦ダンパ20が介在されて両建物100a,100bが接続されている。ここで、摩擦ダンパ20の構成については、その基本構造は第6実施形態と全く同じであるので、同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。なお、この第7実施形態では高力ボルト32等は2組設けられている。
【0118】
以上の構成でなる第8実施形態の建物の制振構造にあっては、2つの建物100a,100b間を摩擦ダンパ20を介して結合したので、地震等により、2つの建物100a,100bがその構造の違いからそれぞれ異なる震動モードで揺れ、それらの接合部に摩擦ダンパ20の静摩擦力以上の相対変位力が加わると、摩擦板22と滑り板24とにずれが生じて摺動する。そして、この摺動時の摩擦力により震動エネルギーが吸収されて、両建物100a,100bの震動が抑制されるようになり、制振性能が大幅に向上される。
【0119】
なお、図示例では高層建物100aと中層建物100bとを接続する例を示しているが、これに限られるものではなく、固有周期が異なる建物同士で有れば良く、高層建物同士の接続、または高層建物と低層建物との接続等でもかまわず、少なくとも固有周期が異なる建物同士であれば良い。また、接続箇所も高層部から低層部のいずれの部位で接続しても良く、複数層の部位で接続しても良い。
【0120】
図25,図26は本発明の第9実施形態を示す。この第9実施形態は本発明の摩擦ダンパ20を建物架構16を構成する上下2つの鉄骨梁14,14間に設けられた耐震間柱120の接合部に適用した例であり、図25はその全体的な概略構成を示す正面図で、図26は第9実施形態に適した摩擦ダンパの構造を示す要部拡大図である。
【0121】
即ち、建物架構16を構成する上下2本の鉄骨梁14,14間に取付られた耐震間柱120がその途中で分断され、上側の鉄骨梁14に取り付けられた上部間柱120aの下端部には下方に垂直に突出する摩擦板22が設けられ、下側の鉄骨梁14に取り付けられた下部間柱120bの上端部には上方に垂直に突出する滑り板24が設けられている。ここで、滑り板と摩擦板との位置関係は逆であっても良い。
【0122】
これら摩擦板22と滑り板24とはその平面が互いに対向して接するように設けられている。上部間柱120aの摩擦板22には高力ボルト32が貫通する小孔が形成され、下部間柱120bの滑り板24には、摩擦板22に設けられた小孔と重なるように水平方向に延びるルーズホール24aが形成されている。また、上部間柱120aの摩擦板22と下部間柱120bの滑り板24との間には、前記ルーズホール24aと平行して、そのルーズホール24aの両側に摩擦材37が介在され、さらに、高力ボルト32のボルト頭部32aと上部間柱120aの摩擦板22との間には皿ばね組28aが介在されて、前記高力ボルト32で上部間柱120aの摩擦板22と下部間柱120bの滑り板24とを接合している。
【0123】
以上の構成でなるこの第9実施形態では、建物架構16を構成する上下の2つの鉄骨梁14,14間に設けられ、途中で分断された間柱120間に摩擦ダンパ20を介して連結しているので、地震等により建物に水平方向の揺れが生じ、間柱120に水平力が働いても、上下の間柱120a,120bが相互に移動し、摩擦板22と滑り板24と摩擦材37とが摺動移動することによって、摩擦ダンパ20の摩擦力が震動エネルギーを吸収し、建物の震動を抑え、耐振性能を大幅に向上することができる。即ち、建物の劣化、損傷、破壊を防止することができる。
【0124】
なお、この第9実施形態では、建物架構16を構成する上下2本の鉄骨梁14,14間に取付られる耐震間柱120を途中で分断して、その上部間柱120aと下部間柱120bとの間に摩擦ダンパ20を介設する例を示しているが、これら上部間柱120aと下部間柱120bとに代えて、図示しないが、上側の鉄骨梁に取付けられる垂れ壁と下側の鉄骨梁に取り付けられる腰壁との分断された両部材間に上記と同様の構成でなる摩擦ダンパを介設して接合するようにしても良く、このように垂れ壁と腰壁との間に介在させてこれらを繋ぐようにして摩擦ダンパを設けても、上記耐震間柱120の場合と同様の作用効果が得られる。
【0125】
図27,図28は本発明の第10実施形態を示す。この第10実施形態は摩擦ダンパを建物架構を構成する梁とその梁に取り付けられるカーテンウォールとの間の接合部に適用した例であり、図27にその概念図を示す。図28は第10実施形態に適した摩擦ダンパの構造を示すの要部拡大図である。
【0126】
カーテンウォール130はプレキャストコンクリート製で成り、建物架構16を構成するH型鋼材からなる上下2本の鉄骨梁14,14に4本のアンカーボルト136で取り付けられている。即ち、カーテンウォール130はその上側接合部は、上側鉄骨梁14の下側フランジ部に垂直な面をなすようにボルト・ナットで固定された(溶接でもよい)プレート132に、アンカーボルト136として植設された高力ボルト32がナット36で締め付け固定されている。一方、カーテンウォール130の下側接合部は、下側鉄骨梁14の上側フランジ部に垂直な面をなすようにボルト・ナット固定された(溶接でもよい)摩擦板22に、カーテンウォール130の下部のアンカーボルト136がナット36で締め付け固定されるようになっている。
【0127】
下部のアンカーボルト136の取付け部には、カーテンウォール130と一体化された滑り板24が摩擦板22と対向するように設けられており、この滑り板24と摩擦板22との間に摩擦材37が介在されている。ここで、滑り板24と摩擦板22との位置関係は逆であっても良い。
【0128】
滑り板24には、カーテンウオール130の下部に植設されたアンカーボルト136としての高力ボルト32が貫通する小孔が形成されていて、摩擦板22には滑り板24に設けられた小孔と重なって水平方向に延びるルーズホール22aが形成されている。また、アンカーボルト136としての高力ボルト32に螺合されるナット36と摩擦板22との間にはワッシャ34及び皿ばね組28aが介在されていて、当該下側接合部が摩擦ダンパ20として構成されている。
【0129】
なお、本実施形態では、摩擦ダンパ20を下側接合部に設けた例を示したが、本発明はこれに限らず上側接合部に摩擦ダンパ20を設け下側接合部を剛結合しても同様の効果が得られる。
【0130】
以上の構成により、建物架構16を構成する上下2本の鉄骨梁14,14に取り付けられているカーテンウォール130の下側接合部と鉄骨梁14との間に摩擦ダンパ20を介在させたので、地震等により建物に水平方向の揺れが生じ、建物架構に水平力が働くと、カーテンウォール130は上の鉄骨梁14と共に水平に移動し、下側接合部における摩擦ダンパ20の滑り板24と下側鉄骨梁14に固定された摩擦板22とに相対変位が生じて、滑り板24と摩擦板22とが摩擦材37を介して摺動移動する。これにより、摩擦ダンパ20の摩擦力に振動エネルギーが吸収されて、建物の振動が抑えられるようになって、制振性能が大幅に向上される。即ち、建物の劣化、損傷、破壊を防止することができる。
【0131】
上記第6実施形態から第10実施形態では、いずれも、摩擦ダンパ20の付勢手段として皿ばね組28aを用い、その皿ばね組28aには設定圧接力が加えられてたわみ変形に対して弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内でたわみ変形されるように設定されるので、それぞれの接合している摺動面が摩耗して、皿ばね28のたわみ変形量が変化した場合にも、該皿ばね組28aの弾発力の変動はきわめて小さくなり、延いては、それぞれの接合部における部材間の圧接力が低下されるのを防止することができる。従って、上記摩擦ダンパ20で発生される摩擦抵抗力を略一定に維持することができるため、振動減衰能力が変動することを防止し、皿ばねを用いるという簡単な構成にもかかわらず、難しいとされたエネルギー吸収能力の安定性向上が大幅に改善され、延いては、建物の耐振性能を大幅に向上することができる。
【0132】
また、それぞれの接合部間に摩擦材37を介在することにより、構造材でなるそれぞれの接合部の摩擦係数に限定されること無く、摩擦材37の摩擦係数をある程度自由に選択できるため、摩擦ダンパの摩擦力をより最適となる状態に設定し、延いては、摩擦ダンパによる振動減衰力をより高めることができる。
【0133】
ところで、建物の高力ボルト接合部に皿ばね式の摩擦ダンパ20を組み込んでなる上記各実施形態の建物の制振構造は、地震に対してのみならず風による建物の揺れに対しても有効に作用することはいうまでもない。また、皿ばね組28aを構成する皿ばね28単体の組み合わせ配置構成は、本発明の皿ばねに求められる設定が可能である限り、種々に変更して組み合わせて構成、例えば、複数枚を直列にまたは並列に積層したり、その積層方向を正,逆に向けたりすることができる。また、第6実施形態〜第10実施形態ではいずれも一面摩擦の場合を例示しているが、二面摩擦としても良く、この場合にも同様にして実施可能である。
【0134】
【発明の効果】
本発明に係る建物の制振構造では、摩擦ダンパの付勢手段を、設定圧接力が加えられて撓み変動量に対する弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内でたわみ変形される皿ばねで構成したので、種々の原因によって皿ばねの変形量が変化した場合にあっても、上記非線形ばね領域内であれば摩擦減衰力生成部に圧接力を生じさせる皿ばねの弾発力の変動をきわめて小さくでき、安定した震動減衰効果を奏する摩擦ダンパが形成できる。また、このような摩擦ダンパを有する制振構造で構成された建物架構は、地震や風などにより発生するエネルギーを吸収することによって、効果的に制振することができる。
【0135】
さらに、上記摩擦ダンパの該摩擦板と該滑り板との接触面に摩擦材を介在させた構成としたので、摩擦材が摩擦板や滑り板のような構造部材に限定されることなく、必要な摩擦力に応じて摩擦材の材質を選定することが可能となる。
【0136】
また、摩擦ダンパは皿ばねを付勢手段として高力ボルト接合部に設け、接合する部材間に摩擦材を介在させる構成したので、簡単な構造の摩擦ダンパを形成することができ、接合部への取り付けも極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すもので、摩擦ダンパを取り付けたブレース取付け部の正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態で適用するブレースの一例を示す概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態のブレース取付け部を示すもので、(a)は上端部側の正面図,(b)はその側面図、(c)は下端部側の正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に用いられる摩擦ダンパの荷重変形性状の履歴特性図である。
【図6】本発明の第1実施形態に適用される付勢手段を示すもので、(a)はその一実施形態を示す断面図であり、(b)はその変形例である。
【図7】本発明の第1実施形態に示す摩擦ダンパに適用される皿ばねのばね特性の一実測例を示すグラフである。
【図8】同図(a)は本発明に適用される付勢手段の他の実施例を示す側断面図、同図(b)は本発明に適用される付勢手段の更に他の実施例を示す側断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態を示すもので、摩擦ダンパを取り付けたブレース取付け部の正面図である。
【図10】本発明の第2実施形態を示すもので、摩擦ダンパを取り付けたブレース取付け部の側面図である。
【図11】本発明が適用される建物架構のブレース配設例を各種示す概略図である。
【図12】本発明の第3実施形態を示す建物架構の概略構成図である。
【図13】本発明の第3実施形態の要部を示す正面図である。
【図14】従来のブレース構造に用いられる摩擦ダンパの荷重変形性状の履歴特性図である。
【図15】本発明の第4実施形態を示す制振構造を構成する建物架構の要部を示す正面図である。
【図16】本発明の第4実施形態を示す制振構造の要部拡大正面図である。
【図17】本発明の第5実施形態を示す制振構造が適用される間仕切り壁の概略正面図である。
【図18】図17中におけるB部の拡大図である。
【図19】本発明の第6実施形態を示すもので、制振構造が適用される耐震壁の概略正面図である。
【図20】本発明の第6実施形態の要部である摩擦ダンパ部分を示す断面図である。
【図21】本発明の第7実施形態を示す建物と外階段との間に摩擦ダンパを取り付けた概略正面図である。
【図22】本発明の第7実施形態の要部拡大正面図である。
【図23】本発明の第8実施形態を示す二つの建物間に摩擦ダンパを取り付けた概略正面図である。
【図24】本発明の第8実施形態の要部拡大正面図である。
【図25】本発明の第9実施形態を示すもので、摩擦ダンパを取り付けた間柱の概略正面図である。
【図26】本発明の第9実施形態の要部拡大正面図である。
【図27】本発明の第10実施形態を示すもので、建物架構とカーテンウォールとの間に摩擦ダンパを取り付けた概略正面図である。
【図28】本発明の第10実施形態の要部拡大正面図である。
【図29】従来の摩擦ダンパを示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10 ブレース 10a,10b 取付け部
12 鉄骨柱(柱部材) 12a,12b フランジ
14 鉄骨梁(梁部材) 14a,14b フランジ(滑り板)
15 梁接続部 15a,15b フランジ
16 建物架構 18 ブラケット
20 摩擦ダンパ 22 摩擦板
22a ルーズホール 24 滑り板
24a ルーズホール 26 付勢手段
28 皿ばね 28a 皿ばね組
32 高力ボルト 32a ボルト頭部
34 ワッシャ 36 ナット
37 摩擦材 45 柱梁仕口部
46 柱側ブラケット 48 梁側ブラケット
52 間仕切壁 58 枠板(滑り板)
58a ルーズホール 60 垂設ブラケット(摩擦板)
70 鋼板耐震壁 82 取付け部材(滑り板)
86 ブラケット(摩擦板)
100,100a,100b 建物(構造物)
108 外階段(構造物)
110,111 梁部材 112,113 突出部材
120 耐震間柱 120a 上部間柱
120b下部間柱 130 カーテンウォール
132 プレート 136 アンカーボルト(高力ボルト)
L 仮想対辺

Claims (10)

  1. 摩擦ダンパを備えた建物の制振構造であって、
    前記摩擦ダンパは、
    (a)滑り板、及び、該滑り板に摺動自在に摩擦材を介して重ね合わされる摩擦板を貫通するボルトと、
    (b)前記ボルトの頭部と前記摩擦板との間に配置されたワッシャと、
    (c)前記ワッシャと前記摩擦板との間に配置され、内径が前記ワッシャの外径よりも小さい皿ばねであって、前記滑り板と前記摩擦板とを前記摩擦材を介して互いに圧接する方向に押圧する皿ばねと、
    (d)前記ボルトの軸方向において、前記ワッシャと前記摩擦板との間に配置され、前記ボルトの径方向において、前記ボルトの外側、且つ前記皿ばねの内側に配置されたガイド環と、
    (e)前記ボルトの前記頭部とは反対側にて、該ボルトと螺合するナットと、
    を備え、
    (f)前記皿ばねが、弾発力の小さい非線形ばね領域内でたわみ変形されていることを特徴とする建物の制振構造。
  2. 前記摩擦ダンパは、建物架構と該建物架構に取り付けられるブレースとの間、または該ブレース自体の荷重作用経路の途中を分断したブレース間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の建物の制振構造。
  3. 前記摩擦ダンパの滑り耐力強度を、前記ブレースの降伏耐力や座屈耐力より低くしておくことを特徴とする請求項2に記載の建物の制振構造。
  4. 前記摩擦ダンパは、建物架構の柱部材と梁部材とで区画される空間内の柱梁仕口部近傍の柱部材および梁部材から、これら柱梁を各一辺とする三角形の仮想対辺に沿って突設された柱側ブラケットと梁側ブラケットとの接合部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の建物の制振構造。
  5. 前記柱側ブラケットおよび前記梁側ブラケットを、前記柱部材および前記梁部材で画成される空間の下層部分に形成される腰壁、または該空間の上層部分に形成される垂れ壁の形成スペース内に収納したことを特徴とする請求項4に記載の建物の制振構造。
  6. 前記摩擦ダンパは、建物架構の柱部材と梁部材との接合部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の建物の制振構造。
  7. 前記摩擦ダンパは、建物架構の梁部材と壁との接合部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の建物の制振構造。
  8. 前記摩擦ダンパは、建物と該建物に隣接されて独立して設けられる構造物とを繋ぐ接合部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の建物の制振構造。
  9. 前記摩擦ダンパは、建物架構の上下の梁にそれぞれ分断されて取り付けられる上部間柱と下部間柱とを繋ぐ接合部、あるいは上記上下の梁にそれぞれ分断されて取り付けられる垂れ壁と腰壁とを繋ぐ接合部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の建物の制振構造。
  10. 前記摩擦材を前記摩擦板と前記滑り板とが対向する各々の面に一体的に設けて摩擦ダンパを構成したことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の建物の制振構造。
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