JP5652376B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
上記空気入りタイヤの外表面にタイヤ周方向に帯状に延びる装飾部には、所定のピッチでタイヤ径方向に延びるように配置された複数のリッジから成る、第1リッジ群及び第2リッジ群が形成される。第1リッジ群の各リッジと第2リッジ群の各リッジとが交差することにより形成されたモアレ模様によって、サイドウォール表面に存在する凹凸を目立たなくさせることができる。
当該空気入りタイヤは、
サイドウォール表面の凹凸あるいは光の反射特性により、周りの領域と視認可能に識別される模様を有し、
前記模様は、
タイヤ径方向及びタイヤ周方向の何れか一方の方向Aに沿って延びる複数の線状部を、互いに交差することなくタイヤ径方向及びタイヤ周方向の何れか他方の方向Bに間隔をあけて設けて成り、
前記複数の線状部のそれぞれは、
前記方向Aに沿って直線状に延びて直線の模様を形成する直線部と、前記方向Aに対して傾斜する方向に延びて前記直線部と交差し、前記方向Bにおける両側の端の位置が前記直線から見てお互いに反対側に位置する、前記方向Aに沿って間隔をあけて設けられた複数の傾斜模様部とを有し、
前記複数の傾斜模様部のそれぞれは、
前記方向Bの一方の側の端が前記方向Aに揃うとともに、前記方向Bの他方の側の端が前記方向Aに揃うように設けられ、且つ、前記方向Bに隣り合う線状部に設けられた傾斜模様部との間で、前記方向Aの一方の側の端が前記方向Bに揃うとともに、前記方向Aの他方の側の端が前記方向Bに揃うように設けられている。
また、前記複数の傾斜模様部の前記方向Aにおける長さは周期的に変動する、ことが好ましい。
当該空気入りタイヤのサイドウォール部は、
サイドウォール表面の凹凸あるいは光の反射特性により、周りの領域と視認可能に識別される模様を有し、
前記模様は、
タイヤ径方向及びタイヤ周方向の何れか一方の方向Aに沿って延びる複数の線状部を、互いに交差することなくタイヤ径方向及びタイヤ周方向の何れか他方の方向Bに間隔をあけて設けて成り、
前記複数の線状部のそれぞれは、
前記方向Aに対して傾斜する方向に延びる複数の傾斜模様部を有し、
前記複数の傾斜模様部のそれぞれは、
前記方向Bの一方の側の端が前記方向Aに揃うとともに、前記方向Bの他方の側の端が前記方向Aに揃うように設けられ、且つ、前記方向Bに隣り合う線状部に設けられた傾斜模様部との間で、前記方向Aの一方の側の端が前記方向Bに揃うとともに、前記方向Aの他方の側の端が前記方向Bに揃うように設けられ、
前記複数の傾斜模様部のそれぞれは、周りの領域と表面粗さが異なり、且つ、互いに同一の表面粗さを有する四角形状の複数の微小領域の一辺を前記方向Aに沿って配置して、前記複数の微小領域を前記方向Aに沿って段状に配置することにより形成され、
前記サイドウォール表面のうち前記模様を除く部分の表面粗さをRaとし、前記複数の傾斜模様部のうち第1傾斜模様部の表面粗さをRa1とし、第1傾斜模様部と前記方向Aに隣り合う第2傾斜模様部の表面粗さをRa2としたとき、前記表面粗さRaは、Ra1>Ra>Ra2となる関係を有する。
また、前記第1傾斜模様部の表面粗さRa1と第2傾斜模様部の表面粗さRa2との差は、前記複数の線状部毎に異なるとともに、前記方向Bに沿って周期的に変動する、ことが好ましい。
図1は、第1実施形態の空気入りタイヤ(以降、タイヤという)1のサイドウォール部3(図2参照)の表面を示した図である。図1では、トレッド部2は、一点鎖線の円弧で表され、ビード部4は、一点鎖線の円弧で表されている。
このような模様を設けるのは、タイヤ1を見た者が、当該模様によって錯視を受けることで、サイドウォール表面に現れる凹凸を目立たなくさせるためである。サイドウォール表面に現れる凹凸とは、例えば、図3に示されるように、カーカス層5の巻き終わり端5aが巻き始め端5bと、部分5cで重なることにより、タイヤ径方向に沿って段差ができることに起因して形成されたものである。
図4(a)に示すように、線状部10は、直線部11と、複数の傾斜模様部12とを有している。直線部11及び複数の傾斜模様部12は、後述するように、サイドウォール表面の凹凸あるいは光の反射特性により、周りの領域と視認可能に識別されるように形成されている。線状部10のタイヤ径方向の長さは、サイド模様表示領域3aのタイヤ径方向の長さに応じて適宜設定してもよく、例えば、サイド模様表示領域3aのタイヤ径方向の長さの30〜80%であることが好ましい。また、線状部10のタイヤ周方向の幅Wは、例えば、1.0〜5.0mmであることが好ましい。
直線部11は、タイヤ径方向に沿って直線状に延びるように形成されている。複数の傾斜模様部12のそれぞれは、2つの端部12a,12bを有し、直線部11の延びる方向、すなわちタイヤ径方向に対して傾斜する方向に直線状に延びるように形成されている。なお、複数の傾斜模様部12のそれぞれは、直線状に形成されることに限られず、例えば曲線状や波線状等に形成されていてもよい。また、複数の傾斜模様部12のそれぞれは、中心部において直線部11と交差するように設けられている。さらに、図4(a)に示すように、複数の傾斜模様部12のそれぞれと直線部11とがなす鋭角θの絶対値は、0°より大きく、且つ、45°以下であることが好ましい。また、本実施形態のタイヤ1では、複数の傾斜模様部12のそれぞれの幅(傾斜方向に直交する方向の幅)は、直線部11のタイヤ周方向の幅と同一に形成されているが、直線部11のタイヤ周方向の幅よりも小さく、あるいは大きく形成されてもよい。また、複数の傾斜模様部12は、タイヤ径方向に対する傾斜方向が互いに同一になるように設けられてもよいし、例えば図4(b),(c)に示すように、タイヤ径方向に対する傾斜方向が、所定数の傾斜模様部12毎にタイヤ周方向に反転するように設けられてもよい。ここで、傾斜方向がタイヤ周方向に反転するとは、傾斜方向がタイヤ径方向に対して線対称の方向になることをいう。具体的に説明すると、図4(b),(c)に示す模様では、タイヤ径方向を上下方向としたとき、1つの線状部10において、上から1番目〜6番目の傾斜模様部12の傾斜方向が右下に傾く方向になっているが、上から7番目〜12番目の傾斜模様部12の傾斜方向が、右下に傾く方向からタイヤ径方向に対して線対称の方向、すなわち左下に傾く方向になっている。
また、複数の傾斜模様部12のそれぞれは、図4(a)に示すように、タイヤ周方向の一方の側の端部12aがタイヤ径方向に揃うとともに、タイヤ周方向の他方の側の端部12bがタイヤ径方向に揃うように設けられている。ここで、「揃う」とは、複数の傾斜模様部12のそれぞれのタイヤ周方向の一方の側の端部12aのうち少なくとも2つの端部12aを結ぶ線(あるいは複数の傾斜模様部12のそれぞれのタイヤ周方向の他方の側の端部12bのうち少なくとも2つの端部12bを結ぶ線)と、タイヤ径方向に延びる直線(図4(a)において破線で示す)とがなす鋭角の絶対値が10°以下であることをいい、当該絶対値が0°であることも含まれる。
また、1つの線状部10の1つの傾斜模様部12の傾斜方向と、当該傾斜模様部12とタイヤ周方向に間隔Dをおいて隣り合う他の線状部10の傾斜模様部12の傾斜方向とは、図4(b)に示すように、互いに同一であってもよいし、図4(c)に示すように、互いにタイヤ周方向に反転してもよい。なお、線状部10の複数の傾斜模様部12のそれぞれの傾斜方向が互いに同一である場合には、当該複数の傾斜模様部12と、当該線状部10とタイヤ周方向に間隔Dをおいて隣り合う他の線状部10の複数の傾斜模様部12の傾斜方向とは、互いにタイヤ周方向に反転することが好ましい。
図5(a)に示すように、模様が突起で形成される場合には、線状部10の直線部11及び複数の傾斜模様部12が、サイドウォール表面から突出するように設けられる。また、図5(b)に示すように、模様が溝で形成される場合には、線状部10の直線部11及び複数の傾斜模様部12が、サイドウォール表面から凹むように設けられる。模様が突起で形成された場合における線状部10のサイドウォール表面に対する高さ、あるいは模様が溝で形成された場合における線状部10のサイドウォール表面に対する深さは、見る者に効果的な錯視を与えて、サイドウォール表面に現れる凹凸を目立たなくさせるために、0.3mm〜3.0mmであることが好ましい。
なお、線状部10のサイドウォール表面に対する高さ、あるいは深さは、複数の線状部10毎に同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、リッジを多数設けることにより、タイヤ製造段階の加硫工程で空気溜りを発生し難くできるので、外観不良の発生率を低下させることができる。
なお、線状部10が突起あるいは溝で形成されている場合には、直線部11及び複数の傾斜模様部12の表面にセレーション加工が施されなくてもよい。
このため、本実施形態のタイヤ1では、タイヤ1のサイドウォール表面を見た者に対して、サイドウォール表面に現れる凹凸を十分に目立たなくさせることができる。また、本実施形態のタイヤ1では、直線部11と複数の傾斜模様部12とを有する複数の線状部10が、互いに交差することなくタイヤ周方向に間隔をあけて設けられている、という簡易な構成で模様を形成することができるので、例えば、それぞれ複数のリッジからなる第1リッジ群と第2リッジ群とをタイヤ周方向に亘って互いに交差させることによりモアレ模様を形成する従来の技術の場合と比べて、サイドウォール表面の加工範囲を小さくするとともに、加工内容を容易にすることができる。
図7は、第2実施形態のタイヤ1のサイドウォール部3の表面を示した図である。
第2実施形態のタイヤ1の構成は、図2に示す第1実施形態のタイヤ1の構成と同じである。第2実施形態のタイヤ1が第1実施形態のタイヤ1と異なる点は、線状部20を構成する複数の傾斜模様部21,22(図8参照)のそれぞれが、四角形状の複数の微小領域で形成されている点にある。この微小領域は、表面粗さによって反射特性が異なることで、周囲の領域に対して、傾斜模様部21,22が視認可能となった領域である。したがって、図7〜図14では、異なる反射特性を、白、黒、灰色等の濃淡で表している。
なお、各微小領域は、第1実施形態の直線部11及び複数の傾斜模様部12と同様に、突起あるいは溝によって形成されてもよいし、セレーション加工が施されることによって形成されてもよい。
また、サイドウォール表面の法線方向に沿ってサイドウォール表面をみたとき、第1傾斜模様部21と第2傾斜模様部22とは、タイヤ径方向に互いに線接触している。具体的に説明すると、図8(a)に示すように、第2傾斜模様部22の3つの微小領域のうちタイヤ径方向及びタイヤ周方向の中央に位置する微小領域には、当該第2傾斜模様部22とタイヤ径方向に隣り合う第1傾斜模様部21の3つの微小領域のうち、タイヤ径方向外側あるいはタイヤ径方向内側に位置する微小領域が線接触している。一方、図8(b),(c)に示すように、第1傾斜模様部21の3つの微小領域のうちタイヤ径方向及びタイヤ周方向の中央に位置する微小領域には、当該第1傾斜模様部21とタイヤ径方向に隣り合う第2傾斜模様部22の3つの微小領域のうち、タイヤ径方向外側あるいはタイヤ径方向内側に位置する微小領域が線接触している。
さらに、第1傾斜模様部21及び第2傾斜模様部22のそれぞれは、3つの微小領域がタイヤ径方向に沿って段状に配置されていることにより、タイヤ径方向に対して傾斜する方向に延びるように形成されている。具体的に説明すると、3つの微小領域のうちタイヤ径方向外側(図8(a)において上側)に位置する微小領域と、3つの微小領域のうちタイヤ径方向内側(図8(a)において下側)に位置する微小領域とは、3つの微小領域のうち中央に位置する微小領域に対してタイヤ周方向にずれるように配置されている。この場合、第1傾斜模様部21及び第2傾斜模様部22のそれぞれは、図8(b)に示すように、タイヤ径方向に対して傾斜する直線Aに沿って延びるように形成されてもよいし、図8(c)に示すように、折れ線Bあるいは折れ線Cに沿って延びるように形成されてもよい。ここで、第1傾斜模様部21及び第2傾斜模様部22のそれぞれの傾斜角度θの絶対値は、0°より大きく、且つ、45°以下であることが好ましい。ここで、第1傾斜模様部21及び第2傾斜模様部22のそれぞれの傾斜角度θについて、図8(a)に示した第2傾斜模様部22を参照して説明すると、傾斜角度θとは、第2傾斜模様部22の3つの微小領域のそれぞれを構成する角部のうち第2傾斜模様部22の中心部からタイヤ径方向及びタイヤ周方向に最も離れて位置する角部と当該中心部とを結ぶ線と、当該中心部を通りタイヤ径方向と平行に延びる線とがなす鋭角の角度をいう。
本実施形態において、サイドウォール表面に現れる凹凸を目立たなくさせるためには、サイドウォール表面のうち模様を除く部分の表面粗さをRaとし、第1傾斜模様部21の表面粗さをRa1とし、第2傾斜模様部22の表面粗さをRa2としたとき、Ra1>Ra>Ra2となる関係を有することが好ましい。第1傾斜模様部21の表面粗さRa1は、例えば、3000〜8000μmであることが好ましい。また、サイドウォール表面のうち模様を除く部分の表面粗さRaは、例えば、800〜2500μmであることが好ましい。さらに、第2傾斜模様部22の表面粗さRa1は、例えば、250〜600μmであることが好ましい。
このため、本実施形態のタイヤ1では、タイヤ1のサイドウォール表面を見た者に対して、サイドウォール表面に現れる凹凸を十分に目立たなくさせることができる。
また、図9(b)に示すように、それぞれタイヤ周方向に延びる複数の線状部20を、タイヤ径方向に間隔をあけて設けてもよい。この場合には、複数の線状部20がタイヤ径方向に曲がりくねっているように見える錯視効果が得られることに起因して、見る者に錯視を与えることができる。
図10(a),(b)に示す模様は、タイヤ径方向に沿って互いに同一方向に延びる複数の線状部20を、互いに交差することなくタイヤ周方向に間隔をあけて設けることにより形成されている。また、1つの線状部20と、当該線状部20に対してタイヤ周方向に隣接する他の線状部20との間では、第1傾斜模様部21及び第2傾斜模様部22の傾斜方向がタイヤ周方向に反転している。
図10(a)に示す模様では、1つの線状部20の第1傾斜模様部21及び第2傾斜模様部22が、互いに同一方向に傾斜するように設けられている。この場合、1つの線状部20と、当該線状部20に対してタイヤ周方向に隣接する他の線状部20とが、タイヤ径方向に近接あるいは離間するように見える錯視効果が得られることに起因して、見る者に錯視を与えることができる。これにより、サイドウォール表面に現れる凹凸を十分に目立たなくさせることができる。
また、図10(b)に示す模様では、1つの線状部20は、2つの第1傾斜模様部21がタイヤ径方向に沿って設けられる毎に第1傾斜模様部21の傾斜方向がタイヤ周方向に反転するように設けられている。この場合、1つの線状部20と、当該線状部20に対してタイヤ周方向に隣接する他の線状部20との間の一部が開口するように見える錯視効果が得られることに起因して、見る者に錯視を与えることができる。これにより、サイドウォール表面に現れる凹凸を十分に目立たなくさせることができる。
なお、図10(a),(b)に示すタイヤ周方向とタイヤ幅方向とを互いに入れ替え、タイヤ周方向に延びる複数の線状部20を用いて、上記と同様に模様を構成した場合であっても、上記と同様の錯視効果が得られる。
図8(a)に示した例では、3つの微小領域のうちタイヤ径方向及びタイヤ周方向の中央に位置する微小領域が、3つの微小領域のうち他の2つの微小領域とタイヤ径方向に線接触していたが、図11(a)に示すように、3つの微小領域のうちタイヤ径方向及びタイヤ周方向の中央に位置する微小領域が、3つの微小領域のうち他の2つの微小領域とタイヤ径方向に点接触するように設けられてもよい。この場合、図11(b)に示すように、タイヤ周方向に延びる複数の線状部20を、タイヤ径方向に間隔をあけて設けた場合には、図9(b)に示した模様と同様に、複数の線状部20がタイヤ径方向に曲がりくねっているように見える錯視効果が得られることに起因して、見る者に錯視を与えることができる。したがって、サイドウォール表面に現れる凹凸を十分に目立たなくさせることができる。
なお、微小領域が点接触している場合と比べて錯視効果が向上するという点において、微小領域は線接触していることが好ましい。
図12は、第3実施形態のタイヤ1のサイドウォール表面に形成される模様の一例を示す図である。
第3実施形態のタイヤ1の構成は、上記実施形態のタイヤ1の構成と同じである。第3実施形態のタイヤ1が上記実施形態のタイヤ1と異なる点は、図12に示すように、タイヤ径方向に延びる複数の線状部20のタイヤ周方向における間隔D1,D2,D3,D4が、タイヤ径方向の同じ位置において周期的に変動する点にある。
この場合、図12に示す模様は、各線状部20間で間隔が最大となる間隔D1となる位置において、錯視の効果によって、立体的に浮き上がるように見える。このため、サイドウォール表面に現れる凹凸をより目立たなくすることができる。
なお、図12に示すタイヤ周方向とタイヤ幅方向とを互いに入れ替えるとともに、タイヤ周方向に延びる複数の線状部20のタイヤ径方向における間隔が周期的に変動するように構成した場合であっても、立体的な錯視効果が得られることから、サイドウォール表面に現れる凹凸をより目立たなくすることができる。また、第1実施形態の複数の線状部10間の間隔を周期的に変動させた場合にも、上記と同様の錯視効果が得られる。
図13は、第4実施形態のタイヤ1のサイドウォール表面に形成される模様の一例を示す図である。
第4実施形態のタイヤ1の構成は、上記実施形態のタイヤ1の構成と同じである。第4実施形態のタイヤ1が上記実施形態のタイヤ1と異なる点は、図13に示すように、複数の第1傾斜模様部21のタイヤ周方向における長さが周期的に変動する点にある。
この場合、図13に示す模様は、タイヤ周方向に連続して並ぶ4つの縮小領域のタイヤ周方向の長さが最小値λ3となる位置において、線状部20がタイヤ径方向に凹むように見えるとともに、当該長さが最大値λ1となる位置において、線状部20がタイヤ径方向に突出するように見えるという錯視効果が得られる。このため、サイドウォール表面に現れる凹凸をより目立たなくすることができる。
なお、複数の第2傾斜模様部22それぞれのタイヤ周方向の長さが周期的に変動するように構成した場合であっても、上記と同様の錯視効果が得られる。
また、図13に示すタイヤ周方向とタイヤ幅方向とを互いに入れ替えるとともに、タイヤ径方向に延びる複数の線状部20を用いて模様を形成したとき、第1傾斜模様部21あるいは第2傾斜模様部22のタイヤ径方向の長さが周期的に変動するように構成した場合であっても、上記と同様の錯視効果が得られることから、サイドウォール表面に現れる凹凸をより目立たなくすることができる。
図14は、第5実施形態のタイヤ1のサイドウォール表面に形成される模様の一例を示す図である。
第5実施形態のタイヤ1の構成は、上記実施形態のタイヤ1の構成と同じである。第5実施形態のタイヤ1が上記実施形態のタイヤ1と異なる点は、図14に示すように、第1傾斜模様部21の表面粗さRa1と第2傾斜模様部22の表面粗さRa2との差が、複数の線状部20毎に異なるとともに、タイヤ周方向に沿って周期的に変動する点にある。
この場合、図14に示す模様では、表面粗さの差Ra3が異なる位置毎に線状部20の錯視効果が異なる。具体的には、表面粗さの差Ra3の小さい線状部20と比べて、表面粗さの差Ra3の大きい線状部20がより浮き上がって見えるという錯視効果が得られる。このため、サイドウォール表面に現れる凹凸をより目立たなくすることができる。
なお、本実施形態では、2つの線状部20がタイヤ周方向に沿って設けられる毎に、表面粗さの差Ra3が変動する場合について説明したが、1つの線状部20がタイヤ周方向に沿って設けられる毎に、表面粗さの差Ra3が変動するように構成してもよい。
また、図14に示すタイヤ周方向とタイヤ幅方向とを互いに入れ替えるとともに、複数の線状部20がタイヤ径方向に間隔をおいて設けられる場合には、表面粗さの差Ra3がタイヤ径方向に沿って周期的に変動するように構成してもよい。
また、表面粗さの差Ra3の変動と同期するように複数の線状部20間の間隔D1,D2,D3,D4を変動させてもよい。具体的には、表面粗さの差Ra3が最小となる位置における複数の線状部20間の間隔を最小あるいは最大とし、表面粗さの差Ra3が最大となる位置における複数の線状部20間の間隔が最大あるいは最小となるように構成してもよい。この場合、模様によって得られる立体的な錯視効果がより顕著となる。
本実施形態の効果を調べるために、サイドウォール表面の模様を種々変化させて、図2に示すタイヤ1(タイヤサイズ:145R12 6PR)を作製した。作製したタイヤを100人が観察し、実際にサイドウォール表面に存在する、カーカス層5が重なった部分5eに起因して生じる凹凸(以降、BPSスプライス凹凸という)の視認性の評価をした。
・評点110:95%以上の観察者がBPSスプライス凹凸を明確に確認できない。
・評点108:90%以上95%未満の観察者がBPSスプライス凹凸を明確に確認できない。
・評点106:80%以上90%未満の観察者がBPSスプライス凹凸を明確に確認できない。
・評点104:70%以上80%未満の観察者がBPSスプライス凹凸を明確に確認できない。
・評点102:60%以上70%未満の観察者がBPSスプライス凹凸を明確に確認できない。
・評点100:50%以上60%未満の観察者がBPSスプライス凹凸を明確に確認できない。
・評点97:50%未満の観察者がBPSスプライス凹凸を明確に確認できない。
なお、比較例は、サイド模様表示領域3aがないタイヤである。実施例1では、サイド模様表示領域3aに、複数の線状部20からなる第2の実施形態の模様を設けた。
実施例2では、それぞれタイヤ径方向に延びる複数の線状部20をタイヤ周方向に間隔をあけて設け、各線状部20間のタイヤ周方向の間隔が周期的に変動するように形成した。
また、実施例3では、それぞれタイヤ周方向に延びる複数の線状部20をタイヤ径方向に間隔をあけて設け、第1傾斜模様部21のタイヤ周方向の長さが周期的に変動するように形成した。
さらに、実施例4〜6では、模様を除く部分の表面粗さRa、第1傾斜模様部21の表面粗さRa1及び第2傾斜模様部22の表面粗さRa2の大小関係がそれぞれ異なるように形成した。
さらにまた、実施例7では、第1傾斜模様部21の表面粗さRa1と第2傾斜模様部22の表面粗さRa2との差が周期的に変動するように形成した。
また、実施例1,2の比較より、各線状部20間のタイヤ周方向の間隔が周期的に変動するように形成することにより、評価結果が向上することがわかった。
さらに、実施例2,3の比較より、第1傾斜模様部21のタイヤ周方向の長さが周期的に変動するように形成することにより、評価結果が向上することがわかった。
さらにまた、実施例3〜6の比較より、サイドウォール表面のうち模様を除く部分の表面粗さをRaとし、第1傾斜模様部21の表面粗さをRa1とし、第2傾斜模様部22の表面粗さをRa2としたとき、表面粗さRaがRa1>Ra>Ra2となる関係を有するように形成することにより、評価結果が向上することがわかった。
また、実施例6,7の比較より、第1傾斜模様部21の表面粗さRa1と第2傾斜模様部22の表面粗さRa2との差が周期的に変動するように形成することにより、評価結果が向上することがわかった。
2 トレッド部
3 サイドウォール部
3a サイド模様表示領域
4 ビード部
5 カーカス層
6 ベルト層
10,20 線状部
11 直線部
12 傾斜模様部
21 第1傾斜模様部
22 第2傾斜模様部
Claims (6)
- サイドウォール部を有する空気入りタイヤであって、
サイドウォール部は、
サイドウォール表面の凹凸あるいは光の反射特性により、周りの領域と視認可能に識別される模様を有し、
前記模様は、
タイヤ径方向及びタイヤ周方向の何れか一方の方向Aに沿って延びる複数の線状部を、互いに交差することなくタイヤ径方向及びタイヤ周方向の何れか他方の方向Bに間隔をあけて設けて成り、
前記複数の線状部のそれぞれは、
前記方向Aに沿って直線状に延びて直線の模様を形成する直線部と、前記方向Aに対して傾斜する方向に延びて前記直線部と交差し、前記方向Bにおける両側の端の位置が前記直線から見てお互いに反対側に位置する、前記方向Aに沿って間隔をあけて設けられた複数の傾斜模様部とを有し、
前記複数の傾斜模様部のそれぞれは、
前記方向Bの一方の側の端が前記方向Aに揃うとともに、前記方向Bの他方の側の端が前記方向Aに揃うように設けられ、且つ、前記方向Bに隣り合う線状部に設けられた傾斜模様部との間で、前記方向Aの一方の側の端が前記方向Bに揃うとともに、前記方向Aの他方の側の端が前記方向Bに揃うように設けられる、
ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記複数の線状部の前記方向Bにおける間隔は周期的に変動する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記複数の傾斜模様部の前記方向Aにおける長さは周期的に変動する、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- サイドウォール部を有する空気入りタイヤであって、
サイドウォール部は、
サイドウォール表面の凹凸あるいは光の反射特性により、周りの領域と視認可能に識別される模様を有し、
前記模様は、
タイヤ径方向及びタイヤ周方向の何れか一方の方向Aに沿って延びる複数の線状部を、互いに交差することなくタイヤ径方向及びタイヤ周方向の何れか他方の方向Bに間隔をあけて設けて成り、
前記複数の線状部のそれぞれは、
前記方向Aに対して傾斜する方向に延びる複数の傾斜模様部を有し、
前記複数の傾斜模様部のそれぞれは、
前記方向Bの一方の側の端が前記方向Aに揃うとともに、前記方向Bの他方の側の端が前記方向Aに揃うように設けられ、且つ、前記方向Bに隣り合う線状部に設けられた傾斜模様部との間で、前記方向Aの一方の側の端が前記方向Bに揃うとともに、前記方向Aの他方の側の端が前記方向Bに揃うように設けられ、
前記複数の傾斜模様部のそれぞれは、周りの領域と表面粗さが異なり、且つ、互いに同一の表面粗さを有する四角形状の複数の微小領域の一辺を前記方向Aに沿って配置して、前記複数の微小領域を前記方向Aに沿って段状に配置することにより形成され、
前記サイドウォール表面のうち前記模様を除く部分の表面粗さをRaとし、前記複数の傾斜模様部のうち第1傾斜模様部の表面粗さをRa1とし、第1傾斜模様部と前記方向Aに隣り合う第2傾斜模様部の表面粗さをRa2としたとき、前記表面粗さRaは、Ra1>Ra>Ra2となる関係を有する、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記複数の微小領域は、前記サイドウォール表面をみたとき、互いに点接触又は線接触している、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第1傾斜模様部の表面粗さRa1と第2傾斜模様部の表面粗さRa2との差は、前記複数の線状部毎に異なるとともに、前記方向Bに沿って周期的に変動する、請求項4または5に記載の空気入りタイヤ。
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