JP4635700B2 - 建物の制震構造 - Google Patents
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Description
上記目的を達成するために、請求項2に記載の第二発明は、フレーム面の中央部に粘弾性ダンパーを配置して4つのブレースを放射状に架設したいわゆるXブレースタイプの軸組フレームにおいて、粘弾性ダンパーの第一のプレートと第二のプレートとの何れか一方に軸部材を直交状に固着し、他方のプレートに、軸部材が遊挿する長孔を鉛直方向に設けて、第一のプレートと第二のプレートとを夫々鉛直方向へのみ移動可能とし、第一のプレートを一方の柱に、第二のプレートを他方の柱に夫々水平な連結部材によって連結したことを特徴とするものである。
なお、本発明でいう第一及び第二のプレートとは、加振時に相反方向へ移動する複数のプレートを同じ移動方向ごとに特定したもので、夫々が複数のプレートである場合も含む。また、長孔とは、軸部材が貫通する透孔は勿論、軸部材の先端が遊挿する有底孔も含む。
さらに、粘弾性ダンパーは鉛直方向にのみ動作することになるため、連結部材の連結部の回転が小さくなって粘弾性ダンパーによる減衰性能がより発揮されやすくなるという副次的効果も得られる。
《形態1》
図1は、本発明の制震構造を適用した軸組フレームの一例を示す正面図で、軽量鉄骨構造の住宅に用いられる。この軸組フレーム1は、左右一対の柱2,3と、柱2,3の上端間及び下端間に架設される一対の横架材4,4とを有し、フレーム面内の上下に、板状のブレース5,5を上下軸対称となるように架設したいわゆるKブレースと称される構造となっている。B,Bは、軸組フレーム1の上下端が夫々固定される梁である。各ブレース5の一端は、右側の柱3と横架材4との上下の仕口部にガセットプレート6を介して夫々連結される一方、当該仕口部と反対側の両ブレース5,5の他端は、左側の柱2の中間部位に設けられた粘弾性ダンパー7に連結されている。
また、芯プレート9には、軸部材としてのピン15が直交状に固着されて、粘弾性体10及び外プレート8へ鉛直方向に穿設された長孔16を貫通している。よって、芯プレート9と外プレート8,8とは、長孔16内でのピン15の案内により、水平方向への移動が規制されて相対的に鉛直方向へのみ移動可能となっている。
一方、このように粘弾性ダンパー7で水平方向への動作が規制されることで、左側では金具11を介して、右側では当て板13及び連結板12,中桟14を介して粘弾性ダンパー7に連結される柱2,3は、圧縮力が作用しても座屈方向への変形が規制されることになる。
さらに、粘弾性ダンパー7は鉛直方向にのみ動作するため、中桟14の連結部の回転が小さくなって粘弾性ダンパー7による減衰性能がより発揮されやすくなるという副次的効果も得られる。
次に、本発明の他の形態について説明する。なお、形態1と同じ構成部は同じ符号を付して重複する説明を省略する。
図3に示す軸組フレーム20は、フレーム面内の中央部に粘弾性ダンパー21を配置して、そこから各仕口部へ4つのブレース22,22・・を放射状に架設したいわゆるXブレースと称される構造となっている。粘弾性ダンパー21は、図4にも示すように、第一のプレートとしての芯プレート23と、その芯プレート23の前後で平行に配置される第二のプレートとしての外プレート24,24と、芯プレート23と外プレート24との間に接着される粘弾性体25,25とからなり、芯プレート23にボルト接合された左側の連結板26の上下に、フレーム面の左側で上下に位置するブレース22,22が固定され、外プレート24にボルト接合された右側の連結板27の上下に、フレーム面の右側で上下に位置するブレース22,22が固定されている。また、連結板26の中間部位が水平な中桟28によって柱2に、連結板27の中間部位が水平な中桟29によって柱3と夫々連結されている。
そして、ここでの芯プレート23にもピン30が直交状に固着されて、粘弾性体25及び外プレート24へ鉛直方向に穿設された長孔31を貫通し、芯プレート23と外プレート24とを相対的に鉛直方向へのみ移動可能としている。
そして、粘弾性ダンパー21での水平方向への動作規制により、左側では連結板26及び中桟28を介して、右側では連結板27及び中桟29を介して粘弾性ダンパー21に連結される柱2,3は、圧縮力が作用しても座屈方向への変形が規制されることになる。
一方、連結部材は、中桟を板状やパイプ状としたり、複数本を平行に架設したりして粘弾性ダンパーと柱との連結を図っても良い。
さらに、粘弾性ダンパーとブレース及び連結部材との連結は、金具や連結板等を介さずに、ブレースや連結部材を直接第一のプレートや第二のプレートに連結することもできる。
その他、形態1では粘弾性ダンパーを右側の柱の中間部位に設けて左右逆構造としたり、両形態1,2では芯プレートと外プレートとを左右逆に配置したり等、適宜設計変更して差し支えない。また、ブレースも板状でなく、筒状のものや鋼材ブレース等も採用可能である。
Claims (2)
- 柱と横架材とで形成される軸組フレーム内に、フレーム面と平行で互いに対向する複数のプレートと、前記プレート間にあって前記プレートとの対向面が夫々接着される粘弾性体とからなる粘弾性ダンパーを、一方の柱の中間部位に配置して第一のプレートを当該側の柱に固定すると共に、他方の柱と横架材との上下の仕口部と第二のプレートとの間に、一対のブレースを上下軸対称となるように架設して、前記フレーム面方向での前記第一のプレートと第二のプレートとの相反方向への移動により前記粘弾性体を剪断変形させて減衰作用を生じさせる建物の制震構造であって、
前記第一のプレートと第二のプレートとの何れか一方に軸部材を直交状に固着し、他方のプレートに、前記軸部材が遊挿する長孔を鉛直方向に設けて、前記第一のプレートと第二のプレートとを夫々鉛直方向へのみ移動可能とし、前記第二のプレートを、前記第一のプレートの固定側と反対側の柱に水平な連結部材によって連結したことを特徴とする建物の制震構造。 - 柱と横架材とで形成される軸組フレーム内の中央部に、フレーム面と平行で互いに対向する複数のプレートと、前記プレート間にあって前記プレートとの対向面が夫々接着される粘弾性体とからなる粘弾性ダンパーを配置すると共に、前記粘弾性ダンパーから前記軸組フレームの各仕口部へ放射状に4つのブレースを架設して、前記4つのブレースのうちの左右何れか一方側での上下のブレースを第一のプレートに、左右他方側での上下のブレースを第二のプレートに夫々固定して、前記フレーム面方向での前記第一のプレートと第二のプレートとの相反方向への移動により前記粘弾性体を剪断変形させて減衰作用を生じさせる建物の制震構造であって、
前記第一のプレートと第二のプレートとの何れか一方に軸部材を直交状に固着し、他方のプレートに、前記軸部材が遊挿する長孔を鉛直方向に設けて、前記第一のプレートと第二のプレートとを夫々鉛直方向へのみ移動可能とし、前記第一のプレートを一方の柱に、前記第二のプレートを他方の柱に夫々水平な連結部材によって連結したことを特徴とする建物の制震構造。
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