JP2000213200A - 制震構造 - Google Patents

制震構造

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JP2000213200A
JP2000213200A JP11012483A JP1248399A JP2000213200A JP 2000213200 A JP2000213200 A JP 2000213200A JP 11012483 A JP11012483 A JP 11012483A JP 1248399 A JP1248399 A JP 1248399A JP 2000213200 A JP2000213200 A JP 2000213200A
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JP
Japan
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damper
steel
damper portion
vibration
frame
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JP11012483A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Isoda
和彦 磯田
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Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設置性や空間利用性の面において優れ、なお
かつ、安定的な制震性能を発揮することのできる制震構
造を提供する。 【解決手段】 長尺に形成されて軸方向に変形可能とさ
れたダンパー部8を備え、ダンパー部8の一端8bを架
構の一部に固定するとともに、他端8cを前記架構の他
の部分に固定し、ダンパー部8の中央部8aを鋼管9の
内部に挿通し、鋼管9とダンパー部8との間に、発泡材
料13を充填した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物の架構の構面
内に設置されて、前記架構の地震時の振動応答を低減す
るための制震構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】阪神大震災以来、建物の耐震安全性がク
ローズアップされてきており、地震入力を劇的に減らせ
る免震・制震構造が脚光を浴びてきている。中でも、地
下ピット階が不要で地震時の応答低減効果の大きい制震
構造は、構造躯体の耐震安全性を確保するとともに、建
物内の揺れを低減させて什器や備品の被害をも食い止め
ることができることから最近注目されている。しかしな
がら、簡便で効果的な制震構造は未だ開発されておら
ず、早期の開発が社会的ニーズとしても期待されてい
る。
【0003】制震ダンパーには、現在のところ大別して
極軟鋼等の降伏を利用した鋼材系ダンパーと、粘性体や
粘弾性体のせん断変形に伴う粘性抵抗を利用した粘性系
ダンパーがあるが、いずれもローコストで大きな減衰性
能を発揮するのは、軸力に抵抗するブレース形式のもの
である。しかし、ブレース形式では、圧縮力に対してダ
ンパーの軸方向以外の変形を防止しなければならず、こ
の対策として以下の、のような構造が実用化されて
いる。なお、以下において、芯材とは降伏することによ
り履歴エネルギーを吸収する極軟鋼芯鉄骨部分や、粘弾
性体と鋼板を積層してなる粘弾性ダンパー部分を指して
いる。
【0004】 ダンパー部を構成する芯材の廻りに、
付着を切ってコンクリートを巻き、このコンクリートの
剛性により芯材の座屈を防止する構造。 芯材とほぼ接するように鋼管をかぶせ、これにより
芯材を補剛し座屈を防止する構造。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
、の構造は、以下のような問題点を有している。ま
ず、の構造においては、コンクリートにより所定の剛
性を発揮させるために、一定以上の被り寸法を確保する
必要があり、これにより、外形寸法および重量が大きく
なり、建物内部における設置性の点で問題があるばかり
でなく、建物内部の空間利用性を損なう心配がある。
【0006】また、の構造においては、地震時に芯材
が鋼管の内部で局部座屈を生じて複雑な変形をし、これ
により安定したダンパーの履歴特性が期待できないとい
う問題点がある。
【0007】このような事情に鑑みて、本発明において
は、設置性や空間利用性の面において優れ、なおかつ、
安定的な制震性能を発揮することのできる制震構造を提
供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明においては以下の手段を採用した。すなわち、
請求項1記載の制震構造は、建物の架構の構面内に設置
されて、前記架構の地震時の振動応答を低減するための
制震構造であって、長尺に形成されて軸方向に変形可能
とされたダンパー部を備えてなり、該ダンパー部は、そ
の一端が前記架構の一部に接合されるとともに、他端が
前記架構の他の部分に接合され、なおかつ、その少なく
とも中央部が、筒状部材の内部に挿通され、前記筒状部
材と前記ダンパー部との間には、発泡材料が充填されて
いることを特徴としている。
【0009】このような構成とされるため、この制震構
造においては、ダンパー部が筒状部材から発泡材料を介
してほぼ均等に押圧されることとなり、ダンパー部に軸
力が作用した際に、ダンパー部が軸方向以外に変形する
ことを防止することができる。また、筒状部材とダンパ
ー部との間を充填するために発泡材料を利用したため
に、軽量な構造を実現することができる。
【0010】請求項2記載の制震構造は、請求項1記載
の制震構造であって、前記ダンパー部は、極軟鋼からな
る鉄骨材により形成されていることを特徴としている。
【0011】このような構成により、この制震構造にお
いては、局部座屈の発生を抑制した鋼材系ダンパーが実
現されることとなる。
【0012】請求項3記載の制震構造は、請求項2記載
の制震構造であって、前記ダンパー部は、前記中央部の
うちの一定領域の断面積が、他の部分に比較して小とさ
れていることを特徴としている。
【0013】このような構成により、この制震構造にお
いては、ダンパー部のうち、中央部の断面積を小さくし
た部分に塑性変形を集中的に発生させることができる。
【0014】請求項4記載の制震構造は、請求項1記載
の制震構造であって、前記ダンパー部は、前記軸方向に
平行に配置された複数の鋼板と、これら鋼板同士の間に
充填された粘弾性体とを積層してなる粘弾性ダンパーに
より形成されていることを特徴としている。
【0015】このような構成により、粘弾性ダンパーの
粘弾性体にせん断ひずみ以外の変形が作用することを防
止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第一および第二の
実施の形態の一例を、図面に基づいて説明する。 [第一の実施の形態]図3に示すものは、建物の架構1
の構面2内に設置された制震構造3,3の外観である。
図中に示すように、制震ダンパー3,3は、架構1を構
成する柱4,4と梁5,5によって囲まれた開口部6内
において、一対のブレースとして、略ハ字状に設置され
ている。
【0017】図1および図2に、制震構造3の構成を拡
大して示す。図中に示すように制震構造3は、長尺に形
成されたダンパー部8と、ダンパー部8の中央部8aを
囲むように設けられた鋼管(筒状部材)9とを備えた構
成となっている。ダンパー部8は、極軟鋼により形成さ
れた板状部材からなるものであり、その中央部8aのう
ちの一定領域が、他の部分に比較して、幅寸法が小とな
るように形成されている。また、ダンパー部8は、その
一端8bが、建物の架構1の一部に対して、高張力鋼に
より形成されたクレビス10を介して接合され、他端8
cが、架構1の他の部分に対して、高張力鋼により形成
されたクレビス11を介して接合されている。
【0018】クレビス10は、その幅寸法が、鋼管9の
内径寸法よりも小となるように形成されており、これに
より、ダンパー部8の両端にクレビス10および11を
接合したものを、クレビス10側から鋼管9内に挿通で
きるようになっている。
【0019】また、鋼管9とダンパー部8との間には、
発泡材料13が充填されている。発泡材料13は、軽量
な硬質発泡樹脂からなるものであり、例えば、発泡ウレ
タンが好適に用いられる。また、この発泡材料13の発
泡率(体積膨張率)は、2倍から30倍程度のものとな
っている。
【0020】このような構造を得るには、ダンパー部8
の両端にクレビス10および11を接合したものを、鋼
管9の内部に挿通し、さらに、ダンパー部8と鋼管9と
の間に発泡材料13を充填したものを、あらかじめ工場
等において製作しておく。そして、このように製作され
たものを、現場に搬入し、クレビス10,11を架構1
に対して接合することにより、図1から3に示したよう
な構造を得る。
【0021】上述の制震構造3においては、地震時に架
構1に振動が作用した際には、極軟鋼によって形成され
たダンパー部8が、架構1に先行して降伏し、塑性変形
することにより、架構1の振動エネルギーを吸収して、
架構1の振動応答を減衰させるように作用する。この場
合、鋼管9の内部に発泡材料13が充填されていること
から、この発泡材料13は、鋼管9の内部においてダン
パー部8を均等に押圧するように機能し、したがって、
ダンパー部8の局部座屈が抑制される。これにより、ダ
ンパー部8が安定したダンパーの履歴特性を発揮するこ
とが可能となる。また、この場合、ダンパー部8の中央
部8aの一定領域は、他の部分に比較してその幅寸法が
小とされていることから、断面積も小となっており、他
の部分に比較して大きな応力度が発生することとなる。
したがって、ダンパー部8において、塑性変形を中央部
8aの領域に集中的に発生させることができるととも
に、降伏変位を小さくすることが可能となる。
【0022】以上のように、制震構造3においては、地
震時に塑性変形して架構1の振動エネルギーを吸収する
ダンパー部8を囲むように鋼管9を設け、鋼管9内部に
発泡材料13を充填することにより、鋼管9内部におい
て発泡材料13によりダンパー部8を均等に押圧するよ
うにしたので、ダンパーの芯材を鋼管により補剛した従
来のダンパーに比べた場合、芯材が鋼管の中で複雑な変
形をするようなことがなく、ダンパー部8の局部座屈を
効果的に防止することができる。
【0023】さらに、この制震構造3は、芯材に所定の
被り寸法をとってコンクリートで被覆した従来のアンボ
ンドブレースダンパーに比較して、外径寸法を小さくす
ることができ、内壁やシャフト内に納めた場合のデッド
寸法を抑えて、空間の有効活用を図ることが可能とな
る。また、この制震構造3においては、発泡材料13を
利用することにより、コンクリート系材料を用いたアン
ボンドブレースダンパーに比較して圧倒的に軽量化を図
ることができる。特に、発泡材料13は、鋼材との付着
強度や厚さ方向への圧縮剛性はあるが、せん断剛性が小
さいため、剥離剤などの特別な細工をしなくても、ダン
パー部8の変形を阻害しないで座屈を防止することがで
き、これにより、製作の容易化を図ることができる。し
かも、発泡材料13は、コンクリート系材料よりも安い
ため、制震構造3をローコストに実現することが可能と
なる。
【0024】また、鋼管9は、ダンパー部8に被せてあ
るだけで接合する必要がないために、容易に設置するこ
とができる。また、鋼管9がダンパー部8に接合されな
いために、鋼管9には、軸力が作用することが無く、薄
肉の部材を用いれば十分であり、ローコストな材料を使
用することができる。
【0025】また、この制震構造3を設置する場合に
は、上述のように、ダンパー部8、鋼管9、および発泡
材料13を一体化して工場で製作し、現場に運搬するこ
とができるため、現地でのダンパー組立作業が必要でな
く、工程的には通常の鉄骨構造と何ら変わらない。ま
た、通常のブレース構造における中央部材を取り付ける
のと比べて工期的にも仮設的にも全くデメリットはな
い。さらに、制震構造3の組立においても特殊な技術が
要求されないので、簡単な作業で容易に製作でき、ダン
パー製品の納期短縮とコストダウンを図ることができ
る。また、組立の最終段階でグラウトを使用するため、
高度の組立施工精度を必要としない。したがって、熟練
工でなくても容易にスピーディな製作が可能になる。こ
のように、制震構造3においては、安定した制震性能を
確保しつつ、設置性や費用の面で優れた制震構造を実現
することができる。
【0026】また、上述の制震構造3は、ダンパー部8
が極軟鋼により形成されるために、安定した履歴特性を
有する制震ダンパーをローコストに実現することがで
き、コストダウンを図ることができる。また、基本的に
メンテナンスフリーとすることができる。
【0027】さらに、制震構造3においては、ダンパー
部8の中央部8aのうちの一定領域の断面積が他の部分
に比較して小とされているために、降伏変位を小さくす
ることができるとともに、降伏範囲を限定することがで
き、塑性歪みをこの範囲に集中させて、効率よく減衰効
果を発揮させることができる。
【0028】さらに、この制震構造3は、外観上の形態
は一般の鉄骨構造で見られるブレースの場合と同じであ
り、構造計画、建築計画上の特別な制約がないため、従
来の耐震設計と同様の設計作業で建物内に組み込むこと
ができる。また、この制震構造3を、既存建物の耐震補
強を行う際に従来のブレースに代えて用いることも可能
であり、容易に制振構造による既存建物の補強を実現す
ることができる。
【0029】また、この制震構造3は、地震と火災が同
時に作用しないことから、長期荷重を負担させない限
り、耐火被覆を不要とすることができる。
【0030】また、このような制震構造3を架構1内に
組み込むことにより、架構1の地震時の応答を小さく
し、通常の鉄骨構造と比較して部材断面を小さくするこ
とが可能になり、コストダウンに貢献することができ
る。
【0031】以上のように、この制震構造3によれば、
従来の鉄骨構造で多用していた鉄骨ブレースと同様の使
い方で地震エネルギーの吸収効率がより大きい制振構造
を容易に構築できる。これにより、種々の形態を持つ建
物に容易に適用でき、コスト・工期等の面からも有効な
制震構造が可能になる。
【0032】なお、上記実施の形態において、本発明の
趣旨を逸脱しない範囲内で他の構成を採用するようにし
てもよい。例えば、上記実施の形態においては、ダンパ
ー部8の形状は板状であったが、これに代えて、図4,
5に示すように、ダンパー部8を断面十字形に形成する
ようにしてもよい。これにより、より大きな軸力に対応
可能な制震構造3を実現することができる。
【0033】また、鋼管9の断面形状は、上記実施の形
態のような円形のものに限らず、図6に示すような角形
のものを使用するようにしてもよい。
【0034】また、上記実施の形態においては、ダンパ
ー部8を架構1に接合するためにクレビス10,11を
利用しており、これにより、ダンパー部8に曲げ応力が
作用することを避けて力学的に明快な制震装置を実現す
ると同時に、意匠的にも優れたものを実現することが可
能となっていたが、より低コスト化を実現したい場合に
は、クレビス10,11によるピン接合に代えて、高力
ボルト接合を採用するようにしてもよい。
【0035】また、上記実施の形態においては、制震構
造3が、開口部6において略ハ字型に設置されていた
が、これに代えて、制震構造3の設置形状を閉鎖型のノ
型やK型、偏芯K型や偏芯ノ型としてもよく、これらを
平面計画での開口等の建築計画に応じて適宜選択するこ
とができる。
【0036】さらに、この他にも、本発明の趣旨を逸脱
しない範囲内で他の構成を採用するようにしてもよく、
さらに、上述したような変形例を適宜選択的に組み合わ
せて採用するようにしてもよい。
【0037】[第二の実施の形態]次に、本発明の第二
の実施の形態の一例を説明する。なお、この第二の実施
の形態における構成において、上記第一の実施の形態と
重複する部分については、同符号を付し、その説明を省
略する。
【0038】図7,8に示すものは、本発明の第二の実
施の形態である制震構造3’の構成である。この制震構
造3’は、図3に示した第一の実施の形態の制震構造3
と同様に、一対のものが、建物の架構1の開口部6にブ
レースとして略ハ字状に設置されており、図7,8中に
示すように、長尺に形成されたダンパー部8’と、ダン
パー部8’の中央部8a’を囲むように設けられた断面
矩形の鋼管9と、ダンパー部8’と鋼管9との間に充填
された発泡材料13とにより概略構成されている。
【0039】図8に示すように、ダンパー部8’は、ジ
ョイントプレート14、第一の鋼板15,15、第二の
鋼板16,16,16を備えた構成となっている。第一
の鋼板15,15は、はさみ板17を介して、ジョイン
トプレート14の端部14aの上下に高力ボルト接合さ
れている。第二の鋼板16,16,16は、第一の鋼板
15,15同士の間、または、第一の鋼板15,15の
上下に位置させて設けられたものであり、第一の鋼板1
5,15とともに積層状態に配置されている。
【0040】さらに、第一の鋼板15と第二の鋼板16
との間には粘弾性体18が介装されており、これら第一
の鋼板15,15、第二の鋼板16,16,16、およ
び粘弾性体18は、積層状態に配置されて粘弾性ダンパ
ー19を構成している。
【0041】また、ジョイントプレート14は、架構1
の一部にピン接合されている。さらに、第二の鋼板1
6,16,16の図示しない端部は、ジョイントプレー
ト14と同様の図示しないジョイントプレートに接合さ
れており、このジョイントプレートを介して架構1の他
の部分にピン接合されている。これにより、架構1に地
震動等の振動が作用した場合には、架構1の層間変位を
利用して、粘弾性ダンパー19に軸方向(図8中A方
向)の変形を与えることができる。
【0042】このような制震構造3’を得るには、図9
に示すように、第二の鋼板16の上面に粘弾性体18を
貼り付け、図10に示すように、粘弾性体18上に第一
の鋼板15を貼り付け、さらに、その上に、粘弾性体1
8を貼り付ける。そして、この作業を繰り返すことによ
り、図11のような、第一の鋼板15および第二の鋼板
16を重ね合わせた粘弾性ダンパー19を形成する。さ
らに、粘弾性ダンパー19の両端にはさみ板17を介し
てジョイントプレート14,14を接合することにより
ダンパー部8’を形成し、このダンパー部8’を、図1
2のように、鋼管9の内部に挿通する。そして鋼管9の
内部に、発泡材料13を充填することにより、図7,8
に示すような制震構造3’が形成される。そして、この
ように形成された制震構造3’を建物の架構1の内部に
取り付ける。
【0043】上述の制震構造3’においては、地震時に
架構1に振動が作用した際には、ダンパー部8’に、図
8中A方向で示すような力が作用することとなり、これ
により、粘弾性体18がせん断変形し、そのせん断抵抗
により、架構1の振動エネルギーを吸収して、架構1の
振動応答を減衰させる。この場合、鋼管9の内部に発泡
材料13が充填されていることから、この発泡材料13
は、鋼管9の内部においてダンパー部8’を均等に押圧
するように機能し、ダンパー部8’が軸方向(A方向)
以外に変形することが防がれる。これにより、粘弾性体
18にせん断ひずみ以外の変形が作用することを防止す
ることができ、粘弾性ダンパー19が、安定した制震性
能を発揮することが可能である。
【0044】このように、制震構造3’においては、上
記第一の実施の形態の制震構造3とほぼ同様の効果を得
ることが可能であり、さらに、ダンパー部8’において
粘弾性ダンパー19を利用したことから、微小変形や風
荷重時にも有効な制震構造を実現することができ、建物
の居住性の向上を図ることができる。
【0045】なお、この第二の実施の形態において、本
発明の趣旨を逸脱しない範囲内で他の構成を採用するこ
とができる。例えば、鋼管9は、断面矩形形状とされて
いたが、これに代えて、円形の鋼管を採用するようにし
てもよい。
【0046】また、上記第二の実施の形態においては、
ダンパー部8’を架構1にピン接合することとされてお
り、これにより、ダンパー部8’に曲げ応力が作用する
ことを避けて力学的に明快な制震装置を実現すると同時
に、意匠的にも優れたものを実現することが可能となっ
ていたが、より低コスト化を実現したい場合には、ピン
接合に代えて、高力ボルト接合を採用するようにしても
よい。
【0047】また、上記実施の形態においては、制震構
造3’が、開口部6において略ハ字型に設置されていた
が、これに代えて、制震構造3’の設置形状を閉鎖型の
ノ型やK型、偏芯K型や偏芯ノ型としてもよく、これら
を平面計画での開口等の建築計画に応じて適宜選択する
ことができる。さらに、トラス構造のラチス材に、制震
構造3’を利用し、大スパン構造の振動を抑制すること
もできる。
【0048】また、上記実施の形態においては、ジョイ
ントプレート14を粘弾性ダンパー19の端部に接合す
る際に、一対の第一の鋼板15,15間に、ジョイント
プレート14をはさみ板17,17で挟んだものを高力
ボルト接合する構成となっていたが、ジョイントプレー
ト14の厚さが大きく、第一の鋼板15,15間の距離
寸法と同程度の場合には、図13に示すように、第一の
鋼板15,15間に直接ジョイントプレート14を挟む
ようにしてもよい。
【0049】また、この他にも、本発明の趣旨を逸脱し
ない範囲内で他の構成を採用するようにしてもよく、さ
らに、上述したような変形例を適宜選択的に組み合わせ
て採用するようにしてもよい。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る制
震構造においては、地震時に変形して架構の振動エネル
ギーを吸収するダンパー部を囲むように筒状部材を設
け、筒状部材内部に発泡材料を充填することにより、筒
状部材内部において発泡材料によりダンパー部を均等に
押圧するようにしたので、ダンパーの芯材を鋼管により
補剛した従来のダンパーに比べた場合、芯材が鋼管の中
で複雑な変形をするようなことがなく、ダンパー部の局
部座屈を効果的に防止することができる。さらに、この
制震構造は、芯材に所定の被り寸法をとってコンクリー
トで被覆した従来のアンボンドブレースダンパーに比較
して、外径寸法を小さくすることができ、内壁やシャフ
ト内に納めた場合のデッド寸法を抑えて、空間の有効活
用を図ることが可能となる。また、この制震構造におい
ては、発泡材料を利用することにより、コンクリート系
材料を用いたアンボンドブレースダンパーに比較して圧
倒的に軽量化を図ることができる。さらに、発泡材料
は、鋼材との付着強度や厚さ方向への圧縮剛性はある
が、せん断剛性が小さいため、剥離剤などの特別な細工
をしなくても、ダンパー部の変形を阻害しないで座屈を
防止することができ、これにより、製作の容易化を図る
ことができる。しかも、発泡材料は、コンクリート系材
料よりも安いため、制震構造をローコストに実現するこ
とが可能となる。また、この場合、筒状部材は、ダンパ
ー部に被せるだけで接合する必要がないために、容易に
設置しうる。また、筒状部材がダンパー部に接合されな
いために、筒状部材には、軸力が作用することが無く、
薄肉の鋼管等を用いれば十分であり、ローコストな材料
を使用することができる。さらに、この制震構造を設置
する場合には、ダンパー部、筒状部材、および発泡材料
を一体化して工場で製作し、現場に運搬することができ
るため、現地でのダンパー組立作業が必要でなく、工程
的には通常の鉄骨構造と何ら変わらない。また、通常の
ブレース構造における中央部材を取り付けるのと比べて
工期的にも仮設的にも全くデメリットはない。さらに、
この制震構造は、組立においても特殊な技術が要求され
ないので、簡単な作業で容易に製作でき、ダンパー製品
の納期短縮とコストダウンを図ることができる。また、
組立の最終段階で発泡材料のグラウトを使用するため、
高度の組立施工精度を必要としない。したがって、熟練
工でなくても容易にスピーディな製作が可能になる。こ
のように、本発明の制震構造においては、安定した制震
性能を確保しつつ、設置性や費用の面で優れた制震構造
を実現することができる。
【0051】請求項2に係る制震構造によれば、ダンパ
ー部が極軟鋼により形成されるために、安定した履歴特
性を有する制震ダンパーをローコストに実現することが
でき、コストダウンを図ることができる。また、基本的
にメンテナンスフリーとすることができる。
【0052】請求項3に係る制震構造によれば、極軟鋼
からなるダンパー部の中央部の断面積が他の部分に比較
して小とされているために、降伏変位を小さくすること
ができるとともに、降伏範囲を限定することができ、塑
性歪みをこの範囲に集中させて、効率よく減衰効果を発
揮させることができる。
【0053】請求項4に係る制震構造によれば、ダンパ
ー部において粘弾性ダンパーを利用したことから、微小
変形や風荷重時にも有効な制震構造を実現することがで
き、建物の居住性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態を模式的に示す制
震構造の立断面図である。
【図2】 図1におけるI−I線矢視断面図である。
【図3】 図1,2に示した制震構造を建物の架構内に
設置した際の状況を示す図である。
【図4】 図1に示した制震構造の変形例を示す制震構
造の立断面図である。
【図5】 図4におけるII−II線矢視断面図であ
る。
【図6】 図5に示した制震構造の変形例を示す制震構
造の断面図である。
【図7】 本発明の第二の実施の形態を示す制震構造の
断面図である。
【図8】 図7におけるIII−III線矢視断面図で
ある。
【図9】 図7,8に示した制震構造を製作する際の一
工程を示す斜視図である。
【図10】 図7,8に示した制震構造を製作する際の
一工程を示す図であって、図9の次の工程を示す斜視図
である。
【図11】 図7,8に示した制震構造を製作する際の
一工程を示す図であって、図10の次の工程を示す斜視
図である。
【図12】 図7,8に示した制震構造を製作する際の
一工程を示す図であって、図11の次の工程を示す斜視
図である。
【図13】 本発明の第二の実施の形態の変形例を示す
図であって、第一の鋼板およびジョイントプレートの接
合部の状況を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 架構 2 構面 3,3’ 制震構造 8,8’ ダンパー部 8a,8a’ 中央部 8b 一端 8c 他端 9 鋼管(筒状部材) 13 発泡材料 14 ジョイントプレート 15 第一の鋼板 16 第二の鋼板 18 粘弾性体 19 粘弾性ダンパー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物の架構の構面内に設置されて、前記
    架構の地震時の振動応答を低減するための制震構造であ
    って、 長尺に形成されて軸方向に変形可能とされたダンパー部
    を備えてなり、 該ダンパー部は、その一端が前記架構の一部に接合され
    るとともに、他端が前記架構の他の部分に接合され、な
    おかつ、その少なくとも中央部が、筒状部材の内部に挿
    通され、 前記筒状部材と前記ダンパー部との間には、発泡材料が
    充填されていることを特徴とする制震構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の制震構造であって、 前記ダンパー部は、極軟鋼からなる鉄骨材により形成さ
    れていることを特徴とする制震構造。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の制震構造であって、 前記ダンパー部は、前記中央部のうちの一定領域の断面
    積が、他の部分に比較して小とされていることを特徴と
    する制震構造。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の制震ダンパーであって、 前記ダンパー部は、複数の鋼板と、これら鋼板同士の間
    に充填された粘弾性体とを積層してなる粘弾性ダンパー
    により形成されていることを特徴とする制震構造。
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