以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)本明細書で開示される包装容器では、挿入部の上方には、互いに接合されている側フラップと上フラップが位置していてもよい。この構成によれば、挿入部に挿入した手指で互いに接合されている上フラップと側フラップとを同時に上方に引き上げることができる。
(特徴2)本明細書で開示される包装容器では、第1カットラインは、前後方向のうち挿入部が位置する側の端から前後方向の中間位置まで前後方向に対して上方に傾斜し、前後方向の中間位置から下方に傾斜してもよい。この構成によれば、第1カットラインが傾斜せずに延びている場合と比較して、第1カットラインを破断させ易くすることができる。
(特徴3)本明細書で開示される包装容器では、挿入部が位置する側の左右側フラップのそれぞれの第2カットラインは、左右方向の中間位置において上方に湾曲していてもよい。挿入部は、第2カットラインの湾曲部分によって画定されていてもよい。この構成によれば、挿入部、即ち、第2カットラインの湾曲部分の下方を包装容器の内側に押圧することによって、第2カットラインが破断され、側フラップを貫通して容易に手指を挿入することができる。
(特徴4)本明細書で開示される包装容器では、挿入部が位置する側の上フラップと下フラップとの隙間において、左側フラップと、右側フラップとは、隙間を有して配置されていてもよい。挿入部は、上フラップと下フラップとの隙間と、左側フラップと右側フラップとの隙間と、によって形成される開口を有していてもよい。開口は、第2カットラインに連結されていてもよい。挿入部が位置する側の左右側フラップには、第2カットラインの上方であって、上フラップと左右側フラップとが接合されている位置よりも下方に、開口から左右側板まで配置されている第3カットラインが配置されていてもよい。この構成によれば、挿入部に手指を挿入して、上フラップを上方に回動させることによって、側フラップを第3カットラインで分離させることができる。この結果、側フラップの上フラップに接合されている箇所を、側フラップのその他の部分から分離することができる。第2カットラインと第3カットラインとの間に位置する側フラップを把持して外側に開くことによって、第2カットラインから第1カットラインまで破断させることができる。
(特徴5)本明細書で開示される包装容器では、挿入部は、左右側フラップにおいて、第2カットラインと、第2カットラインと上下方向に間隔を有して左右方向に配置されている第4カットラインと、によって画定されていてもよい。第4カットラインは、左右側板まで延びており、第1カットラインと間隔を有して並んでいてもよい。この構成によれば、第2カットラインと第4カットラインとを破断させて、側フラップを開くことによって、挿入部に容易に手指を挿入することができる。また、第4カットラインが第1カットラインと並んで配置されているため、第4カットラインと第1カットラインとを破断させて、前後方向の中間位置まで、包装容器を上下に分離することができる。さらに、第4カットラインは、包装容器を一巡していないため、破断片が包装容器から分離することを回避することができる。
(特徴6)本明細書で開示される包装容器では、挿入部は、左右側フラップのいずれかの第2カットラインと上下方向に間隔を有して左右方向に配置されている第5カットラインと、第2カットラインと、第5カットラインの一端から第2カットラインまで延びる第6カットラインによって画定されていてもよい。第5カットラインは、左右側板まで延びており、第1カットラインと間隔を有して並んでいてもよい。この構成によれば、第2カットラインと第5カットライン及び第1カットラインと第5カットラインを破断させて、側フラップを開くことによって、挿入部に容易に手指を挿入することができる。また、第5カットラインの端において、第2カットラインと第5カットラインとの間の側フラップが第6カットラインで切断されている。このため、第2カットラインと第5カットラインとを破断させる際に、第2カットラインと第5カットラインとの間の側フラップに第6カットラインを挟んで隣接する部分を押圧することによって、指を内側に挿入することができ、第2カットラインと第5カットラインとの間の側フラップを指で引掛けて、破断させることができる。
(特徴7)本明細書で開示される包装容器では、左右側フラップのそれぞれは、上フラップとの接合部分を囲む第7カットラインを有していてもよい。第1カットラインと第2カットラインとで包装容器を上下に分断した後、左右側フラップが第7カットラインで破断されることによって、上フラップが第7カットラインよりも接合部分側の左右側フラップと共に天板に対して外側に回動可能であってもよい。左右側板は、上フラップと共に回動する左右側フラップに伴って、天板に対して内側に回動可能であってもよい。この構成によれば、包装容器を上下に分離した後に、第7カットラインを破断させることによって、上側の部分の厚みを薄くするように折りたたむことができる。なお、包装容器を上下に分離した後の下側の部分を容易に折りたたむ構成を有していてもよい。即ち、左右側フラップのそれぞれは、下フラップとの接合部分を囲むカットラインを有していてもよい。第1カットラインと第2カットラインとで包装容器を上下に分断した後、左右側フラップが上記のカットラインで破断されることによって、下フラップが上記のカットラインよりも接合部分側の左右側フラップと共に底板に対して外側に回動可能であり、左右側板は、下フラップと共に回動する左右側フラップに伴って、底板に対して内側に回動可能であってもよい。
(特徴8)本明細書で開示される包装容器では、左右側板と左右側フラップとのそれぞれの連結部分には、第8カットラインが配置されていてもよい。この構成によれば、包装容器を上下に分離した後に、第8カットラインを破断させることによって、側板と側フラップとを分離することによって、上下それぞれの部分の厚みを薄くするように展開することができる。
(第1実施例)
図1は包装容器100の背面斜視図を示し、図2は包装容器100の正面斜視図を示す。図3は包装容器100の展開図を示す。包装容器100は、天板10と側板12と底板14と側板16とが連結され、筒状体が形成されている。包装容器100は、いわゆるラップアラウンド形式の包装容器である。即ち、天板10は、底板14と間隔を有して対向しており、側板12は、側板16と間隔を有して対向している。図3に示すように、包装容器100は、1枚の平板状の紙製(例えば厚紙、段ボール紙等)ブランクBL1から作製される。ブランクBL1では、天板10と側板12と底板14と側板16が順に連結されている。包装容器100は、天板10と側板12と底板14と側板16をブランクBL1の状態から四角筒状に折り畳み、側板16の上端部の接着片18を天板10の内面に接着することによって作製されている。
図1に示すように、包装容器100の後端は、上フラップ20と下フラップ30と左右の側フラップ40,50とによって閉塞されている。側フラップ40は、側板12の後端辺に回動可能に連結されている。側フラップ40は、側板12から包装容器100の左右方向の中央まで延びている。側フラップ40には、側フラップ50が隣接して配置されている。側フラップ50は、側板16の後端辺に回動可能に連結されている。側フラップ50は、側板16から包装容器100の左右方向の中央まで延びている。これにより、筒状体の後端は、側フラップ40,50によって閉口されている。
側フラップ40,50の後面には、上フラップ20と下フラップ30とが重ね合されている。上フラップ20は、天板10の後端辺に回動可能に連結されている。上フラップ20は、側フラップ40,50と、接着領域G1,G2(図3の斜線領域)のそれぞれに塗布された接着剤によって接着されている。接着領域G1は、上フラップ20と側フラップ40とが重なる領域のうちの一部の領域である。接着領域G2は、上フラップ20と側フラップ50とが重なる領域のうちの一部の領域である。
上フラップ20の下端辺は、天板10と平行に延びている。上フラップ20の下方には、上フラップ20の下端辺から離間して下フラップ30が配置されている。下フラップ30の上端辺は、上フラップ20の下端辺と平行に配置されている。下フラップ30は、底板14の後端辺に回動可能に連結されている。下フラップ30は、側フラップ40,50と、接着領域G3,G4(図3の斜線領域)のそれぞれに塗布された接着剤によって接着されている。接着領域G3は、下フラップ30と側フラップ40とが重なる領域のうちの一部の領域である。接着領域G4は、下フラップ30と側フラップ50とが重なる領域のうちの一部の領域である。
上フラップ20の下端辺と下フラップ30の上端辺との隙間から、側フラップ40,50が露出している。上フラップ20と下フラップ30との隙間では、側フラップ40は、左右方向の全長に亘って、カットライン42が配置されている。カットライン42には、側フラップ40を貫通する複数のスリットが断続的に配置されている。なお、以下では、「カットライン」とは、特別に説明を記載する場合を除き、カットラインが配置されている板又はフラップを貫通する複数のスリットが断続的に配置されていることを意味する。なお、「カットライン」のスリットは、カットライン42のように、屈曲されたスリットもあれば、直線状のスリットもある。カットライン42は、包装容器100の左右方向の中央から下フラップ30の上端辺に平行に配置され、中間位置で上方に湾曲する湾曲部分44が設けられている。湾曲部分44よりも側板12側では、カットライン42は、上方に向かって傾斜している。湾曲部分44で囲まれる位置には、湾曲部分44に画定されている挿入部46が配置されている。
側フラップ50は、側フラップ40と同様の構成を有する。即ち、側フラップ50は、カットライン42と同様のカットライン52と、湾曲部分44と同様の湾曲部分54と、挿入部46と同様の挿入部56と、を備える。
図2に示すように、包装容器100の前端は、上フラップ22と下フラップ32と左右の側フラップ60,70とによって閉塞されている。側フラップ60は、側板12の前端辺に回動可能に連結されている。側フラップ60は、側フラップ40と同様に側板12から包装容器100の左右方向の中央まで延びている。側フラップ60には、側フラップ70が隣接して配置されている。側フラップ70は、側板16の前端辺に回動可能に連結されている。側フラップ70は、側板16から包装容器100の左右方向の中央まで延びている。これにより、筒状体の前端は、側フラップ60,70によって閉口されている。
側フラップ60,70の前面には、上フラップ22と下フラップ32とが重ね合されている。上フラップ22は、天板10の前端辺に回動可能に連結されている。上フラップ22は、側フラップ60,70と、接着領域G5,G6(図3の斜線領域)のそれぞれに塗布された接着剤によって接着されている。接着領域G5は、上フラップ22と側フラップ60とが重なる領域のうちの一部の領域である。接着領域G6は、上フラップ22と側フラップ70とが重なる領域のうちの一部の領域である。
上フラップ22の下端辺から離間して下フラップ32が配置されている。下フラップ32の上端辺は、上フラップ22の下端辺と平行に配置されている。上フラップ22の下端辺は、上フラップ20の上端辺よりも上方に位置する。即ち、上フラップ22と下フラップ32との隙間は、上フラップ20と下フラップ30との隙間よりも広い。下フラップ32は、底板14の前端辺に回動可能に連結されている。下フラップ32は、側フラップ60,70と、接着領域G7,G8(図3の斜線領域)のそれぞれに塗布された接着剤によって接着されている。接着領域G7は、下フラップ32と側フラップ60とが重なる領域のうちの一部の領域である。接着領域G8は、下フラップ32と側フラップ70とが重なる領域のうちの一部の領域である。
上フラップ22の下端辺と下フラップ32の上端辺との隙間から露出する側フラップ60,70には、それぞれ、左右方向全長に亘って、カットライン62,72が配置されている。カットライン62,72は、カットライン42,52よりも低い位置に設けられている。
側板12には、カットライン42とカットライン62とに連結されるカットライン12aが配置されている。カットライン12aは、前端において、カットライン62と連結され、上方に向かって傾斜しつつ後方に向かって延び、前後方向の中間位置から後端までは、下方に向かって傾斜しつつ後方に向かって延びる。そして、カットライン12aは、後端において、カットライン42と連結されている。
側板16には、カットライン12aと同様のカットライン16aが配置されている。この結果、包装容器100では、カットライン42,52,12a,16a,62,72が周方向に一巡している。これにより、包装容器100は、カットライン42,52,12a,16a,62,72によって、上部102と下部104に区切られている。
図3に示すように、側フラップ40には、接着領域G1を囲むように、カットライン48が配置されている。また、側フラップ40には、接着領域G3を囲むように、カットライン49が配置されている。カットライン48,49では、カットライン42等よりも短いスリットが断続的に配置されている。カットライン48,49は、ぞれぞれ、接着領域G1,G3に沿って屈曲している。側フラップ50にも同様に、接着領域G2を囲むように、カットライン58が配置されており、接着領域G4を囲むように、カットライン59が配置されている。
側フラップ60には、接着領域G5を囲むように、カットライン68が配置されている。また、側フラップ60には、接着領域G7を囲むように、カットライン69が配置されている。カットライン68,69では、カットライン62等よりも短いスリットが断続的に配置されている。カットライン68,69は、ぞれぞれ、接着領域G5,G7に沿って屈曲している。側フラップ70にも同様に、接着領域G6を囲むように、カットライン78が配置されており、接着領域G8を囲むように、カットライン79が配置されている。
次いで、包装容器100の開封方法を説明する。図4に示すように、使用者は、手指で挿入部46,56を包装容器100の内側に押圧し、挿入部46,56を包装容器100の内側に倒して、手指を包装容器100に挿入する。これにより、使用者は、手指で側フラップ40,50を引掛けて、上方かつ前方(図4の矢印の方向)に向けて、包装容器100の上部102を引っ張り上げる。このとき、下部104は、包装容器100内の物品の重みによって、上部102に伴って引き上げられることが抑制されている。これにより、カットライン42,52,12a,16a,62,72が破断して、上部102と下部104とが分離する。
側フラップ40,50と上フラップ20とが接着されているために、上部102を引っ張り上げる際に、側フラップ40,50と上フラップ20がしっかりと固定されている。これにより、使用者は、容易に手指で側フラップ40,50を引掛けて、上部102を引っ張り上げることができる。
この構成によれば、ラップアラウンド形式の包装容器100を容易に、上部102と下部104に分離することができる。また、上部102と下部104とが分離した後は、破片等が上部102、下部104から分離しない。
図5に示すように、下部104は、包装容器100に収容されていた商品を陳列する際に用いることもできる。包装容器100の前側のカットライン62,72が比較的に下方に配置されているために、下部104の前端側を低くすることができる。この結果、陳列時に、商品を見やすくすることができる。
また、包装容器100に、図5に示されるように円筒形状の商品が包装されている状況では、挿入部46,56を商品の間に配置することによって、挿入部46,56を包装容器100の内側に倒すスペースを確保することができる。
上部102及び下部104を分離した後、上部102をできるだけ嵩張らないように薄くすることが好ましい。使用者は、図8に示す状態から、側フラップ40,50,60,70を、カットライン48,58,68,78で破断させて上フラップ20,22を外側に引っ張って、天板10に対して回動させる。この結果、側フラップ40,50,60,70のうち、上フラップ20,22に接着されている部分は、上フラップ20,22と共に回動する。一方、上フラップ20,22に接着されていない部分によって、側板12,16は、天板10に対して内側に回動させるように引っ張られる。これにより、図9に示すように、上部102は、薄く折りたたまれる。
同様に、図6に示すように、下部104は、陳列が終了した後、できるだけ嵩張らないように薄くすることが好ましい。使用者は、側フラップ40,50,60,70を、カットライン49,59,69,79で破断させて下フラップ30,32を外側に引っ張って、底板14に対して回動させる。この結果、側フラップ40,50,60,70のうち、下フラップ30,32に接着されている部分は、下フラップ30,32と共に回動する一方、接着されていない部分によって、側板12,16が、底板14に対して内側に回動させるように引っ張られる。これにより、図7に示すように、下部104は、薄く折りたたまれる。
(第2実施例)
図10は包装容器200の背面斜視図を示し、図11は包装容器200の正面斜視図を示す。図12は包装容器200の展開図を示す。包装容器200は、包装容器100と同様に、天板10と側板12と底板14と側板16とが連結され、筒状体が形成されている。図12に示すように、包装容器200は、1枚の平板状のブランクBL2から作製される。
図10に示すように、包装容器200の後端は、上フラップ220と下フラップ230と左右の側フラップ240,250とによって一部が閉塞されている。上フラップ220と下フラップ230とは、包装容器100の上フラップ20と下フラップ30と同様の構成を有する。側フラップ240は、側板12の後端辺に回動可能に連結されている。側フラップ240は、上フラップ220及び下フラップ230と重複する部分では、側板12から包装容器200の左右方向の中央まで延びている一方、上フラップ220及び下フラップ230との隙間に位置する部分は、側板12と包装容器200の左右方向の中央との中間位置まで延びている。
側フラップ240に隣接する側フラップ250は、側板16の後端辺に回動可能に連結されている。そして、側フラップ250は、側フラップ240と包装容器200の左右方向の中央において面対称の形状を有する。これにより、筒状体の後端では、上フラップ220及び下フラップ230との隙間に、側フラップ240,250とが離間することによって開口する挿入部246が画定されている。
側フラップ240には、挿入部246の開口の側板12側であってその下端から側板12との連結位置まで延びるカットライン242が配置されている。カットライン242は、挿入部246から側板12に向かって上方に傾斜している。側フラップ250のカットライン252も同様である。
カットライン242は、側板12のカットライン12aと連結している。カットライン252は、側板16のカットライン16aと連結している。
図11に示すように、包装容器200の前端は、包装容器100と同様に、上フラップ22と下フラップ32と左右の側フラップ60,70とによって閉塞されている。各フラップ22,32,60,70の構成は、包装容器100と同様である。但し、側フラップ60,70には、折りたたみやすいように、スリット64,74が配置されている。カットライン62,72は、カットライン242,252よりも低い位置に設けられている。カットライン12aは、前端においてカットライン62と連結されている。カットライン16aは、前端においてカットライン72と連結されている。この結果、包装容器200では、カットライン242,252,12a,16a,62,72が、カットライン242,252の間で挿入部246を挟んで、周方向に一巡している。これにより、包装容器200は、カットライン242,252,12a,16a,62,72によって、上部202と下部204に区切られている。
側フラップ240には、接着領域G1とカットライン242との間に、カットライン248が配置されている。カットライン248は、挿入部246の側板12側の端の上端付近に連結されている。カットライン248は、カットライン242から上方に離間して配置されている。側フラップ250には、カットライン248と同様のカットライン258が配置されている。また、側フラップ240,250には、カットライン49,59と同様のカットライン249,259が配置されている。
次いで、包装容器200の開封方法を説明する。図13に示すように、使用者は、手指を挿入部246に挿入して、カットライン248,258を破断させて、上フラップ220とカットライン248,258の間の側フラップ240,250とを、包装容器200の内側から外側に引き上げる。これにより、上フラップ220は、カットライン248,258の間で上フラップ220に接着されている側フラップ240,250と共に、天板10に対して回動する。次いで、図14に示すように、使用者は、側フラップ240のカットライン242とカットライン248との間の破断片240aを把持して、側板12側に引っ張る。これと同時に、使用者は、側フラップ250のカットライン252とカットライン258との間の破断片250aを把持して、側板16側に引っ張る。これにより、カットライン242,12aが破断するとともに、カットライン252,16aが破断する。
最後に、使用者は、包装容器200の上部202を把持して上方に引き上げることによって、包装容器200を上部202と下部204に分離することができる。
上部202及び下部204は、包装容器100の上部102及び下部104と同様に、分離後に平らに折りたたむことができる。
(第3実施例)
図15は包装容器300の背面斜視図を示し、図16は包装容器300の正面斜視図を示す。図17は包装容器300の展開図を示す。包装容器300は、包装容器100と同様に、天板10と側板12と底板14と側板16とが連結され、筒状体が形成されている。図17に示すように、包装容器300は、1枚の平板状のブランクBL3から作製される。
図16に示すように、包装容器300の前端は、包装容器100と同様に、上フラップ22と下フラップ32と左右の側フラップ60,70とによって閉塞されている。各フラップ22,32,60,70の構成は、包装容器100と同様である。側フラップ60と側板12との境界の角部には、上下方向に延びるカットライン312dが配置されている。側フラップ70と側板16との境界の角部にも、カットライン312dと同様のカットライン316dを有する。
図15に示すように、包装容器300の後端は、上フラップ320と下フラップ330と左右の側フラップ340,350とによって全体に閉塞されている。上フラップ320と下フラップ330とは、包装容器100の上フラップ20と下フラップ30と同様の構成を有する。側フラップ340は、側板12の前端辺に回動可能に連結されている。側フラップ340は、側板12から包装容器300の左右方向の中央まで延びている。
側フラップ340に隣接する側フラップ350は、側板16の前端辺に回動可能に連結されている。側フラップ350は、側フラップ340と包装容器300の左右方向の中央において面対称の形状を有する。
上フラップ320の下端辺と下フラップ330の上端辺との隙間から露出する側フラップ340には、左右方向全長に亘って、カットライン342が配置されている。カットライン342は、包装容器300の左右方向の全長に亘って下フラップ330の上端辺に平行に配置されている。側フラップ340には、さらに、左右方向全長に亘って、カットライン344が配置されている。カットライン344は、カットライン342の上方であって上フラップ320の下端辺の下方に配置されている。カットライン344は、包装容器300の左右方向の全長に亘ってカットライン344と平行に配置されている。
上フラップ320の下端辺と下フラップ330の上端辺との隙間から露出する側フラップ350には、側フラップ340のカットライン342,344と同様のカットライン342,354が配置されている。
側板12には、カットライン342,344のそれぞれに連結するカットライン312a,312bが配置されている。カットライン312aは、後端において、カットライン342と連結され、上方に向かって傾斜しつつ前方に向かって延び、前後方向の中間位置から後端までは、下方に向かって傾斜しつつ前方に向かって延びる。カットライン312aは、前端において、側フラップ60のカットライン62と連結されている。なお、カットライン312aは、包装容器100のカットライン12aと比較して、上方に向かって傾斜している区間が長く、下方に向かって傾斜している区間が短い。
カットライン312aの上方には、カットライン312bが配置されている。カットライン312bは、カットライン312aの上方に、カットライン312aと平行に配置されている。カットライン312bは、側板12の中間位置まで延びて、全長に亘って上方に向かって傾斜している。
側板12は、さらに、前後端辺のカットライン312aを挟んで、上下のそれぞれに、係合部312cを有する。係合部312cは、前後のそれぞれの端辺から上下方向の幅が小さくなるように傾斜する2本のスリットによって画定されている。
側板16は、側板12と同様の構成を有する。即ち、側板16は、カットライン352,354のそれぞれに連結するカットライン316a,316bを有する。カットライン316aは、カットライン312aと同様に包装容器300の前後方向の全長に亘って延びており、前端において、カットライン72と連結されている。カットライン316bは、カットライン312bと同様に側板16の中間位置まで延びている。側板16は、さらに、係合部312cと同様の係合部316cを有する。
側フラップ340と側板12との境界の角部には、上下方向に延びるカットライン312eが配置されている。カットライン312eは、カットライン312a,312bの間には配置されていない。側フラップ350と側板16との境界の角部にも、カットライン312eと同様のカットライン316eが配置されている。
包装容器300では、カットライン342,352,312a,316a,62,72が、周方向に一巡している。これにより、包装容器300は、カットライン342,352,312a,316a,62,72によって、上部302と下部304に区切られている。
次いで、包装容器300の開封方法を説明する。図18に示すように、使用者は、手指で側フラップ340のカットライン342,344の間の破断片346を把持して、矢印の方向に移動させて、カットライン342,344及び側板12のカットライン312a、312bを破断させる。使用者は、同様に、手指で側フラップ350のカットライン352,354の間の破断片356を把持して、カットライン352,354及び側板16のカットライン316a、316bを破断させる。これにより、図19に示すように、包装容器300の後端に手指を挿入可能となる。即ち、カットライン342,344,352,354で囲まれる領域が挿入部ということができる。
次いで、使用者は、手指を挿入部に挿入して、手指で側フラップ340,350を引掛けて、上方かつ前方(図19の矢印の方向)に向けて、包装容器300の上部302を引っ張り上げる。これにより、カットライン342,352,312a,316a,62,72が破断して、上部302と下部304とが分離する。
上部302及び下部304を分離した後、使用者は、上部302を薄くすることができる。具体的には、図20に示すように、使用者は、上部302の側板12,16を外側に広げるように回動させる。これにより、側板12と側フラップ340,60との間のカットライン312d,312e、及び、側板16と側フラップ350,70との間のカットライン316d,316eが破断される。これにより、図21に示すように、上部302は平坦に変形される。
下部304も同様に、側板12,16を外側に広げるように回動させることによって、カットライン312d,312e,316d,316eが破断され、平坦に変形される。上部302と下部304とを平坦に変形させた後、下部302と下部304とを重ね合せる場合がある。この場合、例えば、上部302の係合部312c,316cと下部304の係合部312c,316cとを折り曲げて、一方の係合部312c,316cを、他方の係合部312c,316cを折り曲げた後の切欠きに挿入することによって、上部302と下部304とを係合させることができる。これにより、下部302と下部304とがずれることを抑制することができる。複数の上部302を重ね合せたり、複数の下部304を重ね合せたりする場合でも同様に、係合部312c,316cを用いて、複数の上部302又は下部304が重なった状態でずれることを抑制することができる。
包装容器300では、カットライン342,344,352,354を破断させることによって、挿入部に容易に手指を挿入することができる。また、破断片346,356は、上部302から分離せずに維持することができる。
また、破断片346,356を把持してカットライン312a,316aを途中まで破断させることができる。これにより、上部302を引き上げて上部302と下部304とを分離する際の力を軽減することができる。
(第4実施例)
図22は包装容器400の背面斜視図を示し、図23は包装容器400の正面斜視図を示す。図24は包装容器400の展開図を示す。包装容器400は、包装容器100と同様に、天板10と側板12と底板14と側板16とが連結され、筒状体が形成されている。図24に示すように、包装容器400は、1枚の平板状のブランクBL4から作製される。
図23に示すように、包装容器400の前端は、包装容器100と同様に、上フラップ22と下フラップ32と左右の側フラップ60,70とによって閉塞されている。各フラップ22,32,60,70の構成は、包装容器100と同様である。
図22に示すように、包装容器400の後端は、上フラップ420と下フラップ430と左右の側フラップ440,450とによって全体に閉塞されている。下フラップ430は、包装容器100の下フラップ30と同様の構成を有する。上フラップ420は、天板10の後端辺に回動可能に連結されている。上フラップ420は、天板10からの長さが異なる2種類の矩形の平板420a,420bで構成されている。平板420aは、天板10から下フラップ430の上端付近まで延びている。平板420aは、側板12側に配置されている。平板420aの側板16側の端辺には、平板420bが連結されている。平板420bは、上下方向において、平板420aよりも短い。平板420bは、下フラップ430の上端と隙間を有して配置される。
側フラップ450は、側板16の後端辺に回動可能に連結されている。側フラップ450は、側板16から包装容器400の左右方向の中央まで延びている。側フラップ450に隣接する側フラップ440は、側板12の後端辺に回動可能に連結されている。側フラップ440は、側板12から包装容器400の左右方向の中央まで延びている。
側フラップ440は、上フラップ420と下フラップ430とによって、上フラップ420と下フラップ430との若干の隙間を除き覆われている。一方、側フラップ450は、平板420bと下フラップ430との隙間で露出している。側フラップ450には、左右方向全長に亘って、カットライン452が配置されている。カットライン452は、包装容器400の左右方向の全長に亘って下フラップ430の上端辺に平行に配置されている。側フラップ450には、さらに、カットライン452に平行に延びるカットライン454が配置されている。カットライン454は、カットライン452の上方であって平板420bの下端辺の下方に配置されている。カットライン454は、側板12側の端から平板420aの端辺まで配置されている。
側フラップ450には、さらに、カットライン454の平板420aとの端において、カットライン454とカットライン452との間に、カットライン456が配置されている。カットライン456は、カットライン454とカットライン452との間で連続的に延びる1本の連続したスリットを有する。
側フラップ440には、カットライン452と同様のカットライン442が配置されている(図24参照)。
側板16には、カットライン452,454のそれぞれに連結するカットライン416a,416bが配置されている。カットライン416a,416bは、包装容器300のカットライン316a,316bと同様である。
側板12には、カットライン442に連結するカットライン412aが配置されている。カットライン412aは、後端において、カットライン442と連結され、下方に向かって傾斜しつつ前方に向かって延び、前後方向の中間位置から後端までは、上方に向かって傾斜しつつ前方に向かって延びる。カットライン412aは、前端において、側フラップ60のカットライン62と連結されている。
包装容器400では、カットライン442,452,412a,416a,62,72が、周方向に一巡している。これにより、包装容器400は、カットライン442,452,412a,416a,62,72によって、上部402と下部404に区切られている。
次いで、包装容器400の開封方法を説明する。図25に示すように、使用者は、手指でカットライン456に隣接する平板420aを押圧する。平板420aの内側に位置する側フラップ450は、カットライン452,456によって二辺が切断されているために、小さい力で内側に押し込むことができる。
次いで、図26に示すように、使用者は、平板420aを押し込んで形成された開口に手指を挿入し、カットライン452,454の間の破断片458の端を把持して、カットライン452,454及び側板16のカットライン416a、416bを破断させる。平板420aを押し込んで開口を形成することによって、破断片458を容易に把持することができる。これにより、図27に示すように、包装容器400の後端に手指を挿入可能となる。即ち、カットライン442,444,412a、412bで囲まれる領域が挿入部ということができる。
次いで、使用者は、手指を挿入部に挿入して、手指で側フラップ440と側板12との連結部分を把持して、上方かつ斜め前方(図27の矢印の方向)に向けて、包装容器400の上部402を引っ張り上げる。これにより、カットライン442,452,412a,416a,62,72が破断して、上部402と下部404とが分離される。
上部402及び下部404を分離した後、使用者は、上部402を薄くすることができる。具体的には、図28に示すように、側板12,16には、上端の角部のそれぞれから、上下方向に対して傾斜して下方に延びる折曲線412c,416cが設けられている。折曲線412c,416cは、側板12,16を押圧して溝状に形成されている。使用者は、側板12,16を外側に広げるように回動させる。この結果、図29に示すように、側板12,16は、折曲線412c,416cに沿って折れ曲がる。さらに、側板12,16及び天板10には、直線状に連続する折曲線410aが配置されている。折曲線410aは、側板12,16及び天板10を押圧して溝状に形成されている。使用者は、折曲線410aで上部402を折り曲げて、折曲線410aよりも上フラップ420側に位置する上フラップ420と側フラップ440,450と天板10とを、上フラップ22、側フラップ60,70と天板10との間に挿入することによって、図30に示すように、折りたたまれる。この構成によれば、折曲線410aよりも上フラップ420側に位置する天板10が上フラップ22、側フラップ60,70に係合されることによって、意図せずに上部402が図30の状態から図29の状態に展開されることを回避することができる。
下部404も同様に、側板12,16に配置されている折曲線412f,416fと、側板12,16及び底板14に配置されている折曲線410aと、で折り曲げて、折曲線410aよりも下フラップ430側に位置する上フラップ430と側フラップ440,450と底板14とを、下フラップ32、側フラップ60,70と底板14との間に挿入することによって、折りたたむことができる。
包装容器400では、カットライン416a、416bを破断させて、挿入部を開くことによって、容易に手指を挿入することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
(1)上記の各実施例の側板12,16のカットライン12a,16a,312a,316a,412a,416aは、前後方向において、上方に傾斜する箇所と下方に傾斜する箇所とを有する。しかしながら、カットライン12a,16a,312a,316a,412a,416aは、全長に亘って下方又は上方に傾斜していてもよい。また、上方に傾斜する箇所と下方に傾斜する箇所とが設けられる場合、傾斜が変化する位置は、上記の実施例の位置に限られず、前後方向に移動していてもよい。また、上方に傾斜する箇所と下方に傾斜する箇所との少なくとも一方が複数回存在していてもよい。
(2)上記の各実施例では、カットライン12a等では、側板12等を貫通する複数のスリットが断続的に配置されている。しかしながら、カットライン12a等は、側板12等を貫通する複数のスリットと共に、あるいは、これに替えて、側板12等を貫通せず、側板12の板厚方向の中間位置まで切り込まれているスリットを有していていてもよい。あるいは、カットライン12a等は、スリットと共に、あるいは、これに替えて、開口を有していてもよい。また、スリットの形状は、直線でもよく、屈曲していてもよい。
(3)上記の各実施例では、包装容器100,200,300,400の前側の上下フラップ22,32は、上下方向に隙間を有して配置されている。しかしながら、上下フラップ22,32は、隙間を有さずに隣接して配置されていてもよい。
(4)上記の各実施例では、接着領域G1からG8の接着剤によって、各フラップが接着されている。しかしながら、接着剤の塗布領域及び箇所は、接着領域G1からG8に限られない。また、各フラップは、接着剤以外に、接着テープ等によって接合されていてもよい。
(5)上記の各実施例の包装容器100,200,300,400は、紙以外の材料、例えば、プラスチック等の樹脂材料で作製されていてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。