JP2000104338A - ボルト接合部の制振構造 - Google Patents

ボルト接合部の制振構造

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JP2000104338A JP10371016A JP37101698A JP2000104338A JP 2000104338 A JP2000104338 A JP 2000104338A JP 10371016 A JP10371016 A JP 10371016A JP 37101698 A JP37101698 A JP 37101698A JP 2000104338 A JP2000104338 A JP 2000104338A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外板と中板とが繰り返して滑りを生じた場合
にも、常にほぼ一定した摩擦抵抗力を発生させて、安定
した減衰力特性を得ることができるボルト接合部の制振
構造を提供する。 【解決手段】 一方の鉄骨部材から突設した外板10,
12と、他方の鉄骨部材から突設した中板14とを互い
に重合するとともに、高力ボルト16を貫通してナット
18締めしてボルトに軸力Nを発生させる。中板14の
ボルト挿通孔14aを長孔として、外板10,12と中
板14との相対移動を許容する。外板10,12と中板
14の両面との間に、複合摩擦材料で形成され摺接面に
溝21を有する摩擦板22を介在する。摩擦板22を、
熱硬化型樹脂を結合材として、繊維材料と、摩擦調整材
と、充填剤とからなる複合摩擦材料で形成する。さら
に、外板10,12と摩擦板22と中板とを押圧する付
勢手段として皿ばね30を設け、摩擦力の安定を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物架構を構成す
る各鉄骨部材を結合する際に用いられるボルト接合部に
適用して、地震や強風等により発生する建物架構の振動
を効果的に制振するようにしたボルト接合部の制振構造
に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄骨柱および鉄骨梁を互いに結合して構
成される建物架構は一般に多層階ビルディングに適用さ
れ、この鉄骨構造の建物架構ではブレースが地震や風等
の水平力に対する抵抗要素として用いられる。これら鉄
骨柱や鉄骨梁およびブレースなどの鉄骨部材は、溶接や
ボルトを介して接合してラーメン架構が構成されるが、
特にボルト接合した場合には、大地震や強風などによっ
て過大な水平力が作用すると、剛結構造となるラーメン
架構にあっても接合した2部材の接合部分にズレを生ず
る。すると、このズレによって大きな摩擦抵抗力が発生
され、この摩擦抵抗力によって上記地震や風による振動
エネルギーが消耗されて、建物架構の制振機能が発揮さ
れる。
【0003】図11は上記ボルト接合部の一例を示し、
互いに接合しようとする一方の鉄骨部材から一体に一対
の外板1,1aが突設されているとともに、他方の鉄骨
部材から一体に中板2が突設されており、一対の外板
1,1a間に中板2を挟み込み、これら外板1,1aと
中板2とをボルト3で貫通してナット3a締めされる。
中板2のボルト挿通孔は長孔4として形成され、引っ張
り方向あるいは圧縮方向に過大な相対変位力Pが入力さ
れた場合には外板1,1aと中板2との相対移動が許容
される。この相対移動時に発生される上記摩擦抵抗力R
は、ボルト3の軸力Nと、外板1,1aと中板2との接
触面の摩擦係数μとの積、R=μ・Nによって決定され
る。尚、軸力Nはナット3aの締付け力によって調節さ
れ、また、摩擦係数μは外板1,1aと中板2との接触
面の表面粗さによって調節される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のボ
ルト接合部の制振構造にあっては、ボルト3の軸力N
は、単にナット3aの締付け力により発生され、この軸
力Nが直接外板1,1a間の締付け力として作用するよ
うになっている。このため、所定の摩擦抵抗力Rを発生
させるためにはナット3aの締付け力調整が難しくな
り、また、一旦締付け力を付加した場合にあっても、外
板1,1aと中板2とが幾度と無く滑りを生ずると、双
方の滑動面が摩耗して摩擦係数μが徐々に小さくなって
しまうとともに、摩耗された分だけ上記ナット3aによ
る締付け力が減少し、延いては、ボルト3の軸力Nが小
さくなってしまう。
【0005】このことにより、予め設定した摩擦抵抗力
R(=μ・N)が、μとNとの双方の減少により大きく
変動して、当初の制振効果が得られなくなってしまうと
いう課題があった。
【0006】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て成されたものであり、外板と中板とが繰り返して滑り
を生じた場合にも、常にほぼ一定した摩擦抵抗力を発生
させて、安定した制振効果を得ることができるボルト接
合部の制振構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の請求項1に示すボルト接合部の制振構造に
あっては、互いに接合しようとする2つの鉄骨部材のう
ち、一方の鉄骨部材から第1圧接板を、かつ、他方の鉄
骨部材から第2圧接板をそれぞれ一体に突設し、これら
第1,第2圧接板を互いに重合するとともに、両圧接板
間に相対移動を可能にしてボルト軸力を付加し、両圧接
板間に入力される所定値以上の振動変位力によりこれら
両者の相対移動が許容され、このときに発生する摩擦抵
抗力によって、上記2つの鉄骨部材間を制振するように
したボルト接合部の制振構造において、上記第1圧接板
と上記第2圧接板との間に、複合摩擦材料で形成される
摩擦板を介在させ、該摩擦板は、熱硬化型樹脂を結合材
として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カ
ーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシ
ューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームな
どの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成する。
【0008】また、本発明の請求項2に示すボルト接合
部の制振構造にあっては、上記第1圧接板と上記第2圧
接板との重合部分に上記ボルト軸力を付加する経路に、
ボルトの軸方向変位に対して弾発力の変動が略一定とな
る非線形ばね領域を備えた付勢手段を介在し、該ボルト
に所定の軸力を発生させた状態で、該付勢手段が上記非
線形ばね領域内でたわみ変形するように設定する。
【0009】更に、本発明の請求項3に示すボルト接合
部の制振構造にあっては、上記第1圧接板をボルト軸力
の作用方向に対峙する一対の外板で形成するとともに、
上記第2圧接板を上記一対の外板間に挟み込まれる中板
で形成し、該中板のボルト挿通孔を長孔とする。
【0010】また、本発明の請求項4に示すボルト接合
部の制振構造にあっては、上記摩擦板がその摩擦抵抗力
発生面に、摩擦熱を放散するとともに摩耗粉を取り込む
凹部を有する摩擦板とする。
【0011】以上の構成により本発明のボルト接合部の
制振構造の作用を以下述べると、請求項1では、一方の
鉄骨部材から突設した第1圧接板と、他方の鉄骨部材か
ら突設した第2圧接板とを相対移動可能に重合してボル
ト軸力を付加したので、振動入力時にこれら第1,第2
圧接板の相対移動によって発生する摩擦抵抗力によって
制振機能が発揮される。このとき、第1圧接板と第2圧
接板との間に、複合摩擦材料で形成される摩擦板を介在
したので、これら第1,第2圧接板は直接接触すること
なく、それぞれが摩擦板と接触されることになる。
【0012】ここで、該摩擦板は熱硬化型樹脂を結合材
として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カ
ーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシ
ューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームな
どの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成されるので、
該摩擦板を、一定の摩擦係数を有する摩耗の著しく少な
い部材として形成することができる。従って、第1圧接
板と第2圧接板とが相対移動された際にも、これら第
1,第2圧接板と摩擦板との間の摩擦係数は常時ほぼ一
定に維持され、音の発生もなく滑らかに滑るようにな
り、しかも滑動部分の摩耗がほとんどないためボルトの
軸力もほぼ一定に維持される。
【0013】このため、上記第1,第2圧接板間の相対
移動部分に発生する、上記摩擦係数と上記軸力との積と
して得られる摩擦抵抗力をほぼ一定に維持することがで
きる。従って、2つの鉄骨部材間の減衰力特性が安定化
され、延いては、当初設定した制振機能を長期に亘って
維持することができる。
【0014】また、請求項2では、上記第1圧接板と上
記第2圧接板との重合部分に上記ボルト軸力を付加する
経路に、ボルトの軸方向変位に対して弾発力の変動が略
一定となる非線形ばね領域を備えた付勢手段を介在し、
該ボルトに所定の軸力を発生させた状態で、該付勢手段
が上記非線形ばね領域内でたわみ変形するように設定し
たので、第1,第2圧接板間の隙間の変動を上記付勢手
段によって吸収することができ、このときの変動吸収に
よって付勢手段のたわみ量が変化した場合にあっても、
該付勢手段が非線形ばね領域内に設定されているため、
弾発力つまりボルトの軸力をほぼ一定に維持することが
できる。
【0015】つまり、振動入力が無い状態では上記第1
圧接板と第2圧接板とは大きな静摩擦力をもって固定状
態が維持されるが、所定値以上の振動変位力の入力によ
りこの固定状態から小さな動摩擦力を伴う相対移動状態
に移行する際に、それぞれの接触面間に大きな反発力が
発生し、これが大きな音や衝撃として現れるが、このと
きの反発力を上記付勢手段によりボルト軸力を変化する
ことなく吸収できる。従って、皿ばねを入れることによ
り緩衝作用が生じ、過大振動力が入力された場合にも、
音や衝撃の発生を抑制しつつ制振機能を十分に発揮する
ことができる。
【0016】また、上記付勢手段は、第1,第2圧接板
が相対移動する際の滑動面に摩耗が生じた場合にも、そ
の弾発力がほぼ一定に維持されるため、摩擦抵抗力が低
下するのを防止し得、当初の制振機能が永続して発揮さ
れることになる。
【0017】更に、請求項3では、上記第1圧接板をボ
ルト軸力の作用方向に対峙する一対の外板で形成すると
ともに、上記第2圧接板を上記一対の外板間に挟み込ま
れる中板で形成し、該中板のボルト挿通孔を長孔とした
ので、2つの鉄骨部材間に相対変位力が入力された際
に、一対の外板間に中板が挟まれた状態で相対移動する
ため、一対の外板間にボルトの軸力つまり締付け力を付
加した状態で両者が滑動する際に、ボルトが傾斜されて
こじれを生ずることなくスムーズに相対移動することが
できる。
【0018】また、請求項4では、上記摩擦板がその摩
擦抵抗力発生面に、摩擦熱を放散するとともに摩耗粉を
取り込む凹部を有しているので、摩擦ダンパ作動時に、
前記凹部内の空気への摩擦熱の放散により、摩擦板の表
面温度の上昇を防止し、摩擦板表面の炭化、脱落による
摩耗粉の発生を防止できる。また、摩耗粉が発生しても
凹部に取り込まれ、摩擦板と圧接板間の摩耗粉の滞留を
防止できる。このため、圧接板が傷つき難くなるととも
に、摩耗粉の転がり滑りも生じ難くなり、摩擦板と圧接
板間の摩擦抵抗力を一定に維持することができ、安定し
た制振効果を得ることが可能となる。更には、摩耗粉の
滞留を防止できるので、摩擦板および圧接板との摺動面
から、摩耗粉の噛込等に起因した異音が発生することを
防止でき、制振時の騒音を著く低減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照しつつ詳細に説明する。図1,図2は本発明に
かかるボルト接合部の制振構造の一実施形態を示し、図
1は要部の断面図、図2は要部の平面図である。
【0020】即ち、本発明の制振構造が適用されるボル
ト接合部は、図1に示すように第1圧接板としての上下
一対の外板10,12と、該一対の外板10,12間に
挟み込まれる第2圧接板としての中板14とを備える。
上記外板10,12および上記中板14は、建物架構に
あって、互いに接合される鉄骨部材の一方および他方か
らそれぞれ一体に突設される。
【0021】上記鉄骨部材としては鉄骨柱や鉄骨梁、更
にはブレースなどがあり、垂直配置される鉄骨柱と水平
配置される鉄骨梁とを、六面体の各辺を構成するように
互いに接合して建物架構が構成される。上記ブレースは
傾斜部分を備え、互いに隣設される鉄骨柱と鉄骨梁との
間、または対向する上下鉄骨梁間に跨って接合される。
なお、本発明のボルト接合部の制振構造を適用する箇所
としての上記鉄骨柱と鉄骨梁との接合部構造の具体例、
並びにブレース構造の具体例については、後に詳述す
る。
【0022】上記外板10,12および上記中板14は
互いに重合させた状態で、それぞれに形成したボルト挿
通孔10a,12a,14aに高力ボルト16を貫通さ
せて、ナット18締めするようになっている。このナッ
ト18の締付けによりボルトの軸力Nが発生し、この軸
力Nはワッシャ20,20aを介して上記外板10,1
2に伝達され、中板14の挟み込み力として作用する。
上記中板14のボルト挿通孔14aは、図2に示すよう
に外板10,12と中板14の延設方向に長軸となる長
孔として形成され、この長孔となったボルト挿通孔14
aの長軸方向に外板10,12と中板14とは相対移動
が許容される。
【0023】ここで、本実施形態では上記一対の外板1
0,12と上記中板14の両面との間に、複合摩擦材料
で形成され、中板14との摺接面側に複数の溝21を有
する摩擦板22をそれぞれ介在する。この摩擦板22
は、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラ
ス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベス
トなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調
整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩
擦材料で形成される。上記熱硬化型樹脂としては、フェ
ノール樹脂,メラミン樹脂,フラン樹脂,ポリイミド樹
脂,DFK樹脂,グアナミン樹脂,エポキシ樹脂,キシ
レン樹脂,シリコーン樹脂,ジアリルフタレーン樹脂,
不飽和ポリエステル樹脂などがある。
【0024】上記摩擦板22は、上述したように中板1
4の両面に一対で配置されるとともに、これら一対の摩
擦板22は図2に示したように、上記ボルト挿通孔14
aの短軸方向両側に対向するように分離して配置され
る。一方、上記中板14の摩擦板22が接触される両面
を適切に磨き仕上げして円滑面14bとし、この円滑面
14bに上記摩擦板22を摺接させることにより、中板
14と摩擦板22との間で所定の摩擦係数μをもって滑
動させるようになっている。
【0025】即ち、外板10,12と中板14、及び高
力ボルト16とナット18、並びに摩擦板22等により
ボルト接合部は摩擦ダンパ8として構成されている。
【0026】以上の構成により本実施形態のボルト接合
部の制振構造にあっては、一対の外板10,12間に中
板14を挟み込んで、これらに貫通した高力ボルト16
をナット18締めするにあたって、これら外板10,1
2と中板14との間に摩擦板22を介在させてあるの
で、地震や風などの外力によって建物架構が振動する際
に、この振動による変位力が所定値を超えると、外板1
0,12と中板14とは中板14両面の円滑面14bと
上記摩擦板22との滑動を伴って相対移動する。このと
き、中板14と摩擦板22との間は高力ボルト16の軸
力Nをもって圧接されるとともに、所定の摩擦係数μが
作用しており、これら中板14と摩擦板22とが滑動さ
れる際には、振動エネルギーがμ×Nの摩擦抵抗力Rに
変換されて振動減衰され、建物架構の制振に寄与するよ
うになっている。
【0027】このとき、上記摩擦板22は、フェノール
樹脂,メラミン樹脂,フラン樹脂,ポリイミド樹脂,D
FK樹脂,グアナミン樹脂,エポキシ樹脂,キシレン樹
脂,シリコーン樹脂,ジアリルフタレーン樹脂,不飽和
ポリエステル樹脂などの熱硬化型樹脂を結合材として、
アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンフ
ァイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダス
ト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填
剤とからなる複合摩擦材料で形成されるので、該摩擦板
22は硬度が高く、かつ、強度に富む材質となって、一
定の摩擦係数を有する摩耗の著しく少ない部材として形
成することができる。
【0028】従って、外板10,12と中板14とが相
対移動された際にも、中板14と摩擦板22との間の摩
擦係数μは常時ほぼ一定に維持され、かつ、滑動部分の
摩耗がほとんどないため高力ボルト16の軸力Nもほぼ
一定に維持される。このため、上記外板10,12と中
板14との間の相対移動時に、上記摩擦係数μと上記軸
力Nとの積として発生する摩擦抵抗力Rをほぼ一定に維
持することができる。従って、上記外板10,12およ
び上記中板14とそれぞれ一体の2つの鉄骨部材間の摩
擦減衰力特性、延いては、建物架構の振動に対する制振
特性が安定化され、当初設定した制振機能を長期に亘っ
て維持することができる。
【0029】ただし、この摩擦板22と前記中板14と
の摺動により生じる摩擦熱が大きい場合は、摩擦板22
の表面温度が著く上昇し、摩擦板表面が炭化し、摩耗粉
として脱落し、この摩耗粉が摺動境界面に滞留してしま
うことがあり得る。この摩耗粉は炭化物であるため非常
に硬度が高く、前記摺動により中板14を傷つけたり、
前記摺動境界面に摩耗粉が介在して転がる等して、摩擦
係数を変動させる虞がある。このような現象を生じた場
合には、摩擦抵抗力が大幅に変化し、前記制振構造の制
振性能に大きな変動を生じてしまい、安定した制振効果
を得難くなる懸念がある。
【0030】そこでこの対策として、図1、図2に示す
ように、前記摩擦板22には、前記中板14との摺接面
側に凹部として直線状の溝21を5本形成している。こ
の溝21は、前記摩擦板22の摩擦抵抗力が発生する中
板14との摺接面に生じる摩擦熱を放散するとともに、
摺接面の摩耗粉を取り込み排出する機能を持つ。すなわ
ち、摩擦ダンパ作動時の摩擦板22の摩擦熱を、前記溝
21内の空気へ放散することで、その表面温度の上昇を
防止し、摩擦板表面の炭化、摩耗粉の脱落を防止する。
また、万一摩耗粉が発生しても溝21に取り込まれ、摩
擦板22と中板14との摺接面の摩耗粉の滞留を防止す
る。このため、中板14が傷つき難くなるとともに、摩
耗粉の転がり滑りも生じ難くなり、摩擦板22と中板1
4間の摩擦抵抗力を一定に維持することができ、安定し
た制振効果を得ることが可能となる。更には、摩耗粉の
滞留を防止できるので、摩擦板22および圧接板14と
の摺動面から、摩耗粉の噛込等に起因した異音が発生す
ることを防止でき、制振時の騒音を著く低減することが
できる。
【0031】前記溝21の深さ、幅、断面形状、本数
は、発生する摩耗粉の予め想定される大きさや量、並び
に摩擦板22の表面温度等を勘案し設定される。すなわ
ち、深さ、幅、断面形状は、主として摩耗粉を取り込め
る容積を有するように設定され、本数に関しては、前記
表面温度が摩擦板22の材料の使用限界温度以下となる
ように設定される。本実施形態の場合は、溝21の断面
形状は矩形で、その深さは摩擦板22厚みの半分、また
その本数は5本に設定されているが、前述の要件を満た
すように自由に設定可能であり、断面形状は半円形状で
も良く、更に深さについては貫通していても良い。
【0032】また、前記溝21の平面形状も、摩擦熱の
放散効率が大きく、摩耗粉を取り込み得る容積を有して
いれば、直線に限るものではなく、円形等どのような形
状の凹部に形成しても良い。ただし、熱の放散効率の観
点から、冷却媒体である空気が流通し易いように、大気
開放空間と連通した溝21とするのが望ましく、また摩
耗粉排出の観点からは、取り込まれた溝21内の摩耗粉
が自重で落下排出されるように、前記溝21は、鉛直方
向に直線状に貫通して形成されていることが望ましい。
【0033】尚、本実施形態においては、摩擦抵抗力が
発生する摺接面が中板14側であったため、摩擦板22
の溝21を中板14側に形成したが、摺接面側であれば
これに限るものではない。つまり、摩擦板22が中板1
4に固設され、外板10,12と摺動し、摩擦抵抗力が
外板10,12側に発生する場合は、摩擦板22の外板
10,12側に溝21を形成すれば良い。
【0034】また、本実施形態では第1圧接板を上記一
対の外板10,12で形成するとともに、第2圧接板を
上記中板14で形成し、かつ、該中板14のボルト挿通
孔14aを長孔としたので、2つの鉄骨部材間に相対変
位力が入力された際に、一対の外板10,12間に中板
14が挟まれた状態で相対移動するため、一対の外板1
0,12間にボルト16の軸力N、つまり締付け力を付
加した状態で両者が滑動する際に、ボルト16が傾斜さ
れるなどしてこじれを生ずることなく、スムーズに相対
移動することができる。
【0035】図3から図5は他の実施形態を示し、上記
実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説
明を省略して述べる。尚、図3は要部の断面図、図4は
要部の平面図、図5はこの実施形態で用いられる付勢手
段のばね特性図である。
【0036】この実施形態が上記実施形態と主に異なる
点は、高力ボルト16の軸力Nを外板10,12に付加
する経路に、ボルトの軸方向変位に対して弾発力の変動
が略一定となる非線形ばね領域を備えた付勢手段を介装
して摩擦ダンパ8として構成したものである。
【0037】即ち、この実施形態のボルト接合部の制振
構造は、上記実施形態と同様に一対の外板10,12間
に中板14を挟み込んでボルト16,ナット18締めす
る際に、外板10,12と中板14との間に摩擦板22
が介在されるようになっており、このように構成された
ボルト接合部にあって、高力ボルト16の頭部16aと
一方の外板10との間に、付勢手段としての皿ばね30
を介装するようになっている。
【0038】上記皿ばね30のばね特性Aは、図5に示
すように高力ボルト16の中心軸方向の変形量(見込み
変化量)σに対して、荷重(弾発力)wの変動がほぼ一
定となる非線形ばね領域Pを備えており、該皿ばね30
は上記高力ボルト16に所定の軸力Nを付加した状態で
上記非線形ばね領域P内に設定される。また、本実施形
態では上記皿ばね30は、複数枚の皿ばね単体を同一方
向に積層して構成したものが用いられる。
【0039】従って、この実施形態では高力ボルト16
の頭部16a側の大径ワッシャ32と一方の外板10と
の間に皿ばね30を介在したので、外板10,12と中
板14との間の隙間の変動を該皿ばね30によって吸収
することができる。そして、このときの変動吸収によっ
て皿ばね30のたわみ量が変化した場合にあっても、該
皿ばね30が非線形ばね領域P内に設定されているた
め、弾発力つまり高力ボルト16の軸力をほぼ一定に維
持することができる。
【0040】つまり、振動入力が無い状態では上記外板
10,12と上記中板10とは、大きな静摩擦力をもっ
て固定状態が維持されるが、振動入力によりこの固定状
態から小さな動摩擦力を伴う相対移動状態に移行する際
に、それぞれの接触面間に大きな反発力が発生し、これ
が大きな音や衝撃として現れる。しかし、上記皿ばね3
0を設けたことにより、このときの反発力を上記皿ばね
30の弾性により高力ボルト16の軸力Nを変化させる
ことなく吸収できる。従って、過大振動力が入力された
場合にも、皿ばね30の緩衝作用により音や衝撃の発生
を抑制しつつ建物架構の制振機能を十分に発揮すること
ができる。
【0041】また、上記皿ばね30が非線形ばね領域P
に設定されていることにより、該皿ばね30の弾発力は
外板10,12と中板14とが相対移動する際の滑動
面、つまり、摩擦板22と中板14との間の接触面にた
とえ摩耗が生じたとしても、弾発力をほぼ一定に維持し
て摩擦抵抗力Rが低下するのを防止できる。従って、外
板10,12と中板14との接合部における当初の制振
機能を永続して発揮することができる。
【0042】また、この実施形態では上記皿ばね30
を、一方の外板10と高力ボルト16の頭部16a側の
大径ワッシャ32との間、つまり、外板10,12の一
方側に介在させた場合を開示したが、これに限ることな
く図6に示すように外板10,12の両方側、つまり、
両外板10,12と高力ボルト16の頭部16a側およ
びナット18側の大径ワッシャ32,32aとの間にそ
れぞれ皿ばね30を介装させることもできる。また、図
示は省略したが皿ばね30を、他方の外板12とナット
18側の大径ワッシャ32aとの間のみに介装させるこ
ともできる。
【0043】更に、皿ばね30を構成する皿ばね単体の
組み合わせ配置構成は、本実施形態に示したように同一
方向に複数枚を積層したものに限ることなく、これ以外
にも本発明の皿ばね30に求められる設定が可能である
限り種々に変更して組み合わせて構成することができ、
例えば、皿ばね単体を単数で用いたり、複数枚を並列に
積層したり、その積層方向を正逆交互に向けたりするこ
とができる。
【0044】更にまた、この実施形態では付勢手段とし
て皿ばね30を用いた場合を開示したが、これに限るこ
となくボルトの軸方向変位に対して弾発力の変動が略一
定となる非線形ばね領域を備えたばねであればよい。
【0045】ところで、上記各実施形態では中板14の
両面を円滑面14bとして、これに摩擦板22を摺接さ
せたが、このように円滑面14bを形成することなく、
表面が滑らかなステンレス板などの図外の滑動板を取り
付けて、この滑動板と上記摩擦板22との間で滑動させ
ても良い。また、摩擦板22と中板14との間で滑動さ
せるようにした場合を開示したが、これに限ることなく
摩擦板22と外板10,12との間、若しくは、これら
摩擦板22と中板14との間および摩擦板22と外板1
0,12との間の両方で滑動させることもできる。
【0046】図7は上記本発明のボルト接合部の制振構
造の適用対象の1つである鉄骨柱と鉄骨梁との接合部分
を示す。図示するように、一般的に鉄骨柱52と鉄骨梁
54とはH型鋼によって形成されて架構を構成する。鉄
骨柱52の梁接続部分には、鉄骨梁54と同じH型鋼を
短尺に切断したブラケット材55を溶接して一体化し、
このブラケット材55に上記鉄骨梁54の接続端部が結
合される。図示例では上記ブラケット材55は鉄骨柱5
2のフランジ52a面に溶接されるとともに、該ブラケ
ット材55の上下フランジ55a,55b位置に対応し
て、鉄骨柱52の両側フランジ52a,52b間に跨っ
て補剛材57が溶接されている。
【0047】上記鉄骨梁54の接続端は上記ブラケット
材55の先端に突き合わされ、これら鉄骨梁54とブラ
ケット材55の互いに対応される上方フランジ54aと
55a、および下方フランジ54bと55b、そして、
ウェブ54cと55cとの各部に両部材間に跨ってその
両面に添え板58、59が配置され、これらを貫通する
高力ボルト16にナット18を螺合して締め付けること
により、上記鉄骨梁54と上記ブラケット材55つまり
鉄骨柱52とが結合される。
【0048】ここで、当該鉄骨柱52と鉄骨梁54との
接合部において、本発明の制振構造は、上方フランジ5
4aと55a、および下方フランジ54bと55b、並
びにウェブ54cと55cとのボルト接合部に組み込ま
れる。即ち、上記添え板58,59が外板10,12に
該当し、鉄骨梁54の上下フランジ54a,54bおよ
びウェブ54cが中板14に該当して、この各接合部が
摩擦ダンパ8として構成され、この摩擦ダンパ8によっ
て建物架構に入力される水平方向の振動を減衰する機能
が付加される。
【0049】図8はその上方フランジ54aと55aと
の接合部を例にして前記本発明の第2実施例にかかる制
振構造を組み込んだ状態を示している。図示するよう
に、上記添え板58,59はブラケット材55側に高力
ボルト16,ナット18を介して確実に締め付け固定
(この部分は溶接でも良い)された上で、該添え板5
8,59と上方フランジ54aとの間に摩擦板22,2
2を介在させて摺動自在とし、これら三者間に高力ボル
ト16の軸力をもって摩擦力を発生させるようになって
いる。
【0050】即ち、上記摩擦ダンパ8は、鉄骨梁54の
上方フランジ54a端部を滑り板とし、この滑り板とな
った上方フランジ54aには、高力ボルト16の貫通部
分に水平方向に長孔となるボルト挿通孔14aが形成さ
れ、これによって鉄骨梁54とブラケット材55との水
平方向の相対移動が許容される。また、上記高力ボルト
16には添え板58,59と摩擦板22,22と上方フ
ランジ54aとの間に圧接力を付加するための付勢手段
としての皿ばね30が設けられる。
【0051】図9と図10は、本発明にかかるボルト接
合部の制振構造をブレースに適用する場合の一例を示す
もので、摩擦ダンパ8をブレース60の途中を分断した
間に介装するようにしたものである。また、この図示例
にあっても上記摩擦ダンパ8は、一対の外板10,12
と摩擦板22,22と中板14、および付勢手段として
の皿ばね30とによって構成される。
【0052】即ち、上記外板10,12は上記ブレース
60を切断した一方の端部60aに取り付けられるとと
もに、ブレース60を切断した他方の端部60bが上記
中板14とされ、一対の外板10,12間に摩擦板2
2,22を介して中板14としてのブレース端部60b
が挟み込まれる。このとき、この図示例では外板10,
12はブレース60より若干幅狭に形成されて上記端部
60aにボルト,ナット結合(溶接でも良い)されてい
る。また、中板14のボルト挿通孔(長孔)14aを通
って外板10,12を貫通する締付け用の高力ボルト1
6の外周に、皿ばね30が挿通されて大径ワッシャ32
と外板10との間に挟圧されて設けられる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
示すボルト接合部の制振構造にあっては、一方の鉄骨部
材から突設した第1圧接板に、他方の鉄骨部材から突設
した第2圧接板を重合してボルト,ナット締めするよう
になっており、これら第1,第2圧接板間に複合摩擦材
料で形成される摩擦板を介在したので、第1,第2圧接
板の相対移動時に、該摩擦板と第1圧接板および,また
は第2圧接板との間で滑動して摩擦抵抗力を発生させ、
この摩擦抵抗力によって制振機能を発揮できる。そし
て、上記摩擦板を、熱硬化型樹脂を結合材として、アラ
ミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイ
バー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダスト,
鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤と
からなる複合摩擦材料で形成したので、該摩擦板は一定
の摩擦係数を有する摩耗の著しく少ない部材として形成
することができる。
【0054】従って、第1,第2圧接板が相対移動され
た際に、これら第1,第2圧接板と摩擦板との間の摩擦
係数を常時ほぼ一定に維持することができ、かつ、滑動
部分の摩耗をほとんど無くしてボルトの軸力もほぼ一定
に維持することができるため、これら摩擦係数と軸力と
の積として得られる摩擦抵抗力をほぼ一定に維持するこ
とができる。従って、2つの鉄骨部材間の摩擦減衰力が
安定化され、延いては、当初設定した制振機能を長期に
亘って維持することができる。
【0055】また、本発明の請求項2に示すボルト接合
部の制振構造にあっては、上記第1圧接板と上記第2圧
接板との重合部分に上記ボルト軸力を付加する経路に、
ボルトの軸方向変位に対して弾発力の変動が略一定とな
る非線形ばね領域を備えた付勢手段を介在し、該ボルト
に所定の軸力を発生させた状態で、該付勢手段が上記非
線形ばね領域内でたわみ変形するように設定したので、
第1,第2圧接板間の隙間の変動を上記付勢手段によっ
て吸収することができ、このときの変動吸収によって付
勢手段のたわみ量が変化した場合にあっても、該付勢手
段が非線形ばね領域内に設定されているため、弾発力つ
まりボルトの軸力をほぼ一定に維持することができる。
【0056】従って、所定値以上の振動変位力の入力に
より上記第1圧接板と第2圧接板とが相対移動する際の
反発力を、上記付勢手段によりボルト軸力を変化するこ
となく吸収し、音や衝撃の発生を抑制しつつ制振機能を
十分に発揮することができる。また、上記付勢手段の弾
発力は、第1,第2圧接板が相対移動する際の滑動面が
摩耗された場合にも弾発力をほぼ一定に維持できるた
め、摩擦抵抗力が低下するのを防止して当初の制振機能
を永続して発揮させることができる。
【0057】更に、本発明の請求項3に示すボルト接合
部の制振構造にあっては、上記第1圧接板をボルト軸力
の作用方向に対峙する一対の外板で形成するとともに、
上記第2圧接板を上記一対の外板間に挟み込まれる中板
で形成し、該中板のボルト挿通孔を長孔としたので、2
つの鉄骨部材間に相対変位力が入力された際に、一対の
外板間に中板が挟まれた状態で相対移動するため、一対
の外板間にボルトの軸力つまり締付け力を付加した状態
で両者が滑動する際に、ボルトが傾斜されるなどしてこ
じれを生ずるのを防止できる。このため、外板と中板と
をスムーズに相対移動することができ、延いては、制振
機能を効果的に発揮することができるという優れた効果
を奏する。
【0058】また、本発明の請求項4に示すボルト接合
部の制振構造にあっては、上記摩擦板の摩擦抵抗力発生
面に、摩擦熱を放散するとともに摩耗粉を取り込む凹部
を有するようにしたので、摩擦ダンパ作動時に、前記凹
部の空気への摩擦熱の放散により、摩擦板の表面温度の
上昇を防止し、摩擦板表面の炭化、脱落による摩耗粉の
発生を防止できる。また、摩耗粉が発生しても凹部に取
り込まれ、摩擦板と圧接板間の摩耗粉の滞留を防止でき
る。このため、圧接板が傷つき難くなるとともに、摩耗
粉の転がり滑りも生じ難くなり、摩擦板と圧接板間の摩
擦抵抗力を一定に維持することができ、結果安定した制
振効果を得ることが可能となる。更には、摩耗粉の滞留
に起因する、摩擦板と圧接板との摺動面からの異音の発
生を防止でき、制振時の騒音を著く低減することができ
る。
【0059】また、上記より摩耗粉の発生が抑えられる
ことから、前記摩擦板と前記圧接板の損傷が著く軽減さ
れるため、定期交換が不要となり、メンテナンスフリー
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボルト接合部の制振構造の一実施形態
を示す要部の断面図である。
【図2】本発明のボルト接合部の制振構造の一実施形態
を示す要部の平面図である。
【図3】本発明のボルト接合部の制振構造の他の実施形
態を示す要部の断面図である。
【図4】本発明のボルト接合部の制振構造の他の実施形
態を示す要部の平面図である。
【図5】本発明のボルト接合部の制振構造の他の実施形
態に用いられる付勢手段のばね特性図である。
【図6】本発明のボルト接合部の制振構造の更に他の実
施形態を示す要部の断面図である。
【図7】本発明のボルト接合部の制振構造を鉄骨柱と鉄
骨梁との接合部に適用する場合の一例を示す正面図であ
る。
【図8】図7の要部を示す断面図である。
【図9】本発明のボルト接合部の制振構造を分断形成し
たブレースの途中に介在させて適用した例を示す正面図
である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】従来のボルト接合部を示す断面図である。
【符号の説明】
8 摩擦ダンパ 10,12 外板(第1圧接板) 14 中板(第2圧接板) 16 高力ボルト 18 ナット 20 摩擦ダンパ 21 溝(凹部) 22 摩擦板 30 皿ばね(付勢手段) 32,32a 大径ワッシャ(締付け部) 52 鉄骨柱 54 鉄骨梁
フロントページの続き (72)発明者 中村 嶽 東京都千代田区神田司町2丁目3番地 株 式会社大林組東京本社内 Fターム(参考) 3J048 AA06 AC01 BD01 BD04 BD05 BE12 EA38 3J066 AA01 AA26 CA06 CB06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに接合しようとする2つの鉄骨部材
    のうち、一方の鉄骨部材から第1圧接板を、かつ、他方
    の鉄骨部材から第2圧接板をそれぞれ一体に突設し、こ
    れら第1,第2圧接板を互いに重合するとともに、両圧
    接板間に相対移動を可能にしてボルト軸力を付加し、両
    圧接板間に入力される所定値以上の振動変位力により、
    これら両者の相対移動が許容され、このときに発生する
    摩擦抵抗力によって、上記2つの鉄骨部材間を制振する
    ようにしたボルト接合部の制振構造において、 上記第1圧接板と上記第2圧接板との間に、複合摩擦材
    料で形成される摩擦板を介在させ、該摩擦板は、熱硬化
    型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビ
    ニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊
    維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫
    酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形
    成したことを特徴とするボルト接合部の制振構造。
  2. 【請求項2】 上記第1圧接板と上記第2圧接板との重
    合部分に上記ボルト軸力を付加する経路に、ボルトの軸
    方向変位に対して弾発力の変動が略一定となる非線形ば
    ね領域を備えた付勢手段を介在し、該ボルトに所定の軸
    力を発生させた状態で、該付勢手段が上記非線形ばね領
    域内でたわみ変形するように設定したことを特徴とする
    請求項1に記載のボルト接合部の制振構造。
  3. 【請求項3】 上記第1圧接板をボルト軸力の作用方向
    に対峙する一対の外板で形成するとともに、上記第2圧
    接板を上記一対の外板間に挟み込まれる中板で形成し、
    該中板のボルト挿通孔を長孔としたことを特徴とする請
    求項1または2に記載のボルト接合部の制振構造。
  4. 【請求項4】 前記摩擦板がその摩擦抵抗力発生面に、
    摩擦熱を放散するとともに摩耗粉を取り込む凹部を有す
    ることを特徴とする請求項1、2または3記載のボルト
    接合部の制振構造。
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