JP5651223B1 - ファスナ付き収納体及びそのファスナ並びに収納体用連続シート - Google Patents

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Abstract

【課題】開閉ファスナを構成するファスナ半部の双方を、収納体の一方の面を構成するシートに取り付けるタイプのファスナ付き包装体において、開封開始動作を、押し込み動作によって行うことができ、比較的低コストで製造することができるようにする。【解決手段】収納体31は、正面側シート32と背面側シート33との2枚の柔軟性を有するシートの周囲を熱溶着などで接着した袋体である。正面側シート32には開封部34が形成されている。この開封部34を挟んで、上下両側に、第1ファスナ半部11の固定部14と、第2ファスナ半部21の固定部24とが、正面側シート32に接着されている。両ファスナ半部11、21は、雌雄嵌合部13、23で開閉可能なファスナ10を構成する。開封部34は、長手開封部35と、開封開始部36とを備える。開封開始部36から指fを背面側に差し込み、ミシン目等の長手開封部35を容易に破っていくことができる。【選択図】図1

Description

本発明は、ファスナ付き収納体及びそのファスナ並びに収納体用連続シートに関するものである。
一般に、ファスナ付き収納体は、開閉可能な一方と他方の一対のファスナ半部からなる開閉用のファスナをシートに取り付けて、収納体の開口を開閉可能にするものである。このファスナの取り付けに関しては、2つのタイプに分類できる。第1のタイプは、開閉可能な一方と他方の一対のファスナ半部を、上端開口を構成する対向する2面のシートのそれぞれに取り付けるタイプである。第2のタイプは、一対のファスナ半部を、収納体の一方の面を構成するシートに取り付けるタイプである。この第2のタイプは、取り付けたシートにおける、ファスナ半部とファスナ半部との間の部分に開口を設けて、開口を開くと共に、ファスナを開いて、被収納物を取り出すようにしたものである。
従来、この第2のタイプの収納体としては、特許文献1〜5のものが知られている。これらの特許文献にあっては、ファスナ半部及び/又はシートに、カットテープを設けて、このカットテープを引っ張ることで、開封部を容易に開口することが開示されている。
また、特許文献5にあっては、カットテープの他に、線状体や開封用粗面部を設けることも開示されている。
より詳しく説明すると、特許文献5の図3〜図6、図8及び図9には、ファスナー半部の基部とシートの両方を同時に切断できる強度を有する線状体を設けて、この線状体を引っ張ることで開封を行うものである。この線状体には、ナイロンモノフィラメント、金属線、綿糸、絹糸などを用いることができることが開示されている。
また、特許文献5の図1、図2及び図7には、開封用粗面部を有する収納体が示されている。この収納体には、特許文献5の図2や図7に示されるように、背シール部や突き合わせヒートシール部の上下両側に、一対のファスナ半部が固定されている。そして、背シール部の基部の上下両側、又は、突き合わせヒートシール部の基部の上下両側において、ラミネートシートの表面側に位置するフィルムに細幅の開封用粗面部が設けられている。各開封用粗面部は、背シール部又は突き合わせヒートシール部の基部における折り曲げ部に対応した部位に形成されている。各開封用粗面部は、フィルムにサンドペーパーを押し付けることでフィルムに貫通しない傷を形成することで作られる。この収納体を開封するには、背シール部又は突き合わせヒートシール部の端部を指で挟持し、背シール部又は突き合わせヒートシール部を収納体のシート面から離れる方向に引き上げ、背シール部又は突き合わせヒートシール部を折り曲げ部に沿って開封用粗面部により切断することで行うものである。
これらの特許文献1〜5に示されたカットテープ、線状体、開封用粗面部による開封方法は、いずれも、引っ張り動作によって開封をなすものであった。具体的には、カットテープ、線状体、背シール部又は突き合わせヒートシール部の端部を指で挟持し、収納体のシート面から離れる方向に引き上げることで、カットテープ、線状体、背シール部又は突き合わせヒートシール部をファスナ半部の長手方向に沿って切断するものである。また、カットテープ、線状体、背シール部又は突き合わせヒートシール部の長手方向の端部から、引き上げなければ、その開封が困難であった。即ち、開封開始位置を、収納体の両端に、実質的に限られていた。
さらに、シートにカットテープ、線状体を設けるものにあっては、シートとは別部材を取り付けるものであり、部品点数や製造コストの上昇を避けることができなかった。
特許第4526884号公報 特許第4787833号公報 特許第3761745号公報 特開平03−056248号公報 特許第3759683号公報
本発明は、開閉ファスナを構成するファスナ半部の双方を、収納体の一方の面を構成するシートに取り付けるタイプのファスナ付き包装体において、開封開始動作を、押し込み動作によって行うことができるようにしたファスナ付き包装体の提供を課題とする。
また、本発明は、開閉ファスナを構成するファスナ半部の双方を、収納体の一方の面を構成するシートに取り付けるタイプのファスナ付き包装体において、開封開始位置を、収納体の両端に限ることなく、収納体の中央においても配置することができるようにしたファスナ付き包装体の提供を課題とする。
さらに、本発明は、比較的低コストで製造することができるファスナ付き包装体の提供を課題とする。
また、本発明は、上記の課題を解決するのに適した収納体用ファスナ並びに収納体用連続シートの提供を課題とする。
本発明は、シートと、前記シートに設けられた開閉用のファスナとを備えた収納体であって、前記ファスナは、開閉可能な一方と他方のファスナ半部を備え、前記両ファスナ半部は、互いに着脱可能に嵌合する雌雄嵌合部と、前記シートに対する固定部とを備え、前記雌雄嵌合部と前記固定部とは、共に前記ファスナの長手方向に沿って形成されたものであり、前記両ファスナ半部のそれぞれは、前記収納体の分離されていない同一面シートに対して、前記固定部によって固定されたものであり、前記同一面シートにおける前記両ファスナ半部の間に開封部が設けられ、前記開封部が切り開かれることで、前記収納体の開封がなされるようにしたファスナ付き収納体の改良に関するものである。
本発明にあっては、前記開封部が、前記ファスナの長手方向に沿って前記同一面シートに設けられた長手開封部と、前記長手開封部に繋がるように前記同一面シートに設けられた開封開始部とを備える。前記開封開始部は、前記同一面シートに予め形成された切り目部分と、前記同一面シートを押し込むことで開かれる部分との少なくとも何れか一方であり、指を前記開封開始部から前記同一面シート内に差し込み、前記長手開封部を引き裂くことで、前記開封がなされる。
このように、本発明は、前記開封開始部は、前記同一面シートに予め形成された切り目部分と、前記同一面シートを押し込むことで開かれる部分との少なくとも何れか一方であり、開封開始動作を、押し込み動作によって行うことができるものである。
この開封開始部は、押し込み動作で開くことができるため、開封開始位置を、収納体の両端に限ることなく、収納体の中央においても配置することができる。
さらに、前記開封開始部の加工は、同一面シートに対して切り込みを入れるなどの簡単な加工を施すだけで形成することができるため、比較的低コストで製造することもできるものである。
本発明のより具体的な形態は、前記一方のファスナ半部は、基部と、前記基部の背面に設けられた前記雌雄嵌合部と、前記基部の正面に設けられた前記固定部とを備え、前記他方のファスナ半部は、基部と、前記基部の正面に設けられた前記雌雄嵌合部と、前記基部の正面に設けられた前記固定部とを備えたものである。そして、前記他方のファスナ半部の前記基部は中間部を備える。この中間部は、前記他方のファスナ半部の前記雌雄嵌合部と前記固定部とが前記ファスナの幅方向に距離を隔てて配置されることにより、前記雌雄嵌合部と前記固定部との間に設けられた部分であり、前記両ファスナ半部は、前記一方のファスナ半部の前記背面と前記他方のファスナ半部の前記正面とが向き合うように、それぞれの前記固定部によって前記同一面シートに対して固定され、前記ファスナの幅方向において、前記中間部と同じ位置に、前記開封部が配置されるものである。
前記他方のファスナ半部の前記基部は、前記中間部よりも正面側に突出する凸部を備え、前記凸部の正面が前記固定部とされたことで、良好に開封開始部を押し込んで開くことができる。
前記同一面シートは、収納体の一つの面をなすものとして実施すればよく、前記同一面シート自体か複数のシートを接合して構成されたものであってもよいが、接合されていない単一のシートとして実施することもできる。
また、前記長手開封部については、前記同一面シートに形成されたミシン目又はハーフカットラインとして実施することもでき、あるいは、同一面シートに刃物による加工を施すことなく実施することもできる。具体的には、前記同一面シートは方向性を有する延伸フィルムを備え、前記同一面シートのストレートカット性を示す易カット方向が前記ファスナの長手方向に沿った方向となるように、前記同一面シートが配置されることによって、前記長手開封部が形成されたものであってもよい。
本発明は、上記の収納体に好適に用いることができる収納体用ファスナをも提供するものである。この収納体用ファスナは、開閉可能な一方と他方のファスナ半部を備え、前記両ファスナ半部は、互いに着脱可能に嵌合する雌雄嵌合部と、固定部とを備え、前記両ファスナ半部の前記固定部のそれぞれが、収納体を構成する同一面シートに対して取り付けられる開閉用のファスナであって、前記一方のファスナ半部は、基部と、前記基部の背面に設けられた前記雌雄嵌合部と、前記基部の正面に設けられた前記固定部とを備え、前記他方のファスナ半部は、基部と、前記基部の正面に設けられた前記雌雄嵌合部と、前記基部の正面に設けられた前記固定部とを備える。そして、前記他方のファスナ半部の前記基部は中間部を備え、この中間部は、前記他方のファスナ半部の前記雌雄嵌合部と前記固定部とが前記ファスナの幅方向に距離を隔てて配置されることにより、前記雌雄嵌合部と前記固定部との間に設けられた部分である。前記両ファスナ半部は、前記一方のファスナ半部の前記背面と前記他方のファスナ半部の前記正面とが向き合うように、それぞれの前記固定部によって前記同一面シートに対して固定されるものであり、前記他方のファスナ半部の前記固定部は前記中間部よりも正面側に突出しており、前記中間部が前記雌雄嵌合部と前記固定部との双方よりも背面側に凹んだ凹部となっている。
また、本発明は、上記の収納体用ファスナを用いた収納体を提供する。この収納体は、収納体を構成するシートと、前記シートに設けられた前記の収納体用ファスナとを備えるものである。前記両ファスナ半部のそれぞれは、前記収納体の分離されていない同一面シートに対して、前記固定部によって固定されることにより、前記同一面シートと前記中間部との間に押し込み空間が形成される。そして、前記中間部の正面側における前記同一面シートに、前記ファスナの長手方向に沿って伸びる開封部が形成され、前記同一面シートを、前記開封部の少なくとも一部から前記押し込み空間内に押し込んで前記開封部の開封がなされるものである。
本発明は、開閉ファスナを構成するファスナ半部の双方を、収納体の一方の面を構成するシートに取り付けるタイプのファスナ付き包装体において、開封開始動作を、押し込み動作によって行うことができるようにした。
また、本発明の収納体にあっては、開封開始位置を、収納体の両端に限ることなく、収納体の中央においても配置することができる。
さらに、本発明の収納体にあっては、比較的低コストで製造することができる。
また、本発明は、上記の課題を解決するのに適した収納体用ファスナ並びに収納体用連続シートを提供することができたものである。
本発明の第1の実施の形態を示すもので、(A)は収納体の正面図、(B)は同収納体の開封状態の要部拡大断面図、(C)は同収納体の長手開封部の位置での要部拡大断面図、(D)は同収納体の開封開始部の位置での要部拡大断面図である。 (A)は本発明に係るファスナの変更例を示す要部拡大断面図であり、(B)は本発明に係るファスナの他の変更例を示す要部拡大断面図、(C)は本発明に係るファスナのさらに他の変更例を示す要部拡大断面図である。 (A)は本発明の第2の実施の形態に係る収納体の正面図、(B)〜(F)はそれぞれさらに他の変更例に係る収納体の正面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る収納体を製造するための連続シートの正面図である。
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。
(概要)
図1は、第1の実施の形態に係る収納体31を示すものである。この収納体31は、正面側シート32と背面側シート33との2枚の柔軟性を有するシートの周囲を熱溶着などで接着した袋体である。正面側シート32と背面側シート33とは、一層又は複数層のフィルムを備えた合成樹脂製を主体とするシートを好適に用いることができ、必要に応じて金属層や紙層を含む複合素材製のシートであってもよい。収納体31の形状は種々変更して実施することができ、襠部を有するものであってもよく、底部のシートを有するものであってもよく、さらに、一部が剛性の高い成形品で構成されたものであってもよい。正面側シート32は背面側シート33とは、別体のシート体から構成してもよく、連続した1枚のシートを折り畳んで正面と背面とに配置したものであってよい。
この収納体31の一つの面を構成する同一面シートのうち、正面側シート32と背面側シート33との少なくとも何れか一方(この例では正面側シート32)には、開封部34が形成されている。この開封部34を挟んで、上下両側に、第1ファスナ半部11の固定部14と、第2ファスナ半部21の固定部24とが、それぞれ熱溶着などで正面側シート32に接着されている。この第1ファスナ半部11と第2ファスナ半部21とは、雌雄嵌合部13と雌雄嵌合部23とが着脱可能に嵌合して、開閉可能なファスナ10を構成する。
以下、ファスナ10を構成する第1ファスナ半部11、第2ファスナ半部21の長手方向を左右方向(又は横方向)といい、第1ファスナ半部11、第2ファスナ半部21の幅方向を上下方向(又は縦方向)というが、これらは相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。
(第2ファスナ半部21について)
まず、第2ファスナ半部21から説明する。第2ファスナ半部21は、通常の合成樹脂製のファスナに用いられるものと同様のもので、基部22と、基部22の背面側に設けられた雌雄嵌合部23とを備える。雌雄嵌合部23の正面側の全面あるいは幅方向の一部が固定部24を構成し、固定部24と正面側シート32の背面側とが熱溶着などの接着によって固定されている。
この例では、第2ファスナ半部21は開封部34の下方に配置されているが、上方に配置することもできる。
(第1ファスナ半部11について)
次に、第1ファスナ半部11は、第2ファスナ半部21と嵌合する合成樹脂製のファスナ半部であり、基部12と、基部12の正面側に設けられた雌雄嵌合部13とを備える。この雌雄嵌合部13は、第2ファスナ半部21の雌雄嵌合部23と着脱可能に嵌合するものであり、第2ファスナ半部21の雌雄嵌合部23と上下方向において略同一位置に設けられたものであり、開封部34の下方に配置されている。なお、第2ファスナ半部21が開封部34の上方に配置された場合には、第1ファスナ半部11の雌雄嵌合部13も上方に配置される。図1の例では、第2ファスナ半部21の雌雄嵌合部23が突条の雄嵌合部、第1ファスナ半部11の雌雄嵌合部13が雌嵌合部として実施されているが、図2(A)に示すように、雌雄は逆にして実施することもでき、複数条の突条と凹溝とが互い嵌合する形状など、ファスナの雌雄嵌合部は種々変更して実施することができる。
第1ファスナ半部11の基部12は、上下方向において、開封部34の上下に渡って形成されており、開封部34の上方に固定部24が形成されている。第1ファスナ半部11の固定部14は、正面側に突出した凸部15の正面側の先端面に形成されており、正面側シート32の背面側に熱溶着などの接着によって固定されている。この例では、第1ファスナ半部11の雌雄嵌合部13と第2ファスナ半部21の雌雄嵌合部23とが嵌合した状態で、第1ファスナ半部11の固定部14と第2ファスナ半部21の固定部24とが略同一高さとなるように、凸部15が正面側に突出している。これによって、後述するように、開封動作を極めて円滑に行うことができると共に、正面側シート32に対する熱溶着も確実に行うことができるものである。
第1ファスナ半部11の基部12は、雌雄嵌合部13と固定部14との間に中間部16を備える。この中間部16は、雌雄嵌合部13及び固定部14(凸部15)に比して、背面側に凹んだ凹部となっている。これにより、中間部16と正面側シート32との間には、雌雄嵌合部13と固定部14(凸部15)との間に、押し込み空間39が形成されることになる。この中間部16並びに押し込み空間39に対応する位置であって、それらの正面側に位置する正面側シート32に、開封部34が形成されている。
(開封部34について)
開封部34は、正面側シート32に形成されたもので、上下方向において、第1ファスナ半部11の固定部14と、第2ファスナ半部21の固定部24との間に挟まれた位置に形成されている。開封部34は、左右方向に伸びる長手開封部35と、その適宜位置(この例では中央)に形成された開封開始部36とを備える。この例では、長手開封部35は正面側シート32に形成されたミシン目であり、開封開始部36は正面側シート32に形成された切り目部分である。この切り目部分は、指先が入る程度の大きさで、10〜40mm程度の左右長さを有するものとして実施することが適当である。切り目部分は、線状にカットされていればよく、その上下方向の幅は0mmで足りるが、数mm〜10mm程度の上下幅として実施することもできる。
図1に示すように、開封開始部36(切り目部分)と長手開封部35(ミシン目)とは、両ファスナ半部11、21の固定部14、24に沿って両ファスナ半部11、21の長手方向へ一直線上に配置されている。

(開封動作について)
開封に際しては、まず、開封開始部36から指fを押し込み空間39内に差し込む。この例では、開封開始部36は、予めカットされた切り目部分であり、また中間部16が前述のように凹部となっているため、無理なく指fを背面側に押し込むことができる。そして、差し込んだ指fを左右に動かすことで、ミシン目の長手開封部35を容易に破っていくことができる。勿論、開封開始部36に差し込んだ指で正面側シート32を摘むなどして、上下方向に引っ張る要領で長手開封部35を破るようにしてもよい。いずれにしても、開封開始部36を押し込み空間39に押し込むことで、開封開始部36からの開封を極めて容易に行うことができる。
(製造方法について)
この収納体31の製造は、極めて容易になすことができる。従来、この種のファスナ10は、ウエブ状に連続して送られる正面側シート32に対して、第1ファスナ半部11と第2ファスナ半部21とを嵌合させた状態で、第1ファスナ半部11の固定部14及び第2ファスナ半部21の固定部24が、熱溶着などで接着固定される。本発明の実施の形態では、この接着固定に先立って、正面側シート32に開封部34(長手開封部35及び開封開始部36)を押し切り装置などで形成するだけで足りる。このように、予め形成された開封部34の上下両側に第1ファスナ半部11の固定部14と第2ファスナ半部21の固定部24とが位置するように、位置合わせして接着を行うだけで足りるため、製造工程の数を多大にすることもなく、低コストで、製造することができる。
(第2の実施の形態)
図3(A)に、第2の実施の形態を示す。先の実施の形態にあっては、開封部34の長手開封部35をミシン目としたものであったが、この例では、長手開封部35をシートの性質を利用したストレートカット性のあるものとしている点が相違するものであり、他の点については、先の実施の形態に関する説明を適用できる。
この実施の形態では、収納体31を構成するシートのうち、少なくとも正面側シート32が方向性を有する延伸フィルムを備えるものである。この種のシートにあっては、延伸の縦方向である1方向にストレートカット性を示すものであり、このストレートカット性を示す易カット方向40が前記ファスナの長手方向に沿った方向(左右方向)となるように、正面側シート32が配置されることによって、長手開封部35が形成されたものである。従って、先の例と異なり、この実施の形態では、長手開封部35は正面側シート32の他の部分とは区別できない構成となっているが、切り目部分などによって開封開始部36を形成し、前述の要領で開封開始部36から指fを押し込み空間39に差し込み、差し込んだ指fを左右に動かすことで、ストレートカット性を示す易カット方向40に長手開封部35を容易に破っていくことができる。
図示は省略するが、この長手開封部35は、正面側シート32の表面から厚み方向の途中までに形成された凹溝であるハーフカットであってもよい。また、正面側シート32が複数枚のフィルムを積層したシートである場合には、その表面又は内部のフィルムを予め切断したり、同フィルムにミシン目を形成したりした弱め線を備えたシートとして実施し、その弱め線によって長手開封部35を形成するようにすることもできる。
このように、長手開封部35は、ファスナ10の長手方向に沿う方向に、容易に切り裂くことができる種々の手段に変更して実施することができる。
(開封開始部36の変更例)図3(B)に、開封開始部36の変更例を示す。先の2つの実施の形態にあっては、開封開始部36を切り目部分としたものであったが、この例では、開封開始部36をミシン目で構成したものであり、他の点については、先の何れの実施の形態に関する説明をも適用できる。この図3(B)の例では、長手開封部35についてもミシン目としているが、開封開始部36のミシン目の方が長手開封部35のミシン目よりも小さな力で開封できるように、ミシン目の数を密にしたり、幅を大きくしたりしするなどすることが望ましい。このように、開封開始部36は、長手開封部35よりも小さな力で開封できるようにしたり、或いは予め開封されている切り目として実施したりすることで、最弱押し込み部分となるようにしておくことが、開封の容易性と正面側シート32の無用な開封を防止する点で好ましい。但し、指fで破ることができることを条件に、長手開封部35と開封開始部36とを同じミシン目で構成することも可能である(図3(C)参照)。その場合には、長手開封部35と開封開始部36との区別は無くなり、開封部34の何れの箇所からも開封することができるが、使用者が迷わないように、矢印などで開封位置を示しておくこともできる。このような開封位置の表示は、他の例にあっても設けておくことが望ましい。
図3(D)は、開封開始部36についてミシン目を採用し、長手開封部35についてストレートカット性を示す易カット方向40をファスナ10の長手方向とした第2の実施の形態の例を採用したものである。図3(E)は、開封開始部36について、収納体31の中央ではなく、正面側シート32の左右の端に配置した例であり、図3(F)は、開封開始部36を複数箇所に配置した例である。図示は省略するが、長手開封部35についても複数本を平行に設けるなど、種々変更して実施することができる。
このように、開封部34(長手開封部35、開封開始部36)の構成については、その構造や数や大きさなど種々変更して実施することができ、種々の組み合わせで実施することができる。
(第1ファスナ半部11の変更例)第1ファスナ半部11の凸部15については、前述したように、嵌合状態の雌雄嵌合部13と雌雄嵌合部23との厚みに略等しい高さに、突出させて、その先端の固定部14と、第2ファスナ半部21の固定部24とが略同じ高さとなるようにすることが最も望ましいが、図2(B)に示すように、両者の高さに若干の相違を設けて実施することもできる。図2(B)の例では、凸部15の高さを、嵌合状態の雌雄嵌合部13と雌雄嵌合部23との厚みの約2分の1としているが、3分の1以上程度でもよい。また、凸部15を全く設けずに固定部14と中間部16とを同じ高さとして実施することも不可能ではないが、開封部34の押し込みを良好になす観点や、正面側シート32に対する熱溶着などの接着を良好になす観点からは、凸部15を設けて実施することが望ましい。
(図2(C)について)
また、前述までの実施の形態では、両ファスナ半部11、21の基部12、22の図示下端の下方への長さを略同じ長さとしていたが、両者の長さを異なるようにしてもよい。特に、図2(C)に示すように、第1ファスナ半部11の基部12を、第2ファスナ半部21の基部22よりも下方に長く伸ばすことも好ましい。このように、ファスナ10の幅方向(図2の上下方向)において、第1ファスナ半部11の基部12の端部に延長部17を設けて、この延長部17を、第2ファスナ半部21の基部22よりも幅方向に突出するようにしておく。これによって、両ファスナ半部11、21の基部12、22を、固定部14、12において正面側シート32に熱溶着する際に、延長部17も正面側シート32に対して、軽く熱溶着され、仮接合部18が形成される。なお、図では、仮接合部18の厚みが大きく描かれているが、実際は正面側シート32や延長部17等が厚み方向に自然と曲がるため、仮接合部18が厚み自体は、他の固定部14、24と同じでよい。但し、延長部17の厚みを他の固定部14、24と異なるように(例えば厚みを厚くして仮接合が確実に行なわれるように、もしくは、厚みを薄くして仮接合の強度を調整するように)してもよい。
このように、延長部17による仮接合部18を設けることで、被収納物を収納した収納体31が保管中や移送中に、雌雄嵌合部13、23が外れることがあっても、仮接合部18によって収納体31の内外の連通が阻止され得る可能性が高くなる。
他方、開封に際しては、開封部34から開封され、雌雄嵌合部13、23が外される際に、第1ファスナ半部11の基部12及びその延長部17と、正面側シート32とが、離反するように図示左右に強く引っ張られるため、この延長部17の仮接合部18が外れて、収容体31の内外を連通させることができる。
従って、この延長部17の仮接合部18は、不用意には外れないが、意図的な開封時には外れるように、適当な面積とすることが望ましい。具体的には、延長部17は3〜10mm程度の幅方向(図の上下方向)の長さがあれよいが、この数値に本発明を限定して理解されるべきではない。
また、材質を工夫して、正面側シート32に対する接着強さを、固定部14、24を強く、延長部17を弱く接着されるようにしてもよい。例えば、延長部17を含む両ファスナ半部11、12全体をポリプロピレンなどの溶着温度の高い素材で形成し、両固定部14、24の正面側の面に、ポリエチレン等の溶着温度の低い素材のフィルムを積層するなどして配置する。そして、正面側シート32の少なくとも背面側を熱溶着温度の低い素材で構成し、ポリエチレンの溶着温度であってポリプロピレンの溶着温度未満の温度で加熱圧着することで、弱く接着した状態としてもよい。
(図4について)
本発明に係る収納体31を工業的に量産する場合、袋の連続製造の常法に従い、図4に示す連続シート51の形態を採るものを製造して、この連続シート51に対して収納物を収納しながら又は収納せずに各収納体31を製造することができる。この連続シート51は、収納体31を構成できる正面側シート32(又は必要に応じて正面側シート32の背面に背面側シートを配置して左右のサイドシールを施し筒状となった2枚のシート体でもよい)を、複数枚分長手方向(図4の上下方向)に連続して配置したものである。この例では、図1の収納体31を連続生産できるものを示すが、他の実施の形態に係る収納体31であってもよい。
この連続シート51には、各収納体31毎に、等間隔で前述の開閉用のファスナが配置され、固定部14、24で固定されている。そして、固定部14、24の間に、開封部34(長手開封部35及び開封開始部36)が正面側シート32に等間隔で形成されている。この連続シート51は、通常ロール状に巻回されて保管移送され、収納体31の完成工程にて、収納体31と収納体31との間の境界部分52に、袋の天部のシールと底部のシールとが施されると共に切断され、一つずつの収納体31が完成させられる。なお、連続した状態の連続シート51の境界部分52には、袋の天部のシールと底部のシールとを予め施しておかないことが一般的であるが、底部シールのみを施したり、両シールを施しておくようにしたり、種々変更して実施し得るものである。
10 ファスナ
11 第1ファスナ半部
12 基部
13 雌雄嵌合部
14 固定部
15 凸部
16 中間部
21 第2ファスナ半部
22 基部
23 雌雄嵌合部
24 固定部
25 凸部
26 中間部
31 収納体
32 正面側シート
33 背面側シート
34 開封部
35 長手開封部
36 開封開始部
39 押し込み空間
40 ストレートカット性を示す易カット方向
51 連続シート

Claims (7)

  1. シートと、前記シートに設けられた開閉用のファスナとを備えた収納体であって、
    前記ファスナは、開閉可能な一方と他方のファスナ半部を備え、
    前記両ファスナ半部は、互いに着脱可能に嵌合する雌雄嵌合部と、前記シートに対する固定部とを備え、
    前記雌雄嵌合部と前記固定部とは、共に前記ファスナの長手方向に沿って形成されたものであり、
    前記両ファスナ半部のそれぞれは、前記収納体の分離されていない同一面シートに対して、前記固定部によって固定されたものであり、
    前記同一面シートにおける前記両ファスナ半部の間に開封部が設けられ、前記開封部が切り開かれることで、前記収納体の開封がなされるようにしたファスナ付き収納体において、
    前記一方のファスナ半部は、基部と、前記基部の背面に設けられた前記雌雄嵌合部と、前記基部の正面に設けられた前記固定部とを備え、
    前記他方のファスナ半部は、基部と、前記基部の正面に設けられた前記雌雄嵌合部と、前記基部の正面に設けられた前記固定部とを備え、
    前記他方のファスナ半部の前記基部は、中間部を備え、
    前記中間部は、前記他方のファスナ半部の前記雌雄嵌合部と前記固定部とが前記ファスナの幅方向に距離を隔てて配置されることにより、前記雌雄嵌合部と前記固定部との間に設けられた部分であり、
    前記両ファスナ半部は、前記一方のファスナ半部の前記背面と前記他方のファスナ半部の前記正面とが向き合うように、それぞれの前記固定部によって前記同一面シートに対して固定され、
    前記ファスナの幅方向において、前記中間部と同じ位置に、前記開封部が配置され、
    前記開封部は、前記ファスナの長手方向に沿って前記同一面シートに設けられた長手開封部と、前記長手開封部に繋がるように前記同一面シートに設けられた開封開始部とを備え、
    前記開封開始部は、前記同一面シートに予め形成された10〜40mmの左右長さを有する切り目部分であり、
    前記長手開封部は、前記同一面シートに形成されたミシン目であり、
    前記切り目部分と前記ミシン目とは、前記両ファスナ半部の前記固定部に沿って前記両ファスナ半部の長手方向へ一直線上に配置され、
    指を前記開封開始部から前記同一面シート内に差し込み、前記長手開封部を引き裂くことで、前記開封がなされるものであることを特徴とするファスナ付き収納体。
  2. 前記他方のファスナ半部の前記基部は、前記中間部よりも正面側に突出する凸部を備え、前記凸部の正面が前記固定部とされたことを特徴とする請求項1記載のファスナ付き収納体。
  3. 前記他方のファスナ半部の前記基部は、固定部と中間部とが同じ高さであることを特徴とする請求項1記載のファスナ付き収納体。
  4. シートと、前記シートに設けられた開閉用のファスナとを備えた収納体であって、
    前記ファスナは、開閉可能な一方と他方のファスナ半部を備え、
    前記両ファスナ半部は、互いに着脱可能に嵌合する雌雄嵌合部と、前記シートに対する固定部とを備え、
    前記雌雄嵌合部と前記固定部とは、共に前記ファスナの長手方向に沿って形成されたものであり、
    前記両ファスナ半部のそれぞれは、前記収納体の分離されていない同一面シートに対して、前記固定部によって固定されたものであり、
    前記同一面シートにおける前記両ファスナ半部の間に開封部が設けられ、前記開封部が切り開かれることで、前記収納体の開封がなされるようにしたファスナ付き収納体において、
    前記一方のファスナ半部は、基部と、前記基部の背面に設けられた前記雌雄嵌合部と、前記基部の正面に設けられた前記固定部とを備え、
    前記他方のファスナ半部は、基部と、前記基部の正面に設けられた前記雌雄嵌合部と、前記基部の正面に設けられた前記固定部とを備え、
    前記他方のファスナ半部の前記基部は、中間部を備え、
    前記中間部は、前記他方のファスナ半部の前記雌雄嵌合部と前記固定部とが前記ファスナの幅方向に距離を隔てて配置されることにより、前記雌雄嵌合部と前記固定部との間に設けられた部分であり、
    前記両ファスナ半部は、前記一方のファスナ半部の前記背面と前記他方のファスナ半部の前記正面とが向き合うように、それぞれの前記固定部によって前記同一面シートに対して固定され、
    前記ファスナの幅方向において、前記中間部と同じ位置に、前記開封部が配置され、
    前記他方のファスナ半部の前記基部は、前記中間部よりも正面側に突出する凸部を備え、前記凸部の正面が前記固定部とされ、
    前記両ファスナ半部のそれぞれは、前記収納体の分離されていない同一面シートに対して、前記固定部によって固定されることにより、前記凸部と前記雌雄嵌合部との間における前記中間部と、前記同一面シートとの間に、押し込み空間が形成されたものであり、
    前記開封部は、前記ファスナの長手方向に沿って前記同一面シートに設けられた長手開封部と、前記長手開封部に繋がるように前記同一面シートに設けられた開封開始部とを備え、
    前記開封開始部は、前記長手開封部よりも弱い力で前記同一面シートを前記押し込み空間へ押し込むことで開かれる最弱押し込み部分あることを特徴とするファスナ付き収納体。
  5. 前記他方のファスナ半部は、前記基部の幅方向の先端側に延長部を備え、前記延長部を前記同一面シートに対して仮接着したものであり、
    前記仮接着は、前記固定部と前記同一面シートとの接着よりも弱い接着であり、前記開封部の開封し前記雌雄嵌合部を外して、手で前記仮接着を外すことができるようにした請求項1〜4の何れかに記載のファスナ付き収納体。
  6. 前記開封開始部は、前記長手開封部の中央に形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のファスナ付き収納体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のファスナ付き収納体を製造するための収納体用連続シートであって、
    前記収納体を構成できるシートを複数枚分長手方向に連続して配置した連続シートと、前記連続シートに取り付けられた複数の開閉用の前記ファスナとを備え、
    前記ファスナは、1つの前記収納体を構成できる前記シート毎に前記連続シートに配置されたものであり、
    前記両ファスナ半部のそれぞれは、前記連続シートを前記同一面シートとして、前記固定部によって固定されたものであることを特長とする収納体用連続シート。
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