JP6432318B2 - 摩擦ダンパー - Google Patents

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Description

本発明は、建物架構の振動を抑制する摩擦ダンパーに関する。
建物架構の振動を減衰する摩擦ダンパーが知られている。この摩擦ダンパーは、建物架構において所定方向に互いに相対移動する一対の部材の間に配置され、前記相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力により、前記相対移動を抑制するものである(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献1の摩擦ダンパーは、外力の大きさに応じて2つの大きさの摩擦力を発生することが可能になっている。
特開2009−150514号公報
しかしながら、特許文献1の摩擦ダンパーでは、多段階(3段階以上)の外力レベル(例えば、小地震、中地震、大地震)のそれぞれに対して、最適な摩擦力を段階的に発揮することができず、地震エネルギーを効率的に吸収することができなかった。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、外力レベル(換言すると一対の部材の相対移動量)の大きさに応じて、多段階の摩擦力を発揮することにある。
かかる目的を達成するため、本発明の摩擦ダンパーは、建物架構において所定方向に相対移動する一対の部材の間に配置されて、前記相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力により、前記相対移動を抑制する摩擦ダンパーにおいて、前記一対の部材のうちの一方の部材に設けられる第1圧接板と、前記一対の部材のうちの他方の部材に設けられる第2圧接板と、前記第2圧接板とによって前記第1圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第3圧接板と、前記一方の部材に設けられ、前記第1圧接板とによって前記第3圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第4圧接板と、前記第3圧接板とによって前記第4圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第5圧接板と、前記圧接力を付与すべく、前記第1圧接板の前記所定方向に長い第1貫通孔、前記第2圧接板の第2貫通孔、前記第3圧接板の第3貫通孔、前記第4圧接板の前記所定方向に長い第4貫通孔、及び、前記第5圧接板の第5貫通孔を挿通して設けられる軸部材と、を有し、前記第1貫通孔及び前記第4貫通孔によって前記第1圧接板及び前記第4圧接板に対する前記第2圧接板の前記所定方向の摺動が許容されるとともに、前記摺動に連動して前記第3圧接板が前記第1圧接板に対して所定方向に摺動し、前記摺動に連動して前記5圧接板が前記第4圧接板に対して所定方向に摺動する場合に、前記摺動させるための力が、前記軸部材と前記第2貫通孔、前記3貫通孔及び前記第5貫通孔との係合を介して前記第2圧接板から前記第3圧接板及び前記第5圧接板へと伝達される前記摩擦ダンパーであって、前記第3圧接板の前記第3貫通孔には、筒状の規制部材が固定されており、前記規制部材は前記第2圧接板が前記所定方向に摺動したときに前記第2圧接板の前記第2貫通孔の内壁と当接する位置まで設けられ、且つ、前記第2貫通孔と前記規制部材の間、及び、前記規制部材と前記軸部材の間にはそれぞれ前記所定方向に関して隙間が形成されていることを特徴とする。
このような摩擦ダンパーによれば、外力レベルの大きさに応じて多段階(3段階)の摩擦力を発揮することができる。その結果、適切な大きさの摩擦力で振動を減衰させることができる。
かかる摩擦ダンパーであって、前記第1圧接板、前記第3圧接板、前記第4圧接板、及び、前記第5圧接板は、前記第2圧接板の一方の面側と他方の面側にそれぞれ設けられており、前記一方の面側の前記第3圧接板の第3貫通孔と、前記他方の面側の前記第3圧接板の第3貫通孔は、前記所定方向の長さが異なり、前記規制部材は、長さの大きい方の前記第3貫通孔に設けられ、長さの小さい方の前記前記貫通孔には、筒状の内側規制部材が固定されており、前記内側規制部材は、前記第2圧接板の摺動によって前記規制部材が移動したときに、前記規制部材の内壁と当接する位置まで設けられ、且つ、前記規制部材と前記内側規制部材の間、及び、前記内側規制部材と前記軸部材の間にはそれぞれ前記所定方向に関して隙間が形成されていることが望ましい。
このような摩擦ダンパーによれば、4段階の摩擦力を発揮することができる。
かかる摩擦ダンパーであって、或る圧接板の両面には摺動板又は摩擦板が固着され、前記或る圧接板と隣接する圧接板において、前記或る圧接板の摺動板と対向する面には摩擦板が固着される一方、前記或る圧接板の摩擦板と対向する面には摺動板が固着され、前記摺動板と前記摩擦板との摺動によって前記摩擦力が発生することが望ましい。
このような摩擦ダンパーによれば、圧接板同士の摺動によって確実に摩擦力を発生させることができる。
かかる摩擦ダンパーであって、前記軸部材は、ボルト部材と、前記ボルト部材の先端部に螺着されて、前記ボルト部材の頭部とによって、各圧接板に前記圧接力を付与するナットとを有することが望ましい。
このような摩擦ダンパーによれば、各圧接板に圧接力を付与することができる。
かかる摩擦ダンパーであって、前記軸部材は、前記ボルト部材を内側に挿入したパイプをさらに有することが望ましい。
かかる摩擦ダンパーであって、前記頭部と該頭部に隣接する圧接板との間、及び、前記ナットと該ナットに隣接する圧接板との間の少なくとも一方には皿ばねが介挿されており、前記皿ばねの弾性力が前記圧接力として各圧接板に付与されることが望ましい。
このような摩擦ダンパーによれば、圧接力の大きさの安定化を図ることができる。
また、本発明の摩擦ダンパーは、建物架構において所定方向に相対移動する一対の部材の間に配置されて、前記相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力により、前記相対移動を抑制する摩擦ダンパーにおいて、前記一対の部材のうちの一方の部材に設けられる第1圧接板と、前記一対の部材のうちの他方の部材に設けられる第2圧接板と、前記第2圧接板とによって前記第1圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第3圧接板と、前記一方の部材に設けられ、前記第1圧接板とによって前記第3圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第4圧接板と、前記第3圧接板とによって前記第4圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第5圧接板と、前記圧接力を付与すべく、前記第1圧接板の前記所定方向に長い第1貫通孔、前記第2圧接板の第2貫通孔、前記第3圧接板の第3貫通孔、前記第4圧接板の前記所定方向に長い第4貫通孔、及び、前記第5圧接板の第5貫通孔を挿通して設けられる軸部材と、を有し、前記第1貫通孔及び前記第4貫通孔によって前記第1圧接板及び前記第4圧接板に対する前記第2圧接板の前記所定方向の摺動が許容されるとともに、前記摺動に連動して前記第3圧接板が前記第1圧接板に対して所定方向に摺動し、前記摺動に連動して前記5圧接板が前記第4圧接板に対して所定方向に摺動する場合に、前記摺動させるための力が、前記軸部材と前記第2貫通孔、前記3貫通孔及び前記第5貫通孔との係合を介して前記第2圧接板から前記第3圧接板及び前記第5圧接板へと伝達される前記摩擦ダンパーであって、前記第2圧接板の前記第2貫通孔には、筒状の規制部材が固定されており、前記規制部材は前記第2圧接板が前記所定方向に摺動したときに前記第3圧接板の前記第3貫通孔の内壁と当接する位置まで設けられ、且つ、前記第3貫通孔と前記規制部材の間、及び、前記規制部材と前記軸部材の間にはそれぞれ前記所定方向に関して隙間が形成されていることを特徴とする。
このような摩擦ダンパーによれば、外力レベルの大きさに応じて多段階(3段階)の摩擦力を発揮することができる。
本発明によれば、多段階の摩擦力を発揮することができる。
摩擦ダンパーの概要についての説明図である。 参考例の摩擦ダンパー10の構成を示す断面図である。 参考例の摩擦ダンパー10の動作の説明図である。 参考例の摩擦ダンパー10の動作の説明図である。 参考例の摩擦ダンパー10の復元力特性を示す図である。 第1実施形態の摩擦ダンパー10の構成を示す断面図である。 図5のA−A´平面図である。 図5のB−B´平面図である。 図5のC−C´平面図である。 図5のD−D´平面図である。 図5のE−E´平面図である。 第1実施形態の摩擦ダンパー10の動作の説明図である。 第1実施形態の摩擦ダンパー10の動作の説明図である。 第1実施形態の摩擦ダンパー10の動作の説明図である。 第1実施形態の摩擦ダンパー10の復元力特性を示す図である。 第2実施形態の摩擦ダンパー10の構成を示す断面図である。 第2実施形態の摩擦ダンパー10の動作の説明図である。 第2実施形態の摩擦ダンパー10の動作の説明図である。 第2実施形態の摩擦ダンパー10の動作の説明図である。 第2実施形態の摩擦ダンパー10の動作の説明図である。 第2実施形態の摩擦ダンパー10の復元力特性を示す図である。
===第1実施形態===
<摩擦ダンパーの概要について>
図1は摩擦ダンパーの概要についての説明図である。
図1に示す摩擦ダンパー10は、柱梁架構1(建物架構)のブレース7を構成するH形鋼のウエブに設けられている。ブレース7は、適宜位置で互いに所定間隔を隔てるように分断されて、一対のブレース分断片71,72が形成されている。もって、これらブレース分断片71,72同士は、前記所定間隔によって架け渡し方向(所定方向に相当し、以下では、ブレース架け渡し方向とも言う)に相対移動可能になっている。摩擦ダンパー10は、ブレース7のブレース分断片71,72の間に配置されており、地震などの外力が発生した際に、圧接板同士の摩擦力により、ブレース分断片71,72のブレース架け渡し方向への相対移動を抑制する。
<参考例の摩擦ダンパー10>
図2は参考例の摩擦ダンパー10の構成を示す断面図である。なお、図2は、図1中のII−II矢視に相当する断面図である。摩擦ダンパー10は、一方のブレース分断片71のウエブ71Wにフィラープレート73を介してボルト止めされる外板11と、他方のブレース分断片72のウエブ72Wがそのまま流用される中板21と、この中板21とによって外板11を表裏両面から所定の圧接力で板厚方向に挟み込む角座金51と、を有している。
ここで、外板11の表裏両面には、それぞれ、滑動板15の一例としてのステンレス板が移動不能に固着されている一方、これら滑動板15,15と対向する中板21及び角座金51の各面には、それぞれ摩擦板25,55が移動不能に固着されている。この固着方法としては、例えば、(1)接着による方法、(2)固着面を構成する各々の表面について表面粗さの増大化処理(外板11、中板21、角座金51、滑動板15及び摩擦板25,55表面の目荒らし、ショットブラスト等)を施して、固着面で相対的な滑りが生じないようにする方法、(3)嵌合による方法等が挙げられる。
さらに、ウエブ71Wの片面だけでなく、その反対側の面にもフィラープレート73を介して外板11(便宜上、外板11aとする)がボルト止めされており、また、この外板11aを中板21とで挟み込むべく角座金51(便宜上、角座金51aとする)が設けられている。
また、外板11,11aには貫通孔13、中板21には貫通孔23、角座金51,51aには貫通孔53がそれぞれ板厚方向に貫通形成されているとともに、これらの貫通孔13,23,53には串刺し状に高力ボルト61bが通されている。また、角座金51と角座金51aとの間の高力ボルト61bの周囲にはパイプ67が設けられている。パイプ67は、高力ボルト61bを内側に挿入しつつ、角座金51の貫通孔53及び角座金51aの貫通孔53を挿通して設けられている。
そして、この高力ボルト61bの先端部にはナット61nが螺着されており、これら高力ボルト61b及びナット61nによって、外板11(外板11a)は、中板21と、角座金51(角座金51a)とに挟まれた状態で締結され、これにより、挟み込みのための前記圧接力が板厚方向に付与されている。
よって、この圧接力により、外板11の滑動板15に対して中板21の摩擦板25及び角座金51の摩擦板55は当接され、摺動時には前記圧接力に応じた摩擦力を生じる。そして、この摩擦力が柱梁架構1の振動の減衰力となる。なお、ナット61nと角座金51との間にはそれぞれ皿ばね63が介装されており、これら皿ばね63の弾発力が付与されることにより圧接力の大きさの安定化が図られている。
ところで、上記の摺動を前記ブレース架け渡し方向について許容すべく、外板11、11aの貫通孔13は、前記ブレース架け渡し方向に沿って長い長孔に形成されている(後述する図6Dを参照)。すなわち、この貫通孔13によって、柱梁架構1のブレース分断片71,72同士のブレース架け渡し方向の相対移動に伴い、外板11に対して中板21及び角座金51が、ブレース架け渡し方向に摺動可能になっている。なお、この貫通孔13(長孔)のブレース架け渡し方向の長さは、地震時に想定されるブレース分断片71,72同士の相対移動量を考慮して決定される。
これに対して、中板21の貫通孔23は、パイプ67との間のブレース架け渡し方向の隙間が、前記貫通孔13(長孔)の隙間よりも小さい楕円形状(後述する図6E参照)に形成されている。詳しくは、図2に示すように、中板21の貫通孔23とパイプ67との間には、ブレース架け渡し方向に大きさe(片側e/2)の隙間が設けられている。また、角座金51,51aの貫通孔53とパイプ67との間の隙間はほぼ零となっている。
次に参考例の摩擦ダンパー10の動作について説明する。
図3A及び図3Bは、参考例の摩擦ダンパー10の動作の説明図であり、図4は、参考例の摩擦ダンパー10の復元力特性を示す図である。なお、図4において、横軸には、ブレース分断片71,72同士の相対移動量(変位δ)を示し、縦軸には、摩擦ダンパー10にかかる外力(荷重P)を示している。また各摺動面の摩擦係数は等しいとする。
まず、相対移動量(変位δ)がe/2より小さい(δ<e/2)ときは、高力ボルト61b(パイプ67)は中板21との間の隙間内を相対移動するのみであって、貫通孔23の内壁と当接係合することは無い。よって、中板21から高力ボルト61bへとブレース架け渡し方向の力が作用することも無く、必然、当該力が、角座金51を摺動させるための支圧力として、中板21から角座金51へ伝達されることもない。その結果、中板21が外板11に対して摺動するのみ(摺動面が2面)で角座金51は摺動しない状態が作り出される。よって、当該相対移動量の小さい振動、つまり小さな外力による振動に対しては、摩擦ダンパー10は、摺動面が2面の小さな摩擦力を発生することになり、これにより、摩擦ダンパー10は、小さな外力による振動を、それに対応する大きさの小さな摩擦力によって効果的に減衰することができる。
変位δがe/2になると、図3Bに示すように、パイプ67が中板21の貫通孔23の内壁と当接係合する。この係合により、パイプ67(高力ボルト61b)を介して、中板21から角座金51,51aにブレース架け渡し方向の力が作用する。これにより、変位δ≧e/2のときには、中板21が外板11に対して摺動するのに加え、角座金51が外板11に対して摺動し、角座金51aが外板11aに対して摺動する。
よって図のように摺動面が4つ(4面)になり、摩擦力が増加する。ここでは各面の摩擦係数が等しいので、摩擦力は図3Aのときの2倍になる。これにより、摩擦ダンパー10は、地震時の大きな外力(荷重P2)による振動を、より大きな摩擦力(図3Aのときの2倍の摩擦力)によって効果的に減衰することができる。
なお、このとき図3Bに示すように、中板21とパイプ67との当接位置の反対側には、大きさeの隙間が形成されることになる。ブレース分断片71,72同士が図3Bの状態から逆方向に相対移動するときには、相対移動の開始直後に、中板21とパイプ67が離間し、外板11に対して中板21のみが摺動する。ただし、摺動の方向(摩擦力の方向)は図3Aのときと逆になる。よって、摺動面が2面の小さい摩擦係数になる。そして、逆方向への相対移動量がeになるとパイプ67が中板21の貫通孔23の内壁と当接係合して摺動面が4面となり摩擦力が増大する(図4参照)。
このように、参考例の摩擦ダンパー10は、外力の大きさ(ブレース分断片71,72同士の相対移動量)に応じて、2段階の摩擦力を発揮できる。
ただし、この参考例の摩擦ダンパー10では、例えば小地震、中地震、大地震のような3段階以上(多段階)の大きさの地震に対して、それぞれ適した摩擦力を発生することができない。そこで、本実施形態では、3段階の大きさの地震に対してそれぞれ最適な摩擦力を発生させるようにしている。
<第1実施形態の摩擦ダンパー10>
図5は、第1実施形態の摩擦ダンパー10の構成を示す断面図である。また、図6Aは図5のA−A´平面図、図6Bは図5のB−B´平面図、図6Cは図5のC−C´平面図、図6Dは図5のD−D´平面図、図6Eは図5のE−E´平面図である。なお、参考例(図2)と同じ構成の部分には同一符号を付している。
第1実施形態の摩擦ダンパー10は、参考例(図2)の構成に角座金31、外板41、及び、規制部材37を追設している。
本実施形態の摩擦ダンパー10は、圧接板として、図5に示すように、外板11,11a、中板21、角座金31、外板41、角座金51,51aを有する。ここで、外板11,11aは第1圧接板に相当し、中板21は第2圧接板に相当し、角座金31は第3圧接板に相当し、外板41は第4圧接板に相当し、角座金51は第5圧接板に相当する。
なお、外板11,11a、中板21、角座金51,51aの構成は参考例と同じである。すなわち、外板11,11aの表裏両面には、それぞれ、滑動板15が移動不能に固着され、中板21及び角座金51,51aの各面には、それぞれ摩擦板25,55が移動不能に固着されている。また、外板11,11aには貫通孔13(第1貫通孔に相当)、中板21には貫通孔23(第2貫通孔に相当)、角座金51,51aには貫通孔53(第5貫通孔に相当)がそれぞれ形成されている。
角座金31は、中板21とによって外板11を表裏両面から所定の圧接力で板厚方向に挟み込むものである。また、角座金31の各面には、それぞれ摩擦板35が移動不能に固着されている。この摩擦板35は、摩擦板25,55と同様のものである。また、角座金31には、楕円形状の貫通孔33(第3貫通孔に相当)が形成されている。なお、角座金31の貫通孔33のブレース架け渡し方向の長さは、中板21の貫通孔23のブレース架け渡し方向の長さよりも小さく形成されている(図5参照)。
また、角座金31の貫通孔33には、筒状の規制部材37が固定されている。この固定の方法としては、(1)接着による方法(2)溶接による方法(3)嵌合による方法などがある。この規制部材37は、角座金31の貫通孔33から中板21の貫通孔23に亘る範囲のパイプ67の周りに設けられている。すなわち、規制部材37は、中板21がブレース架け渡し方向に摺動したときに、中板21の貫通孔23の内壁と当接する位置まで設けられている。また、貫通孔33の長さが、貫通孔23の長さよりも小さいため、中板21の貫通孔23と、規制部材37の間、及び、規制部材37とパイプ67との間にはそれぞれ隙間が形成されている。本実施形態では、図5及び図6Eに示すように、貫通孔23と規制部材37の間のブレース架け渡し方向の隙間の大きさをe1(片側e1/2)とし、規制部材37とパイプ67の間のブレース架け渡し方向の隙間の大きさをe2(片側e2/2)とする。なお、e1とe2の大きさの大小関係は特に限定されない。すなわちe1>e2でもよいし、e1<e2でもよい。あるいは、e1=e2でもよい。
外板41は、ブレース分断片71のウエブ71Wに配置された外板11の上にフィラープレート73を介してボルト止めされている。この外板41は、外板11とによって角座金31を表裏両面から所定の圧接力で板厚方向に挟み込むものである。外板41は、外板11と同一構成の部材であり、表裏両面には、滑動板15と同様の滑動板45が移動不能に固着されている。また、外板11の貫通孔13と同様に、外板41にはブレース架け渡し方向に長い貫通孔43(第4貫通孔に相当)が形成されている。貫通孔43のブレース架け渡し方向の長さは、貫通孔13の長さL(図6D参照)と同じ大きさであり、地震時に想定されるブレース分断片71,72同士の相対移動量を考慮して決定される。そして、これらの貫通孔13及び貫通孔43によって、外板11及び外板41に対する中板21のブレース架け渡し方向の摺動が許容されることになる。
また、本実施形態の角座金51は、角座金31とによって外板41を表裏両面から所定の圧接力で挟み込むように配置されている。
そして、これらの貫通孔13,23,33(規制部材37),43,53には串刺し状に高力ボルト61bが通されている。高力ボルト61bの先端部にはナット61nが螺着されており、これら高力ボルト61b及びナット61nによって、外板11,11a、中板21、角座金31、外板41、角座金51,51aには、挟み込みのための前記圧接力が板厚方向に付与されている。また、角座金51と角座金51aとの間の高力ボルト61bの周囲にはパイプ67が設けられている。パイプ67は高力ボルト61bを内側に挿入しつつ、角座金51の貫通孔53及び角座金51aの貫通孔53を挿通して設けられている。なお、高力ボルト61b、ナット61n、及び、パイプ67は軸部材に相当する。
次に本実施形態の摩擦ダンパー10の動作について説明する。
図7A〜図7Cは、第1実施形態の摩擦ダンパー10の動作の説明図であり、図8は、第1実施形態の摩擦ダンパー10の復元力特性を示す図である。なお、図8において、横軸には、ブレース架け渡し方向の相対移動量(変位δ)を示し、縦軸には、摩擦ダンパー10にかかる外力(荷重P)を示している。また、以下の説明では、各摺動面の摩擦係数は等しいとする。
まず、ブレース分断片71,72同士の相対移動量(変位δ)がe1/2より小さい(δ<e1/2)とき、規制部材37が中板21の貫通孔23の内壁と当接することは無い(図7A)。また、このため中板21から規制部材37及びパイプ67(高力ボルト61b)へとブレース架け渡し方向の力が作用することも無い。よって、当該力が、角座金31や角座金51を摺動させるための力として、中板21から角座金31や角座金51へ伝達されることもない。その結果、中板21のみが外板11,11aに対してブレース架け渡し方向に摺動するのみで角座金31、角座金51,51aは摺動しない状態が作り出される。このとき、図7Aに示すように摺動面は2面となる。もって、当該相対移動量の小さい振動、つまり小さな外力による振動に対しては、摩擦ダンパー10は、2つの摺動面による小さな摩擦力を発生することになり、これにより、摩擦ダンパー10は、この小さな外力(例えば小地震)による振動を、それに対応する小さな摩擦力によって効果的に減衰することができる。
変位δがe/2になると、図7Bに示すように、規制部材37が中板21の貫通孔23の内壁と当接係合する。この係合により、規制部材37を介して、中板21から角座金31にブレース架け渡し方向の力が作用するようになる。換言すると、規制部材37と貫通孔23、貫通孔33との係合を介して中板21から角座金31にブレース架け渡し方向に摺動させるための力が伝達される。これにより、変位δがe1/2≦δ<(e1+e2)/2のときには、中板21が外板11,11aに対して摺動するのに連動して、角座金31が外板41,11に対して摺動する。
よって、図7Bに示すように、このときの摺動面は4面となり、その摩擦力は、図7Aのときの摩擦力の2倍となる。これにより、図7Aのときの外力Pよりも大きい外力P(例えば中地震)による振動を、図7Aのときよりも大きな摩擦力によって効果的に減衰することができる。
また、変位δが(e1+e2)/2になると、図7Cに示すように、規制部材37とパイプ67が当接係合する。この係合により、パイプ67(高力ボルト61b)を介して、中板21から角座金51,51aにもブレース架け渡し方向の力が作用する。換言すると、パイプ67(高力ボルト61b)と規制部材37、貫通孔23、貫通孔53との係合を介して中板21から角座金51,51aにもブレース架け渡し方向に摺動させるための力が伝達される。これにより、変位δがδ≧(e1+e2)/2では、中板21が外板11,11aに対して摺動するのに連動して、角座金31が外板11及び外板41に対してブレース架け渡し方向に摺動し、角座金51が外板41に対してブレース架け渡し方向に摺動し、角座金51aが外板11aに対してブレース架け渡し方向に摺動する。よって、図7Cに示すように、このときの摺動面は6面となり、その摩擦力は、図7Bのときの摩擦力の3/2倍(図7Aのとき摩擦力の3倍)となる。これにより、さらに大きい外力(例えば大地震)による振動を、図7Bのときよりも大きな摩擦力によって効果的に減衰することができる。
なお、このとき図7Cに示すように、中板21の貫通孔23と規制部材37との当接位置の反対側には、大きさe1の隙間が形成されることになる。また、規制部材37とパイプ67との当接位置の反対側には、大きさe2の隙間が形成されることになる。
ブレース分断片71,72同士が図7Cの状態から逆方向に相対移動するときには、相対移動の開始直後に、中板21と規制部材37が離間し、外板11,11aに対して中板21のみが摺動する状態になる。つまり、摺動面が2面の小さい摩擦係数になる。そして、逆方向にe1相対移動すると規制部材37が中板21の貫通孔23の内壁と当接係合する。このため、中板21が摺動するのに連動して、角座金31も摺動するようになる。よって、摺動面が4面(摩擦力が2倍)となる。さらに、そこから逆方向にe2相対移動すると、パイプ67が規制部材37と当接係合する。これより、中板21が摺動するのに連動して、角座金51、51aも摺動するようになり摺動面が6面(摩擦力が3倍)になる(図8参照)。
このように、参考例の摩擦ダンパー10は、外力の大きさ(ブレース分断片71,72同士の相対移動量)に応じて、3段階の摩擦力を発揮できる。
以上説明したように、本実施形態の摩擦ダンパー10は、ブレース分断片71のウエブ71Wに設けられる外板11と、ブレース分断片72のウエブ72Wがそのまま流用される中板21と、中板21とによって外板11を両面から所定の圧接力で挟み込む角座金31と、ブレース分断片71のウエブ71Wに設けられ、外板11とによって角座金31を両面から所定の圧接力で挟み込む外板41と、角座金31とによって外板41を所定の圧接力で挟み込む角座金51を備えている。また、前記圧接力を付与すべく、外板11の貫通孔13(長孔)、中板21の貫通孔23、角座金31の貫通孔33、外板41の貫通孔43(長孔)、及び、角座金51の貫通孔53を挿通して設けられる高力ボルト61b(パイプ67)を有している。
上記の長孔(貫通孔13及び貫通孔43)によって、外板11及び外板41に対する中板21のブレース架け渡し方向の摺動が許容さるとともに、摺動させるための力が、パイプ67(高力ボルト61b)と貫通孔23、貫通孔33及び貫通孔53との当接係合を介して中板21から角座金31及び角座金51へと伝達され、摺動に連動して角座金31が外板11に対してブレース架け渡し方向に摺動し、また、摺動に連動して角座金51が外板41に対してブレース架け渡し方向に摺動する構成となっている。
そして、このような構成において、角座金31の貫通孔33に筒状の規制部材37を固定している。規制部材37は、中板21がブレース架け渡し方向に摺動したときに中板21の貫通孔23の内壁と当接する位置まで設けられており、さらに、貫通孔23と規制部材37との間には大きさe1(片側e1/2)の隙間、規制部材37とパイプ67との間には大きさe2(片側e2/2)の隙間がそれぞれ形成されている。
これにより、本実施形態の摩擦ダンパー10は外力の大きさに応じて、上述したように3段階の摩擦力を発揮することができる。
なお、本実施形態では、貫通孔33のブレース架け渡し方向の長さが、貫通孔23のブレース架け渡し方向の長さより小さくなっていたが、これには限られず、貫通孔23と貫通孔33の長さの大小関係が逆でもよい。この場合、中板21に規制部材37と同様の規制部材を、当該中板21が摺動したときに角座金31の貫通孔33の内壁と当接する位置まで設ければよい。そして、当該規制部材とパイプ67(高力ボルト61b)の間、及び、当該規制部材と角座金31の貫通孔33との間にそれぞれ隙間を設ければよい。この場合、中板21が摺動する際に、まず中板21の規制部材とパイプ67が当接する。これにより中板21の摺動に連動して角座金51、51aが摺動する(摺動面が4面になる)。そして、その後、中板21の規制部材が角座金31の貫通孔33の内壁と当接して角座金31も摺動するようになる(摺動面が6面になる)。
===第2実施形態===
図9は、第2実施形態の摩擦ダンパー10の構成を示す断面図である。第2実施形態において第1実施形態(図5)と同一構成の部分には同一符号を付し説明を省略する。
第2実施形態の摩擦ダンパー10は、第1実施形態の構成(図5)に、角座金31a、外板41a、及び、第2規制部材39(内側規制部材に相当)を追設している。
角座金31aは、中板21とによって外板11aを表裏両面から所定の圧接力で板厚方向に挟み込むものである。また、角座金31aの各面には、それぞれ摩擦板35が移動不能に固着されている。また、角座金31aには貫通孔33´が形成されている。なお、図に示すように、角座金31aの貫通孔33´のブレース架け渡し方向の長さは、角座金31の貫通孔33の長さよりも小さい。
また、角座金31aの貫通孔33´には、筒状の第2規制部材39が固定されている。この固定の方法としては、規制部材37と同様、(1)接着による方法(2)溶接による方法(3)嵌合による方法などがある。なお、貫通孔33´のブレース架け渡し方向の長さが、貫通孔33の長さよりも小さいため、第2規制部材39は、規制部材37の内側(より具体的には規制部材37とパイプ67との間)に設けられている。さらに、第2規制部材39は、角座金31が中板21に連動して摺動したときに、規制部材37の内壁と当接する位置(図では中板21のほぼ上面)まで設けられている。すなわち、第2規制部材39は、高力ボルト61bの軸方向(圧接板の厚み方向)に、規制部材37との重複部分が存在するように設けられている。
そして、中板21の貫通孔23と、規制部材37の間、規制部材37と第2規制部材39の間、及び、第2規制部材39とパイプ67との間にはそれぞれ隙間が形成されている。本実施形態では、図9に示すように、貫通孔23と規制部材37の間の隙間の大きさをe1(片側e1/2)とし、規制部材37と第2規制部材39との間の隙間をe2(片側e2/2)とし、第2規制部材39とパイプ67の間の隙間をe3(片側e3/2)とする。なお、e1、e2、e3の大きさの大小関係は特に限定されず、貫通孔23と規制部材37、規制部材37と第2規制部材39、及び、第2規制部材39とパイプ67の間に、ブレース架け渡し方向にそれぞれ隙間があればよい。
外板41aは、ブレース分断片71のウエブ71Wに配置された外板11aの下にフィラープレート73を介してボルト止めされている。この外板41aは、外板11aとによって角座金31aを表裏両面から所定の圧接力で板厚方向に挟み込むものである。外板41aは、外板11,11a、41と同一構成の部材であり、表裏両面には、それぞれ、滑動板45が移動不能に固着されている。また、外板41aにはブレース架け渡し方向に長い貫通孔43(長孔)が形成されている。
また、本実施形態の角座金51aは、角座金31aとによって外板41aを表裏両面から所定の圧接力で挟み込むように配置されている。
このように、中板21の一方の面側(図において上面側)の構成と同様に、他方の面側(図において下面側)にも外板11a、角座金31a、外板41a、角座金51aが設けられている。
そして、貫通孔13,23,33,33´,43,53には串刺し状に高力ボルト61bが通されている。高力ボルト61bの先端部にはナット61nが螺着されており、これら高力ボルト61b及びナット61nによって、外板11,11a、中板21、角座金31,31a、外板41,41a、角座金51,51aには、挟み込みのための前記圧接力が板厚方向に付与されている。また、第1実施形態と同様に、角座金51と角座金51aとの間の高力ボルト61bの周囲にはパイプ67が設けられている。
次に第2実施形態の摩擦ダンパー10の動作について説明する。
図10A〜図10Dは、第2実施形態の摩擦ダンパー10の動作の説明図であり、図11は、第2実施形態の摩擦ダンパー10の復元力特性を示す図である。なお、図11において、横軸には、ブレース架け渡し方向の相対移動量(変位δ)を示し、縦軸には、摩擦ダンパー10にかかる外力(荷重P)を示している。また、以下の説明では、各摺動面の摩擦係数は等しいとする。
まず、ブレース分断片71,72同士の相対移動量(変位δ)がδ<e1/2のときは、高力ボルト61b(パイプ67)は中板21との間の隙間を相対移動するのみであって貫通孔23の内壁と当接することは無い(図10A)。よって、第1実施形態の図7Aと同様に摺動面は2面となる。もって、当該相対移動量の小さい振動、つまり小さな外力による振動に対しては、摩擦ダンパー10は、2つの摺動面による小さな摩擦力を発生することになる。
変位δがe1/2になると、図10Bに示すように、規制部材37が中板21の貫通孔23の内壁と当接係合する。この係合により、規制部材37を介して、中板21から角座金31にブレース架け渡し方向の力が作用するようになる。換言すると、規制部材37と貫通孔23、貫通孔33との係合を介して中板21から角座金31にブレース架け渡し方向に摺動させるための力が伝達される。これにより、変位δがe1/2≦δ<(e1+e2)/2のときには、中板21が外板11、11aに対して摺動するのに連動して、角座金31が外板11,41に対して摺動する。
よって、図10Bに示すように、このときの摺動面は4面となり、その摩擦力は、図10Aのときの摩擦力の2倍となる。
その後、変位δが(e1+e2)/2になると(つまり図10Bからe2/2相対移動すると)、図10Cに示すように、第2規制部材39が規制部材37の内壁と当接係合する。この係合により、第2規制部材39を介して、中板21から角座金31aにもブレース架け渡し方向の力が作用する。換言すると、規制部材37、第2規制部材39と、貫通孔23、貫通孔33´との係合を介して中板21から角座金31aにもブレース架け渡し方向に摺動させるための力が伝達される。これにより、変位δが(e1+e2)/2≦δ<(e1+e2+e3)/2では、中板21が外板11,11aに対して摺動するのに連動して、角座金31が外板11,41に対して摺動し、角座金31aが外板11a,41aに対して摺動する。よって、図10Cに示すように、このときの摺動面は6面となり、その摩擦力は、図10Aのとき摩擦力の3倍となる。
さらに、変位δが(e1+e2+e3)/2になると(つまり図10Cからe3/2相対移動すると)、図10Dに示すように、パイプ67が第2規制部材39の内壁と当接係合する。この係合により、パイプ67(高力ボルト61b)を介して、中板21から角座金51、51aにもブレース架け渡し方向の力が作用する。換言すると、規制部材37、第2規制部材39、パイプ67(高力ボルト61b)と貫通孔23、53との係合を介して、中板21から角座金51、51aにもブレース架け渡し方向に摺動させるための力が伝達される。これにより、変位δがδ≧(e1+e2+e3)/2では、中板21が外板11,11aに対して摺動するのに連動して、角座金51が外板41に対してブレース架け渡し方向に摺動し、角座金51aが外板41aに対してブレース架け渡し方向に摺動し、座金31が外板11及び外板41に対してブレース架け渡し方向に摺動し、角座金31aが外板11a及び外板41aに対してブレース架け渡し方向に摺動する。よって、図10Dに示すように、このときの摺動面は8面となり、その摩擦力は、図10Aのとき摩擦力の4倍となる。
なお、このとき図10Dに示すように、中板21の貫通孔23と規制部材37との当接位置の反対側には、大きさe1の隙間が形成されることになる。また、規制部材37と第2規制部材39との当接位置の反対側には、大きさe2の隙間が形成され、第2規制部材39とパイプ67との当接位置の反対側には、大きさe3の隙間が形成されることになる。
ブレース分断片71,72同士が図10Dの状態から逆方向に相対移動するときには、相対移動の開始直後に、中板21と規制部材37が離間し、外板11,11aに対して中板21のみが摺動する状態になる。つまり、摺動面が2面の小さい摩擦係数になる。そして、逆方向にe1相対移動すると規制部材37が中板21の貫通孔23の内壁と当接係合する。このため、中板21が摺動するのに連動して、角座金31も摺動するようになる。よって、摺動面が4面(摩擦力が2倍)となる。さらに、そこから逆方向にe2相対移動すると、パイプ67が規制部材37の内壁と当接係合する。これより、中板21が摺動するのに連動して、角座金31aも摺動するようになり摺動面が6面(摩擦力が3倍)になる。そして、さらに逆方向にe3相対移動すると、パイプ67が第2規制部材39の内壁と当接係合する。これより、中板21が摺動するのに連動して、角座金51,51´も摺動するようになり摺動面が8面(摩擦力が4倍)になる(図11参照)。
このように、第2実施形態の摩擦ダンパー10は、外力の大きさ(ブレース分断片71,72同士の相対移動量)に応じて、4段階の摩擦力を発揮することができる。
なお、本実施形態では、貫通孔33´のブレース架け渡し方向の長さが、貫通孔33のブレース架け渡し方向の長さよりも小さくなっていたが、貫通孔33と貫通孔33´の大小関係が逆でもよい。この場合、規制部材37を角座金31aの貫通孔33´に設け、第2規制部材39を角座金31の貫通孔33に設ければよい。この場合においても同様に4段階の摩擦力を発揮することができる。
===その他の実施の形態===
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
前述の実施形態では、摩擦ダンパー10を柱梁架構1のブレース7のウエブに組み込んでいたが、何等これに限るものではなく、ブレース7のフランジに組み込んでも良く、更には、柱梁架構1のブレース7以外の部位(例えば、間柱、間仕切り壁など)に組み込んでも良い。つまり、建物の柱梁架構1の振動時に、互いに相対移動する一対の部材であれば、それらの間に設置することができる。
また、前述の実施形態では、軸部材として高力ボルト61bの周囲にパイプ67を設けた構成を例示していたが、これに限るものではない、例えば、高力ボルト61b(及びナット61n)のみでもよい。
また、前述の実施形態では、摩擦板25,35,55の素材について詳説していなかったが、滑動板15,45との間で適度な摩擦力を発生するものであれば適用可能である。例えば、滑動板15,45がステンレス板の場合には、摩擦板25,35,55は、熱硬化性樹脂を結合材としてアラミド繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維、カーボンファイバー等の繊維材料と、カシューダスト、鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリューム等の充填剤とから主に構成される摩擦材料で形成される。なお、摩擦板25,35,55には、上述の摩擦材料を単独で用いても良いし、摩擦材料に鋼板等を裏打ちして強度を高めたものを用いてもよい。
また、前述の実施形態では、摺動面が2面、4面、6面、及び8面の場合を例示したが、摺動面数は何等これに限るものではなく、他の面数であってもよい。また、前述の実施形態では、各面の摩擦係数は同じであるとしていたが、各面で摩擦係数が異なっていてもよい。
また、前述の実施形態では、外板11,41に滑動板15,45を設け、中板21、角座金31、角座金51にそれぞれ摩擦板25、摩擦板35、摩擦板55を設けたが、何等これに限るものではなく、この配置関係を逆にしても良い。
また、前述の実施形態では、中板21の貫通孔23、角座金31の貫通孔33がブレース架け渡し方向に長い楕円であったが、パイプ67との間に隙間があればよく、例えば正円であっても構わない。この場合、規制部材37、第2規制部材39の形状は、貫通孔23、33´の形状に合わせるようにすればよい。
また、前述の実施形態では、皿ばね63をナット61nと角座金51との間に介挿していたが、高力ボルト61bと角座金51aとの間に介挿してもよい。あるいは、ナット61nと角座金51との間と高力ボルト61bと角座金51aとの間の両方に皿ばね63を介挿してもよい。
1 柱梁架構、7 ブレース、10 摩擦ダンパー、
11 外板(第1圧接板)、11a 外板(第1圧接板)、
13 貫通孔、15 滑動板、
21 中板(第2圧接板)、23 貫通孔、25 摩擦板、
31 角座金(第3圧接板)、31a 角座金(第3圧接板)、
33 貫通孔、33´ 貫通孔、35 摩擦板、
37 規制部材、39 第2規制部材、
41 外板(第4圧接板)、41a 外板(第4圧接板)、
43 貫通孔、45 滑動板、
51 角座金(第5圧接板)、51a 角座金(第5圧接板)、
53 貫通孔、55 摩擦板、
61b 高力ボルト、61n ナット、
63 皿ばね、67 パイプ、
71 ブレース分断片、71W ウエブ、
72 ブレース分断片、72W ウエブ、
73 フィラープレート

Claims (7)

  1. 建物架構において所定方向に相対移動する一対の部材の間に配置されて、前記相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力により、前記相対移動を抑制する摩擦ダンパーにおいて、
    前記一対の部材のうちの一方の部材に設けられる第1圧接板と、
    前記一対の部材のうちの他方の部材に設けられる第2圧接板と、
    前記第2圧接板とによって前記第1圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第3圧接板と、
    前記一方の部材に設けられ、前記第1圧接板とによって前記第3圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第4圧接板と、
    前記第3圧接板とによって前記第4圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第5圧接板と、
    前記圧接力を付与すべく、前記第1圧接板の前記所定方向に長い第1貫通孔、前記第2圧接板の第2貫通孔、前記第3圧接板の第3貫通孔、前記第4圧接板の前記所定方向に長い第4貫通孔、及び、前記第5圧接板の第5貫通孔を挿通して設けられる軸部材と、を有し、
    前記第1貫通孔及び前記第4貫通孔によって前記第1圧接板及び前記第4圧接板に対する前記第2圧接板の前記所定方向の摺動が許容されるとともに、前記摺動に連動して前記第3圧接板が前記第1圧接板に対して所定方向に摺動し、前記摺動に連動して前記5圧接板が前記第4圧接板に対して所定方向に摺動する場合に、前記摺動させるための力が、前記軸部材と前記第2貫通孔、前記3貫通孔及び前記第5貫通孔との係合を介して前記第2圧接板から前記第3圧接板及び前記第5圧接板へと伝達される前記摩擦ダンパーであって、
    前記第3圧接板の前記第3貫通孔には、筒状の規制部材が固定されており、
    前記規制部材は前記第2圧接板が前記所定方向に摺動したときに前記第2圧接板の前記第2貫通孔の内壁と当接する位置まで設けられ、且つ、前記第2貫通孔と前記規制部材の間、及び、前記規制部材と前記軸部材の間にはそれぞれ前記所定方向に関して隙間が形成されていることを特徴とする摩擦ダンパー。
  2. 請求項1に記載の摩擦ダンパーであって、
    前記第1圧接板、前記第3圧接板、前記第4圧接板、及び、前記第5圧接板は、前記第2圧接板の一方の面側と他方の面側にそれぞれ設けられており、
    前記一方の面側の前記第3圧接板の第3貫通孔と、前記他方の面側の前記第3圧接板の第3貫通孔は、前記所定方向の長さが異なり、
    前記規制部材は、長さの大きい方の前記第3貫通孔に設けられ、長さの小さい方の前記前記貫通孔には、筒状の内側規制部材が固定されており、
    前記内側規制部材は、前記第2圧接板の摺動によって前記規制部材が移動したときに、前記規制部材の内壁と当接する位置まで設けられ、且つ、前記規制部材と前記内側規制部材の間、及び、前記内側規制部材と前記軸部材の間にはそれぞれ前記所定方向に関して隙間が形成されている
    ことを特徴とする摩擦ダンパー。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の摩擦ダンパーであって、
    或る圧接板の両面には摺動板又は摩擦板が固着され、
    前記或る圧接板と隣接する圧接板において、前記或る圧接板の摺動板と対向する面には摩擦板が固着される一方、前記或る圧接板の摩擦板と対向する面には摺動板が固着され、
    前記摺動板と前記摩擦板との摺動によって前記摩擦力が発生することを特徴とする摩擦ダンパー。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の摩擦ダンパーであって、
    前記軸部材は、
    ボルト部材と、
    前記ボルト部材の先端部に螺着されて、前記ボルト部材の頭部とによって、各圧接板に前記圧接力を付与するナットと
    を有することを特徴とする摩擦ダンパー。
  5. 請求項4に記載の摩擦ダンパーであって、
    前記軸部材は、前記ボルト部材を内側に挿入したパイプをさらに有する、
    ことを特徴とする摩擦ダンパー。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の摩擦ダンパーであって、
    前記頭部と該頭部に隣接する圧接板との間、及び、前記ナットと該ナットに隣接する圧接板との間の少なくとも一方には皿ばねが介挿されており、前記皿ばねの弾性力が前記圧接力として各圧接板に付与される
    ことを特徴とする摩擦ダンパー。
  7. 建物架構において所定方向に相対移動する一対の部材の間に配置されて、前記相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力により、前記相対移動を抑制する摩擦ダンパーにおいて、
    前記一対の部材のうちの一方の部材に設けられる第1圧接板と、
    前記一対の部材のうちの他方の部材に設けられる第2圧接板と、
    前記第2圧接板とによって前記第1圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第3圧接板と、
    前記一方の部材に設けられ、前記第1圧接板とによって前記第3圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第4圧接板と、
    前記第3圧接板とによって前記第4圧接板を両面から所定の圧接力で挟み込む第5圧接板と、
    前記圧接力を付与すべく、前記第1圧接板の前記所定方向に長い第1貫通孔、前記第2圧接板の第2貫通孔、前記第3圧接板の第3貫通孔、前記第4圧接板の前記所定方向に長い第4貫通孔、及び、前記第5圧接板の第5貫通孔を挿通して設けられる軸部材と、を有し、
    前記第1貫通孔及び前記第4貫通孔によって前記第1圧接板及び前記第4圧接板に対する前記第2圧接板の前記所定方向の摺動が許容されるとともに、前記摺動に連動して前記第3圧接板が前記第1圧接板に対して所定方向に摺動し、前記摺動に連動して前記5圧接板が前記第4圧接板に対して所定方向に摺動する場合に、前記摺動させるための力が、前記軸部材と前記第2貫通孔、前記3貫通孔及び前記第5貫通孔との係合を介して前記第2圧接板から前記第3圧接板及び前記第5圧接板へと伝達される前記摩擦ダンパーであって、
    前記第2圧接板の前記第2貫通孔には、筒状の規制部材が固定されており、
    前記規制部材は前記第2圧接板が前記所定方向に摺動したときに前記第3圧接板の前記第3貫通孔の内壁と当接する位置まで設けられ、且つ、前記第3貫通孔と前記規制部材の間、及び、前記規制部材と前記軸部材の間にはそれぞれ前記所定方向に関して隙間が形成されていることを特徴とする摩擦ダンパー。
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