JP5649974B2 - 熱可塑性重合体組成物およびそれからなるシート状成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性重合体組成物、および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体に関する。本発明によって柔軟性・透明性に優れ、且つ表面平滑性・成形加工性に優れ、短波長光の光線透過率が高いシート状成形体が提供される。
従来より、アクリル酸エステル重合体ブロックの両末端にメタクリル酸エステル重合体ブロックが結合した構造を有するアクリル系ブロック共重合体は、柔軟でありながら透明性、耐候性に優れているため、種々の分野で有用であることが知られている。このようなアクリル系ブロック共重合体は、例えば、シート状に成形され、光学分野におけるフィルム・シートならびに屋外建材用途等において用いられている。しかし、上記アクリル系ブロック共重合体単独では力学物性がスチレン系ブロック共重合体と比較して十分ではないために、利用できる分野に制限があった。
例えば、アクリル系ブロック共重合体と、メタクリル酸エステル単位を主体とするアクリル樹脂とを含む重合体組成物が提案されている(特許文献1、2参照)。しかし、これらの重合体組成物は、アクリル系ブロック共重合体単独に比べ力学物性には優れるものの、押出成形でシート状成形体を成形する場合に、得られるシート状成形体のタック性により冷却ロールへの過密着が発生し、生産性が低下するなど成形加工性に劣るか、組成物が高粘度化することで押出成形で得られるシート状成形体の表面に微細なシボ調の凹凸が発生し、良好なシート状成形体が得られず、改良の余地があった。
また、メタクリル酸エステル単位を主体とするアクリル樹脂の衝撃強度を改善するために、アクリル樹脂にアクリル系ブロック共重合体を配合した樹脂組成物が提案されている(特許文献3,4参照)。しかし、これらの文献に具体的に開示されている樹脂組成物は柔軟性に乏しく、シート状成形体のような薄肉成形品では、応力を加えるとクラック等が発生し、割れ等の原因となる可能性があり、利用分野が限られていた。
さらに、特許文献5,6にはアクリル系ブロック共重合体を主体とする組成物からなるシート状成形体として、耐候性、柔軟性、透明性等を特徴とした他素材へのラミネートフィルムが開示されている。しかし、これらの文献にはアクリル系樹脂を添加して各種物性を改善する方法に関する具体的記載はない。
また、特許文献7には、アクリル系ブロック共重合体とアクリル系樹脂との組成物からなる被覆シートが、特許文献8には、アクリル系ブロック共重合体を含有する組成物からなる光学部材がそれぞれ提案されている。しかし、アクリル系ブロック共重合体単独ならびにアクリル系ブロック共重合体1種とアクリル樹脂からなる組成物を押出成形でシート状成形体を成形する場合に、シート状成形体の表面に微細なスジ状の凹凸が発生する現象が見られ、良好なシート状成形体が得られず、改良の余地があった。
特開平10−168271号公報 特開2003−277574号公報 特開2000−154329号公報 WO02/092696 特開2002−338707号公報 特開2003−128809号公報 特開平11−349782号公報 WO09/054553 特公平7−25859号公報 特開平11−335432号公報 特開平6−93060号公報
マクロモレキュラケミカルフィジックス(Macromol. Chem. Phys.)201巻,1108〜1114頁(2000年)
本発明の目的は、柔軟性・透明性に優れ、且つ表面平滑性・成形加工性に優れ、短波長光の光線透過率が高いシート状成形体およびそれを与える熱可塑性重合体組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のアクリル系ブロック共重合体に対して、アクリル樹脂を特定割合で配合することによって、上記問題点が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、上記の目的は、アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂(B)とを含む熱可塑性重合体組成物であって;
アクリル系ブロック共重合体(A)が、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)の両末端にそれぞれメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)が結合した構造を分子内に少なくとも1つ有するアクリル系ブロック共重合体であり、重量平均分子量が10,000〜100,000であって;
アクリル系ブロック共重合体(A)が、重合体ブロック(a2)の含有量が40質量%以上80質量%以下であるアクリル系ブロック共重合体(A1)と重合体ブロック(a2)の含有量が10質量%以上40質量%未満であるアクリル系ブロック共重合体(A2)を含み;
アクリル樹脂(B)が、主としてメタクリル酸エステル単位から構成され;
アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂(B)との質量比〔(A)/(B)〕が97/3〜10/90である熱可塑性重合体組成物、および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体を提供することにより達成される。
本発明の好ましい実施態様の1つは、230℃、37.3Nでのメルトフローレートが15g/10分以上であるアクリル樹脂(B)を用いる前記に記載の熱可塑性重合体組成物およびシート状成形体である。
また、本発明の好ましい実施態様の一つは、230℃、37.3Nでのメルトフローレートが15g/10分未満であるアクリル樹脂(B)を用いる前記に記載の熱可塑性重合体組成物およびシート状成形体である。
好適には、本発明において、アクリル系ブロック共重合体(A1)の含有量がアクリル系ブロック共重合体(A)の総量に対して5質量%以上であり、また、アクリル系ブロック共重合体(A)における重合体ブロック(a2)の平均含有量が35質量%以上80質量%以下である。
好適には、本発明のシート状成形体は、分光光線透過率測定法で得られるD65光源、2度視野角、測定温度25℃、光路長15mmにおける光波長400nm〜500nmでの平均の光線透過率が40%以上である。
本発明によれば、上記構成をとることにより、柔軟性・透明性に優れ、且つ表面平滑性・成形加工性に優れ、短波長光の光線透過率が高いシート状成形体およびそれを与える熱可塑性樹脂組成物が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、
アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂(B)とを含む熱可塑性重合体組成物であって;
アクリル系ブロック共重合体(A)が、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)の両末端にそれぞれメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)が結合した構造を分子内に少なくとも1つ有するアクリル系ブロック共重合体であり、重量平均分子量が10,000〜100,000であって;
アクリル系ブロック共重合体(A)が、重合体ブロック(a2)の含有量が40質量%以上80質量%以下であるアクリル系ブロック共重合体(A1)と重合体ブロック(a2)の含有量が10質量%以上40質量%未満であるアクリル系ブロック共重合体(A2)を含み;
アクリル樹脂(B)が、主としてメタクリル酸エステル単位から構成され;
アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂(B)との質量比〔(A)/(B)〕が97/3〜10/90である熱可塑性重合体組成物である。
本発明における第1の成分であるアクリル系ブロック共重合体(A)は、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)の両末端にそれぞれメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)が結合した構造、すなわち、(a2)−(a1)−(a2)の構造(構造中「−」は、化学結合を示す)を分子内に少なくとも1つ有するアクリル系ブロック共重合体である。
アクリル系ブロック共重合体(A)における、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)は、主としてアクリル酸エステル単位から構成される重合体ブロックである。重合体ブロック(a1)を形成させるためのアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチルなどを挙げることができる。これらの中でも、柔軟性を向上させる観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチルなどのアクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルがより好ましい。重合体ブロック(a1)は、これらのアクリル酸エステルの1種から構成されていても、2種以上から構成されていてもよい。
また、本発明の目的および効果の妨げにならない限りにおいて、重合体ブロック(a1)は、反応基を有するアクリル酸エステル単位、例えば、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、またはアクリル酸エステル単位以外の他の重合性単量体単位、例えば、下記メタクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、オレフィンなどのモノマーを共重合成分として含んでいてもよい。これら反応基を有するアクリル酸エステル単位または他の重合性単量体単位は本発明の効果を発現させる観点から少量であることが好ましく、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
上記アクリル系ブロック共重合体(A)における、メタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)は、主としてメタクリル酸エステル単位から構成される重合体ブロックである。重合体ブロック(a2)を形成させるためのメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチルなどを挙げることができる。これらの中でも、透明性、耐熱性を向上させる観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。重合体ブロック(a2)は、これらのメタクリル酸エステルの1種から構成されていても、2種以上から構成されていてもよい。
また、本発明の目的および効果の妨げにならない限りにおいて、重合体ブロック(a2)は、反応基を有するメタクリル酸エステル単位、例えば、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、またはメタクリルエステル単位以外の他の重合性単量体単位、例えば、前記アクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、オレフィンなどのモノマーを共重合成分として少量、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下含んでいてもよい。
アクリル系ブロック共重合体(A)は、1個のアクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)と2個のメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)からなる(a2)−(a1)−(a2)構造を分子内に少なくとも1個を有する。アクリル系ブロック共重合体(A)の分子鎖形態は、特に限定されることなく、例えば、線状、分枝状、放射状などのいずれでもよい。その中でも(a2)−(a1)−(a2)で表されるトリブロック体を用いることが好ましい。ここで、(a1)の両端の(a2)の分子量、組成などは同じであってもよいし、相互に異なっていてもよい。
本発明の目的および効果の妨げにならない限りにおいて、アクリル系ブロック共重合体(A)は、これらの重合体ブロック(a1)および(a2)とは別の重合体ブロックとして、アクリル酸エステルモノマーおよびメタクリル酸エステルモノマー以外のモノマーから誘導される重合体ブロック(c)を有しても良い。重合体ブロック(c)と上記アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)、メタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)との結合の形態は特には限定されないが、例えば、(a2)−((a1)−(a2))n−(c)や、(c)−(a2)−((a1)−(a2))n−(c)などの構造(nは1〜20の整数である)が挙げられる。
上記重合体ブロック(c)を構成するモノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−オクテンなどのオレフィン;1,3−ブタジエン、イソプレン、ミルセンなどの共役ジエン化合物;スチレン、α−メチルスチレン、p-メチルスチレン、m−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ε−カプロラクトン、バレロラクトンなどを挙げることができる。
本発明に用いるアクリル系ブロック共重合体(A)は、必要に応じて、分子鎖中または分子鎖末端に水酸基、カルボキシル基、酸無水物、アミノ基などの官能基を有していてもよい。
アクリル系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量は、10,000〜100,000であり、本発明の熱可塑性重合体組成物および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体の柔軟性、成形加工性などを向上させる観点から、30,000〜80,000であるのが好ましく、50,000〜70,000であるのがより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量が10,000よりも小さいと、溶融押出成形において十分な溶融張力を保持できず、良好なシート状成形体が得られにくく、また得られたシート状成形体の破断強度などの力学物性が劣ることになる。一方、100,000よりも大きいと、溶融樹脂が高粘度化し、溶融押出成形で得られるシート状成形体の表面に微細なシボ調の凹凸や未溶融物(高分子量体)に起因するブツが発生し、良好なシート状成形体が得られにくい傾向がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)における、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)の重量平均分子量は、2,000〜80,000であるのが好ましく、5,000〜70,000であるのがより好ましい。また、メタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)の重量平均分子量は、2,000〜80,000であるのが好ましく、5,000〜70,000であるのがより好ましい。
また、アクリル系ブロック共重合体(A)の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は、1.01以上1.50未満の範囲内にあるのがよく、1.01以上1.35以下の範囲内にあるのがより好ましい。このような範囲を取ることにより、本発明の熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体におけるブツの発生原因となる未溶融物の含有量を極めて少量とすることができる。
アクリル系ブロック共重合体(A)の構成成分は、本発明の熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体の表面平滑性・成形加工性を向上させる観点から、2種の上記特定構造を有するアクリル系ブロック共重合体の混合物であることが必要であり、メタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)の含有量が40質量%以上80質量%以下であるアクリル系ブロック共重合体(A1)と、メタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)の含有量が10質量%以上40質量%未満であるアクリル系ブロック共合体(A2)を含むことが重要である。本発明の熱可塑性重合体組成物の構成成分であるアクリル系ブロック共重合体(A)の構成成分がアクリル系ブロック共重合体(A1)1種からなる場合、アクリル系ブロック共重合体(A1)特有の周期的に並ぶミクロ相分離構造が形成されるため、溶融押出成形法により得られるシート状成形体に異方性が発現することで、シート状成形体表面にスジ状の凹凸が発生し、表面平滑性を低下させることが推定される。特に、成形加工性、柔軟性、透明性、および短波長光の光線透過率を向上させる観点から、アクリル系ブロック共重合体(A1)の重合体ブロック(a2)の含有量は、50質量%以上65質量%以下であることが好ましく、50質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物およびそれからなるシート状成形体の表面平滑性、成形加工性をより向上させる観点から、アクリル系ブロック共重合体(A2)の重合体ブロック(a2)の含有量は、15質量%以上40質量%未満であることが好ましく、23質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(A1)中の重合体ブロック(a2)の含有量が40質量%未満である場合には、アクリル樹脂(B)との相溶性が低下し、透明性・成形加工性に加え、長光路での、特に短波長光光損失が大きくなるため、短波長光の光線透過率が低下する。一方、アクリル系ブロック共重合体(A1)中の重合体ブロック(a2)の含有量が80質量%より大きい場合には、本発明の熱可塑性重合体組成物および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体の弾性率が増加し、柔軟性に劣る。また、アクリル系ブロック共重合体(A2)中の重合体ブロック(a2)の含有量が10質量%未満である場合には、本発明の熱可塑性重合体組成物およびそれからなるシート状成形体の表面膠着が生じ、成形材料として適さなくなる。一方、アクリル系ブロック共重合体(A2)中の重合体ブロック(a2)の含有量が40質量%以上である場合には、本発明の熱可塑性重合体組成物およびそれからなるシート状成形体の弾性率が増加し、柔軟性に劣る。
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するアクリル系ブロック共重合体(A1)とアクリル系ブロック共重合体(A2)の配合割合は、本発明の熱可塑性重合体組成物および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体の成形加工性、柔軟性、短波長光の光線透過率を向上させる観点から、アクリル系ブロック共重合体(A1)の含有量がアクリル系ブロック共重合体(A)の総量に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。アクリル系ブロック共重合体(A1)の含有量の上限に特に制限はないが、通常90質量%以下であり、80質量%以下が好ましく、75質量%以下であるのがより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(A1)の含有量が上記範囲より小さい場合には、本発明の熱可塑性重合体組成物の溶融粘度が低下し、溶融押出成形に必要な溶融張力が十分に保持できず、良好なシート状成形体が得られにくい。また、アクリル樹脂(B)との相溶性が低下し、特に230℃、37.3Nでのメルトフローレートが15g/10分未満であるアクリル樹脂(B)を共に用いる場合に、長光路での、特に短波長光光損失が大きくなるため、短波長光の光線透過率が低下する傾向がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)における重合体ブロック(a2)の平均含有量は、透明性、柔軟性、成形加工性、表面平滑性の観点から、35質量%以上80質量%以下であることが好ましく、40質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。アクリル系ブロック共重合体(A)における重合体ブロック(a2)の平均含有量が上記範囲より小さい場合には、本発明の熱可塑性重合体組成物およびそれからなるシート状成形体の表面膠着が生じ、成形材料として適さなくなる傾向がある。アクリル系ブロック共重合体(A)における重合体ブロック(a2)の平均含有量が上記範囲より大きい場合には、本発明の熱可塑性重合体組成物および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体の引張弾性率が増加し、柔軟性に劣る傾向がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)の製造方法としては、特に限定されず、公知の手法に準じた方法を採用することができる。例えば、アクリル系ブロック共重合体(A)を得る方法としては、各ブロックを構成するモノマーをリビング重合する方法が一般に使用される。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩などの鉱酸塩の存在下でアニオン重合する方法(特許文献9参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法(特許文献10参照)、有機希土類金属錯体を重合開始剤として重合する方法(特許文献11参照)、α−ハロゲン化エステル化合物を開始剤として銅化合物の存在下ラジカル重合する方法(非特許文献1参照)などが挙げられる。また、多価ラジカル重合開始剤や多価ラジカル連鎖移動剤を用いて、各ブロックを構成するモノマーを重合させ、本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)を含有する混合物として製造する方法なども挙げられる。これらの方法中、特に、アクリル系ブロック共重合体が高純度で得られ、また分子量や組成比の制御が容易であり、かつ経済的であることから、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法が推奨される。
本発明における配合成分であるアクリル樹脂(B)は、主としてメタクリル酸エステル単位から構成されるアクリル樹脂である。本発明の熱可塑性重合体組成物および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体の透明性、成形加工性等を向上させる観点から、メタクリル酸エステルの単独重合体又はメタクリル酸エステル単位を主体とする共重合体であることが好ましい。アクリル樹脂(B)を構成する主要成分であるメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチルなどを挙げることができる。これらの中でも、本発明の熱可塑性重合体組成物に含まれるアクリル系ブロック共重合体との相溶性の観点、および熱可塑性重合体組成物の透明性、成形加工性の観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、メタクリル酸メチルであることがより好ましい。これらのメタクリル酸エステルの1種または2種以上を用いることができる。
本発明の目的および効果を妨げない限りにおいて、上記アクリル樹脂(B)を構成するメタクリル酸エステル単位として反応基を有する重合性単量体単位、例えば、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル等のモノマーを構成成分として少量、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下含んでいてもよい。
アクリル樹脂(B)がメタクリル酸エステル単位を主体とする共重合体である場合、該共重合体を構成する上記メタクリル酸エステルと共重合しうる他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−オクテンなどのオレフィン;1,3−ブタジエン、イソプレン、ミルセンなどの共役ジエン化合物;スチレン、α−メチルスチレン、p-メチルスチレン、m−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミドなどを挙げることができる。これらのモノマーの1種または2種以上を用いることができる。
アクリル樹脂(B)が共重合体である場合、共重合の形態には特に制限はなく、ランダム共重合、ブロック共重合、交互共重合などが一般的に用いられる。本発明の熱可塑性重合体組成物および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体において、アクリル樹脂(B)としてメタクリル酸エステル重合体ブロックとアクリル酸エステル重合体ブロックで構成される2元ブロック共重合体を用いた場合には、接着性能または粘着性能に優れた熱可塑性重合体組成物および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体を得ることができる。
また、アクリル樹脂(B)の立体規則性については特に制限はなく、イソタクチック、ヘテロタクチックあるいはシンジオタクチックであるものを用いることができる。
アクリル樹脂(B)の重量平均分子量に、特に制限はないが、通常30,000〜500,000であることが好ましく、70,000〜200,000であることがより好ましい。また、本発明に用いるアクリル樹脂(B)は、1種単独で用いることができるが、重量平均分子量などが異なる2種以上のアクリル樹脂の混合物を用いることもできる。
本発明で用いるアクリル樹脂(B)の流動性に特段の制限はないが、本発明の熱可塑性重合体組成物および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体の短波長光の光線透過率を向上させる観点からは、230℃、37.3Nでのメルトフローレートが15g/10分以上であることが好ましい。メルトフローレートの上限も特に制限されないが、アクリル系ブロック共重合体(A)との溶融粘度差が大きくなり、メルトフローレートの数値が大き過ぎると特に溶融押出成形において十分な溶融張力を保持できず、良好な成形体が得られにくく、また得られた成形体の破断強度などの力学特性が劣ることになる。そのため、メルトフローレートの範囲は40g/10分以下が好ましく、15g/10分以上且つ30g/10分以下であることがより好ましく、15g/10分以上且つ25g/10分以下であることがさらに好ましい。一方、アクリル樹脂(B)の230℃、37.3Nでのメルトフローレートが15g/10分未満である場合は、押出し成形した場合のシート状成形体の透明性および表面の表面平滑性を改良する効果がある。
本発明で用いるアクリル樹脂(B)は市販品を用いてもよい。かかる市販されているアクリル樹脂としては、例えば「パラペットH1000B」(MFR:22g/10分(230℃、37.3N))、「パラペットGF」(MFR:15g/10分(230℃、37.3N))、「パラペットEH」(MFR:1.3g/10分(230℃、37.3N))、「パラペットHRL」(MFR:2.0g/10分(230℃、37.3N))および「パラペットG」(MFR:8.0g/10分(230℃、37.3N))[いずれも商品名、株式会社クラレ製]などが挙げられる。
本発明の熱可塑性重合体組成物および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体におけるアクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂(B)との質量比〔(A)/(B)〕は97/3〜10/90である。アクリル樹脂(B)の割合が上記範囲よりも少ないと(アクリル系ブロック共重合体(A)の割合が上記範囲よりも多いと)、Tダイを用いた溶融押出成形により得られるシート状成形体の表面に微細なスジ状の凹凸が発生し、表面平滑性の良好なシート状成形体が得られにくい。一方、アクリル樹脂(B)の割合が上記範囲よりも多いと(アクリル系ブロック共重合体(A)の割合が上記範囲よりも少ないと)、熱可塑性重合体組成物およびそれからなるシート状成形体の引張弾性率が増加し、柔軟性が低下する。熱可塑性重合体組成物およびそれからなるシート状成形体の成形加工性および柔軟性を満足する観点から、アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂(B)との質量比が95/5〜10/90であることが好ましく、90/10〜20/80であることがより好ましく、85/15〜30/70であることがさらに好ましい。特に柔軟性を重視する観点からは、アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂(B)との質量比は85/15〜50/50であることが好ましく、85/15〜60/40がより好ましく、80/20〜65/35がさらに好ましい。
本願発明の熱可塑性重合体組成物および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体は、アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂(B)のみからなっていることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記したアクリル系ブロック共重合体(A)およびアクリル樹脂(B)の他に、必要に応じて他の重合体などを含有していてもよい。他の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリノルボルネン等のオレフィン系樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂等のスチレン系樹脂;メチルメタクリレート−スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマー等のポリアミド樹脂;エステル系ポリウレタンエラストマー、エーテル系ポリウレタンエラストマー、無黄変エステル系ポリウレタンエラストマー、無黄変カーボネート系ポリウレタンエラストマー等のポリウレタン樹脂;ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、シリコーンゴム変性樹脂等が挙げられる。これらの中でも、本発明の熱可塑性重合体組成物に含まれるアクリル系ブロック共重合体との相溶性の観点から、AS樹脂、ポリフッ化ビニリデンが好ましく用いられる。
さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物および該熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体には、本発明の効果を損なわない範囲内で、公知の各種添加剤(例えば、ゴム、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤など)、フィラー(例えば、ガラス繊維等の繊維補強剤、無機充填剤など)等を含有させてもよい。例えば、配合しうるゴムの具体例としては、アクリル系ゴム;シリコーン系ゴム;SEPS、SEBS、SIS等のスチレン系熱可塑性エラストマー;IR、EPR、EPDM等のオレフィン系ゴム等を混ぜることができ、これらを1種以上使用することができる。配合しうる他の添加剤やフィラーの例としては、成形加工時の流動性を向上させるためのパラフィン系オイル、ナフテン系オイルなどの鉱物油軟化剤;耐熱性、耐候性等の向上または増量などを目的とする炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなどの無機充填剤;補強のためのガラス繊維、カーボン繊維などの無機繊維または有機繊維;熱安定剤;酸化防止剤;光安定剤;粘着剤;粘着付与剤;可塑剤;帯電防止剤;発泡剤;着色剤;染色剤などを挙げることができる。これらの添加剤の中でも、耐熱性、耐候性をさらに良好なものとするために、熱安定剤、酸化防止剤などを添加することが実用上好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物を調製する方法は特に制限されないが、該熱可塑性重合体組成物を構成する各成分の分散性を高めるため、溶融混練して混合する方法が推奨される。該調製方法としては、例えば、アクリル系ブロック共重合体(A)およびアクリル樹脂(B)を溶融混練する方法が挙げられるが、必要に応じてこれらと上記した他の重合体および添加剤とを同時に混合しても良いし、アクリル系ブロック共重合体(A)を、上記した他の重合体および添加剤とともに混合後、アクリル樹脂(B)と混合してもよい。混合操作は、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの既知の混合または混練装置を使用して行なうことができる。特に、アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂(B)の混練性、相溶性を向上させる観点から、二軸押出機を使用することが好ましい。混合・混練時の温度は、使用するアクリル系ブロック共重合体(A)、アクリル樹脂(B)等の溶融温度などに応じて適宜調節するのがよく、通常110℃〜300℃の範囲内の温度で混合するとよい。このようにして、本発明の熱可塑性重合体組成物を、ペレット、粉末などの任意の形態で得ることができる。ペレット、粉末などの形態の熱可塑性重合体組成物は、成形材料として使用するのに好適である。
上記熱可塑性重合体組成物を、Tダイ法(ラミネート法、共押出法など)、インフレーション法(共押出法など)、圧縮成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、真空成形法、射出成形法(インサート法、二色法、プレス法、コアバック法、サンドイッチ法など)などの任意の溶融成形加工法ならびに溶液キャスト法などによりシート状成形体を製造することができるが、製造工程性、コストなどの点からTダイ法またはインフレーション法による溶融押出成形が好ましく、生産性、厚み精度に優れる点からTダイ法がより好ましい。
Tダイスとしては、特に制限されず、例えば、コートハンガー型やストレート型などの公知のダイスが挙げられる。ダイスの材質としては、SCM系の鋼鉄、SUSなどのステンレス材などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Tダイ法による製造方法の場合、単軸あるいは二軸押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。本発明のシート状成形体を製造するための溶融押出温度は好ましくは100〜350℃、より好ましくは150〜300℃である。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行なうことが好ましい。なお、押出と同時または押出後に一軸または二軸方向に延伸することも可能である。
本発明の熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体は、熱可塑性重合体組成物をシート状に成形した成形体である。一般に厚みが0.005mm以上0.25mm以下であるシート状成形体をフィルムと称し、厚みが0.25mmより厚いシート状成形体をシートと称する。本発明のシート状成形体の厚みは、柔軟性等の観点から、0.025mm以上10mm以下であることが好ましく、0.05mm以上5mm以下であることがより好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体において、分光光線透過率測定法で得られるD65光源、2度視野角、測定温度25℃、光路長15mmにおける光波長400nm〜500nmでの平均の光線透過率が40%以上であると、光線透過率の波長依存性が低くなる。つまり、波長400nm〜500nmの光線透過率と501nm〜780nmの光線透過率の差が小さくなるため、成形体の長手方向から光を導光させるような光学部材として好適に使用することができる。
本発明の熱可塑性重合体組成物およびそれからなるシート状成形体の用途は特に限定されないが、光学分野、食品分野、医療分野、民生分野、自動車分野、電気・電子分野などの多岐の用途で利用することができる。特に本発明のシート状成形体は、表面平滑性・成形加工性に優れ、且つ柔軟性に優れ、短波長光の光線透過率等の光学特性に優れている点から、例えば、各種カバー、各種端子板、プリント配線板、スピーカー、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、また、映像・光記録・光通信・情報機器関連部品としてカメラ、VTR、プロジェクションTV等のファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ、各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板保護フィルム、光スイッチ、光コネクター、液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイ用導光フィルム・シート、フラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ用導光フィルム・シート、プラズマディスプレイ、プラズマディスプレイ用導光フィルム・シート、位相差フィルム・シート、偏光フィルム・シート、偏光板保護フィルム・シート、波長板、光拡散フィルム・シート、プリズムフィルム・シート、反射フィルム・シート、反射防止フィルム・シート、視野角拡大フィルム・シート、防眩フィルム・シート、輝度向上フィルム・シート、液晶やエレクトロルミネッセンス用途の表示素子基板、タッチパネル、タッチパネル用導光フィルム・シート、各種前面板と各種モジュール間のスペーサーなど、公知の光学用途へ好適に適用可能である。具体的には、例えば、携帯電話、デジタル情報端末、ポケットベル、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイ等の各種液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはタッチパネルなどに用いることができる。また、耐候性、柔軟性などに優れている点から、例えば、建築用内・外装用部材、カーテンウォール、屋根用部材、屋根材、窓用部材、雨どい、エクステリア類、壁材、床材、造作材、道路建設用部材、再帰反射フィルム・シート、農業用フィルム・シート、照明カバー、看板、透光性遮音壁など、公知の建材用途へも好適に適用可能である。
本発明の熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体は、単独で用いてもよく、複数個組み合わせても用いてもよく、本発明のシート状成形体以外の部材と組み合わせて用いてもよい。
本発明の熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体は、単層で用いてもよく、2層以上の積層体として用いてもよい。積層体として用いる場合には、本発明のシート状成形体のみを積層してもよく、本発明のシート状成形体と他の素材を積層してもよい。積層体を形成する場合には、公知の方法で各層を製造することが可能である。すなわち、Tダイ法やインフレーション法などの押出成形による共押出法、熱融着、超音波融着、高周波融着などの融着法、紫外線、熱、放射線などで硬化する公知の接着剤を利用する方法等が挙げられる。また、融着あるいは接着される面は、公知のプライマーを塗布しても良く、コロナ放電処理、プラズマ処理などを行なってもよい。積層体を形成する場合、積層、印刷あるいは表面形状の付与、目的の大きさへの切削の順番は特に限定されない。本発明のシート状成形体を、積層型光学部品として用いる場合など、他素材と組み合わせて光学部品を形成する場合、他素材としては、所望の特性に合わせて適宜選択したものを用いることができ、有機系化合物もしくは重合体、無機物質やこれらを含む組成物などをいずれも用いることができる。具体的には、例えば本発明のシート状成形体と、他素材とを積層して光学部品を形成する場合には、他素材としては、ハードコート材、反射防止材、液晶などの有機系化合物もしくは組成物、環状オレフィン系開環重合体もしくはその水素添加物、付加重合型環状オレフィン系重合体、脂肪族系オレフィン樹脂、アクリル系重合体、ポリカーボネート系樹脂、液晶ポリマーなどの有機系重合体もしくは組成物、ソーダガラスや石英ガラスなどの無機物質もしくは組成物などの市販もしくは公知の素材を使用することができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の各種物性は以下の方法により測定または評価した。
(1)重量平均分子量(Mw)
アクリル系ブロック共重合体(A1)、(A2)およびアクリル樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)はゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下GPCと略記する)によりポリスチレン換算分子量で求めた。
・装置:東ソー株式会社製GPC装置「HLC−8020」
・分離カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel GMHXL」、「G4000HXL」および「G5000HXL」を直列に連結
・溶離剤:テトラヒドロフラン
・溶離剤流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
(2)メルトフローレート(MFR)
アクリル樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)は、ISO 1133に準拠して230℃、37.3N、10分の条件により測定した。
(3)各重合体ブロックの構成割合
アクリル系重合体ブロックにおける各重合体ブロックの構成割合はH−NMR(H−核磁気共鳴)測定によって求めた。
・装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「JNM−LA400」
・重溶媒:重水素化クロロホルム
(4)透明性
以下の実施例又は比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を用いて、Tダイ押出成形機によりシリンダー温度およびダイス温度220℃で成形した厚み0.1mmのシート状成形体から50mm×50mmの試験片を切出し、直読ヘイズメーター(日本電色製)により、JIS K7105に準拠し、ヘイズ値、全光線透過率を測定した。
(5)柔軟性(引張弾性率)
以下の実施例または比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を用いて、Tダイ押出成形機によりシリンダー温度およびダイス温度220℃で成形した厚み0.1mmのシート状成形体からJIS3号打抜き刃によって試験片を打抜き、JIS K7127に準拠して引張弾性率を測定した。
(6)表面平滑性
以下の実施例または比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を用いて、T−ダイ押出成形機によりシリンダー温度およびダイス温度220℃で成形した厚み0.1mmのシート状成形体の表面状態を目視により評価し、これを表面平滑性の指標とした。
○:表面が平滑である
△:表面はほぼ平滑であるが、一部に表面がスジ状あるいはシボ調の凹凸がある。
×:表面がスジ状およびシボ調の凹凸により平滑でない
(7)成形加工性
以下の実施例または比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を用いて、T−ダイ押出成形機によりシリンダー温度およびダイス温度220℃で厚さ0.1mmのシート状成形体を成形した時の製膜状況を目視により評価し、これを成形加工性の指標とした。
○:製膜状況が良好である
△:厚み変動や押し出し量変動は小さいが、溶融粘度が高く、成形範囲が狭い
×:サージング現象による厚みムラならびにドローレゾナンス現象によるシート状成形体両端部の吐出ムラがある
(8)光路長15mmにおける光波長400nm〜500nmでの平均の光線透過率
以下の実施例または比較例で得られたアクリル系ブロック共重合体または熱可塑性重合体組成物を用いて、Tダイ押出成形機によりシリンダー温度およびダイス温度220℃で成形した厚み3mmのシート状成形体を15mmになるまで積層し、分光光度計(日立ハイテクノロジー社製)にてD65光源、2度視野角、温度25℃で光線透過率の測定を行なった。
以下に示す合成例においては、化合物は常法により乾燥精製し、窒素にて脱気したものを使用した。また、化合物の移送および供給は窒素雰囲気下で行なった。
[参考例1][有機アルミニウム化合物:イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの調製]
ナトリウムで乾燥後、アルゴン雰囲気下に蒸留して得た乾燥トルエン25mlと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール11gを、内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積200mlのフラスコ内に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。得られた溶液にトリイソブチルアルミニウム6.8mlを添加し、80℃で約18時間攪拌することによって、対応する有機アルミニウム化合物[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]を0.6mol/lの濃度で含有するトルエン溶液を調製した。
[参考例2][アクリル系ブロック共重合体(A1)の合成]
2リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、窒素で置換した後、室温にて乾燥トルエン1040g、1,2−ジメトキシエタン100g、参考例1のイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム30mmolを含有するトルエン溶液45gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム7.3mmolを加えた。これにメタクリル酸メチル64gを加え、室温で1時間反応させた後、反応液0.1gを採取した。これをサンプリング試料1とする。引き続き、重合液の内部温度を−25℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル184gを2時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液0.1gを採取した。これをサンプリング試料2とする。続いて、メタクリル酸メチル161gを加え、反応液を室温に戻し、8時間攪拌した。反応液にメタノールを4g添加して重合を停止した。この重合停止後の反応液を大量のメタノールに注ぎ、析出した沈殿物を得た。これをサンプリング試料3とする。サンプリング試料1〜3を用いてH−NMR測定、GPC測定を行ない、その結果に基づいて、Mw(重量平均分子量)、Mw/Mn(分子量分布)、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)ブロックの質量比等を求めたところ、最終的に得られた上記沈殿物は、PMMAブロック−PnBAブロック−PMMAブロックのトリブロック共重合体(PMMA−b−PnBA−b−PMMA)であって、その第一番目に供給した単量体(MMA)の重合により得られた1st−PMMAブロック部のMwは9,700、Mw/Mnは1.08であり、また、トリブロック共重合体全体のMwは62,000、Mw/Mnは1.11であり、各重合体ブロックの割合はPMMA(14質量%)−PnBA(50質量%)−PMMA(36質量%)であった。
[参考例3][アクリル系ブロック共重合体(A2)の合成]
2リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、窒素で置換した後、室温にて乾燥トルエン1040g、1,2−ジメトキシエタン100g、参考例1のイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム32mmolを含有するトルエン溶液48gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム8.1mmolを加えた。これにメタクリル酸メチル72gを加え、室温で1時間反応させた後、反応液0.1gを採取した。これをサンプリング試料4とする。引き続き、重合液の内部温度を−25℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル307gを2時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液0.1gを採取した。これをサンプリング試料5とする。続いて、メタクリル酸メチル72gを加え、反応液を室温に戻し、8時間攪拌した。反応液にメタノールを4g添加して重合を停止した。この重合停止後の反応液を大量のメタノールに注ぎ、析出した沈殿物を得た。これをサンプリング試料6とする。サンプリング試料4〜6を用いてH−NMR測定、GPC測定を行ない、その結果に基づいて、Mw(重量平均分子量)、Mw/Mn(分子量分布)、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)ブロックの質量比等を求めたところ、最終的に得られた上記沈殿物は、PMMAブロック−PnBAブロック−PMMAブロックのトリブロック共重合体(PMMA−b−PnBA−b−PMMA)であって、その第一番目に供給した単量体(MMA)の重合により得られた1st−PMMAブロック部のMwは9,900、Mw/Mnは1.08であり、また、トリブロック共重合体全体のMwは62,000、Mw/Mnは1.19であり、各重合体ブロックの割合はPMMA(16質量%)−PnBA(68質量%)−PMMA(16質量%)であった。
[実施例1〜11、比較例1〜4]
上記参考例で得られたアクリル系ブロック共重合体(A1)および(A2)と、アクリル樹脂(B)−1(株式会社クラレ製「パラペットH1000B」、MFR:22g/10分(230℃、37.3N))、(B)−2(株式会社クラレ製「パラペットGF」、MFR:15g/10分(230℃、37.3N))、(B)−3(株式会社クラレ製「パラペットEH」、MFR:1.3g/10分(230℃、37.3N))、(B)−4(株式会社クラレ製「パラペットHRL」、MFR:2.0g/10分(230℃、37.3N))および(B)−5(株式会社クラレ製「パラペットG」、MFR:8.0g/10分(230℃、37.3N))を、下記の表1に示す配合割合で、二軸押出機により230℃で溶融混練した後、押出し、切断することによって、熱可塑性重合体組成物のペレットを製造した。このペレットを用いて、190℃〜210℃にてT−ダイ押出成形を行ない、厚さ0.1mmと3mmのシート状成形体を作製した。そのシート状成形体から試験片を採取し、柔軟性、透明性、表面平滑性、光路長15mmにおける光波長400nm〜500nmでの平均の光線透過率を測定または評価した。得られた結果を表1および表2に示す。
Figure 0005649974
Figure 0005649974
上記表1および表2の結果から、本発明の実施例1〜3で得られた熱可塑性重合体組成物を用いる場合には、柔軟性を損なうことなく、透明性・表面平滑性に優れ、さらに短波長光の光線透過率とのバランスに優れたシート状成形体が得られることが分かる。これに対し、比較例1は、アクリル系ブロック共重合体(A1)のみからなり、アクリル樹脂(B)を含まないため、押出成形した場合に、シート状成形体表面に微細なスジ状の凹凸が発生して良好な成形体が得られず、光路長15mmにおける光波長400nm〜500nmでの平均の光線透過率が低いことが分かる。また、比較例2は、アクリル系ブロック共重合体(A1)とアクリル系ブロック共重合体(A2)のみからなるため、押出成形した場合に、シート又はフィルム状成形体表面に微細なスジ状の凹凸が発生して良好な成形体が得られず、光路長15mmにおける光波長400nm〜500nmでの平均の光線透過率が低いことが分かる。さらに、比較例3は、アクリル系ブロック共重合体(A1)とMFRが15g/10分以上のアクリル樹脂(B)のみからなるため、柔軟性・透明性に乏しく、また、押出成形した場合に、シート状成形体表面に微細なスジ状の凹凸が発生して良好な成形体が得られず、さらに光路長15mmにおける光波長400nm〜500nmでの平均の光線透過率が低いことが分かる。比較例4は、アクリル系ブロック共重合体(A1)とMFRが15g/10分未満のアクリル樹脂(B)のみからなるため、柔軟性に乏しく、さらに、表面平滑性・成型加工性も実施例1〜11に比較して劣る傾向にあることが分かる。一方、実施例4〜11は、それぞれ230℃、37.3Nでのメルトフローレートが15g/10分未満であるアクリル樹脂(B)−3、アクリル樹脂(B)−4およびアクリル樹脂(B)−5を含むので、押出成形した場合に、シート状成形体表面の表面平滑性は実施例1〜3と同様に良好である。また、比較例1〜4で得られたシート状成形体と比較して、光波長400nm〜500nmでの平均の光線透過率が高い傾向にある。実施例4〜11においては、それぞれに含まれるアクリル樹脂(B)−3、アクリル樹脂(B)−4およびアクリル樹脂(B)−5とアクリル系ブロック共重合体(A)との相溶性がやや低い傾向にあるため、長光路での、特に短波長光光損失が大きい傾向があり、メルトフローレートが15g/10分以上のアクリル樹脂を使用した実施例1〜3と比較すると、光波長400nm〜500nmでの平均の光線透過率が低い傾向がある。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、表面平滑性・成形加工性に優れ、且つ柔軟性に優れ、短波長光の光線透過率が高いため、成形材料として好適である。また、本発明の熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体は、柔軟性に優れ、且つ短波長光の光線透過率が高いため、各種用途に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂(B)とを含む熱可塑性重合体組成物であって;
    アクリル系ブロック共重合体(A)が、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)の両末端にそれぞれメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)が結合した構造を分子内に少なくとも1つ有するアクリル系ブロック共重合体であり、重量平均分子量が10,000〜100,000であって;
    アクリル系ブロック共重合体(A)が、重合体ブロック(a2)の含有量が50質量%以上65質量%以下であるアクリル系ブロック共重合体(A1)と重合体ブロック(a2)の含有量が15質量%以上40質量%未満であるアクリル系ブロック共重合体(A2)を含み;
    アクリル樹脂(B)が、主としてメタクリル酸エステル単位から構成され;
    アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂(B)との質量比〔(A)/(B)〕が97/3〜10/90である熱可塑性重合体組成物。
  2. アクリル樹脂(B)の230℃、37.3Nでのメルトフローレートが15g/10分以上である請求項1に記載の熱可塑性重合体組成物。
  3. アクリル樹脂(B)の230℃、37.3Nでのメルトフローレートが15g/10分未満である請求項1に記載の熱可塑性重合体組成物。
  4. アクリル系ブロック共重合体(A1)の含有量がアクリル系ブロック共重合体(A)の総量に対して5質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性重合体組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性重合体組成物からなるシート状成形体。
  6. 分光光線透過率測定法で得られるD65光源、2度視野角、測定温度25℃、光路長15mmにおける光波長400nm〜500nmでの平均の光線透過率が40%以上であることを特徴とする、請求項5に記載のシート状成形体。
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