JP2003307253A - 摩擦ダンパー - Google Patents
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Abstract
化が図れて、免振装置のダンパーへの適用も可能で、経
年耐久性にも優れる摩擦ダンパーを提供する。 【解決手段】 振動により相対変位する2部材の一方に
属する第1圧接板14を挟んでその両側に、他方に属す
る一対の第2圧接板10,12を互いに重合させボルト
16の軸力を付加した摩擦ダンパーにおいて、第2圧接
板10,12と第1圧接板14との間には、摩擦板22
と滑動板Sとを対にして挟み込んでボルト接合部を7層
構造となし、該ボルト接合部は、該第1または第2圧接
板10,12及び14のいずれか一方と該滑動板Sとの
間、並びに該第1または第2圧接板10,12及び14
のいずれか他方と該摩擦板22との間の両摩擦係数を、
該摩擦板22と該滑動板Sとの間の摩擦係数より大きく
して、相対振動エネルギーを、圧接板10,12及び1
4の相対移動時の摩擦力で吸収減衰する。
Description
相対変位する2つの部材間に設けられて、両部材間の振
動を減衰する摩擦ダンパーに係わり、特に、低コスト化
が図れて、かつ免振装置の振動減衰機構にも適用可能
な、経年耐久性にも優れる摩擦ダンパーに関する。
ルディング等に適用される鉄骨構造の建物架構では、ブ
レースが地震や風等の水平力に対する抵抗要素として用
いられるが、これら鉄骨柱や鉄骨梁およびブレースなど
の鉄骨部材同士をボルトで接合し、当該ボルト接合部を
摩擦ダンパーとして機能させることによって地震や風に
よる振動エネルギーを当該摩擦ダンパーで消耗させて振
動を吸収するようにした制振技術が、特開2000−1
04338号公報等に示されている。
り相対変位する2つの鉄骨部材、例えば、所定間隔を空
けて分断されて相対的に近接・離間移動可能に配置され
たH型鋼等からなるブレースの分断端を繋いで設けられ
る。
ウエブ14表面に重ね合わされて設けられた摩擦ダンパ
ー2の要部を示す長手方向の部分断面図であり、図7は
図6中の一部の部材の重ね合わせ状態を説明するための
斜視図である。図示するように、上記ブレース1の分断
端1a,1bの一方のウエブ14には、両ブレース分断
端1a,1b同士の近接・離間方向への相対移動を許容
するためのボルト挿通用の長孔14aがブレース1の長
手方向に沿って形成されている。そして、これら長孔1
4aを有する側のブレース分断端1aのウエブ14の表
裏両面のそれぞれには、薄板状のステンレス製滑動板S
が重ね合わされて配置され、当該滑動板Sにも上記長孔
14に一致する、同じくボルト挿通用の長孔Saが形成
されている。
aの側方に位置されて、当該長孔14aの長手方向に沿
って相当の長さを有して延びる短冊状の摩擦板22が、
長孔Saを両側から挟むように2枚配列されて、当該滑
動板Sに対して滑動可能に重ね合わされて配置される。
bのウエブ14の表裏両面には、一方のブレース分断端
1aに取り付けられる摩擦板22と滑動板Sの厚さに相
当する厚さを有するはさみ板17が重ね合わされる。そ
して、これらのはさみ板17と上記滑動板Sの外側に
は、摩擦板22に一端が重ね合わされるとともに、他端
がはさみ板17に重ね合わされて、分断された両ブレー
ス分断端1a,1b間にわたって一対のスプライスプレ
ート10,12が掛け渡される。そして、上記短冊状の
摩擦板22はそれぞれエポキシ系の接着剤によってスプ
ライスプレート10,12に一体的に接着固定されてい
る。
その両面それぞれが、対をなす摩擦板22および滑動板
Sを介して、一対のスプライスプレート10,12に挟
み込まれ、他方の分断端1bのウエブ14は、はさみ板
17を介してスプライスプレート10,12に挟み込ま
れて、一対のスプライスプレート10,12はウエブ1
4に対して平行に配置される。
うに、ウエブ14と滑動板Sとにボルト挿通用の長孔1
4a,Saが形成されているとともに、他方のブレース
分断端1bには、ウエブ14を貫通する挿通孔19が形
成され、スプライスプレート10,12には、挿通孔1
9に対応されて同じくボルト挿通用の挿通孔21が形成
されている。
ウエブ14を挟むスプライスプレート10,12間にわ
たって高力ボルト16を挿通し、かつ当該高力ボルト1
6にナット18を螺合することで、はさみ板17を介し
て一対のスプライスプレート10,12が固定的に取り
付けられるようになっていて、この固定的取り付けによ
って一対のスプライスプレート10,12が他方のブレ
ース分断端1bに属するようになっている。
該分断端1aに属するウエブ14を挟む一方のスプライ
スプレート10から2枚の摩擦板22の間を通って滑動
板S及びウエブ14の長孔Sa,14aに高力ボルト1
6が挿通され、裏面側にある他方のスプライスプレート
12の外面のナット18と螺合されるようになってい
て、当該一方のブレース分断端1aは摩擦板22と滑動
板Sとの滑動面8aを介して、スプライスプレート1
0,12に対し相対移動自在に取り付けられている。
の軸力Nが発生し、この軸力Nが一対のスプライスプレ
ート10,12間に伝達されて、ウエブ14の挟み込み
力として作用することとなり、ウエブ14と一対のスプ
ライスプレート10,12とは、当該挟み込み力の作用
の下、両者の相対移動が許容される。
ブ14の両面に重ね合わされた薄板状の一対の滑動板S
と薄板状の一対の摩擦板22、並びに一対のスプライス
プレート10,12によって、板材が7層に積層された
構造に構成されるとともに、さらにこれら摩擦板22や
滑動板Sに、高力ボルト16とナット18で相当のボル
ト軸力が付加されることにより、ブレース分断端1a,
1b間に作用する摩擦ダンパー8が構成されるようにな
っている。
従来の摩擦ダンパー8にあっては、短冊状の複数の摩擦
板22は挿入の際に動いてしまって位置が定まらないた
め、予め工場においてエポキシ系接着剤で固定しておい
て現場に搬入しているのであるが、当該接着固定作業は
作業時間を費やす、人件費がかかる、作業場所の
確保をしなければならない等、コストがかかる面があっ
た。
精度が若干低下する、エポキシ樹脂は、連続加力・ロ
ングストローク加力に起因する摩擦熱による接着面温度
上昇に弱いため、免振ダンパーなどには適用できない、
また、経年耐久性に多大な注意を払う必要がある、と
いった課題があった。
たものであり、その目的は、摩擦板を接着固定する必要
が無く、もって低コスト化が図れて、かつ免振装置の振
動減衰機構としての適用も可能な、経年耐久性にも優れ
る摩擦ダンパーを提供することにある。
めに、本発明の請求項1に示す摩擦ダンパーにあって
は、振動により互いに相対変位する2つの部材の一方に
属する第1圧接板と、他方の部材に属する第2圧接板と
を互いに重合するとともに、両圧接板間に相対移動を可
能にしてボルト軸力を付加し、両圧接板間に入力される
振動変位力により、これら両者の相対移動が許容され、
このときに発生する摩擦抵抗力によって、上記2つの部
材間の振動を減衰するようにした摩擦ダンパーにおい
て、上記第2圧接板を上記第1圧接板の両側に一対配設
して該第1圧接板を該第2圧接板で挟み込むとともに、
これら第1圧接板と第2圧接板との間に、摩擦板と滑動
板とを対にして挟み込んでボルト接合部を7層構造とな
し、かつ該ボルト接合部は、該第1または第2圧接板の
いずれか一方と該滑動板との間、並びに該第1または第
2圧接板のいずれか他方と該摩擦板との間の両摩擦係数
を、該摩擦板と該滑動板との間の摩擦係数より大きくし
て、接着剤を全く用いない完全乾式接合構造としたこと
を特徴とする。
ト接合部は、上記第1圧接板と第2圧接板と滑動板と摩
擦板とのそれぞれにボルト挿通孔を形成して、該第1圧
接板と該第1圧接板に接して配置される滑動板あるいは
摩擦板とに形成するボルト挿通孔は長孔となして該ボル
トとの相対移動を許容する一方、該第2圧接板と該第2
圧接板に接して配置される滑動板あるいは摩擦板との挿
通孔は該ボルト径に相応させて形成してこれら3者の相
対移動を拘束して締結固定する構成となし得る。
は、耐食性を有する材料で形成するのが望ましい。
には、上記摩擦板に圧接する面に、研磨などの表面粗さ
を均一化する処理を施すことが望ましい。
板は、ステンレスやチタンを素材として形成するのが望
ましい。
は有機系複合摩擦材料で形成するのが望ましい。この有
機系複合摩擦材料は、熱硬化型樹脂の結合材と、アラミ
ド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバ
ー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛
などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とを
からなるものである。
擦板は無機系複合摩擦材料で形成するようにしても良
い。この無機系複合摩擦材料は、粉末冶金法で作られる
金属系焼結材(焼結合金)を主体とし、銅あるいは鉄粉
を基材にして、これに他金属,非金属の粉末を混合して
常温で圧縮成型して焼結形成したものである。
板には、上記滑動板と圧接する面に、摩擦熱を放散する
とともに摩耗粉を取り込む凹部を設けた構成とするのが
望ましい。
圧接板と上記第2圧接板とが重合されたボルト接合部に
おける上記ボルト軸力の付加経路に、ボルト軸方向への
変位に対して弾発力の変動が略一定となる非線形ばね領
域を備えた付勢手段を介在させるとともに、該付勢手段
は所定のボルト軸力によって、上記非線形ばね領域内で
たわみ変形するように設定するのが好ましい。
あっては、振動により互いに相対変位する2つの部材の
一方に属する第1圧接板と、他方に属して第1圧接板を
挟み込む第2圧接板とを、それらの間に摩擦板と滑動板
とを対で介在させて相対移動可能に重合して7層構造と
して、これらにボルト軸力を付加して、振動入力時に第
1,第2圧接板の相対移動により発生する摩擦力にて振
動減衰機能を発揮させるにあたり、上記摩擦板と滑動板
との間の摩擦係数よりも、当該摩擦板と第1あるいは第
2圧接板との間、並びに当該滑動板と第1あるいは第2
圧接板との間の両摩擦係数を大きくすることによって、
専ら摩擦板と滑動板との間で滑りを生じさせるようにな
して、当該摩擦板と第1あるいは第2圧接板との接合
部、及び当該滑動板と第1あるいは第2圧接板との接合
部にはエポキシ系接着剤を全く用いない完全乾式接合構
造としているため、摩擦板と滑動板との相対移動に伴う
摩擦熱によって従来のようなエポキシ接着剤が損傷劣化
して両者間の接合力が低下すると云った問題が生ずるこ
とがなく、高い摩擦熱が発生しても摩擦板と第2圧接板
との相対移動を確実に拘束できる。このため、摩擦板と
第2圧接板との相対移動ストロークを、免振装置に必要
とされる大きさまで設定することが可能となり、もって
免振装置の振動減衰機構としても適用できるようにな
る。
圧接板に接着固定する作業が不要になるため、当該接着
作業に費やされるコスト分の低減が図れるようになり、
さらに経年耐久性にも優れたものとなってメンテナンス
・フリー化を促進できるようになる。
剤を用いずに第1あるいは第2圧接板に対して相対移動
を拘束して取り付けて、専ら摩擦板と滑動板との間で滑
りを生じさせて相対移動させるにあたり、上記第1圧接
板と第2圧接板と滑動板と摩擦板とのそれぞれにボルト
挿通孔を形成して、当該第1圧接板とこれの両側に接し
て配置される滑動板あるいは摩擦板との該ボルト挿通孔
は長孔に形成してボルトとの相対移動を許容し、該第2
圧接板とこれに接して配置される滑動板あるいは摩擦板
とに形成するボルト挿通孔はボルト径に相応させて、当
該ボルトで相対移動を拘束して締結固定する構成にすれ
ば、第2圧接板とこれに接する滑動板あるいは摩擦板と
の相対移動を確実に防止できるだけでなく、ボルトの両
端部がしっかりと第2圧接板で支持されるから当該ボル
トの傾倒を確実に防止し得る。
る材料からなる滑動板を適用することにより、滑動板と
摩擦板とが対峙する滑動面を、腐蝕などによる経時的な
変化に強く、特にメンテナンスを施すことなく長期にわ
たって安定した滑り耐力、摩擦係数(μ)を維持させる
ことが可能となる。
などの表面粗さを均一化する処理を施すことにより、材
料表面の摩擦係数(μ)を均一になして、円滑に滑動さ
せることが可能になるとともに予期しない発音や衝撃が
生じたりするのを極力抑えることができるようになる。
合摩擦材料で形成したものを採用することで、該摩擦板
を、一定の摩擦係数を有する摩耗の著しく少ない部材と
して形成することができる。従って、第1圧接板と第2
圧接板とが相対移動された際にも、これら滑動板と摩擦
板との間の摩擦係数は常時ほぼ一定に維持され、音の発
生もなく滑らかに滑るようになり、しかも滑動部分の摩
耗がほとんどないためボルトの軸力もほぼ一定に維持さ
れる。
移動部分に発生する、上記摩擦係数と上記軸力との積と
して得られる摩擦抵抗力をほぼ一定に維持することがで
きる。従って、相対変位する2つの部材間の減衰力特性
が安定化され、延いては、当初設定した振動減衰機能を
長期に亘って維持することができる。
発生面に、摩擦熱を放散するとともに摩耗粉を取り込む
凹部を設けることにより、摩擦ダンパー作動時に、上記
凹部内の空気に摩擦熱を放散させて、摩擦板の表面温度
の上昇を防止できるようになり、また摩耗粉が発生して
も当該凹部に取り込んで摩擦板と滑動板との間に摩耗粉
が滞留するのを防止できる。このため、滑動板が傷つき
難くなるとともに、摩耗粉の影響を排除して、摩擦板と
滑動板との間の摩擦抵抗力を一定に維持することがで
き、安定した振動減衰効果を得ることが可能となる。更
には、摩耗粉の滞留を防止できるので、摩擦板および滑
動板との滑動面から、摩耗粉の噛込等に起因した異音が
発生することを防止でき、振動減衰時の騒音を著く低減
することができる。
が重合されたボルト接合部における上記ボルト軸力の付
加経路に、ボルト軸方向への変位に対して弾発力の変動
が略一定となる非線形ばね領域を備えた付勢手段を介在
させ、所定のボルト軸力を発生させた状態で、該付勢手
段が上記非線形ばね領域内でたわみ変形するように設定
することにより、第1,第2圧接板間の隙間の変動を上
記付勢手段によって吸収することができ、かつ、その際
の変動吸収によって付勢手段のたわみ量が変化した場合
にあっても、該付勢手段が非線形ばね領域内に設定され
ているため、弾発力つまりボルトの軸力をほぼ一定に維
持することができる。
が相対移動する際の滑動面に摩耗が生じた場合にも、そ
の弾発力がほぼ一定に維持されるため、摩擦抵抗力が低
下するのを防止し得、当初の振動減衰機能が永続して発
揮されることになる。
面を参照しつつ詳細に説明する。図1〜図6は本発明に
かかる摩擦ダンパーの一実施形態を示している。この実
施形態は、前述の従来例と同様に本発明の摩擦ダンパー
をブレースに組み込んだ例である。図示例ではブレース
の一部分を示している。すなわち本発明は、いわゆるY
型やK型、W型、X型など、軸力が入力されるどのよう
な形態のブレースに対しても好ましく適用することがで
きる。なお、図に置いて前述の従来例と同一の部材には
同一の符号を付してある。
構成されるブレース1が適宜位置で互いに間隔を隔てる
ように分断されている。この分断箇所に本発明にかかる
摩擦ダンパー8が組み込まれる。H形鋼は、ウエブ14
とその上下に一対形成されるフランジ15,15からな
っている。摩擦ダンパー8は、これらウエブ14および
一対のフランジ15,15それぞれに対して、同様な構
成で取り付けられる。ウエブ14に対する摩擦ダンパー
8の取り付け構造を例にとって、以下説明する。
ス分断端1a,1bのいずれか一方のウエブ(第1圧接
板)14には、それらブレース分断端1a,1b同士が
近接・離間する軸長方向に沿ってボルト挿通用の挿通孔
として長孔14aが形成されている。この長孔14a
は、ウエブ14の長さ方向に2箇所一組で、かつウエブ
14の高さ方向に一対形成されて、計4箇所形成されて
いる。そして、これら長孔14aを有する側のブレース
分断端1aのウエブ14の表裏両面のそれぞれには、薄
板状のステンレス製滑動板Sが重ね合わされて配置さ
れ、当該滑動板Sにも上記長孔14に一致する同じくボ
ルト挿通用の長孔Saが形成されている。
述する複合摩擦材料からなる摩擦板22が重ね合わされ
て設けられる。これら摩擦板22は滑動板Sとほぼ同じ
外形寸法の薄板状に形成されており、滑動板S及びウエ
ブ14の4つの長孔14aのそれぞれの中央部位置に対
応してボルト径に相応したボルト挿通用の円形の挿通孔
22aが形成されている。
14の表裏両面には、一方のブレース分断端1aに取り
付けられる摩擦板22と滑動板Sとの厚み分に相当する
厚さを有したはさみ板17が重ね合わされる。そして、
これらはさみ板17と滑動板Sとの外側には、一端が滑
動板Sに重ね合わされるとともに他端がはさみ板17に
重ね合わされて、分断された両ブレース分断端1a,1
b間に掛け渡されて一対のスプライスプレート(第2圧
接板)10,12が設けられる。つまり、一方の分断端
1aのウエブ14はその両面それぞれが、対をなす摩擦
板22および滑動板Sを介して、一対のスプライスプレ
ート10,12に挟み込まれ、他方の分断端1bのウエ
ブ14はその両面それぞれがはさみ板17を介して、一
対のスプライスプレート10,12に挟み込まれて、当
該スプライスプレート10,12は両ブレース分断端1
a,1bのウエブ14に対して平行配置されている。
ブ14とはさみ板17及びスプライスプレート10,1
2とには、それらを貫通して相互に対応する位置に円形
のボルト挿通用の挿通孔19,21が形成され、当該挿
通孔19,21には、ウエブ14を挟むスプライスプレ
ート10,12間にわたって高力ボルト16が挿通さ
れ、かつ当該高力ボルト16にはナット18が螺合され
て、はさみ板17を介して一対のスプライスプレート1
0,12が固定的に取り付けられるようになっていて、
この固定的取り付けによって一対のスプライスプレート
10,12が他方のブレース分断端1bに属するように
なっている。
のウエブ14と滑動板Sとには、上述したように、それ
ぞれにボルト挿通用の4つの長孔14a,Saが形成さ
れており、これらを挟んでその側方に設けられた摩擦板
22とスプライスプレート10,12とには、上記長孔
14a,Saの中央部位置に対応されて、ボルト挿通用
の円形の挿通孔22a,21が4つずつ同径に形成され
ている。そして、当該一方のブレース分断端1aに属す
るウエブ14を挟む一方のスプライスプレート10から
摩擦板22と滑動板Sとを介して高力ボルト16が挿通
され、反対側の滑動板Sと摩擦板22、およびスプライ
スプレート12を経てナット18に螺合されるようにな
っていて、当該一方のブレース分断端1aは摩擦板22
と滑動板Sとの滑動面8aを介して、スプライスプレー
ト10,12に対し相対移動自在に取り付けられてい
る。また、摩擦板22とスプライスプレート10,12
とは同径の挿通孔19に高力ボルト16が挿通されて、
当該高力ボルト16を含めた3者間の相対移動が拘束さ
れて締結固定されている。
接合部は、第1圧接板をなすウエブ14とこれに接して
配置される滑動板Sとの間、並びに第2圧接板をなすス
プライスプレート10,12とこれらに接して配置され
る摩擦板22との間の両摩擦係数が、摩擦板22と滑動
板Sとの間の摩擦係数より大きくされて、当該ボルト接
合部位にはエポキシ系接着剤を全く用いない完全乾式接
合とされている。
18の締付けによりボルトの軸力Nが発生し、この軸力
Nが一対のスプライスプレート10,12間に伝達され
て、ウエブ14の挟み込み力として作用することとな
り、ウエブ14と一対のスプライスプレート10,12
とは、当該挟み込み力の作用の下、両者の相対移動が許
容される。
ウエブ14の両面に重ね合わされた薄板状の一対の滑動
板S、薄板状の一対の摩擦板22、並びに一対のスプラ
イスプレート10,12によって、板材が7層に積層さ
れた構造が構成されるとともに、さらにこれら滑動板S
や摩擦板22に、高力ボルト16とナット18で相当の
ボルト軸力が付加されることにより、ブレース分断端1
a,1b間に作用する摩擦ダンパー8が構成されるよう
になっている。
る締結構造部分には、高力ボルト16の頭部16aとス
プライスプレート10との間に、リング状の皿ばねが複
数積層された皿ばね積層体30が設けられる。また皿ば
ね積層体30の高力ボルト16側の一端には、これに重
ねて高力ボルト16の軸力を伝達する円盤状の座金32
が設けられている。そして高力ボルト16は、その頭部
16aを受ける小径の座金20と座金32とを貫通して
皿ばね積層体30の中空内部へと挿通され、ウエブ14
の長孔14aに挿入されるようになっている。他方、ナ
ット18の締結側には、スプライスプレート12の外側
に重ねて皿ばねと同径の円盤状の板座金33が設けら
れ、この板座金33上でナット18相当の小径な座金2
0aを介してナット18が高力ボルト16に螺合される
ようになっている。
り付け構造について説明したが、上下一対のフランジ1
5に対しても同様にして摩擦ダンパー8が取り付けられ
る。ここで、フランジ15の表面は単一面である一方
で、ウエブ14側のフランジ15の裏面は当該ウエブ1
4によって分断されているので、フランジ15への摩擦
ダンパー8の取り付けにあっては、摩擦ダンパー8はウ
エブ14側のパーツは当該ウエブ14の両側に並設され
る形態で配置される。
長孔14aはウエブ14を挟んでフランジ15の幅方向
に一対それぞれ4つずつ形成され、滑動板Sと摩擦板2
2及びスプライスプレート10は当該フランジ15の全
幅にわたる大きさのものがそれぞれ一枚ずつ重ね合わさ
れて取り付けられる。
14を挟むそれぞれの側に、フランジ15の半幅相当の
大きさに分割された滑動板Sと摩擦板22、並びにプラ
イスプレート12が一枚ずつ重ね合わされて、2組が並
設されて取り付けられる。また、はさみ板17も同様に
他方のブレース分断端1bのフランジ15部分に対し
て、表面側ではフランジ全幅相当の大きさで1枚が、ウ
エブ14のある裏面側ではフランジ15の半幅相当の大
きさに分割されてウエブの両側に並設されて取り付けら
れることになる。
や摩擦板22を備えるようにしているので、後述するよ
うにこれら滑動板Sや摩擦板22に様々な材質、各種の
表面仕上げを施した板材を適用することができる。従っ
てまた、滑動板Sおよび摩擦板22双方に高耐久性の材
質のものを選択することが可能であり、建物の供用期間
中など摩擦ダンパー8の性能を一定に保つことができ、
摩擦ダンパー8そのものをメンテナンスフリー化するこ
とも容易に可能である。
材や無機系摩擦材を使用し得る。有機系摩擦材は、熱硬
化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,
ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの
繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、
硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で
形成される。上記熱硬化型樹脂としては、フェノール樹
脂,メラミン樹脂,フラン樹脂,ポリイミド樹脂,DF
K樹脂,グアナミン樹脂,エポキシ樹脂,キシレン樹
脂,シリコーン樹脂,ジアリルフタレーン樹脂,不飽和
ポリエステル樹脂などがある。
る金属系焼結材(焼結合金)を主体とし、銅あるいは鉄
粉を基材にして、これに他金属,非金属の粉末を均一に
混合して常温で圧縮成型して圧密体を作り、これを水素
又は天然ガスの還元雰囲気中で焼結形成したものであ
る。摩擦調整材として、シリカ、アルミナ、ムライトな
どの無機質成分が添加されて、摩擦係数の調整と、金属
成分が相手材に溶着したときや高温時に生成する酸化物
などを削り落とす清掃機能の付加とが行われるが使用量
は少ない。また、潤滑剤として、黒鉛、二硫化モリブデ
ンが添加され、相手材に金属の凝着が生ずるのを防ぐ。
との滑動面8a側に凹部として直線状の溝25を形成し
ている。この溝25は、前記摩擦板22の摩擦抵抗力が
発生する滑動板Sとの滑動面8aに生じる摩擦熱を放散
するとともに、滑動面8aの摩耗粉を取り込み排出する
機能を持つ。すなわち、摩擦ダンパー8の作動時の摩擦
板22の摩擦熱を、前記溝25内の空気へ放散すること
で、その表面温度の上昇を防止する。また、万一摩耗粉
が発生しても溝25に取り込まれ、摩擦板22と滑動板
Sとの滑動面8aの摩耗粉の滞留を防止する。このた
め、滑動板Sが傷つき難くなるとともに、摩耗粉の影響
を排除して摩擦板22と滑動板S間の摩擦抵抗力を一定
に維持することができ、安定した振動減衰効果を得るこ
とが可能となる。更には、摩耗粉の滞留を防止できるの
で、摩擦板22および滑動板Sとの滑動面8aから、摩
耗粉の噛込等に起因した異音が発生することを防止で
き、振動減衰時の騒音を著く低減することができる。
は、発生する摩耗粉の予め想定される大きさや量、並び
に摩擦板22の表面温度等を勘案し設定される。すなわ
ち、深さ、幅、断面形状は、主として摩耗粉を取り込め
る容積を有するように設定され、本数に関しては、前記
表面温度が摩擦板22の材料の使用限界温度以下となる
ように設定される。本実施形態の場合は、溝25の断面
形状は矩形で、その深さは摩擦板22厚みの半分に設定
されているが、前述の要件を満たすように自由に設定可
能であり、断面形状は半円形状でも良い。
放散効率が大きく、摩耗粉を取り込み得る容積を有して
いれば、直線に限るものではなく、円形等どのような形
状の凹部に形成しても良い。ただし、熱の放散効率の観
点から、冷却媒体である空気が流通し易いように、大気
開放される溝25とするのが望ましく、また摩耗粉排出
の観点からは、取り込まれた溝25内の摩耗粉が自重で
落下排出されるように、前記溝25は、鉛直方向に直線
状に貫通して形成されていることが望ましい。
タンなどの耐食性を有する材料によって形成される。摩
擦ダンパー8を長期的に使用する場合を考えると、腐蝕
などの経時的な変化により滑動面8aの均一性が損なわ
れ、滑動時に大きな摩擦音を生じたり衝撃が発生すると
いった点が懸念される。この点を考慮して、滑動板Sと
してはステンレスやチタンなどの耐食性のある材料を使
用することとし、これをスプライスプレート10,12
取り付けるようにしている。そしてこのように滑動板S
を単体で取り付けるようにすることで、耐食性のある材
料の使用量が必要最小限に抑えられ、材料費が節約され
て経済設計にも繋がる。
滑動面8a側表面には圧延、研磨・研削、ブラスト、塗
装などのいずれかもしくは複数の処理を施して、表面粗
さの均一化を図るとよい。
0,12への取付面、並びに摩擦板22のウエブ14へ
の取付面については、滑動時に両者間に相対的な滑りを
生じないよう、様々な工法の中から最適な方法を選択す
ればよい。例えば、表面に塗料を塗布(例えば、滑動
板Sであれば、ステンレス鋼材専用の摩擦接合用塗
料)、表面粗さの増大化を意図したブラスト・研削、
溶接、ボルト・ビス止めなどのいずれかもしくは複
数の処理を施すとよい。またこれら取り付けでは、交換
することも勿論可能である。
16の軸力Nをスプライスプレート10,12間に付加
する経路に介装され、高力ボルト16の軸方向への変位
に対しても弾発力がほぼ一定で変動することのない非線
形ばね特性を発揮するようになっている。
示すように高力ボルト16の中心軸方向の変形量(見込
み変化量)σに対して、荷重(弾発力)wの変動がほぼ
一定となる非線形ばね領域Pを備えており、該皿ばね積
層体30は上記高力ボルト16に所定の軸力Nを付加し
た状態で上記非線形ばね領域P内に設定される。本実施
形態では上記皿ばね積層体30は、複数枚の皿ばね単体
を同一方向に積層して構成したものが用いられる。
の頭部16a側の座金32と一方のスプライスプレート
10との間に皿ばね積層体30を介在したので、一対の
スプライスプレート10,12とウエブ14との間のボ
ルト軸方向の変動を該皿ばね積層体30によって吸収す
ることができる。そして、このときの変動吸収によって
皿ばね積層体30のたわみ量が変化した場合にあって
も、該皿ばね積層体30が非線形ばね領域P内に設定さ
れているため、弾発力つまり高力ボルト16の軸力をほ
ぼ一定に維持することができる。
ライスプレート10,12と上記ウエブ14とは、大き
な静摩擦力をもって固定状態が維持されるが、振動入力
によりこの固定状態から小さな動摩擦力を伴う相対移動
状態に移行する際に大きな反発力が発生し、これが大き
な音や衝撃として現れる。しかし、上記皿ばね積層体3
0を設けたことにより、このときの反発力を上記皿ばね
積層体30の弾性により高力ボルト16の軸力Nを変化
させることなく吸収できる。従って、過大振動力が入力
された場合にも、皿ばね積層体30の緩衝作用により音
や衝撃の発生を抑制しつつ摩擦力による振動減衰機能を
十分に発揮することができる。
領域Pに設定されていることにより、該皿ばね積層体3
0の弾発力はスプライスプレート10,12とウエブ1
4とが相対移動する際の滑動面、つまり、摩擦板22と
滑動板Sとの間の滑動面8aにたとえ摩耗が生じたとし
ても、弾発力をほぼ一定に維持して摩擦抵抗力Rが低下
するのを防止できる。従って、スプライスプレート1
0,12とウエブ14との接合部における当初の振動減
衰機能を永続して発揮することができる。
を、一方のスプライスプレート10と高力ボルト16の
頭部16a側の座金32との間に介在させた場合を開示
したが、これに限ることなく一対のスプライスプレート
10,12双方、つまり両スプライスプレート10,1
2と高力ボルト16の頭部16a側およびナット18側
の座金32,33との間にそれぞれ皿ばね積層体30を
介装させることもできる。また、皿ばね積層体30を、
他方のスプライスプレート12とナット18側の座金3
3との間のみに介装させることもできる。
単体の組み合わせ配置構成は、本実施形態に示したよう
に同一方向に複数枚を積層したものに限ることなく、こ
れ以外にも本発明の皿ばね積層体30に求められる設定
が可能である限り種々に変更して組み合わせて構成する
ことができ、例えば、皿ばね単体を単数で用いたり、複
数枚を並列に積層したり、その積層方向を正逆交互に向
けたりすることができる。
て皿ばね積層体30を用いた場合を開示したが、これに
限ることなくボルトの軸方向変位に対して弾発力の変動
が略一定となる非線形ばね領域を備えたばねであればよ
い。
0を備えることとしたが、必ずしも当該皿ばね積層体3
0を組み込む必要はなく、高力ボルト16とナット18
による締結構造のみによって摩擦ダンパー8を構成して
も良いことは勿論である。
は、一対のスプライスプレート10,12間にウエブ1
4を挟み込んで、これらに貫通した高力ボルト16をナ
ット18締めするにあたって、これらスプライスプレー
ト10,12とウエブ14との間に摩擦板22および滑
動板Sを介在させてあるので、地震や風などの外力によ
って例えば建物架構が振動すると、スプライスプレート
10,12とウエブ14とは滑動板Sと摩擦板22との
滑動を伴って相対移動する。このとき、滑動板Sと摩擦
板22との間は高力ボルト16の軸力Nをもって滑接さ
れるとともに、所定の摩擦係数μが作用しており、これ
ら滑動板Sと摩擦板22とが滑動される際には、振動エ
ネルギーがμ×Nの摩擦抵抗力Rに変換されて振動減衰
され、ブレース1における振動減衰に寄与するようにな
っている。
a,1b間に相対変位力が入力された際に、一対のスプ
ライスプレート10,12間にウエブ14が挟まれた状
態で相対移動するため、一対のスプライスプレート1
0,12間にボルト16の軸力N、つまり締付け力を付
加した状態で両者が滑動する際に、ボルト16が傾くな
どしてこじれを生ずることはなく、スムーズに相対移動
することができる。
擦材料あるいは無機系複合摩擦材で形成するので、該摩
擦板22は硬度が高く、かつ、強度に富む材質となっ
て、一定の摩擦係数を有する摩耗の著しく少ない部材と
して形成することができる。
ウエブ14とが相対移動された際にも、滑動板Sと摩擦
板22との間の摩擦係数μは常時ほぼ一定に維持され、
かつ、滑動面8aの摩耗がほとんどないため高力ボルト
16の軸力Nもほぼ一定に維持される。このため、上記
スプライスプレート10,12とウエブ14との間の相
対移動時に、上記摩擦係数μと上記軸力Nとの積として
発生する摩擦抵抗力Rをほぼ一定に維持することができ
る。従って、上記摩擦ダンパー8が組み込まれたブレー
ス1における摩擦減衰力特性、延いては、建物架構の振
動に対する振動減衰特性が安定化し、当初設定した振動
減衰機能を長期に亘って維持することができる。
を挟み込む一対のスプライスプレート10,12との間
に、複合摩擦材などからなる摩擦板11とステンレス板
などからなる滑動板Sを一対にして挟み込んで7層構造
とし、ウエブ14とこれに接して配置される滑動板Sと
の間、並びにスプライスプレート10,12とこれらに
接して配置される摩擦板22との間の両摩擦係数は、摩
擦板22と滑動板Sとの間の摩擦係数より大きくされ
て、当該ボルト接合部位にはエポキシ系接着剤を全く用
いない完全乾式接合となしつつ、摩擦板22と滑動板S
との間で滑りを生じさせるようにしている。この7層構
造は、ウエブ14とスプライスプレート10,12との
間に単に摩擦板22のみを組み込んで、当該摩擦板22
とウエブ14若しくはスプライスプレート10,12と
の間で滑動させる5層構造よりも、以下の点で優れる。
イスプレート10,12が摩擦板22に対する滑動板と
して機能されることになるが、例えばスプライスプレー
トを滑動板として適用した場合、スプライスプレートは
これが接合されるブレース材や梁材、間柱材などの構造
材との接合を考慮してその材質や表面仕上げが選択され
る、言い換えれば、スプライスプレートの材質や表面仕
上げによってはこれら構造材との接合が困難になってし
まう。従って、スプライスプレートの材質や表面仕上げ
は構造材との接合を踏まえて選択されるので、このスプ
ライスプレートと摩擦板との間で安定した摩擦係数およ
び復元力特性を得ることができない場合があり、この場
合、摩擦ダンパーとしての滑動荷重と滑動変位との関係
が設計者の意図に反して不安定なものとなるおそれがあ
る。この点はウエブを滑動板とした場合でも同様であ
る。
では、滑動板Sおよび摩擦板22はウエブ14あるいは
スプライスプレート10,12に対して別途取り付けら
れるものなので、ウエブ14やスプライスプレート1
0,12としては構造材との接合上好ましい通常の鋼材
等を用いることができるとともに、設計で意図した安定
した摩擦係数および復元力特性が得られるように、滑動
板Sと摩擦板22との最適な組み合わせを適宜に選択す
ることが可能となる。
用に薄板として形成することができ、材質を新素材とし
て高価になっても、材料コストを下げることができ、経
済性にも優れる。
パー8を交換する必要が生じた場合でも、7層構造であ
るから滑動板S若しくは摩擦板22のみを取り替えるこ
とで対応することができる。滑動板Sも摩擦板22もと
もに薄板で構成できるので、重量的にも有利であり、交
換時の作業性、経済性の面で優れている。
して本発明にかかる摩擦ダンパー8の適用を説明した
が、鉄骨部材としてはこの他、鉄骨柱や鉄骨梁などがあ
り、これらに対しても当該摩擦ダンパー8を適用できる
ことは勿論である。
2とスプライスプレート10,12との接合、並びに上
記滑動板Sウェブ14との接合は、エポキシ系接着剤を
全く用いない乾式接合としているため、摩擦板22滑動
板Sとの相対移動に伴う摩擦熱によってエポキシ接着剤
が損傷劣化すると云った問題が生ずることがなく、当該
摩擦板22とスプライスプレート10,12との接合が
阻害されることがない。
に伴う摩擦熱が、当該摩擦板22とスプライスプレート
10,12との接合を阻害することがないので、当該相
対移動ストロークを長くして、免振装置で必要とされる
20cm以上にも設定することが可能で、もって当該摩
擦ダンパー8は免振装置の振動減衰機構としても適用す
ることができるようになる。また、摩擦板22をスプラ
イスプレート10,12に接着固定する作業が不要にな
るため、当該接着作業に費やされるコスト分の低減が図
れるようになり、さらに経年耐久性にも優れたものとな
ってメンテナンス・フリー化を促進できるようになる。
置される滑動板Sとのそれぞれのボルト挿通孔は長孔1
4aに形成してボルト16との相対移動を許容し、スプ
ライスプレート10,12とこれに接して配置される摩
擦板22とのそれぞれに形成するボルト挿通孔21,2
2aはボルト径に相応させて、当該ボルト16で相対移
動を拘束して締結固定する構成にしているので、スプラ
イスプレート10,12とこれに接する摩擦板22との
相対移動を確実に防止できるだけでなく、ボルト16の
両端部がしっかりとスプライスプレート10,12で支
持されるから、当該ボルト16の傾倒を確実に防止でき
る。
圧接板としてのウェブ14の両側面のそれぞれに、これ
に接しさせて滑動板Sを配置し、第2圧接板としてのス
プライスプレート10,12のそれぞれに接しさせて摩
擦板22を配置する構成を示したが、滑動板Sと摩擦板
22との取り合い関係は逆にして、滑動板をスプライス
プレート10,12側に接しさせて配し、摩擦板をウェ
ブ14側に接しさせて配するようにしても良いことは勿
論のことである。
ンパーにあっては、以下の様な優れた効果を奏する。
の部材の一方に属する第1圧接板と、他方に属して第1
圧接板を挟み込む第2圧接板とを、それらの間に摩擦板
と滑動板とを対で介在させて相対移動可能に重合して7
層構造とし、これらにボルト軸力を付加して、振動入力
時に第1,第2圧接板の相対移動により発生する摩擦力
にて振動減衰機能を発揮させるにあたって、上記摩擦板
と滑動板との間の摩擦係数よりも、当該摩擦板と第1あ
るいは第2圧接板との間、並びに当該滑動板と第1ある
いは第2圧接板との間の両摩擦係数を大きくすることに
よって、専ら摩擦板と滑動板との間で滑りを生じさせる
ようになして、当該摩擦板と第1あるいは第2圧接板と
の接合部、及び当該滑動板と第1あるいは第2圧接板と
の接合部にはエポキシ系接着剤を全く用いない完全乾式
接合構造としているため、摩擦板と滑動板との相対移動
に伴う摩擦熱によって従来のようなエポキシ接着剤が損
傷劣化して両者間の接合力が低下すると云った問題が生
ずることがなく、高い摩擦熱が発生しても摩擦板と第2
圧接板との相対移動を確実に拘束できる。このため、摩
擦板と第2圧接板との相対移動ストロークを、免振装置
に必要とされる大きさまで設定することが可能となり、
もって免振装置の振動減衰機構としても適用できるよう
になる。
圧接板に接着固定する作業が不要になるため、当該接着
作業に費やされるコスト分の低減が図れるようになり、
さらに経年耐久性にも優れたものとなってメンテナンス
・フリー化を促進できるようになる。
を用いずに第1あるいは第2圧接板に対して相対移動を
拘束して取り付けて、専ら摩擦板と滑動板との間で滑り
を生じさせて相対移動させるにあたり、上記第1圧接板
と第2圧接板と滑動板と摩擦板とのそれぞれにボルト挿
通孔を形成して、当該第1圧接板とこれの両側に接して
配置される滑動板あるいは摩擦板との該ボルト挿通孔は
長孔に形成してボルトとの相対移動を許容し、該第2圧
接板とこれに接して配置される滑動板あるいは摩擦板と
に形成するボルト挿通孔はボルト径に相応させて、当該
ボルトで相対移動を拘束して締結固定する構成にすれ
ば、第2圧接板とこれに接する滑動板あるいは摩擦板と
の相対移動を確実に防止できるだけでなく、ボルトの両
端部がしっかりと第2圧接板で支持されるから当該ボル
トの傾倒を確実に防止し得る。
る材料からなる滑動板を適用することにより、滑動板と
摩擦板とが対峙する滑動面を、腐蝕などによる経時的な
変化に強く、特にメンテナンスを施すことなく長期にわ
たって安定した滑り耐力、摩擦係数(μ)を維持させる
ことが可能となる。
などの表面粗さを均一化する処理を施すことにより、材
料の表面の摩擦係数(μ)を均一になして、円滑に滑動
させることが可能になるとともに予期しない発音や衝撃
が生じたりするのを極力抑えることができるようにな
る。
るいは無機系複合摩擦材料を採用することで、該摩擦板
を、一定の摩擦係数を有する摩耗の著しく少ない部材と
して形成することができる。従って、第1圧接板と第2
圧接板とが相対移動された際にも、これら第1,第2圧
接板と摩擦板との間の摩擦係数は常時ほぼ一定に維持さ
れ、音の発生もなく滑らかに滑るようになり、しかも滑
動部分の摩耗がほとんどないためボルトの軸力もほぼ一
定に維持される。
移動部分に発生する、上記摩擦係数と上記軸力との積と
して得られる摩擦抵抗力をほぼ一定に維持することがで
きる。従って、2つの鉄骨部材間の減衰力特性が安定化
され、延いては、当初設定した振動減衰機能を長期に亘
って維持することができる。
生面に、摩擦熱を放散するとともに摩耗粉を取り込む凹
部を設けることにより、摩擦ダンパ作動時に、上記凹部
内の空気に摩擦熱を放散させて、摩擦板の表面温度の上
昇を防止できるようになり、また摩耗粉が発生しても当
該凹部に取り込んで摩擦板と滑動板との間に摩耗粉が滞
留するのを防止できる。このため、滑動板が傷つき難く
なるとともに、摩耗粉の影響を排除して摩擦板と滑動板
間の摩擦抵抗力を一定に維持することができ、安定した
振動減衰効果を得ることが可能となる。更には、摩耗粉
の滞留を防止できるので、摩擦板および滑動板との滑動
面から、摩耗粉の噛込等に起因した異音が発生すること
を防止でき、振動減衰時の騒音を著く低減することがで
きる。
が重合されたボルト接合部分におけるボルト軸力の付加
経路に、ボルト軸方向への変位に対して弾発力の変動が
略一定となる非線形ばね領域を備えた付勢手段を介在さ
せ、該ボルトに所定の軸力を発生させた状態で、該付勢
手段が上記非線形ばね領域内でたわみ変形するように設
定することにより、第1,第2圧接板間の隙間の変動を
上記付勢手段によって吸収することができ、かつ、その
際の変動吸収によって付勢手段のたわみ量が変化した場
合にあっても、該付勢手段が非線形ばね領域内に設定さ
れているため、弾発力つまりボルトの軸力をほぼ一定に
維持することができる。
が相対移動する際の滑動面に摩耗が生じた場合にも、そ
の弾発力がほぼ一定に維持されるため、摩擦抵抗力が低
下するのを防止し得、当初の振動減衰機能が永続して発
揮されることになる。
合の一実施形態を示す要部分解斜視図である。
と摩擦板とが重ね合わされて介在させられる状態を説明
する要部分解斜視図である。
体のばね特性図である。
擦板との重ね合わせ状態を示す要部分解斜視図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 振動により互いに相対変位する2つの部
材の一方に属する第1圧接板と、他方の部材に属する第
2圧接板とを互いに重合するとともに、両圧接板間に相
対移動を可能にしてボルト軸力を付加し、両圧接板間に
入力される振動変位力により、これら両者の相対移動が
許容され、このときに発生する摩擦抵抗力によって、上
記2つの部材間の振動を減衰するようにした摩擦ダンパ
ーにおいて、 上記第2圧接板を上記第1圧接板の両側に一対配設して
該第1圧接板を該第2圧接板で挟み込むとともに、これ
ら第1圧接板と第2圧接板との間に、摩擦板と滑動板と
を対にして挟み込んでボルト接合部を7層構造となし、
かつ該ボルト接合部は、該第1または第2圧接板のいず
れか一方と該滑動板との間、並びに該第1または第2圧
接板のいずれか他方と該摩擦板との間の両摩擦係数を、
該摩擦板と該滑動板との間の摩擦係数より大きくして、
接着剤を全く用いない完全乾式接合構造としたことを特
徴とする摩擦ダンパー。 - 【請求項2】 上記ボルト接合部は、上記第1圧接板と
第2圧接板と滑動板と摩擦板とのそれぞれにボルト挿通
孔を形成して、該第1圧接板と該第1圧接板に接して配
置される滑動板あるいは摩擦板とに形成するボルト挿通
孔は長孔となして該ボルトとの相対移動を許容する一
方、該第2圧接板と該第2圧接板に接して配置される滑
動板あるいは摩擦板とのボルト挿通孔は該ボルト径に相
応させて形成してこれら3者の相対移動を拘束して締結
固定したことを特徴とする請求項1に記載の摩擦ダンパ
ー。 - 【請求項3】 上記滑動板は、耐食性を有する材料で形
成されていることを特徴とする請求項1または2のいず
れかに記載の摩擦ダンパー。 - 【請求項4】 上記滑動板は、上記摩擦板に圧接する面
に、研磨などの表面粗さを均一化する処理が施されてい
ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の摩
擦ダンパー。 - 【請求項5】 上記滑動板は、ステンレスやチタンを素
材として形成されていることを特徴とする請求項1〜4
のいずれかに記載の摩擦ダンパー。 - 【請求項6】 上記摩擦板が有機系複合摩擦材料で形成
されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
記載の摩擦ダンパー。 - 【請求項7】 上記摩擦板が無機系複合摩擦材料で形成
されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
記載の摩擦ダンパー。 - 【請求項8】 上記摩擦板は、上記滑動板と圧接する面
に、摩擦熱を放散するとともに摩耗粉を取り込む凹部を
有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
の摩擦ダンパー。 - 【請求項9】 上記第1圧接板と上記第2圧接板とが重
合されたボルト接合部における上記ボルト軸力の付加経
路に、ボルト軸方向への変位に対して弾発力の変動が略
一定となる非線形ばね領域を備えた付勢手段を介在させ
るとともに、該付勢手段は所定のボルト軸力によって、
上記非線形ばね領域内でたわみ変形するように設定した
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の摩擦
ダンパー。
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JP2002111038A JP2003307253A (ja) | 2002-04-12 | 2002-04-12 | 摩擦ダンパー |
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