JP2006336378A - 耐震壁 - Google Patents

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【課題】鉛直荷重に対する支持能力が大きく、波形鋼板が本来有する高い変形性能及び剪断降伏による高いエネルギー吸収能力を十分に発揮する耐震壁を提供する。
【解決手段】水平力で層間変形を発生する柱梁架構3、4又は柱スラブ架構の面内に、波形鋼板1がその折り筋が水平方向となる配置で組み入れられ、柱梁架構3、4又は柱スラブ架構と波形鋼板1とが水平力の伝達が可能に接合されている。柱梁架構3、4又は柱スラブ架構の面内に、間柱2が上下の梁4、4又はスラブと鉛直荷重のみ伝達が可能に接合されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、柱梁架構又は柱スラブ架構の面内に、波形鋼板をその折り筋が水平方向となる配置で組み入れた耐震壁の技術分野に属し、更に云えば、鉛直荷重に対する支持能力が大きく、波形鋼板が本来有する高い変形性能及び剪断降伏による高いエネルギー吸収能力を十分に発揮する耐震壁に関する。
従来、一般的に採用されている現場打ちコンクリート造又はプレキャストコンクリート造の壁構造は、強度と剛性の制御が難しく、所定の強度を保持しつつ変形能力を期待し難い。耐震壁の要求される性能は、剛性と強度を適切に設計することである。即ち、地震力に対する強度が大きく、しかも高耐力での変形性能(靱性)に優れた可変剛性機能を満たすことである。この目的を達成する目的の発明が、例えば下記特許文献1、2に開示されている。しかし、特許文献1、2の開示された発明は、面外力に対する曲げ剛性の制御は不可能である。また、特許文献3に、柱梁架構又は柱スラブ架構の面内へデッキプレート(波形鋼板)を組み入れた波形板製遮災壁が開示されているが、壁体として波形鋼板の力学的特性に着目した耐震壁の技術的思想は未だ見聞されない。
特公昭62−31148号公報 特許第2944050号公報 特開2003−176582号公報
本出願人も、上記目的を達成するべく、水平剪断力には抵抗するが、鉛直軸力及び面外方向の曲げに対しては抵抗が小さく、剛性と強度の設計の自由度が大きい耐震壁を開発し、別途特許出願した(特願2004−224230号又は特願2004−221368号等)。
図6A、Bは、水平力で層間変形を発生する架構の一例を示している。両側の柱a、aと上下の梁b、bとで成る柱梁架構a、bであり、その面内に、壁体としての波形鋼板cがその折り筋が水平方向の配置で組み入れられ、柱梁架構a、bと波形鋼板cとが水平力の伝達が可能に接合されている。
前記波形鋼板は縦断面形状が折り板状になっており、その形状が例えば矩形波形状に形成されて力学的特性を得られるものとされている。前記波形鋼板の断面形状はこの限りではなく、例えば図7に例示した台形波形状(図7A)、三角波形状(図7B)、円弧波形状(図7C)等のものを指している。
力学的特性としては水平剪断力に対しては、前記波形鋼板の折板になっている一枚一枚が剪断力に対して十分に抵抗し、その集合として全体が水平剪断力に十分に抵抗する。RC壁と比して十分に高い剪断強度を有し、且つ剪断強度を保持したまま変形が進むといった靱性に優れた性状を発揮して高い変形性能を可能とする。
しかも、剪断剛性及び強度は、鋼板の材質固有の強度の他に、板厚の大きさ(通例9mm〜22mm程度)、重ね合わせの枚数、ピッチ(通例500mm〜700mm程度)及び波高の大きさ(通例80mm〜150mm程度)などの設計の如何により自在に設計することができる。
また、前記波形鋼板は折り板になっているので、波形の筋に直角な軸力に対してはアコーディオンの如くに自由に伸び縮みし、剛性耐力がはるかに小さい。波形面内の曲げに対しても、同様のアコーディオンの如く自由に伸び縮みして圧縮及び引張りを許容するので、剛性、耐力が小さい。一方、波形の折り筋に垂直な方向の面外力(曲げ及び剪断)に対する剛性、耐力は、折板になっているので十分に大きいが、波形の折り筋に平行な方向の面外力(曲げ及び剪断)に対しては、折り板になっているが故に抵抗が小さくなるという力学的特性を発揮する。
上記した本出願人の特許出願による耐震壁は、柱梁架構又は柱スラブ架構の水平力による曲げ及び剪断に対して波形鋼板が効果的に抵抗し剪断耐力および剛性は必要十分に大きくなり、それでいて架構の剛性及び強度の設計の自由度が高く、鉛直軸力及び面外方向の曲げ力に対する抵抗は小さい力学的特性を発揮することにより、地震力に対する強度(耐力)が大きく、しかも高耐力での変形性能(靱性)に優れた可変剛性機能を期待できる点で特長を有する。
しかし、過度の鉛直軸力の負担が柱に集中して、同柱が限界変形に達すると耐力が急激に低下し脆性破壊を起こす問題がある。そのために、柱を限界変形まで変形しないように余裕を持って設計したり、フープ筋等の補強材を必要以上に設置することが必要である。
また、上記特許出願の耐震壁では、波形鋼板が鉛直軸力で面外座屈を起こす心配があり、かかる場合には、波形鋼板本来の威力を十分に発揮し難い問題もある。
本発明の目的は、柱に集中する鉛直荷重の負担を軽減できる構成として、全体的に鉛直支持能力が大きく、鉛直軸力に対する耐力の高い耐震壁を提供することである。
本発明の目的は、波形鋼板が本来有する高い変形性能及び剪断降伏による高いエネルギー吸収能力を十分に発揮できる耐震壁を提供することである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る耐震壁は、
水平力で層間変形を発生する柱梁架構3、4又は柱スラブ架構の面内に、波形鋼板1がその折り筋が水平方向となる配置で組み入れられ、柱梁架構3、4又は柱スラブ架構と波形鋼板1とが水平力の伝達が可能に接合されており、
前記柱梁架構3、4又は柱スラブ架構の面内に、間柱2が上下の梁4、4又はスラブと鉛直荷重のみ伝達が可能に接合されていることを特徴とする。
請求項2記載した発明は、請求項1に記載した耐震壁において、
間柱2は、前記波形鋼板1をその両面から挟み付ける配置を一組とし、上下の梁4、4又はスラブと鉛直荷重のみ伝達が可能に接合されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した耐震壁において、
間柱2は、上下端部に上方及び下方へ突き出るダボ筋5が設置されており、前記ダボ筋5を介して上下の梁4、4又はスラブと鉛直荷重のみ伝達が可能に接合されていることを特徴とする。
本発明に係る耐震壁は、波形鋼板を組み入れた柱梁架構又は柱スラブ架構の面内に、間柱が上下の梁又はスラブと鉛直荷重のみ伝達が可能に接合された構成なので、鉛直荷重を柱と共に間柱が負担し、柱へ集中することを軽減できる。したがって、全体的に鉛直支持能力が大きく、鉛直軸力に対する耐力を高めることができる。また、前記波形鋼板をその両側面から挟み付ける配置を一組とした構成とすることで、同間柱で波形鋼板の面外座屈を防止できるので、波形鋼板が本来有する高い変形性能及び剪断降伏による高いエネルギー吸収能力を十分に発揮できる。
水平力で層間変形を発生する柱梁架構3、4又は柱スラブ架構の面内に、波形鋼板1がその折り筋が水平方向となる配置で組み入れられ、柱梁架構3、4又は柱スラブ架構と波形鋼板1とが水平力の伝達が可能に接合されている。前記柱梁架構3、4又は柱スラブ架構の面内に、間柱2が上下の梁4、4又はスラブと鉛直荷重のみ伝達が可能に接合されている。
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明に係る耐震壁の実施例を概念的に示している。
この耐震壁は、水平力で層間変形を発生する架構の代表例として柱梁架構3、4(柱スラブ架構の場合もある。以下同じ。)の面内に、波形鋼板1がその折り筋が水平方向となる配置で組み入れられ、柱梁架構3、4と波形鋼板1とが水平力の伝達が可能に接合されている。
前記波形鋼板1は、柱梁架構3、4に水平力の伝達が可能に接合されていれば足り、波形鋼板1の左右の縦辺と柱梁架構3、4の柱3とのみ接合するか、又は波形鋼板1の上下辺と柱梁架構3、4の梁4(以下、単に梁と総称して記載する場合がある。)とのみ水平力の伝達が可能に接合して実施することができる。もちろん、波形鋼板1の四辺を柱梁架構3、4の柱3及び梁4と水平力の伝達が可能に接合して実施することもできる。
前記波形鋼板1を柱梁架構3、4の面内に組み入れ、水平力の伝達が可能に接合する方法は、例えば、上記特願2004−224230号や特願2004−221368号等に既に記載されているので、内容の一部を簡潔に説明する。図4A、Bに例示したように、波形鋼板1の周辺部(四辺)には、スタッド等の水平力伝達要素6を溶接等した接合用フレーム7を一体的に取り付けておく。この波形鋼板1を柱梁架構3、4を形成するコンクリート型枠の面内部分へ嵌め込み、同コンクリート型枠の中へコンクリートを打設することにより、図5A、Bに示すように柱梁架構3、4の柱3及び梁4の現場打ちコンクリート部分の中へ前記スタッド等の水平力伝達要素6を埋め込み、もって水平力の伝達が可能に接合する方法を実施することが出来る。
また、図5Aに例示するように、柱梁架構3、4の内周面にスタッドボルトのごときジョイント部材6を予めコンクリート工場における製造時点で埋め込むか、又は現場でホールインアンカー等の方法で設ける。一方、波形鋼板1の四周には、スタッドを持たない接合用フレーム7を一体的に取り付けておく。そして、前記柱梁架構3、4の架構面内へ嵌め込まれた波形鋼板1は、その周辺部の接合用フレーム7を、柱梁架構3、4の前記ジョイント部材6とボルト止め又は溶接等の手段で水平力の伝達が可能に接合する方法を実施する。
勿論、本発明の実施例は上記の内容に限らない。柱梁架構3、4の大変形時におけるコンクリート構造の剪断破壊等を確実に防止するために、前記柱3の内面と波形鋼板1の縦辺との間に剪断変形を許容するスリットを設けたり、前記スリットに発泡スチロール成形品等の剪断吸収部材を充填すること等々も実施される。
前記波形鋼板1を組み入れた柱梁架構3、4の面内には、前記波形鋼板1をその両側面から挟み付ける(宛う)配置を一組とした2組みの間柱2、2が設置され、前記間柱2は上下の梁4、4又はスラブ(以下、単に梁と総称して記載する。)と鉛直荷重のみ伝達が可能に接合されている。前記間柱2は、横スパンの座屈防止を図るため2m〜3m程度の間隔で設置することが好ましく、また基本的には鉄筋コンクリート造で形成されるが、鉄骨鉄筋コンクリート造で形成してもよい。更に、鉛直荷重の負担が大きい場合には、必要に応じて本数を増やしたり、水平断面を大きくしたり、更には、フープ筋等を巻き付けて強度を増加させて実施することもできる。
上記間柱2と上下の梁4、4との接合方法を以下に説明する。
前記間柱2を上下の梁4、4に接合する方法の一例をとして、波形鋼板1を両面から挟み付ける配置に設置された複数組みの間柱2には、上下端部に上方及び下方へ突き出るダボ筋5、5が設置されており、前記ダボ筋5を介して上下の梁4、4と鉛直荷重のみ伝達が可能に接合されている(請求項2記載の発明)。前記間柱2は、現場打ちで製造しても、プレキャストコンクリート部材として製造してもよい。
先ず、柱梁架構3、4が現場打ちの鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造として新たに構築される場合の接合方法について説明する。
現場打ち又はプレキャストコンクリート部材として製造された前記間柱2のダボ筋5を、柱梁架構3、4を形成するコンクリート型枠の面内部分へ設置し、同コンクリート型枠の中へコンクリートを打設することにより、柱梁架構3、4の梁4の中へ前記ダボ筋5を埋め込み、前記梁4と鉛直荷重のみ伝達が可能に接合する。
次に、柱梁架構3、4がプレキャスト鉄筋コンクリート造又はプレキャスト鉄骨鉄筋コンクリート造として新築され、又は既存する場合の接合方法について説明する。
梁4の内周面に柱梁架構3、4の面内へ突き出るダボ筋5を予めコンクリート工場における製造時点で埋め込む。前記ダボ筋5が突き出た位置に、間柱2を形成するコンクリート型枠を設置し、同コンクリート型枠の中へコンクリートを打設することにより、前記間柱2の中へ前記ダボ筋5を埋め込み、梁4と鉛直方向のみ伝達が可能に接合する。
なお、前記間柱2をプレキャストコンクリート部材で実施する場合には、予め、間柱2の上下端部に前記ダボ筋5をはめ込むための孔を形成し、同孔へダボ筋5をはめ込み接合する。勿論、ダボ筋5を間柱2に設置し、このダボ筋5を、梁4に設けた孔へはめ込み接合しても良い。
従って、前記間柱2は、波形鋼板1をその両側面から挟み付ける配置を一組とした構成なので、波形鋼板1が起こす面外座屈を防止するでき、波形鋼板1が本来有する高い変形性能及び剪断降伏による高いエネルギー吸収能力を十分に発揮できる。
以上に本発明を実施例に基づいて説明したが、勿論、本発明の技術的思想は上記の実施例に限定されるものではない。本発明が立脚する思想と要旨を逸脱しない範囲で変更、応用して、種々多様な実施例があることを念のため申し添える。
本発明に係る耐震壁を示す正面図である。 図1の耐震壁の横断面図である。 図1の耐震壁の縦断面図である。 Aは外周部にスタッド等の水平力伝達要素を持つ接合用フレームを取り付けた波形鋼板の正面図、BはAの縦断面図である。 Aは図4の波形鋼板を使用した耐震壁の正面図、BはAの縦断面図である。 Aは本出願人が既に特許出願した耐震壁の一例を示した正面図、BはAの縦断面図である。 A〜Cは波形鋼板の異なる断面形状を示した説明図である。
符号の説明
1 波形鋼板
2 間柱
3 柱
4 梁
5 ダボ筋

Claims (3)

  1. 水平力で層間変形を発生する柱梁架構又は柱スラブ架構の面内に、波形鋼板がその折り筋が水平方向となる配置で組み入れられ、柱梁架構又は柱スラブ架構と波形鋼板とが水平力の伝達が可能に接合されており、
    前記柱梁架構又は柱スラブ架構の面内に、間柱が上下の梁又はスラブと鉛直荷重のみ伝達が可能に接合されていることを特徴とする、耐震壁。
  2. 間柱は、前記波形鋼板をその両面から挟み付ける配置を一組とし、上下の梁又はスラブと鉛直荷重のみ伝達が可能に接合されていることを特徴とする、請求項1に記載した耐震壁。
  3. 間柱は、上下端部に上方及び下方へ突き出るダボ筋が設置されており、前記ダボ筋を介して上下の梁又はスラブと鉛直荷重のみ伝達が可能に接合されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した耐震壁。
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