JP6348085B2 - 木造建物の制震構造 - Google Patents

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この発明は、木造建物における矩形の木造軸組み体に適用される制震構造に関する。
軸組み構造の木造建物の制震構造としては、大きく分けて、柱・横架材接合部にエネルギー吸収機構を設けた仕口タイプと、耐力壁と同様に柱および横架材間のスペースを使ったパネルタイプの2種類がある。仕口タイプは、柱や梁の曲げにより剛性が低下する上に、軸組みに曲げを負担させるために、好ましくない。パネルタイプには、面材等で隙間を作り、そこに制震部材を挟み込んだものと、フレームを組み、柱・横架材接合部との隙間に制震部材を取り付けたものとがある。前記面材等で隙間を作るものは、壁面の占有面積が大きくなるという問題がある。前記フレームを組み、柱・横架材接合部との隙間に制震部材を取り付けたものは、フレーム端部に大きな引き抜き力がかかるというという問題がある。
上記各タイプのものとは別に、ブレースを用いた耐力壁において、ブレースに制震部材を組み込む(例えば特許文献1)、または軸材とブレースの接合部に制震部材を設ける(例えば特許文献2)ことによっても、制震性能を持たせることができる。
特開2009−228276号公報 特許第5269475号 実用新案登録第3130971号
ブレースを用いた耐力壁の制震構造では、制震部材に対して効率的に力を加えることが必要である。しかし、図19〜図21に示すようなブレース50と制震部材51を用いた耐力壁の場合、ブレース50から柱2や横架材3,4に、引張・圧縮力の他にせん断力も伝達される構造である。このため、柱2等に余計な曲げ力やせん断力が入ってしまい、制震壁としても剛性が低下してしまう。
他に、図22に示すように、ブレース50を菱形状に配置した壁面構造用枠体が提案されている(特許文献3)。この壁面構造用枠体は、ブレース50の長さを短くできる等の利点はあるものの、ブレース50が柱2や横架材3,4に直接に連結されているため、ブレース50から柱2や横架材3,4に曲げ力が伝達され、柱2と横架材3,4の接合部にせん断力が生じると考えられる。
この発明の目的は、木造軸組み体における柱や横架材にかかる曲げの力を極力小さくすることができ、かつ柱と横架材の接合部にせん断力が入らず、制震性能に優れた木造建物の制震構造を提供することである。
この発明の木造建物の制震構造は、木造建物における隣合う2本の柱およびこれら柱に繋がる上下の横架材である4本の軸材からなる木造軸組み体に適用される制震構造であって、縦横の前記軸材の長手方向の中間位置間にそれぞれ連結されて互いに菱形状を成し、それぞれ圧縮力を負担可能な4本の圧縮ブレースを備える。前記縦横の軸材のうちの長い方の2本の軸材の中間位置にそれぞれ連結される各一対の圧縮ブレースの端部は、前記軸材に接合された連結部材に連結されて前記軸材には直接連結されない。前記縦横の軸材のうちの短い方の2本の軸材のうち、少なくとも1本の軸材の中間位置に連結される一対の圧縮ブレースの端部は、これら圧縮ブレースから前記軸材に作用するせん断力を吸収するせん断ダンパーを介して前記軸材に連結される。
例えば、前記柱が前記横架材よりも長い場合、前記各柱に接合される各一対の前記圧縮ブレースの端部が、前記連結部材を介して前記柱に連結され、前記上下2本の横架材の中間位置とこれら中間位置に連結される各一対の前記圧縮ブレースの端部との間に前記せん断ダンパーが介在する。
この構成の作用を、柱が横架材よりも長い場合を例にとって説明する。
木造軸組み体が地震による横揺れを受けた場合、各圧縮ブレースに荷重がかかるが、4本の圧縮ブレースを菱形状に配置したことにより、連結部材を挟んで並ぶ上下一対の圧縮ブレースにそれぞれかかる荷重の水平成分が互いに逆向きとなる。このため、両荷重の水平成分が相殺され、柱に水平方向の力がかからず、鉛直方向の軸力のみがかかる。その結果、柱と横架材の接合部にせん断力がほとんど作用しない。木造軸組み体にかかるせん断力は、せん断ダンパーで負担される。地震の力がせん断ダンパーで吸収されることで、制震作用が得られる。上下一対の圧縮ブレースが連結部材を介して連結されているため、上下の横架材間の内法高さに応じて連結部材の上下長さを適正に決めることにより、圧縮ブレースの角度を、せん断ダンパーにせん断力が効率良く伝達される適正な角度にすることができる。
この発明において、前記せん断ダンパーは、前記短い方の軸材に接合される柱・横架材接合部と、前記圧縮ブレースに接合されるブレース接合部と、これら柱・横架材接合部およびブレース接合部の間に介在するエネルギー吸収部とを有し、このエネルギー吸収部は複数のエネルギー吸収子からなり、これら複数のエネルギー吸収子は、一端が前記柱・横架材接合部に続き他端が前記ブレース接合部に続き、前記複数のエネルギー吸収子はそれぞれが弓状に屈曲し、かつ屈曲の中心部がくびれる形状であり、屈曲の突出側が対向するように前記相対移動の方向に対称配置で並ぶ構成とすると良い。また、前記エネルギー吸収部における前記相対移動の方向の両端に、前記柱・横架材接合部から立ち上がる一対のリブが設けられていても良い。
の構成によると、柱または横架材と圧縮ブレースとの間に相対移動が発生すると、エネルギー吸収部の各エネルギー吸収子が変形することでエネルギーを吸収する。各エネルギー吸収子はそれぞれが弓状に屈曲し、かつ屈曲の中心部がくびれる形状であるため、屈曲の中心部で屈曲が大きくなる側に確実に変形する。各エネルギー吸収子が、屈曲の突出側が対向するように相対移動の方向に対称配置で並んでいるため、柱または横架材と圧縮ブレースとが正逆いずれの方向に相対移動するときも同じように変形して同等のエネルギー吸収能力が得られる。
この発明において、前記圧縮ブレースは、両端に互いにねじ溝の向きが逆の雌ねじ部を有するパイプ材からなるブレース本体と、このブレース本体の前記雌ねじ部にねじ込み深さ調節可能にねじ込まれた雄ねじ部を有する継手部材とでなっていても良い。
この構成であると、ブレース本体の雌ねじ部に対する継手部材の雄ねじ部のねじ込み量を調節することで、この圧縮ブレースが設けられる木造軸組み体のサイズ等に応じて、圧縮ブレースの長さを任意に変更することができる。また、ブレース本体がパイプ材からなるため、圧縮力に対して十分な剛性を有する。
この発明において、前記連結部材は、前記長い方の軸における前記木造軸組み体の内側の面に接合される平板状のベース部と、このベース部から前記木造軸組み体の内側へ突出する突出部とを有し、この突出部に前記圧縮ブレースの端部を連結すると良い。
連結部材と圧縮ブレースの連結部が軸材と干渉しないように、連結部材と圧縮ブレースの連結部は軸材に対して木造軸組み体の内側に位置する。このため、軸材と連結部材の接合面に、圧縮ブレースから伝達されて連結部材にかかる荷重と、この荷重の中心から前記接合面までの距離とを掛けた大きさの曲げモーメントが生じる。この曲げモーメントは、連結部材を接合面から引き離そうとする作用を及ぼす。連結部材に平板状のベース部が設けられているので、前記曲げモーメントをベース部の広い面で受けることができ、十分な接合強度が得られる。
また、前記連結部材は、前記長い方の軸材における前記木造軸組み体の内側の面に接合される基部と、この基部から前記木造軸組み体の内側へ突出する突出片部とを有し、前記各一対の圧縮ブレースは、前記長い方の軸材に連結される端部に、前記突出片部における前記長い方の軸材の長手方向の任意の位置を挟み込む一対の挟み込み片を有し、前記突出片部および挟み込み片は、前記長い方の軸材の長手方向につき、前記突出片部の方が長く、前記一対の挟み込み片とこれら一対の挟み込み片に挟み込まれた前記突出片部とが結合具により互いに結合されていても良い。
この構成であると、各一対の圧縮ブレースが、長い方の軸材に連結される端部に、連結部材の突出片部における長い方の軸材の長手方向の任意の位置を挟み込む一対の挟み込み片を有し、突出片部および挟み込み片は、長い方の軸材の長手方向につき、突出片部の方が長いため、各一対の圧縮ブレースの端部を連結部材の突出片部における長い方の軸材の長手方向の任意の位置に連結することができる。これにより、上下の横架材間の内法高さが異なる場合でも、圧縮ブレースの角度をせん断ダンパーにせん断力が効率良く伝達される適正な角度にすることができる。
上記構成において、前記一対の挟み込み片間の挟み込み隙間の奥側の部位に、前記突出片部に当接することで前記圧縮ブレースの前記長い方の軸材に連結される端部を位置決めする位置決め用当接部が設けられていると良い。
この場合、圧縮ブレースの端部を正確に位置決めすることができる。
前記圧縮ブレースは、鋼板を断面溝形に折り曲げてなる細長形状の一対の溝状部材がウェブで向き合って配置され、これら一対の溝状部材間に複数のスペーサが介在するものであり、前記複数のスペーサのうちの最も前記長い方の軸材に連結される端部側のスペーサが前記位置決め用当接部であっても良い。
このように、圧縮ブレースが一対の溝状部材と複数のスペーサとを組み合わせた構成とすると、圧縮ブレースを容易に製作することができる。また、複数のスペーサのうちの一つを位置決め用当接部に兼用することにより、部品点数を削減することができる。
この発明の木造建物の制震構造は、木造建物における隣合う2本の柱およびこれら柱に繋がる上下の横架材である4本の軸材からなる木造軸組み体に適用される制震構造であって、縦横の前記軸材の長手方向の中間位置間にそれぞれ連結されて互いに菱形状を成し、それぞれ圧縮力を負担可能な4本の圧縮ブレースを備え、前記縦横の軸材のうちの長い方の2本の軸材の中間位置にそれぞれ連結される各一対の圧縮ブレースの端部は、前記軸材に接合された連結部材に連結されて前記軸材には直接連結されず、前記縦横の軸材のうちの短い方の2本の軸材のうち、少なくとも1本の軸材の中間位置に連結される一対の圧縮ブレースの端部は、これら圧縮ブレースから前記軸材に作用するせん断力を吸収するせん断ダンパーを介して前記軸材に連結され、前記連結部材は、前記長い方の軸材における前記木造軸組み体の内側の面に接合される基部と、この基部から前記木造軸組み体の内側へ突出する突出片部とを有し、前記各一対の圧縮ブレースは、前記長い方の軸材に連結される端部に、前記突出片部における前記長い方の軸材の長手方向の任意の位置を挟み込む一対の挟み込み片を有し、前記突出片部および挟み込み片は、前記長い方の軸材の長手方向につき、前記突出片部の方が長く、前記一対の挟み込み片とこれら一対の挟み込み片に挟み込まれた前記突出片部とが結合具により互いに結合され、前記一対の挟み込み片間の挟み込み隙間の奥側の部位に、前記突出片部に当接することで前記圧縮ブレースの前記長い方の軸材に連結される端部を位置決めする位置決め用当接部が設けられたため、木造軸組み体における柱や横架材にかかる曲げの力を極力小さくすることができ、かつ柱と横架材の接合部にせん断力が入らず、制震性能に優れる。
この発明の一実施形態にかかる木造建物の制震構造の一適用例の正面図である。 同木造建物の制震構造の異なる適用例の正面図である。 同木造建物の制震構造の圧縮ブレースの分解図である。 (A)は同木造建物の制震構造における連結部材とその周辺部の正面図、(B)その側面図である。 (A)は同木造建物の制震構造におけるせん断ダンパーの正面図、(B)はそのVB−VB断面図、(C)はその側面図である。 図5(A)のVI部拡大図である。 同せん断ダンパーのエネルギー吸収子およびリブの変形の様子を示す説明図である。 エネルギー吸収子およびリブのそれぞれの変形量と荷重との関係を示すグラフである。 せん断ダンパーの変形量と荷重との関係を示すグラフである。 同木造建物の制震構造に作用する力の説明図である。 同木造建物の制震構造の連結部材と柱の接合部に作用する力の説明図である。 この発明の異なる実施形態にかかる木造建物の制震構造の一適用例の正面図である。 同木造建物の制震構造の異なる適用例の正面図である。 同木造建物の制震構造の圧縮ブレースの(A)正面図、(B)側面図、(C)XIVC矢視図、(D)底面図、(E)XIVE−XIVE断面図、(F)XIVF−XIVF断面図である。 同木造建物の制震構造の連結部材の(A)正面図、(B)左側面図、(C)右側面図、(D)平面図である。 同木造建物の制震構造のせん断ダンパーの(A)正面図、(B)平面図、(C)XVIC−XVIC断面図、(D)XVID矢視図である。 同木造建物の制震構造のせん断ダンパーと連結部材の結合部の(A)正面図、(B)側面図である。 この発明のさらに異なる実施形態にかかる木造建物の制震構造の正面図である。 ブレースを用いた耐力壁の一例の概略構成図である。 ブレースを用いた耐力壁の他の例の概略構成図である。 ブレースを用いた耐力壁のさらに他の例の概略構成図である。 ブレースを用いた耐力壁のさらに他の例の概略構成図である。
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1、図2に示すように、この木造建物の制震構造は、木造建物における矩形の木造軸組み体1に適用される。木造軸組み体1は、隣合う2本の柱2とこれら柱2に繋がる上下の横架材3,4とからなる。例えば、上側の横架材3は梁であり、下側の横架材4は梁または土台である。これら柱2および横架材3,4は木造軸組み体1を構成する軸材であり、この実施形態の場合、柱2が長い方の軸材であり、横架材3,4が短い方の軸材である。ここで言う軸材の長短は、木造軸組み体1を構成する部分の長さを言う。具体的には、柱2の長さは上下の横架材3,4間の長さHであり、横架材3,4の長さは隣合う2本の柱2間の長さWである。
この木造建物の制震構造は、隣合う縦横の軸材の長手方向の中間位置間に両端がそれぞれ連結された4本の圧縮ブレース5を備える。具体的には、4本の圧縮ブレース5は、左側の柱2の上下中間位置と上側の横架材3の左右中間位置間、左側の柱2の上下中間位置と下側の横架材4の左右中間位置間、右の柱2の上下中間位置と上側の横架材3の左右中間位置間、および右側の柱2の上下中間位置と下側の横架材4の左右中間位置間にそれぞれ配置されている。つまり、これら4本の圧縮ブレース5は、互いに菱形状を成す。
左右各2本の圧縮ブレース5における柱2に連結される側の端部は、柱2に接合された連結部材6に連結されており、柱2には直接連結されていない。連結部材6はある程度の上下長さを有し、その上下端に圧縮ブレース5の端部が連結されるため、4本の圧縮ブレース5の配置は厳密な意味での菱形ではなく、概略菱形状である。また、上下各2本の圧縮ブレース5における横架材3,4に連結される側の端部は、せん断ダンパー7を介して横架材3,4にそれぞれ連結される。せん断ダンパー7は、圧縮ブレース5と横架材3,4間に生じるせん断力を吸収する。
圧縮ブレース5は、圧縮力を負担可能なブレースであって、図3に示すように、主にパイプ材からなるブレース本体11と、このブレース本体11の両端に継がれる一対の継手部材12とでなる。ブレース本体11は両端に、互いにねじ溝の向きが逆の雌ねじ部11aを有する。この例の場合、ブレース本体11のパイプ材部分11bの両端に固定したナットを前記雌ねじ部11aとしている。継手部材12は、ブレース本体11の雌ねじ部11aにねじ込まれる雄ねじ部12aと、前記連結部材6に連結するための貫通孔13を有する平板状の取付部12bとでなる。ブレース本体11の雌ねじ部11aに対する継手部材12の雄ねじ部12aのねじ込み量を調節することで、圧縮ブレース5の全体長さを任意に変えられる。圧縮ブレース5は、いわゆるターンバックル方式の構成である。この圧縮ブレース5は、ブレース本体11が主にパイプ材からなるため、圧縮力に対して十分な剛性を有する。
図4に示すように、連結部材6は、柱2における木造軸組み体1の内側の面に接合される平板状のベース部6aと、このベース部6aから木造軸組み体1の内側へ突出する2枚の平板状の突出部6bとからなる。ベース部6aを木造軸組み体1の内側の面に当接させ、木造軸組み体1の内側からベース部6aおよび柱2に複数本のビス14をねじ込んで、連結部材6を柱2に接合する。突出部6bの上下両端には、圧縮ブレース5を連結するため貫通孔15が設けられている。2枚の突出部6bの上端部間または下端部間に圧縮ブレース5の継手部材12の取付部12bを挿入し、継手部材12の貫通孔13(図3)および突出部6bの貫通孔15に連結ピン16を挿通することで、連結部材6に圧縮ブレース5の端部が連結される。2枚の突出部6bの間に圧縮ブレース5の端部を挟み込むので、圧縮ブレース5が芯出しされる。
図5に示すように、せん断ダンパー7は、横架材3,4に接合される柱・横架材接合部21と、圧縮ブレース5に接合されるブレース接合部22と、これら柱・横架材接合部21およびブレース接合部22の間に介在するエネルギー吸収部23と、このエネルギー吸収部23の図5における左右外側位置にそれぞれ設けられた左右一対のリブ24とを有する。この実施形態の場合、柱・横架材接合部21は横架材3,4に接合されるが、後で示すように柱・横架材接合部21は柱2に接合されることもある。
前記柱・横架材接合部21、ブレース接合部22、およびエネルギー吸収部23の区分は機能面から見た区分であり、実際には、ブレース接合部22およびエネルギー吸収部23の全体、並びに柱・横架材接合部21の一部は同じ平板状のエネルギー吸収部形成板材25の各部で構成されている。具体的には、打抜き加工等によって鋼板に複数の開口部26および切欠き部27を設けることで、エネルギー吸収部23が形成されている。エネルギー吸収部23の形状については、後で説明する。このようなエネルギー吸収部形成板材25が互いに平行に2枚並んでいる。つまり、柱・横架材接合部21およびブレース接合部22は共に、2枚のエネルギー吸収部形成板材25の一部分からなる。
柱・横架材接合部21は、前記2枚のエネルギー吸収部形成板材25の一部からなる部分25aと、両エネルギー吸収部形成板材25に対して垂直な板状部材28とからなる。そして、板状部材28とブレース接合部22とに亘り、前記2枚のリブ24が、各エネルギー吸収部形成板材25の左右両端縁に沿って設けられている。換言すると、板状部材28から2枚のエネルギー吸収部形成板材25と2枚のリブ24とが立ち上がっている。板状部材28は、エネルギー吸収部形成板材25の左右両端よりも左右外側へ延び、そのリブ24よりも外側へ延びた部分のリブ24が立ち上がる面に、延び方向に沿う補強用の凸条29が設けられている。
柱・横架材接合部21は、板状部材28を横架材3,4における木造軸組み体1の内側の面に当接させ、木造軸組み体1の内側から板状部材28および横架材3,4に複数本のビス30をねじ込んで、横架材3,4に接合される。ブレース接合部22には、圧縮ブレース5を連結するための貫通孔31が2つ設けられている。2枚のエネルギー吸収部形成板材25の間に圧縮ブレース5の継手部材12の取付部12bを挿入し、この取付部12bの貫通孔13(図3)およびブレース接合部22の貫通孔31に連結ピン32を挿通することで、ブレース接合部22に圧縮ブレース5の端部が連結される。
図5(C)に示すように、リブ24は、鋼板等からなる長方形の板材であって、同図における上下両端が柱・横架材接合部21およびブレース接合部22にそれぞれ溶接等により固定されている。リブ24の上端位置は、前記貫通孔31の位置と比べて同じかまたは高くしてある。換言すると、リブ24におけるブレース接合部22側の先端位置は、柱・横架材接合部21側から見て、前記貫通孔31の位置と同じ距離かまたは遠い側にある。これは、圧縮ブレース5からブレース接合部22に面外方向の力が作用しても、その力をリブ24で受けることで、エネルギー吸収部23が面外方向に変形することを防止するためである。
エネルギー吸収部23は、両端が柱・横架材接合部21およびブレース接合部22にそれぞれ続く複数のエネルギー吸収子40からなる。換言すると、各エネルギー吸収子40の一端が柱・横架材接合部21に続き、他端がブレース接合部22に続いている。これら複数のエネルギー吸収子40は等間隔で並んでいる。各エネルギー吸収子40はそれぞれが弓状に屈曲し、かつ屈曲の中心部がくびれる形状である。この実施形態の場合、エネルギー吸収子40の数は各エネルギー吸収部形成板材25につき6つであり、左右各3つのエネルギー吸収子40が互いに屈曲の突出側が対向するように左右対称配置で並んでいる。
さらに詳しくは、図5のVI部拡大図である図6に示すように、エネルギー吸収子40は、屈曲の中心部であるくびれ部分41の両側縁が円弧状であり、このくびれ部分41から柱・横架材接合部21(図示せず)およびブレース接合部22に向けてそれぞれ直線部分42が斜めに延びている。直線部分42の傾斜角度θは、例えば60°である。直線部分42の両側縁は直線である。また、直線部分42は、柱・横架材接合部21およびブレース接合部22に近づくに従い幅が広くなる形状である。直線部分42の最小幅aと最大幅bの比は、例えばa:b=1.5:2である。直線部分42と柱・横架材接合部21およびブレース接合部22との接続部43の側縁は円弧状である。このように、各エネルギー吸収子40の側縁は、直線と円弧とが切れ目なく繋がった滑らかな形状とされている。
上記構成のせん断ダンパー7の作用を説明する。
このせん断ダンパー7が設けられる2つの部材、すなわち横架材3,4と圧縮ブレース5間に、横架材3,4の長手方向となる水平方向の相対移動が発生すると、エネルギー吸収部23の各エネルギー吸収子40が変形することでエネルギーを吸収する。複数のエネルギー吸収子40が等間隔で並んでいるため、力が各エネルギー吸収子40に均等に流れる。
各エネルギー吸収子40はそれぞれが弓状に屈曲し、かつ屈曲の中心部でくびれる形状であるため、屈曲の中心部で屈曲が大きくなる側に確実に変形する。エネルギー吸収子40が滑らかな形状であるため、応力の負担を分散できる。それにより、大変形領域まで変形させることが可能である。
各エネルギー吸収子40が、屈曲の突出側が対向するように左右対称の配置で並んでいるため、横架材3,4と圧縮ブレース5とが正逆いずれの方向に相対移動するときも同じように変形して同等のエネルギー吸収能力が得られる。つまり、せん断ダンパー4の左右の不釣り合いがない。
エネルギー吸収部23の両側にリブ24が設けられているため、エネルギー吸収子40が損傷しても、リブ24が引張力を負担する部材として機能することで、荷重低下を防ぐことができる。例えば、せん断力によりエネルギー吸収子40が図7(A)から図7(B)のように変形すると、エネルギー吸収子40と柱・横架材接合部21またはブレース接合部22との境界部に割れ45が生じる。これにより、図8のグラフに実線Aで示すように、エネルギー吸収子40が負担する荷重は低下する。しかし、リブ24が引っ張られて(または押されて)リブ24の長さが伸びることにより、図8のグラフに点線Bで示すように、リブ24が負担する荷重が直線的に増加する。エネルギー吸収子40の荷重低下とリブ24の荷重増加とが相殺されるため、全体として負担する荷重はほとんど変わらない。エネルギー吸収部23の両端に切欠き部27が設けられているため、リブ24が変形してもエネルギー吸収子40と干渉しない。
図9は、このせん断ダンパー7の一例の載荷試験結果を示すグラフである。この試験結果から、変形が大きくなっても全体で負担する荷重がほとんど変わらないことが分かる。また、正逆いずれの方向の荷重に対しても同じ挙動をすることが見て取れる。エネルギー吸収子40の数、厚み、傾斜角度θ、直線部分42の最小幅aと最大幅bの比等を変えることで、変形量・荷重の特性を任意に変えることができる。
また、エネルギー吸収部23の両側に設けられた一対のリブ24が、このせん断ダンパー7に入る回転力を受けることで、エネルギー吸収子40が面外方向に変形することを防止する。リブ24はエネルギー吸収部23の左右外側位置にあるため、各エネルギー吸収子40がせん断力を吸収する変形の障害とはならない。
このせん断ダンパー7は、各部が鋼板でできているため、加工が容易で、安価に製作することができる。また、特殊な素材を必要としない。各部が鋼板からなっていても、板状部材28から2枚のエネルギー吸収部形成板材25と2枚のリブ24とが立ち上がる形状に組むことで、必要な強度は確保しつつ、エネルギー吸収部23の各エネルギー吸収子40が効果的に変形するという機能を得ることができる。また、2枚のエネルギー吸収部形成板材25の間に圧縮ブレース5の端部を挟み込むので、容易に圧縮ブレース5の芯出しができる。強度が必要な場合は、3枚以上のエネルギー吸収部形成板材25を互いに離して、または互いに重ね合わせて設けても良い。
この木造建物の制震構造は、上下の横架材3,4間の内法高さに応じて圧縮ブレース5の全体長さを調整する。図1は内法高さが低い場合を示し、図2は内法高さが高い場合を示す。但し、圧縮ブレース5は、せん断ダンパー7にせん断力を効率良く伝達する適正な角度で使用する必要がある。例えば、内法高さが極端に高い場合、圧縮ブレース5の長さを伸ばして調整しようとすると、圧縮ブレース5の角度が立ち過ぎとなり、せん断ダンパー7にせん断力を効率良く伝達できなくなる。このように、圧縮ブレース5の長さで調整することが不適切な場合は、連結部材6として上下長さの長いものを用いることにより、圧縮ブレース5の角度を適正角度内に保ちつつ、内法高さに対応させる。
この木造建物の制震構造は、地震による横揺れを受けたとき以下の挙動を示す。
例えば、図10に示すように、建物に図の右向きの力Fが作用すると、各圧縮ブレース5に矢印で示す方向に荷重P1,P2,P3,P4がかかる。4本の圧縮ブレース5を菱形に配置したことにより、連結部材6を挟んで並ぶ一対の圧縮ブレース5の各荷重P1,P2(P3,P4)における水平成分は互いに逆向きとなる。このため、両荷重P1,P2(P3,P4)の水平成分が相殺され、柱2には水平方向の力がかからず、鉛直方向の軸力N1,N2のみがかかる。その結果、柱2と横架材3,4の接合部8にせん断力がほとんど作用しない。木造軸組み体1にかかる水平方向のせん断力は、その上下のせん断ダンパー7で負担される。地震力がせん断ダンパー7で吸収されることで、制震作用が得られる。
木造軸組み体1の右側部分について見た場合、図11に示すように、連結部材6には下向きの荷重Pがかかっている。この荷重Pの中心は、柱2と連結部材6との接合面17から距離hだけ離れているので、接合面17に(h×P)の大きさの曲げモーメントMがかかる。この曲げモーメントMは、荷重Pが下向きである場合、連結部材6の上部を接合面17から引き離そうとする作用を及ぼす。この実施形態の連結部材6は、平板状のベース部6aを柱2に当接させ、複数本のビス14により柱2に接合してあるため、前記曲げモーメントMをベース部6aの広い面で受けることができ、十分な接合強度が得られる。また、ベース部6aを平板状とすることで、多数本のビス14で連結部材6を柱2に固定することができ、1本当たりのビス14の負担を軽減できる。
この木造建物の制震構造による作用・効果をまとめると次のようになる。
・連結部材6の2枚の突出部6b間に圧縮ブレース5の一端を挟み込んで連結し、かつせん断ダンパー7の2枚のエネルギー吸収部形成板材25間に圧縮ブレース5の他端を挟み込んで連結するため、構造芯で部材を接合することができる。
・4本の圧縮ブレース5を菱形に配置したことにより、柱2や横架材3,4にかかる曲げモーメントの力を極力小さくすることができる。
・せん断ダンパー7にリブ24を設けたため、装置部分の面外方向へ変形に対する補剛ができる。
・圧縮ブレース5をターンバックル方式としたため、上下の横架材3,4間の内法高さが違っても対応可能である。
・圧縮ブレース5から柱2や横架材3,4へ軸力した伝達しない構成であるので、柱2と横架材3,4の接合部8にせん断力がほとんどかからない。
図12ないし図17は、この発明の異なる実施形態を示す。この木造建物の制震構造も、前記実施形態と同様に、隣合う2本の柱2とこれら柱2に繋がる上下の横架材3,4とからなる木造軸組み体1に適用される。前記実施形態と異なる点は、図12、図13のように、上下の横架材3,4間の内法高さH1,H2が異なっていても、各圧縮ブレース5の角度α(圧縮ブレース5と横架材3,4との成す角度)が一定となるようにしたことである。この圧縮ブレース5の角度αは、せん断ダンパー7にせん断力が効率良く伝達される適正な角度である。図12、図13の各木造軸組み体1において、隣合う2本の柱2間の横架材3,4の長さWは同じである。以下、この木造建物の制震構造の各部の構成について説明する。
図14に示すように、圧縮ブレース5は、細長形状の一対の溝状部材50,50がウェブで向き合って配置され、これら一対の溝状部材50,50間に溝状部材50,50の長手方向に沿って並ぶ複数(例えば4つ)の板状のスペーサ51,52,52,52が介在している。各溝状部材50は、鋼板を断面溝形に折り曲げ加工したものである。溝状部材50,50と各スペーサ51,52,52,52とは、リベット等の固定具53により、互いに固定されている。
圧縮ブレース5における柱2に連結される端部には、連結部材6の後述する突出片部62を挟み込む一対の挟み込み片55,55が設けられている。挟み込み片55は、前記溝状部材50のウェブの一部からなる。挟み込み片55の端縁55aは、圧縮ブレース5の長手方向に対して所定の角度βを成している。この端縁55aの角度βと圧縮ブレース5の角度αとは、α+β=90°の関係である。挟み込み片55には、連結部材6の後述する突出片部62と結合するための結合具88(図17)を挿通するための貫通孔56が複数設けられている。
図14において、各スペーサ51,52,52,52のうちの最も柱2に連結される端部側のスペーサ51は、前記一対の挟み込み片55,55間の挟み込み隙間57の奥側の部位に位置しており、図14(A)に示す正面形状が直角三角形をしている。前記直角三角形の斜辺51aは、挟み込み片55の端縁55aと平行である。このスペーサ51は、斜辺51aが連結部材6の後述する突出片部62に当接することで圧縮ブレース5の柱2に連結される端部を位置決めする位置決め用当接部として機能する。他のスペーサ52は、いずれも正面形状が矩形である。なお、スペーサ51の斜辺51aが挟み込み片55の端縁55aと平行であれば良く、スペーサ51は直角三角形以外の形状であっても良い。
圧縮ブレース5におけるせん断ダンパー7に連結される端部は、一対の溝状部材50,50のウェブに矩形状に切欠き部58が形成されている。そして、両溝状部材50,50のフランジの端面に連結板59が溶接等により固定されている。この連結板59には、せん断ダンパー7に設けられたブレース結合ボルト84(図16)のボルト挿通孔60が開けられている。
図15に示すように、連結部材6は、柱2における木造軸組み体1(図12、図13)の内側の面に接合される基部61と、この基部61から木造軸組み体1の内側へ突出する突出片部62とを有する。これら基部61および突出片部62は、1枚の鋼板から折り曲げ加工により成形されている。よって、突出片部62は鋼板が2重に重なった状態となっている。基部61の突出片部62を挟んだ両側部には、複数のビス孔63が長手方向に並んで設けられている。図15(A)に示すように、基部61を木造軸組み体1の内側の面に当接させ、前記ビス孔63に挿通したビス64を柱2にねじ込んで、連結部材6を柱2に接合する。
図16に示すように、せん断ダンパー7は、横架材3,4に接合される柱・横架材接合部71と、圧縮ブレース5に接合されるブレース接合部72と、これら柱・横架材接合部71およびブレース接合部72の間に介在するエネルギー吸収部73と、このエネルギー吸収部73の図16における左右外側位置にそれぞれ設けられた左右一対のリブ74とを有する。この実施形態の場合、柱・横架材接合部71は横架材3,4に接合されるが、後で示すように柱・横架材接合部71は柱2に接合されることもある。
ここまでは、図16のせん断ダンパー7も、図5の前記せん断ダンパー7と同じであるが、以下の構成が図5のせん断ダンパー7と異なっている。
すなわち、図16のせん断ダンパー7は、エネルギー吸収部73が1枚のエネルギー吸収部形成板材75からなる。エネルギー吸収部形成板材75は、前記同様に、打抜き加工等によって鋼板に複数の開口部76および切欠き部77を設けることで、エネルギー吸収部73が形成されている。エネルギー吸収部73は、図16(A)の左右方向に並ぶ複数のエネルギー吸収子78からなる。前記実施形態と同様に、各エネルギー吸収子78はそれぞれが弓状に屈曲し、かつ屈曲の中心部がくびれる形状である。この実施形態の場合、4つのエネルギー吸収子78を有し、左右各2つのエネルギー吸収子78が互いに屈曲の突出側が対向するように左右対称配置で並んでいる。
エネルギー吸収部形成板材75のエネルギー吸収部73を除く部分は、柱・横架材接合部71およびブレース接合部72の一部を構成している。
柱・横架材接合部71は、エネルギー吸収部形成板材75の一部からなる部分75aと、エネルギー吸収部形成板材75に垂直に固定された板状部材79とからなる。板状部材79のエネルギー吸収部形成板材75の面に垂直な方向の両端79aは、補強のためにブレース接合部72の側に折り曲げられている。板状部材79は、エネルギー吸収部形成板材75の左右両端よりも左右外側へ延びている。板状部材79には、複数のビス孔80が設けられている。
ブレース接合部72は、エネルギー吸収部形成板材75の一部からなる山形部分75bと、この山形部分75bの左右の上端斜辺に被さるように溶接等で固定された山形板材82とで構成される。山形板材82は、エネルギー吸収部形成板材75の面に垂直な方向に一定の幅を有している。山形板材82は前記リブ74と一体である。つまり、1枚の鋼板を折り曲げて、山形板材82およびリブ74が形成されている。エネルギー吸収部形成板材75の山形部分75bの左右の上端斜辺ごとに切欠き83が設けられ、この切欠き83に頭部84aが位置するように山形部材82を貫通してブレース結合ボルト84が固定状態で設けられている。
リブ74は、前記山形板材82と一体の長方形の板材であって、エネルギー吸収部形成板材75の左右両端縁に沿って板状部材79まで延びている。そして、溶接等により、エネルギー吸収部形成板材75の左右両端縁および板状部材79の上面に固定されている。図16(D)に示すように、リブ74には、荷重コントロールのために長方形の開口85が設けられている。
このせん断ダンパー7は、図16(A)に示すように、板状部材79を横架材3,4における木造軸組み体1の内側の面に当接させ、前記ビス孔80に挿通したビス86を横架材3,4にねじ込んで、横架材3,4に接合される。また、前記ブレース結合ボルト84を圧縮ブレース5の前記ボルト挿通孔60(図14)に挿通し、ブレース結合ボルト84にナット87を螺着することで、せん断ダンパー7に圧縮ブレース5の一端が結合される。ブレース結合ボルト84への座金88の取付けやナット87の螺着作業は、圧縮ブレース5の切欠き部58に指先や工具を入れて行うことができる。
図17は、圧縮ブレース5と連結部材6の結合部の正面図および側面図である。圧縮ブレース5と連結部材6の結合は、次のように行う。
先ず、一端がせん断ダンパー7に結合された圧縮ブレース5の他端に設けられた一対の挟み込み片55,55で、連結部材6の突出片部62を挟み込む。一対の挟み込み片55,55は、上下の横架材3,4間の内法高さH1,H2(図12、図13)に応じて、突出片部62における上下の任意の位置を挟み込むことができる。このとき、圧縮ブレース5の位置決め用当接部であるスペーサ51の斜辺51aが突出片部62に当接することで、圧縮ブレース5の他端が正確に位置決めされる。
この位置決めされた状態で、挟み込み片55の貫通孔56に結合具88を挿通し、突出片部62に締結する。結合具88は、例えばドリル付きタッピングねじである。これにより、圧縮ブレース5の他端と連結部材6が結合される。このように組み付けられた圧縮ブレース5の角度α(図12、図13)は、上下の横架材3,4間の内法高さH1,H2に関係なく、常にせん断ダンパー7にせん断力を効率良く伝達することができる最適の角度となる。
この実施形態の圧縮ブレース5は、鋼板を断面溝形に折り曲げてなる細長形状の一対の溝状部材50,50と複数のスペーサ51,52,52,52とを組み合わせた構成としたため、容易に製作することができる。また、複数のスペーサ51,52,52,52のうちの一つのスペーサ51が位置決め用当接部に兼用するため、部品点数を削減することができる。
上記各実施形態は、長い方の軸材が柱2であり、短い方の軸材が横架材3,4である木造軸組み体1に適用した例であるが、この発明は、図18のように、長い方の軸材が横架材3,4であり、短い方の軸材が柱2である木造軸組み体1にも適用できる。この場合も、長い方の軸材である上下の横架材3,4と圧縮ブレース5との接合部に連結部材6を介在させ、短い方の軸材である柱2と圧縮ブレース5との接合部にせん断ダンパー7を介在させる。
1…木造軸組み体
2…柱(長い方の軸材)
3,4…横架材(短い方の軸材)
5…圧縮ブレース
6…連結部材
6a…ベース部
6b…突出部
7…せん断ダンパー
11…ブレース本体
11a…雌ねじ部
12…継手部材
12a…雄ねじ部
21,71…柱・横架材接合部
22,72…ブレース接合部
23,73…エネルギー吸収部
40,78…エネルギー吸収子
50…溝状部材
51…スペーサ(位置決め用当接部)
52…スペーサ
55…挟み込み片
57…挟み込み隙間
61…基部
62…突出片部
88…結合具

Claims (5)

  1. 木造建物における隣合う2本の柱およびこれら柱に繋がる上下の横架材である4本の軸材からなる木造軸組み体に適用される制震構造であって、
    縦横の前記軸材の長手方向の中間位置間にそれぞれ連結されて互いに菱形状を成し、それぞれ圧縮力を負担可能な4本の圧縮ブレースを備え、
    前記縦横の軸材のうちの長い方の2本の軸材の中間位置にそれぞれ連結される各一対の圧縮ブレースの端部は、前記軸材に接合された連結部材に連結されて前記軸材には直接連結されず、
    前記縦横の軸材のうちの短い方の2本の軸材のうち、少なくとも1本の軸材の中間位置に連結される一対の圧縮ブレースの端部は、これら圧縮ブレースから前記軸材に作用するせん断力を吸収するせん断ダンパーを介して前記軸材に連結され、
    前記連結部材は、前記長い方の軸材における前記木造軸組み体の内側の面に接合される基部と、この基部から前記木造軸組み体の内側へ突出する突出片部とを有し、前記各一対の圧縮ブレースは、前記長い方の軸材に連結される端部に、前記突出片部における前記長い方の軸材の長手方向の任意の位置を挟み込む一対の挟み込み片を有し、前記突出片部および挟み込み片は、前記長い方の軸材の長手方向につき、前記突出片部の方が長く、前記一対の挟み込み片とこれら一対の挟み込み片に挟み込まれた前記突出片部とが結合具により互いに結合され、
    前記一対の挟み込み片間の挟み込み隙間の奥側の部位に、前記突出片部に当接することで前記圧縮ブレースの前記長い方の軸材に連結される端部を位置決めする位置決め用当接部が設けられた
    ことを特徴とする木造建物の制震構造。
  2. 請求項1に記載の木造建物の制震構造において、前記柱が前記横架材よりも長く、前記各柱に接合される各一対の前記圧縮ブレースの端部が、前記連結部材を介して前記柱に連結され、前記上下2本の横架材の中間位置とこれら中間位置に連結される各一対の前記圧縮ブレースの端部との間に前記せん断ダンパーが介在する木造建物の制震構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の木造建物の制震構造において、前記せん断ダンパーは、前記短い方の軸材に接合される柱・横架材接合部と、前記圧縮ブレースに接合されるブレース接合部と、これら柱・横架材接合部およびブレース接合部の間に介在するエネルギー吸収部とを有し、このエネルギー吸収部は複数のエネルギー吸収子からなり、これら複数のエネルギー吸収子は、一端が前記柱・横架材接合部に続き他端が前記ブレース接合部に続き、前記複数のエネルギー吸収子はそれぞれが弓状に屈曲し、かつ屈曲の中心部がくびれる形状であり、屈曲の突出側が対向するように前記相対移動の方向に対称配置で並ぶ木造建物の制震構造。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の木造建物の制震構造において、前記連結部材は、前記長い方の軸材における前記木造軸組み体の内側の面に接合される平板状のベース部と、このベース部から前記木造軸組み体の内側へ突出する突出部とを有し、この突出部に前記圧縮ブレースの端部が連結される木造建物の制震構造。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の木造建物の制震構造において、前記圧縮ブレースは、鋼板を断面溝形に折り曲げてなる細長形状の一対の溝状部材がウェブで向き合って配置され、これら一対の溝状部材間に複数のスペーサが介在するものであり、前記複数のスペーサのうちの最も前記長い方の軸材に連結される端部側のスペーサが前記位置決め用当接部である木造建物の制震構造。
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