JP6348085B2 - 木造建物の制震構造 - Google Patents
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木造軸組み体が地震による横揺れを受けた場合、各圧縮ブレースに荷重がかかるが、4本の圧縮ブレースを菱形状に配置したことにより、連結部材を挟んで並ぶ上下一対の圧縮ブレースにそれぞれかかる荷重の水平成分が互いに逆向きとなる。このため、両荷重の水平成分が相殺され、柱に水平方向の力がかからず、鉛直方向の軸力のみがかかる。その結果、柱と横架材の接合部にせん断力がほとんど作用しない。木造軸組み体にかかるせん断力は、せん断ダンパーで負担される。地震の力がせん断ダンパーで吸収されることで、制震作用が得られる。上下一対の圧縮ブレースが連結部材を介して連結されているため、上下の横架材間の内法高さに応じて連結部材の上下長さを適正に決めることにより、圧縮ブレースの角度を、せん断ダンパーにせん断力が効率良く伝達される適正な角度にすることができる。
この構成によると、柱または横架材と圧縮ブレースとの間に相対移動が発生すると、エネルギー吸収部の各エネルギー吸収子が変形することでエネルギーを吸収する。各エネルギー吸収子はそれぞれが弓状に屈曲し、かつ屈曲の中心部がくびれる形状であるため、屈曲の中心部で屈曲が大きくなる側に確実に変形する。各エネルギー吸収子が、屈曲の突出側が対向するように相対移動の方向に対称配置で並んでいるため、柱または横架材と圧縮ブレースとが正逆いずれの方向に相対移動するときも同じように変形して同等のエネルギー吸収能力が得られる。
この構成であると、ブレース本体の雌ねじ部に対する継手部材の雄ねじ部のねじ込み量を調節することで、この圧縮ブレースが設けられる木造軸組み体のサイズ等に応じて、圧縮ブレースの長さを任意に変更することができる。また、ブレース本体がパイプ材からなるため、圧縮力に対して十分な剛性を有する。
連結部材と圧縮ブレースの連結部が軸材と干渉しないように、連結部材と圧縮ブレースの連結部は軸材に対して木造軸組み体の内側に位置する。このため、軸材と連結部材の接合面に、圧縮ブレースから伝達されて連結部材にかかる荷重と、この荷重の中心から前記接合面までの距離とを掛けた大きさの曲げモーメントが生じる。この曲げモーメントは、連結部材を接合面から引き離そうとする作用を及ぼす。連結部材に平板状のベース部が設けられているので、前記曲げモーメントをベース部の広い面で受けることができ、十分な接合強度が得られる。
この構成であると、各一対の圧縮ブレースが、長い方の軸材に連結される端部に、連結部材の突出片部における長い方の軸材の長手方向の任意の位置を挟み込む一対の挟み込み片を有し、突出片部および挟み込み片は、長い方の軸材の長手方向につき、突出片部の方が長いため、各一対の圧縮ブレースの端部を連結部材の突出片部における長い方の軸材の長手方向の任意の位置に連結することができる。これにより、上下の横架材間の内法高さが異なる場合でも、圧縮ブレースの角度をせん断ダンパーにせん断力が効率良く伝達される適正な角度にすることができる。
この場合、圧縮ブレースの端部を正確に位置決めすることができる。
このように、圧縮ブレースが一対の溝状部材と複数のスペーサとを組み合わせた構成とすると、圧縮ブレースを容易に製作することができる。また、複数のスペーサのうちの一つを位置決め用当接部に兼用することにより、部品点数を削減することができる。
図1、図2に示すように、この木造建物の制震構造は、木造建物における矩形の木造軸組み体1に適用される。木造軸組み体1は、隣合う2本の柱2とこれら柱2に繋がる上下の横架材3,4とからなる。例えば、上側の横架材3は梁であり、下側の横架材4は梁または土台である。これら柱2および横架材3,4は木造軸組み体1を構成する軸材であり、この実施形態の場合、柱2が長い方の軸材であり、横架材3,4が短い方の軸材である。ここで言う軸材の長短は、木造軸組み体1を構成する部分の長さを言う。具体的には、柱2の長さは上下の横架材3,4間の長さHであり、横架材3,4の長さは隣合う2本の柱2間の長さWである。
このせん断ダンパー7が設けられる2つの部材、すなわち横架材3,4と圧縮ブレース5間に、横架材3,4の長手方向となる水平方向の相対移動が発生すると、エネルギー吸収部23の各エネルギー吸収子40が変形することでエネルギーを吸収する。複数のエネルギー吸収子40が等間隔で並んでいるため、力が各エネルギー吸収子40に均等に流れる。
例えば、図10に示すように、建物に図の右向きの力Fが作用すると、各圧縮ブレース5に矢印で示す方向に荷重P1,P2,P3,P4がかかる。4本の圧縮ブレース5を菱形に配置したことにより、連結部材6を挟んで並ぶ一対の圧縮ブレース5の各荷重P1,P2(P3,P4)における水平成分は互いに逆向きとなる。このため、両荷重P1,P2(P3,P4)の水平成分が相殺され、柱2には水平方向の力がかからず、鉛直方向の軸力N1,N2のみがかかる。その結果、柱2と横架材3,4の接合部8にせん断力がほとんど作用しない。木造軸組み体1にかかる水平方向のせん断力は、その上下のせん断ダンパー7で負担される。地震力がせん断ダンパー7で吸収されることで、制震作用が得られる。
・連結部材6の2枚の突出部6b間に圧縮ブレース5の一端を挟み込んで連結し、かつせん断ダンパー7の2枚のエネルギー吸収部形成板材25間に圧縮ブレース5の他端を挟み込んで連結するため、構造芯で部材を接合することができる。
・4本の圧縮ブレース5を菱形に配置したことにより、柱2や横架材3,4にかかる曲げモーメントの力を極力小さくすることができる。
・せん断ダンパー7にリブ24を設けたため、装置部分の面外方向へ変形に対する補剛ができる。
・圧縮ブレース5をターンバックル方式としたため、上下の横架材3,4間の内法高さが違っても対応可能である。
・圧縮ブレース5から柱2や横架材3,4へ軸力した伝達しない構成であるので、柱2と横架材3,4の接合部8にせん断力がほとんどかからない。
すなわち、図16のせん断ダンパー7は、エネルギー吸収部73が1枚のエネルギー吸収部形成板材75からなる。エネルギー吸収部形成板材75は、前記同様に、打抜き加工等によって鋼板に複数の開口部76および切欠き部77を設けることで、エネルギー吸収部73が形成されている。エネルギー吸収部73は、図16(A)の左右方向に並ぶ複数のエネルギー吸収子78からなる。前記実施形態と同様に、各エネルギー吸収子78はそれぞれが弓状に屈曲し、かつ屈曲の中心部がくびれる形状である。この実施形態の場合、4つのエネルギー吸収子78を有し、左右各2つのエネルギー吸収子78が互いに屈曲の突出側が対向するように左右対称配置で並んでいる。
柱・横架材接合部71は、エネルギー吸収部形成板材75の一部からなる部分75aと、エネルギー吸収部形成板材75に垂直に固定された板状部材79とからなる。板状部材79のエネルギー吸収部形成板材75の面に垂直な方向の両端79aは、補強のためにブレース接合部72の側に折り曲げられている。板状部材79は、エネルギー吸収部形成板材75の左右両端よりも左右外側へ延びている。板状部材79には、複数のビス孔80が設けられている。
先ず、一端がせん断ダンパー7に結合された圧縮ブレース5の他端に設けられた一対の挟み込み片55,55で、連結部材6の突出片部62を挟み込む。一対の挟み込み片55,55は、上下の横架材3,4間の内法高さHI1,HI2(図12、図13)に応じて、突出片部62における上下の任意の位置を挟み込むことができる。このとき、圧縮ブレース5の位置決め用当接部であるスペーサ51の斜辺51aが突出片部62に当接することで、圧縮ブレース5の他端が正確に位置決めされる。
2…柱(長い方の軸材)
3,4…横架材(短い方の軸材)
5…圧縮ブレース
6…連結部材
6a…ベース部
6b…突出部
7…せん断ダンパー
11…ブレース本体
11a…雌ねじ部
12…継手部材
12a…雄ねじ部
21,71…柱・横架材接合部
22,72…ブレース接合部
23,73…エネルギー吸収部
40,78…エネルギー吸収子
50…溝状部材
51…スペーサ(位置決め用当接部)
52…スペーサ
55…挟み込み片
57…挟み込み隙間
61…基部
62…突出片部
88…結合具
Claims (5)
- 木造建物における隣合う2本の柱およびこれら柱に繋がる上下の横架材である4本の軸材からなる木造軸組み体に適用される制震構造であって、
縦横の前記軸材の長手方向の中間位置間にそれぞれ連結されて互いに菱形状を成し、それぞれ圧縮力を負担可能な4本の圧縮ブレースを備え、
前記縦横の軸材のうちの長い方の2本の軸材の中間位置にそれぞれ連結される各一対の圧縮ブレースの端部は、前記軸材に接合された連結部材に連結されて前記軸材には直接連結されず、
前記縦横の軸材のうちの短い方の2本の軸材のうち、少なくとも1本の軸材の中間位置に連結される一対の圧縮ブレースの端部は、これら圧縮ブレースから前記軸材に作用するせん断力を吸収するせん断ダンパーを介して前記軸材に連結され、
前記連結部材は、前記長い方の軸材における前記木造軸組み体の内側の面に接合される基部と、この基部から前記木造軸組み体の内側へ突出する突出片部とを有し、前記各一対の圧縮ブレースは、前記長い方の軸材に連結される端部に、前記突出片部における前記長い方の軸材の長手方向の任意の位置を挟み込む一対の挟み込み片を有し、前記突出片部および挟み込み片は、前記長い方の軸材の長手方向につき、前記突出片部の方が長く、前記一対の挟み込み片とこれら一対の挟み込み片に挟み込まれた前記突出片部とが結合具により互いに結合され、
前記一対の挟み込み片間の挟み込み隙間の奥側の部位に、前記突出片部に当接することで前記圧縮ブレースの前記長い方の軸材に連結される端部を位置決めする位置決め用当接部が設けられた
ことを特徴とする木造建物の制震構造。 - 請求項1に記載の木造建物の制震構造において、前記柱が前記横架材よりも長く、前記各柱に接合される各一対の前記圧縮ブレースの端部が、前記連結部材を介して前記柱に連結され、前記上下2本の横架材の中間位置とこれら中間位置に連結される各一対の前記圧縮ブレースの端部との間に前記せん断ダンパーが介在する木造建物の制震構造。
- 請求項1または請求項2に記載の木造建物の制震構造において、前記せん断ダンパーは、前記短い方の軸材に接合される柱・横架材接合部と、前記圧縮ブレースに接合されるブレース接合部と、これら柱・横架材接合部およびブレース接合部の間に介在するエネルギー吸収部とを有し、このエネルギー吸収部は複数のエネルギー吸収子からなり、これら複数のエネルギー吸収子は、一端が前記柱・横架材接合部に続き他端が前記ブレース接合部に続き、前記複数のエネルギー吸収子はそれぞれが弓状に屈曲し、かつ屈曲の中心部がくびれる形状であり、屈曲の突出側が対向するように前記相対移動の方向に対称配置で並ぶ木造建物の制震構造。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の木造建物の制震構造において、前記連結部材は、前記長い方の軸材における前記木造軸組み体の内側の面に接合される平板状のベース部と、このベース部から前記木造軸組み体の内側へ突出する突出部とを有し、この突出部に前記圧縮ブレースの端部が連結される木造建物の制震構造。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の木造建物の制震構造において、前記圧縮ブレースは、鋼板を断面溝形に折り曲げてなる細長形状の一対の溝状部材がウェブで向き合って配置され、これら一対の溝状部材間に複数のスペーサが介在するものであり、前記複数のスペーサのうちの最も前記長い方の軸材に連結される端部側のスペーサが前記位置決め用当接部である木造建物の制震構造。
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