JP6135053B2 - 制振構造 - Google Patents

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Description

本発明は、相対移動する2つの部材の制振構造に関する。
相対移動可能な2つの部材の接合部にて振動を減衰させる制振構造としては、たとえば摩擦ダンパーが知られている。この摩擦ダンパーは、たとえば、建物架構において水平方向に相対移動する階床間に設けられる間柱などに備えられ、前述の相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力により、相対移動を抑制するものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−67806号公報
図31は、特許文献1における荷重と変形の説明図である。図31を参照すると、特許文献1の手法であると、A点からA’の中間の荷重が作用した場合には、変形は生じず、すなわち、エネルギーの吸収が行われない。よって、荷重に応じてより適切な摩擦力を生じさせることが望まれる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、荷重に応じて適切な摩擦力を生じさせることを目的とする。
このような目的を達成するために本発明に係る制振構造では、建物架構において所定方向に相対移動する一対の部材の間に配置され、前記相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力により、前記相対移動を抑制する摩擦ダンパーを複数設け、該摩擦ダンパーが連動して制振する制振構造であって、前記摩擦ダンパーは、前記一対の部材のうちの一方の部材に設けられる第1圧接板と、前記一対の部材のうちの他方の部材に設けられる第2圧接板と、前記第1圧接板又は前記第2圧接板と摺動可能に圧接される第3圧接板と、を備え、前記第1圧接板は、前記所定方向に長い第1貫通孔を備えて第1移動量を摺動可能とし、前記第2圧接板は、前記第1貫通孔より短い第2貫通孔を備えて第2移動量を摺動可能とし、前記第3圧接板は、第3貫通孔を備え、前記第1貫通孔と第2貫通孔と第3貫通孔とを挿通して設けられるボルト部材を有し、複数の前記摩擦ダンパーは、前記第2貫通孔の前記所定方向の長さを段階的に異ならせて前記第2移動量を段階的にし、複数の前記摩擦ダンパーが段階的に摺動することを特徴とする制振構造である。
このような制振構造によれば、第1圧接板と第2圧接板とを相対移動するような荷重が加わると、まず、第1圧接板と第2圧接板との間で摺動したときの摩擦力を生じさせる。次に、ボルト部材が第2貫通孔に当接係合すると、第1圧接板と第2圧接板との間で摺動したときの摩擦力だけでなく、さらに、第3圧接板が第1圧接板又は第2圧接板と摺動したときの摩擦力を生じさせる。すなわち、摩擦力が段階的に切り替わることになる。また、複数の摩擦ダンパーにおいて、第2貫通孔の長さを異ならせ第2移動量を段階的にしているため、複数の摩擦ダンパーが段階的に摺動し、その摩擦力も段階的に変化する。そして、荷重に応じて適切な摩擦力を生じさせることができる。
かかる制振構造であって、前記ボルト部材を内側に挿入しつつ、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔と前記第3貫通孔とを挿通して設けられるパイプ部材を備えることが望ましい。
このような制振構造によれば、第2圧接板が第1圧接板及び第3圧接板に対して摺動するときの摩擦力は、パイプ部材を介して伝達されるので、ボルト部材をパイプ部材により保護し、その健全性を高く維持することができる。
かかる制振構造であって、前記第1圧接板を前記第2圧接板と前記第3圧接板が挟むことが望ましい。
このような制振構造によれば、例えば、H型鋼の一部を用いて摩擦ダンパーを構成することができる。
かかる制振構造であって、前記第2圧接板は、H型鋼のウェブ及びフランジの少なくともいずれか一方であることが望ましい。
このような制振構造によれば、H型鋼の一部を用いて複数の摩擦ダンパーを構成することができる。
かかる制振構造であって、前記フランジに取り付けられる圧接力付勢部材の数は、前記ウェブに取り付けられる前記圧接力付勢部材の数よりも多いことが望ましい。
かかる制振構造であって、前記圧接力付勢部材は皿ばねであることが望ましい。
このような制振構造によれば、圧接力付勢部材は、圧力方向の変形量に対して、荷重の変動が小さい非線形ばね領域を備えた皿ばねなので、安定した圧接力を発生させることができる。また、重なる皿ばねの数を異ならせることにより、圧接力を容易に調整することができる。
かかる制振構造であって、前記第1圧接板に対する摺動時の摩擦係数が、前記第2圧接板と前記第3圧接板とで互いに異ならせることができる。
このような制振構造によれば、より適切な摩擦力を得ることができる。
かかる制振構造であって、前記第1圧接板と前記第3圧接板との間に挟まれる第1摩擦板と、前記第1圧接板と前記第2圧接板との間に挟まれる第2摩擦板と、前記第1圧接板の一方の面及び他方の面に固定的に設けられ、前記第1摩擦板及び前記第2摩擦板に接する滑り板と、を備える。
このような制振構造によれば、より安定した摩擦力を得ることができる。
本発明によれば、荷重に応じて適切な摩擦力を生じさせることができる。
本実施形態における摩擦ダンパーユニットの側面図である。 図1におけるA−A断面図である。 本実施形態における摩擦ダンパーユニットの上面図である。 摩擦ダンパーの側面図である。 図1におけるB−B断面図である。 図2におけるC−C断面図である。 丸パイプを用いない場合の図1におけるB−B断面図である。 H型鋼の上面図である。 H型鋼の側面図である。 摩擦ダンパーユニットの振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第1の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第2の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第3の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第4の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第5の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第6の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第7の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第8の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第9の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第10の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第11の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第12の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第13の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第14の図である。 摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第15の図である。 荷重P1を小さく設定し荷重幅P2を大きく設定したときの振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。 荷重P1を大きく設定し荷重幅P2を小さく設定したときの振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。 間柱型に適用した摩擦ダンパーユニットの斜視図である。 間柱型に適用した摩擦ダンパーユニットの正面図である。 間柱型に適用した摩擦ダンパーユニットの断面図である。 特許文献1における荷重と変形の説明図である。
図1は、本実施形態における摩擦ダンパーユニットの側面図である。図2は、図1におけるA−A断面図である。図3は、本実施形態における摩擦ダンパーユニットの上面図である。これらの図には、建物の柱梁架構のブレースに適用された摩擦ダンパーユニット1が示されている。これらの図において、H型鋼20の材軸方向が相対移動方向である。
摩擦ダンパーユニット1は、H型鋼20(第2圧接板)と、連結部材30(第1圧接板)と、これらと摺動可能に接する複数の摩擦ダンパー10−1〜10−4を備える。連結部材30は、座金52及びスペーサー54を介し、ナット53にボルト51が螺合することにより、他方のH型鋼40と連結される。
本実施形態における摩擦ダンパーユニット1は、10個の摩擦ダンパーを備える。ここでは、後述するように、H型鋼20に形成された長孔の長さに違いのために、10個の摩擦ダンパーがH型鋼20及び連結部材30に対して4種類の異なる相対移動をする。
本実施形態における摩擦ダンパーユニットでは、1つの第1摩擦ダンパー10−1と、1つの第2摩擦ダンパー10−2と、4つの第3摩擦ダンパー10−3と、4つの第4摩擦ダンパー10−4を備える。図1及び図2において、相対移動方向について共通の相対移動をするものについては同じ符号を付してある。第1摩擦ダンパー10−1及び第2摩擦ダンパー10−2は、H型鋼10のウェブ20aに設けられる。一方、第3摩擦ダンパー10−3及び第4摩擦ダンパー4は、H型鋼10のフランジ20bに設けられる。つまり、これらの摩擦ダンパーは、4種類の異なる相対移動を行う。
図4は、摩擦ダンパーの側面図である。図5は、図1におけるB−B断面図である。図6は、図2におけるC−C断面図である。前述のように、摩擦ダンパーはH型鋼20及び連結部材30に対して4種類の異なる相対移動を行うが、これは、H型鋼20に形成された長孔21a、21b、21c、21dの長さが異なるためであり、摩擦ダンパーにおける長孔以外の構成は共通する。
よってここでは、摩擦ダンパー10−4を例に摩擦ダンパーの構成について説明を行う。摩擦ダンパー10−4は、互いに相対移動方向に相対移動するH型鋼20及び連結部材30とで摩擦摺動する第1摩擦板12−1、第2摩擦板12−2、第3摩擦板12−3、及び、第4摩擦板12−4を備える。
H型鋼20のフランジ20bの上下両面には第2摩擦板12−2及び第3摩擦板122−3が移動不能に固着される。また、これら第2摩擦板12−2及び第3摩擦板12−3を挟み込むように、かつ、相対移動方向に摺動可能に連結部材30が配置される。また、圧接部材166(第3圧接板)には、第1摩擦板12−1及び第4摩擦板12−4が移動不能に固着される。
2つの連結部材30には、それぞれ、その上下両面に滑動板32(滑り板に相当する)が移動不能に固着される。よって、4枚の摩擦板12−1〜12−4は、それぞれ、滑動板32を介して連結部材30と摺動する。
なお、上記の固着方法としては、例えば、(1)接着による方法、(2)固着面を構成する各々の表面について表面粗さの増大処理(ショットブラスト等)を施して、固着面で相対的な滑りが生じないようにする方法、(3)嵌合による方法等が挙げられる。
さらに、圧接部材166上に、座金164、皿ばね積層体161、ブッシュ165、座金164が設けられる。一方、第4摩擦板12−4下に、圧接部材166、座金164が配置される。圧接部材166には、丸パイプ168とほぼ接するような丸孔が設けられている。
第1摩擦板12−1〜第4摩擦板12−4、及び、H型鋼20は、相対移動方向と交差する方向について丸パイプ168に対して若干の隙間を有する。また、第2摩擦板12−2、第3摩擦板12−3、及び、H型鋼20には、相対移動方向について丸パイプ168の径よりも長い長孔21dが設けられている。そして、高力ボルト162がこれらを挿通し、ナット163と螺合される。
なお、ここでは、第4摩擦ダンパー10−4を例に説明を行っているが、第1摩擦ダンパー10−1〜第3摩擦ダンパー10−3においても、第2摩擦板12−2及び第3摩擦板12−2には、それぞれ長孔21a、21b、21cと同じ長さの長孔が設けられる。
上記の摩擦板12−1〜12−4には、有機系摩擦材や無機系摩擦材を使用し得る。有機系摩擦材は、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバーなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成される。上記熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂,メラミン樹脂,フラン樹脂,ポリイミド樹脂,DFK樹脂,グアナミン樹脂,エポキシ樹脂,キシレン樹脂,シリコーン樹脂,ジアリルフタレーン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂などがある。一方、滑動板32はステンレスやチタンなどの耐食性を有する材料によって形成される。
図6のように構成された第4摩擦ダンパー10−4に荷重Pが加わったとする。荷重Pは、H型鋼20を連結部材30に対して相対的に右側に移動させようとする荷重である。図6に示される状態でこのような荷重Pが加わると、H型鋼20のフランジ20bに固着された第2摩擦板12−2及び第3摩擦板12−3は、連結部材30に固着された滑動板32との間で摺動する。つまり、第2摩擦板12−2と連結部材30に固着された滑動板32との面と、第3摩擦板12−3と連結部材30に固着された滑動板32との面との間に生ずる2面分の摩擦力をもって摺動することになる。
このような摺動がさらに進むと、フランジ20bに設けられた長孔21dの左壁が丸パイプ168に当接係合する。次に、連結部材30に対してフランジ20bを右側に相対移動させようとするさらなる荷重が加わるものとする。このとき、前述の2面の摺動に加えて第1摩擦板12−1及び第4摩擦板12−4も、連結部材30に固着された滑動板32との間で摺動する。すなわち、このとき、4面分の摩擦力をもって摺動することになる。
このように、摩擦板の2面分の摩擦力を有する摺動と、摩擦板の4面分の摩擦力を有する摺動と、を1つの摩擦ダンパーにおいて生じさせることが可能である。摩擦板2面分で生ずる摩擦力のほうが摩擦板4面分で生ずる摩擦力よりも大きいため、荷重が加わると、まずは摩擦板2面分での摺動が開始する。丸パイプ168が長孔21dに当接係合すると摩擦板2面分での摺動は完了し、摩擦板4面分での摺動に移行する。つまり、最初は摩擦板の2面分の摩擦力により制振が行われ、次に、摩擦板の4面分のより大きい摩擦力により制振が行われる。
尚、上述では、第1摩擦板12−1〜第4摩擦板12−4を備えていたが、これらを備えない構成とすることもできる。すなわち、圧接部材166は連結部材30と接し、H型鋼20も連結部材30と接する構成とすることもできる。
図7は、丸パイプを用いない場合の図1におけるB−B断面図である。上記説明では、丸パイプ168を用いた実施形態として説明を行ったが、図7に示されるように、長孔21dに当接係合する役割を高力ボルトの軸162bが担うこととすれば、丸パイプ168を用いなくてもよい。
ところで、上述の説明では、1つの摩擦ダンパーについて説明を行ったが、H型鋼20に設けられる複数の長孔の長さを異ならせ、複数の摩擦ダンパーが組み合わせることで、段階的に摩擦力を変化させることが可能となる。
図8は、H型鋼の上面図である。図9は、H型鋼の側面図である。図8及び図9に示されるように、H型鋼に設けられる長孔には、ウェブ20aの左側に設けられる1つの長孔21a(長さd1)と、ウェブ20aの右側に設けられる1つの長孔21c(長さd3)と、フランジ20bの左側に設けられる4つの長孔21b(長さd2)と、フランジ20bの右側に設けられる4つの長孔21d(長さd4)がある。これら長孔21a、21b、21c、21dの長さには、d1<d2<d3<d4の関係がある。一方、連結部材30及び滑動板32に設けられる長孔31の長さは、長孔21dの長さd4よりも長い。
ウェブ20aにおいて、長孔21aの相対移動方向に延びる中心軸は、長孔21cの中心軸と重なる。また、フランジ20bにおいて、長孔21bの相対方向に伸びる中心軸は、長孔21dの中心軸と重なる。また、相対移動方向と交差する交差方向に伸びる長孔21aの中心軸は、長孔21bの中心軸と重なる。また、交差方向に伸びる長孔21cの中心軸は、長孔21dの中心軸と重なる。
このように、それぞれの長孔の中心軸を重ねる構成とすることで、均等に摩擦ダンパーの移動範囲を規定することができ、効率よく振動を抑制することができる。
図10は、摩擦ダンパーユニットの振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。このグラフでは、横軸に相対移動方向の相対変位量δを示し、縦軸には、各摩擦ダンパー10−1〜10−4が発生する摩擦力の総和を示している。
図11は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第1の図である。図11の下部分には、図2のD−D断面における第1摩擦ダンパー10−1と第3摩擦ダンパー10−3が示されている。すなわち、H型鋼20のウェブ20aの摩擦ダンパーが示されている。また、図11の上部分には、図2のE−E断面における第2摩擦ダンパー10−2と第4摩擦ダンパー10−4が示されている。すなわち、H型鋼20のフランジ20bの摩擦ダンパーが示されている。
また、図11では、各部の相対移動の説明を容易にするために、H型鋼のウェブ20a、H型鋼のフランジ20b、連結部材30、圧接部材166、及び、高力ボルトの軸162bのみが模式的に示されている。また、本来であれば、ウェブ20aに設けられる摩擦ダンパーの設置方向と、フランジ20bに設けられる摩擦ダンパーの設置方向は、互いに直交する方向となるが、相対移動方向の移動を理解容易にするために両者の設置方向をそろえて表示している。
また、フランジ20bには、4つの第2摩擦ダンパー10−2が設けられるが、これらは相対移動方向に関して同じ動作を行うので、図11には1つだけ示すこととしている。また、第4摩擦ダンパー10−4についても、フランジ20bに4つ設けられるが、これらも相対移動方向に関して同じ動作を行うので、図11には1つだけ示すこととしている。
このような構成において、摩擦ダンパーユニット1に相対移動方向の荷重が作用した場合について説明する。なお、これらの摩擦ダンパーユニットの動作の説明図において、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する場合を、図10における荷重及び変位ともにプラスとして表す。
図11の状態は、図10においてSp0点に対応する。すなわち、H型鋼20と連結部材30との間に相対移動方向の荷重が加わっていないか、又は、加わっていたとしてもSp1点が示す荷重よりも小さいため、H型鋼20と連結部材30との相対移動が生じていない状態である。
H型鋼20と連結部材30との間にSp1点を超える荷重が加わると、H型鋼20は連結部材30に対して右側に相対移動する。このとき、H型鋼20が第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4の圧接部材166に対して右側に相対移動する。そして、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずる。
図12は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第2の図である。図10のSp0点の状態において、Sp1点を超える荷重が加わり相対移動がなされると、図12に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp2点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動した結果、第1ダンパー10−1の高力ボルトの軸162b(以下、単に軸162bという)が長孔21aの左壁に当接係合した状態である。よって、さらにH型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動しようとした場合、第1摩擦ダンパー10−1は連結部材30との間で相対移動しなければならない。
図10のSp2点の状態(図12)から、さらにSp6点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する。第1摩擦ダンパー10−1の高力ボルトの軸162bは長孔21aに当接係合しているため、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動すると、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、第1摩擦ダンパー10−1においては、圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力も生ずる。
図13は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第3の図である。図10のSp2点の状態において、Sp6点を超える荷重が加わり相対移動がなされると、図13に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp7点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動した結果、第2摩擦ダンパー10−2の軸162bが長孔21bの左壁に当接係合した状態である。よって、さらにH型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動しようとした場合、第2摩擦ダンパー10−2も連結部材30との間で相対移動しなければならない。
図10のSp7点の状態(図13)から、さらにSp8点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する。第1摩擦ダンパー10−1の軸162bは長孔21aに当接係合し、第2摩擦ダンパー10−2の軸162bも長孔21bに当接係合しているため、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動すると、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、第1摩擦ダンパー10−1及び第2摩擦ダンパー10−2においては、圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力も生ずる。
図14は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第4の図である。図10のSp7点の状態において、Sp8点を超える荷重が加わり相対移動がなされると、図14に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp9点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動した結果、第3摩擦ダンパー10−3の軸162bが長孔21cの左壁に当接係合した状態である。よって、さらにH型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動しようとした場合、第3摩擦ダンパー10−3も連結部材30との間で相対移動しなければならない。
図10のSp9点の状態(図14)から、さらにSp10点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する。第1摩擦ダンパー10−1の軸162bは長孔21aに当接係合し、第2摩擦ダンパー10−2の軸162bも長孔21bに当接係合し、第3摩擦ダンパー10−3の軸162bも長孔21cに当接係合しているため、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動すると、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、第1摩擦ダンパー10−1〜第3摩擦ダンパー10−3においては、圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力も生ずる。
図15は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第5の図である。図10のSp9点の状態において、Sp10点を超える荷重が加わり相対移動がなされると、図15に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp11点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動した結果、第4摩擦ダンパー10−4の軸162bが長孔21dの左壁に当接係合した状態である。よって、さらにH型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動しようとした場合、第4摩擦ダンパー10−4も連結部材30との間で相対移動しなければならない。
図10のSp11点の状態(図15)から、さらにSp12点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する。第1摩擦ダンパー10−1の軸162b〜第4摩擦ダンパー10−4の軸162bは、それぞれの長孔21a、21b、21c、21dに当接係合しているため、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動すると、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力も生ずる。
図16は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第6の図である。図10のSp11点の状態において、Sp12点を超える荷重が加わり相対移動がなされると、図16に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp13点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動した結果、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4が連結部材30に対して相対移動し、第1摩擦ダンパー10−1の軸162bが長孔31に当接係合した状態である。この状態は、限界変形の状態であるが、実際にはこの状態にまでは至らないように設計される。ここでは、限界変形を説明する便宜上、第1摩擦ダンパー10−1の軸162bが長孔31に当接係合した状態を示したにすぎない。
次に、加わる荷重の方向が反転する。すなわち、H型鋼20を連結部材30に対して相対的に左側に移動させる荷重が加わる。
図10のSp13点の状態(図16)から、Sp14点を超えるマイナスの荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動する。このとき、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずる。
図17は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第7の図である。図10のSp13点の状態において、Sp14点をマイナス方向に超える荷重が加わり相対移動がなされると、図17に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp15点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動した結果、長孔21aの右壁が第1摩擦ダンパー10−1の軸162bと当接係合した状態である。
図10のSp15点の状態(図17)から、Sp16点を超えるマイナスの荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動する。このとき、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、第1摩擦ダンパー10−1においては、圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力も生ずる。
図18は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第8の図である。図10のSp15点の状態において、Sp16点をマイナス方向に超える荷重が加わり相対移動がなされると、図18に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp17点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動した結果、長孔21bの右壁が第2摩擦ダンパー10−2の軸162bと当接係合した状態である。
図10のSp17点の状態(図18)から、Sp18点を超えるマイナスの荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動する。このとき、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、第1摩擦ダンパー10−1及び第2摩擦ダンパー10−2においては、圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力も生ずる。
図19は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第9の図である。図10のSp17点の状態において、Sp18点をマイナス方向に超える荷重が加わり相対移動がなされると、図19に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp19点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動した結果、長孔21cの右壁が第3摩擦ダンパー10−3の軸162bと当接係合した状態である。
図10のSp19点の状態(図19)から、Sp20点を超えるマイナスの荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動する。このとき、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、第1摩擦ダンパー10−1〜第3摩擦ダンパー10−3においては、圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力も生ずる。
図20は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第10の図である。図10のSp19点の状態において、Sp20点をマイナス方向に超える荷重が加わり相対移動がなされると、図20に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp21点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動した結果、長孔21dの右壁が第4摩擦ダンパー10−4の軸162bと当接係合した状態である。
図10のSp21の状態(図20)から、Sp22点を超えるマイナスの荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動する。このとき、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4においては圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力が生ずる。
図21は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第11の図である。図10のSp21点の状態において、Sp22点をマイナス方向に超える荷重が加わり相対移動がなされると、図21に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp23点の状態に相当する。この状態は、H型鋼22が連結部材30に対して左側に相対移動した結果、第1摩擦ダンパー10−1の軸162bが連結部材30の長孔31と当接係合した状態である。
この状態も限界変形の状態であるが、前述同様に、実際にはこの状態にまでは至らないように設計がされる。ここでは、限界変形の状態を説明する便宜上、第1摩擦ダンパー10−1の軸162bが連結部材30の長孔31と当接係合した状態を示してにすぎない。
次に、加わる荷重の方向が再び反転する。すなわち、連結部材30に対してH型鋼20を相対的に右側に移動させる荷重が加わる。
図10のSp23点の状態(図21)から、Sp24点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する。このとき、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずる。
図22は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第12の図である。図10のSp23点の状態において、Sp24点を超える荷重が加わり相対移動がなされると、図22に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp25点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動した結果、第1摩擦ダンパー10−1の軸162bが連結部材30の長孔31の左壁と当接係合した状態である。
図10のSp25点の状態(図22)から、Sp26点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する。このとき、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、第1摩擦ダンパー10−1においては、圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力が生ずる。
図23は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第13の図である。図10のSp25点の状態において、Sp26点を超える荷重が加わり相対移動がなされると、図23に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp27点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動した結果、第2摩擦ダンパー10−2の軸162bが連結部材30の長孔32の左壁と当接係合した状態である。
図10のSp27点の状態(図23)から、Sp28点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する。このとき、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、第1摩擦ダンパー10−1及び第2摩擦ダンパー10−2においては、圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力が生ずる。
図24は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第14の図である。図10のSp27点の状態において、Sp28点を超える荷重が加わり相対移動がなされると、図24に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp29点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動した結果、第3摩擦ダンパー10−3の軸162bが連結部材30の長孔33の左壁と当接係合した状態である。
図10のSp29点の状態(図24)から、Sp30点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する。このとき、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、第1摩擦ダンパー10−1〜第3摩擦ダンパー10−3においては、圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力が生ずる。
図25は、摩擦ダンパーユニットの動作を説明する第15の図である。図10のSp29点の状態において、Sp30点を超える荷重が加わり相対移動がなされると、図25に示すような各部の配置となる。これは、図10のSp31点の状態に相当する。この状態は、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動した結果、第4摩擦ダンパー10−4の軸162bが連結部材30の投稿34の左壁と当接係合した状態である。
図10のSp31点の状態(図25)から、Sp32点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する。このとき、第1摩擦ダンパー10−1〜第4摩擦ダンパー10−4において、連結部材30とH型鋼20とが相対移動したときの摩擦力が生ずるとともに、圧接部材166と連結部材30とが相対移動したときの摩擦力が生ずる。そして、図10のSp13点の状態となる。
一方、加わる繰り返し荷重が小さい場合には、以下の様になる。
図10のSp2点の状態(図12)からマイナス方向にSp3点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動する。このとき、長孔21a分の相対移動が行われ、第1摩擦ダンパー10−1の軸162bは、長孔21aの右壁に当接係合する。この状態は、図10のSp4点の状態に相当する。また、Sp4点の状態からSp5を超える荷重を加えると、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する。このとき、再度、長孔21a分の相対移動が行われ、第1摩擦ダンパー10−1の軸162bは、長孔21aの左壁に当接係合する。この状態は、Sp2の状態に相当する。
次に、図10のSp7の状態(図13)からマイナス方向にQp1点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動する。そして、長孔21a分の相対移動が行われ、第1摩擦ダンパー10−1の軸162bは、長孔21aの右壁に当接係合する。この状態は、図10のQp2点の状態に相当する。
さらに、図10のQp2点の状態からマイナス方向にQp3点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して左側に相対移動する。そして、第2摩擦ダンパー10−2の軸162bは、長孔21bの右壁に当接係合する。この状態は、図10のQp4点の状態に相当する。
図10のQp4点の状態からプラス方向にQp5点を超える荷重が加わると、H型鋼20が連結部材30に対して右側に相対移動する。そして、第1摩擦ダンパー10−1の軸162bは、長孔21aの左壁に当接係合する。この状態は、図10のSp1点の状態に相当する。さらに、図10のSp1点の状態からプラス方向にQp6点を超える荷重が加わると、H型鋼が連結部材30に対して右側に相対移動する。そして、第2摩擦ダンパー10−2の軸162bは、長孔21aの左壁に当接係合する。この状態は、図10のSp7点の状態に相当する。
図10の破線のような動作は、Sp9点で荷重がマイナス側に反転する場合や、Sp11点で荷重がマイナス側に反転する場合にも同様に成立する。この場合、第3摩擦ダンパー10−3の軸162b及び第4摩擦ダンパー10−4の軸162bも、それぞれ長孔21c、21dに当接係合するような動作をすることになる。
図10において、荷重幅P1と荷重幅P2は同じ荷重として示されていた。しかしながら、荷重幅P1及び荷重幅P2は、摩擦板12及び滑動板32の摩擦係数を変化させることによって異ならせることができる。また、摩擦板12を用いない場合でも、H型鋼20、連結部材30、及び、圧接部材166の摩擦係数を変化させることによって異ならせることができる。
図26は、荷重幅P1を小さく設定し荷重幅P2を大きく設定したときの振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。このように、荷重幅P1を小さくすることにより、小さな荷重であっても振動エネルギーの吸収を開始するので、風荷重や小地震などによる弱い振動を効率よく吸収することができる。
図27は、荷重幅P1を大きく設定し荷重幅P2を小さく設定したときの振動エネルギー吸収履歴特性を示すグラフである。このように、荷重幅P1を大きくすることにより、小さな荷重では振動エネルギーの吸収を開始せず、大きな荷重が加わらないと振動エネルギーの吸収を開始しない。よって、中規模以上の地震から大規模の地震にかけて生ずる振動を効率よく吸収することができる。
本実施形態では、連結部材30の両面に滑動板32が設けられているので、第1摩擦板12−1〜第4摩擦板12−4が連結部材30に対して相対移動するときに安定した摩擦力を生じさせて制振することが可能である。
また、本実施形態では、圧縮方向の変形量に対して荷重の変動が小さいとなる非線形ばね領域を備えた皿ばね積層体161を採用したので、より安定した圧接力を発生させることが可能である。
上記実施形態は、所謂ブレース型について説明を行ったが、間柱型についても適用が可能である。図28は、間柱型に適用した摩擦ダンパーユニットの斜視図である。図29は、間柱型に適用した摩擦ダンパーユニットの正面図である。図30は、間柱型に適用した摩擦ダンパーユニットの断面図である。図30の断面図は、図29におけるX−X断面である。
図28〜図30では、上記実施形態に対応する部位の符号に「’」(ダッシュ)を付して示している。このとき、符号20’が付された間柱上部からの部材は第2圧接板に相当する。また、符号30’が付された部材は第1圧接板に相当する。また、符号166’が付された圧接部材は第3圧接板に相当する。また、これらの図において、間柱下部からの部材には符号140’を付し、フィラーに符号141’を付している。
このように、間柱型に本実施形態における摩擦ダンパーユニットを適用することとしても、段階的に摩擦力を変化させることができ、荷重に応じて適切な摩擦力を生じさせることができる。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
1 摩擦ダンパーユニット(制振構造)、
10−1 第1摩擦ダンパー、10−2 第2摩擦ダンパー、
10−3 第3摩擦ダンパー、10−4 第4摩擦ダンパー、
12−1 第1摩擦板、12−2 第2摩擦板、
12−3 第3摩擦板、12−4 第4摩擦板、
20 H型鋼(第2圧接板)、
20a ウェブ、20b フランジ、
21a 長孔(第2貫通孔)、21b 長孔(第2貫通孔)、
21c 長孔(第2貫通孔)、21d 長孔(第2貫通孔)、
30 連結部材(第1圧接板)、
31 連結部材の長孔(第1貫通孔)、
32 滑動板(滑り板)、
161 皿ばね積層体(圧接力付勢部材)、
162 高力ボルト(ボルト部材)、
163 ナット、164 座金、165 ブッシュ、
166 圧接部材(第3圧接板)

Claims (8)

  1. 建物架構において所定方向に相対移動する一対の部材の間に配置され、前記相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力により、前記相対移動を抑制する摩擦ダンパーを複数設け、該摩擦ダンパーが連動して制振する制振構造であって、
    前記摩擦ダンパーは、
    前記一対の部材のうちの一方の部材に設けられる第1圧接板と、
    前記一対の部材のうちの他方の部材に設けられる第2圧接板と、
    前記第1圧接板又は前記第2圧接板と摺動可能に圧接される第3圧接板と、
    を備え、
    前記第1圧接板は、前記所定方向に長い第1貫通孔を備えて第1移動量を摺動可能とし、
    前記第2圧接板は、前記第1貫通孔より短い第2貫通孔を備えて第2移動量を摺動可能とし、
    前記第3圧接板は、第3貫通孔を備え、
    前記第1貫通孔と第2貫通孔と第3貫通孔とを挿通して設けられるボルト部材を有し、
    複数の前記摩擦ダンパーは、前記第2貫通孔の前記所定方向の長さを段階的に異ならせて前記第2移動量を段階的にし、複数の前記摩擦ダンパーが段階的に摺動することを特徴とする制振構造。
  2. 請求項1に記載の制振構造であって、
    前記ボルト部材を内側に挿入しつつ、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔と前記第3貫通孔とを挿通して設けられるパイプ部材を備えることを特徴とする制振構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の制振構造であって、
    前記第1圧接板を前記第2圧接板と前記第3圧接板が挟むことを特徴とした制振構造。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の制振構造であって、
    前記第2圧接板は、H型鋼のウェブ及びフランジの少なくともいずれか一方であることを特徴とする制振構造。
  5. 請求項4に記載の制振構造であって、
    前記フランジに取り付けられる圧接力付勢部材の数は、前記ウェブに取り付けられる前記圧接力付勢部材の数よりも多いことを特徴とする制振構造。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の制振構造であって、
    前記圧接力付勢部材は皿ばねであることを特徴とする制振構造。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の制振構造であって、
    前記第1圧接板に対する摺動時の摩擦係数が、前記第2圧接板と前記第3圧接板とで互いに異なっていることを特徴とする制振構造。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の制振構造であって、
    前記第1圧接板と前記第3圧接板との間に挟まれる第1摩擦板と、
    前記第1圧接板と前記第2圧接板との間に挟まれる第2摩擦板と、
    前記第1圧接板の一方の面及び他方の面に固定的に設けられ、前記第1摩擦板及び前記第2摩擦板に接する滑り板と、
    を備えることを特徴とする制振構造。
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