JP2008215222A - エンジンのピストン - Google Patents

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JP2008215222A JP2007054462A JP2007054462A JP2008215222A JP 2008215222 A JP2008215222 A JP 2008215222A JP 2007054462 A JP2007054462 A JP 2007054462A JP 2007054462 A JP2007054462 A JP 2007054462A JP 2008215222 A JP2008215222 A JP 2008215222A
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Yasuo Uosaki
靖夫 魚崎
Nobuo Sakate
宣夫 坂手
Masahiko Shibahara
雅彦 芝原
Yoshio Tanida
芳夫 谷田
Akio Wakasaki
章夫 若崎
Shinji Kadoshima
信司 角島
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Abstract

【課題】エンジンの気筒内壁面と摺接するスカート部の外表面に複数の条痕溝が周方向に形成されたエンジンのピストンにおいて、たとえ隣接する条痕溝間の頂部が若干摩耗し、条痕溝の深さが小さくなっても、条痕溝の保油量の減少を抑制する。
【解決手段】アルミ合金を母材としてピストンを鋳造する際に、ピストンのスカート部に焼結部材8を鋳包む。スカート部における焼結部材8の鋳包み部と非鋳包み部とに亘って連続する条痕溝7…7を形成する。その際、条痕溝7…7の表面に焼結部材8が露出するように条痕溝7…7を形成する。
【選択図】図11

Description

本発明はエンジンのピストンに関し、エンジンの気筒内壁面とこの気筒内壁面と摺接するピストンのスカート部との潤滑の技術分野に属する。
一般に、エンジンのシリンダブロックの気筒内にはピストンが往復動自在に配置されており、このピストンには気筒内壁面と摺接するスカート部が形成されている。なお、本明細書では、オイルリングよりもクランク軸側で気筒内壁面と摺接する部分をスカート部という。このスカート部の外表面と気筒内壁面との間はオイルによって潤滑状態に保たれており、これによりピストンは気筒内を円滑に往復動することができる。
従来、ピストンスカート部に複数の条痕溝を加工形成することが知られている(例えば特許文献1参照)。ここで、条痕溝は、スカート部の外表面において周方向に延びるように形成された断面U字状やV字状の凹溝であり、溝の深さは数μmから数十μm、隣接する溝同士の間隔つまり条痕溝のピッチは数十μmから数百μmとされる。
このように、気筒内壁面と摺接するピストンスカート部の外表面に条痕溝を形成することにより、この条痕溝にオイルが溜まり、このオイルによってスカート部外表面と気筒内壁面との間が良好に潤滑状態に保たれ、その結果、たとえピストンが高速で往復動しても、オイル切れが起きず、スカート部外表面と気筒内壁面との間でスカッフ(焼き付き)が発生することが防止される。
特開2003−13802(段落0021、図4)
ところで、近年、ピストンは軽量化の要請からアルミ合金を母材とする鋳造物が多く、ピストンの長期使用に伴い、ピストンスカート部の外表面に形成した条痕溝間(より詳しくは、隣接する条痕溝間)の頂部が摩耗し、条痕溝の深さが小さくなるので、条痕溝の保油量が次第に減少して、スカッフが発生し易くなる、という問題がある。
そこで、本発明は、たとえ隣接する条痕溝間の頂部が若干摩耗し、条痕溝の深さが小さくなっても、条痕溝の保油量の減少を抑制することを課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、エンジンの気筒内壁面と摺接するスカート部の外表面に複数の条痕溝が周方向に形成されたエンジンのピストンであって、前記ピストンはアルミ合金を母材とし、前記スカート部に焼結部材が鋳包まれ、前記スカート部における前記焼結部材の鋳包み部と非鋳包み部とに亘って連続する条痕溝が形成され、この条痕溝の表面に前記焼結部材が露出していることを特徴とする。
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエンジンのピストンであって、前記焼結部材は隣接する条痕溝間の頂部を含んで条痕溝の表面に露出していることを特徴とする。
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のエンジンのピストンであって、前記条痕溝間の頂部はプラトー状であることを特徴とする。
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載のエンジンのピストンであって、前記焼結部材はスカート部の一部分に鋳包まれていることを特徴とする。
次に、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のエンジンのピストンであって、前記スカート部の一部分はスカート部の外表面と気筒内壁面との間の接触面圧が他よりも高い部分であることを特徴とする。
次に、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のエンジンのピストンであって、前記スカート部はピン穴の位置の近傍で外方への膨出量が最大となる樽形状をしており、前記接触面圧が他よりも高い部分はスラスト側及び反スラスト側においてピン穴の中心よりもピストンヘッド寄りの部分であることを特徴とする。
次に、請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載のエンジンのピストンであって、前記焼結部材の空孔率は10%以下であることを特徴とする。
次に、請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれかに記載のエンジンのピストンであって、前記スカート部の外表面に固体潤滑材が被覆されていることを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明によれば、エンジンの気筒内壁面と摺接するスカート部の外表面に複数の条痕溝が周方向に形成されたエンジンのピストンにおいて、前記ピストンがアルミ合金を母材とする場合に、換言すれば、ピストンスカート部の外表面に形成した条痕溝間(より詳しくは、隣接する条痕溝間)の頂部が摩耗し易い場合に、前記スカート部に焼結部材を鋳包むと共に、前記スカート部における前記焼結部材の鋳包み部と非鋳包み部とに亘って連続する条痕溝を形成し、この条痕溝の表面に前記焼結部材を露出させたから、条痕溝に溜まったオイルが焼結部材と接触することとなる。ここで、焼結部材は、一般に、Fe−C系あるいはFe−C−Cu系の原料粉末を圧粉成形し、焼結することにより得られるもので、空孔を有するから、焼結部材と接触したオイルは焼結部材の空孔中に入り込むこととなる。したがって、ピストンの長期使用に伴い、たとえピストンスカート部の外表面に形成した条痕溝間の頂部が若干摩耗し、条痕溝の深さが小さくなっても、焼結部材の空孔中に入り込んだオイルの存在によって、条痕溝の保油量の減少が抑制され、その結果、スカート部外表面と気筒内壁面との間のスカッフの発生が長期間に亘って防止される。
次に、請求項2に記載の発明によれば、前記焼結部材を隣接する条痕溝間の頂部を含んで条痕溝の表面に露出させたから、ピストンスカート部はこの焼結部材で(すなわち、隣接する条痕溝間の頂部で)気筒内壁面と摺接することになる。ここで、焼結部材は、一般に、ピストンの母材であるアルミ合金よりも硬度が大きく耐摩耗性に優れるから、たとえピストンが長期使用されても、条痕溝間の頂部が摩耗し難くなり、条痕溝の深さの減少が抑制されるので、そもそも条痕溝の保油量の減少が抑制される。
次に、請求項3に記載の発明によれば、前記条痕溝間の頂部を平坦なプラトー状としたから、ピストンスカート部は気筒内壁面と面で摺接することになる。これに対し、前記条痕溝の頂部を例えば鋭角な頂状としたときには、ピストンスカート部は気筒内壁面と線で摺接することになる。したがって、ピストンスカート部と気筒内壁面との摺接によって条痕溝の頂部に作用する単位面積あたりの圧力が低減し、この点からも、条痕溝間の頂部が摩耗し難くなり、条痕溝の深さの減少が抑制されるので、そもそも条痕溝の保油量の減少が抑制される。
次に、請求項4に記載の発明によれば、前記焼結部材をスカート部の一部分に鋳包んだから、ピストンが徒に重くなることが回避されて、ピストンの軽量化の要請に反することがない。
次に、請求項5に記載の発明によれば、前記焼結部材をスカート部の外表面と気筒内壁面との間の面圧が他よりも高くなる部分に鋳包んだから、特に他の部分に比べて条痕溝間の頂部が摩耗する傾向が大きい部分において、条痕溝の保油量減少抑制効果ひいてはスカッフ発生防止効果が得られることとなる。
次に、請求項6に記載の発明によれば、前記スカート部がピン穴の位置の近傍で外方への膨出量が最大となる樽形状をしている場合に、換言すれば、ピストンが気筒内を往復動する際にピストンヘッドがスラスト側又は反スラスト側に傾くように首振り動作をする場合に、前記焼結部材をスラスト側及び反スラスト側においてピン穴の中心よりもピストンヘッド寄りの部分に鋳包んだから、特に他の部分に比べて面圧が高くなり、条痕溝間の頂部が摩耗する傾向が大きい部分において、条痕溝の保油量減少抑制効果ひいてはスカッフ発生防止効果が得られることとなる。
次に、請求項7に記載の発明によれば、前記焼結部材の空孔率を10%以下としたから、条痕溝の保油量減少抑制効果を十分発揮しながら、焼結部材の硬度も十分に保つことができる。
次に、請求項8に記載の発明によれば、スカート部の外表面に固体潤滑材を被覆したから、ピストンの初期なじみ性が改善され、エンジンの初期の運転においてピストンの潤滑性が向上する。ここで、固体潤滑材の好ましい例としては、黒鉛粉末、二硫化モリブデン粉末、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等を含有したポリアミドイミド系の樹脂コーティングを挙げることができる。以下、発明の最良の実施の形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るエンジン10のピストン1は、上部にシリンダヘッド11が固定されたシリンダブロック12の気筒内(気筒内壁面に符号13を付す)に上下に往復動自在に配置されている。ピストン1はピストンピン15でコンロッド14の上端部と連結されており、コンロッド14の下端部はクランク軸(図示せず)に連結されている。ピストン1の上部には上方から順に2本のピストンリング16a,16b及び1本のオイルリング16cが嵌挿されている。
図2に示すように、ピストン1は、頂面を提供するピストンヘッド2の直下方に、ピストンリング16a,16b及びオイルリング16cを嵌挿するためのリング溝3a,3b,3cが形成されていると共に、オイルリング溝3c(ないしオイルリング16c)よりも下側(クランク軸側)に、気筒内壁面13と摺接するスカート部4が形成されている。図3及び図4に示すように、スカート部4の内側には、ピストンピン15を支持するための支持部5がピストンヘッド2の下面から垂下して形成され、支持部5にはピストンピン15が挿通するピン穴6が設けられている。
図1、図3及び図4から明らかなように、本実施形態においては、ピストン1は、軽量化の要請のために、スラスト側及び反スラスト側にのみスカート部4が設けられており、また、アルミ合金を母材とする鋳造物である。そして、図2に示したように、スカート部4の外表面に、周方向に延びる複数の条痕溝7…7が加工形成されている。さらに、図2〜図4に示したように、スカート部4に焼結部材8が鋳包まれ、前記条痕溝7…7は、図2から明らかなように、スカート部4において、前記焼結部材8が鋳包まれた部分(鋳包み部)Aと、鋳包まれていない部分(非鋳包み部)Bとに亘って、連続して形成されている(なお、図2において、符号Bは、非鋳包み部の一部分のみを指している)。
焼結部材8はスカート部4の一部分に鋳包まれている。図5を参照して、焼結部材8がスカート部4のどの部分に鋳包まれているかを説明する。図5に例示したように、本実施形態においては、ピストン1のスカート部4はピン穴6(ないしピストンピン15)の位置の近傍で外方への膨出量が最大となる樽形状をしている。そして、図5(a)に示すように、ピストン1は、下降する膨張行程ではピストンヘッド2がスラスト側に傾くように首を振り、図5(b)に示すように、上昇する排気工程ではピストンヘッド2が反スラスト側に傾くように首を振る首振り動作をする。その場合に、図5(a)に符号アで示したように、スラスト側においてピン穴6の中心Oよりもピストンヘッド2寄りの部分が、他の部分に比べて、スカート部4の外表面と気筒内壁面13との間の接触面圧が高い部分である。また、図5(b)に符号イで示したように、反スラスト側においてピン穴6の中心Oよりもピストンヘッド2寄りの部分が、他の部分に比べて、スカート部4の外表面と気筒内壁面13との間の接触面圧が高い部分である。そして、焼結部材8はスカート部4のこの高面圧部分ア、イを狙って鋳包まれているのである。
図6(a)に符号ウで例示するように、焼結部材8をスカート部4の外表面に露出するように鋳包んでもよいし、図7(a)に符号エで例示するように、焼結部材8をスカート部4の外表面に露出しないように鋳包んでもよい。焼結部材8をスカート部4の外表面に露出するように鋳包んだ場合は(状態ウ)、図6(b)に示すように、条痕溝7…7は、焼結部材8に対して形成される。したがって、条痕溝7…7の表面に焼結部材8が常に露出することとなる。一方、焼結部材8をスカート部4の外表面に露出しないように鋳包んだ場合は(状態エ)、図7(b)に示すように、条痕溝7…7は、焼結部材8を覆ったアルミ合金に対して形成される。その場合に、条痕溝7…7の底部が必ず焼結部材8に到達するように形成される。これにより、条痕溝7…7の頂部7aの表面に、ピストン1の母材であるアルミ合金が露出し、条痕溝7…7の底部の表面に焼結部材8が露出することとなる。
図8及び図9を参照して、ピストン1のスカート部4に条痕溝7を形成する方法を説明する。すなわち、ピストン1のスカート部4に対し、条痕溝形成工具50の刃先を当接させ、ピストン1を往復動方向を軸として回転させながら、条痕溝形成工具50を一定の速度で往復動方向(矢印方向)に移動させることにより、スカート部4の外表面に条痕溝7を加工成形する。このような加工方法により、スカート部4には、条痕溝形成工具50の刃先の断面形状(図例はU字状)を有する条痕溝7が周方向に亘って螺旋状に形成される。このとき、条痕溝7の最大深さD(図10参照)が一定となるように、樽形状のスカート部4の外表面に対して工具50の位置を調整する。また、工具50の往復動方向の移動速度を調整することにより、隣接する条痕溝7,7の間隔つまり条痕溝7のピッチP(図10参照)を一定にすることができる。
その場合に、図8に示したように、隣接する条痕溝7,7同士がオーバーラップするように条痕溝7,7を形成すると、条痕溝7,7間の頂部7aを鋭角な頂状とすることができ(図10(a)参照)、一方、図9に示したように、隣接する条痕溝7,7同士が間隔を空けるように条痕溝7,7を形成すると、条痕溝7,7間の頂部7aを平坦なプラトー状とすることができる(図10(b)参照)。なお、図10(b)には、プラトー部分の幅を符号Wpで示した。
なお、プラトー部分の幅Wpと条痕溝7のピッチPとの関係は、例えば、0.2<(Wp/P)≦0.8が好ましい。0.2以下の場合は、プラトー部分による摩擦を下げる効果が不十分となる。一方、0.8を超えて大きい場合は、スカート部4の外表面が平滑過ぎて、気筒内壁面13に対するスカート部4の馴染み性(微小摩耗による形状の合い沿い性)が不足し、スカッフを生じる可能性が高くなる。
図11は、条痕溝7の構成の第1の実施形態を示す拡大図である。この例では、焼結部材8が隣接する条痕溝7,7間の頂部7aを含んで条痕溝7の全部分で条痕溝7の表面に露出し(図6(b)参照)、焼結部材8で構成される条痕溝7,7間の頂部7aが鋭角な頂状とされている(図8参照)。焼結部材8の空孔オ…オが条痕溝7の表面に露出している。
図12は、条痕溝7の構成の第2の実施形態を示す拡大図である。この例では、焼結部材8が隣接する条痕溝7,7間の頂部7aを含んで条痕溝7の全部分で条痕溝7の表面に露出し(図6(b)参照)、焼結部材8で構成される条痕溝7,7間の頂部7aが平坦なプラトー状とされている(図9参照)。焼結部材8の空孔オ…オが条痕溝7の表面に露出している。
図13は、条痕溝7の構成の第3の実施形態を示す拡大図である。この例では、焼結部材8が条痕溝7の底部でのみ条痕溝7の表面に露出し(図7(b)参照)、ピストン1の母材であるアルミ合金カで構成される条痕溝7,7間の頂部7aが鋭角な頂状とされている(図8参照)。焼結部材8の空孔オ…オが条痕溝7の表面に露出している。また、アルミ合金カが焼結部材8の空孔オ…オに咬み込んで焼結部材8に機械的に結合している。これにより、アルミ合金カは、焼結部材8の空孔オ…オに入り込んでいるので、アンカー効果が得られ、条痕溝7,7間の頂部7aが脱落し難くなっている。
図14は、条痕溝7の構成の第4の実施形態を示す拡大図である。この例では、焼結部材8が条痕溝7の底部でのみ条痕溝7の表面に露出し(図7(b)参照)、ピストン1の母材であるアルミ合金カで構成される条痕溝7,7間の頂部7aが平坦なプラトー状とされている(図9参照)。焼結部材8の空孔オ…オが条痕溝7の表面に露出している。また、アルミ合金カが焼結部材8の空孔オ…オに咬み込んで焼結部材8に機械的に結合している。これにより、アルミ合金カは、焼結部材8の空孔オ…オに入り込んでいるので、アンカー効果が得られ、条痕溝7,7間の頂部7aが脱落し難くなっている。
ここで、焼結部材8の空孔率は10%以下とされている。つまり、焼結部材8は、体積率で10%以下の空孔オ…オを有している。また、スカート部4の外表面には固体潤滑材(黒鉛粉末、二硫化モリブデン粉末、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等を含有したポリアミドイミド系の樹脂コーティング等)が被覆されている。
以上のように、本実施形態においては、エンジン10の気筒内壁面13と摺接するスカート部4の外表面に複数の条痕溝7…7が周方向に形成されたエンジン10のピストン1において、前記ピストン1がアルミ合金を母材とする場合に、換言すれば、ピストンスカート部4の外表面に形成した条痕溝7…7間(より詳しくは、隣接する条痕溝7,7間)の頂部7aが摩耗し易い場合に、前記スカート部4に焼結部材8を鋳包むと共に、前記スカート部4における前記焼結部材8の鋳包み部と非鋳包み部とに亘って連続する条痕溝7を形成し、この条痕溝7の表面に前記焼結部材8を露出させたから(図11〜図14参照)、条痕溝7に溜まったオイルが焼結部材8と接触することとなる。ここで、焼結部材8は、一般に、Fe−C系あるいはFe−C−Cu系の原料粉末を圧粉成形し、焼結することにより得られるもので、空孔オ(図11〜図14参照)を有するから、焼結部材8と接触したオイルは焼結部材8の空孔オ中に入り込むこととなる。したがって、ピストン1の長期使用に伴い、たとえピストンスカート部4の外表面に形成した条痕溝7,7間の頂部7aが若干摩耗し、条痕溝7の深さDが小さくなっても、焼結部材8の空孔オ中に入り込んだオイルの存在によって、条痕溝7の保油量の減少が抑制され、その結果、スカート部4の外表面と気筒内壁面13との間のスカッフの発生が長期間に亘って防止される。また、条痕溝7が焼結部材8の鋳包み部Aと非鋳包み部Bとに亘って連続しており(図2参照)、その場合に、非鋳包み部Bは鋳包み部Aよりも気筒内壁面13との接触面圧が小さいので(焼結部材8は、スカート部4の外表面と気筒内壁面13との間の接触面圧が高い高面圧部分ア、イに鋳包まれている)、焼結部材8の非鋳包み部Bに形成された条痕溝7の部分は鋳包み部Aに形成された条痕溝7の部分よりも摩耗し難く、その結果、焼結部材8の非鋳包み部Bに形成された条痕溝7の部分から鋳包み部Aに形成された条痕溝7の部分へ次々とオイルが補給され、焼結部材8の空孔オが常にオイルで満たされた状態に保たれる。
なお、焼結部材8の原料粉末の大きさは、空孔サイズを小さくするため、325メッシュの篩を通過する粉末とすることが好ましい。325メッシュオーバーの粒子(325メッシュの篩を通過しない粒子)が存在すると、所望の空孔サイズの圧粉体を得ることが困難となる場合がある。この点、325メッシュアンダーの粒子(325メッシュの篩を通過する粒子)であれば、所望の空孔サイズの圧粉体を得ることが容易となる。また、前記空孔の大きさは、構造部材としての焼結部材8の強度確保の観点から、直径10μm以下であることが望ましい。また、焼結部材8の密度は、6.8〜7.2g/cmが望ましく、硬さは、加工性や耐摩耗性を考慮して、HB150〜250程度の硬さであることが望ましい。
また、焼結部材8の原料粉末は、押型中へ充填し、2〜8トン/cmでプレスにより圧縮成型する。成型された圧粉体を850〜1150℃で前焼結したのち、密度を高めるため、4〜8トン/cmで再加圧し、1100〜1250℃で焼結する。その場合、焼結雰囲気は還元雰囲気とすることが焼結促進の観点から好ましい。
また、前記焼結部材8を隣接する条痕溝7,7間の頂部7aを含んで条痕溝7の表面に露出させると(図11、図12参照)、ピストンスカート部4はこの焼結部材8で(すなわち、隣接する条痕溝7,7間の頂部7aで)気筒内壁面13と摺接することになる。ここで、焼結部材8は、一般に、ピストン1の母材であるアルミ合金よりも硬度が大きく耐摩耗性に優れるから、たとえピストン1が長期使用されても、条痕溝7,7間の頂部7aが摩耗し難くなり、条痕溝7の深さDの減少が抑制されるので、そもそも条痕溝7の保油量の減少が抑制される。
また、前記条痕溝7,7間の頂部7aを平坦なプラトー状とすると(図12、図14参照)、ピストンスカート部4は気筒内壁面13と面で摺接することになる。これに対し、前記条痕溝7の頂部7aを鋭角な頂状とすると(図11、図13参照)、ピストンスカート部4は気筒内壁面13と線で摺接することになる。したがって、ピストンスカート部4と気筒内壁面13との摺接によって条痕溝7の頂部7aに作用する単位面積あたりの圧力が実施形態2及び4において低減し、この点からも、条痕溝7,7間の頂部7aが摩耗し難くなり、条痕溝7の深さDの減少が抑制されるので、そもそも条痕溝7の保油量の減少が抑制される。
また、前記焼結部材8をスカート部4の一部分に鋳包んだから(図2参照)、ピストン1が徒に重くなることが回避されて、ピストン1の軽量化の要請に反することがない。
また、前記焼結部材8をスカート部4の外表面と気筒内壁面13との間の面圧が他よりも高くなる部分ア、イに鋳包んだから(図5参照)、特に他の部分に比べて条痕溝7,7間の頂部7aが摩耗する傾向が大きい部分ア、イにおいて、条痕溝7の保油量減少抑制効果ひいてはスカッフ発生防止効果が得られることとなる。
また、前記スカート部4がピン穴6の位置の近傍で張り出し量が最大となる樽形状をしている場合に、換言すれば、ピストン1が気筒内を往復動する際にピストンヘッド2がスラスト側又は反スラスト側に傾くように首振り動作をする場合に、前記焼結部材8をスラスト側及び反スラスト側においてピン穴6の中心Oよりもピストンヘッド2寄りの部分ア、イに鋳包んだから(図5参照)、特に他の部分に比べて面圧が高くなり、条痕溝7,7間の頂部7aが摩耗する傾向が大きい部分ア、イにおいて、条痕溝7の保油量減少抑制効果ひいてはスカッフ発生防止効果が得られることとなる。
また、前記焼結部材8の空孔率を10%以下としたから、条痕溝8の保油量減少抑制効果を十分発揮しながら、焼結部材8の硬度も十分に保つことができる。
また、スカート部4の外表面に固体潤滑材を被覆したから、ピストン1の初期なじみ性が改善され、エンジン10の初期の運転においてピストン1の潤滑性が向上する。
条痕7は、スカート部4の表面と気筒内壁面13との間のスカッフ防止を目的として形成されるが、このためには一般に、条痕7のピッチPを100μmから500μmの範囲内にするとともに、条痕7の最大深さDを1μm以上にすればよいとされる。条痕7の形状を、このような条件に適合させることで、条痕7により保持されるオイル量が、スカッフを防止可能な量となり、スカッフ防止が図れるものと考えられる。より好ましくは、条痕7のピッチPが100μmから200μmの範囲内であれば、条痕7の最大深さDは2μm以上が好ましく、条痕7のピッチPが200μmから500μmの範囲内であれば、条痕7の最大深さDは1μm以上30μm以下(好ましくは、20μm以下)とすることが好ましい。
なお、条痕7のピッチPを100μmより小さくすると、スカート部4の外表面において螺旋状に形成される条痕7を加工する際の条痕7全体の長さが極めて長くなるため、条痕7成形のための加工処理時間が長くなり、生産性が悪化し、条痕7のピッチPを500μmより大きくすると、必然的に条痕7の幅も広くなり、先の細い条痕加工具50の刃による単位時間当たりの切削量が増大し、このような刃50の加工負荷の増大により生産性が悪化する。また、条痕7の最大深さDを30μm以上にしてもスカッフ防止効果の増大は望めず、加工上の観点から生産性が悪化する。
なお、本実施形態では、1本の条痕7がスカート部4の外周に螺旋状となるよう形成したが、1本の条痕7をスカート部4外周に沿って円を描くように形成し、このような条痕7をスカート部4表面に対し往復動方向に亘って複数本配置するとともに、これら複数本の条痕7の間隔が所定のピッチ毎となるよう形成してもよい。
なお、前記実施形態は、本発明の最良の実施形態であるが、特許請求の範囲を逸脱しない限り、さらに種々の変更や改良を加えることができる。例えば、以上の実施形態においては、条痕7の溝の形状を、スカート部4表面においてピストン1の往復動方向断面から見て、U字状としたが、本発明は、これような形状に限定されるものではなく、断面がV字状で、同様に頂状や平面状の頂部7aを有する条痕7にも適応可能である。また、本実施形態では、ガソリンを燃料とする火花点火式エンジンについて適用したが、軽油を燃料とする高圧縮比を有するディーゼルエンジンのピストンにおいても適用可能である。
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明は、エンジンの気筒内壁面と摺接するスカート部の外表面に複数の条痕溝が周方向に形成されたエンジンのピストンにおいて、たとえ条痕溝間の頂部が若干摩耗し、条痕溝の深さが小さくなっても、条痕溝の保油量の減少を抑制することが可能な技術であるから、エンジンの気筒内壁面と摺接するピストンの潤滑の技術分野において広範な産業上の利用可能性が期待される。
本発明の最良の実施形態に係るエンジンのピストンをスラスト側及び反スラスト側と直交する側から見た正面図である。 前記ピストンをスラスト側又は反スラスト側から見た側面図である。 図2の矢印III−IIIに沿う断面図である。 前記ピストンの底面図である。 前記ピストンのスカート部が樽形状をしている場合に、(a)は膨張行程でピストンヘッドがスラスト側に首を振り、(b)は排気工程でピストンヘッドが反スラスト側に首を振る動作をすることの説明図である。 前記ピストンのスカート部に焼結部材をスカート部外表面に露出するように鋳包んだ状態を示す拡大断面図であって、(a)は条痕溝の形成前、(b)は条痕溝の形成後である。 前記ピストンのスカート部に焼結部材をスカート部外表面に露出しないように鋳包んだ状態を示す拡大断面図であって、(a)は条痕溝の形成前、(b)は条痕溝の形成後である。 前記ピストンのスカート部に条痕溝間の頂部が鋭角な頂状となるように条痕溝を形成する方法の説明図である。 前記ピストンのスカート部に条痕溝間の頂部が平坦なプラトー状となるように条痕溝を形成する方法の説明図である。 前記条痕溝の各部の寸法の説明図であって、(a)は条痕溝間の頂部が鋭角な頂状の場合、(b)は条痕溝間の頂部が平坦なプラトー状の場合である。 前記条痕溝の構成の第1の実施形態(焼結部材が条痕溝の全部分で条痕溝の表面に露出し、条痕溝間の頂部が鋭角な頂状の場合)を示す拡大図である。 前記条痕溝の構成の第2の実施形態(焼結部材が条痕溝の全部分で条痕溝の表面に露出し、条痕溝間の頂部が平坦なプラトー状の場合)を示す拡大図である。 前記条痕溝の構成の第3の実施形態(焼結部材が条痕溝の底部でのみ条痕溝の表面に露出し、条痕溝間の頂部が鋭角な頂状の場合)を示す拡大図である。 前記条痕溝の構成の第4の実施形態(焼結部材が条痕溝の底部でのみ条痕溝の表面に露出し、条痕溝間の頂部が平坦なプラトー状の場合)を示す拡大図である。
符号の説明
1 ピストン
2 ピストンヘッド
4 スカート部
6 ピン穴
7 条痕溝
7a 頂部
8 焼結部材
10 エンジン
13 気筒内壁面
50 条痕溝形成工具
A 鋳包み部
B 非鋳包み部
D 条痕溝最大深さ
O ピン穴の中心
P 条痕溝ピッチ
Wp プラトー部分の幅
ア スラスト側のスカート部で接触面圧が他よりも高い部分
イ 反スラスト側のスカート部で接触面圧が他よりも高い部分
ウ 焼結部材がスカート部外表面に露出するように鋳包まれた状態
エ 焼結部材がスカート部外表面に露出しないように鋳包まれた状態
オ 焼結部材の空孔
カ アルミ合金(ピストンの母材)

Claims (8)

  1. エンジンの気筒内壁面と摺接するスカート部の外表面に複数の条痕溝が周方向に形成されたエンジンのピストンであって、
    前記ピストンはアルミ合金を母材とし、
    前記スカート部に焼結部材が鋳包まれ、
    前記スカート部における前記焼結部材の鋳包み部と非鋳包み部とに亘って連続する条痕溝が形成され、
    この条痕溝の表面に前記焼結部材が露出していることを特徴とするエンジンのピストン。
  2. 請求項1に記載のエンジンのピストンであって、
    前記焼結部材は隣接する条痕溝間の頂部を含んで条痕溝の表面に露出していることを特徴とするエンジンのピストン。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンのピストンであって、
    前記条痕溝間の頂部はプラトー状であることを特徴とするエンジンのピストン。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のエンジンのピストンであって、
    前記焼結部材はスカート部の一部分に鋳包まれていることを特徴とするエンジンのピストン。
  5. 請求項4に記載のエンジンのピストンであって、
    前記スカート部の一部分はスカート部の外表面と気筒内壁面との間の接触面圧が他よりも高い部分であることを特徴とするエンジンのピストン。
  6. 請求項5に記載のエンジンのピストンであって、
    前記スカート部はピン穴の位置の近傍で外方への膨出量が最大となる樽形状をしており、
    前記接触面圧が他よりも高い部分はスラスト側及び反スラスト側においてピン穴の中心よりもピストンヘッド寄りの部分であることを特徴とするエンジンのピストン。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のエンジンのピストンであって、
    前記焼結部材の空孔率は10%以下であることを特徴とするエンジンのピストン。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のエンジンのピストンであって、
    前記スカート部の外表面に固体潤滑材が被覆されていることを特徴とするエンジンのピストン。
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