JP5983105B2 - 制振構造 - Google Patents

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本発明は、相対移動する2つの部材の制振構造に関する。
相対移動可能な2つの部材の接合部にて振動を減衰させる制振構造としては、たとえば摩擦ダンパーが知られている。この摩擦ダンパーは、たとえば、建物架構において水平方向に相対移動する階床間に設けられる間柱などに備えられ、前述の相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力により、相対移動を抑制するものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−67806号公報
図22は、特許文献1における荷重と変形の説明図である。図22を参照すると、特許文献1の手法であると、A点からA’の中間の荷重が作用した場合には、変形は生じず、すなわち、エネルギーの吸収が行われない。つまり、このような荷重については制振が適切に行われないことになる。よって、荷重に応じてより適切な摩擦力を生じさせることが望まれる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、荷重に応じて適切な摩擦力を生じさせることを目的とする。
このような目的を達成するために本発明に係る制振構造は、建物架構において所定方向に相対移動する一対の部材の間に配置され、前記相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力により、前記相対移動を抑制する摩擦ダンパーユニットを複数設け、該摩擦ダンパーユニットが連動して制振する制振構造であって、
前記摩擦ダンパーユニットは、
前記一対の部材のうちの一方の部材に設けられる第1圧接板と、
前記一対の部材のうちの他方の部材に設けられる第2圧接板と、
前記第1圧接板及び前記第2圧接板に圧接される第3圧接板と、
前記第1圧接板と前記第3圧接板に圧接力を付勢する第1圧接力付勢部材により接合された第1接合部と、
前記第2圧接板と前記第3圧接板に圧接力を付勢する第2圧接力付勢部材により接合された第2接合部と、
を備え、
前記第1圧接板は、前記所定方向に長い第1貫通孔を備えて第1移動量を摺動可能とし、
前記第2圧接板は、前記第1貫通孔より前記所定方向に長い第2貫通孔を備えて第2移動量を摺動可能とし、
前記第3圧接板は、第3貫通孔及び第4貫通孔を備え、
前記第1貫通孔と前記第3貫通孔とを挿通して設けられる第1ボルト部材と、
前記第2貫通孔と前記第4貫通孔とを挿通して設けられる第2ボルト部材と、
を有し、複数の前記摩擦ダンパーユニットは、前記第1貫通孔の前記所定方向の長さを段階的にして前記第1移動量を段階的にし、複数の前記摩擦ダンパーユニットが段階的に摺動することを特徴とする制振構造である。
このような制振構造によれば、第1移動量を段階的にしているため、複数の摩擦ダンパーユニットが段階的に摺動する。このとき、複数の摩擦ダンパーユニットにおいて、第1接合部のみが摺動する場合と、第1接合部と第2接合部が摺動する場合と、第2接合部のみが摺動する場合の摩擦力を生じさせることができる。このように生ずる摩擦力を段階的に変化させることができるので、荷重に応じて適切な摩擦力を生じさせることができる。
かかる制振構造であって、前記第2圧接板と前記第3圧接板との間に生ずる摩擦力は、前記第1圧接板と前記第3圧接板との間に生ずる摩擦力よりも高いことが望ましい。
このような制振構造によれば、第1接合部における第1圧接板と第3圧接板との間に生ずる摩擦力と、第2接合部における第2圧接板と第3圧接板との間に生ずる摩擦力とを異ならせることができるので、荷重が大きくなるほど摩擦力が高くなるように段階的に摩擦力を変化させることができる。
かかる制振構造であって、前記第2接合部における付勢力は前記第1接合部における付勢力よりも高いことが望ましい。
このような制振構造によっても、第1接合部における第1圧接板と第3圧接板との間に生ずる摩擦力と、第2接合部における第2圧接板と第3圧接板との間に生ずる摩擦力を異ならせることができるので、荷重が大きくなるほど摩擦力が高くなるように段階的に摩擦力を変化させることができる。
かかる制振構造であって、請求項1乃至請求項3に記載の制振構造であって、
前記第3圧接板の傾きを規制する傾き規制部材を備えることを特徴とする制振構造であることが望ましい。
このような制振構造によれば、第1ボルト部材が第1貫通孔に当接係合した後に、さらに所定方向に移動する力が加わると、第1ボルト部材を軸に第3圧接板が傾こうとするが、傾き規制部材を備えるので、第3圧接板の傾きを抑制することができる。
かかる制振構造であって、前記第1圧接板と前記第2圧接板は、端部同士が互いに間隔を隔てて対向しており、前記第3圧接板は、前記第1圧接板と前記第2圧接板との間に掛け渡されていることが望ましい。
このような制振構造によれば、第3圧接板は、端部同士が互いに間隔を隔てて対向している第1圧接板と第2圧接板との間に掛け渡されているので、第1圧接板と第3圧接板とが相対移動して摩擦力が発生する部位と、第2圧接板と第3圧接板とが相対移動して摩擦力が発生する部位とを同一平面上にて配置することができる。このため、摩擦力が作用したときに、第1圧接板、第2圧接板、及び、第3圧接板にねじれが生じにくいので、より効率よく振動を抑制することができる。
かかる制振構造であって、前記第1ボルト部材は、パイプ部材に挿通して設けられ、前記第2圧接板と前記第3圧接板とが相対移動する力は、前記パイプ部材を介して前記第2接合部に伝達されることが望ましい。
このような制振構造によれば、第2圧接板と第3圧接板とが相対移動する力は、パイプ部材を介して第1圧接板から第3圧接板へと伝達されるので、第1ボルト部材をパイプ部材により保護するとともに、第1ボルト部材を圧接力の付与のみに特化させて使用でき、その健全性を高く維持することができる。
かかる制振構造であって、前記第1接合部にて前記パイプ部材が前記第1貫通孔と係合することにより、前記第2圧接板と前記第3圧接板とが相対移動する力が前記第3圧接板に伝達されることが望ましい。
このような制振構造によれば、第2圧接板と第3圧接板とが相対移動する力がパイプ部材と第1貫通孔との係合を介して第2圧接板に伝達されるので、ボルトに剪断力を作用させることがほとんどなく、第1ボルト部材を圧接力の付与のみに特化させて使用でき、その健全性をより高く維持することができる。
かかる制振構造であって、前記第1圧接板と前記第3圧接板とのうちの一方、及び、前記第2圧接板と前記第3圧接板とのうちの一方に設けられた滑り板と、前記第1圧接板と前記第3圧接板とのうちの他方、及び、前記第2圧接板と前記第3圧接板とのうちの他方に設けられ、前記第1圧接板と前記第3圧接板、及び、前記第2圧接板と前記第3圧接板が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、を有していることが望ましい。
このような制振構造によれば、第1圧接板と第3圧接板とのうちの一方、及び、第2圧接板と第3圧接板とのうちの一方に設けられた滑り板と、第1圧接板と第3圧接板とのうちの他方、及び、第2圧接板と第3圧接板とのうちの他方に設けられ、第1圧接板と第3圧接板、及び、第2圧接板と第3圧接板が相対移動したときに滑り板と摺動して摩擦力が生じる摩擦板と、を有しているので、第1接合部及び第2接合部がそれぞれ相対移動した際に安定した摩擦力を生じさせて制振することができる。
かかる制振構造であって、前記第1圧接力付勢部材及び前記第2圧接力付勢部材は皿ばねであり、前記第1接合部にて付勢する前記圧接力、及び、前記第2接合部にて付勢する前記圧接力は、前記皿ばねにより調整されることが望ましい。
このような制振構造によれば、第1圧接力付勢部材と第2圧接力付勢部材は、圧力方向の変形量に対して、荷重の変動が小さい非線形ばね領域を備えた皿ばねなので、安定した圧接力を発生させることができる。特に、本接合部の制振構造では、第1圧接力付勢部材と第2圧接力付勢部材とにより付勢する圧接力を違えるために、安定した付勢力が得られる皿ばねを使用している。また、皿ばねは複数枚を重ねて使用することが可能であるので、重ねる皿ばねの数を相違させることにより、圧接力を容易に調整することができる。
かかる制振構造であって、前記第3圧接板は、前記第1圧接板及び前記第2圧接板を挟んで両側に設けられていることが望ましい。
このような制振構造によれば、第1圧接板及び第2圧接板を第3圧接板にて両側から挟むことにより、第3圧接板を第1圧接板及び第2圧接板に対して安定した状態にて相対移動させて安定した摩擦力を発生させることができる。
本発明によれば、荷重に応じて適切な摩擦力を生じさせることができる。
本実施形態に係る接合部の制振構造を建物の間柱に組み込んだ状態の一例を示す斜視図である。 本実施形態の摩擦ダンパーユニットを正面から見た模式図である。 図2におけるA−A断面図である。 図2におけるB−B断面図である。 図5Aは、図2におけるC−C断面の第1の図であり、図5Bは、図2におけるC−C断面の第2の図である。 下摩擦ダンパーの動作の説明図である。 上摩擦ダンパーの動作の説明図である。 摩擦ダンパーユニットの振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第1の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第2の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第3の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第4の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第5の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第6の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第7の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第8の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第9の図である。 荷重P1幅を小さく設定し荷重幅P2を大きく設定したときの振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。 荷重幅P1を大きく設定し荷重幅P2を小さく設定したときの振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。 ブレースに適用した摩擦ダンパーユニットの正面図である。 間柱に適用した摩擦ダンパーユニットの別の実施形態における正面図である。 参考例の振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。
以下、本実施形態の接合部の制振構造の一例について図を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る接合部の制振構造を建物の間柱に組み込んだ状態の一例を示す斜視図である。図2は、本実施形態の摩擦ダンパーユニットを正面から見た模式図である。図3は、図2におけるA−A断面図であり、図4は、図2におけるB−B断面図であり、図5Aは、図2におけるC−C断面の第1の図であり、図5Bは、図2におけるC−C断面の第2の図である。
本実施形態の接合部の制振構造は、多層階ビルディング等の上階層と下階層との間に設けられる柱、梁、ブレース及び間柱などがボルトで接合されたボルト接合部にて、水平方向の相対移動を制振する摩擦ダンパーをなしている。
本実施形態では、図1に示すように、摩擦ダンパー20、30を間柱10に組み込んだ形態を例に挙げて説明する。
間柱10は、上階層3と下階層5との間にて上下を架け渡し方向として配置されている。また、間柱10は、その長手方向たる前記架け渡し方向の略中央の位置において分断されており、分断された端部を利用して摩擦ダンパー20、30を形成しつつ接合されている。
具体的には、図1〜図5に示すように、間柱10が上下方向に間隔を隔てるように分断されて、第1部材としての間柱下部11と、第3部材としての間柱上部12とをなしている。
間柱下部11と間柱上部12とは、間柱下部11の上端部11cと間柱上部12の下端部12cとが、所定方向としての上下方向に互いに間隔を隔てて対向している。間柱下部11と間柱上部12との、表裏面側にはそれぞれ、間柱下部11と間柱上部12とに架け渡された第2部材としての対をなす2枚のスプライスプレート21が、相対移動方向に沿って3対並べて設けられている。3対のスプライスプレート21と間柱下部11及び間柱上部12との接合部がそれぞれ摩擦ダンパー20、30を構成している。即ち、間柱下部11と間柱上部12とに架け渡された、一対のスプライスプレート21と間柱下部11及び間柱上部12との2つの接合部にて摩擦ダンパー20、30が構成された摩擦ダンパーユニット25が3セット設けられている。以下、間柱上部12とスプライスプレート21との接合部にて形成されている摩擦ダンパーを上摩擦ダンパー20とし、間柱下部11とスプライスプレート21との接合部にて形成されている摩擦ダンパーを下摩擦ダンパー30として説明する。ここで、下摩擦ダンパー30が第1接合部に相当し、上摩擦ダンパー20が第2接合部に相当する。
3セットの摩擦ダンパーユニット25の上摩擦ダンパー20は、いずれも同じ構成である。一方、3セットの摩擦ダンパーユニット25の下摩擦ダンパー30は、隙間S1、S2で構成が異なっている。まずは、摩擦ダンパーユニット25において共通する上摩擦ダンパー20の構成について説明し、その後、隙間S1、S2が異なる下摩擦ダンパー30の構成について説明する。
摩擦ダンパーユニット25は、対をなすスプライスプレート21が、上下方向と交差する方向にて間柱下部11と間柱上部12を挟んで互いに対向するとともに、間柱下部11と間柱上部12との間に架け渡されている。即ち、上摩擦ダンパー20側では、2枚のスプライスプレート21と、その間に介在された間柱上部12とが重なっている。
また、間柱上部12と各スプライスプレート21との間には、間柱上部12側に滑り板としての滑動板26が固定され、スプライスプレート21側に摩擦板28が固定されている。ここで、摩擦板28には、有機系摩擦材や無機系摩擦材を使用し得る。有機系摩擦材は、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバーなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成される。上記熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂,メラミン樹脂,フラン樹脂,ポリイミド樹脂,DFK樹脂,グアナミン樹脂,エポキシ樹脂,キシレン樹脂,シリコーン樹脂,ジアリルフタレーン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂などがある。一方、滑動板26はステンレスやチタンなどの耐食性を有する材料によって形成される。
間柱上部12と滑動板26とには、相対移動方向に長い長孔12a、26aが設けられている。長孔12a、26aの長さは、後述する間柱下部11に設けられる長孔11b1、11b2、26b1、26b2よりも長い。また、2枚のスプライスプレート21と摩擦板28には、円形状の丸孔21a、28aが設けられている。間柱上部12に設けられた長孔12aは第2貫通孔に相当する。
2枚のスプライスプレート21、間柱上部12、2対の滑動板26及び摩擦板28に設けられた長孔12a、26a又は丸孔21a、28aには高力ボルト16が貫通されている。
高力ボルト16は、対をなすスプライスプレート21のうちの一方のスプライスプレート21の、間柱上部12と反対側に設けられ複数の皿ばねが重ねられた皿ばね積層体8を貫通するとともにナット18が螺合されている。このとき、高力ボルト16の頭部16aと他方のスプライスプレート21との間、一方のスプライスプレート21と皿ばね積層体8との間、皿ばね積層体8とナット18との間にはそれぞれ座金45が介在されている。また、皿ばね積層体8と高力ボルト16との間には、皿ばね積層体8の内周側に入り込み各皿ばねの位置を規制するブッシュ46が設けられている。
皿ばね積層体8は、高力ボルト16にナット18が螺合されて締め込まれて圧縮されることにより、2枚のスプライスプレート21の間に圧接力を付勢する第2圧接力付勢部材である。2枚のスプライスプレート21と間柱上部12とは皿ばね積層体8による圧接力が付勢されつつ水平方向に相対移動可能に構成され、2枚のスプライスプレート21と間柱上部12とが相対移動したときには、摩擦板28と滑動板26とが摺動して摩擦力が生じるように構成されている。
下摩擦ダンパー30側では、2枚のスプライスプレート21と、その間に介在された間柱下部11とが重なっている。また、間柱下部11と各スプライスプレート21との間には、間柱下部11側に滑動板26が固定され、スプライスプレート21側に摩擦板28が固定されている。
間柱下部11及び滑動板26のうち、中央の下摩擦ダンパー30が設けられる位置には、長孔11b1、26b1が設けられる。間柱下部11及び滑動板26のうち、左右の下摩擦ダンパー30が設けられる位置には、長孔11b2、26b2が設けられる。また、2枚のスプライスプレート21及び摩擦板28には、丸孔21b、28bが設けられており、丸孔21b、28b、及び、長孔11b1、11b2、26b1、26b2には、パイプ部材としての鋼製の丸パイプ17に、管軸方向に挿通された高力ボルト16が貫通されている。ここで、間柱11に設けられている長孔11b1、11b2が第1貫通孔に相当する。
2枚のスプライスプレート21及び摩擦板28の丸孔21b、28bの孔径は、貫通される丸パイプ17との間の隙間がほぼ零になるように設定されている。また、間柱下部11及び滑動板26の長孔11b1、11b2、26b1、26b2の縦方向の幅は、丸パイプ17との間に若干の隙間Sが形成されるように設定されている(図3)。
一方、中央の下摩擦ダンパー30が設けられる間柱下部11及び滑動板26の長孔11b1、26b1の相対移動方向の幅は、丸パイプ17との間に隙間S1が形成されるように設定されている(図5A)。また、左右の下摩擦ダンパー30が設けられる間柱下部11及び滑動板26の長孔11b2、26b2の相対移動方向の幅は、丸パイプ17との間に隙間S1よりも広い隙間S2が形成されるように設定されている(図5B)。
ここで、より望ましくは高力ボルト16と丸パイプ17との間に隙間を設けると良く、より望ましくは、当該隙間の大きさを、設計で想定する限界状態(例えば、弾性限界)まで変形状態の丸パイプ17において当該丸パイプ17の内周面と高力ボルト16とが当接しないようなサイズにすると良い。そして、このように設定すれば、対を成すスプライスプレート21を摺動させるための外力は、専ら丸パイプ17のみに作用して高力ボルト16には作用しないので、高力ボルト16の健全性を高い状態に維持可能となる。
高力ボルト16は、一方のスプライスプレート21の、間柱下部11と反対側に設けられ複数の皿ばねが重ねられた皿ばね積層体8を貫通するとともにナット18が螺合されている。このとき、高力ボルト16の頭部16aと他方のスプライスプレート21との間、一方のスプライスプレート21と皿ばね積層体8との間、皿ばね積層体8とナット18との間にはそれぞれ座金45が介在されている。また、皿ばね積層体8と高力ボルト16との間には、皿ばね積層体8の内周側に入り込み各皿ばねの位置を規制するブッシュ46が設けられている。
皿ばね積層体8は、高力ボルト16にナット18が螺合されて締め込まれることにより圧縮され、2枚のスプライスプレート21の間に圧接力を付勢する第1圧接力付勢部材である。2枚のスプライスプレート21と間柱下部11とは皿ばね積層体8による圧接力が付勢されつつ水平方向に相対移動可能に構成され、2枚のスプライスプレート21と間柱下部11とが相対移動したときには、摩擦板28と滑動板26とが摺動して摩擦力が生じるように構成されている。このとき、間柱下部11側に設けられた皿ばね積層体8の付勢力による圧接力は、間柱上部12側に設けられた皿ばね積層体8の付勢力による圧接力より小さく設定されている。即ち、本実施形態では、皿ばね積層体8の付勢力による圧接力を上摩擦ダンパー20と下摩擦ダンパー30とで相違させることにより、同一の摩擦板28と滑動板26とを用いても、第1接合部にて発生する摩擦力を第2接合部にて発生する摩擦力より小さくしている。
具体的には、上摩擦ダンパー20は、地震等の大きな外力が作用する振動により間柱上部12とスプライスプレート21とが相対移動し、下摩擦ダンパー30は、風荷重のような小さな外力が作用する振動であっても相対移動するように設定されている。上摩擦ダンパー20の圧接力と下摩擦ダンパー30の圧接力の違いは、例えば、上摩擦ダンパー20及び下摩擦ダンパー30が備える皿ばね積層体8を構成する皿ばねの枚数を違えることにより調整している。即ち、上摩擦ダンパー20の皿ばね積層体8の方が、下摩擦ダンパー30の皿ばね積層体8より多くの皿ばねが重ねられて構成されている。
また、間柱下部11には、傾き規制部材11dが設けられている。傾き規制部材11dは、間柱下部11からスプライスプレート21側に突出する突起状の部材である。図2に示されるように、傾き規制部材11dは、スプライスプレート21の中心軸が長孔11b1の中央に位置するときにおいて、丸パイプ17の端部から間柱下部11の長孔11b1の端部までの距離ΔX1だけスプライスプレート21の端部から離間した位置に左右対称に設けられる。
なお、ここでは、中央の摩擦ダンパーユニットを例に説明を行ったが、左右の摩擦ダンパーユニットの場合、傾き規制部材11dの位置は、丸パイプ17の端部から間柱下部11の長孔11b2の端部までの距離ΔX2だけスプライスプレート21の端部から離間した位置に左右対称に設けられる。
このようにすることによって、スプライスプレート21が相対移動方向に移動し、丸パイプ17が長孔11b1に当接係合すると、丸パイプ17を軸にスプライスプレート21が回転するような傾きを生ずるおそれがあるが、スプライスプレート21の側壁が傾き規制部材11dの端面と当接するので、その傾きが生ずるのを抑制することができる。
尚、ここでは、傾き規制部材11dは長孔11b1の長手方向に延びる中心軸上に配置されているが、スプライスプレート21の側壁から距離δX1離れていれば、他の位置であってもよい。そのとき、傾き規制部材11は、複数設けられることが望ましい。また、図2において、傾き規制部材11dはスプライスプレート21と面で接する矩形形状としたが、点で接する円柱形状とすることもできる。
図6は、下摩擦ダンパーの動作の説明図である。図6では、中央の下摩擦ダンパー30を例にその動作について説明する。図6(a)では、間柱下部11の長孔11b1の中央に、下摩擦ダンパー30が位置している。間柱下部11を左に移動させようとする力が作用すると、間柱下部11が滑動板とともに、下摩擦ダンパー30に対して左側に相対移動する(図6(b))。また、間柱下部11を右に移動させようとする力が作用すると、間柱下部11が滑動板とともに、下摩擦ダンパー30に対して右側に相対移動する(図6(c))。
図7は、上摩擦ダンパーの動作の説明図である。図7(a)では、間柱上部12の長孔12aの中央に、上摩擦ダンパー20が位置している。後述するように、下摩擦ダンパー30の高力ボルトの軸16bが長孔11b1、11b2に係合した状態で、間柱下部11を右に移動させようとする力が作用すると、その係合による規制により、間柱上部12は滑動板とともに、上摩擦ダンパー20に対して左側に相対移動する(図7(b))。また、下摩擦ダンパー30の高力ボルトの軸16bが長孔11b1、11b2に係合した状態で、間柱下部11を左に移動させようとする力が作用すると、その係合による規制により、間柱上部12は滑動板とともに、上摩擦ダンパー20に対して右側に相対移動する(図7(c))。
上記のような動作において、スプライスプレート21と間柱上部12との間で相対移動が生じるときは、上摩擦ダンパー20における摩擦力が作用する。一方、スプライスプレート21と間柱下部11との間で相対移動が生じるときは、下摩擦ダンパー30における摩擦力が作用する。なお、上摩擦ダンパー20における摩擦力は、下摩擦ダンパー30における摩擦力よりも大きい。
図8は、本実施形態における摩擦ダンパーユニットの振動エネルギー吸収特性を示すグラフである。このグラフは、相対移動方向に所定の振幅δ1、δ2、又は、δ3で強制加振して得られるグラフであり、横軸には、相対移動方向の相対変位量δを示し、縦軸には、上摩擦ダンパー20及び下摩擦ダンパー30が発生する摩擦力の総和を示している。なお、δ1は例えば風荷重作用下の想定振幅量であり、δ2は例えば中規模地震時の想定振幅量であり、振幅δ3は例えば大規模地震時の想定振幅量である。
図9は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第1の図である。以下、図9から図19には、摩擦ダンパーの各部位の相対移動方向の移動を容易に説明するために、摩擦ダンパーユニットのうち、スプライスプレート21、間柱上部12、間柱上部の長孔12a、上摩擦ダンパー20における高力ボルトの軸16b、間柱下部11、間柱下部の長孔11b1、11b2、及び、下摩擦ダンパー30における丸パイプ17のみが示されている。また、これらのうち、高力ボルトの軸16b、丸パイプ17、間柱上部の長孔12a、間柱下部の長孔11b1、11b2は、本来他の部材にて隠蔽されるため、外観から視認できない場合がほとんどであるが、ここではこれらを実線で表し、透過的に視認可能として説明する。
また、以下の説明において、間柱下部11が間柱上部12に対して相対的に右側に移動する場合を、図8における荷重及び変位ともにプラスとして表す。
図9の状態は、図8においてZ点に対応する。すなわち、間柱上部12と間柱下部11との間に相対移動方向の荷重が加わっていないか、又は、加わっていたとしてもA点の荷重を超えないため、間柱上部12と間柱下部11との相対移動を生じていない状態である。
間柱上部12と間柱下部11との間にA点を超える荷重が加わると、間柱下部11が各スプライスプレート21に対して右側に相対移動する。すなわち、ここで生ずる摩擦力は、間柱下部11とスプライスプレート21を接合する3つの下摩擦ダンパー30による摩擦力の総計となる。間柱下部11がスプライスプレート21に対して相対移動し、間柱上部12がスプライスプレート21に対して相対移動しないのは、上摩擦ダンパー20の圧接力のほうが下摩擦ダンパー30の圧接力よりも大きく、その結果、摩擦力も大きいからである。
図10は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第2の図である。図8のZ点の状態において、A点を超える荷重が加わり相対移動量がδ1に達すると、図10に示すような各部の配置となる。これは、間柱下部11がスプライスプレート21に対して右側に相対移動した結果、中央下摩擦ダンパー30の丸パイプ17が間柱下部11の中央長孔11b1の左壁に当接係合した状態である。よって、さらに間柱下部11がスプライスプレート21に対して右側に相対移動しようとした場合、中央のスプライスプレート21は間柱上部12との間で相対移動しなければならない。この状態は、図8におけるB点の状態に相当する。
図8のB点の状態(図10)から、さらにC点を超える荷重が加わると、間柱下部11が左右のスプライスプレート21に対して右側に相対移動する。また、中央のスプライスプレート21が間柱上部12に対して右側に相対移動する。ここで生ずる摩擦力は、2つの下摩擦ダンパー30による摩擦力と、1つの上摩擦ダンパー20による摩擦力の総計となる。上摩擦ダンパー20の摩擦力は下摩擦ダンパー30の摩擦力よりも大きいため、ここでは、A点からB点に移動したときよりも大きな摩擦力が作用する。
図11は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第3の図である。図8のB点の状態において、C点を超える荷重が加わり相対移動量がδ2に達すると、図12に示すような各部の配置となる。これは、間柱下部11が間柱上部12に対して右側にさらに相対移動した結果、下摩擦ダンパー30の丸パイプ17の全てが間柱下部11の長孔11b1、11b2の左壁にそれぞれ当接係合した状態である。この状態は、図8におけるD点の状態に相当する。
図8のD点の状態(図11)から、さらにE点を超える荷重が加わると、全てのスプライスプレート21が間柱上部12に対して右側に相対移動する。これは、下摩擦ダンパー30の丸パイプ17の全てがスプライスプレート21の長孔11b1、11b2に当接係合しているため、上摩擦ダンパー20において摺動せざるを得ないからである。よって、ここでは、3つの上摩擦ダンパー20による摩擦力が作用する。
図12は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第4の図である。図8のD点の状態において、E点を超える荷重が加わり相対移動量がδ3に達すると、図12に示すような各部の配置となる。前述のように、各スプライスプレート21が間柱上部12に対して右側に相対移動した結果、中央の上摩擦ダンパー20の高力ボルト軸16bが、中央の長孔12aの右壁に当接係合した状態である。この状態は、図8におけるF点の状態であって、限界変形の状態であるが、実際にはこの状態にまでは至らないように設計される。ここでは、限界変形を説明する便宜上、当接係合した状態を示したにすぎない。
次に、間柱上部12及び間柱下部11に加わる荷重の方向が反転する。すなわち、間柱下部11が間柱上部12に対して左側に相対移動する荷重が加わる。図8のF点の状態(図12)から、G点を超えるマイナスの荷重が加わると、間柱下部11が各スプライスプレート21に対して左側に相対移動する。ここでは、3つの下摩擦ダンパー30による摩擦力が作用する。
図13は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第5の図である。図8のF点の状態において、G点を超えるマイナスの荷重が加わると、図13に示すような各部の配置となる。前述のように、間柱下部11が各スプライスプレートに対して左側に相対移動した結果、中央の下摩擦ダンパー30の丸パイプ17が、長孔11b1の右壁に当接係合する。この状態は、図8におけるH点の状態に相当する。
図8のH点の状態(図13)から、さらにI点を超えるマイナスの荷重が加わると、左右の間柱下部11がそれぞれのスプライスプレート21に対して左側に相対移動する。また、前述のように、中央の下摩擦ダンパー30の丸パイプ17は、中央のスプライスプレート21の長孔11b1に当接掛合しているため、中央のスプライスプレート21が間柱上部12に対して左側に相対移動する。よって、ここでは、2つの下摩擦ダンパー30による摩擦力と、1つの上摩擦ダンパー20による摩擦力が作用する。
図14は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第6の図である。図8のH点の状態において、I点をマイナス方向に超える荷重が加わると、図14に示すような各部の配置となる。左右の間柱下部11がそれぞれのスプライスプレート21に対して左側に相対移動した結果、左右の下摩擦ダンパー30の丸パイプ17が長孔11b2に当接係合する。この状態は、図8におけるJ点の状態に相当する。
図8のJ点の状態(図14)から、さらにK点を超えるマイナスの荷重が加わると、各スプライスプレート21が間柱上部12に対して右側に相対移動する。よって、ここでは、3つの上摩擦ダンパー20による摩擦力が作用する。
図15は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第7の図である。図8のJ点の状態において、K点をマイナス方向に超える荷重が加わると、図15に示すような各部の配置となる。前述のように、3つのスプライスプレート21が相対移動した結果、中央の上摩擦ダンパー20の高力ボルトの軸16bが中央の長孔12aの左壁に当接係合した状態である。この状態は、図8におけるL点の状態であって、限界変形の状態であるが、実際にはこの状態にまでは至らないように設計される。ここでも、限界変形を説明する便宜上、当接係合した状態を示したにすぎない。
次に、再度、間柱上部12及び間柱下部11に加わる荷重の方向が反転する。すなわち、間柱下部11が間柱上部12に対して右側に相対移動する荷重が加わる。そして、その荷重が、M点を超える荷重となると、間柱下部11が各スプライスプレート21に対して右側に相対移動する。よって、ここでは、3つの下摩擦ダンパー30による摩擦力が作用する。
図16は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第8の図である。図8のL点の状態において、M点を超える荷重が加わると、図16に示すような各部の配置となる。前述のように、間柱下部11が3つのスプライスプレート21に対して右側に相対移動した結果、中央の下摩擦ダンパー30の丸パイプ17が長孔11b1の左壁に当接係合する。この状態は、図8のN点の状態に相当する。
図8のN点の状態(図16)から、さらにO点を超える荷重が加わると、間柱下部11が左右のスプライスプレート21に対して右側に相対移動する。一方、中央の下摩擦ダンパー30の丸パイプ17は長孔11b1に当接係合しているため、中央のスプライスプレート21は間柱上部12に対して右側に相対移動する。よって、ここでは、2つの下摩擦ダンパー30による摩擦力と、1つの上摩擦ダンパー20による摩擦力が作用する。
図17は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第9の図である。図8のN点の状態において、O点を超える荷重が加わると、図17に示すような各部の配置となる。前述のように、間柱下部11が左右のスプライスプレート21に対して右側に相対移動した結果、左右の下摩擦ダンパー30の丸パイプ17が長孔11b2の左壁に当接係合する。この状態は、図8のP点の状態に相当する。
図8のP点の状態(図17)から、さらにQ点を超える荷重が加わると、間柱下部11が3つのスプライスプレート21に対して右側に相対移動する。よって、ここでは、3つの上摩擦ダンパー20による摩擦力が作用する。そして、各部は、前述の図12に示す位置関係となる。
以上の説明では、加わる繰り返し荷重が大きく、図8のF点からQ点で囲まれる領域の振動エネルギーが上摩擦ダンパー20及び下摩擦ダンパー30により吸収される様子を説明した。以下では、加わる繰り返し荷重がより小さい場合について説明する。
図8のB点の状態(図10)からマイナス方向にB1点を超える荷重が加わると、間柱下部11が各スプライスプレート21に対して左側に相対移動する。このとき、長孔11b1分の相対移動が行われ、中央の下摩擦ダンパー30の丸パイプ17は、長孔11b1の右壁に当接係合する。この状態は、図8のB2点の状態に相当する。すなわち、このような範囲で荷重が作用する場合には、B−B1−B2−B3で囲まれた領域の振動エネルギーが吸収される。
また、図8のD点の状態(図11)からマイナス方向にD1点を超える荷重が加わると、間柱下部11が各スプライスプレート21に対して左側に相対移動する。そして、長孔11b1分の相対移動が行われ、中央の下摩擦ダンパー30の丸パイプ17は、長孔11b1の右壁に当接係合する。この状態は、図8のD2点の状態に相当する。
さらに、図8のD2点の状態からマイナス方向にD3点を超えるマイナスの荷重が加わると、中央のスプライスプレート21が間柱上部12に対して左側に相対移動する。また、左右の下摩擦ダンパー30の丸パイプ17がスプライスプレート21に対して左側に相対移動する。そして、左右の下摩擦ダンパー30の丸パイプ17が、それぞれ、長孔11b2の右壁に当接係合する。この状態は、図8のD4点の状態に相当する。
図8のD4点の状態からプラス方向にD5点を超える荷重が加わると、間柱下部11が各スプライスプレート21に対して右側に相対移動する。そして、中央の下摩擦ダンパー30の丸パイプ17が、長孔11b1の右壁に当接係合する。この状態は、図8のA点の状態に相当する。さらに、図8のA点の状態からプラス方向にD6点を超える荷重が加わると、中央の丸パイプ17は、長孔11b1と係合しているため、中央のスプライスプレート21が間柱上部12に対して右側に相対移動する。また、間柱下部11は、左右のスプライスプレート21に対して右側に相対移動する。そして、左右の丸パイプ17は、左右の長孔11b2の右壁に当接係合する。この状態は、図8のD点の状態に相当する。すなわち、このような範囲で荷重が作用する場合には、図8の破線で囲まれた領域の振動エネルギーが吸収されることになる。
このように、本実施形態における摩擦ダンパーユニットでは、3つの下摩擦ダンパー30により摩擦力を生じさせる場合と、下摩擦ダンパー30の摩擦力と摩擦ダンパー20の摩擦力が組み合わさる場合と、3つの上摩擦ダンパー20により摩擦力を生じさせる場合があるので、段階的に摩擦力を変化させることができる。そして、吸収できる振動エネルギーの領域を段階的に増加させることができる。
図8において、荷重幅P1と荷重幅P2とが同じ荷重幅であるものとして説明した。しかしながら、荷重幅P1及び荷重幅P2は、下摩擦ダンパー30の摩擦力が上摩擦ダンパー20の摩擦力を超えないことを条件として、上摩擦ダンパー20及び下摩擦ダンパー30の軸力を変化させたり、摩擦板の摩擦係数を変化させることにより容易に変更することができる。
図18は、荷重P1幅を小さく設定し荷重幅P2を大きく設定したときの振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。荷重幅P1を小さく設定する場合には、下摩擦ダンパー30の皿ばね8の枚数を減少させたり、摩擦係数がより低い摩擦板28を採用したり、高力ボルト16による締結力を低くすることで実現することができる。また、荷重幅P2を大きく設定する場合には、上摩擦ダンパー20の皿ばね8の枚数を増加させたり、摩擦係数がより高い摩擦板28を採用したり、高力ボルト16による締結力を高くすることで実現することができる。このように、荷重幅P1を小さく設定し荷重幅P2を大きく設定することにより、小さな荷重であっても振動エネルギーの吸収を開始するので、風荷重や小地震などによる振動を効率よく吸収することができる。
図19は、荷重幅P1を大きく設定し荷重幅P2を小さく設定したときの振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。荷重幅P1を大きく設定する場合には、下摩擦ダンパー30の皿ばね8の枚数を増加させたり、摩擦係数がより高い摩擦板28を採用したり、高力ボルト16による締結力を高めることで実現することができる。また、荷重幅P2を小さく設定する場合には、上摩擦ダンパー20の皿ばね8の枚数を減少させたり、摩擦係数がより低い摩擦板28を採用したり、高力ボルト16による締結力を低くすることで実現することができる。このように、荷重幅P1を大きく設定し荷重幅P2を小さく設定することにより、小さな荷重では振動エネルギーの吸収を開始せず、大きな荷重が加わらないと振動エネルギーの吸収を開始しない。よって、中規模以上の地震から大規模の地震にかけて生ずる振動を効率よく吸収することができる。
本実施形態の接合部の制振構造によれば、間柱下部11と2枚のスプライスプレート21とが相対移動自在に重ねられた接合部(第1接合部)である下摩擦ダンパー30にて付勢している皿ばね積層体8の圧接力を、2枚のスプライスプレート21と間柱上部12とが相対移動自在に重ねられた接合部(第2接合部)である上摩擦ダンパー20にて付勢している皿ばね積層体8の圧接力より小さくすることにより、第1接合部にて発生する摩擦力を第2接合部にて発生する摩擦力より小さくしたので、下摩擦ダンパー30は上摩擦ダンパー20より小さな力にて相対移動して振動エネルギーを吸収する。
また、スプライスプレート21と間柱上部12とが相対移動するための力は、丸パイプ17を介して間柱下部11からスプライスプレート21へと伝達されるので、丸パイプ17に挿通されている高力ボルト16が相対移動時に生じる剪断力を受けることを防止するとともに、高力ボルト16を圧接力の付与のみに特化させて使用できて、その健全性を高く維持可能となる。このとき、間柱下部11及び間柱上部12を2枚のスプライスプレート21にて両側から挟むことにより、2枚のスプライスプレート21を間柱下部11及び間柱上部12に対して安定した状態にて相対移動させて安定した摩擦力を発生させることが可能である。
また、間柱下部11と間柱上部12とに設けられた滑動板26と、2枚のスプライスプレート21に設けられ、間柱下部11及び間柱上部12に対し相対移動したときに滑動板26と摺動して摩擦力が生じる摩擦板28と、を有しているので、上摩擦ダンパー20及び下摩擦ダンパー30にてそれぞれ相対移動したときに安定した摩擦力を生じさせて制振することが可能である。
また、上摩擦ダンパー20及び下摩擦ダンパー30に、圧縮方向の変形量に対して、荷重の変動が小さい非線形ばね領域を備えた皿ばね積層体8を用いたので、より安定した圧接力を発生させることが可能である。このため、本接合部の制振構造では、上摩擦ダンパー20と下摩擦ダンパー30とにおいて、発生する摩擦力を違えるために、安定した圧接力が得られる皿ばね積層体8を使用している。また、皿ばね積層体8は、重ねる皿ばねの数を相違させることにより圧接力を相違させ、容易に摩擦力を調整することが可能である。
また、ここでは、間柱下部11に設けられる長孔の種類を2種類(11b1、11b2)としたが、摩擦ダンパーユニットの数を増やし、さらに長孔の種類をさらに増加させることができる。そうすることで、より多段階で振動エネルギーを吸収することができる。
また、上記実施形態では摩擦ダンパーユニット25を間柱10に設けた例について説明したが、間柱に限らず、例えばブレース等であっても構わない。摩擦ダンパーユニットをブレースに備える場合には、架け渡し方向と相対移動方向とが同一となるため、地震等の大きな力にて相対移動する摩擦ダンパーに設けられる長孔は相対移動方向に沿って形成される。
図20は、ブレースに適用した摩擦ダンパーユニットの正面図である。図20では、上記実施形態における図2と比べると、相対移動方向及び長孔の方向が異なっている。このとき、符号12’が付された部材は、第2圧接板に相当する。また、符号11’に付された部材は、第1圧接板に相当する。また、符号21’が付された部材は、第3圧接板に相当する。また、ここでは、摩擦ダンパーユニット25’が1組のみ示されているが、相対移動方向と交差する方向にも摩擦ダンパーユニット25’が設けられている。そして、長孔の長さが異ならされている。すなわち、ある摩擦ダンパーユニットの長孔は符号11b1’に示す長孔であり、別の摩擦ダンパーユニットの長孔は符号11b2’に示す長孔である。
このようにすることによって、符号12’の部材と符号11’の部材が近づく方向又は遠ざかる方向に相対移動する場合であっても、段階的に摩擦力を変化させることができ、荷重に応じて適切な摩擦力を生じさせることができる。
また、異なる構成の間柱型においても上記技術は適用可能である。
図21は、間柱に適用した摩擦ダンパーユニットの別の実施形態における正面図である。図21では、上記実施形態における図2と比べると、間柱上部からの部材と間柱下部からの部材とが相対移動方向において重ならない配置となっている。そして、スプライスプレート21’’が相対移動方向に掛け渡されている。言うまでもなく、このような摩擦ダンパーユニットは、長孔の長さが符号11b1’’及び11b2’’のように異ならされて相対移動方向に複数設けられる。
このようにすることによっても、段階的に摩擦力を変化させることができ、荷重に応じて適切な摩擦力を生じさせることができる。
また、上記実施形態においては、上摩擦ダンパー20と下摩擦ダンパー30とにおいて、発生する摩擦力を違えるために、上摩擦ダンパー20及び下摩擦ダンパー30が備える皿ばね積層体8による圧接力を相違させる例について説明したが、これに限るものではない。例えば、上摩擦ダンパー20が備えている滑動板と摩擦板との間の摩擦係数と、下摩擦ダンパー30が備えている滑動板と摩擦板との間の摩擦係数とを相違させても良い。
また、上記実施形態においては、圧接力付勢部材として皿ばね積層体8を用いた例について説明したが、これに限るものではなく、例えばコイルバネや板バネ等、圧縮されて圧接力を付勢可能な部材であれば構わない。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
3 上階層、5 下階層、8 皿ばね積層体、10 間柱、
11 間柱下部(第1圧接板)、
11b1 長孔(第1貫通孔)、11b2 長孔(第1貫通孔)、11c 上端部、
11d 傾き規制部材、
12 間柱上部(第2圧接板)、12a 長孔(第2貫通孔)、12c 下端部、
16 ボルト、16a 頭部、17 丸パイプ、 18 ナット、
20 上摩擦ダンパー(第2接合部)、21 スプライスプレート(第3圧接板)、
21a 丸孔、21b 丸孔、25 摩擦ダンパーユニット、26 滑動板、
28 摩擦板、30 下摩擦ダンパー(第1接合部)、45 座金、
46 ブッシュ

Claims (10)

  1. 建物架構において所定方向に相対移動する一対の部材の間に配置され、前記相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力により、前記相対移動を抑制する摩擦ダンパーユニットを複数設け、該摩擦ダンパーユニットが連動して制振する制振構造であって、
    前記摩擦ダンパーユニットは、
    前記一対の部材のうちの一方の部材に設けられる第1圧接板と、
    前記一対の部材のうちの他方の部材に設けられる第2圧接板と、
    前記第1圧接板及び前記第2圧接板に圧接される第3圧接板と、
    前記第1圧接板と前記第3圧接板に圧接力を付勢する第1圧接力付勢部材により接合された第1接合部と、
    前記第2圧接板と前記第3圧接板に圧接力を付勢する第2圧接力付勢部材により接合された第2接合部と、
    を備え、
    前記第1圧接板は、前記所定方向に長い第1貫通孔を備えて第1移動量を摺動可能とし、
    前記第2圧接板は、前記第1貫通孔より前記所定方向に長い第2貫通孔を備えて第2移動量を摺動可能とし、
    前記第3圧接板は、第3貫通孔及び第4貫通孔を備え、
    前記第1貫通孔と前記第3貫通孔とを挿通して設けられる第1ボルト部材と、
    前記第2貫通孔と前記第4貫通孔とを挿通して設けられる第2ボルト部材と、
    を有し、複数の前記摩擦ダンパーユニットは、前記第1貫通孔の前記所定方向の長さを段階的にして前記第1移動量を段階的にし、複数の前記摩擦ダンパーユニットが段階的に摺動することを特徴とする制振構造。
  2. 請求項1に記載の制振構造であって、
    前記第2圧接板と前記第3圧接板との間に生ずる摩擦力は、前記第1圧接板と前記第3圧接板との間に生ずる摩擦力よりも高いことを特徴とする制振構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の制振構造であって、
    前記第2接合部における付勢力は前記第1接合部における付勢力よりも高いことを特徴とする制振構造。
  4. 請求項1乃至請求項3に記載の制振構造であって、
    前記第3圧接板の傾きを規制する傾き規制部材を備えることを特徴とする制振構造。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の制振構造であって、
    前記第1圧接板と前記第2圧接板は、端部同士が互いに間隔を隔てて対向しており、
    前記第3圧接板は、前記第1圧接板と前記第2圧接板との間に掛け渡されていることを特徴とする制振構造。
  6. 請求項1乃至請求項5に記載のいずれかに記載の制振構造であって、
    前記第1ボルト部材は、パイプ部材に挿通して設けられ、
    前記第2圧接板と前記第3圧接板とが相対移動する力は、前記パイプ部材を介して前記第2接合部に伝達されることを特徴とする制振構造。
  7. 請求項6に記載の制振構造であって、
    前記第1接合部にて前記パイプ部材が前記第1貫通孔と係合することにより、前記第2圧接板と前記第3圧接板とが相対移動する力が前記第3圧接板に伝達されることを特徴とする制振構造。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の制振構造であって、
    前記第1圧接板と前記第3圧接板とのうちの一方、及び、前記第2圧接板と前記第3圧接板とのうちの一方に設けられた滑り板と、
    前記第1圧接板と前記第3圧接板とのうちの他方、及び、前記第2圧接板と前記第3圧接板とのうちの他方に設けられ、前記第1圧接板と前記第3圧接板、及び、前記第2圧接板と前記第3圧接板が相対移動したときに前記滑り板と摺動して前記摩擦力が生じる摩擦板と、
    を有していることを特徴とする制振構造。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の制振構造であって、
    前記第1圧接力付勢部材及び前記第2圧接力付勢部材は皿ばねであり、
    前記第1接合部にて付勢する前記圧接力、及び、前記第2接合部にて付勢する前記圧接力は、前記皿ばねにより調整されることを特徴とする制振構造。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の制振構造であって、
    前記第3圧接板は、前記第1圧接板及び前記第2圧接板を挟んで両側に設けられていることを特徴とする制振構造。
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