JPH11190147A - ブレース構造 - Google Patents

ブレース構造

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JPH11190147A
JPH11190147A JP9361223A JP36122397A JPH11190147A JP H11190147 A JPH11190147 A JP H11190147A JP 9361223 A JP9361223 A JP 9361223A JP 36122397 A JP36122397 A JP 36122397A JP H11190147 A JPH11190147 A JP H11190147A
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JP
Japan
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brace
friction
building frame
friction damper
damper
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JP9361223A
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English (en)
Inventor
Isao Kamei
功 亀井
Takeshi Nakamura
嶽 中村
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Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
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Publication date
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  • Joining Of Building Structures In Genera (AREA)
  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Vibration Dampers (AREA)
  • Load-Bearing And Curtain Walls (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造をもって耐震性能の大幅な向上を
図ることができ、かつ、既存のブレース付き建物架構を
簡単に制振構造に改修できるようにしたブレース構造を
提供する。 【解決手段】 ブレース10の取付け部10bと建物架
構16との間に摩擦ダンパー20を介装する。摩擦ダン
パー20は、これの介装部分の一方に取付けられる摩擦
板22と、この摩擦板22に重ね合わされて介装部分の
他方に取付けられる滑り板24と、これら摩擦板22と
滑り板24とを圧接させる方向に押圧する付勢手段26
とからなる。付勢手段26は皿ばね28で構成し、当該
皿ばね28はそのたわみ量σが変化してもその発生弾発
力の変動がきわめて小さな領域R内を使用領域として設
定する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物架構に取り付
けられてこれを補強するブレースにあって、振動を吸収
して建物架構を制振するダンパー機能を備え、とりわ
け、ダンパーを摩擦ダンパーとして構成して、構造体の
変形や摩擦部分の摩耗によっても略一定した摩擦減衰力
を発生させることができるようにしたブレース構造に関
する。
【0002】
【従来の技術】中,高層建築物では、地震や風等の水平
力に対する抵抗要素として、例えば特公平4−1279
0号公報(Int.Cl.E04H 9/02)に開示されるブレース構
造を用いた建物架構が広く用いられている。ブレースは
山形鋼等の型鋼材を用い、ボルト接合によりこれを柱梁
架構に取り付けた構造とし、地震や風などにより発生す
るせん断荷重の多くの部分を上記ブレースにて負担する
ようになっている。
【0003】ブレースの耐力は、引張り力に対してはボ
ルトの耐力やボルト穴欠損を有するブレースの耐力、お
よびブレースを取付ける接合板の耐力などの最小値と
し、圧縮力に対しては、座屈耐力で算定するようになっ
ている。
【0004】ところで、一般的な従来(現行の耐震設計
法以前)の建物架構では、地震等の振動入力に対してブ
レースの引張りおよび圧縮に対する耐力のみで設計して
おり、その変形性能は考慮されていないし、ブレースの
接合部は母材の耐力を完全には伝達できる構成とはなっ
ていない。このため、ブレースの引張り力に対して母材
が全強度に達するまでに接合部が破断するので、耐力が
低く、かつ変形能が全くないという非常に耐震性能に劣
る構造となっている。
【0005】しかし、このような既存建築物の耐震補強
をするには変形性能を高めるために全ての接合部を切断
して改修する必要があり、これは現実的には困難であ
る。また、仮に接合部が改修されたとしても、ボルトの
滑りや繰り返し荷重に対する強度低下や圧縮座屈などに
よる劣化が起こってしまう。従って、一般には耐震補強
の方法としては、建物の強度を高める方法に依っている
ため、大規模な耐震改修工事となる等、建物使用の上か
ら実施困難な場合が多い。
【0006】そこで、最近の耐震設計法による地震時の
扱いは、ブレースの水平力分担化や細長比に応じ、その
変形性能を考慮して建物の必要耐力を定めている。ま
た、ブレースの接合部は母材の耐力が伝達できるだけの
強度を確保するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のブ
レースを設けた建物架構では、最近の耐震設計法にあっ
ても、ブレース構造は強度抵抗型の考え方で設計されて
いるが、経済的に建物の耐震性を高めようとすると、架
構の変形性能を高める必要があり、また、この変形性能
を高めようとすると、ブレースの細長比を小さくする必
要がある。このためにはブレース断面を大きくする必要
があり、剛性調整の問題やコストアップが来される。こ
の場合でも、建物の変形性能は柱梁ラーメン架構に比べ
ると劣るので、建物の必要耐力を高める必要がある。
【0008】即ち、ブレース母材が全強度に達するまで
に接合部が滑るので、繰り返し荷重に対して図8に示す
スリップ型の復元力特性となり、地震エネルギーの吸収
性能の面で望ましいとはいえない。
【0009】また、建物架構に入力された振動の減衰効
果を更に向上させるために、特開平5−10050号公
報(Int.Cl.E04H 9/02)に開示されるように、制振用の
ダンパを組み込むようにしたものがある。しかし、この
場合は鋼材ダンパが用いられ、ある程度以上の変形が生
じて鋼材が降伏するまではダンパとしての機能が得られ
ないという欠点がある。また、力の繰り返しによる疲労
によって性能が劣化するという問題がある。一方、広い
範囲の振動領域から減衰効果を得ることができる制振用
のダンパとして、上記鋼材ダンパ以外に摩擦力を利用し
た摩擦ダンパが知られている。この摩擦ダンパは、滑り
板に摩擦板をばねで押し付け、滑り板と摩擦板との間に
生じる摩擦力を利用して振動エネルギーを吸収するよう
になっている。即ち、上記摩擦ダンパでは摩擦力が、滑
り板に摩擦板を圧接させる圧接力と、これら両者間の摩
擦係数との積によって与えられ、このときの圧接力は、
ばね定数とばね変形量との積として得られる。
【0010】しかし、上記摩擦ダンパは、建物架構が地
震や風、荷重や温度伸縮等の外部要因によって変形した
り、摩擦板及び滑り板の摩耗によりその板厚が変化した
りすると、ばねの変形量が予め設定した値から変化し、
延いては、ばねの弾発力が変動してしまうため、摩擦係
数が一定であっても摩擦ダンパの摩擦力に変動が生じ、
延いては、摩擦ダンパによる摩擦減衰力を一定に維持す
ることができない。このように摩擦減衰力を一定に維持
することができないと、摩擦ダンパーを設計値通りに作
動させることができず、該摩擦ダンパーを設けた耐振壁
やブレースの機能が低下して建物架構に不慮の損害を生
じさせるおそれがあるという課題があった。
【0011】本発明はかかる従来の課題に鑑みて成され
たものであり、簡単な構造をもって耐震性能の大幅な向
上を図ることができ、かつ、既存のブレース付き建物架
構を簡単に制振構造に改修できるようにしたブレース構
造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の請求項1に示すブレース構造にあっては、
建物架構に取り付けられるブレースにあって、このブレ
ースの取付け部と建物架構との間、または該ブレース自
体の荷重作用経路の途中を分断した間に介装され、この
介装部分の一方に、摩擦板を取付けるとともに、上記介
装部分の他方に、該摩擦板と重なるように滑り板を取付
け、かつ、該摩擦板と滑り板とを圧接する方向に押圧す
る付勢手段を設けて摩擦ダンパーを構成し、該付勢手段
を、設定圧接力が加えられて弾発力の変動が小さい非線
形ばね領域内でたわみ変形される皿ばねで構成する。
【0013】また、本発明の請求項2に示すブレース構
造にあっては、上記摩擦ダンパーの滑り耐力強度を、上
記ブレースの降伏耐力や座屈耐力より低くしておく構造
とする。
【0014】以上の構成による本発明の作用を以下請求
項毎に述べる。
【0015】即ち、請求項1のブレース構造では、摩擦
ダンパーを一方の摩擦板と、これに重なるように他方に
取り付けられる滑り板と、これら摩擦板と滑り板とを圧
接させる付勢手段とで構成したので、該摩擦ダンパーを
簡単な構造にすることができる。そして、上記摩擦ダン
パーをブレースの取付け部と建物架構との間、または該
ブレース自体の荷重作用経路の途中を分断した間に介装
するようになっているので、既存の建物架構にあって
も、ブレースの取付け部を外すことにより、また、ブレ
ースの荷重作用経路となる部分を切断することにより、
上記摩擦ダンパーの取付けを簡単に行うことができるた
め、既存のブレース付き建物架構を簡単に制振構造に改
修できる。そして、このように制振構造として構成され
た建物架構は、上記摩擦ダンパーにより地震や風などに
より発生するエネルギーを吸収するのであるが、該摩擦
ダンパーの付勢手段を、設定圧接力が加えられて弾発力
の変動が小さい非線形ばね領域内でたわみ変形される皿
ばねで構成したので、種々の原因によって皿ばねの変形
量が上記非線形ばね領域内で変化した場合にあっても、
摩擦減衰力生成部に圧接力を生じさせる皿ばねの弾発力
の変動はきわめて小さくなる。従って、摩擦減衰力生成
部で発生される摩擦抵抗力を略一定に維持することがで
きるため、振動減衰能力が変動することを防止し、難し
いとされたエネルギー吸収能力の安定性向上が大幅に改
善されて、建物の耐震性能が向上される。
【0016】また、請求項2のブレース構造では、上記
摩擦ダンパーの滑り耐力を、上記ブレースの降伏耐力や
座屈耐力より低くしたので、ブレースやブレースの接合
部の降伏や、不安定現象を起こすブレースの座屈に先行
して上記摩擦板に滑りを生じさせることができる。この
ため、大地震時にもブレースが降伏したり座屈したりす
ることがないので、建物の被害が防止でき、再使用が可
能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図1か
ら図5は本発明のブレース構造の一実施形態を示し、図
1は摩擦ダンパーを取り付けたブレース取付け部の正面
図、図2は同側面図、図3はブレースの概略図、図4は
ブレース取付け部を示すもので(a)は上端部の正面
図,(b)はその側面図、(c)は下端部の正面図であ
る。また、図5は摩擦ダンパーの荷重変形性状の履歴特
性図である。
【0018】ところで、本実施形態のブレース構造は、
図3に示すように一般的に用いられるV形ブレース10
に例をとって本発明を説明するが、ブレース形態はこの
V形に限ることはない。この実施形態の上記V形ブレー
ス10は、左右鉄骨柱12と上下鉄骨梁14によって構
成された建物架構16に取り付けられ、該V形ブレース
10の中央部の取付け部10aが上方梁14の中央部に
結合されるとともに、二股状端部の取付け部10bは下
方梁14と左右柱12とのコーナ部に結合される。
【0019】上記ブレース10は山形鋼を用いて構成さ
れ、図4(a),(b)に示すように上端部側の取付け
部10aは、通常は鉄骨梁14に溶接された台形状のブ
ラケット18の両側を挟むようにして配置され、これら
を貫通するボルト,ナットを介して結合される。また、
図4(c)に示すように下端部の取付部10bは梁14
と柱12とのコーナー部に溶接されたブラケット18
に、後述する摩擦ダンパー20を介して接続される。
尚、上記ブレース10の構成材料は山形鋼に限ることな
く、他の形鋼若しくは所定の剛性を有する棒状部材で形
成してもよいことはいうまでもない。
【0020】ここで、本発明におけるブレース構造の基
本構成は、ブレース10の取付部10aまたは10bと
建物架構16との間、またはブレース10自体の荷重作
用経路の途中を分断した間に摩擦ダンパー20を介装す
るというものであるが、本実施形態では図1、図2及び
図4に示すようにブレース10の下端部側の取付け部1
0bと建物架構16との間に摩擦ダンパー20を介装す
るようにしている。
【0021】すなわち、この摩擦ダンパー20は、上記
介装部分の一方であるブラケット18に所定間隔をもっ
て平行配置される一対の摩擦板22,22を取付けると
ともに、上記介装部分の他方であるブレース10下端部
の取付部10bに、上記一対の摩擦板22,22間に滑
動自在に挿入されて重ね合わせられる滑り板24を取付
け、かつ、一対の摩擦板22,22間に滑り板24を挟
圧して圧接する方向に押圧する付勢手段26を設けて構
成してある。そして、特に該付勢手段26を、設定圧接
力が加えられて弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内
でたわみ変形される皿ばね28で構成してある。このと
き、上記摩擦板22,22と上記滑り板24とは、上下
関係を逆にして一対の摩擦板22,22をブレース10
下端部の取付部10bに、また滑り板24をブラケット
18に取り付けてもよい。
【0022】即ち、上記摩擦ダンパー20は、ブレース
10の取付け部10bとブラケット18との間に介装さ
れる。上記摩擦板22,22と滑り板24とはほぼ等し
い幅に形成され、これら摩擦板22,22と滑り板24
とが重なった部分に上記付勢手段26が設けられる。上
記摩擦板22,22は下端部が、上記ブラケット18の
両側を挟むようにしてボルト,ナット(溶接でもよい)
結合され、上端部がブラケット18より上方に突出され
る。
【0023】上記滑り板24は上端部が上記ブレース1
0の取付け部10bに挟まれるようにしてボルト,ナッ
ト(溶接でもよい)結合され、下端部が該取付け部10
aより下方に突出される。そして、滑り板24の下端部
が上記一対の摩擦板22,22間に相対摺動可能に挿入
される。このとき、滑り板24の厚さは上記ブラケット
18より僅かに厚く形成され、滑り板24の両面が摩擦
板22,22の対向面に接触される。摩擦板22,22
にはステンレス板や表面にステンレス板が設けられたク
ラッド鋼等が使用されると共に、滑り板24には摩擦係
数μが一定の部材、例えばμが小さい(0.2程度)も
のとしては四フッ化エチレンや超高分子量ポリエチレン
(例えば、ソマライト(商品名))等の摩擦材、μが中
くらい(0.5程度)のものとしては表面を平滑にした
ステンレス板等、さらにμが大きい(1.0程度)もの
としては表面を平坦にした鋼板等を用いて、これらから
必要に応じた摩擦係数μを有する材料を選択して形成さ
れる。
【0024】このとき、滑り板24には摩擦板22,2
2に挿入された部分にブレースの軸方向に沿って延びる
2条のガイド穴24aが平行に形成されるとともに、上
記摩擦板22,22にはこれらを貫通して上記ガイド穴
24a(ルーズホールでも可)に挿通される締付けボル
ト32が設けられる。従って、上記摩擦板22,22と
上記滑り板24とはブレースの長手方向に相対摺動可能
に連結される。また、上記摩擦板22,22と上記取付
け部10a先端との間および上記滑り板24と上記ブラ
ケット18先端との間に、これら摩擦板22,22と滑
り板24との相対移動を許容する隙間δが設けられる。
【0025】上記付勢手段26は、一対の摩擦板22,
22を貫通する上記締付けボルト32と、この締付けボ
ルト32が摩擦板22,22を貫通して突出した先端部
に嵌合される皿ばね28と、この皿ばね28をワッシャ
34介して押圧するナット36とによって構成される。
上記付勢手段26ではナット36を締め付けることによ
り皿ばね28を圧縮し、一対の摩擦板22,22を互い
に近接する方向に付勢して上記滑り板24を挟圧する。
従って、ナット36の締め付け度合いによって、上記皿
ばね28に最適な予圧力(設定圧接力)を付加できるよ
うになっている。このように取り付け状態で皿ばね28
に予圧力が付加されることにより、それぞれの皿ばね2
8は、ばねが変形してもその弾発力の変動がきわめて小
さいばね領域Rに達するようになっている。
【0026】ここで、上記ばね領域Rとは、設定圧接力
(予圧力)が加えられて弾発力の変動が小さい領域をい
い、そしてこの皿ばね28はこのばね領域R内で使用さ
れることになる。すなわち、皿ばね28のたわみ量σが
変化してもその発生弾発力の変動がきわめて小さな領域
R内を当該皿ばね28の使用領域として設定するように
なっている。
【0027】ところで、このようにした皿ばね28を用
いて構成された摩擦ダンパー20の滑り耐力は、これが
取り付けられる上記ブレース10が備えた降伏耐力や座
屈耐力より若干低くしておく構造とする。
【0028】以上の構成により本実施形態のブレース構
造にあっては、建物架構16に地震等によって水平方向
のせん断荷重が入力されると、鉄骨柱12および鉄骨梁
14のたわみ変形に伴って、建物架構16とブレース1
0の取付け部10a及び10bとの間に力が入力され、
これが摩擦ダンパー20に入力される。すると、滑り板
24の両面に摩擦板22,22が圧接された状態で、こ
れら両者は相対的に滑動して両者間に摩擦抵抗力を発生
し、この摩擦抵抗力をもって振動を効果的に減衰するこ
とができる。
【0029】このように本実施形態では、上記摩擦ダン
パー20を設けることにより制振効果を向上できるので
あるが、この摩擦ダンパー20が一対の摩擦板22,2
2と、これらの間に挿入される滑り板24と、当該摩擦
板22,22と滑り板24とを圧接させる付勢手段26
とで構成されるので、摩擦ダンパー20を簡単な構造に
することができる。そして、このような摩擦ダンパー2
0は、ブレース10の取付け部10bと建物架構16と
の間に介装できるので、既存の建物架構にあっても、ブ
レース10の取付け部10bを取り外すことにより、こ
の取り外し部分に上記摩擦ダンパー20を簡単に取付け
ることができる。このため、既存のブレース付き建物架
構16を大改修を加えることなく簡単に制振構造に改修
できる。勿論、本発明のブレース構造は、新たに構築さ
れる建物架構にあっても適用できる。尚、上記一対の摩
擦板22,22は片側のみの1枚構成としても良いこと
は云うまでもない。
【0030】ところで、上記皿ばね28は、設定圧接力
が加えられて弾発力の変動が小さい非線形ばね領域R内
でたわみ変形されるように設定されているため、種々の
原因によって皿ばね28の変形量が非線形ばね領域R内
で変化した場合にあっても、皿ばね28の弾発力の変動
はきわめて小さくなる。従って、摩擦板22,22と滑
り板24との間に発生される摩擦抵抗力を略一定に維持
することができるため、建物架構16に入力される振動
に対する減衰性能が変動することを防止することができ
る。
【0031】また、本実施形態のブレース10を用いた
建物架構16の荷重変形性状は図5に示すようになり、
減衰を大きくし、また変形性能が大となる関係上、耐震
性に著しく優れた結果を出すことができる。
【0032】そして、種々の原因によりばね領域R内で
皿ばね28の変形量が変化しても、一定した摩擦減衰力
を発生させることができるので、摩擦ダンパー20によ
る制振機能を設計値通りに発揮させることができる。従
って、これによりブレース10の信頼性を向上すること
ができ、延いては建物架構16を効果的に制振すること
ができる。また、皿ばね28にたわみ変形が生じても滑
り板22,22に加わる弾発力がほぼ一定で変動がない
ので、後々の複雑なメンテナンスを不要とすることがで
きる。
【0033】また、上記摩擦ダンパー20の滑り耐力
を、上記ブレース10の降伏耐力や座屈耐力より低くし
たので、ブレース10や当該ブレースの接合部が不安定
現象を起こすブレースの座屈発生よりも先行して、上記
摩擦ダンパー20の摩擦板22,と滑り板24との間に
滑りを生じさせることができる。このため、大地震時に
もブレース10が降伏したり座屈したりすることがない
ので、建物の被害が防止でき、再使用が可能になる。
【0034】図6,図7は他の実施形態を示し、上記実
施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明
を省略して述べる。尚、図6は摩擦ダンパーを取り付け
たブレース取付け部の正面図、図7は同側面図である。
【0035】即ち、この実施形態では図6,図7に示す
ように摩擦ダンパー20を、ブレース10自体の荷重作
用経路の途中を分断した間に介装するようにしたもので
ある。このブレース10の荷重作用経路とは、建物架構
16の歪みにより発生した荷重が作用する経路で、本実
施形態ではV字状のブレース10の取付け部10aから
二股状の一般部分に至る全体となる。また、この実施形
態にあっても上記摩擦ダンパー20は、一対の摩擦板2
2,22と滑り板24、および付勢手段26とによって
構成される。
【0036】そして、上記摩擦板22,22は上記ブレ
ース10を切断した一方の端部10cに取り付けられる
とともに、上記滑り板24はブレース10を切断した他
方の端部10dに取り付けられ、一対の摩擦板22,2
2間に滑り板24が挟み込まれる。このとき、この実施
形態では摩擦板22,22および滑り板24はブレース
10より若干幅広に形成されてブレース端部の3辺に沿
って溶接により上記端部10c,10dに結合される
が、上記実施形態と同様にボルト,ナット結合してもよ
い。
【0037】また、滑り板24のガイド穴24aを通っ
て摩擦板22,22を貫通する締付けボルト32に皿ば
ね28を介装してなる付勢手段26が設けられる。ま
た、この実施形態にあっても摩擦板22,22と滑り板
24とを逆にして、滑り板24を切断した上記一方の端
部10cに取付け、摩擦板22,22を切断した上記他
方の端部10dに取り付けることもできる。
【0038】従って、この実施形態にあってもブレース
10を切断するのみで、その切断箇所に摩擦ダンパー2
0を介装できるので、既存の建物架構16の制振構造へ
の改修を簡単に行うことができる。勿論、上記付勢手段
26の皿ばね28は、予圧力をもってばね特性の荷重−
変位関係が非線形となる領域Rに設定され、建物架構1
6を振動減衰するようになっている。すなわち、減衰能
力が変動することを防止した上記構成の摩擦ダンパー2
0により、設定にしたがった確実な振動減衰作用を確保
しつつ、ブレース10が本来有する耐振機能を有効に発
揮させて、建物架構16をより効果的に制振することが
できる。また、この実施形態にあっても上記摩擦ダンパ
ー20の破壊強度をブレース10の座屈耐力より低くし
て、大荷重の入力時にブレース10の損傷を防止して建
物架構16に大被害が被るのを防止できるようになって
いる。
【0039】ところで、上記各実施形態で皿ばね式の摩
擦ダンパー20を用いたブレース構造は、地震に対して
のみならず風による建物架構16の揺れに対しても有効
に作用することはいうまでもない。また、皿ばね28を
構成する皿ばね単体の組み合わせ配置構成は、本発明の
皿ばね28に求められる設定が可能である限り、種々に
変更して組み合わせて構成、例えば、複数枚を直列にま
たは並列に積層したり、その積層方向を正,逆に向けた
りすることができる。更に、各実施形態ではV形ブレー
ス20に本発明を適用した場合を開示したが、これに限
ることなくその他の各種ブレースに適用できることは勿
論である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
示すブレース構造にあっては、一方の摩擦板と、これに
重ね合わされる他方の滑り板と、これら摩擦板と滑り板
とを圧接させる付勢手段とによって簡単な構成で摩擦ダ
ンパーを形成でき、この摩擦ダンパーをブレースの取付
け部と建物架構との間、または該ブレース自体の荷重作
用経路の途中を分断した間に介装するようになってい
る。従って、既存の建物架構にあっても、ブレースの取
付け部を外すことにより、また、ブレースの荷重作用経
路となる部分を切断することにより、上記摩擦ダンパー
の取付けを簡単に行うことができるため、既存のブレー
ス付き建物架構を簡単に制振構造に改修できる。また、
上記摩擦ダンパーの付勢手段を、設定圧接力が加えられ
て弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内でたわみ変形
される皿ばねで構成したので、皿ばねの弾発力の変動を
きわめて小さくして摩擦ダンパーの摩擦抵抗力を略一定
に維持することができるため、振動減衰能力が変動する
ことを防止し、難しいとされたエネルギー吸収能力の安
定性向上が大幅に改善されて、建物の耐震性能を大幅に
向上することができる。
【0041】また、請求項2のブレース構造では、上記
摩擦ダンパーの滑り耐力を、上記ブレースの降伏耐力や
座屈耐力より低くしたので、ブレースや当該ブレースの
接合部が降伏したり、不安定現象を起こすブレースの座
屈発生に先行して、上記摩擦ダンパーの摩擦板同士を滑
らせることができる。このため、大地震時にもブレース
が降伏したり座屈したりすることがないので、建物全体
が倒壊するような被害が防止できるという優れた効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す摩擦ダンパーを取り
付けたブレース取付け部の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す摩擦ダンパーを取り
付けたブレース取付け部の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態が適用されるブレースの一
例を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態のブレース取付け部を示す
もので、(a)は上端部側の正面図,(b)はその側面
図、(c)は下端部側の正面図である。
【図5】本発明の一実施形態に用いられる摩擦ダンパー
の荷重変形性状の履歴特性図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す摩擦ダンパーを取
り付けたブレース取付け部の正面図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示す摩擦ダンパーを取
り付けたブレース取付け部の側面図である。
【図8】従来のブレース構造に用いられる摩擦ダンパー
の荷重変形性状の履歴特性図である。
【符号の説明】
10 ブレース 10a,10b 取付け部 16 建物架構 20 摩擦ダンパー 22 摩擦板 24 滑り板 26 付勢手段 28 皿ばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI E04B 2/56 652 E04B 2/56 652J F16F 7/08 F16F 7/08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物架構に取り付けられるブレースにあ
    って、このブレースの取付け部と建物架構との間、また
    は該ブレース自体の荷重作用経路の途中を分断した間に
    介装され、この介装部分の一方に摩擦板を取付けるとと
    もに、上記介装部分の他方に、該一方の摩擦板と重なる
    ように滑り板を取付け、かつ、該摩擦板と滑り板とを圧
    接する方向に押圧する付勢手段を設けて摩擦ダンパーを
    構成し、該付勢手段を、設定圧接力が加えられて弾発力
    の変動が小さい非線形ばね領域内でたわみ変形される皿
    ばねで構成したことを特徴とするブレース構造。
  2. 【請求項2】 上記摩擦ダンパーの滑り耐力強度を、上
    記ブレースの降伏耐力や座屈耐力より低くしておくこと
    を特徴とする請求項1に記載のブレース構造。
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