JP5642157B2 - 内燃機関用ピストン - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関にてスリーブ内を往復動作する内燃機関用ピストンに関する。
自動車は、燃料が供給された内燃機関が発生する駆動力を回転駆動力に変換してタイヤを回転動作させ、これにより走行している。このような構成の自動車において、近時、内燃機関の燃料消費率(燃費)を向上させることが種々試みられている。燃料の消費量が低減するので、省エネルギ化となるとともに、地球環境保護に貢献し得るからである。
そのような試みの1つとして、内燃機関のスリーブと、該スリーブ内を往復動作するピストンとの摺動抵抗を低減することが挙げられる。摺動抵抗が小さい場合、ピストンが往復動作することが容易となる。このため、ピストンを往復動作させるための駆動力が小さくなり、ひいては燃料消費量が低減するからである。
摺動抵抗を低減するには、潤滑性に富む物質を含む層をスリーブ又はピストンスカートに設け、これにより、スリーブ又はピストンスカートの潤滑性能を向上させることが想起される。例えば、特開2009−68584号公報には、バインダ樹脂中にMoS2やC等を分散させた層を設けることが提案されている。
また、本出願人は、特開2003−13802号公報において、ピストンスカートに条痕を形成するとともに、この条痕の表面に、潤滑材を含浸させた陽極酸化皮膜と、二硫化モリブデン皮膜とをこの順序で成膜することを提案している。
内燃機関の場合、スリーブとピストンスカートとの間に潤滑油が介在する。従って、単に摺動抵抗を低減するのみでなく、この潤滑油を保持する能力に優れることも求められる。潤滑油を保持する能力に乏しいと、焼付きが発生する懸念があるからである。
本発明の一般的な目的は、簡素でありながらスリーブとの摺動抵抗を低減し得る内燃機関用ピストンを提供することにある。
本発明の主たる目的は、潤滑油を良好に保持することが可能な内燃機関用ピストンを提供することにある。
本発明の別の目的は、焼付きを回避しながら内燃機関の燃費の向上に寄与し得る内燃機関用ピストンを提供することにある。
本発明の一実施形態によれば、内燃機関にてねずみ鋳鉄又はアルミニウム合金からなるスリーブ内を往復動作するアルミニウム合金製の内燃機関用ピストンにおいて、
又は銀合金からなり、ピストンスカートに形成された条痕を被覆する皮膜を備え、
前記皮膜の表面は、凹部と凸部とからなるうねりを有し、
前記凹部の最も低い谷部と、前記凸部の最も高い頂部との高低差が8〜15μmであり、
且つ隣接する前記凸部同士のピッチが前記条痕の突起部のピッチに対応するとともに、前記凸部の頂部の算術平均粗さRaが60nm以下である内燃機関用ピストンが提供される。
従来から一般的なMoS2潤滑層では、うねりの凸部の頂部にも微細な起伏が存在する。これに対し、本発明においては、うねりの凸部の頂部が、全体にわたって平坦な平滑面である。
ピストンスカートがスリーブに摺接するときには、凸部の頂部が実際の摺動面として機能する。従って、頂部に起伏が存在するMoS2潤滑層では、実際の摺動面の面積が小さい。一方、本発明では、前記平滑面が実際の摺動面として機能するため、摺動面の面積が大きい。このため、本発明では、摺動面に作用する応力が適切に分散される。これにより、ピストンスカートとスリーブとの間の摩擦抵抗が低減する。
以上のように、ピストンスカートに形成される皮膜のうねりにおける凸部の頂部の算術平均粗さRaを60nm以下とすることで該頂部を平坦な平滑面とすることにより、ピストンスカートとスリーブとの間の摩擦抵抗を低減することができる。
また、この場合、スリーブ界面の熱伝導度とピストンスカート界面の熱伝導度の和が350W/m・K以上と大きくなる。このため、スリーブと内燃機関用ピストンとの間に発生した摩擦熱が速やかに拡散ないし伝達される。従って、スリーブと内燃機関用ピストンとの間が高温となることが回避される。さらに、皮膜を形成する銀、銀合金及び銅が高融点であるので、摩擦熱が生じた場合であっても、皮膜が固相状態を保つことが容易である。以上のことが相俟って、ピストンスカートに凝着が起こることが回避される。
しかも、この場合、内燃機関用ピストンをスリーブに対して摺動させる際に要する力が小さくなる。この理由は、内燃機関用ピストンとスリーブとのヤング率の差の絶対値が10GPa以上と大きいためにピストンスカートの摺動界面に弾性変形が容易に起こるようになり、荷重が付与された際に表面の微細凹凸が変位することで平滑化するとともに、これに伴って摺動時に摺動方向に沿って発生する剪断力、換言すれば、摺動抵抗が小さくなるからであると推察される。
加えて、うねりの凹部に潤滑油が有効に保持されるので、潤滑油保持能にも優れる。
このため、摺動抵抗が上昇することが抑制される。また、凝着が発生することが回避されるために平滑な摩擦面が形成されるので、面圧を低減させることができる。従って、内燃機関用ピストンとスリーブとの間の摺動抵抗が低減するので、摺動部位に傷やスカッフ等の損傷が発生する懸念を払拭し得る。
その上、このように形成された平滑な摩耗面では、スリーブとピストンスカートを接触させるために必要な荷重(以下、境界遷移荷重という)が大きくなる。このことは、大きな荷重を付与しなければスリーブとピストンスカートが直接接触に至らないことを意味する。
従って、この場合、スリーブとピストンスカートとの間に潤滑剤を保持することが容易となる。このことも相俟って、スリーブとピストンスカートの間に焼付きが生じることを容易に回避し得るようになる。
なお、皮膜は、銀又は銀合金それ自体からなる金属層であってもよいが、銀の粒子を焼結した焼結体からなる層からなるものであってもよいし、銀を含む合金層であってもよい。なお、銀合金の好適な例としては、銀−スズ合金や銀−銅合金等が挙げられる。
いずれにおいても、銀合金の場合、皮膜における銀純度60重量%以上とする。銀純度をこのように設定することにより、摩擦損失を有効に低減することが可能となる。皮膜の一層好ましい銀純度は、80重量%以上である。
また、皮膜の厚みは0.5〜100μmであることが好ましい。厚みが過度に小さいと皮膜が比較的短期間で摩耗してしまうので、条痕(うねりの凸部)の頂部の摩擦面を60nm以下の平滑面にすることが困難である。一方、過度に大きいと、皮膜の重量が大きくなるので内燃機関用ピストンを往復動作させるための駆動力が大きくなってしまうからである。
さらに、ピストンスカートの条痕は、高さが0.001〜0.1mm、隣接する突起部同士の間のピッチが0.1〜0.5mmであるものであることが好ましい。条痕の寸法をこのように設定した場合、ピストンスカートとスリーブとの接触面積が適切な範囲となる。従って、摺動抵抗が大きくなったり、焼付きが生じたりすることを回避することができる。
摺動摩擦試験器の要部概略側面図である。 ディスク体とテストピースとを用いて求められた摩擦係数を、ディスク体のヤング率からテストピースのヤング率を差し引いた値との関係で示したグラフである。 熱伝導度が良好でない場合の第1の部材及び第2の部材の各摺動面を拡大して模式的に示す要部拡大断面図である。 熱伝導度が良好な場合の第1の部材及び第2の部材の各摺動面を拡大して模式的に示す要部拡大断面図である。 図3における第1の部材又は第2の部材の凸部の頂部を拡大して模式的に示す模式拡大図である。 図4における第1の部材又は第2の部材の凸部の頂部を拡大して模式的に示す模式拡大図である。 ディスク体とテストピースの熱伝導度の和と、これらディスク体とテストピースの境界遷移荷重との関係を示したグラフである。 本発明の実施の形態に係るスリーブ及びピストンを具備する内燃機関の要部縦断面図である。 前記ピストンを構成するピストンスカートの表層部近傍を拡大して示す断面模式図である。 金属からなる潤滑層が形成されたピストンスカートの表層部近傍を拡大して示す断面模式図である。 Ag粒子の焼結体からなる潤滑層が形成されたピストンスカートの表層部近傍を拡大して示す断面模式図である。 銀の純度と銀皮膜(潤滑層)の熱伝導率、内燃機関の摩擦損失との関係を示すグラフである。 内燃機関を6800rpmで運転したときの皮膜の摩耗量の変化を示すグラフである。 往復動作(摺動)する前の銀皮膜(潤滑層)のうねりの粗さ曲線である。 往復動作(摺動)した後の銀皮膜(潤滑層)のうねりの粗さ曲線である。 往復動作(摺動)した後のMoS2皮膜(従来技術に係る潤滑層)のうねりの粗さ曲線である。 様々な潤滑層がピストンスカートに形成されたピストンを往復動作させた場合の内燃機関の回転数と摩擦損失との関係を示すグラフである。 様々な銀皮膜(潤滑層)がピストンスカートに形成されたピストンを往復動作させた後の各銀皮膜における実際の摺動面として機能する部位の面積を対比して示すグラフである。 様々な潤滑層がピストンスカートに形成されたピストンを往復動作させたときの内燃機関の回転数と摩擦損失の低減率との関係を示すグラフである。 図19とは相違する試験条件下での、様々な潤滑層がピストンスカートに形成されたピストンを往復動作させたときの内燃機関の回転数と摩擦損失の低減率との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る内燃機関用ピストンにつき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
先ず、2つの物体のヤング率と摩擦係数の関係につき説明する。
2つの物体同士が摺接する際の摩擦係数は、図1に示す摺動摩擦試験器10によって測定することができる。この摺動摩擦試験器10につき概略説明すると、該摺動摩擦試験器10は、基台12と、該基台12上に設けられたアーム部材14及び台座16とを有する。
この中、台座16の上端面には収容凹部18が陥没形成され、該収容凹部18には回転テーブル20が収容される。この回転テーブル20は、図示しない回転駆動機構(例えば、モータ)の作用下に回転動作する。また、回転テーブル20の上端面の中心には、支持軸22が突出形成される。
一方、アーム部材14は、基台12から略垂直に立ち上がった立ち上がり部24と、この立ち上がり部24から基台12側に向かって屈曲して連なり、且つ基台12の上方を覆うように延在する保持部26とを有する。
保持部26には、押圧軸28が上昇・下降可能に設けられる。この押圧軸28の先端には、若干大径な押止部材30が嵌着される。
テストピース32(後述)から押圧軸28に付与される荷重は、ロードセル34によって検出される。このロードセル34の上方には、その際の荷重を表示する表示計36が設けられる。
以上の構成において、支持軸22には、ディスク体38が支持される。すなわち、ディスク体38の中心には挿入孔40が貫通形成され、この挿入孔40に回転テーブル20の支持軸22が通される。勿論、ディスク体38は回転テーブル20上に載置され、従って、回転テーブル20が回転動作することに追従して回転動作する。
また、ディスク体38と押止部材30との間にはテストピース32が介在される。摺動摩擦試験器10は、このテストピース32と前記ディスク体38との間の摩擦係数を求めるためのものである。
具体的には、先ず、ディスク体38の挿入孔40に回転テーブル20の支持軸22を通してディスク体38を回転テーブル20上に載置した後、ディスク体38上にテストピース32を載置する。そして、押圧軸28を下降させ、押止部材30を介して所定の押圧力でテストピース32を押止する。
次に、この状態で、前記回転駆動機構の作用下に回転テーブル20を回転動作させ、これによりディスク体38を回転動作させる。その結果、ディスク体38がテストピース32に対して摺動を開始する。
この際、テストピース32から押圧軸28及び押止部材30に伝達される荷重は、ロードセル34によって検出され、表示計36に表示される。
このようにして求められた荷重と、ディスク体38が回転動作を開始したときの回転駆動機構の回転駆動力とに基づき、摩擦係数を算出することができる。
図2は、AC2B(アルミニウム合金を示すJIS)又はSKD11(ダイス鋼を示すJIS)からなるディスク体38と、様々な材質からなるテストピース32とを用いて求められた摩擦係数を、ディスク体38のヤング率からテストピース32のヤング率を差し引いた値との関係で示したグラフである。なお、図2中、四角(■)のプロットがAC2Bからなるディスク体38での結果であり、一方、菱形(◆)のプロットがSKD11からなるディスク体38での結果である。また、テストピース32の材質は、図2中に示した通りである。さらに、同一材質のテストピース32につき複数回の測定を行った場合には個々の結果を併せて示しており、後述する図7においても同様である。
この図2から、ヤング率同士の差の絶対値が大きくなるほど、摩擦係数が小さくなることが諒解される。この理由は、ヤング率の差が大きい場合、摺接面が比較的容易に弾性変形するために摺接時の剪断力が小さくなり、その結果、摺動抵抗が小さくなるからであると推察される。このことは、ヤング率の差が大きくなるほど、2つの物体を相対的に摺動させる際に要する力が小さくなることを意味する。
その一方で、熱伝導度が大きい物質では、摺接時に発生する摩擦熱が速やかに伝達される。従って、相対的に摺動し合う2物体間に凝着が生じ難い。以下、この点につき説明する。
要部拡大断面図である図3に模式的に示すように、2つの物体である第1の部材50及び第2の部材52の各摺動面(摺動部位)は、相対的に摺動し合う前、微視的には平滑ではなく、陥没した凹部54a、54bや、隆起した凸部56a、56bが多数存在するために起伏形状である。従って、第1の部材50に対して第2の部材52が相対的に摺動する際、第1の部材50の摺動面に存在する凸部56aと、第2の部材52の摺動面に存在する凸部56bとが当接することになる。
この当接箇所には、局部的に熱が発生する。第1の部材50及び第2の部材52の熱伝導度が過度に小さいと、当接箇所に発生した前記熱は、第1の部材50又は第2の部材52に拡散することなく滞留する。このため、当接箇所が高温となる。第1の部材50及び第2の部材52の融点が低い場合、このことに起因して凸部56a、56b同士の当接箇所が溶融する。
このようにして溶融した箇所が再凝固すると、凸部56a、56b同士が一体化する。すなわち、凝着が起こり、図3に参照符号58として示すように凝着部が形成される。この現象は、第1の部材50及び第2の部材52の熱伝導率が小さいものであるほど、ないしは融点が低いものであるほど生じ易い傾向がある。
このような事態が発生した場合、凝着した凸部56a、56b同士を引き離すための力が必要となる。そして、第2の部材52が相対的に摺動する過程で引き離された凸部56a、56b同士が再当接したときには再凝着が起こり、その後、再度の引き離しが行われる。このため、第2の部材52を相対的に摺動させるに際して大きな力を必要とする。しかも、凝着部58を引き離す状況が繰り返されることに起因して、第1の部材50の摺動面、又は第2の部材52の摺動面が損傷し、このために平滑な摩耗面が形成されなくなる。換言すれば、凹凸が存在するので、隆起した突部で入力荷重を支持する摺動構造となる。
これに対し、第1の部材50及び第2の部材52の熱伝導度が大きい場合、当接箇所に発生した前記熱が第1の部材50又は第2の部材52に拡散する。このため、当接箇所が高温となることが回避され、当接した凸部56a、56b同士は、図4に示すように、凝着を起こすことなく容易に研磨される。
従って、この場合、摩耗が起こり易くなるために比較的平滑な摺動面を得ることができる。これにより摺動部位の面積が増加し、その結果、摺動抵抗が低下する。また、凝着を引き離す状況が繰り返されることが回避されるので、第1の部材50の摺動面や、第2の部材52の摺動面に傷やスカッフが発生する懸念が払拭される。すなわち、各摺動面が損傷する懸念がない。
なお、第1の部材50のヤング率から第2の部材52のヤング率を差し引いた値の絶対値が大きいほど凸部56a、56bが弾性変形を起こし易くなるので、第1の部材50及び第2の部材52の各摺動面が一層平滑となる。すなわち、摺動抵抗が一層低下する。
以上から諒解されるように、一般的な摺動面では、第1の部材50と第2の部材52が相対的に摺動した後の凸部56a、56bの頂部が微視的には平坦とはならず、図5に模式的に示すように、頂部にも微細な起伏が存在する。
これに対し、第1の部材50と第2の部材52の熱伝導度の和が大きく、且つこれら第1の部材50及び第2の部材52が高融点である場合、第1の部材50と第2の部材52が摩耗する際に発生する熱が速やかに拡散ないし伝達されるとともに、該第1の部材50及び該第2の部材52が固相状態を維持する。このために摺動面に凝着が起こり難くなるので、平滑な摩耗面が形成される。その結果として、第1の部材50と第2の部材52が直接接触し合うために必要な荷重、すなわち、境界遷移荷重が大きくなる。
そして、摺動面が平滑であるほど、該摺動面に作用する荷重を略均等に分散することが可能となる。このため、第1の部材50と第2の部材52の間に潤滑剤が介在する場合は、該潤滑剤を剪断する力が低減する。このため、第1の部材50と第2の部材52の間に潤滑剤が良好に保持されるようになる。
これに併せ、第1の部材50と第2の部材52として、元々のうねりの起伏やヤング率の差が適切なもの同士を選定することにより、図6に模式的に示すように、相対的に摺動した後の凸部56a、56bの頂部が一層平滑となる。
図7は、AC2B又はSKD11からなるディスク体38(第1の部材)の熱伝導度と、様々な材質からなるテストピース32(第2の部材)の熱伝導度の和を横軸とし、且つ境界遷移荷重を縦軸として、2物体の熱伝導度の和と境界遷移荷重との相関関係を求めたグラフである。なお、図2と同様に、四角(■)のプロットがAC2Bからなるディスク体38での結果であり、一方、菱形(◆)のプロットがSKD11からなるディスク体38での結果である。図7には、テストピースの材質も併せて示している。
この図7から、熱伝導度の和が大きくなるほど境界遷移荷重が大きくなること、すなわち、ディスク体38(第1の部材)と、テストピース32(第2の部材)とを直接接触させるために大きな荷重が必要となることを意味する。
換言すれば、第1の部材50と第2の部材52の熱伝導度の和を350W/m・K以上に設定するとともに、第1の部材50及び第2の部材52として高融点の金属を選定することにより、第1の部材50と第2の部材52の間に所定のクリアランスが形成された状態が維持され易くなる。潤滑剤は、このクリアランスに保持される。
以上のような理由により、第1の部材50と第2の部材52の間に潤滑剤が良好に保持されるようになるので、第1の部材50と第2の部材52の間の潤滑性能が好適に保たれる。
以上の結果に基づき、本実施の形態では、図8にその要部を示す内燃機関において、相対的に摺動し合う部材の摺動部位同士の熱伝導度の和を350W/m・K以上とし、且つ前記摺動部位同士のヤング率の差の絶対値を10GPa以上とする。以下、この点につき詳述する。
図8は、内燃機関の要部縦断面図である。内燃機関を構成するシリンダブロック59には、気筒を構成する孔60が一般的には複数個形成されるとともに、各々の孔60内にスリーブ62が挿入される。そして、各スリーブ62内では、内燃機関用ピストン(以下、単にピストンとも表記する)64が往復動作する。
この構成において、スリーブ62の内壁には、往復動作するピストン64のピストンスカート66が摺接する。すなわち、スリーブ62とピストンスカート66とによって摺動部構造が形成される。
スリーブ62は、ねずみ鋳鉄材からなるもの(いわゆるFCスリーブ)が一般的であるが、アルミニウム合金からなるもの(いわゆるAlスリーブ)であってもよい。さらに、その内壁に表面処理が施され、Ni−SiCめっき皮膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)皮膜などが形成されたものであってもよい。
一方、ピストン64は、AC2A、AC2B、AC4B、AC4C、AC4D、AC8H、A1100(いずれもJISに定義されるアルミニウム合金)、Al−Cu合金等のアルミニウム合金からなる。そして、図9に示すように、ピストンスカート66には、該ピストンスカート66の周回方向に沿って延在する条痕68が形成される。条痕68における突起部70の高さHは0.001〜0.1mmの範囲内であり、隣接する突起部70同士の間隔、すなわち、ピッチPは0.1〜0.5mmの範囲内であることが好適である。なお、高さHの一層好適な範囲は0.008〜0.012mmであり、ピッチPの一層好適な範囲は0.25〜0.3mmである。
このように構成されるピストンスカート66は、潤滑層(銀皮膜)72によって被覆される。この潤滑層72の厚みは、特に限定されるものではないが、過度に小さいと潤滑層72が比較的短期間で摩耗してしまい、下地であるピストンスカート66が露呈することになる。一方、過度に大きいと、潤滑層72の重量が大きくなるのでピストン64を往復動作させるための駆動力が大きくなってしまう。以上の不都合が発生することを回避するべく、潤滑層72の厚みを0.5〜100μmに設定することが好ましい。
本実施の形態では、潤滑層72に銀(Ag)が含まれる。このような潤滑層72は、ピストンスカート66の表層部近傍を拡大した図10に示すように、Agからなる金属層として形成することができる。この場合、例えば、内燃機関に組み込まれる前のピストン64に対してアルカリ液によるエッチング、酸洗浄、2回の亜鉛置換処理を施した後、めっき処理を施すことによって潤滑層72を形成すればよい。めっき浴としては、シアン化銀めっき浴を採用すればよい。
又は、図11に示すように、銀の微粒子を出発原料として得た焼結体からなる潤滑層72を形成するようにしてもよい。なお、この図11では、微粒子が出発原料であることを示すべく該潤滑層72を微粒子の集合体として表しているが、この場合の実際の潤滑層72では、微粒子同士が三次元的に融合している。
微粒子としては、平均粒径が1〜80nmである、いわゆるナノ粒子が好適である。このようなナノ粒子から形成された潤滑層72は、ピストンスカート66に対する接合力が強固となり、結局、ピストンスカート66から脱落し難くなるからである。
そして、このナノ粒子を、例えば、テルピネオール、ノナノール、エチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン等の適切な溶媒(好ましくは極性溶媒)に分散させ、粘度が10cp程度であるスラリーを調製する。
次に、該スラリーをピストンスカート66に塗布する。塗布に際しては、スクリーン印刷法等の公知の塗布手法を採用することができる。
次に、該スラリーをピストン64ごと加熱する。この際の好適な加熱温度は、160〜240℃である。これにより、スラリー中の溶媒が揮発するとともに、ナノ粒子同士が融着する。すなわち、焼結が起こり、銀粒子の焼結体からなる潤滑層72が得られるに至る。
このように、ナノ粒子を用いた場合、160〜240℃という比較的低温域で焼結させて皮膜を形成することが可能である。従って、アルミニウム合金からなるピストンスカート66が高温となることが回避され、このため、該ピストンスカート66の機械的強度等に影響が及ぶことを回避することができる。
潤滑層72とピストンスカート66との接合力を一層向上させるべく、潤滑層72とピストンスカート66との間に中間層を介装するようにしてもよい。中間層の材質の好適な例としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン−6樹脂、ナイロン−6,6樹脂等を挙げることができる。
なお、この場合において、銀粒子を出発原料として潤滑層72を形成する際には、スラリーを得るための溶媒として、N−メチルピロリドン、ポリビニルピロリン、トリクロロエチレン、四塩化炭素等、中間層をなす樹脂を膨潤させることが可能なものを選定することが好ましい。潤滑層72を形成するために中間層上にスラリーを塗布した際、溶媒の作用下に中間層が膨潤し、その結果、中間層とスラリーとの界面に銀粒子が拡散した相互混合層が形成される。この相互混合層によって、中間層と潤滑層72との間にいわゆるアンカー効果が発現するので、中間層に対する潤滑層72の接合力が強固となるからである。
また、潤滑層72は、銀合金めっき又は銀合金の微粒子の皮膜からなるものであってもよい。この場合、銀合金めっきからなる皮膜が形成されるようにめっき条件を変更するか、又は、銀の微粒子を用いることに代替して銀合金の微粒子を用いるようにすればよい。なお、好適な銀合金としては、Ag−Sn合金、Ag−Cu合金が挙げられる。
以上のように構成される潤滑層72では、その熱伝導度と、FCスリーブ又はAlスリーブの熱伝導度との和が350W/m・K以上となり、且つ、FCスリーブ又はAlスリーブに対してヤング率の差の絶対値が10GPa以上となる。
上記した潤滑層72のいずれにおいても、銀の純度は、60重量%以上であることが好ましい。図12に示すように、60重量%未満であると、潤滑層72の熱伝導率が若干低く、このために平滑な摩耗面が形成することが容易ではなくなるので、内燃機関の摩擦損失(Psf)を低減する効果が乏しくなる傾向があるからである。
なお、図12から諒解されるように、銀の純度が80重量%以上であると、熱伝導率及び摩擦損失の低減率が略一定となる。従って、銀の純度を80重量%以上に設定することが一層好ましい。
ここで、銀の純度は、「潤滑層72に含まれる銀の重量%」として定義される。めっきにて潤滑層72(図10参照)を形成した場合、該潤滑層72に含まれる成分は概ね銀であり、従って、銀の純度は略100%である。また、銀合金からなる潤滑層72を形成した場合には、銀の純度は、潤滑層72中に含まれる銀の重量%として求められる。さらに、銀粒子(ナノ粒子)を塗布した後に焼結体からなる潤滑層72(図11参照)を得る場合、銀の純度は、スラリー中の銀粒子の割合として定義される。
潤滑層72は、銅めっき又は銅微粒子の焼結体の皮膜からなるものであってもよいし、銅合金めっき又は銅合金微粒子の焼結体の皮膜からなるものであってもよい。いずれの場合においても、該潤滑層72の熱伝導度と、FCスリーブ又はAlスリーブの熱伝導度との和が350W/m・K以上となり、且つ、FCスリーブ又はAlスリーブに対してヤング率の差の絶対値が10GPa以上となる。なお、銅合金における銅の純度は、70重量%以上、とりわけ80重量%以上であることが好ましい。ここで、銅の純度は、銀の純度と同様に、「潤滑層72に含まれる銅の重量%」として定義される。
潤滑層72の上端面には、ピストンスカート66における条痕68(図9参照)の形状に対応する形状が転写される。すなわち、条痕68の陥没・隆起の位置に対応した位置に凹部78、凸部80がそれぞれ位置するうねり82が形成される。従って、うねり82において、凹部78の最も低い谷部と、凸部80の最も高い頂部との好適な高低差は0.001〜0.1mm、一層好適には0.008〜0.012mmであり、隣接する凸部80同士の好適な間隔、すなわち、好適なピッチPは0.1〜0.5mm、一層好適には0.25〜0.3mmである。
ピストンスカート66、ひいては上記のように形成された潤滑層72と、スリーブ62との間には潤滑油(図示せず)が介在する。内燃機関が運転されると、ピストン64は、この状態でスリーブ62内を図8における上下方向に沿って往復動作する。ここで、「内燃機関が運転される」とは、燃焼室で燃料が燃焼されることを意味する。
この往復動作の過程で、潤滑層72におけるうねり82(図9参照)がスリーブ62の内壁に摺接する。これにより、該うねり82の凸部80の頂部が良好に摩耗する。
内燃機関の運転を所定の時間続行すると、頂部が平坦化されるためにそれ以上の摩耗が起こらなくなる。すなわち、図13に示すように、時間が経過しても摩耗量が変化しなくなる。換言すれば、摩耗量が飽和値となる。なお、図13においては、内燃機関を6800rpmで運転したときの摩耗量の変化を示しているが、およそ20分で摩耗量が飽和値に達していることが分かる。以降の説明においては、「摩耗量が飽和値に達するまでの運転」を「初期運転」と表記することもある。
初期運転前のうねり82の粗さ曲線、初期運転後のうねり82の粗さ曲線を、図14、図15にそれぞれ示す。これら図14、図15を比較して諒解されるように、摺動前のうねり82では、凸部80の頂部が先鋭であるのに対し、摩耗量が飽和値に達した初期運転後のうねり82においては、凸部80の頂部が平坦な平滑面となっている。この場合、以降の摺動においては、潤滑層72における凸部80の頂部の平滑面が、実際の摺動面として機能する。
なお、このように平滑面となった頂部につき算術平均粗さRaを測定すると、銅めっきの皮膜からなる潤滑層72で約55nm、銀めっきの皮膜からなる潤滑層72で約38nmと、いずれも60nm以下であることが確認される。また、凹部78の最も低い谷部と、凸部80の最も高い頂部との高低差は、8〜15μmとなる。
一方、図16は、バインダ樹脂であるポリアミドイミドにMoS2粉末が分散された厚み6μmの層からなる一般的な潤滑層をピストンスカートに形成し、内燃機関を運転してピストンを往復動作させた後の潤滑層のうねりの粗さ曲線である。この場合、内燃機関の運転時間は、前記ピストン64を組み込んだ内燃機関にて初期運転を行った時間と同一である。
この図16に示すように、一般的な潤滑層では、うねりの凸部の頂部に微細な起伏が残留していることが認められる。すなわち、この場合、凸部の頂部は、摺動後も平滑面とはおらず、頂部の算術平均粗さRaは小さい場合で130nm、大きいときには140nmであり、60nmを大きく上回る。そして、この場合、実際の摺動面として機能するのは、凸部の頂部中、平滑となった部位のみである。
以上を対比して容易に諒解されるように、凸部80の頂部が全体にわたって平滑面となった潤滑層72を有する本実施の形態では、一般的な潤滑層に比して、実際に摺動面として機能する部位(以下、実摺動面ともいう)の面積が大きい。このため、初期運転の後に内燃機関を再度運転する際、すなわち、凸部80の頂部がスリーブ62に対して摺動する際、実摺動面に局所的に作用する単位面積あたりの応力が小さくなる。実摺動面の面積が大きいので、応力が適切に分散されるからである。
このように応力が適切に分散されることも相俟って、本実施の形態では、ピストンスカート66とスリーブ62との間の摩擦が一層小さくなる。このことも、摩擦損失の低減に寄与する。
加えて、条痕68、ひいてはうねり82におけるピッチPが好適には0.1〜0.5mm、一層好適には0.25〜0.3mmに設定されるとともに、突起部70の高さHが好適には0.001〜0.1mm、一層好適には0.008〜0.012mmに設定されているので、ピストンスカート66とスリーブ62との接触面積が適切な範囲となる。従って、摺動抵抗が大きくなったり、焼付きが生じたりすることを容易に回避し得る。
ここで、Ag−Cu合金めっき層(銀純度80%)からなる厚み6μmの潤滑層72、Ag−Cu合金めっき層(銀純度60%)からなる厚み6μmの層、又はCuめっき層(銅純度100%)からなる厚み6μmの層のいずれかからなる潤滑層72がピストンスカート66に形成され、且つ該ピストンスカート66に突起部70の高さHが0.01mm、ピッチPが0.3mmである条痕68が設けられたピストン64を往復動作させた場合の内燃機関の摩擦損失(Psf)を図17に示す。この図17には、バインダ樹脂であるポリアミドイミドにMoS2粉末が分散された厚み6μmの層からなる一般的な潤滑層がピストンスカートに形成されたピストンを往復動作させた場合の内燃機関の摩擦損失が併せて示されている。この図17から、如何なる回転数においても、MoS2を含む潤滑層が形成されたピストンに比して、Agを含む潤滑層72が形成されたピストン64の方が摩擦損失が小さいことが明らかである。
また、図18は、Ag−Cu合金めっき層(銀純度80%)からなる厚み6μmの潤滑層72、Ag−Cu合金めっき層(銀純度60%)からなる厚み6μmの潤滑層72のいずれかがピストンスカート66に形成され、且つ上記と同様の条痕68が設けられたピストン64を往復動作させた後の実摺動面と、ポリアミドイミドにMoS2粉末が分散された厚み6μmの層からなる潤滑層がピストンスカートに形成されたピストンを往復動作させた後の実摺動面とを対比して示すグラフである。なお、MoS2潤滑層における実摺動面を1とし、これに対する実摺動面の割合を示している。
この図18から、Agを含む潤滑層72の実摺動面が、Mo潤滑層に比して大きいことが分かる。なお、銀純度80%の潤滑層72では、Mo潤滑層に比して面圧を64%低減することが可能であり、銀純度60%の潤滑層72では面圧を19%低減することが可能である。
以上の結果から、Agを含む潤滑層72が形成されたピストン64が比較的小さな力で容易に往復動作すること、換言すれば、摺動抵抗が小さいことが明らかである。すなわち、上記したような構成とすることにより、ピストン64とスリーブ62の間の摺動抵抗を低減し得、その結果、ピストン64を往復動作させるための駆動力を低減することが可能となる。
図19に、内燃機関の回転数に対する摩擦損失の低減率を、MoS2を含む潤滑層が形成されたピストンを基準として示す。この低減率が大きいほど、燃費が向上することを意味する。
さらに、図20に、図19とは試験条件を相違させたときの内燃機関の回転数に対する摩擦損失の低減率を示す。この図20においても、MoS2を含む潤滑層が形成されたピストンを基準として示している。
これら図19及び図20から諒解される通り、Agを含む潤滑層72、Cuからなる潤滑層72が形成されたピストン64では、如何なる回転数においても、MoS2を含む潤滑層が形成されたピストンに比して摩擦損失の低減率が大きくなる。このことから、上記したような構成とすることにより、内燃機関の回転数に関わらず、燃費を向上させ得ることが明らかである。
さらに、粒径30nmの銀粒子を出発原料とする焼結体(純度88%)からなる潤滑層72を形成した場合においても、上記と同様に、MoS2を含む潤滑層を形成した場合に比して面圧が小さくなり、且つ摩擦損失の低減率が大きくなるという結果が得られた。
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは勿論である。

Claims (5)

  1. 内燃機関にてねずみ鋳鉄又はアルミニウム合金からなるスリーブ(62)内を往復動作するアルミニウム合金製の内燃機関用ピストン(64)において、
    銀、又は銀の純度が60重量%以上である銀合金からなり、ピストンスカート(66)に形成された条痕(68)を被覆する皮膜(72)を備え、
    前記皮膜(72)の表面は、凹部(78)と凸部(80)とからなるうねりを有し、
    前記凹部(78)の最も低い谷部と、前記凸部(80)の最も高い頂部との高低差が8〜15μmであり、
    且つ隣接する前記凸部(80)同士のピッチが前記条痕(68)の突起部のピッチに対応するとともに、前記凸部(80)の頂部の算術平均粗さRaが60nm以下であることを特徴とする内燃機関用ピストン(64)。
  2. 請求項1記載のピストン(64)において、前記皮膜(72)が、銀又は銀合金の粒子を焼結した焼結体からなることを特徴とする内燃機関用ピストン(64)。
  3. 請求項1又は2記載のピストン(64)において、前記皮膜(72)の銀の純度が80重量%以上であることを特徴とする内燃機関用ピストン(64)。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のピストン(64)において、前記皮膜(72)の厚みが0.5〜100μmであることを特徴とする内燃機関用ピストン(64)。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のピストン(64)において、前記条痕(68)として、高さが0.001〜0.1mm、隣接する突起部同士の間のピッチが0.1〜0.5mmであるものが形成されたことを特徴とする内燃機関用ピストン(64)。
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