JP7052953B2 - 制振構造 - Google Patents
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Description
このような制振ダンパーの制振効果を十分に発揮するためには、柱梁架構と壁体とが相対変位した際に、制振ダンパーが十分に変形(伸縮)し、振動エネルギーを吸収する必要がある。
柱梁架構と壁体とが相対的に変位した際に、制振ダンパーから受ける反力によって壁体が押し戻されて変形することがある。
その結果、制振ダンパーが十分に変形できず、振動エネルギーを十分に吸収できない場合がある。また、制振ダンパーの反力を下部構造体へ伝達する機構の構築が必要である。
請求項1に記載の制振構造では、台座を鉄筋コンクリート造の壁で構築し剪断変形を抑制する。さらに、一端が下部構造体に連結され、他端が受け部材に近接乃至連結される斜材が台座に埋設されているので、柱梁架構に揺れが生じた際に、斜材が張力を負担して、制振ダンパーからの反力を直接下部構造体に伝達する。
これにより、制振ダンパーに対して効率的に荷重(地震、強風等による水平荷重)を伝達させることができ、制振ダンパーにおいて減衰力を確実に得ることができる。
以下、図1~図3を用いて、本発明の第1の実施形態に係る制振構造10について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る制振構造10は、例えば、建物等の構造物12の柱梁架構14に適用されるものであり、
壁体24の周囲には、柱梁架構14を構成する左右の柱18との間、及び上側の梁20との間に隙間Sが設けられている。
なお、斜材44Lと斜材44Rとは、壁体24を正面視した際に略対称に配置されている。このように、壁側ブラケット26が、斜材44Lと斜材44Rとの上部に設けられ、かつ斜材44Lと斜材44R間の中央部(略対称)に配置されている。また、壁側ブラケット26が、中央部に配置されることで、制振ダンパーの反力をバランス良く下部構造体へ伝達できるからである。
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
地震等で構造物12の柱梁架構14が水平方向(図1の矢印L方向、及び矢印R方向)に変形すると、壁体24に設けられた壁側ブラケット26と柱18に設けられた架構側ブラケット28とに連結された制振ダンパー30が伸縮してエネルギーを吸収し、構造物12を制振する。
換言すると、剛性を有し剪断変形が抑制された壁体24と柱梁架構14との間に介在する制振ダンパー30に、柱梁架構14から圧縮力または張力が作用する場合に、制振ダンパー30が軸方向に十分に変形(伸縮)することで制振効果を十分に発揮することができる。
なお、ストッパー48は、壁体24の柱側の側部に設けても良い。
以下、図4、及び図5を用いて、本発明の第2の実施形態に係る制振構造10について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態の制振構造10では、図5に示す壁側ブラケット50の下部、及び斜材52が、図4に示すように、壁体24の内部に設けられている。
本実施形態の壁側ブラケット50は、矩形部54と、矩形部54の幅方向の両側部の下方から互いに離間するように傾斜した斜め下方に延びる一対の脚部56とを一体的に備えた本体部58を有している。本体部58の両側の外側縁には、本体部58と直角に配置された外フランジ60が溶接等で接合されている。
また、本体部58の内側縁には、本体部58と直角に配置された内フランジ62が溶接等で接合されている。
さらに、本体部58の側面には、水平方向に配置された鋼板からなる補強リブ59が溶接等で接合されており、補強リブ59の一端は、制振ダンパー30が取り付けられる外フランジ60に溶接等で接合されている。
なお、壁側ブラケット50にはボルトを挿通する孔64が形成され、斜材52にはボルトを挿通する孔66が形成されている。
(作用、効果)
本実施形態では、壁体24に対して柱梁架構14が矢印L方向に変位した場合、壁体24の内部に傾斜して配置され、一端が壁側ブラケット50に接合され、他端が基礎16に接合された斜材52Rが緊張するので、壁側ブラケット50が矢印L方向に変位すること、即ち、壁体24の剪断変形が抑制される。
以下、図6を用いて、本発明の第3の実施形態に係る制振構造10について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態の制振構造10では、制振ダンパー30が、架構側ブラケット70を介して梁20の下面に連結されている。
本実施形態の制振構造10では、制振ダンパー30により、梁20と壁体24との相対変位を抑制することで、構造物12が制振される。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
14 柱梁架構
16 基礎(下部構造体)
18 柱
20 梁
24 壁体(台座)
26 壁側ブラケット(受け部材)
30 制振ダンパー
44L 緊張材
44R 緊張材
44Ls 第1斜材部
44Rs 第2斜材部
50 壁側ブラケット(受け部材)
52L 緊張材(第1斜材部)
52R 緊張材(第2斜材部)
68 定着部材
Claims (3)
- 下部構造体と、
前記下部構造体から立設された柱梁架構と、
前記下部構造体から立設され、前記柱梁架構から離間した台座と、
前記台座の上部に設けられ、下側が前記台座に埋設され、上側が前記台座の上面より上方に突出された受け部材と、
一端部が前記受け部材に連結されて他端が前記柱梁架構に連結され、前記受け部材と前記柱梁架構との相対変位を抑制する制振ダンパーと、
前記台座に埋設され、一端が前記下部構造体に連結され、他端が前記受け部材に近接乃至連結され、張力を負担して、前記受け部材と前記下部構造体との前記相対変位に伴う前記台座の剪断力を前記下部構造体へ直接伝達する斜材と、
を有する、制振構造。 - 前記相対変位の方向が、前記台座の面内方向とされ、
前記受け部材は、前記台座の中央に配置され、
前記台座に埋設される前記斜材は、前記受け部材から前記下部構造体に向けて傾斜した第1斜材部と、前記受け部材から前記下部構造体に向けて前記第1斜材部とは反対方向へ傾斜した第2斜材部とを含んでいる、請求項1に記載の制振構造。 - 前記台座と前記柱梁架構との相対変位を制限するストッパーが前記台座、または前記柱梁架構に設けられている、請求項1または請求項2に記載の制振構造。
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