JP2010090651A - 制震構造、及び制震構造を有する建物 - Google Patents

制震構造、及び制震構造を有する建物 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼製耐震壁に水平力が伝達されるまでの距離を調整できる制震構造、及び制震構造を有する建物を提供することを目的とする。
【解決手段】応力伝達部材86に、当接部100を備える突出部材90を設けている。この突出部材90にはネジ機構が設けられており、このネジ機構により突出部材90の突出量を変えることで、当接部100とストッパ板104との間の隙間D、Dを調整することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、粘弾性ダンパと鋼製耐震壁とを用いた制震構造、及び制震構造を有する建物に関する。
鋼製耐震壁としては、鋼板を波形形状に加工した波形鋼板を、その折り筋を横にして架構の構面に配置した波形鋼板耐震壁が提案されている(例えば、特許文献1)。この波形鋼板耐震壁は、上下方向にアコーディオンのように伸縮するため鉛直力を負担しないが、水平せん断力に対しては抵抗可能であり、せん断剛性・せん断耐力を確保しつつ優れた変形性能を有している。更に、せん断剛性及び強度については、鋼板の材質強度、板厚、重ね合わせ枚数、波形のピッチ、波高等を変えることにより調整可能であり、剛性及び設計強度の自由度が高い耐震壁を実現している。
一方、鋼製耐震壁と粘弾性ダンパとを直列結合して構成された複合型ダンパが知られている(例えば、特許文献2)。この複合型ダンパは、架構の構面に配置され、粘弾性ダンパと鋼製耐震壁とをボルトによって連結して構成されている。粘弾性ダンパと鋼製耐震壁とを連結するボルトは、ボルト孔の中心に配置されており、ボルト孔の内壁とボルトの側壁との間にクリアランスが設けられている。これにより、風等の小振幅振動では、クリアランスの範囲内で粘弾性ダンパが機能して微振動が低減される。一方、地震等の大振幅振動では、ボルトの側壁がボルト孔の内壁に接して鋼製耐震壁に水平力が伝達され、当該鋼製耐震壁が機能して振動が低減される。
ここで、大地震等により鋼製耐震壁が大きく塑性変形すると、鋼製耐震壁に残留変形が生じる。この残留変形により、ボルトがボルト孔の中心位置まで戻りきらず、ボルトの左側壁とボルト孔の内壁との間のクリアランスと、ボルトの右側壁とボルトの内壁との間のクリアランスに差が生じる。このようにボルトの左右のクリアランスに差が生じると、特定方向の微振動に対して、ボルトの側壁がボルト孔の内壁に早期に接するため粘弾性体の変形量が小さくなる。また、残留変形の大きさによっては粘弾性体の変形量がゼロになり、初期状態と比較して粘弾性ダンパによる振動低減効果の低下を招いてしまう。
特開2005−264713号公報 特開2007−247733号公報
本発明は、上記の事実を考慮し、鋼製耐震壁に水平力が伝達されるまでの距離を調整できる制震構造、及び制震構造を有する建物を提供することを目的とする。
請求項1に記載の制震構造は、架構を構成する上下の水平部材の何れか一方に固定される鋼製耐震壁と、上下の前記水平部材の何れか他方と前記鋼製耐震壁とに固定された粘弾性ダンパと、前記架構に設けられ、前記鋼製耐震壁に取り付けられた応力伝達部と間を空けて配置されると共に該応力伝達部に接して前記鋼製耐震壁に水平力を伝達するストッパ部と、前記応力伝達部及び前記ストッパ部の少なくとも一方に設けられ、前記応力伝達部と前記ストッパ部との間の距離を変える調整機構と、を備えている。
上記の構成によれば、風や地震等により上下の水平部材に相対変位が生じると、応力伝達部に対してストッパ部が近づいたり離れたりして粘弾性ダンパが機能して振動が低減される。一方、応力伝達部にストッパ部が接すると、ストッパ部から鋼製耐震壁に水平力が伝達され、鋼製耐震壁が機能して振動が低減される。これにより、風等の小振幅振動を粘弾性ダンパで低減することができると共に、地震等の大振幅振動を鋼製耐震壁で低減することができる。
また、この制震構造は、ストッパ部と応力伝達部との間の距離を変える調整機構を備えている。従って、大地震等により鋼製耐震壁に残留変形が生じても、調整機構によりストッパ部と応力伝達部との間の距離を変えることで、この距離を適正な値に調整することができる。よって、鋼製耐震壁を交換せずに、粘弾性ダンパの制震性能を確保できる。
請求項2の記載の制震構造は、請求項1に記載の制震構造において、前記応力伝達部及び前記ストッパ部の何れか一方は、前記応力伝達部及び前記ストッパ部の何れか他方に向かって突出されると共に前記応力伝達部及び前記ストッパ部の何れか他方に接して前記鋼製耐震壁に水平力を伝達する突出部材を備え、前記調整機構が、前記突出部材に設けられ、該突出部材の突出量を変えるネジ機構である。
上記の構成によれば、応力伝達部及びストッパ部の何れか一方は、突出部材を備えている。この突出部材は、応力伝達部及びストッパ部の何れか他方に接して鋼製耐震壁に水平力を伝達する。また、突出部材にはネジ機構が設けられており、このネジ機構により当接部材の突出量を変えることで、応力伝達部とストッパ部との間の距離を調整することができる。
また、水平力が作用する方向と異なる方向にネジを回転させるため、突出部材の突出量を容易に調整することができる。
請求項3に記載の制震構造は、請求項1に記載の制震構造において、前記調整機構が、前記応力伝達部及び前記ストッパ部の何れか一方に、上下方向にスライド可能に設けられ該スライド方向に対して傾斜する第1斜面部と、前記応力伝達部及び前記ストッパ部の何れか他方に設けられ、前記第1斜面部と対向すると共に前記第1斜面部に接して前記鋼製耐震壁に水平力を伝達する第2斜面部と、を備えている。
上記の構成によれば、調整機構が、第1斜面部及び第2斜面部を備えている。第1斜面部は、応力伝達部及びストッパ部の何れか一方に、上下方向にスライド可能に設けられ、当該スライド方向に対して傾斜する斜面を有している。一方、第2斜面部は、応力伝達部及びストッパ部の何れか他方に設けられ、第1斜面部と対向する斜面を有し、当該第2斜面部が第1斜面部に接することで鋼製耐震壁に水平力が伝達される。ここで、第1斜面部のスライド量を変えることにより、第1斜面部と第2斜面部との間の距離が変わるため、応力伝達部とストッパ部との間の距離を調整することができる。
また、第1斜面部には、当該第1斜面部に対向する第2斜面部から水平力が作用する。ここで、第2斜面部は、スライド方向に対して傾斜する第1斜面部に対向するため、第1斜面部にはスライド方向と異なる方向に水平力が作用し、第1斜面部のスライド方向には、第1斜面部の傾斜の度合いに応じた水平力の分力が作用する。従って、水平力が作用する方向と第1斜面部のスライド方向とが一致する場合と比較して、第1斜面部のスライド方向に作用する応力が小さくなる。これにより、例えば、ボルト等の締め付け力によって第1斜面部のスライドを規制する場合、ボルト等の締め付け力が小さくて良くなり、当該ボルト等による第1斜面部のスライドの規制及び当該規制の解除が容易となり、応力伝達部とストッパ部との間の距離の調整の手間を低減できる。
請求項4に記載の制震構造は、請求項1に記載の制震構造において、前記調整機構が、前記応力伝達部及び前記ストッパ部の少なくとも一方に設けられ、積層枚数により前記応力伝達部と前記ストッパ部との間の距離を調整可能な調整板である。
上記の構成によれば、調整機構が調整板を備えている。調整板は、応力伝達部及びストッパ部の少なくとも一方に設けられている。調整機構は、調整板の積層枚数を増減させることで、応力伝達部とストッパ部との間の距離を調整することができる。
請求項5に記載の制震構造は、請求項1〜4の何れか1項に記載の制震構造において、前記粘弾性ダンパは、上下の前記水平部材の何れか他方に固定される固定部材と、前記鋼製耐震壁に固定され前記固定部材と相対変位可能に連結される把持部材と、前記固定部材及び前記把持部材の何れか一方に固定されると共に前記固定部材と前記把持部材との間でせん断変形可能に把持される粘弾性体と、を備えている。
上記の構成によれば、粘弾性ダンパは、固定部材、把持部材、及び粘弾性体を備えて構成されている。固定部材は上下の水平部材の何れか他方に固定されており、把持部材は鋼製耐震壁に固定されている。これらの固定部材及び把持部材は、相対変位可能連結されており、また、固定部材及び把持部材の何れか一方には粘弾性体が固定されている。粘弾性体は、固定部材と把持部材との間で把持され、これらの固定部材及び把持部材が相対変位することでせん断変形する。
ここで、粘弾性体は、固定部材及び把持部材の何れか一方に固定されている。仮に粘弾性体が固定部材に固定されている場合、固定部材と把持部材との相対変位量が大きくなり、粘弾性体に作用するせん断力が把持部材と粘弾性体の間に発生している静止摩擦力を超えると、把持部材に固定されていた粘弾性体がせん断変形した状態のまま把持部材上をスライドする。このとき、粘弾性体に作用するせん断力は、把持部材と粘弾性体の間に発生する動摩擦力に等しい。これにより、粘弾性体の変形量・せん断力を所定の範囲内に収めることができ、粘弾性体の破損、損傷が防止される。
また、鋼製耐震壁に残留変形が生じた場合、粘弾性体が初期状態(変形量ゼロ)に戻りきらず、せん断変形した状態のままで固定部材と把持部材との間で保持される場合がある。このように粘弾性体がせん断変形した状態のまま保持されると、次に地震等が発生したときに、初期状態と比較して粘弾性体の変形可能量が小さくなり、粘弾性体における振動エネルギー吸収量が低下する。この場合、固定部材と把持部材との連結力を緩め、粘弾性体に対する面圧力を小さくすることで、静止摩擦力によって把持部材に固定されていた粘弾性体が開放され、粘弾性体のせん断変形量をゼロに戻すことができる。これにより、初期状態と同様の減衰効果を得ることができる。
請求項6に記載の制震構造は、請求項1〜5の何れか1項に記載の制震構造において、前記鋼製耐震壁が波形鋼板である。
上記の構成によれば、上下の水平部材に層間変形が生じて応力伝達部にストッパ部が接すると、波形鋼板に水平力が伝達され、波形鋼板がせん断変形する。これにより、波形鋼板が水平力に抵抗し、耐震効果を発揮する。また、水平力に対して波形鋼板が降伏するように設計することで、鋼板の履歴エネルギーによって振動エネルギーが吸収され、制振効果を発揮する。従って、耐震性能・制震性能に優れた制震構造を実現できる。
請求項7に記載の建物は、請求項1〜6の何れか1項に記載の制震構造を備えている。
上記の構成によれば、請求項1〜6の何れか1項に記載の制震構造を有することで、制震性能に優れた建物を構築することができる。
本発明は、上記の構成としたので、鋼製耐震壁に水平力が伝達されるまでの距離を調整できる。
図面を参照しながら本発明の実施形態に係る制震構造、及び制震構造を有する建物について説明する。以下、本発明に係る制震構造を鉄骨造の建物に適用した場合を例に説明するが、本発明の制震構造は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレキャストコンクリート造等の種々の構造の建物に適用可能である。
先ず、本発明の実施形態に係る制震構造10の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、制震構造10は、波形鋼板耐震壁22(鋼製耐震壁)及び粘弾性ダンパ40を備えている。波形鋼板耐震壁22は、波形鋼板24と、波形鋼板24の外周を囲む枠体26と、から構成されており、角型鋼管からなる左右の柱12、14とH型鋼からなる上下の梁16、18(水平部材)とから構成される架構20の構面に設置されている。波形鋼板24は、鋼板を波形形状に折り曲げ加工して構成されており、その折り筋を横(折り筋の向きを横方向)にして架構20の構面に配置されている。波形鋼板24の材料としては、普通鋼(例えば、SM490、SS400等))や低降伏点鋼(例えば、LY225等)等が用いられる。
波形鋼板24の左右の端部には、鋼製の縦フランジ28A、28Bがそれぞれ設けられている。この縦フランジ28A、28Bはプレート状に形成されており、波形鋼板24の左右の端部に沿って溶接固定されている。また、波形鋼板24の上下の端部には、鋼製の横フランジ30A、30Bがそれぞれ設けられている。この横フランジ30A、30Bは、波形鋼板24の上下の端部に沿って溶接固定されている。これらの縦フランジ28A、28B及び横フランジ30A、30Bは、各々の端部同士が溶接等によって接合されており、これによって波形鋼板24の外周部を囲む枠体26が構成されている。
なお、枠体26を構成する縦フランジ28A、28B及び横フランジ30A、30Bは、プレート状に限らず、H型鋼、L型鋼、チャネル鋼等で構成しても良い。
図2に示すように、横フランジ30B及び下の梁18のフランジ部18Aには、それぞれの長手方向に沿って所定の間隔で貫通孔32、34が形成されている。これらの貫通孔32、34に貫通されるボルト36及びナット38によって下の梁18と横フランジ30Bとが接合され、これにより下の梁18から波形鋼板24に水平力が伝達可能とされている。
波形鋼板耐震壁22の上部には、粘弾性ダンパ40に設けられている。図4に示すように、粘弾性ダンパ40は、上の梁16(図1参照)の下面に固定される固定部材42と、波形鋼板耐震壁22に固定され固定部材42と対向すると共に固定部材42と相対変位可能に連結される一対の把持部材44、46と、固定部材42と把持部材44、46との間でせん断変形可能に把持される粘弾性体48と、を備えている。
鋼製の固定部材42は、梁16の下面に接合される取付フランジ50と、粘弾性体48を支持固定する固定板52とを接合して構成され、断面T字型に形成されている。板状に形成された取付フランジ50及び上の梁16のフランジ部16A(図2参照)には、それぞれの長手方向に沿って所定の間隔で貫通孔54、56が形成されている。これらの貫通孔54、56に貫通されるボルト36及びナット38によって上の梁16と取付フランジ50とが接合され、これにより上の梁16に固定部材42が固定される。
板状に形成された固定板52の両面は、粘弾性体48がそれぞれ接着固定される接着面52A、52Bとされており、接着面52A、52Bに粘弾性体48が加硫接着等により接着固定される。また、固定板52及び粘弾性体48には、それぞれの長手方向(水平方向)に延びる長孔62、48Aが形成されており、これらの長孔62、48Aには後述する長ボルト68が貫通される。
なお、粘弾性体48の材料としては、例えば、ジエン系ゴム、ブチル系ゴム、アクリル系、ウレタンアスファルト系ゴム等を用いることができる。
固定板52の厚さ方向両側には、把持部材44、46が配置される。把持部材44と把持部材46とは同一構成とされており、固定板52を間に挟んで対称に配置されている。把持部材44、46は、固定板52に対向する把持板58、60をそれぞれ備えている。把持板58、60の固定板52側の面は粗面化処理が施され、摩擦係数が大きくされた摩擦面58A、60Aとされている。また、把持板58、60には、それぞれ貫通孔68が形成されており、これらの貫通孔68及び固定板52の長孔62、粘弾性体48の長孔48Aに貫通される長ボルト68及びナット69によって固定板52と把持板58、60とが相対変位可能に連結されると共に、把持板58、60と固定板52との間で粘弾性体48が把持される。また、長ボルト68による圧縮力により粘弾性体48が摩擦力によって摩擦面58A、60Aに固定され、これらの固定板52と把持板58、60とが相対変位したときに、接着面52A、52Bと摩擦面58A、60Aとで挟まれた粘弾性体48がせん断変形可能に構成されている。
なお、摩擦面58A、60Aに対する粗面化処理としては、例えば、赤錆を自然発生させる、リン酸などの薬品を用いて砂地状に表面を粗くするなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。更に、本実施形態では、把持板58、60に摩擦面58A、60Aを形成し、摩擦力によって粘弾性体48を把持板58、60に固定させているが、把持板58、60に粘弾性体48を直接接着固定しても良い。
把持板58、60の下部には、波形鋼板耐震壁22の横フランジ30Aに接合される取付フランジ70、72がそれぞれ設けられている。この取付フランジ70、72と把持板58、60とは補強リブ71、73によって補強されている。また、取付フランジ70、72には、それぞれの長手方向に沿って所定の間隔で貫通孔74、76が形成されている。他方、図2に示すように、波形鋼板耐震壁22の横フランジ30Aには、長手方向に沿って所定の間隔で、貫通孔78、80が形成されている。これらの貫通孔74、76、78、80に貫通されるボルト36及びナット38によって、取付フランジ70、72と横フランジ30Aが接合され、把持部材44、46が波形鋼板耐震壁22に固定され、粘弾性ダンパ40と波形鋼板耐震壁22が力学的に直列結合されている。
図1及び図3に示すように、把持部材44、46の長手方向両側には、応力伝達部材86(応力伝達部)が設けられている。応力伝達部材86は、波形鋼板耐震壁22に固定される支持台88と、この支持台88から後述するストッパ部材102に向かって突出する突出部材90と、を備えている。
支持台88は、支持板92及び取付フランジ94を備えており、この取付フランジ94をボルト36によって横フランジ30Aに接合することで、支持台88が波形鋼板耐震壁22に固定されている。また、支持板92及び取付フランジ94には補強リブ96が接合されており、これらの支持板92、取付フランジ94、補強リブ96を介して突出部材90に作用する水平力が波形鋼板耐震壁22に伝達される。支持板92には、ボルト孔98(ネジ機構、調整機構)が形成されている。このボルト孔98には、突出部材90に設けられたネジ部90A(ネジ機構、調整機構)が捻じ込まれ、このネジ部90Aの捻じ込み量によって突出部材90の突出量が調整可能となっている。突出部材90の突出方向端部には円柱形の当接部100が設けられており、この当接部100にストッパ部材102が接して、波形鋼板耐震壁22に水平力が伝達される。
なお、図14に示すように、支持台88を挟むように一対のナット91をネジ部90Aに取り付け、これらのナット91の締め付け力により、ネジ部90Aとボルト孔98との弛みを防止しても良い。この場合、ナット91を緩めてから、突出部材90の突出量を調整する。
応力伝達部材86の外側には、ストッパ部材102(ストッパ部)が設けられている。ストッパ部材102は、ストッパ板104及び取付フランジ106(図1参照)を備えており、取付フランジ106を上の梁16の下面にボルト(不図示)等によって接合することで、ストッパ部材102が上の梁16に固定されている。また、ストッパ板104及び取付フランジ106は、補強リブ108によって補強されている。
ストッパ板104は、突出部材90の当接部100と対向して配置されると共に当接部100との間にそれぞれ所定の隙間(クリアランス)D、D(図1参照)を空けて配置されている。この隙間D、Dは、突出部材90の突出量を変えることで変更可能とされており、波形鋼板耐震壁22に水平力が作用する前の初期状態では、波形鋼板耐震壁22の幅方向両側にそれぞれ設けられたストッパ板104と当接部100との間の隙間D、Dが等しくなるように調整される。
次に、本発明の実施形態に係る制震構造10の作用について説明する。
図5及び図6は、地震時等における架構20の変形状態を示している。なお、説明の便宜上、図面において波形鋼板耐震壁22の左側に位置する当接部100、ストッパ板104をそれぞれ当接部100A、ストッパ板104Aとし、波形鋼板耐震壁22の右側に位置する当接部100、ストッパ板104をそれぞれ当接部100B、ストッパ板104Bとしている。また、理解を容易にするために架構20の変形状態を誇張して示している。
図5に示すように、風や地震等によって架構20に水平力が作用し、架構20に層間変形が生じると、波形鋼板耐震壁22及び把持部材44に対して固定部材42が相対変位すると共に、当接部100A、100Bに対してストッパ板104A、104Bが相対変位する。これにより、当接部100Aにストッパ板104Aが接するまで、若しくは当接部100Bにストッパ板104Bが接するまで、固定板52と把持板58、60との間で把持された粘弾性体48がせん断変形し、振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて小振幅振動が低減される。
また、図6に示すように、大規模な地震等により架構20に作用する水平力が大きくなり、当接部100A(当接部100B)にストッパ板104A(ストッパ板104B)が接すると、ストッパ板104A(ストッパ板104B)から当接部100A(当接部100B)に水平力が作用し、当該水平力が応力伝達部材86を介して波形鋼板耐震壁22に伝達される。これにより、水平力に対して波形鋼板24が抵抗し、耐震効果を発揮する。また、水平力に対して波形鋼板24が降伏するように設計することで、鋼板の履歴エネルギーによって振動エネルギーが吸収され、制振効果を発揮する。
このように風や小規模の地震等に対しては、粘弾性ダンパ40が機能して小振幅振動を効率的に低減することができ、大規模の地震等に対しては、波形鋼板耐震壁22に水平力を伝達して、波形鋼板耐震壁22の耐震性能、制震性能により、振動を低減することができる。
ここで、波形鋼板24が水平力によって降伏し、波形鋼板24に残留変形が生じると、図7に示すように、ストッパ板104A及び当接部100Aの間の隙間Dと、ストッパ板104B及び当接部100Bの間の隙間Dに差異が生じる(図7において、D<D)。このように隙間Dと隙間Dに差異が生じると、初期状態(D=D)と比較して、特定方向(図7において、当接部100Bに対してストッパ板104Bが接近する方向)の振動に対して当接部100Bにストッパ板104Bが早期に接し、粘弾性体48の変形量が小さくなる。また、残留変形の大きさによっては当接部100Bとストッパ板104Bとが接触した状態となって粘弾性体48の変形量がほぼゼロになり、粘弾性ダンパ40による振動低減効果(減衰効果)の低下を招くことになる。
本実施形態では当接部100A、100B(突出部材90)を回転させてそれぞれ突出量を変えることで、隙間D、Dを調整することができる。即ち、隙間Dと隙間Dとが等しくなるように調整することで、初期状態と同様の制震性能を粘弾性ダンパ40に発揮させることができる。従って、波形鋼板耐震壁22を交換せずに、粘弾性ダンパ40の制震性能を確保できる。
また、突出部材90の突出量の調整は、ボルト孔98(図3参照)と突出部材90のネジ部90Aとのネジ機構によって行うため、突出部材90を回転させるだけで、その突出量を容易に調整することができる。また、突出部材90に水平力が作用してもネジ部90Aが回転することがなく、水平力によって隙間D、Dが変動することがない。更に、波形鋼板耐震壁22に水平力を確実に伝達することができる。
なお、本実施形態では、波形鋼板耐震壁22の幅方向両側にストッパ部材102をそれぞれ設けたがこれに限らない。例えば、図8に示すように、波形鋼板耐震壁22の上部に複数(図8では、2つ)の粘弾性ダンパ40を設けて、各粘弾性ダンパ40の幅方向両側に応力伝達部材86及びストッパ部材102を設けても良い。この場合、応力伝達部材86に設けられた突出部材90の突出量を変えることで、波形鋼板24の残留変形を吸収することができる。また、粘弾性ダンパ40を複数に分割することで、梁16の下面の不陸(下面の凹凸など)に対応することができる。
また、図8に示す制震構造では、波形鋼板24の左右の端部に設けられた縦フランジ28A、28Bを梁16の下面まで延長し、これを梁16の下面に溶接等によって接合している。更に、波形鋼板24の中央部に上下方向に延びる薄板上の補剛リブ115を設け、この補剛リブ115を梁16の下面に溶接等によって接合している。これにより、波形鋼板24に面外方向の曲げ剛性が大きくなる。また、これらの縦フランジ28A、28B及び補剛リブ115の幅(波形鋼板24の面外方向の長さ)を大きくすることで、波形鋼板耐震壁22のせん断座屈強度、耐力が向上され、波形鋼板24のせん断座屈を防止することができる。一方、縦フランジ28A、28B及び補剛リブ115は薄板であるため、固定部材42(図4参照)と把持部材44、46との相対変形を阻害せず、粘弾性ダンパ40の制震性能を低下させることがない。従って、粘弾性ダンパ40の制震性能を確保しつつ、波形鋼板耐震壁22の耐震性能、制震性能を向上させることができる。
次に、実施形態に係る調整機構の変形例1について説明する。
図9(A)及び図9(B)に示す構成では、架構20にストッパ部材102を設けずに、柱12にストッパ部110を設けている。ストッパ部110には、シート状に形成された弾性体112が接着固定されている。この弾性体112により、突出部材90がストッパ部110に対して角度を持って接した場合に発生する回転力等が吸収され、ストッパ部110から突出部材90への水平力の伝達が良好となる。
他方、応力伝達部材86には4つの突出部材90が設けられている。このように複数の突出部材90を設け、上下方向に並んだ突出部材90の突出量を変えることで、上記のような突出部材90がストッパ部110に対して角度を持って接した場合に発生する回転力等を抑制することができる。
次に、実施形態に係る調整機構の変形例2について説明する。
図10に示すように、柱12に設けられたストッパ部110には、複数の調整板114が積層された状態で配置されている。また、柱12を挟んで調整板114の反対側には、固定板116が配置されている。これらの調整板114及び固定板116にはそれぞれ貫通孔が形成されており、これらの貫通孔に貫通されるスタッドボルト117及びナット119によって、柱12に調整板114が固定されている。また、スタッドボルト117からナット119を取り外すことにより、調整板114を追加したり、減らしたりすることができる。更に、最後に積み重ねされた調整板114の上には、シート状の弾性体112が接着固定されている。
他方、応力伝達部材86の支持板92には、複数の調整板118が積層された状態で配置されている。各調整板118にはネジ孔がそれぞれ形成されており、これらのネジ孔に支持板92を貫通するボルト120を捻じ込むことにより、調整板118が支持板92に固定されている。また、ボルト120は、最後に積み重ねられた調整板118から突出しないように各ボルト孔に捻じ込まれている。このボルト120のネジ部の長さを変えることで、調整板118の積層枚数を増やしたり、減らしたりすることができる。
ここで、調整板114、118の積層枚数を増減することで、調整板114と調整板114との間の距離を容易に変えることができる。そして、最後に積層された調整板118に弾性体112を介して調整板114が接触することで、ストッパ部110から応力伝達部材86に水平力が作用し、波形鋼板耐震壁22に水平力が伝達される。
なお、本変形例では、ストッパ部110及び応力伝達部材86にそれぞれ調整板114、118を設けたが、調整板114及び調整板118は、ストッパ部110及び応力伝達部材86の少なくとも一方に設けられていれば良い。また、変形例1、2では、ストッパ部110に弾性体112を設けているが、適宜省略可能である。
次に、実施形態に係る調整機構の変形例3について説明する。
図11(A)〜図11(C)に示すように、把持部材44、46(図4参照)の端部には、これらの把持部材44、46にまたがって接合された取付プレート81が設けられており、この取付プレート81には、応力伝達部材122(応力伝達部)が設けられている。応力伝達部材122は取付フランジ124を備えており、取付フランジ124には上下方向に延びる長孔126が形成されている。この長孔126及び取付プレート81に形成された貫通孔に貫通されるボルト130によって、応力伝達部材122が上下方向(矢印U)にスライド可能に取付プレート81に設けられている。また、取付フランジ124には、斜面部132(第1斜面部)が設けられている。この斜面部132は、当該斜面部132のスライド方向(矢印U)に対して傾斜された斜面を有している。なお、応力伝達部材122の上下方向のスライドは、ボルト130の締付け力によって規制されている。
他方、上の梁16の下面には、ストッパ部材134(ストッパ部)が設けられている。ストッパ部材134は取付フランジ136を備えており、この取付フランジ136及び上の梁16のフランジ部16Aに貫通されるボルト138によって、ストッパ部材134が上の梁16の下面に固定されている。取付フランジ136には下向き突出する板部材140が溶接固定されている。これらの取付フランジ136及び板部材140は、補剛リブ141によって補強されている。また、板部材140には、斜面部132に対向する斜面部142(第2斜面部)が設けられている。斜面部142は、斜面部132の斜面と略平行となる斜面を有しており、この斜面部142が斜面部132に接することで、ストッパ部材134から応力伝達部材122に水平力が作用し、波形鋼板耐震壁22に水平力が伝達される。
ここで、図11(B)に示すように、斜面部132と斜面部142との間の距離Lの調整は、ボルト130を緩めて応力伝達部材122を上下方向(矢印U)にスライドさせることで行われる。即ち、応力伝達部材122を下方にスライドさせると、斜面部142に対して斜面部132が離れるため、斜面部132と斜面部142との間の距離が広がる(距離L、L<L)。また、図示を省略するが、応力伝達部材122を上方にスライドさせると、斜面部142に対して斜面部132が近づくため、斜面部132と斜面部142との間の距離が狭くなる。これにより、斜面部132と斜面部142との間の距離を調整することができる。
また、斜面部142は、応力伝達部材122のスライド方向(矢印U)に対して傾斜しているため、斜面部132には、応力伝達部材122のスライド方向と異なる方向に水平力が作用する。即ち、応力伝達部材122のスライド方向には、斜面部132の傾斜の度合いに応じた水平力の分力が作用する。従って、水平力が作用する方向と応力伝達部材122のスライド方向とが一致する場合と比較して、斜面部132のスライド方向に作用する応力が小さくなる。これにより、応力伝達部材122を補強リブ71に固定して斜面部132の上下方向のスライドを規制するボルト130の締め付け力が小さくて良くなり、ボルト130を締めたり、緩めたりする作業が容易となり、斜面部132と斜面部142との間の距離の調整の手間を低減できる。
なお、本変形例では、応力伝達部材122を上下方向にスライド可能に設けたがこれに限らない。例えば、図11(B)を正面図としてではなく、平面図として捉えると、応力伝達部材122を水平方向にスライドさせることで、斜面部132と斜面部142との間の距離を変えることができる。
また、本変形例では、応力伝達部材122に設けられた斜面部132を上下方向にスライド可能に設けたがこれに限らず、ストッパ部材134に設けられた斜面部142を上下方向にスライド可能に設けても良いし、斜面部132及び斜面部142を上下方向にスライド可能に設けても良い。
次に、実施形態に係る調整機構の変形例4について説明する。
図12(A)及び図12(B)に示す構成では、ストッパ部材102自体をスライド可能に構成する。ストッパ部材102の取付フランジ106には、梁16の長手方向(水平方向)に延びる長孔144が形成されている。この長孔144及び梁16のフランジ部16Aを貫通するボルト146及びナット148によって、ストッパ部材102が梁16の下面に、当該梁16の長手方向(水平方向、矢印B方向)にスライド可能に設けられている。
このようにストッパ部材102自体をスライド可能に構成することで、単純な構成により、ストッパ板104と応力伝達部としての補強リブ71との距離を調整することができる。
他方、本変形例では、把持部材44、46(図4参照)に設けられた補強リブ71、73を応力伝達部として使用し、この補強リブ71、73にストッパ部材102のストッパ板104が接することにより、ストッパ部材102から応力伝達部としての補強リブ71に水平力が作用し、波形鋼板耐震壁22に水平力が伝達される。
次に、本実施形態に係る粘弾性ダンパ40の作用について詳説する。
図13(A)〜図13(E)は、固定板52と把持板58との間で把持された粘弾性体48の変形状態を模式化した平面断面図である。なお、図が煩雑となるため、支持板60、長ボルト68等の図示は省略している。
地震等により把持板58に対して固定板52が相対変位(矢印G方向)すると、図13(B)に示すように固定板52の接着面52Aと支持板58の摩擦面58Aとの間で把持された粘弾性体48がせん断変形する。これにより、振動エネルギーが熱エネルギーに変換され、振動が低減される。
次に、図13(C)に示すように、更に把持板58に対して固定板52が相対変位(矢印G方向)し、把持板58と固定板52と相対変位量が大きくなり、粘弾性体48に作用するせん断力が摩擦面58Aと粘弾性体48の間に発生している静止摩擦力を超えると、摩擦面58Aに固定されていた粘弾性体48がせん断変形した状態のまま摩擦面58A上をスライドする。このとき、粘弾性体48に作用するせん断力は、摩擦面58Aと粘弾性体48との間に発生する動摩擦力に等しい。このように、把持板58と固定板52と相対変位量が所定量を超えたときに、粘弾性体48がスライドするように摩擦面58Aの摩擦係数(静止摩擦係数)を決定することで、粘弾性体48の変形量・せん断力を所定の範囲内に収めることができ、粘弾性体48の破損、損傷を防止することができる。
次に、図13(C)の状態において地震等の振動が停止すると、図13(D)に示すように、波形鋼板24(図1参照)の剛性や柱12、14の曲げ戻し等によって、把持板58に対して固定板52が逆方向に相対変位(矢印G方向)する。これにより、粘弾性体48の変形量が小さくなる。この場合、波形鋼板24に残留変形が生じると、粘弾性体48が初期状態(変形量ゼロ)に戻りきらず、粘弾性体48がせん断変形した状態のまま接着面52Aと摩擦面58Aとの間で保持される。このように粘弾性体48がせん断変形した状態のまま保持されると、次に地震等が発生したときに、図13(A)に示す初期状態と比較して粘弾性体48の変形可能量が小さくなり、粘弾性体48における振動エネルギー吸収量が低下する場合がある。
ここで、図13(E)に示すように、本実施形態では長ボルト68(図4参照)に取り付けられたナット69を緩め、粘弾性体48に作用する圧縮力(面圧力)を小さくして摩擦面58Aからの静止摩擦力を小さくすることで粘弾性体48が開放され、粘弾性体48のせん断変形量をゼロに戻すことができる。これにより、図13(A)に示す初期状態と同様の減衰効果を得ることができる。
なお、上記の実施形態では、図1示すように波形鋼板耐震壁22を下の梁18に固定し、粘弾性ダンパ40を上の梁16に固定したがこれに限らず、波形鋼板耐震壁22を上の梁16に固定し、粘弾性ダンパ40を下の梁18に固定しても良い。また、上下の梁16、18と粘弾性ダンパ40又は波形鋼板耐震壁22との接合、粘弾性ダンパ40と波形鋼板耐震壁22との接合はボルト及びナットに限らず、リベットや溶接等で接合しても良い。更に、図4に示す粘弾性ダンパ40は現場で組み立てても良いし、工場等で組み立てても良い。更に、工場等において粘弾性ダンパ40と波形鋼板耐震壁22と接合し、一体化された粘弾性ダンパ40及び波形鋼板耐震壁22を現場に搬入して、架構20に設置しても良い。
また、図3に示すように、突出部材90を応力伝達部材86に設けたがこれに限らず、ストッパ部材102に設けても良い。
更に、上記の実施形態では、応力伝達部としての応力伝達部材86を波形鋼板耐震壁22の上部に設けているが、応力伝達部材86の位置はこれに限定されるものではない。ストッパ部材102に接して波形鋼板耐震壁22に水平力を伝達可能であれば良く、ストッパ部材102との位置関係により適宜変更して実施することができる。また、応力伝達部は、必ずしも波形鋼板耐震壁22等と別部材として設ける必要はなく、例えば、波形鋼板耐震壁22の縦フランジ28A、28Bを応力伝達部として、これにストッパ部材が接するように構成しても良い。
また、上記の実施形態では、鋼製耐震壁として波形鋼板耐震壁22を用いたがこれに限らない。単なる鋼板からなる履歴型の耐震壁を用いても良い。また、波形鋼板24には、図15(A)〜(D)に示すような断面形状をした波形鋼板を用いることができる。
更に、上記の実施形態における柱12、14、梁16、18は、鉄骨造に限らず、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレストレスコンクリート造、鉄骨造、更には現場打ち工法、プレキャスト工法等の種々の工法を用いた構造部材に適用可能である。例えば、第1の実施形態において、梁16に替えてコンクリートスラブ又は小梁等であっても良い。
また、本発明の制震構造10を有することで、耐震性能、制震性能が向上された建物を構築することができる。この場合、制震構造10は、建物の一部に用いても良いし、全てに用いても良い。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、これらの実施形態及び変形例を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
本発明の実施形態に係る制震構造を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る制震構造を示す、図1の1−1線断面図である。 本発明の実施形態に係る応力伝達部材、ストッパ部材を示す、斜視図である。 本発明の実施形態に係る粘弾性ダンパの分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る制震構造の変形状態を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る制震構造の変形状態を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る制震構造の変形状態を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る制震構造の変形例を示す、要部拡大図である。 (A)は本発明の実施形態に係る調整機構の変形例を示す、要部拡大図であり、(B)は図9(A)2−2線矢視図である。 (A)は本発明の実施形態に係る調整機構の変形例を示す、要部拡大図であり、(B)は図10(A)3−3線断面図である。 (A)は本発明の実施形態に係る調整機構の変形例を示す、要部拡大図であり、(B)は図10(A)のを更に拡大した図であり、(C)は応力伝達部材をストッパ部材側から見た図である。 (A)は本発明の実施形態に係る調整機構の変形例を示す、要部拡大図であり、(B)は図12(A)のストッパ部材を下から見た図である。 粘弾性体の変形状態を模式化して平面断面図であり、(A)は停止状態(初期状態)、(B)及び(C)は地震時の変形状態、(D)は地震停止の変形状態、(E)は変形状態を初期化した状態を示している。 本発明の実施形態に係る応力伝達部の変形例を示す側面図である。 本発明の実施形態に係る波形鋼板の断面形状を示す断面図である。
符号の説明
10 制震構造
16 梁(水平部材)
18 梁(水平部材)
20 架構
24 波形鋼板(鋼製耐震壁)
40 粘弾性ダンパ
42 固定部材
44 把持部材
46 把持部材
48 粘弾性体
86 応力伝達部材(応力伝達部)
90 突出部材
90A ネジ部(調整機構、ネジ機構)
98 ボルト孔(調整機構、ネジ機構)
102 ストッパ部材(ストッパ部)
110 ストッパ部
114 調整板(調整機構)
118 調整板(調整機構)
122 応力伝達部材(応力伝達部)
132 斜面部(第1斜面部)
134 ストッパ部材(ストッパ部)
142 斜面部(第2斜面部)

Claims (7)

  1. 架構を構成する上下の水平部材の何れか一方に固定される鋼製耐震壁と、
    上下の前記水平部材の何れか他方と前記鋼製耐震壁とに固定された粘弾性ダンパと、
    前記架構に設けられ、前記鋼製耐震壁に取り付けられた応力伝達部と間を空けて配置されると共に該応力伝達部に接して前記鋼製耐震壁に水平力を伝達するストッパ部と、
    前記応力伝達部及び前記ストッパ部の少なくとも一方に設けられ、前記応力伝達部と前記ストッパ部との間の距離を変える調整機構と、
    を備える制震構造。
  2. 前記応力伝達部及び前記ストッパ部の何れか一方は、前記応力伝達部及び前記ストッパ部の何れか他方に向かって突出されると共に前記応力伝達部及び前記ストッパ部の何れか他方に接して前記鋼製耐震壁に水平力を伝達する突出部材を備え、
    前記調整機構が、前記突出部材に設けられ、該突出部材の突出量を変えるネジ機構である請求項1に記載の制震構造。
  3. 前記調整機構が、前記応力伝達部及び前記ストッパ部の何れか一方に、上下方向にスライド可能に設けられ該スライド方向に対して傾斜する第1斜面部と、
    前記応力伝達部及び前記ストッパ部の何れか他方に設けられ、前記第1斜面部と対向すると共に前記第1斜面部に接して前記鋼製耐震壁に水平力を伝達する第2斜面部と、
    を備える請求項1に記載の制震構造。
  4. 前記調整機構が、前記応力伝達部及び前記ストッパ部の少なくとも一方に設けられ、積層枚数により前記応力伝達部と前記ストッパ部との間の距離を調整可能な調整板である請求項1に記載の制震構造。
  5. 前記粘弾性ダンパは、上下の前記水平部材の何れか他方に固定される固定部材と、
    前記鋼製耐震壁に固定され前記固定部材と相対変位可能に連結される把持部材と、
    前記固定部材及び前記把持部材の何れか一方に固定されると共に前記固定部材と前記把持部材との間でせん断変形可能に把持される粘弾性体と、
    を備える請求項1〜4の何れか1項に記載の制震構造。
  6. 前記鋼製耐震壁が波形鋼板である請求項1〜5の何れか1項に記載の制震構造。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の制震構造を備える建物。
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