JP5668388B2 - 接合部の制振構造 - Google Patents

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Description

本発明は、相対移動可能な2つの部材の接合部の制振構造に関する。
相対移動可能な2つの部材としては、例えば建物の上下に位置し互いに相対移動する階層を有する建物が挙げられる。このような、建物の一部の階層には、揺れ等に対する補強部としてトラス構造部が設けられており、トラス構造部の、例えば下弦材の一部に摩擦力を発生させて建物の制振を行う摩擦ダンパーが設けられているものがある。摩擦ダンパーは、層間などにおいて、互いに相対移動する一方の部材に設けられた滑り材と、他方の部材に設けられた相手板とが、互いに所定の圧接力で圧接された状態で2つの部材が接合されており、2つの部材が相対移動して滑り材と相手板とが摺動する際に、建物の層間変位の振幅によらずほぼ一定の摩擦力を生じる。そして、この摩擦力を減衰力としてエネルギーを吸収して建物の揺れを低減する接合部の制振構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−002118号公報
しかしながら、このような従来型の摩擦ダンパーには、次のような問題がある。
大地震時の最大層間変位時には、建物等の構造体自身が大きく変形していることから、建物には大きな内力が生じている。このような時に、更に大きな外力が変形方向と逆向きに付与されると、その分だけ、更に内力が拡大して構造体の破壊限界強度に至り易くなる。上記摩擦ダンパーの減衰力は、変形方向と逆向きの外力として作用し、また、層間変位の大きさによらず常にほぼ一定の減衰力を発生する。つまり、上述の摩擦ダンパーによれば、構造体は、最大層間変位時の厳しい内力下においても、大きな減衰力が加えられることになり、その場合、構造体の破壊限界強度の大きさによっては建物が破損してしまう虞があるという課題がある。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、構造体が損傷することを回避することが可能な接合部の制振構造を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために本発明の接合部の制振構造は、
相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
を有し、
前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの一方の部材側に設けられた滑り板と、
前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの他方の部材側に設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
前記一方の部材と前記滑り板との間に介在された下板材と、
を有し、
前記下板材は、前記摩擦板が前記相対移動の方向に摺動して前記滑り板と対面する最大領域より狭く形成されており、
前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記下板材より突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造である。
2つの部材が相対移動自在に接合された接合部を有する構造物が振動して、2つの部材の間で相対移動が生じると、2つの部材の間で生じた相対移動により摩擦力を発生させて振動のエネルギーを吸収するのが一般的な摩擦ダンパーである。この摩擦力は、当該摩擦力が発生する部位の摩擦係数により、発生する摩擦力の大きさが相違する。そして、大きな振動のエネルギーを吸収させる場合には、摩擦力が発生する部位の摩擦係数が大きい方が望ましい。
一方、2つの部材の間で相対移動が生じると、2つの部材が取り付けられている構造物の各部位には内力が生じる。このような内力は、2つの部材が接合されている部位にも作用しており、相対移動量が大きな場合ほど大きな内力が作用する。さらに、大きな振動のエネルギーを吸収すべく設けられた摩擦ダンパーの2つの部材が相対移動した際には、2つの部材が接合されている部位には、変形方向と逆の方向に構造体を変形させる外力が作用する。このため、2つの部材が取り付けられている部位には、既に生じている内力に加えて外力も作用するため、より大きな力が作用する。すなわち、2つの部材が取り付けられている部位には、振動が大きいほど、また、摩擦力が発生する部位の摩擦係数が大きいほど大きな力が作用する。
上記接合部材の制振構造は、2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するので、2つの部材の相対移動量が所定の値を超えて大きな内力が生じるときに、摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下する。このため、2つの部材が取り付けられている部位に作用する力を抑えて、2つの部材が取り付けられている構造体が損傷を受けることを回避することが可能である。
また、2つの部材が相対移動したときに摩擦板と摺動して摩擦力を生じる滑り板と、摩擦板の反対側に位置する一方の部材との間に下板材が介在されており、下板材は摩擦板が相対移動方向に摺動して滑り板と対面する最大領域より狭く形成されているので、2つの部材が相対移動し、摩擦板が大きく相対移動すると滑り板の裏側に下板材が設けられていない部位と摩擦板が対面する。滑り板の裏側に下板材が設けられていない部位と摩擦板とが対面する位置では、圧接力付勢部材による圧接力が作用し難くなる。そして、圧接力が作用する面積が小さくなるため面圧が大きくなり、面圧が大きくなると摩擦係数が低下する。このため、2つの部材の相対移動が大きくなり、相対移動方向において摩擦板が下板材より突出すると摩擦係数を低下させることが可能である。このとき、相対移動量が大きくなるにつれて、相対移動方向における摩擦板の、下板材より突出する量が大きくなるので、相対移動方向において摩擦板が下板材より突出し始めた後は、相対移動量が大きくなるにつれて摩擦係数を低下させることが可能である。
また、相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
を有し、
前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの一方の部材側に設けられた滑り板と、
前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの他方の部材側に設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
を有し、
前記一方の部材は、前記他方の部材側に隆起する隆起部を有し、
前記隆起部は、前記摩擦板が前記相対移動の方向に摺動して前記滑り板と対面する最大領域より狭く形成されており、
前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記隆起部よりも突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造である。
このような接合部の制振構造によれば、2つの部材が相対移動したときに摩擦板と摺動して摩擦力を生じる滑り板の、摩擦板と反対側に位置する一方の部材に、他方の部材側に隆起する隆起部が設けられており、隆起部は摩擦板が相対移動方向に摺動して滑り板と対面する最大領域より狭く形成されているので、2つの部材が相対移動し、摩擦板が大きく相対移動すると滑り板の裏側に隆起部が設けられていない部位と摩擦板とが対面する。滑り板の、裏側に隆起部が設けられていない部位と摩擦板とが対面する位置では、圧接力付勢部材による圧接力が作用し難くなる。そして、圧接力が作用する面積が小さくなるため面圧が大きくなり、面圧が大きくなると摩擦係数が低下する。このため、2つの部材の相対移動が大きくなり、相対移動方向において摩擦板が隆起部より突出すると摩擦係数を低下させることが可能である。このとき、相対移動量が大きくなるにつれて、相対移動方向における摩擦板の、隆起部より突出する量が大きくなるので、相対移動方向において摩擦板が隆起部より突出し始めた後は、相対移動量が大きくなるにつれて摩擦係数を低下させることが可能である。
相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
を有し、
前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの一方の部材側に設けられた滑り板と、
前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの他方の部材側に設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
を有し、
前記滑り板は、前記相対移動の方向における中央側と両端部側とで表面粗さが相違することにより前記両端部側の前記摩擦係数が前記中央側より小さく形成されており、
前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記滑り板の前記両端部側へ突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造。
このような接合部の制振構造によれば、2つの部材が相対移動したときに摩擦板と摺動して摩擦力を生じる滑り板の、摩擦板が滑り板と摺動して相対移動量が所定の値を超えたときに対向する部位が、所定の値を超える前に摩擦板が対向する部位と表面粗さが相違することにより摩擦係数が小さく形成されている。このため、2つの部材の相対移動が大きくなり、摩擦板が、相対移動方向における両端部側に移動することにより、摩擦係数が中央側より低い両端部側の部位と対向する位置に突出するので発生する摩擦力を低減することが可能である。このとき、相対移動量が大きくなるにつれて、摩擦板が、摩擦係数が中央側より低い部位と対向する位置に突出する量が大きくなるので、相対移動方向において摩擦板が、摩擦係数が中央側より低い部位に突出し始めた後は、発生する摩擦力を漸次低減することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記一方の部材の、前記他方の部材と反対側に、前記一方の部材及び前記他方の部材と異なる第3の部材を有し、前記一方の部材と前記第3の部材との間に、前記滑り板と前記摩擦板とが設けられ、前記圧接力付勢部材により、前記一方の部材と前記第3の部材との間に前記圧接力が付勢されていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、一方の部材の、他方の部材と反対側に設けられた第3の部材と一方の部材との間に、滑り板と摩擦板とが設けられて、圧接力付勢部材により、一方の部材と第3の部材との間に圧接力が付勢されているので、一方の部材は、他方の部材側と第3の部材側との両側にて、滑り板と摩擦板とが摺動しつつ相対移動する。このため、相対移動により発生する摩擦力を大きくすることができるとともに、一方の部材に対して両側にて発生する摩擦力が大きく偏ることなくより安定した状態にて2つの部材を相対移動させることが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記一方の部材と前記第3の部材との間に設けられた前記滑り板と、前記一方の部材と、の間に、前記下板材が介在されていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、一方の部材と第3の部材との間に設けられた滑り板と、一方の部材との間に下板材が介在されているので、一方の部材と第3の部材との間においても、相対移動方向において摩擦板が下板材より突出したときに摩擦係数を低下させることが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記一方の部材は、前記第3の部材側に隆起する隆起部を有していることとしてもよい。
このような接合部の制振構造によれば、一方の部材と第3の部材との間に設けられた滑り板の、摩擦板と反対側に位置する一方の部材に、他方の部材側に隆起する隆起部が設けられているので、一方の部材と第3の部材との間においても、相対移動方向において摩擦板が隆起部より突出したときに摩擦係数を低下させることが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記一方の部材と前記第3の部材との間に設けられた前記滑り板は、前記相対移動の方向における中央側と両端部側とで表面粗さが相違することにより前記両端部側の前記摩擦係数が前記中央側より小さく形成されていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、2つの部材の相対移動が大きくなると、一方の部材と第3の部材との間においても、摩擦板が相対移動方向における両端部側に移動することにより、摩擦係数が中央側より低い両端部側の部位と対向する位置に突出するので、発生する摩擦力を低減させることが可能である。
相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
を有し、
前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
前記2つの部材は、互いに間隔を隔てて対向する一対の対向部材と、前記一対の対向部材間に介在された中間部材と、であり、
対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、前記中間部材側にそれぞれ設けられた滑り板と、
対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、各々の前記対向部材側にそれぞれ設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
前記中間部材と、少なくともいずれか一方の前記滑り板との間に介在された下板材と、
を有し、
前記下板材は、前記摩擦板が前記相対移動の方向に摺動して前記滑り板と対面する最大領域より狭く形成されており、
前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記下板材より突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造である。
このような接合部の制振構造によれば、対をなす対向部材の各々と中間部材との間にて、中間部材側にそれぞれ設けられた滑り板と、一対の対向部材と中間部材とが相対移動したときに滑り板と摺動して摩擦力が生じる摩擦板とが設けられているので、一対の対向部材と中間部材とが相対移動したときに、より大きな摩擦力を発生させることが可能である。また、中間部材と、少なくともいずれか一方の滑り板との間に下板材が介在されているので、一対の対向部材と中間部材の相対移動が大きくなり、相対移動方向において摩擦板が下板材より突出すると摩擦係数を低下させることが可能である。このとき、下板材が中間部材と、2枚の滑り板のいずれとの間にも介在されていると、摩擦係数をより低下させることが可能である。
相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
を有し、
前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
前記2つの部材は、互いに間隔を隔てて対向する一対の対向部材と、前記一対の対向部材間に介在された中間部材と、であり、
対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、前記中間部材側にそれぞれ設けられた滑り板と、
対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、各々の前記対向部材側にそれぞれ設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
を有し、
前記中間部材は、各々の前記対向部材の少なくともいずれか一方側に隆起する隆起部を有し、
前記隆起部は、前記摩擦板が前記相対移動の方向に摺動して前記滑り板と対面する最大領域より狭く形成されており、
前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記隆起部より突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造である。
このような接合部の制振構造によれば、対をなす対向部材の各々と中間部材との間にて、中間部材側にそれぞれ設けられた滑り板と、一対の対向部材と中間部材とが相対移動したときに滑り板と摺動して摩擦力が生じる摩擦板とが設けられているので、一対の対向部材と中間部材とが相対移動したときに、より大きな摩擦力を発生させることが可能である。また、中間部材に設けられ、各々の対向部材側に隆起する隆起部は、摩擦板が相対移動方向に摺動して滑り板と対面する最大領域より狭く形成されているので、一対の対向部材と中間部材の相対移動が大きくなり、相対移動方向において摩擦板が隆起部より突出すると摩擦係数を低下させることが可能である。このとき、隆起部が中間部材の両側に即ち2枚の滑り板側にそれぞれ設けられていると、摩擦係数をより低下させることが可能である。
相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
を有し、
前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
前記2つの部材は、互いに間隔を隔てて対向する一対の対向部材と、前記一対の対向部材間に介在された中間部材と、であり、
対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、前記中間部材側にそれぞれ設けられた滑り板と、
対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、各々の前記対向部材側にそれぞれ設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
を有し、
前記滑り板は、前記相対移動の方向における中央側と両端部側とで表面粗さが相違することにより前記両端部側の前記摩擦係数が前記中央側より小さく形成されており、
前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記滑り板の前記両端部側へ突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造。
このような接合部の制振構造によれば、対をなす対向部材の各々と中間部材との間にて、中間部材側にそれぞれ設けられた滑り板と、一対の対向部材と中間部材とが相対移動したときに滑り板と摺動して摩擦力が生じる摩擦板とが設けられているので、一対の対向部材と中間部材とが相対移動したときに、より大きな摩擦力を発生させることが可能である。また、対をなす対向部材と中間部材との相対移動が大きくなると、相対移動方向において摩擦板が、相対移動方向における両端部側に位置して相対移動方向における中央側と両端部側とで表面粗さが相違することにより両端部側の摩擦係数が中央側より低い部位に突出するので、摩擦係数を低下させることが可能である。このとき、2枚の滑り板のいずれも、相対移動方向における中央側と両端部側とで表面粗さが相違して両端部側の摩擦係数が中央側より低下するように構成されていると、発生する摩擦力をより低減させることが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記一対の対向部材のうちの一方の対向部材の、前記中間部材と反対側に、前記一方の対向部材と対をなす第3の対向部材と、前記一方の対向部材と前記第3の対向部材との間に介在された第2の中間部材と、を有し、前記第2の中間部材と、前記一方の対向部材及び前記第3の対向部材との間に、前記滑り板と前記摩擦板とがそれぞれ設けられ、前記圧接力付勢部材により、前記一方の対向部材と前記第3の対向部材との間に前記圧接力が付勢されていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、一方の対向部材の、中間部材と反対側に設けられた第3の対向部材と一方の対向部材との間に介在された第2の中間部材と、一方の対向部材及び第3の対向部材との間に滑り板と摩擦板とが設けられて、圧接力付勢部材により、一方の対向部材と第3の対向部材との間に圧接力が付勢されている。このため、一方の対向部材は、他方の部材側と第3の部材側との両側が、滑り板と摩擦板と摺動しつつ相対移動する。このため、相対移動により発生する摩擦力を大きくすることができるとともに、一方の部材に対して両側にて発生する摩擦力が大きく偏ることなくより安定した状態にて2つの部材を相対移動させることが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記一方の対向部材と前記第2の中間部材との間、及び、前記第3の対向部材と前記第2の中間部材との間に設けられた前記滑り板の少なくともいずれか一方と、前記第2の中間部材との間に、前記下板材が介在されていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、一方の対向部材と第2の中間部材との間、及び、第3の対向部材と第2の中間部材との間に設けられた滑り板の少なくともいずれか一方と、第2の中間部材との間に、下板材が介在されているので、一方の対向部材と第2の中間部材との間、及び、第3の対向部材と第2の中間部材との間においても、相対移動方向において摩擦板が下板材より突出すると摩擦係数を低下させることが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記第2の中間部材は、前記一方の対向部材及び前記第3の対向部材の少なくともいずれか一方の側に隆起する隆起部を有していることとしてもよい。
このような接合部の制振構造によれば、第2の中間部材が、一方の対向部材及び第3の対向部材の少なくともいずれか一方の側に隆起する隆起部を有しているので、一方の対向部材と第2の中間部材との間、及び、第3の対向部材と第2の中間部材との間においても、相対移動方向において摩擦板が隆起部より突出すると摩擦係数を低下させることが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記一方の対向部材と前記第2の中間部材との間、及び、前記第3の対向部材と前記第2の中間部材との間の少なくともいずれか一方に設けられた前記滑り板が、前記相対移動の方向における中央側と両端部側とで表面粗さが相違することにより前記両端部側の前記摩擦係数が前記中央側より小さく形成されていることとしてもよい。
このような接合部の制振構造によれば、一方の対向部材と第2の中間部材との間、及び、第3の対向部材と第2の中間部材との間の少なくともいずれか一方においても、2つの部材の相対移動が大きくなると、相対移動方向において摩擦板が、相対移動方向における両端部側に位置して相対移動方向における中央側と両端部側とで表面粗さが相違することにより両端部側の摩擦係数が中央側より小さく形成されている。このため、相対移動により摩擦板が、相対移動方向における両端部側に移動したときには発生する擦係力を低減させることが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記一方の部材は、互いに間隔を隔てて設けられた第1離間部材と第2離間部材とのうちの前記第1離間部材であり、前記他方の部材は、前記第1離間部材と前記第2離間部材との間に架け渡されて前記第2離間部材に固定されていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、第1離間部材と、当該第1離間部材と互いに間隔を隔てて設けられた第2離間部材とに架け渡されて第2離間部材に固定された他方の部材との相対移動量が所定の値を超えたときに、摩擦係数を低下させて制振することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記一方の部材は、互いに間隔を隔てて設けられた第1離間部材と第2離間部材とのうちの前記第1離間部材であり、前記第3の部材は、前記第1離間部材と前記第2離間部材との間に架け渡されて前記第2離間部材に固定されていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、第1離間部材と、当該第1離間部材と互いに間隔を隔てて設けられた第2離間部材とに架け渡されて第2離間部材に固定された第3の部材との相対移動量が所定の値を超えたときに、摩擦係数を低下させて制振することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記一対の対向部材のうちの一方の対向部材は、互いに間隔を隔てて設けられた第1離間部材と第2離間部材とのうちの前記第1離間部材であり、前記中間部材は、前記第1離間部材と前記第2離間部材との間に架け渡されて前記第2離間部材に固定されていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、第1離間部材と、当該第1離間部材と互いに間隔を隔てて設けられた第2離間部材とに架け渡されて第2離間部材に固定された中間部材との相対移動量が所定の値を超えたときに、摩擦係数を低下させて制振することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記一対の対向部材のうちの一方の対向部材は、互いに間隔を隔てて設けられた第1離間部材と第2離間部材とのうちの前記第1離間部材であり、前記第2の中間部材は、前記第1離間部材と前記第2離間部材との間に架け渡されて前記第2離間部材に固定されていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、第1離間部材と、当該第1離間部材と互いに間隔を隔てて設けられた第2離間部材とに架け渡されて第2離間部材に固定された第2の中間部材との相対移動量が所定の値を超えたときに、摩擦係数を低下させて制振することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記第1離間部材と前記第2離間部材とは、前記相対移動の方向と交差する交差方向に間隔を隔てた部位に各々固定されていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、互いに間隔を隔てた第1離間部材と及び第2離間部材の各々が固定されている方向と、相対移動方向とが交差する部位にて、相対移動量が所定の値を超えたときに、摩擦係数を低下させて制振することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記第1離間部材と前記第2離間部材は間柱を構成することが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、間柱を利用して、間柱の上部と下部との水平方向の相対移動の相対移動量が所定の値を超える振動を、摩擦係数を低下させて制振することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記第1離間部材と前記第2離間部材とは、前記相対移動の方向に間隔を隔てた部位に各々固定されていることとしてもよい。
このような接合部の制振構造によれば、互いに間隔を隔てた第1離間部材と及び第2離間部材の各々が固定されている方向と、相対移動方向とが一致するような部位にて、相対移動量が所定の値を超えたときに、摩擦係数を低下させて制振することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記第1離間部材と前記第2離間部材はブレースを構成することとしてもよい。
このような接合部の制振構造によれば、ブレースを利用して、ブレースの上部側と下部側とが架け渡された方向の相対移動の相対移動量が所定の値を超える振動を、摩擦係数を低下させて制振することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記圧接力付勢部材は、前記他方の部材側に設けられた皿ばねが、当該皿ばねと前記2つの部材を貫通するボルトがナットにて締め付けられて圧縮されて構成されており、前記2つの部材が前記所定の値を超えて相対移動して、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記下板材より突出することにより、前記皿ばねの圧縮が緩和されることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、2つの部材が所定の値を超えて相対移動して、相対移動方向において摩擦板が下板材より突出すると、皿ばねの下板材から突出した部位は、下板材の厚み分だけ圧縮が緩和されるので、圧接力が低下する。このため、2つの部材が所定の値を超えて相対移動したときには、皿ばねによる圧接力を低下させることによっても、2つの部材が取り付けられている部位に作用する力を低下させることが可能である。このため、2つの部材が取り付けられている構造体が損傷を受けることをより確実に回避することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記圧接力付勢部材は、前記他方の部材側に設けられた皿ばねが、当該皿ばねと前記2つの部材を貫通するボルトがナットにて締め付けられて圧縮されて構成されており、前記2つの部材が、前記所定の値を超えて相対移動して、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記隆起部より突出することにより、前記皿ばねの圧縮が緩和されることとしてもよい。
このような接合部の制振構造によれば、2つの部材が所定の値を超えて相対移動して、相対移動方向において摩擦板が隆起部より突出すると、皿ばねの隆起部から突出した部位は、隆起部の隆起高さ分だけ圧縮が緩和されるので、圧接力が低下する。このため、2つの部材が所定の値を超えて相対移動したときには、皿ばねによる圧接力を低下させることによっても、2つの部材が取り付けられている部位に作用する力を低下させることが可能である。このため、2つの部材が取り付けられている構造体が損傷を受けることをより確実に回避することが可能である。
本発明によれば、構造体が損傷を受けることを回避することが可能な接合部の制振構造を提供することにある。
本発明に係る接合部の制振構造を建物の間柱に組み込んだ状態の一例を示す斜視図である。 第1実施形態の摩擦ダンパーを正面から見た模式図である。 図2におけるA−A断面図である。 図4(a)は、図2におけるB−B断面図、図4(b)は、摩擦板と薄鋼板との位置関係を示すイメージ図である。 第1実施形態の摩擦ダンパーの振動エネルギー吸収履歴特性と図4の状態における滑り荷重を示す図である。 図6(a)は、相対移動方向において摩擦板が薄鋼板より突出したときの状態を示す断面図、図6(b)は、図6(a)の状態における摩擦板と薄鋼板との位置関係を示すイメージ図である。 第1実施形態の摩擦ダンパーの振動エネルギー吸収履歴特性と、図6の状態を示す図である。

図8(a)は、第1実施形態の摩擦ダンパーにおいて相対移動量が最も大きい状態を示す断面図、図8(b)は、図8(a)の状態における摩擦板と薄鋼板との位置関係を示すイメージ図である。 第1実施形態の摩擦ダンパーの振動エネルギー吸収履歴特性と、図8の状態を示す図である。 第1実施形態の摩擦ダンパーの第1変形例を示す横断面図である。 第1実施形態の摩擦ダンパーの第2変形例を示す横断面図である。 第1実施形態の摩擦ダンパーの第3変形例を示す横断面図である。 第2実施形態の摩擦ダンパーを示す縦断面図である。 第2実施形態の摩擦ダンパーを示す横断面図である。 第2実施形態の摩擦ダンパーにおいて相対移動量が最も大きいときの皿ばね積層体の状態を示す図である。 スプライスプレートに傾斜を設けて皿ばね積層体の圧接力を低減する摩擦ダンパーを示す横断面図である。 スプライスプレートを強制的に屈曲させて皿ばね積層体の圧接力を低減する摩擦ダンパーを示す横断面図である。 第2実施形態の摩擦ダンパーの第1変形例を示す横断面図である。 第2実施形態の摩擦ダンパーの第2変形例を示す横断面図である。 第2実施形態の摩擦ダンパーの第3変形例を示す横断面図である。 第3実施形態の摩擦ダンパーを示す横断面図である。 第3実施形態の摩擦ダンパーの第1変形例を示す横断面図である。 第3実施形態の摩擦ダンパーの第2変形例を示す横断面図である。 第3実施形態の摩擦ダンパーの第3変形例を示す横断面図である。
以下、本発明にかかる接合部の制振構造の第1実施形態について図を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る接合部の制振構造を建物の間柱に組み込んだ状態の一例を示す斜視図である。図2は、第1実施形態の摩擦ダンパーを正面から見た模式図である。図3は、図2におけるA−A断面図であり、図4(a)は、摩擦板と薄鋼板との位置関係を示すイメージ図、図4(b)は、図2におけるB−B断面図である。図5は、第1実施形態の摩擦ダンパーの振動エネルギー吸収履歴特性と図4の状態における滑り荷重を示す図である。
本発明の接合部の制振構造は、多層階ビルディング等の上階層と下階層との間に設けられる柱、梁、ブレース及び間柱などがボルトで接合されたボルト接合部にて、水平方向の相対移動を制振する摩擦ダンパーをなしている。
本実施形態では、図1に示すように、摩擦ダンパー20を間柱10に組み込んだ形態を例に挙げて説明する。
間柱10は、上階層3と下階層5との間にて上下を架け渡し方向として配置されている。また、間柱10は、その長手方向たる前記架け渡し方向の略中央の位置において分断されており、分断された端部を利用して摩擦ダンパー20を形成しつつ接合されている。
具体的には、図2〜図4に示すように、間柱10が上下方向に間隔を隔てるように分断されて、第1離間部材としての間柱下部11と、第2離間部材としての間柱上部12とをなしている。
間柱下部11と間柱上部12との、表裏面側にはそれぞれ、間柱下部11と間柱上部12とに架け渡された2枚のスプライスプレート21,22が設けられており、2枚のスプライスプレート21,22は、フィラープレート25を介して間柱上部12に高力ボルト16及びナット18にて固定されている。
間柱下部11と対向するように配置された2枚のスプライスプレート21,22と間柱下部11との間にはフィラープレート25の厚み相当の空隙が設けられている。2枚のスプライスプレート21,22と間柱下部11との間には、滑り板としての滑動板26と、摩擦板28とがそれぞれ介在されている。
間柱下部11と各スプライスプレート21,22との間において、滑動板26は、それぞれ間柱下部11側に配置され、摩擦板28は各スプライスプレート21,22側に配置されている。ここで、摩擦板28には、有機系摩擦材や無機系摩擦材を使用し得る。有機系摩擦材は、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成される。上記熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂,メラミン樹脂,フラン樹脂,ポリイミド樹脂,DFK樹脂,グアナミン樹脂,エポキシ樹脂,キシレン樹脂,シリコーン樹脂,ジアリルフタレーン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂などがある。一方、滑動板26は上述したステンレスやチタンなどの耐食性を有する材料によって形成される。
間柱下部11と滑動板26とには、相対移動方向に長い長孔11a、26aが設けられている。また、2枚のスプライスプレート21,22と摩擦板28とには、円形状の丸孔21a、22a、28aが設けられている。間柱下部11と一方の滑動板26との間には、間柱下部11及び滑動板26に設けられた長孔11a、26aに沿うように長孔11a、26aの両側に配置された下板材としての薄板状をなす薄鋼板34が設けられている。
2枚のスプライスプレート21,22、間柱下部11、2対の滑動板26及び摩擦板28には、それらに設けられた長孔11a、26a又は丸孔21a、22a、28aには高力ボルト16が貫通されている。
高力ボルト16は、一方のスプライスプレート21の、間柱下部11と反対側に設けられ複数の皿ばねが重ねられた皿ばね積層体30を貫通するとともにナット18が螺合されている。このとき、高力ボルト16の頭部16aと他方のスプライスプレート22との間、一方のスプライスプレート21と皿ばね積層体30との間、皿ばね積層体30とナット18との間にはそれぞれワッシャー45が介在されている。また、皿ばね積層体30と高力ボルト16との間には、皿ばね積層体30の内周側に入り込み各皿ばねの位置を規制するブッシュ46が設けられている。
皿ばね積層体30は、高力ボルト16にナット18が螺合されて締め込まれることにより圧縮され、2枚のスプライスプレート21,22の間に圧接力を付勢する圧接力付勢部材である。間柱上部12に固定された2枚のスプライスプレート21,22と、間柱下部11とは皿ばね積層体30による圧接力が付勢されつつ水平方向に相対移動可能に構成され、2枚のスプライスプレートと間柱下部11とが相対移動したときには、摩擦板28と滑動板26とが摺動して摩擦力が生じるように構成されている。
ここで、摩擦板28と薄鋼板34の相対移動方向の幅は、間柱下部11と滑動板26とに設けられた長孔11a、26aの相対移動方向の長さより僅かに広く形成されており、滑動板26の相対移動方向の幅は、2枚のスプライスプレート21,22と間柱下部11とが最も大きく相対移動したときに、摩擦板28が滑動板26から外れない幅に形成されている。即ち、薄鋼板34は、摩擦板28が相対移動方向に摺動して滑動板26と対面する最大領域より狭く形成されている。
第1実施形態の摩擦ダンパー20においては、相対移動する2つの部材のうちの一方の部材は間柱下部11に相当し、間柱下部11の薄鋼板34が設けられている側に位置するスプライスプレート(以下、第1スプライスプレートという)21が他方の部材に相当し、間柱下部11の、他方の部材となるスプライスプレートと反対側に設けられているスプライスプレート(以下、第2スプライスプレートをいう)22が第3の部材に相当する。
第1実施形態の接合部の制振構造をなす摩擦ダンパー20は、間柱10が設けられている建物に振動の入力が無い状態、即ち、図5に示すように、変形量δが0のときには間柱下部11と2枚のスプライスプレート21,22とが、大きな静摩擦力をもって固定状態が維持されている。このとき、間柱下部11と第1スプライスプレート21との間に介在されている摩擦板28は、滑動板26を介して設けられている薄鋼板34と、相対移動方向における全幅に渡って重なっているので、摩擦板28の全幅に渡って皿ばね積層体30による付勢力が作用している。
そして、建物に振動が入力されることによりこの固定状態から小さな動摩擦力を伴う相対移動状態に移行する際に大きな反発力が発生する。このとき、皿ばね積層体30を設けたことにより、皿ばね積層体30による高力ボルト16の軸力Nにより摩擦板28と滑動板26との間にて摩擦力(滑り荷重)Psが発生し、摩擦力による振動減衰機能が発揮される。また、このとき建物の各部位には変形による内力が生じる。このような内力は、間柱下部11と、2枚のスプライスプレート21,22が固定されている間柱上部12と、が取り付けられている上階層3や下階層5にも作用しており、相対移動量が大きな場合ほど大きな内力が作用する。
図6は、相対移動方向において摩擦板が薄鋼板より突出したときの状態を示す断面図である。図7は、第1実施形態の摩擦ダンパーの振動エネルギー吸収履歴特性と図6の状態における滑り荷重を示す図である。
建物に入力された振動が更に大きく、間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21,22との相対移動量が所定の値を超えたとき、すなわち、摩擦板28の、相対移動方向における先端28bが薄鋼板34の、相対移動方向における先端34aを超えて相対移動したとき、摩擦板28の先端28bが薄鋼板34の先端34aを越えた分だけ、高力ボルト16の軸力Nが作用する面積が減少する。
具体的には、図6に示すように、相対移動方向において摩擦板28の先端28bが薄鋼板34の先端34aを越えたときには、摩擦板28と接触している滑動板26と、間柱下部11との間に空隙が生じるので、摩擦板28の先端28bが薄鋼板34の先端34aを越えた部分には高力ボルト16の軸力Nが作用しない。このとき、高力ボルト16の軸力Nがほぼ変化することなく作用しているので、摩擦板28と滑動板26との間にて作用する面圧が大きくなる。面圧が大きくなると摩擦板28と滑動板26との間の摩擦係数が低下するので、摩擦板28と滑動板26との間に発生する摩擦力が低減し、図7に示すように摩擦力による振動減衰機能が低下する。このとき、間柱下部11と、2枚のスプライスプレート21,22が固定されている間柱上部12と、が取り付けられている上階層3や下階層5に作用する内力は、相対移動の大きさに伴って増大するが、摩擦ダンパー20により上階層3や下階層5に作用する負荷は低減される。
そして、建物に入力された振動が更に大きくなっていくと、相対移動方向における摩擦板28の先端28bが薄鋼板34の、相対移動方向における先端34aより相対移動方向に突出する量が、大きくなっていく。このとき、摩擦板28の突出量が大きくなるにつれて面圧が大きくなり、もって、摩擦板28と滑動板26との間の摩擦係数が低下していく。そして、間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21,22との相対移動量が最大となると、摩擦板28と滑動板26との間に発生する摩擦力が最小となり、その後、間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21,22との相対移動方向が反転する。
図8は、相対移動方向において摩擦板が薄鋼板より最も突出したときの状態を示す断面図である。図9は、第1実施形態の摩擦ダンパーの振動エネルギー吸収履歴特性と図8の状態における滑り荷重を示す図である。
間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21、22との相対移動方向が反転し始めると、摩擦板28と、滑動板26を介して重なっている薄鋼板34との重なり代が増加し始める。摩擦板と薄鋼板34との重なり代が増加し始めると、摩擦板28と滑動板26との間にて作用する面圧が小さくなる。面圧が小さくなると摩擦板28と滑動板26との間の摩擦係数が大きくなるので、摩擦板28と滑動板26との間に発生する摩擦力が増大し、摩擦力による振動減衰機能が向上する。このとき、間柱下部11と、2枚のスプライスプレート21,22が固定されている間柱上部12と、が取り付けられている上階層3や下階層5に作用する内力は、相対移動の大きさに伴って低減するが、摩擦ダンパー20により上階層3や下階層5に作用する負荷は増大する。
このように、第1実施形態の摩擦ダンパー20は、間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21,22が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、振動のエネルギーが吸収されるように構成されており、間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21,22の相対移動量が、摩擦板28の、相対移動方向における先端28bが薄鋼板34の、相対移動方向における先端34aを超えたときに摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下し、摩擦力による振動減衰機能が低下するように構成されている。
第1実施形態の摩擦ダンパー20によれば、間柱下部11と間柱上部12とが相対移動したときに摩擦板28と摺動して摩擦力を生じる滑動板26と間柱下部11との間に介在された薄鋼板34が、摩擦板28が相対移動方向に摺動して滑動板26と対面する最大領域より狭く形成されているので、間柱下部11と間柱上部12とが相対移動して摩擦板28が大きく相対移動すると、滑動板26の裏側に薄鋼板34が設けられていない部位と対面する。滑動板26の裏側に薄鋼板34が設けられていない部位と摩擦板28とが対面する位置では、皿ばね積層体30による圧接力が作用する面積が小さくなり、面圧が大きくので摩擦係数が低下する。即ち、間柱下部11と間柱上部12との相対移動が大きくなり、相対移動方向において摩擦板28が薄鋼板34より突出すると摩擦係数が低下する。このとき、相対移動量が大きくなるにつれて、相対移動方向における摩擦板28の、薄鋼板34より突出する量が大きくなるので、相対移動方向において摩擦板28が薄鋼板34より突出し始めた後は、相対移動量が大きくなるにつれて摩擦係数が低下する。
このため、間柱下部11と間柱上部12との相対移動量が所定の値、すなわち、相対移動方向における摩擦板28の先端28bが薄鋼板34の先端34aを越えたときに摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するので、間柱下部11と間柱上部12とが取り付けられている部位に作用する力を低減させて、間柱下部11と間柱上部12が取り付けられている上階層3や下階層5が損傷を受けることを回避することが可能である。
図10は、第1実施形態の第1変形例を示す横断面図である。
第1実施形態の摩擦ダンパー20では、間柱下部11と、第1スプライスプレート21側の滑動板26との間に薄鋼板34が設けられている例について説明したが、図10に示す第1実施形態の第1変形例ように、間柱下部11と、第2スプライスプレート22側の滑動板26と、の間にも薄鋼板34が設けられていてもよい。この場合には、第1スプライスプレート21側でも、第2スプライスプレート22側でも、相対移動方向における摩擦板28の先端28bが薄鋼板34の先端34aを越えたときに摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下し、摩擦ダンパー20の振動に対する減衰力を低減させることが可能である。このため、第1実施形態の場合より、作用する減衰力を大きく変化させることが可能である。また、このとき、第1スプライスプレート21側に設けられた薄鋼板34と、第2スプライスプレート22側に設けられた薄鋼板34の、相対移動方向における幅を互いに相違させておくと、相対移動方向における摩擦板28の先端28bが薄鋼板34の先端34aを越えるタイミングを、間柱下部11の両側にて相違させることが可能である。即ち、一方の摩擦板28の先端が薄鋼板34の先端を越えたときに一方側にて摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下し、他方の摩擦板28の先端が薄鋼板34の先端を越えたときに他方側にて摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下する。このように構成された摩擦ダンパー20によれば、振動に対する減衰力を段階的に低下させることが可能である。
図11は、第1実施形態の摩擦ダンパーの第2変形例を示す横断面図である。
上記実施形態においては、間柱下部11の両側にスプライスプレート21,22を設けた例について説明したが、これに限るものではない。例えば、図11に示すように、スプライスプレート21が間柱下部11の一方側のみに設けられていてもよい。
図12は、第1実施形態の摩擦ダンパーの第3変形例を示す横断面図である。上記実施形態では、間柱下部11と滑動板26との間に、薄鋼板34を介在させた例について説明したが、これに限るものではない。例えば、図12に示すように、間柱下部11の、上記実施形態にて薄鋼板34が設けられていた部位に滑動板26側に隆起する隆起部36が設けられていてもよい。このとき、隆起部36は、プレス加工等により隆起させて形成されていても良いし、間柱下部11とは別の板部材が溶接等により固定されて一体化された隆起部36が設けられていてもよい。
この場合には、隆起部36は、薄鋼板34と同様に作用し間柱下部11と間柱上部12が相対移動するときには、摩擦板28が大きく相対移動すると滑動板26の裏側に隆起部36が設けられていない部位と対面する。滑動板26の裏側に隆起部36が存在しない場合には、皿ばね積層体30による圧接力が作用する面積が小さくなり、面圧が大きくなる。面圧が大きくなると摩擦係数が低下するため、間柱下部11と間柱上部12との相対移動が大きくなり、相対移動方向において摩擦板28が、間柱下部11の隆起部36より突出すると摩擦係数を低下させることが可能である。このとき、相対移動量が大きくなるにつれて、相対移動方向における摩擦板28の、隆起部36より突出する量が大きくなるので、相対移動方向において摩擦板28が隆起部36より突出し始めた後は、相対移動量が大きくなるにつれて摩擦係数を漸次低下させることが可能である。
このため、間柱下部11と間柱上部12との相対移動量が所定の値、すなわち、相対移動方向における摩擦板28の先端28bが隆起部36の先端36aを越えたときに摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するので、間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21,22が固定されている間柱上部12が取り付けられている部位に作用する力を低減させて、間柱下部11と間柱上部12とが取り付けられている上階層3や下階層5が損傷を受けることを回避することが可能である。
図13は、第2実施形態の摩擦ダンパーを示す縦断面図であり、図14は、第2実施形態の摩擦ダンパーを示す横断面図である。以下の説明においては、上記実施形態と同様の部位及び部材については同符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の摩擦ダンパー50は、第1実施形態のように配置された第1スプライスプレート21の間柱下部11と反対側に、一方の対向部材としての間柱下部11と対をなす他の対向部材としての第3スプライスプレート23を有し、第2スプライスプレート22の間柱下部11と反対側に、一方の対向部材としての間柱下部11と対をなす第3の対向部材としての第4スプライスプレート24を有している。第3スプライスプレート23と第4スプライスプレート24は、間柱上部12側に架け渡されることなく、間柱下部11側のみに重ねられている。第3スプライスプレート23と第1スプライスプレート21との間、第4スプライスプレート24と第2スプライスプレート22との間にも、それぞれ摩擦板28と滑動板26とが介在されている。ここで、第2実施形態の第1スプライスプレート21、第2スプライスプレート22、間柱下部11に設けられて高力ボルト16が貫通される孔は第1実施形態と相違している。
第2実施形態の摩擦ダンパー50では、第1スプライスプレート21と第2スプライスプレート22に、相対移動方向に沿って長孔21b、22bが形成されており、間柱下部11、第3スプライスプレート23、及び第4スプライスプレート24に丸孔23a、24aが形成されている。第3スプライスプレート23と第1スプライスプレート21との間では、第1スプライスプレート21側に滑動板26が、第3スプライスプレート23側に摩擦板28が配置されている。また、滑動板26と第1スプライスプレート21との間には薄鋼板34が介在されている。第1スプライスプレート21と間柱下部11との間では、第1スプライスプレート21側に滑動板26が、間柱下部11側に摩擦板28が配置されている。第4スプライスプレート24と第2スプライスプレート22との間では、第2スプライスプレート22側に滑動板26が、第4スプライスプレート24側に摩擦板28が配置され、第2スプライスプレート22と間柱下部11との間では、第2スプライスプレート22側に滑動板26が、間柱下部11側に摩擦板28が配置されている。また、各摩擦板28には丸孔28aが形成されており、各滑動板26には長孔26aが形成されている。
4枚のスプライスプレート21,22,23,24、間柱下部11、4対の滑動板26及び摩擦板28には、それらに設けられた長孔21b,22b,26a又は丸孔11a,23a、24a,28aに、パイプ部材17に挿通された高力ボルト16が貫通されている。
高力ボルト16は、第3スプライスプレート23の、間柱下部11と反対側に設けられた皿ばね積層体30を貫通するとともにナット18が螺合されている。皿ばね積層体30は、高力ボルト16にナット18が螺合されて締め込まれることにより圧縮され、4枚のスプライスプレート21,22,23,24の間に圧接力を付勢している。間柱上部12に固定された第1及び第2スプライスプレート21,22と、間柱下部11、第3及び第4スプライスプレート23,24とは皿ばね積層体30による圧接力が付勢されつつ水平方向に相対移動可能に構成されている。第1及び第2スプライスプレート21,22と、間柱下部11、第3及び第4スプライスプレート23,24とが相対移動したときには、第1及び第2スプライスプレート21,22と間柱下部11との間、第1スプライスプレート21と第3スプライスプレート23との間、第2スプライスプレート22と第4スプライスプレート24との間にて、各々対面する摩擦板28と滑動板26とが摺動して摩擦力が生じるように構成されている。
第2実施形態において、2つの部材は、間柱上部12に固定された第1及び第2スプライスプレート21,22と間柱下部11とであるが、間柱下部11側には、高力ボルト16及びパイプ部材17により間柱下部11と一体となって移動する第3及び第4スプライスプレート23,24も含まれる。第2実施形態においては、間柱下部11と第3スプライスプレート23、及び、間柱下部11と第4スプライスプレート24がそれぞれ対向する一対の対向部材に相当する。また、間柱下部11が対をなす対向部材のうちの一方の対向部材に相当し、第3スプライスプレート23が他方の対向部材に相当し、第1スプライスプレート21が一対の対向部材間に介在された中間部材に相当する。また、間柱下部11と第4スプライスプレート24とが対向する一対の対向部材であり、一方の対向部材と対向する第3の対向部材に第4スプライスプレート24が相当し、第2中間部材には第2スプライスプレート22が相当する。
第2実施形態の摩擦ダンパー50は、建物に振動が入力されることによりこの固定状態から小さな動摩擦力を伴う相対移動状態に移行する際に大きな反発力が発生する。このとき、皿ばね積層体30による高力ボルト16の軸力Nにより、4カ所に介在されている摩擦板28と滑動板26との間にて摩擦力が発生し、摩擦力による振動減衰機能が発揮される。このとき建物の各部位には変形による内力が生じ、このような内力は、間柱下部11と、第1及び第2スプライスプレート21,22が固定されている間柱上部12と、が取り付けられている上階層3や下階層5にも作用する。
そして、建物に入力された振動が更に大きく、間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21,22との相対移動量が、第1スプライスプレート21と第3スプライスプレート23との間に設けられた薄鋼板34の、相対移動方向における先端34aを摩擦板28の、相対移動方向における先端28bが超えて相対移動したときに、第1スプライスプレート21と第3スプライスプレート23との間では、摩擦板28の先端28bが薄鋼板34の先端34aを越えた分だけ、高力ボルト16の軸力Nが作用する面積が減少する。このとき、ボルト16の軸力Nがほぼ変化することなく作用しているので、摩擦板28と滑動板26との間にて作用する面圧が大きくなり、摩擦板28と滑動板26との間の摩擦係数が低下して摩擦板28と滑動板26との間に発生する摩擦力が低減し摩擦力による振動減衰機能が低下する。
一方、薄鋼板34が設けられていない、第1スプライスプレート21と間柱下部11との間、第2スプライスプレート22と間柱下部11との間、第2スプライスプレート22と第4スプライスプレート24との間では、摩擦板28と滑動板26とが対面している範囲で、一定の摩擦力による振動減衰機能が発揮される。即ち、図13,図14の例では、第1スプライスプレート21と第3スプライスプレート23との間では、間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21,22との相対移動量が、所定量より大きくなると振動減衰機能が低下し、その他の摩擦板28と滑動板26との間では一定の振動減衰機能が維持される。このため、第2実施形態の摩擦ダンパー50全体としては、第1実施形態より高い振動減衰機能が発揮され、間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21,22との相対移動量が所定量より大きくなったときには、より大幅に振動減衰機能が低下するように構成されている。
第2実施形態の摩擦ダンパー50によれば、対をなす間柱下部11及び第3スプライスプレート23の各々と第1スプライスプレート21との間に、滑動板26と、滑動板26と摺動して摩擦力が生じる摩擦板28とが設けられ、対をなす間柱下部11及び第4スプライスプレート24の各々と第2スプライスプレート22との間に、滑動板26と、滑動板26と摺動して摩擦力が生じる摩擦板28とが設けられているので、いずれか一方の対をなす対向部材間に中間部材としての第1または第2スプライスプレート21,22との間に滑動板26及び摩擦板28が設けられている場合より大きな摩擦力を発生させることが可能である。また、第1スプライスプレート21と、第3スプライスプレート23との間に設けられた滑動板26と第1スプライスプレート21との間に薄鋼板34が介在されているので、間柱下部11側と間柱上部12側との相対移動が大きくなり、相対移動方向において摩擦板28が薄鋼板34より突出すると摩擦係数を低下させることが可能である。このため、間柱下部11と第1及び第2のスプライスプレート21,22が固定されている間柱上部12が取り付けられている上階層3や下階層5が損傷を受けることを回避することが可能である。
図15は、第2実施形態の摩擦ダンパーにおいて相対移動量が最も大きいときの皿ばね積層体の状態を示す図である。
第2実施形態の摩擦ダンパー50の第1スプライスプレート21と第2スプライスプレート22は、第1実施形態と同様に、間柱上部12と間柱下部11とに架け渡されて間柱上部12に固定されているので、間柱上部12側と間柱下部11側とが相対移動して、相対移動方向において摩擦板28の先端28bが薄鋼板34の先端34aを越えたとしても変形し難い。ところが、第2実施形態の第3スプライスプレート23と第4スプライスプレート24は、間柱上部12と間柱下部11とに架け渡されても、間柱上部12に固定されてもいないので変形し易い。このため、間柱上部12側と間柱下部11側とが相対移動して、相対移動方向において摩擦板28の先端28bが薄鋼板34の先端34aを越えると、図15のように、皿ばね積層体30の付勢力により薄鋼板34の厚み分だけ第3スプライスプレート23と第4スプライスプレート24が変形するとともに皿ばね積層体30の圧縮が緩和される。このため、間柱上部12側と間柱下部11側とが相対移動して、相対移動方向において摩擦板28の先端28bが薄鋼板34の先端34aを越えたときには、皿ばね積層体30の圧接力が低減されることによっても、間柱下部11と第1及び第2のスプライスプレート21,22が取り付けられている間柱上部12が取り付けられている上階層3や下階層5が損傷を受けることを回避することが可能である。
図16は、スプライスプレートに傾斜を設けて皿ばね積層体の圧接力を低減する摩擦ダンパーを示す横断面図である。図17は、スプライスプレートを強制的に屈曲させて皿ばね積層体の圧接力を低減する摩擦ダンパーを示す横断面図である。
間柱上部12側と間柱下部11側との相対移動に伴って皿ばね積層体30の圧接力を緩和する方法としては、例えば図16に示すように皿ばね積層体30が設けられている側のスプライスプレート(ここでは、第1スプライスプレート)21の厚みを相対移動方向の中央から外側に向かって薄くした薄肉傾斜部21cを備えたり、図17に示すように、間柱上部12側と間柱下部11側とが相対移動すると、第3スプライスプレート23と接触して当該第3スプライスプレート23を間柱下部11側に湾曲させる規制部21dを備えていても良い。
また、第2実施形態の摩擦ダンパー50は、第3スプライスプレート23と第4スプライスプレート24との間に圧接力を付勢する皿バネ積層体30を圧縮する高力ボルト16がパイプ部材17に挿通されているので、間柱下部11と間柱上部12とが相対移動した際に、高力ボルト16とパイプ部材17とがともに挿通されている、間柱下部11、第3及び第4スプライスプレート23,24と、第1及び第2スプライスプレート21,22が、高力ボルト16に直接接触しない。このため、間柱下部11、第3及び第4スプライスプレート23,24と、第1及び第2スプライスプレート21,22とが相対移動しても高力ボルト16に剪断力が作用することを防止することが可能である。また、パイプ部材17は、間柱下部11、第3及び第4スプライスプレート23,24の丸孔23a,24aに貫通しているので、建物に入力された振動が間柱下部11に伝達されると、伝達された振動を、パイプ部材17を介して第3及び第4スプライスプレート23,24に伝達し、第3及び第4スプライスプレート23、24を間柱下部11とほぼ同様に移動させることが可能である。このため、より効率良く摩擦ダンパー50を機能させることが可能である。
図18は、第2実施形態の摩擦ダンパーの第1変形例を示す横断面図である。図19は、第2実施形態の摩擦ダンパーの第2変形例を示す横断面図である。図20は、第2実施形態の摩擦ダンパーの第3変形例を示す横断面図である。
第2実施形態の摩擦ダンパー50では、第1スプライスプレート21と第3スプライスプレート23との間の滑動板26と第1スプライスプレート21との間に薄鋼板34を介在させた例について説明したが、薄鋼板34を介在させる位置はこれに限るものではない。例えば、図18に示すように、第2スプライスプレート22と第4スプライスプレート24との間の滑動板26と、第2スプライスプレート22との間に薄鋼板34が介在されていたり、また、間柱下部11と第1スプライスプレート21との間の滑動板26と第1スプライスプレート21との間、間柱下部11と第2スプライスプレート22との間の滑動板26と第2スプライスプレート22との間のいずれか、または、それらの両方に薄鋼板34を介在させても良い。この場合には、間柱下部11側と間柱上部12側とが所定の値より大きく相対移動したときに、より大幅に摩擦係数を低下させることが可能である。
このように、間柱下部11の両側に、間柱上部12に接合された第1及び第2スプライスプレート21,22を備え、さらに、第1及び第2スプライスプレート21,22の、間柱下部11の反対側に第3及び第4スプライスプレート23,24を備えると、相対移動により発生する摩擦力をより大きくすることができるとともに、間柱下部11に対して両側にて発生する摩擦力が大きく偏ることなくより安定した状態にて間柱上部12と間柱下部11とを相対移動させることが可能である。
一方、図19に示すように、間柱下部11の一方側のみに、間柱上部12に接合されたスプライスプレート21を備え、そのスプライスプレート21の、間柱下部11の反対側にさらなるスプライスプレート23を備えた形態であっても構わない。
第2実施形態の摩擦ダンパー50においては、摩擦板28と滑動板26との摩擦係数を低下させるために面圧を上げるべく滑動板26の、摩擦板28と反対側に薄鋼板34を介在させた例について説明したが、第2実施形態においても、第1実施形態の第3変形例のように、図20に示すような、滑動板26の、摩擦板28と反対側であって、薄鋼板34が設けられていた部位を隆起させた隆起部36を間柱下部11に設けてもよい。このとき、間柱下部11には、プレス加工等により隆起されて隆起部36を設けても良いし、間柱下部11とは別の板部材が溶接等により固定されて一体化されることにより、間柱下部11を滑動板26側に隆起させた隆起部36を形成しても良い。
この場合にも、隆起部36が、薄鋼板34と同様に作用し、間柱下部11と間柱上部12とが相対移動して摩擦板28が大きく移動すると、滑動板26が、裏側に隆起部36が存在しない部位と対面することにより、皿ばね積層体30による圧接力が作用する面積が小さくなり、面圧が大きくなって摩擦係数を低下させることが可能である。このため、間柱下部11と間柱上部12との相対移動が大きくなり、相対移動方向において摩擦板28が、間柱下部11の隆起部36より突出すると摩擦係数を低下させて、間柱下部11と間柱上部12が取り付けられている部位に作用する力を低減させて上階層3や下階層5が損傷を受けることを回避することが可能である。
図21は、第3実施形態の摩擦ダンパーを示す断面図である。
第3実施形態の摩擦ダンパー55は、たとえば、第1実施形態のような、間柱10が上下方向に間隔を隔てるように分断された間柱下部11と間柱上部12との、表裏面側に、それぞれ間柱下部11と間柱上部12とに架け渡された2枚のスプライスプレート21,22がフィラープレート25を介して間柱上部12に高力ボルト16とナット18にて固定されている形態について説明する。
第3実施形態の摩擦ダンパー55は、図21に示すように、間柱下部11と第1スプライスプレート21と、第2スプライスプレート22との間に、摩擦板28と滑動板26,32とが介在されているが、薄鋼板34は介在されていない。
第3実施形態の摩擦ダンパー55に設けられた2枚の滑動板26,32のうちの少なくとも一方の滑動板32は、相対移動方向において、中央部32b側と両端部32a側とで表面粗さが相違するように形成されており、両端部32a側の摩擦係数が中央部32b側の摩擦係数より小さくなるように構成されている。このとき、摩擦係数が両端部32a側より小さな中央部32b側の部位は、第1実施形態にて用いられた薄鋼板34の相対移動方向の幅とほぼ等しく形成されている。
第3実施形態の摩擦ダンパー55は、建物に振動が入力されることによりこの固定状態から小さな動摩擦力を伴う相対移動状態に移行する際に大きな反発力が発生する。このとき、皿ばね積層体30を設けたことにより、皿ばね積層体30による高力ボルト16の軸力Nにより摩擦板28と滑動板26,32との間にて摩擦力が発生し、摩擦力による振動減衰機能が発揮される。
そして、建物に入力された振動が更に大きく、間柱下部11と第1及び第2のスプライスプレート21,22との相対移動量が所定の値を超えたとき、すなわち、摩擦板28の、相対移動方向における先端28bが滑動板32の両端部32a側に設けられた摩擦係数が小さな低摩擦領域内に入った分だけ、摩擦板28と滑動板32との間に発生する摩擦力が低減し摩擦力による振動減衰機能が低下する。
第3実施形態の摩擦ダンパー55によれば、間柱下部11と間柱上部12とが相対移動したときに摩擦板28が摺動して滑動板32と対向する位置が、滑動板32の両端部32a側の、中央部32b側より摩擦係数が小さな低摩擦領域に入ることにより、間柱下部11と間柱上部12が取り付けられている部位に作用する力を低減させて上階層3や下階層5が損傷を受けることを回避することが可能である。
図22は、第3実施形態の摩擦ダンパーの第1変形例を示す横断面図である。
第3実施形態の摩擦ダンパー55においては、間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21,22のうちの一方との間に設けられた滑動板32のみが、相対移動方向において両端部32a側の方が中央部32b側より摩擦係数が小さい滑動板32とした例について説明したが、これに限るものではない。例えば、図22に示すように、間柱下部11と第1及び第2スプライスプレート21,22との間に設けられた各々の滑動板32の摩擦係数を、相対移動方向において両端部32a側の方が中央部32b側より摩擦係数が小さくすると、相対移動方向における摩擦板28の先端28bが、摩擦係数が小さな両端部32a側に移動したときに摩擦ダンパー55の振動に対する減衰力をより大きく低減させることが可能である。
このとき、第1スプライスプレート21側に設けられた滑動板32と、第2スプライスプレート22側に設けられた滑動板32の、摩擦係数が中央部32b側より小さな領域を相対移動方向において互いに相違させておくと、相対移動方向における摩擦板28の先端28bが、摩擦係数が相違する領域の境界32cを越えるタイミングを相違させることが可能である。即ち、一方の摩擦板28の先端が、滑動板32の摩擦係数が相違する領域の境界32cを越えたときに一方側にて減衰力が低減され、他方の摩擦板28の先端28bが、摩擦係数が相違する領域の境界32cを越えたときに他方側にて減衰力が低減される。このように構成された摩擦ダンパー55によれば、振動に対する減衰力を段階的に低下させることが可能である。
図23は、第3実施形態の摩擦ダンパーの第2変形例を示す横断面図である。
上記実施形態においては、間柱下部11の両側にスプライスプレート21,22を設けた例について説明したが、図23に示すように、スプライスプレート21が間柱下部11の一方側のみに設けられていてもよい。
図24は、第3実施形態の摩擦ダンパーの第3変形例を示す横断面図である。
上記第2実施形態の摩擦ダンパー50のように、図24に示すような第1スプライスプレート21の間柱下部11と反対側に、一方の対向部材としての間柱下部11と対をなす他の対向部材としての第3スプライスプレート23を有し、第2スプライスプレート22の間柱下部11と反対側に、一方の対向部材としての間柱下部11と対をなす第3の対向部材としての第4スプライスプレート24を有し、第1スプライスプレート21と間柱下部11及び第3スプライスプレート23との間、第2スプライスプレート22と間柱下部11及び第4スプライスプレート24との間のうちの、いずれか1カ所またはそれらの複数箇所に、対移動方向において両端部32a側の方が中央部32b側より摩擦係数が小さな滑動板32を備えていても良い。
上記第1〜第3実施形態はいずれも、相対移動方向と交差する交差方向に、建物等に対する固定部が位置する間柱10の分断された端部間に摩擦ダンパー20、50、55を備えた例について説明したが、相対移動方向に、建物等に取り付けられている部位が位置する例えばブレースの分断された端部間にて上記摩擦ダンパー20、50、55を構成しても良い。この場合には、ブレースの分断された端部間にスプライスプレートを架け渡すことなく、ブレースの端部同士が重なるように配置して、それらの間に摩擦板と滑動板とを介在させた構成とし、一方のブレース端部と滑動板との間に下板材を設けたり、一方のブレース端部側に隆起部を設けたり、介在する滑動板の中央部と両端部とで摩擦係数を異ならせてもよい。
上記第2実施形態において、高力ボルト16に挿通されるパイプ部材17を備えた例について説明したが、パイプ部材17は必ずしも設けられていなくてもよく、また、第1及び第3実施形態の摩擦ダンパー20,55であってもパイプ部材17が設けられていてもよい。
また、上記実施形態においては、圧接力付勢部材として皿ばね積層体30を用いた例について説明したが、これに限るものではなく、例えばコイルバネや板バネ等、圧縮されて圧接力を付勢可能な部材であれば構わない。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
3 上階層、5 下階層、10 間柱、11 間柱下部、11a 丸孔、
11a 長孔、12 間柱上部、16 高力ボルト、16a 頭部、
17 パイプ部材、18 ナット、20 摩擦ダンパー、
21 第1スプライスプレート、21a 丸孔、21b 長孔、21c 薄肉傾斜部、
21d 規制部、22 第2スプライスプレート、23 第3スプライスプレート、
23a 丸孔、24 第4スプライスプレート、25 フィラープレート、
26 滑動板、26a 長孔、28 摩擦板、28a 丸孔、28b 先端、
30 皿ばね積層体、32 滑動板、32a 滑動板の両端部、
32b 滑動板の中央部、32c 摩擦係数が相違する領域の境界、34 薄鋼板、
34a 薄鋼板の先端、36 隆起部、36a 隆起部の先端、45 ワッシャー、
46 ブッシュ、50 摩擦ダンパー、55 摩擦ダンパー

Claims (24)

  1. 相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
    前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
    を有し、
    前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
    前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
    前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの一方の部材側に設けられた滑り板と、
    前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの他方の部材側に設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
    前記一方の部材と前記滑り板との間に介在された下板材と、
    を有し、
    前記下板材は、前記摩擦板が前記相対移動の方向に摺動して前記滑り板と対面する最大領域より狭く形成されており、
    前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記下板材より突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造。
  2. 相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
    前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
    を有し、
    前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
    前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
    前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの一方の部材側に設けられた滑り板と、
    前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの他方の部材側に設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
    を有し、
    前記一方の部材は、前記他方の部材側に隆起する隆起部を有し、
    前記隆起部は、前記摩擦板が前記相対移動の方向に摺動して前記滑り板と対面する最大領域より狭く形成されており、
    前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記隆起部よりも突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造。
  3. 相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
    前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
    を有し、
    前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
    前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
    前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの一方の部材側に設けられた滑り板と、
    前記2つの部材の間にて、当該2つの部材のうちの他方の部材側に設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
    を有し、
    前記滑り板は、前記相対移動の方向における中央側と両端部側とで表面粗さが相違することにより前記両端部側の前記摩擦係数が前記中央側より小さく形成されており、
    前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記滑り板の前記両端部側へ突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記一方の部材の、前記他方の部材と反対側に、前記一方の部材及び前記他方の部材と異なる第3の部材を有し、
    前記一方の部材と前記第3の部材との間に、前記滑り板と前記摩擦板とが設けられ、
    前記圧接力付勢部材により、前記一方の部材と前記第3の部材との間に前記圧接力が付勢されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  5. 請求項4に記載の接合部の制振構造であって、
    前記一方の部材と前記第3の部材との間に設けられた前記滑り板と、前記一方の部材と、の間に、前記下板材が介在されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  6. 請求項4に記載の接合部の制振構造であって、
    前記一方の部材は、前記第3の部材側に隆起する隆起部を有していることを特徴とする接合部の制振構造。
  7. 請求項4に記載の接合部の制振構造であって、
    前記一方の部材と前記第3の部材との間に設けられた前記滑り板は、前記相対移動の方向における中央側と両端部側とで表面粗さが相違することにより前記両端部側の前記摩擦係数が前記中央側より小さく形成されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  8. 相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
    前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
    を有し、
    前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
    前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
    前記2つの部材は、互いに間隔を隔てて対向する一対の対向部材と、前記一対の対向部材間に介在された中間部材と、であり、
    対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、前記中間部材側にそれぞれ設けられた滑り板と、
    対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、各々の前記対向部材側にそれぞれ設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
    前記中間部材と、少なくともいずれか一方の前記滑り板との間に介在された下板材と、
    を有し、
    前記下板材は、前記摩擦板が前記相対移動の方向に摺動して前記滑り板と対面する最大領域より狭く形成されており、
    前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記下板材より突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造。
  9. 相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
    前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
    を有し、
    前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
    前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
    前記2つの部材は、互いに間隔を隔てて対向する一対の対向部材と、前記一対の対向部材間に介在された中間部材と、であり、
    対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、前記中間部材側にそれぞれ設けられた滑り板と、
    対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、各々の前記対向部材側にそれぞれ設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
    を有し、
    前記中間部材は、各々の前記対向部材の少なくともいずれか一方側に隆起する隆起部を有し、
    前記隆起部は、前記摩擦板が前記相対移動の方向に摺動して前記滑り板と対面する最大領域より狭く形成されており、
    前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記隆起部より突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造。
  10. 相対移動自在に重ねられた2つの部材と、
    前記2つの部材に圧接力を付勢する圧接力付勢部材と、
    を有し、
    前記2つの部材が振動により相対移動するときに生じる摩擦力により、前記振動のエネルギーが吸収され、
    前記2つの部材の相対移動量が所定の値を超えたときに前記摩擦力が生じる部位の摩擦係数が低下するように構成されており、
    前記2つの部材は、互いに間隔を隔てて対向する一対の対向部材と、前記一対の対向部材間に介在された中間部材と、であり、
    対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、前記中間部材側にそれぞれ設けられた滑り板と、
    対をなす前記対向部材の各々と前記中間部材との間にて、各々の前記対向部材側にそれぞれ設けられ、前記2つの部材が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
    を有し、
    前記滑り板は、前記相対移動の方向における中央側と両端部側とで表面粗さが相違することにより前記両端部側の前記摩擦係数が前記中央側より小さく形成されており、
    前記所定の値は、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記滑り板の前記両端部側へ突出するときの前記相対移動量であることを特徴とする接合部の制振構造。
  11. 請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記一対の対向部材のうちの一方の対向部材の、前記中間部材と反対側に、前記一方の対向部材と対をなす第3の対向部材と、前記一方の対向部材と前記第3の対向部材との間に介在された第2の中間部材と、
    を有し、
    前記第2の中間部材と、前記一方の対向部材及び前記第3の対向部材との間に、前記滑り板と前記摩擦板とがそれぞれ設けられ、
    前記圧接力付勢部材により、前記一方の対向部材と前記第3の対向部材との間に前記圧接力が付勢されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  12. 請求項11に記載の接合部の制振構造であって、
    前記一方の対向部材と前記第2の中間部材との間、及び、前記第3の対向部材と前記第2の中間部材との間に設けられた前記滑り板の少なくともいずれか一方と、前記第2の中間部材との間に、前記下板材が介在されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  13. 請求項11に記載の接合部の制振構造であって、
    前記第2の中間部材は、前記一方の対向部材及び前記第3の対向部材の少なくともいずれか一方の側に隆起する隆起部を有していることを特徴とする接合部の制振構造。
  14. 請求項11に記載の接合部の制振構造であって、
    前記一方の対向部材と前記第2の中間部材との間、及び、前記第3の対向部材と前記第2の中間部材との間の少なくともいずれか一方に設けられた前記滑り板が、前記相対移動の方向における中央側と両端部側とで表面粗さが相違することにより前記両端部側の前記摩擦係数が前記中央側より小さく形成されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  15. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記一方の部材は、互いに間隔を隔てて設けられた第1離間部材と第2離間部材とのうちの前記第1離間部材であり、
    前記他方の部材は、前記第1離間部材と前記第2離間部材との間に架け渡されて前記第2離間部材に固定されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  16. 請求項4乃至請求項7のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記一方の部材は、互いに間隔を隔てて設けられた第1離間部材と第2離間部材とのうちの前記第1離間部材であり、
    前記第3の部材は、前記第1離間部材と前記第2離間部材との間に架け渡されて前記第2離間部材に固定されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  17. 請求項8乃至請求項14のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記一対の対向部材のうちの一方の対向部材は、互いに間隔を隔てて設けられた第1離間部材と第2離間部材とのうちの前記第1離間部材であり、
    前記中間部材は、前記第1離間部材と前記第2離間部材との間に架け渡されて前記第2離間部材に固定されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  18. 請求項11乃至請求項14のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記一方の対向部材は、互いに間隔を隔てて設けられた第1離間部材と第2離間部材とのうちの前記第1離間部材であり、
    前記第2の中間部材は、前記第1離間部材と前記第2離間部材との間に架け渡されて前記第2離間部材に固定されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  19. 請求項15乃至請求項18のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記第1離間部材と前記第2離間部材とは、前記相対移動の方向と交差する交差方向に間隔を隔てた部位に各々固定されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  20. 請求項19に記載の接合部の制振構造であって、
    前記第1離間部材と前記第2離間部材は間柱を構成することを特徴とする接合部の制振構造。
  21. 請求項15乃至請求項18のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記第1離間部材と前記第2離間部材とは、前記相対移動の方向に間隔を隔てた部位に各々固定されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  22. 請求項19に記載の接合部の制振構造であって、
    前記第1離間部材と前記第2離間部材はブレースを構成することを特徴とする接合部の制振構造。
  23. 請求項1、請求項5、請求項8、請求項12のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記圧接力付勢部材は、前記他方の部材側に設けられた皿ばねが、当該皿ばねと前記2つの部材を貫通するボルトがナットにて締め付けられて圧縮されて構成されており、
    前記2つの部材が前記所定の値を超えて相対移動して、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記下板材より突出することにより、前記皿ばねの圧縮が緩和されることを特徴とする接合部の制振構造。
  24. 請求項2、請求項6、請求項9、請求項13のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記圧接力付勢部材は、前記他方の部材側に設けられた皿ばねが、当該皿ばねと前記2つの部材を貫通するボルトがナットにて締め付けられて圧縮されて構成されており、
    前記2つの部材が、前記所定の値を超えて相対移動して、前記相対移動の方向において前記摩擦板が前記隆起部より突出することにより、前記皿ばねの圧縮が緩和されることを特徴とする接合部の制振構造。
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