JP5285452B2 - 座屈拘束ブレース及びそれを用いた耐力フレーム - Google Patents

座屈拘束ブレース及びそれを用いた耐力フレーム Download PDF

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本発明は、建築物の壁などの垂直構面、及び床などの水平構面の内側に架け渡されることにより、水平力に対する建築物の変形を抑制し、また地震時における建築物の振動の早期減衰などに役立つ座屈拘束ブレース及びそれを用いた耐力フレームに関する。
従来の座屈拘束ブレースは、低降伏点鋼等を用いたブレース芯材を、鋼管等を用いた補剛材の内側に挿入し、これらブレース芯材と補剛材との隙間に、モルタル、合成樹脂等硬化性の材料を充填した構造が多く採用されている。
このように構成された座屈拘束ブレースでは、圧縮荷重を受ける際に発生するブレース芯材の座屈が、補剛材の曲げ剛性によって拘束される。従って、比較的小さな断面のブレース芯材で、引張力及び圧縮力の両方に充分抵抗し、ブレースとして必要な補強効果を得ることができる。また、地震発生時など建築物に大きな水平力が発生すると、小断面のブレース芯材はこれらの外力を塑性変形エネルギーに変換して振動応答を効果的に抑えることができる(例えば、特許文献1ないし4参照)。
特開2005−220637号公報 特開2008−75280号公報 特開2008−75281号公報 特開2008−255654号公報
しかしながら、ブレース芯材が座屈しようとする力を補剛材に確実に伝達するためには、モルタル等の硬化性材料を隙間なく充填する必要がある。また、ブレース芯材が自由に伸縮できるようにするため、ブレース芯材と充填材とを絶縁材等にて縁切りする処置が必要となる。このため、従来の座屈拘束ブレースは、高いレベルの製造技術及び品質管理が必要となり、製造コストが高いという問題がある。このため、従来の座屈拘束ブレースは、高層ビル等の使用に限定され、一般住宅等には採用し難いという問題があった。
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、品質を低下させることなく安価に製造でき、例えば規格化住宅などにも広く採用することが可能な座屈拘束ブレース及びそれを用いた耐力フレームの提供を課題としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、建築物の変形を抑制する座屈拘束ブレースであって、軸力を負担する長尺板状のブレース芯材と、このブレース芯材の長手方向の一端側に、溝部を該ブレース芯材の板面に向けて該ブレース芯材の両側面に溶接された一対の溝型鋼からなる第1の補剛材と、前記ブレース芯材の長手方向の他端側に、溝部を該ブレース芯材の板面に向けて該ブレース芯材の両側面に溶接されしかも前記第1の補剛材とは離間して設けられた一対の溝型鋼からなる第2の補剛材と、前記第1の補剛材及び第2の補剛材がともに挿入されるとともに両補剛材の相対曲げを防止する第3の補剛材とを少なくとも含み、かつ、前記第1の補剛材及び第2の補剛材は、前記ブレース芯材の両端部をそれぞれ外側に超えてのびる取付端部を有することを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記取付端部は、前記一対の溝型鋼が前記ブレース芯材の厚さに等しい隙間を有して向き合う部分により形成される請求項1記載の座屈拘束ブレースである。
また請求項3記載の発明は、前記第3の補剛材は、前記ブレース芯材と溝型鋼との溶接部を点検しうる点検孔を有する請求項1又は2記載の座屈拘束ブレースである。
また請求項4記載の発明は、前記ブレース芯材の両側面において、第1の補剛材とブレース芯材とが囲む空間と、前記第2の補剛材とブレース芯材とが囲む空間との間をブレース芯材の長手方向に連続してのびる第4の補剛材をさらに含む請求項1乃至のいずれかに記載の座屈拘束ブレースである。
また請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の座屈拘束ブレースを斜材として用いたことを特徴とする耐力フレームである。
また請求項6記載の発明は、矩形状の外周枠と、この外周枠のコーナ部に配されかつ内側に張り出したコーナープレートと、外周枠の枠材から内側に張り出す取付プレートとを含み、前記座屈拘束ブレースは、ブレース芯材をコーナープレート及び取付プレートそれぞれに接触させることなくその両端の取付端部がコーナープレート及び取付プレートに溶接される請求項5記載の耐力フレームである。
また請求項7記載の発明は、前記第3の補剛材は、一端側のみがコーナープレート又は取付プレートに固着される請求項5又は6記載の耐力フレームである。
本発明の座屈拘束ブレースは、軸力を負担する長尺板状のブレース芯材と、このブレース芯材の長手方向の一端及び他端側にそれぞれ溶接される互いに離間した第1、第2の補剛材と、第1の補剛材及び第2の補剛材がともに挿入されるとともに両補剛材の相対曲げを防止する第3の補剛材とを用いて構成される。従って、本発明の座屈拘束ブレースは、ブレース芯材の大きな座屈を補剛材のみで効果的に抑制しうる結果、引張力及び圧縮力の両方に充分抵抗してブレースとして必要な補強効果を発揮しつつ低コストで製造できる。従って、工業化住宅等にも広く採用することができ、汎用性を高めうる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、座屈拘束ブレース1の全体斜視図、図2は図1のA−A端面図、図3は図1のB−B端面図がそれぞれ示される。
本実施形態の座屈拘束ブレース1は、長手方向に作用する引張、圧縮両方向の軸力を負担するブレース芯材2と、このブレース芯材2の長手方向の一端側S1に溶接された第1の補剛材3と、前記ブレース芯材2の他端側S2に溶接された第2の補剛材4と、第1の補剛材3及び第2の補剛材4がともに挿入されるとともに両補剛材3、4の相対曲げを防止する第3の補剛材5とを少なくとも含んで構成される。
前記ブレース芯材2には、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼又は合金鋼など各種の鉄鋼材料を採用できるが、好ましくは極低降伏点鋼等が望ましい。極低降伏点鋼は、一般鋼(例えばSM490やSS400)に比べると約1/4〜1/3の降伏点しか持たないが、伸びに関しては50%以上と非常に優れた性能を発揮できる。また、ブレース芯材2には、第1ないし第2の補剛材3ないし4との摩擦を軽減するために、表面がめっき仕上げされても良い。
また、ブレース芯材2は、断面矩形状の長尺板状をなし、一例として幅Wが例えば20〜100mm程度、厚さtが例えば3〜15mm程度で構成される。また、ブレース芯材2の長さ寸法等は、ブレース芯材2が取り付けられるスパン長に応じて適宜設定されれば良い。
前記第1の補剛材3は、ブレース芯材2の長手方向の一端側S1に、ブレース芯材2の両側面に溶接された一対の溝型鋼6からなる。各溝型鋼6は、ウエブ6aと、その両端からのびる一対のフランジ部6b、6bとを有し、その溝部6wをブレース芯材2の板面2P(厚さtの方向と直角な面)に向けて配される。より具体的には、溝型鋼6は、その両側のフランジ部6bの端面6beがブレース芯材2の板面2Pに当接した状態でブレース芯材2を上下から挟むように溶接固着されている。なお、溝型鋼6の幅は、ブレース芯材2の幅Wよりも小さく、これにより、フランジ部6bの両外側に溶接可能な入隅状のコーナ部が形成される。
図4には、座屈拘束ブレース1の第3の補剛材5を縦断面にて切断した側面図が示される。図4には、符号Jにて溶接部(溶接ビード)が示されている。図から明らかなように、ブレース芯材2と第1ないし第2の補剛材3ないし4の溝型鋼6とは、所定の長さでかつ間欠的に溶接されている。また、第1の補剛材3の最も他端側S2の溶接部Jaは、溝型鋼6の内縁6sから一端側S1に控えた位置に設けられている。
以上のような第1の補剛材3は、溝型鋼6によってブレース芯材2を上下から挟むことにより、その補剛範囲で該ブレース芯材2の座屈を抑制しうる。
また、前記第2の補剛材4は、ブレース芯材2の長手方向の他端側S2に、第1の補剛材3と同様、ブレース芯材2の両側面に溶接された一対の溝型鋼6からなる。この溝型鋼6は、第1の補剛材3のものと同一であり、その両側のフランジ部6bの端面6beをブレース芯材2の板面2Pに当接させた状態でブレース芯材2に溶接固着されている。従って、第2の補剛材4も、第1の補剛材3と同様、溝型鋼6によってブレース芯材2を上下から挟むことにより、その補剛範囲で該ブレース芯材2の座屈を抑制しうる。
また、図4に示されるように、第2の補剛材4は、第1の補剛材3とは長手方向に離間して設けられる。第1の補剛材3と第2の補剛材4とが突き合わされている場合、圧縮力の作用時、ブレース芯材2ではなく第1ないし第2の補剛材3、4が軸力を負担してしまうため採用できない。換言すれば、ブレース芯材2の第1の補剛材3と第2の補剛材4とが離間した離間部分Uに限定してブレース芯材2の比較的大きな塑性変形(伸縮ないし局部座屈)を生じさせることが可能である。
さらに、第2の補剛材4の最も一端側S1の溶接部Jbは、その溝型鋼6の内縁6sから他端側S2に控えた位置に設けられている。つまり、第1の補剛材3の前記溶接部Jaと、第2の補剛材4の溶接部Jbとの間の領域Kでは、ブレース芯材2と各補剛材3ないし4とは当接しているだけで固着されていないので、この領域Kでは、ブレース芯材2の変形(伸縮)により、該ブレース芯材2と補剛材3又は4の溝型鋼6との相対移動が可能である。
また、第1の補剛材3及び第2の補剛材4は、ブレース芯材2の両端部2Eをそれぞれ外側に超えてのびている。この部分は建築物や構造体側に取り付けられる取付端部7として使用される。本実施形態の取付端部7は、溝部6wを向き合わせた前記一対の溝型鋼6、6がブレース芯材2の厚さtに等しい隙間9を有して向き合う部分として形成される。
前記第3の補剛材5は、第1の補剛材3及び第2の補剛材4がともに挿入される角筒状で構成される。即ち、第3の補剛材5は、溝型鋼6のウエブ6aと実質的に平行な上、下面5aと、これらの間を継ぐ左右の側面5bとを有する。
また、図4に示されるように、第の補剛材5は、ブレース芯材2よりも大きい長さを有し、かつ、第1の補剛材3及び第2の補剛材4に跨ってのびている。また、図2及び図3に示されるように、第3の補剛材は、第1の補剛材3又は第2の補剛材4の各溝型鋼6のウエブ6a、6aの外面間の高さT及びブレース芯材2の幅Wよりも僅かに大きい角形断面を有する。従って、第1の補剛材3と、第2の補剛材4との相対的な曲げ変位をきわめて小さい範囲に拘束しうる。
また、図1及び図3に示されるように、第3の補剛材5には、ブレース芯材2と溝型鋼6との溶接部Jを点検しうる点検孔10が設けられる。通常、座屈拘束ブレース1は、完成品として仕上げられると、補剛材の内部を確認ないし点検することができない。しかし、本実施形態のように、第3の補剛材5にブレース芯材2と溝型鋼6との溶接部を視認しうる点検孔10を設けておくことにより、座屈拘束ブレース1を構造体に組み込む施工時に、改めてブレース芯材2と溝型鋼6との溶接部Jの品質の点検・確認等を行うことができる。本実施形態の点検孔10は、第3の補剛材5の側面5bに設けられた矩形状の開口で形成されるが、溶接部Jを視認しうるものであれば、長円状や楕円状であっても構わない。
上記各補剛材3、4及び5には、炭素鋼、ステンレス鋼、合金鋼を含む鉄鋼材料が好適に用いられるが、前記ブレース芯材2の座屈を確実に防止するために、ブレース芯材2よりも高弾性の金属材料が好適に使用される。
また、本実施形態の座屈拘束ブレース1は、ブレース芯材2の座屈を抑制するための硬化性充填剤などを一切使用することなく、上述の鋼製の補剛材のみで前記ブレース芯材2が座屈補強される。従って、本実施形態の座屈拘束ブレース1は、ブレース芯材2の拘束材(鋼材)以外には他の部品を必要としないため、安価にかつ簡単に製造できる。よって、本実施形態の座屈拘束ブレース1は、工業化住宅等においても広く採用でき、汎用性を高めうる。
以上のように構成された座屈拘束ブレース1は、図1に示されるように、第1の補剛材3の取付端部7及び第2の補剛材4の取付端部7がそれぞれ構造体側のプレートP1、P2等に固着されて使用される。取付端部7は、隙間9を有するので、該隙間9を各プレートP1、P2に差し込んで仮保持ないし位置決めができる。また、取付端部7とプレートP1又はP2とは、例えば、隅肉溶接等の簡単な溶接によって容易に固着することができる。これは、座屈拘束ブレース1の施工性を向上させるのに役立つ。ただし、ボルト等で接合されても良い。なお、第3の補剛材5は、ガタツキ等を防止するために、その一端側のみがプレートP1又はP2に固着され、他端はプレートP1又はP2に固着されずにフリーな状態とされる。
例えば、プレートP1、P2間に圧縮力が作用すると、その圧縮力は、第1の補剛材3及び第2の補剛材4を介してブレース芯材2に伝えられる。つまり、軸力はブレース芯材2によって負担される。しかし、第1の補剛材3及び第2の補剛材4は、第3の補剛材5で拘束されているので、これらは実質的に相対曲げ変位は生じない。従って、ブレース芯材2は、上述の領域K、とりわけブレース芯材2の第1の補剛材3と第2の補剛材4との離間部分Uにおいて圧縮変形により縮むことにより高い圧縮抵抗性を示す。圧縮力がブレース芯材2の降伏点を超えない場合、除荷時にはブレース芯材2は再びもとの形状に復元する。
他方、地震等により、ブレース芯材2の降伏点を超える大きな圧縮力が作用した場合、図5に示されるように、ブレース芯材2は、上記離間部分Uにおいて局部的に圧縮塑性変形し、圧縮エネルギーを吸収する。これは、特に振動の早期減衰に役立つ。
以上のように、本実施形態の座屈拘束ブレース1は、水平力に対する建築物ないし構造体の変形を抑制し、また地震時における建築物の振動の早期減衰を実現しうる。
なお、前記離間部分Uの長さ及び/又は溶接部Ja−Jb間の長手方向の距離を調節することにより、ブレース芯材2の伸縮量(変位量)を調整することができる。例えば圧縮ひずみが大きくなることが想定される場所で本実施形態の座屈拘束ブレース1を使用する場合、前記溶接部Ja−Jb間の距離を十分に大きく確保することが望ましい。これにより、ブレース芯材2のひずみ(率)を軽減することが可能になり、ブレース芯材2の圧縮塑性変形を遅らせることができる。
特に限定されるものではないが、前記離間部分Uの長さaは、ブレース芯材2の全長Lの1%以上、より好ましくは1.5%以上が望ましく、また、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下が望ましい。同様に、溶接部Ja−Jb間の長手方向の距離bは、好ましくはブレース芯材2の全長Lの20%以上、より好ましくは25%以上が望ましく、また、好ましくは65%以下、より好ましくは60%以下が望ましい。
図6には、座屈拘束ブレース1の他の実施形態が示される。また、図7には、図6のC−C端面図が示される。
この実施形態の座屈拘束ブレース1は、ブレース芯材2の両側面側において、第1の補剛材3とブレース芯材2とが囲む空間と、第2の補剛材4とブレース芯材2とが囲む空間との間を連続してのびる第4の補剛材11をさらに含んで構成される。他の部分の構成は、基本的には上記実施形態と同様である。
この実施形態において、第4の補剛材11は溝型鋼12からなり、そのウエブ12aをブレース芯材2の板面2P側に向けて配置される。また、溝型鋼12は、そのフランジ部12bの端部12beが溝型鋼6のウエブ内面と実質的に当接するかわずかに離間する程度の隙間を持って収められている。このような第4の補剛材11を有する座屈拘束ブレース1は、上記離間部分Uでのブレース芯材2の局部座屈をより確実に防止し、非常に高い圧縮抵抗性を示すことができる。このため、この実施形態の座屈拘束ブレース1では、上記実施形態よりもさらに厚さtが小さいブレース芯材2を用いて同等の性能を発揮させるることが可能になる。
図8〜図10には、本実施形態の座屈拘束ブレース1が斜材として用いられた耐力フレーム20を示す。
該耐力フレーム20は、図8に示されるように、矩形状の外周枠21と、この外周枠21のコーナ部に配されかつ内側に張り出したコーナープレート22と、外周枠21の枠材21Vから内側に張り出す取付プレート23とを含んで構成される。
本実施形態の外周枠21は、水平に配された上、下の枠材21U、21D及び、この上、下の枠材21U、21Dの左右の両端部間を繋ぎかつ垂直にのびる竪の枠材21V、21Vとを含む縦長の矩形状で構成される。隣り合う各枠材には、スリットが形成され、そこに板状のコーナープレート22が差し込まれかつ溶接により一体接合されている。
図8に示されるように、前記上の枠材21Uに固着されたコーナープレート22は、上部に突設されるとともに、梁(図示せず)等に挿通された取付ボルト等を挿入可能な透孔30が形成されている。また、下の枠材21Dに固着されたコーナープレート22には、耐力フレームの下部を土台ないし梁などに固着しうる取付台座31等が設けられている。
さらに、前記取付プレート23は、一方の竪の枠材21Vの略中間部に固着されている。
また、図9及び図10に示されるように、前記座屈拘束ブレース1は、その両端の取付端部7の隙間9にコーナープレート22及び取付プレート23が差し込まれ隅肉溶接部Jcによって外周枠21内に斜めに組み入れられる。この固着は、ブレース芯材2は、コーナープレート22及び取付プレート23のいずれにも接触させることなく行われる。また、本実施形態の座屈拘束ブレース1は、外周枠21に対して「く」字状に組み入れられるが、その形態は任意に変更できる。なお、第3の補剛材5の両端部には、U字状に切欠かかれた切欠き部25が形成され、プレート22及び23との干渉が防止される。ただし、第3の補剛材5の一端側のみプレート22又は23に溶接されるのは前述の通りである。
このような耐力フレーム20は、建築架構体(例えば家屋の上下の梁間等)に取り付けられることにより、水平耐力を負担して耐震強度を大幅に向上させることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形することができるのは言うまでもない。
図8の耐力フレームについて、水平引張・圧縮荷重を繰り返しかけたときの変形履歴を図11に示す。図11(a)は、図1の実施形態の座屈拘束ブレース(t=6mm)を用いた耐力フレーム、図11(b)は、図6の座屈拘束ブレース(t=4.5mm)を用いた耐力フレームの実験結果である。これらの実験結果から明らかなように、本実施形態の座屈拘束ブレースは、引張及び圧縮ともに対称的な変形を示するこが確認できる。また、(b)のものでは、ブレース芯材の厚さが小さいにも拘わらず、高い変形抵抗性を示すことが確認できる。
本発明の座屈拘束ブレースの一実施形態を示す斜視図である。 そのA−A端面図である。 そのB−B端面図である。 図1の側面図(一部断面)である。 ブレース芯材の局部座屈した状態を示す拡大側面図である。 本発明の他の実施形態を示す座屈拘束ブレースの斜視図である。 そのC−C端面図である。 本実施形態の座屈拘束ブレースを用いた耐力フレームの斜視図である。 その要部拡大図である。 (a)及び(b)は図8の要部拡大図である。 (a)及び(b)は本実施形態の座屈拘束ブレースを用いた耐力フレームの変形履歴を示すグラフである。
1 座屈拘束ブレース
2 ブレース芯材
3 第1の補剛材
4 第2の補剛材
5 第3の補剛材
6 溝型鋼
6a ウエブ
6b フランジ部
7 取付端部
10 点検孔
11 第4の補剛材
12 溝型鋼
12a ウエブ
12b フランジ部
20 耐力フレーム
21 外周枠
22 コーナープレート
23 取付プレート
U ブレース芯材の離間部分

Claims (7)

  1. 建築物の変形を抑制する座屈拘束ブレースであって、
    軸力を負担する長尺板状のブレース芯材と、
    このブレース芯材の長手方向の一端側に、溝部を該ブレース芯材の板面に向けて該ブレース芯材の両側面に溶接された一対の溝型鋼からなる第1の補剛材と、
    前記ブレース芯材の長手方向の他端側に、溝部を該ブレース芯材の板面に向けて該ブレース芯材の両側面に溶接されしかも前記第1の補剛材とは離間して設けられた一対の溝型鋼からなる第2の補剛材と、
    前記第1の補剛材及び第2の補剛材がともに挿入されるとともに両補剛材の相対曲げを防止する第3の補剛材とを少なくとも含み、かつ、
    前記第1の補剛材及び第2の補剛材は、前記ブレース芯材の両端部をそれぞれ外側に超えてのびる取付端部を有することを特徴とする座屈拘束ブレース。
  2. 前記取付端部は、前記一対の溝型鋼が前記ブレース芯材の厚さに等しい隙間を有して向き合う部分により形成される請求項1記載の座屈拘束ブレース。
  3. 前記第3の補剛材は、前記ブレース芯材と溝型鋼との溶接部を点検しうる点検孔を有する請求項1又は2記載の座屈拘束ブレース。
  4. 前記ブレース芯材の両側面において、第1の補剛材とブレース芯材とが囲む空間と、前記第2の補剛材とブレース芯材とが囲む空間との間をブレース芯材の長手方向に連続してのびる第4の補剛材をさらに含む請求項1乃至のいずれかに記載の座屈拘束ブレース。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の座屈拘束ブレースを斜材として用いたことを特徴とする耐力フレーム。
  6. 矩形状の外周枠と、この外周枠のコーナ部に配されかつ内側に張り出したコーナープレートと、外周枠の枠材から内側に張り出す取付プレートとを含み、
    前記座屈拘束ブレースは、ブレース芯材をコーナープレート及び取付プレートそれぞれに接触させることなくその両端の取付端部がコーナープレート及び取付プレートに溶接される請求項5記載の耐力フレーム。
  7. 前記第3の補剛材は、一端側のみがコーナープレート又は取付プレートに固着される請求項5又は6記載の耐力フレーム。
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