JPH11131861A - 制震装置 - Google Patents

制震装置

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JPH11131861A
JPH11131861A JP30132297A JP30132297A JPH11131861A JP H11131861 A JPH11131861 A JP H11131861A JP 30132297 A JP30132297 A JP 30132297A JP 30132297 A JP30132297 A JP 30132297A JP H11131861 A JPH11131861 A JP H11131861A
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stud
brace
damping device
vibration damping
beams
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Tomiaki Cho
富明 張
Yasuhisa Itakura
康久 板倉
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Matsumura Gumi Corp
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Matsumura Gumi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 建築構造物における上下の梁と両側の柱とで
構成される枠組に囲まれた領域に設けられた制震装置で
あって、地震にみまわれても建築構造物の主構造部分で
ある梁等の損傷を防止、又はその程度を軽減することが
できるとともに、従来のダンパーを採用した制震装置よ
りも地震エネルギーの吸収能力が大きく、建築構造物の
揺れや変形等の地震応答をそれだけ低減できる制震装置
を提供する。 【解決手段】 建築構造物BLにおける上下の梁1と両
側の柱2とで構成される枠組10に囲まれた領域3に設
けられた制震装置A或いはBであり、枠組10内で上下
の梁1の間に設けられた地震エネルギー吸収用ダンパー
である間柱4と、間柱4と枠組10とに渡し連結された
ブレース5或いはブレース6、7とを含む制震装置A或
いはB。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建築構造物の制震装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、建築構造物を地震から保護する様
々の装置が提案がなされている。その代表的なものは、
塑性変形して地震エネルギーを吸収できるダンパーを組
み込んだ制震装置である。例えば図6に示すように、上
下の梁91と両側の柱92とで構成される枠組90に囲
まれた領域900を有する建築構造物において、該領域
900における上下の梁91間に、強度と剛性が大きい
上下部材931、931に剪断型ダンパー932を直列
に接続してなる間柱タイプのダンパー93を設けてなる
制震装置が提案されている。また図7に示すように、同
様の領域900を有する建築構造物において、該領域9
00における片方の梁91に地震エネルギー吸収用ダン
パー(剪断型履歴ダンパー)95を突設し、そのダンパ
ー95にその領域に設置するブレース96、97を山形
状又は倒立山形状に接続してY形ダンパー構造を形成し
た制震装置も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図6や図7に示すタイ
プの制震装置以前のいわゆるK形ブレース構造や偏心K
形ブレース構造の耐震構造は、大地震時に主構造部分で
ある梁と柱の塑性変形を許容し、主に主構造部分の履歴
エネルギーによって地震エネルギーを吸収しようとする
もので、地震時に柱や梁が損傷することがある。主構造
部分である柱や梁が損傷すると、その後の修復がきわめ
て困難である。また、修復できてもそのコストが高くつ
く。
【0004】この点、図6に示す間柱タイプダンパーや
図7に示すY形ダンパー構造を採用した制震装置のよう
に地震エネルギー吸収ダンパーを採用した制震装置で
は、地震エネルギーが該ダンパーに吸収されるので、K
形ブレース構造や偏心K形ブレース構造の制震装置に比
べると、主構造部分である梁等の損傷が抑制され、従っ
てそれらの修復も容易である。
【0005】しかし、このようなダンパーを採用した制
震装置の制震性能は、建築構造物の中に含め得るダンパ
ーの容量、すなわち、構造物の中に配置されるダンパー
の数(これは構面の数に影響される)とダンパー単体の
容量によるところが大きく、そして多くの場合、ダンパ
ーを配置できる構面の数には制約があるため、制震効果
を十分に発揮させるには少ないダンパー数でダンパー単
体の容量を大きくしなければならないところ、既述の間
柱タイプダンパーやY形ダンパー構造では、ダンパーか
ら梁に作用する2次応力を考慮すると、ダンパー単体の
容量が制約されてしまい、十分な制震効果を発揮させる
ことができない。
【0006】そこで本発明は、建築構造物における上下
の梁と両側の柱とで構成される枠組に囲まれた領域に設
けられた制震装置であって、地震にみまわれても建築構
造物の主構造部分である梁等の損傷を防止、又はその程
度を軽減することができるとともに、従来のダンパーを
採用した制震装置よりも地震エネルギーの吸収能力が大
きく、建築構造物の揺れや変形等の地震応答をそれだけ
低減できる制震装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明は、建築構造物における上下の梁と両側の柱とで
構成される枠組に囲まれた領域に設けられた制震装置で
あり、前記枠組内で前記上下の梁の間に設けられた地震
エネルギー吸収用ダンパーである間柱と、前記間柱と前
記枠組とに渡し接続されたブレースとを含む制震装置を
提供する。
【0008】この制震装置はいわば、間柱タイプのダン
パーとブレースとを組み合わせたハイブリッドダンパー
構造を採用するものであり、従来の間柱型ダンパーを、
これにブレースを接続することで複数個分のダンパーと
して機能させ、それにより大きいダンパー容量を得て地
震エネルギーの吸収能力を大きくし、建築構造物の揺れ
や変形等の地震応答を十分に低減しようとするものであ
る。
【0009】本発明に係る制震装置はそれに採用される
ブレースによって種々の態様をとることができ、それに
は限定されないが、次の(1)及び(2)のものを代表
例として挙げることができる。 (1)前記ブレースが前記間柱の両側にそれぞれ配置さ
れており、該各ブレースは、二つの山形ブレース部材を
それらの頂部で互いに回動可能に連結したものであり、
一方の山形ブレース部材の二つの脚部のうち一方の脚部
の端部は前記上側の梁の端部及び(又は)該梁端部とと
もに梁と柱の交差部位を形成する柱上端部に接続されて
おり、他方の脚部の端部は前記下側の梁の端部及び(又
は)該梁端部とともに梁と柱の交差部位を形成する柱下
端部に接続されており、他方の山形ブレース部材の二つ
脚部の端部は前記間柱の中間部位に接続されている制震
装置。
【0010】上記(1)項記載の制震装置では、普通に
は、間柱両側のブレースの該間柱への接続は該間柱の同
じ部位に対して行い、該両ブレースを該間柱を間にして
左右対称に配置すればよい。また、普通には間柱両側に
それぞれ配置された各ブレースを、正常時においてはそ
れを構成している前記二つの山形ブレース部材の回動連
結点でX字状に交差する2本のロッド状部材からなるご
とき様子を示すように配置すればよい。 (2)前記ブレースが前記間柱の両側にそれぞれ少なく
とも一本ずつ配置されており、各ブレースは一方の端部
が前記間柱の中間部位に、他方の端部が前記上下の梁の
うち片方の梁の端部及び(又は)該梁端部とともに梁と
柱の交差部位を形成する柱端部にそれぞれ接続されてい
る制震装置。
【0011】上記(2)項記載の制震装置は、さらに具
体例として、前記ブレースが前記間柱の両側に二本ずつ
配置されており、該間柱両側のそれぞれにおける前記二
本のブレースのうち一方のブレースはその一方の端部が
前記間柱の中間部位に、他方の端部が前記上側の梁の端
部及び(又は)該梁端部とともに梁と柱の交差部位を形
成する柱上端部にそれぞれ接続されており、他方のブレ
ースは前記一方のブレースに交差姿勢をとるように配置
され、その一方の端部は前記間柱の中間部位に、他方の
端部は前記下側の梁の端部及び(又は)該梁端部ととも
に梁と柱の交差部位を形成する柱下端部にそれぞれ接続
されており、前記二本のブレースはそれらの交差部位に
おいて互いに相手の動作を拘束しない非連結状態に配置
されている制震装置を挙げることができる。
【0012】この制震装置でも、普通には、間柱両側の
ブレースの該間柱への接続は該間柱の同じ部位に対して
行い、該両側のブレースを該間柱を間にして左右対称に
配置すればよい。また、前記のいずれのタイプの制震装
置の場合でも、これが採用される前記建築構造物は、そ
れには限定されないが、代表例として鉄骨梁を有する建
築構造物、すなわち、a)鉄骨構造、b)梁が鉄骨製で
柱が鉄筋コンクリート構造の混合構造、c)梁が鉄骨製
で柱がコンクリート充填鉄骨柱のCFT構造等の建築構
造物を挙げることができ、このような鉄骨梁を有する建
築構造物に好適である。建築構造物が鉄骨梁を有する建
築構造物であるとき、本発明に係る制震装置を設ける領
域を提供する前記枠組の上下の梁は鉄骨梁となる。
【0013】また、前記のいずれのタイプの制震装置の
場合でも、前記間柱は地震エネルギーをその塑性変形に
よって吸収できる部材であり、各種材質、形態のものが
考えられるが、材質面から言えば、少なくとも一部が地
震エネルギー吸収のために塑性変形可能の低降伏点鋼
(狭義の低降伏点鋼や極低降伏点鋼)から形成されてい
るものを例示できる。また、形態も含めて言えば、前記
両側の柱間方向に幅を有する、地震エネルギー吸収のた
めに剪断変形可能の帯状部分を含んでおり、少なくとも
該帯状部分が前記低降伏点鋼(狭義の低降伏点鋼や極低
降伏点鋼)から形成されている間柱を例示できる。さら
に具体的には、前記上下の梁間に延びる断面H形の鋼材
からなり、少なくとも該H形鋼のウエブは、前記両側の
柱間方向に幅を有し、低降伏点鋼(狭義の低降伏点鋼や
極低降伏点鋼)から形成されている間柱を例示できる。
【0014】前記低降伏点鋼とは、極軟鋼とも称されて
いるもので、炭素などの添加元素を極力少なくした純粋
な鉄に近い鋼材で、降伏点が普通鋼材に比べて低いが、
伸びが大きいものであり、このような低降伏点鋼は大手
鉄鋼メーカーから市販されている。本発明制震装置を設
けた建築構造物では、地震時、地震エネルギーにより建
築構造物には揺れが発生したり、層間変形等の変形が発
生しようとするが、本発明制震装置を設けた部分ではブ
レースがその揺れや、層間変形等を抑制するように働
き、さらに大きい地震エネルギーが加わるとブレースの
軸力がダンパーである間柱に伝達され、それにより間柱
が地震エネルギーの一部を吸収するように塑性変形し始
め、さらにはブレースの交番繰り返し圧縮と引っ張りに
よって間柱に加わる力と塑性変形の履歴が生じ、この履
歴エネルギーによって地震エネルギーが吸収される。
【0015】また、これらにより、建築構造物の揺れや
変形等の地震応答をそれだけ低減できる。さらに、かか
る間柱による地震エネルギーの吸収により鉄骨梁等の主
構造部分の損傷は抑制され、地震後の建築構造物の修復
は主として間柱部分で済むようになり、それだけ容易
に、安価に修復を行える。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。図1(A)は本発明の1実施形態で
ある制震装置を備えた建築構造物の一部の概略構造を示
す図である。この建築構造物BLは上下の鉄骨梁1及び
両側の柱2を備えており、これら梁及び柱で枠組10が
形成されている。上下の鉄骨梁1及び両側の柱2で囲ま
れた領域、すなわち枠組10内の領域3には制震装置A
が設けられている。鉄骨梁1の両端はここでは柱2と接
合されている。
【0017】この制震装置Aは、いわば間柱タイプのダ
ンパーとブレースとを組み合わせたハイブリッドダンパ
ー構造を採用するものであり、両側の柱2間の中央部に
おいて上下端が上下の鉄骨梁1、1に接続固定された間
柱4と該間柱の両側にそれぞれ配置されたブレース5と
を含んでいる。各ブレース5は一方で間柱4に接続固定
され、他方で枠組10に接続固定されている。
【0018】さらに説明すると、まず間柱4は、図1
(A)に示すように、上下の梁1、1間に延び、該梁に
垂直な、断面H形の鋼材からなり、図1(B)に示すよ
うに該H形鋼のウエブ41は、厚さtで両側の柱2、2
間方向αに幅Wを有する帯板部材の形態をしており、両
鉄骨梁1に垂直に配置されている。ウエブ41は低降伏
点鋼(狭義の低降伏点鋼又は極低降伏点鋼)から形成さ
れており、該H形鋼の各フランジ42は溶接構造用鋼材
(SM490)から形成されている。すなわち、この間
柱4はウエブ41が低降伏点鋼から形成されていること
で、地震エネルギー吸収用のダンパーとして機能する。
【0019】間柱4両側のブレースは同じ構造、材質の
もので、各ブレース5は、山形に屈曲した山形ブレース
部材51、52をそれらの頂部でピン50にて互いに回
動可能に連結したものである。各ブレース5において、
一方の山形ブレース部材51は二つの脚部511、51
2を有している。ここでは両脚部511、512の長さ
は等しい。一方の脚部511の端部511aは上側の梁
1の端部11及び該梁端部とともに梁1と柱2の上側交
差部位501を形成する柱上端部21に(ここでは丁度
梁1と柱2の上側交差部位501に)接続固定されてい
る。他方の脚部512の端部512aは下側の梁1の端
部12及び該梁端部とともに梁1と柱2の下側交差部位
502を形成する柱下端部22に(ここでは丁度梁1と
柱2の下側交差部位502に)接続固定されている。な
お、ここで言う柱の上端部、下端部や、梁と柱の上側交
差部位、下側交差部位とは、一つの枠組10内での上下
を考慮しての表現であり、特許請求の範囲や以後の説明
においてもこの点は同様である。
【0020】他方の山形ブレース部材52も二つの脚部
521、522を有している。ここではこれら脚部52
1、522の長さは等しい。脚部521、522は、そ
れらの端部521a、522aが間柱4の中間部位に上
下に接続固定されている。また間柱4の両側に配置され
た山形ブレース部材52、52は間柱4の同じ中間部位
に接続固定されている。
【0021】さらに、図1(A)に示すように、山形ブ
レース部材51と52において、山形ブレース部材51
の上側脚部511と山形ブレース部材52の下側脚部5
22は前記のピン50を途中に配置した一本の真っ直ぐ
なロッド部材様に配置されるとともに、山形ブレース部
材51の下側脚部512と山形ブレース部材52の上側
脚部521は前記のピン50を途中に配置した一本の真
っ直ぐなロッド部材様に配置される。
【0022】これらにより、正常時には間柱4の両側に
おけるブレース5、5は間柱4を間にして左右対称に配
置され、各ブレース5は、二つの山形ブレース部材5
1、52のピン50による回動連結点でX字状に交差す
る2本のロッド状部材からなるごとき様子を示す。そし
て間柱4はこれに対するブレース5、5の接続により3
個分の剪断形履歴ダンパーとして機能させることがで
き、ブレース5、5を採用せず間柱4のみを採用する場
合に比べて、同じ間柱4をもって大きいダンパー容量が
得られている。
【0023】なお、ブレース5は間柱4に対し十分な強
度と剛性を有するように形成されており、大地震時でも
その変形は間柱4の変形に比べて無視できるほど小さい
ようにしてある。図2は大地震時における制震装置Aの
間柱4等の変形例を概略的に示している。図2に示すよ
うに、建築構造物BLの層間変形をδとすれば、ブレー
ス5によって分割された間柱4の3区間4a、4b、4
cのそれぞれの剪断変形もδに等しくなる。
【0024】また、図3は図2に示す間柱4等の挙動を
説明する応力図である。ブレース5を構成している山形
ブレース部材51、52をピン50で相対的に回動可能
に連結していることで、ブレース5の各部には軸方向力
のみが生じる。図3に示すようにブレース5の山形ブレ
ース部材51の脚部511、512それぞれの梁1に対
する傾きをθとし、間柱4の剪断力を dQとすれば、ブ
レース5に生じる圧縮力Cと引張力T、さらに図3に示
す曲げモーメント dMと bMは次のようになる。
C=T= dQ/ cosθd M= dQ・h0/6(但し、h0 は間柱4の高さ)b M= dQ(h0/6 +Db / 2)(但し、Db は梁1
の高さ) 間柱4によって生じる層剪断力Qは、仮想仕事法によ
り、次のように求められる。
【0025】Q・δ=3× dQ・δ Q=3× dQ すなわち間柱4の三つの区間4a、4b、4cはあたか
も並列されたかのように外力に抵抗する。すなわち、こ
こでは間柱4の三つの区間を剪断降伏型に設計すること
で間柱4に3個分の剪断型履歴ダンパーとしての機能を
持たせている。
【0026】しかも梁1に作用する2次応力(負荷応
力) bMは従来のY形ダンパー構造や間柱タイプのダン
パーよりも小さいか、又は同等であり、これらにより間
柱4は大容量のダンパーとして効果的に制震効果を発揮
することができる。既述のとおり間柱4はH形鋼からな
っており、その断面は剪断力 dQによる曲げモーメント
dMに対し十分な曲げ強度を持たせてあり、剪断型の挙
動を示し、H形鋼のウエブ41の繰り返し剪断による履
歴エネルギーで地震エネルギーを吸収することができ
る。
【0027】いわばハイブリッドダンパーを採用してい
る制震装置Aの主な性能は、ダンパー容量と変形能にあ
るが、間柱4として採用するH形鋼のウエブ41で決ま
る間柱4の降伏剪断力を dy とすると、ダンパー容量
は3× dy となり、変形能については、主に間柱4の
各区間4a、4b、4cの長さ(ここでは図3に示すよ
うにh0 /3)とH形鋼のウエブ41の幅厚比(幅W/
厚さt)(図1(B)参照)並びに材質で決まる。従っ
て、H形鋼の材質については、ここでは既述のとおり低
降伏点鋼を採用しているが、それに限定されるものでは
なく、変形能が要求を満たすものであれば特に限定はな
い。大きい変形能を要求するときは、ウエブが塑性変形
に富む低降伏点鋼や極低降伏点鋼からなるものを採用す
ればよい。
【0028】この制震装置Aによると、これを設けた建
築構造物BLにおいて、地震時、地震エネルギーにより
建築構造物には揺れが発生したり、層間変形等の変形が
発生しようとするが、制震装置Aを設けた部分ではブレ
ース5、5が間柱4とともに層間変形等を抑制するよう
に働き、さらに大きい地震エネルギーが加わるとブレー
ス5、5における前記各脚部の軸力が間柱4に伝達さ
れ、それによりダンパー機能を有する間柱4が地震エネ
ルギーの一部を吸収するように剪断変形し始め、さらに
はブレース5、5の交番繰り返し圧縮と引っ張りによっ
て間柱4の剪断力と剪断変形の履歴が生じ、この履歴エ
ネルギーによって大きい地震エネルギーが吸収される。
【0029】また、これらにより、建築構造物BLの揺
れや変形等の地震応答をそれだけ低減できる。さらに、
かかる間柱4による地震エネルギーの吸収により鉄骨梁
1や柱2等の主構造部分の損傷は抑制され、地震後の建
築構造物BLの修復は主として該間柱4部分で済むよう
になり、それだけ容易に、安価に修復を行える。
【0030】間柱4についてさらに説明すると、これは
既述のとおりウエブ41が低降伏点鋼からなるH形鋼材
からなっており、剪断降伏型になるように設計されてい
るので、間柱4の全長にわたって均一的に変形し、大き
い変形能力とエネルギー吸収能力を発揮する。また、低
降伏点鋼のウエブ41を用いているので、小さい層間変
形で間柱4が降伏し始め、早期に地震エネルギーを吸収
し始めるとともに、これによっても大きい地震エネルギ
ー吸収能力を発揮する。
【0031】図4(A)は本発明に係る制震装置の他の
例を示している。図4(A)に示す制震装置Bは図1
(A)に示す制震装置Aと同様に、上下の鉄骨梁1及び
両側の柱2からなる枠組10を含む建築構造物BLの該
枠組10内の領域3に設けられている。この制震装置B
は、両側の柱2間の中央部において上下端が上下の鉄骨
梁1、1に接続固定された間柱4と該間柱の両側にそれ
ぞれ二本ずつ配置されたブレース6、7とを含んでい
る。
【0032】間柱4は前記制震装置Aにおいて採用した
間柱4と同じ構造材質のものであり、制震装置Aの場合
と同様に上下の梁1、1間に設けられ、地震エネルギー
吸収用ダンパーとして機能する。ブレース6、7は長さ
が等しく、それぞれは、一方で間柱4に接続固定され、
他方で枠組10に接続固定されている。
【0033】さらに説明すると、一方のブレース6は一
方の端部61が間柱4の中間部位に、他方の端部62が
上側の梁1の端部11及び該梁端部とともに梁1と柱2
の上側交差部位501を形成する柱上端部21に(ここ
では丁度梁1と柱2の上側交差部位501に)それぞれ
接続固定されており、他方のブレース7はブレース6に
対して交差姿勢をとるように配置され、その一方の端部
71は間柱4の中間部位であって前記一方のブレース6
の端部61より上方部位に接続固定されており、他方の
端部72は下側の梁1の端部12及び該梁端部とともに
梁1と柱2の下側交差部位502を形成する柱下端部2
2に(ここでは丁度梁1と柱2の下側交差部位502
に)接続固定されている。
【0034】二本一組のブレース6、7は両者の交差部
位60において互いに相手の動作を拘束しない非連結状
態に置かれている。すなわち、図4(B)に示すよう
に、ブレース7は、背面を互いに対向させた一対の平行
配置の溝型鋼701と、同じく背面を互いに対向させた
一対の平行配置の溝型鋼702を間隔をあけて直列に配
置し、それら各対の溝型鋼701、702を向かい合っ
ている溝型鋼背面間に挿入した鋼板703を用いて互い
に接続連結することで形成したものである。該鋼板70
3は両ブレース6、7の交差部位60に相当する位置に
ある。そしてブレース6は背面を互いに対向させた一対
の平行配置の連続する溝型鋼601からなっており、該
一対の溝型鋼601は鋼板703の両側に位置するよう
にして交差部位60を通過するように配置されている。
かくしてブレース6、7は両者の交差部位60において
互いに相手の動作を拘束しない非連結状態に置かれてい
る。鋼板703を含むブレース7は構面外への剛性が弱
く座屈しやすいが、ブレース交差部位60においてブレ
ース6を構成している一対の溝型鋼601により挟まれ
ているので圧縮ブレースとして設計することができる。
【0035】また間柱4の両側に配置されたブレース
6、7は間柱4の同じ中間部位に接続固定されており、
正常時には間柱4の両側におけるブレース6、7は間柱
4を間にして左右対称に配置される。そして間柱4は、
これに対するブレース(6、7)、(6、7)の接続により3個
分の剪断形履歴ダンパーとして機能させることができ、
ブレース6、7を採用せず間柱4のみを採用する場合に
比べて、同じ間柱4をもって大きいダンパー容量が得ら
れている。
【0036】図5は大地震における制震装置Bの間柱4
等の変形例を概略的に示している。この図から分かるよ
うに、この制震装置Bにおいても制震装置Aと同様に間
柱4の3区間4a、4b、4cの剪断変形は層間変形δ
に等しい。また、応力状態も図3に示すと同様に表現で
き、間柱4が三つの剪断型ダンパーとして機能する。従
って制震装置Bによっても、前記制震装置Aと同様の効
果が得られる。
【0037】また、この制震装置Bは構造が簡単であ
り、それだけコスト安に提供できる。本発明の制震装置
は、建築構造物の各層に設けることができるが、場合に
よっては、低層階部分にだけ設けてもよい。このような
場合、降伏剪断力とエネルギー吸収能力の大きい間柱ダ
ンパーが要求されることも考えられるが、本発明の制震
装置における間柱は容易にこの要求に応えることができ
る。すなわち、制震装置AやBに例示するように、間柱
ダンパーをブレースによって幾つかの剪断履歴ダンパー
に区切り、それらが直列に配置された形をとることで、
幾つかの剪断履歴ダンパーを並列に配置したと同じ状態
となり、間柱の負担剪断力は間柱断面剪断力の数倍にも
達し、従って、大きい容量(剪断力及びエネルギー吸収
能)を持つ間柱ダンパー、或いはそのために断面が小さ
く済む間柱ダンパーを達成できる。
【0038】また以上説明した制震装置A、B等の本発
明に係る制震装置は、既存の建築構造物の耐震補強にも
応用できる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、建
築構造物における上下の梁と両側の柱とで構成される枠
組に囲まれた領域に設けられた制震装置であって、地震
にみまわれても建築構造物の主構造部分である梁等の損
傷を防止、又はその程度を軽減することができるととも
に、従来のダンパーを採用した制震装置よりも地震エネ
ルギーの吸収能力が大きく、建築構造物の揺れや変形等
の地震応答をそれだけ低減できる制震装置を提供するこ
とができる。
【0040】また、本発明によると、既存の建築構造物
の耐震補強にも応用できる制震装置を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(A)は本発明に係る制震装置の1例の概略
構成を示す側面図であり、図(B)は間柱の図(A)に
示すX−X線に沿う断面図である。
【図2】図1(A)に示す制震装置における間柱等の大
地震時の変形例を概略的に示す図である。
【図3】図2に示す間柱等の挙動を説明する応力図であ
る。
【図4】図(A)は本発明に係る制震装置の他の例の概
略構成を示す側面図であり、図4(B)はブレース構造
を示す斜視図である。
【図5】図4(A)に示す制震装置における間柱等の大
地震時の変形例を概略的に示す図である。
【図6】従来の間柱タイプダンパーによる制震装置を示
す図である。
【図7】従来のY形ブレース構造を示す図である。
【符号の説明】
A 制震装置 BL 建築構造物 10 枠組 1 鉄骨梁 11、12 梁1の端部 2 柱 21 柱2の上端部 22 柱2の下端部 3 制震装置が設けられる領域 501 梁1と柱2の上側交差部 502 梁1と柱2の下側交差部 4 間柱 41 間柱4のウエブ 42 間柱4のフランジ 4a、4b、4c 間柱4の3分割部分 5 ブレース 51、52 ブレース5を構成する山形ブレース部材 511、512 山形ブレース部材51の脚部 511a、512a 脚部の端部 521、522 山形ブレース部材52の脚部 521a、522a 脚部の端部 50 ピン 6、7 ブレース 61、62 ブレース6の端部 601 溝型鋼 71、72 ブレース7の端部 701、702 溝型鋼 703 鋼板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築構造物における上下の梁と両側の柱
    とで構成される枠組に囲まれた領域に設けられた制震装
    置であり、前記枠組内で前記上下の梁の間に設けられた
    地震エネルギー吸収用ダンパーである間柱と、前記間柱
    と前記枠組とに渡し接続されたブレースとを含む制震装
    置。
  2. 【請求項2】 前記ブレースは前記間柱の両側にそれぞ
    れ配置されており、該各ブレースは、二つの山形ブレー
    ス部材をそれらの頂部で互いに回動可能に連結したもの
    であり、一方の山形ブレース部材の二つの脚部のうち一
    方の脚部の端部は前記上側の梁の端部及び(又は)該梁
    端部とともに梁と柱の交差部位を形成する柱上端部に接
    続されており、他方の脚部の端部は前記下側の梁の端部
    及び(又は)該梁端部とともに梁と柱の交差部位を形成
    する柱下端部に接続されており、他方の山形ブレース部
    材の二つ脚部の端部は前記間柱の中間部位に接続されて
    いる請求項1記載の制震装置。
  3. 【請求項3】 前記ブレースは前記間柱の両側にそれぞ
    れ少なくとも一本ずつ配置されており、各ブレースは一
    方の端部が前記間柱の中間部位に、他方の端部が前記上
    下の梁のうち片方の梁の端部及び(又は)該梁端部とと
    もに梁と柱の交差部位を形成する柱端部にそれぞれ接続
    されている請求項1記載の制震装置。
  4. 【請求項4】 前記ブレースは前記間柱の両側に二本ず
    つ配置されており、該間柱両側のそれぞれにおける前記
    二本のブレースのうち一方のブレースはその一方の端部
    が前記間柱の中間部位に、他方の端部が前記上側の梁の
    端部及び(又は)該梁端部とともに梁と柱の交差部位を
    形成する柱上端部にそれぞれ接続されており、他方のブ
    レースは前記一方のブレースに交差姿勢をとるように配
    置され、その一方の端部は前記間柱の中間部位に、他方
    の端部は前記下側の梁の端部及び(又は)該梁端部とと
    もに梁と柱の交差部位を形成する柱下端部にそれぞれ接
    続されており、二本のブレースはそれらの交差部位にお
    いて互いに相手の動作を拘束しない非連結状態に配置さ
    れている請求項1記載の制震装置。
  5. 【請求項5】 前記間柱は、少なくとも一部が地震エネ
    ルギー吸収のために塑性変形可能の低降伏点鋼から形成
    されている請求項1から4のいずれかに記載の制震装
    置。
  6. 【請求項6】 前記間柱は、前記両側の柱間方向に幅を
    有する、地震エネルギー吸収のために剪断変形可能の帯
    状部分を含んでおり、少なくとも該帯状部分が前記低降
    伏点鋼から形成されている請求項5記載の制震装置。
  7. 【請求項7】 前記間柱は、前記上下の梁間に延びる断
    面H形の鋼材からなり、少なくとも該H形鋼のウエブ
    は、前記両側の柱間方向に幅を有し、低降伏点鋼から形
    成されている請求項1から4のいずれかに記載の制震装
    置。
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