JP2000202612A - アルミニウム合金製ピストン - Google Patents

アルミニウム合金製ピストン

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JP2000202612A
JP2000202612A JP11007610A JP761099A JP2000202612A JP 2000202612 A JP2000202612 A JP 2000202612A JP 11007610 A JP11007610 A JP 11007610A JP 761099 A JP761099 A JP 761099A JP 2000202612 A JP2000202612 A JP 2000202612A
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aluminum alloy
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copper
based alloy
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Kazutoshi Takemura
和俊 武村
Junya Takahashi
純也 高橋
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Riken Corp
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    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
    • F05C2201/021Aluminium

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  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム合金製ピストンの摩耗発生部の
少なくとも一部に耐摩耗性に優れた強化部を形成する。 【解決手段】 アルミニウム合金製のピストン本体と、
ピストン本体の摩耗発生部の少なくとも一部に固着され
た補強リングとを備えたピストンにおいて、補強リング
を鉄系合金相と銅系合金相を有する焼結体により形成す
る。補強リングは、その表面に形成された金属めっき被
膜を介してアルミニウム合金に固着される。金属めっき
被膜を構成する金属はアルミニウム合金の溶湯に接触し
て溶湯中に拡散・固溶する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ピストン、特に
高温、高面圧等の摺動条件が苛酷なピストンリングの溝
部に高温での硬度が大きい補強リングを固着したアルミ
ニウム合金製ピストンに属する。
【0002】
【従来の技術】近年の内燃機関の高出力化に伴い、エン
ジン、特にディーゼルエンジンのピストンに形成された
ピストンリング溝の壁面は高温、高面圧等により益々過
酷な稼動条件に曝されている。更に最近では燃費改善の
要求から直噴式エンジンへの移行が進み、ピストン頂部
を中心に熱的負荷が高くなるが、特にトップリング溝の
壁面は高温、高面圧によりへたり摩耗又はアルミ凝着に
よる摩耗が起こりやすく、出力低下の問題が発生してい
る。
【0003】従来では、トップリング溝の強化部材とし
てニレジスト(Ni-Resist)鋳鉄製のリングキャリアを
ピストン母材であるAC8A材(JIS H5202
鋳物8種A)により鋳ぐるんだアルミニウム合金製ピス
トンが使用されている。しかしながら、ニレジスト鋳鉄
をアルミニウム合金により単に鋳ぐるんだだけでは接合
強度が小さいため、一般的にはアルミニウム溶湯にリン
グキャリアを浸漬するアルフィン処理を行ってから、金
型にセットしてアルミニウム合金の溶湯を注湯する方法
が行われている。
【0004】例えば、特開平7−124737号公報
は、鉄系金属の表面に軽金属に対して拡散性の良好な金
属めっき処理を施してめっき層を形成した部材を軽合金
溶湯に鋳ぐるむことにより軽合金と鉄系金属部材を結合
させる溶融金属と固体金属との結合法を示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ニレジ
スト鋳鉄材にアルフィン処理を施す方法では、鋳ぐるみ
界面部に接合不良が発生したり、ピストンの外周加工に
伴う負荷抵抗により鋳ぐるみ界面部から亀裂が生ずるた
め、要求される接合強度に対する実際の接合強度は不十
分である。また、ピストン全体の硬度を向上させるため
に、熱処理後の冷却時、特に500〜510℃の温度に
1〜2時間保持する溶体化処理を伴う熱処理のため急冷
した際に、リングキャリアとピストン母材の界面が剥離
する問題がある。また耐摩環部材にアルフィン処理を施
すと、部材表面にアルミニウム合金が不均一に付着し、
金型に装着する際に位置決め精度が悪くなる品質上の問
題がある。更に耐摩環部材のアルフィン処理から部材の
金型セットへの一連の製造工程は人手に頼る場合が多
く、製造コストが上昇する要因にもなる。
【0006】また鉄系金属の表面に施される金属めっき
被膜自体は、アルミニウム合金の溶湯との濡れ性を向上
させ、更に鉄系金属とアルミニウム合金との化合物を生
成しやすくする効果がある。しかしながら、アルミニウ
ム合金製ピストンを製造する際に、鉄系金属とアルミニ
ウム合金は一般的な鋳造温度である700〜760℃の
温度で化合物を生成しても、アルフィン処理を行わずに
耐摩環部材全面に化合物層を得るのは困難である。また
アルフィン処理を行った場合でも、鉄系金属単体ではア
ルミニウム合金の溶湯と鉄系金属の反応により部材表面
にほぼ平行かつ一様に化合物層が生じるが、鉄とアルミ
ニウムの金属間化合物は硬くて脆いため、一旦小さなク
ラックが化合物層近傍に存在すると、加工時に生じる応
力や実際の運転時の熱負荷による応力によって、小さな
クラックが化合物層に沿って一気に伝播しかつ成長し
て、剥離や割れが生じる。従って、金属間化合物を耐摩
環部材の全面に容易に生成させ、クラックの伝播を抑制
して、接合強度を向上させるには、表面に凹凸を形成す
ることが望ましい。
【0007】この発明は、ピストンリングを装着する環
状溝を補強したアルミニウム合金製ピストンを提供する
ことを目的とする。また、この発明は、ピストンリング
を装着する環状溝の少なくとも一部を形成する補強リン
グを強固に固着したアルミニウム合金製ピストンを提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明によるアルミニ
ウム合金製ピストンは、アルミニウム合金により形成さ
れたピストン母材と、ピストン本体に形成された環状溝
内に装着されるピストンリングとを備えている。銅系合
金相と、鉄系合金相と、炭化物とを含みかつピストン本
体より硬度の高い焼結体により補強リングを形成し、補
強リングの少なくとも1つの外面に形成された金属めっ
き被膜を介して鋳ぐるみにより補強リングをピストン本
体に固着する。
【0009】ピストン母材であるアルミニウム合金と強
化部材、例えばピストンリング溝を構成する強化部材の
鋳ぐるみによる接合強度を向上させるには、アルミニウ
ムと容易に反応して化合物を生成する金属、例えば銅系
合金がピストンリングの溝部を構成するリングキャリア
の表面に露出することが望ましい。しかしピストンリン
グの溝部は高温化でピストンリングによる面圧を受ける
ため、高温で硬度の大きい材料が良く、望ましくは鉄系
合金からなる強化部材で構成することが望ましい。また
鋳ぐるみによってアルミニウム合金の溶湯と接触する補
強リングの表面はアルミニウム合金と反応し易くかつ非
酸化状態の金属が無垢の状態でアルミニウム合金の溶湯
と接触すると、金属間化合物が生成されやすい。
【0010】本発明者らは、アルミニウム合金の溶湯を
鋳ぐるむ際の金属接合メカニズムの研究を重ねた結果、
ピストン母材を構成するアルミニウム合金の溶湯を鋳ぐ
るむ際にアルミニウム合金との接合強度が大きくかつ耐
摩耗性も優れた強化部材を備えたアルミニウム合金製ピ
ストンを開発した。
【0011】金属めっき被膜を構成する金属はアルミニ
ウム合金の溶湯に接触して溶湯中に拡散・固溶する。金
属めっき被膜は、補強リングを予熱した金型にセットし
てから注湯まで焼結体の表面酸化を防止する作用と、ア
ルミニウム合金の溶湯との濡れ性を改善する作用と、鋳
造時にアルミニウム合金の溶湯中に固溶して清浄な焼結
体表面を露出させる作用がある。アルミニウム合金の溶
湯とめっき処理した焼結体とを接触させることにより、
金属めっき被膜がアルミニウム合金の溶湯に拡散・固溶
して無垢の焼結体の表面が露出する。異物の存在しない
清浄な焼結体の表面とアルミニウム合金の溶湯が接触す
ると、焼結体の表面に露出する銅系合金相とアルミニウ
ム合金の溶湯とが反応して、銅系合金相中の銅が溶湯中
に拡散・固溶すると同時に、アルミニウム合金が銅系合
金相中に拡散・浸透する。この焼結体の表面は凹凸状に
界面の面積を増大させるため、アルミニウム合金と鉄系
合金相との間の反応が促進され、金属間化合物の生成が
容易になり、アルミニウム合金と焼結体の間に金属間化
合物が生成される。更に凹凸状に形成された表面を有す
る金属間化合物層はクラックの伝播を阻止する作用があ
り、ピストン母材と焼結体との接合部では、金属間化合
部による化学的結合に相俟って、ピストン母材と焼結体
との2つの材料が噛み合って機械的にも接合強度が向上
する。また、鉄系合金相が焼結緻密化により連続するマ
トリックスネットワーク組織を形成するため、硬度の低
い銅系合金相を含んでも、焼結体全体の硬度は低下せ
ず、高温での負荷、特にピストンリングの叩き挙動時の
高面圧による摩耗を抑制できる。
【0012】焼結体中に含まれる銅系合金相は、鉄系合
金相より容易にアルミニウム合金の溶湯と反応して焼結
体表面に金属間化合物を生成する。銅系金属のみからな
る補強リングをアルミニウム合金に鋳ぐるむと、銅元素
はアルミニウム合金の溶湯へ急速に拡散・固溶して補強
リング全体が溶解して強度が低下するが、鉄系合金相と
銅系合金相を併存する金属組織を与えると、鉄系合金相
間が焼結緻密化され、高い強度が得られる。銅系合金相
はアルミニウム合金の溶湯側に拡散・固溶すると同時
に、アルミニウム合金が焼結体表面から内部に向かって
拡散・浸透するが、鉄系合金相間に形成された緻密な連
続相はアルミニウム合金用の拡散を阻害するため、拡散
深さが抑制される。アルミニウム合金は銅系合金相が焼
結体表面に露出する部分から拡散するため、鋳ぐるみ後
の界面は凹凸状に金属間化合物が形成される。主にアル
ミニウムと鉄からなる金属間化合物層は硬くて脆いた
め、極度の熱応力又は機械的衝撃が加わると、金属間化
合物層に沿ってクラックが伝播して剥離又は割れが容易
に生じるが、焼結体表面に沿って金属間化合物層が凹凸
に生成されると、金属間化合物による化学的結合に相俟
って、アルミニウム合金相と焼結体が凹凸状に噛み合っ
て強固な機械的結合構造が形成される。更に凹凸状の金
属間化合物層はクラックの伝播を阻止するため、鉄系単
相金属を鋳ぐるむ場合に比べて機械的接合強度が向上
し、熱応力及び衝撃による亀裂又は割れの発生を抑制す
ることができる。
【0013】鉄系合金相は、アルミニウム合金製ピスト
ンの少なくとも一部に備える材料として熱膨張率の大き
い材料、例えばオーステナイト系ステンレス鋼を使用す
ることができる。また耐摩耗性や高温強度に優れた材料
としてクロム、ニッケル、マンガン、モリブデン、バナ
ジウム、タングステン、コバルト等を含む鉄系合金、例
えばSKD鋼やSKH鋼等を使用することができる。更
に高熱膨張率と高耐摩耗性の両方を有する複数の鉄系合
金を混合した金属組織を有しても良い。
【0014】銅系合金相は、純銅金属の他に熱膨張率の
大きい銅−亜鉛合金や硬度が大きく比重の小さいアルミ
青銅合金又は銅−ニッケル合金を使用できる。また鉄系
合金相と銅系合金相の他に、耐摩耗性及び摺動特性を高
めるために、例えば金属珪素粒子、セラミックス系粒
子、黒鉛粉末又はフッ化カルシウム(CaF2)粉末等
の硬質粒子を含んでも良い。
【0015】鉄系合金相に混じって銅系合金相が存在す
るために、この発明によるアルミニウム合金製ピストン
の被削性は極めて良く、耐摩耗性を向上させるために鉄
系合金相の硬度を高くしたり硬質粒子を添加しても、被
削性はあまり低下せず、切削・旋削加工に対する工具寿
命が低下する問題もない。
【0016】アルミニウム合金の溶湯に焼結体を鋳ぐる
む際に、金属めっき被膜を構成する金属成分の一部はア
ルミニウム合金中に拡散・固溶して、焼結体の清浄な表
面を溶湯に曝して金属間化合物を生成しやすくする作用
があるため、金属めっき被膜に使用する金属はアルミニ
ウム合金中に容易に拡散・固溶し、かつ焼結体からなる
補強リングを金型にセットしたときに、金属めっき被膜
自体が予熱した金型からの熱伝導・輻射熱で酸化され難
い金属から選択される。金属めっき被膜を形成する金属
は銅、亜鉛及びニッケル又はこれらの合金を使用でき
る。めっき方法は例えば一般的な電気めっき法、溶融め
っき法又は無電気めっき法を用いる銅めっき、亜鉛めっ
き又はニッケルめっきでも良い。
【0017】この発明の実施の形態では、焼結体は、1
0〜40重量%の銅系合金と、0.05〜2.0重量%の
炭素と、0.05〜1.0重量%の燐又は硼素の少なくと
も1種の元素と、残部の鉄系合金とを含む。焼結体が、
鉄系合金粉末と銅系合金粉末及び不可避不純物を混合・
焼結して作製した焼結体であり、銅系合金粉末の配合比
を10〜40重量%にすることにより、アルミニウム合
金と焼結体の間の金属間化合物の生成を容易にして、か
つ接合強度を向上させる効果が期待できる。また炭素を
0.05〜2.0重量%有する焼結体は、炭素が鉄系合金
相中に固溶して硬度を向上させたり、硬い炭化物を生成
させるために焼結体の耐摩耗性が向上する。銅系合金粉
末の配合量を10〜40重量%に秤量・混合し、かつ焼
結体の組成に対する炭素の割合が0.05〜2.0重量
%、燐又は硼素の少なくとも1種以上の元素割合が0.
05〜2.0重量%である焼結体は、アルミニウム合金
による鋳ぐるみの際に焼結体との界面に凹凸状の金属間
化合物を生成してクラックの伝播を抑制すると同時に、
アルミニウム合金と焼結体の間が複雑に噛み合って機械
的にも接合するため、接合強度が向上し、ピストンの熱
処理や実際の運転において生じる界面近傍の熱応力や衝
撃による剥離・割れを防止する効果がある。
【0018】また燐又は硼素の少なくとも1種以上の元
素を0.05〜1.0重量%有する焼結体は、燐及び硼素
が鉄との間に融点の低い共晶点を有するために、低い焼
結温度で液相が生成し、緻密化の促進が可能である。本
組成の焼結体は非常に緻密化が高く空隙が少ないため
に、耐摩耗性の向上を期待できる。銅系合金粉末の配合
量は10〜40重量%が良い。銅系合金粉末の配合量が
10重量%より少ないと、焼結体の表面に露出する銅系
合金相の面積が鉄系合金相の面積に対して極めて少なく
なるために、銅系合金相がアルミニウム合金中に拡散・
固溶して生成する金属間化合物の層がほとんど平滑にな
る。銅が10重量%以下では、鉄系合金間の緻密化の度
合いが大きく、ネットワークが強固であるために、鋳ぐ
るみ中にアルミニウム合金の溶湯に対する銅系合金相の
固溶が阻害され、鉄系合金相の露出量が少なくなり、ア
ルミニウム合金との金属間化合物の生成が阻害され十分
な接合強度が得られない。このため、凹凸形状による機
械的接合が弱くなり、平滑な金属間化合物層に沿ってク
ラックが伝播しやすくなるために、熱応力や衝撃荷重に
よって容易に亀裂や割れが生ずる。また銅系合金粉末の
配合量が40重量%より多いと、鉄系合金粉末の配合量
が相対的に少なくなって、焼結により鉄系合金粉末間の
緻密化が小さくなり、鉄系合金相の焼結緻密化によるネ
ットワークが分断されて、銅系合金相中に鉄系合金層が
分散した組織になる。また焼結体の表面に露出する銅系
合金相の面積が大きくなるために、アルミニウム合金の
焼結体への拡散・浸透が過剰に起こり、焼結体の表面か
ら深い部分まで金属間化合物が生成される。過剰の金属
間化合物が生成すると焼結体自体が脆弱化させるので、
銅系合金粉末の配合量は40重量%以下が望ましい。
【0019】このように、複数の鉄系合金相が互いに緻
密化して形成されたネットワーク形態をもつ組織はアル
ミニウム合金の焼結体の内部への過剰な拡散・浸透の抑
制に効果を生ずるのみならず、焼結体の機械的性質の向
上にも寄与する。鉄系合金粉末と銅系合金粉末との混合
粉を成形して焼結する時の焼結温度は、融点の低い合金
粉末、即ち銅系合金粉末の融点近傍に設定する。しかし
ながら、融点の低い合金粉末に合わせて成形体を焼結す
ると、融点の高い合金粉末同士の緻密化の度合が小さく
なり、空隙が多く機械的性質が低下するために、ピスト
ンのトップリング溝部に使用した場合には耐摩耗性が不
足する問題が生じる。炭素0.05〜2.0重量%及び燐
又は硼素の少なくとも1種以上の元素0.05〜1.0重
量%を配合すると、緻密化及び機械的性質の問題を解決
することができる。即ち炭素元素として黒鉛粉末を添加
すると、鉄系合金相への固溶による硬度を向上すると共
に、硬い炭化物を微細に生成させて焼結体の硬度を向上
させることができる。
【0020】炭素が0.05重量%に満たないと鉄系合
金相への固溶による硬度が殆ど向上せず、炭化物も殆ど
生成しないので炭素添加による効果が見られない。また
炭素が2.0重量%を超えると、炭化物の生成が過剰に
なり被削性の低下が生じる。よって炭素は0.05〜2.
0重量%が良い。
【0021】粉末成形体中に微量の燐又は硼素を配合す
ると、焼結によって鉄系合金粉末中の鉄との間で融点の
低い共晶組成の融液が生じて液晶焼結が容易となる。液
相焼結により焼結温度が低くても鉄系合金粉末同士が完
全に緻密化して、空隙が少なく硬度の高い焼結体が得ら
れる。燐又は硼素が0.05重量%より少ないと鉄との
共晶融液が生成しないので液相焼結にならず、鉄系合金
粉末同士の緻密化が進まないため、材質的に強度が小さ
くなる。また燐又は硼素が1.0重量%より多い場合は
共晶融液が過剰に生成されて、最終的に焼結体中に共晶
組成又はそれに近い組成をもつ相が分散して存在する
が、鉄−燐や鉄−硼素の共晶組成は脆く、これらの相が
過剰に粒界に偏析して材質的に脆くなる。よって燐又は
硼素は0.05〜1.0重量%がよい。
【0022】鉄系合金粉末は、アルミニウム合金製ピス
トンの少なくとも一部に備える材料として熱膨張率の大
きい材料、例えばオーステナイト系ステンレス鋼粉末や
ニレジスト鋳鉄粉末を使用することができる。また耐摩
耗性や高温強度に優れた材料としてモリブデン、バナジ
ウム、タングステン、コバルトを含む鉄系合金、例えば
SKD鋼粉末又はSKH鋼粉末を使用することができ
る。さらに高熱膨張率と高耐摩耗性の両方を有する材料
として、複数の鉄系合金粉末を混合・焼結により作製し
ても良い。
【0023】銅系合金粉末には、電解銅粉やアトマイズ
銅粉等の純銅金属の他に熱膨張率の大きい銅−亜鉛合金
粉末や硬度の大きいアルミ青銅合金粉末、銅−ニッケル
合金粉末等を使用できる。
【0024】炭素を添加するには例えば黒鉛粉末が選択
できる。黒鉛粉末の添加量が多いと、炭素が鉄系合金相
や炭化物として固溶・生成せずに黒鉛粉末の形で組織中
に残留することがあるが、黒鉛粉末はピストンのトップ
リング溝で油溜まりを形成し、摺動特性を向上させるた
め、黒鉛粉末は残留しても良い。燐又は硼素を添加する
とき、鉄−燐粉末、銅−燐粉末、鉄−硼素粉末等の合金
粉末で添加してもよく、燐粉末又は硼素粉末等の単体で
添加しても良い。上記粉末の他に、耐摩耗性又は摺動特
性を高めるために、金属珪素やセラミックス系粒子、フ
ッ化カルシウム(CaF2)粉末等の硬質粒子を含んで
も良い。
【0025】金属めっき被膜の膜厚は0.1〜100μ
m、望ましくは1〜50μmが良い。めっき膜厚が0.1
μmに満たないと、焼結体の酸化を抑制する効果がほと
んど得られず、金属間化合物生成の向上にほとんど寄与
しない。まためっき膜厚が100μmを超えると、溶融
亜鉛以外の方法では多数回めっき処理を繰り返さないと
膜厚が確保できず、製造コストが増大する。また金属め
っき被膜を構成する金属がアルミニウム合金へ拡散・固
溶する量が増えるため、焼結体近傍のアルミニウム合金
母材の組成を変えて機械的性質を低下させる危険性が高
い。よって金属めっき被膜の膜厚は0.1〜100μmが
よく、望ましくは1〜50μmが良い。
【0026】金属めっき被膜は銅めっき、亜鉛めっき又
はニッケルめっきのいずれかからなる。銅、亜鉛、ニッ
ケルはいずれの元素もアルミニウム中に容易に拡散・固
溶され、鋳ぐるみの際にアルミニウム合金の溶湯が焼結
体の表面に固着された金属めっきを洗い流して、清浄な
焼結体の表面との間に金属間化合物を生成しやすい。
【0027】金属めっき被膜を0.1〜100μmの膜厚
で成形すると、鋳ぐるみ補強リングを予熱した金型にセ
ットしてから注湯するまで焼結体の表面の酸化を防止
し、またアルミニウム合金の溶湯中にめっき層が完全に
固溶し、かつアルミニウム合金の機械的性質を阻害しな
い程度の濃度であるため、鋳ぐるみ性の向上が期待でき
る。
【0028】金属めっき被膜を銅めっき、亜鉛めっき、
ニッケルめっきのいずれかにより形成すると、鋳ぐるみ
補強リングを予熱した金型にセットしてから注湯するま
での間の焼結体の表面の酸化を防止し、かつアルミニウ
ム合金の溶湯中へ容易に拡散・固溶して清浄な焼結体の
表面の露出と金属間化合物の生成促進に寄与するため、
接合強度の向上が期待できる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、この発明によるアルミニウ
ム合金製ピストンの実施の形態を図1〜図8について説
明する。
【0030】図1に示すように、この発明によるアルミ
ニウム合金製ピストンは、アルミニウム合金製のピスト
ン母材(1)と、ピストン母材1の摩耗発生部の少なくとも
一部に固着された補強リング(2)とを備えている。補強
リング(2)は、鉄系合金相(3a)と銅系合金相(3b)及び(3
c)並びに炭化物相(3d)から構成された焼結体(3)と、焼
結体(3)とピストン母材(1)との間に形成されかつ焼結体
(3)をピストン母材(1)に固着する金属めっき被膜(4)と
を備えている。鉄系合金相(3a)はステンレス鋼粉を主体
とする相であり、銅系合金相(3b)及び(3c)は電解銅粉を
主体とする相である。炭化物相(3d)は焼結体(3)に添加
した黒鉛粉末とステンレス鋼粉が焼結により反応して生
成した相であり、クロム元素と炭素元素が主に含まれ
る。
【0031】図1に示すように、アルミニウム合金のピ
ストン母材(1)と焼結体(3)との接合界面では、焼結体に
対するアルミニウム合金の鋳ぐるみにより、焼結体(3)
とアルミニウム合金とが反応して金属間化合物相(5)が
生成される。鋳造初期の液相の状態では、融点の高い鉄
系合金相(3a)よりも、融点の低い銅系合金相(3b)及び(3
c)のほうがアルミニウム合金に対する反応が容易であ
り、かつ液相アルミニウム合金中への銅元素の拡散速度
が極めて大きい。このために、焼結体(3)が液相アルミ
ニウム合金に接触する際に界面に露出している銅系合金
相(3c)は優先的に液相アルミニウム合金中に固溶し、そ
の代わりに液相アルミニウム合金が焼結体(3)内に浸透
するため、液相アルミニウム合金に接触する焼結体(3)
の界面は凹凸になり、接触面積が増大する。次に液相ア
ルミニウム合金と鉄系合金相(3a)が反応して金属間化合
物相(5)が形成される。前記のように、接合界面に露出
する銅系合金相(3c)は既に液相アルミニウム合金に固溶
して代わりに液相アルミニウム合金が浸透して界面での
接触面積が増大するため、アルミニウム合金と鉄系合金
相(3a)との反応が熱的に促進されて容易かつ確実に金属
間化合物相(5)が形成される。金属間化合物相(5)は鋳ぐ
るみ界面に沿って複雑な凹凸な形態であるため、化学的
な結合に加えて物理的な結合も大きくなり、ニレジスト
鋳鉄材を鋳ぐるむ場合より大きな界面の接合強度が得ら
れる。
【0032】図3は、補強リング(2)を固定したこの発
明によるアルミニウム合金製ピストンを示す断面図であ
る。焼結体(3)には切削加工により最も動作条件の厳し
いトップリング溝(6)が形成される。図4は焼結体(3)の
側面、上面及び底面に金属めっき被膜を形成してアルミ
ニウム合金に鋳ぐるんだ例を示す。例えば図5に示すよ
うに、焼結体(3)にトップリング溝(6)とセカンドリング
溝(7)とを形成しても良い。図6に示すように、例えば
トップリング溝(6)により上下に分割して焼結体(3)を構
成しても良い。上下に焼結体(3)を分割するとき、例え
ばリング溝を切削加工により形成したり、予め2個の焼
結体を金型にセットして鋳ぐるみを行っても良い。
【0033】この発明によるアルミニウム合金製ピスト
ンを製造する際に、図2に示す補強リング(2)を準備す
る。図2に示す符号は図1に示す符号と同一の材料を示
す。補強リング(2)は、10〜40重量%の銅系合金
と、0.05〜2.0重量%の炭素と、0.05〜1.0重
量%の燐又は硼素の少なくとも1種の元素と、残部の鉄
系合金とを含む焼結体(3)と、焼結体(3)の表面に形成さ
れた金属めっき被膜(4)とを有する。銅めっき、亜鉛め
っき又はニッケルめっきのいずれかからなる金属めっき
被膜(4)の膜厚は0.1〜100μmである。
【0034】次に金属めっき被膜(4)を形成した補強リ
ング(2)を350℃に予熱したアルミ重力鋳造用金型に
形成されたキャビティの所定の位置にセットした後、7
50℃のアルミニウム合金の溶湯をキャビティ内に注湯
し、アルミニウム合金と一体化した鋳ぐるみ材を得た。
アルミニウム合金の溶湯は、例えばアルミニウム−12
%珪素−1%銅−1%マグネシウム−1%ニッケルのJ
IS AC8A相当材である。補強リング(2)はアルミ
ニウム合金の鋳ぐるみによりピストン母材(1)と一体化
される。
【0035】この発明の実施の形態では、下記の作用効
果が得られる。 [1] 金属めっき被膜(4)を設けるため、補強リング
(2)を予熱した金型にセットしてから注湯まで焼結体(3)
の表面酸化が防止され、アルミニウム合金の溶湯との濡
れ性が改善されると共に、鋳造時にアルミニウム合金の
溶湯中に固溶して清浄な焼結体(3)の表面が露出され
る。 [2] 金属めっき被膜(4)がアルミニウム合金の溶湯
に拡散・固溶して無垢の焼結体(3)の表面が露出する。 [3] 異物の存在しない清浄な焼結体(3)の表面とア
ルミニウム合金の溶湯が接触すると、焼結体(3)の表面
に露出する銅系合金相(3b, 3c)とアルミニウム合金の溶
湯とが反応して、銅系合金相(3b, 3c)中の銅が溶湯中に
拡散・固溶すると同時に、アルミニウム合金が銅系合金
相(3b, 3c)中に拡散・浸透する。 [4] 鉄系合金相(3a)と、銅系合金相(3b, 3c)と、炭
化物とを含む補強リング(2)をアルミニウム合金の溶湯
により鋳ぐるむ際に、銅系合金相(3b, 3c)が溶湯中に優
先的に固溶する。そのとき、アルミニウム合金の溶湯が
補強リング(2)の表面から浸透して、補強リング(2)の表
面ではアルミニウム合金の溶湯に接触する鉄系合金相(3
a)の表面積が増大し、アルミニウム合金の溶湯と鉄系合
金相(3a)が反応して生成する金属間化合物(5)が増大す
るために、接合強度が向上する。 [5] 凹凸状に形成された表面を有する金属間化合物
(5)層はクラックの伝播を阻止する。 [6] ピストン母材(1)と焼結体(3)との接合部では、
金属間化合部による化学的結合に相俟って、ピストン母
材(1)と焼結体(3)との2つの材料が噛み合って機械的に
も接合強度が向上する。 [7] 焼結により鉄系合金相(3a)が連続するマトリッ
クスネットワーク組織を形成して硬度が増大しかつ耐摩
耗性が向上する。マトリックスネットワーク組織に10
〜40重量%の銅を添加するので、鋳ぐるみによるアル
ミニウム合金と補強リング(2)の接合強度を向上するこ
とができる。 [8] マトリックスネットワーク組織中に銅系合金相
(3b, 3c)を形成するので被削性を向上することができ
る。 [9] 0.05〜2.0重量%の炭素を添加するので、
補強リング(2)の金属組織中に硬い炭化物を生成させ
て、補強リング(2)全体の硬度を向上することができ
る。 [10] 燐又は硼素の少なくとも1種の元素0.05
〜1.0重量%を加えることにより、補強リング(2)を構
成する鉄系合金相(3a)の焼結時の融点を下げて液相が生
じやすくなり、焼結後に密度及び硬度を向上できる。 [11] ディーゼルエンジン用アルミニウム合金製ピ
ストンでは高温、高面圧等摺動条件が苛酷な例えばトッ
プリング溝部に補強リング(2)を埋設すると、ピストン
母材(1)のアルミニウム合金に対し優れた接合性及び耐
摩耗性が発揮される。 [12] 銅系合金相(3b, 3c)を形成すると被削性が向
上し、工具寿命を延長できる。 [13] ディーゼルエンジン用のアルミニウム合金製
ピストンにおいて高温、高面圧等摺動条件が苛酷な箇
所、例えばトップリング溝部に適用することにより優れ
た耐摩耗性及びピストン母材(1)であるアルミニウム合
金との間に優れた接合性を発揮することができる。
【0036】この発明の実施の形態では、変更が可能で
ある。例えば、金属めっき被膜(4)をピストン母材(1)に
接触する全ての面又は一部の面に形成することができ
る。
【0037】
【実施例】以下、この発明によるアルミニウム合金製ピ
ストンの実施例を説明する。この発明によるアルミニウ
ム合金製ピストンを製造するために、100メッシュア
ンダーのステンレス鋼粉(SUS304L−U粉)に3
25メッシュアンダーの電解銅粉と325メッシュアン
ダーの黒鉛粉末及び100メッシュアンダーの鉄−燐粉
をそれぞれ表1に示す最終組成に秤量し、更に金型成形
の際に型抜けを良くするために潤滑剤としてステアリン
酸亜鉛を0.7重量%加えて、V型混合機にて混合し
た。次に混合粉を金型に入れ、プレスにて650MPaの
成形圧力で成形し、外径93.5mm、内径68.5mm、厚
さ7mmのリング状の成形体を作製した。得られた成形体
を650℃で1時間加熱して潤滑剤を揮発させた後、1
120℃の温度下30分真空中で焼結を行い、空隙が殆
どない緻密化された焼結体を得た。その後、前処理とし
てアセトン脱脂、水洗、フッ酸と硝酸の混合水溶液を使
用する酸洗い及び水洗を実施して表面を清浄にした後、
表1に示すように、焼結体に溶融亜鉛めっき又は電解銅
めっきを施した。表1では、数値は重量%を示す。
【0038】
【表1】
【0039】溶融亜鉛めっきは溶解した亜鉛浴に焼結体
を一定時間浸漬して表面に亜鉛被覆する処理である。ま
た電解銅めっきは銅イオンを含む電解液(シアン化銅浴
など)中に陽極板に銅を使用して浸漬し、陰極板に焼結
体を使用して浸漬して両極間に電圧を加えることにより
焼結体に銅を析出させる処理である。
【0040】上記実施例の鋳ぐるまれた焼結体の接合強
度をニレジスト鋳鉄の場合や比較品と比較するために、
鋳ぐるみ一体化材を幅10mm、厚さ5mmの短冊状に切断
して、一方が焼結体、他方がアルミニウム合金材から成
り、その中間に鋳ぐるみ界面を有する接合強度評価用テ
ストピースを作製した。テストピースの各面を耐水研磨
紙にて研磨し、テストピース縁部の鋭角部をわずかに面
取りした。次に界面部の剥離又は未接合部を確認するた
めにカラーチェックを行った。カラーチェックにより剥
離がない試料について図7に示す方法でテストピースの
接合強度の測定を行った。図7では、テストピース(10)
は、焼結体(3)とアルミニウム合金が鋳ぐるみ一体化さ
れて金属間化合物5を鋳ぐるみ界面に有する。テストピ
ース(10)の焼結体(3)側をホルダ(11)並びにホルダ(12)
の間に金属間化合物(5)からなる界面がホルダ(12)の端
面の外側に位置するように固定する。上方からパンチ(1
3)を一定速度で下降させ、テストピース(10)のアルミニ
ウム合金側に押しつけて、界面が破断したときの荷重を
読みとり、テストピース(10)の破断面積からせん断強度
を計算し、これを接合強度として評価した。
【0041】カラーチェックによる界面部の未接合部の
有無を確認したところ、比較品であるニレジスト鋳鉄材
はアルフィン処理を行わない比較品1は界面部の一部に
剥離又は未接合部が認められた。一方、アルフィン処理
を行った比較品2及び本発明品1〜4はカラーチェック
による未接合部は皆無であった。
【0042】次に接合強度を測定した結果を図8に示
す。ニレジスト鋳鉄材をアルミニウム溶湯中に3〜5分
浸漬するアルフィン処理を実施後アルミニウム合金に鋳
ぐるんだ試料の接合強度に対して、図8に示すように、
本実施例により得た焼結体は明らかに接合強度が大き
い。以上の結果から、従来のようにニレジスト鋳鉄材に
めっき処理を施してもアルフィン処理なしではアルミニ
ウム合金との鋳ぐるみによる接合は向上せず、またニレ
ジスト鋳鉄材にアルフィン処理を施して鋳ぐるむ方法よ
りも、本発明品のほうが接合強度が大幅に向上する。本
発明品の特徴である鉄系合金相と銅系合金相を有する組
織形態とめっき処理との複合効果により接合強度の向上
を期待でき、鋳ぐるみにより強固に一体化されるため、
焼結体と一体化されたピストン母材の外周加工時の亀裂
防止や、熱処理による亀裂防止に効果がある。
【0043】
【発明の効果】前記のように、この発明では、アルミニ
ウム合金製ピストンのピストンリングを装着する環状溝
を補強する場合に、環状溝の少なくとも一部を形成する
補強リングを強固に固着することができる。このため、
例えば、高温、高面圧等摺動条件が苛酷なピストンリン
グ溝部にこの発明を適用して、アルミニウム合金と強化
部の鋳ぐるみ界面の接合性を改善し、エンジンの故障を
低減して寿命を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明によるアルミニウム合金製ピストン
の金属組織を示す部分断面図
【図2】 この発明に使用する補強リングの金属組織を
示す断面図
【図3】 アルミニウム合金製ピストンの側面図
【図4】 この発明による第2の実施の形態を示す部分
断面図
【図5】 この発明による第3の実施の形態を示す部分
断面図
【図6】 この発明による第4の実施の形態を示す部分
断面図
【図7】 焼結体とピストン母材の接合界面の接合強度
測定法を示す断面図
【図8】 この発明によるアルミニウム合金製ピストン
の接合強度を示すグラフ
【符号の説明】
(1)・・ピストン母材、 (2)・・補強リング、 (3)・
・焼結体 (3a)・・鉄系合金相、 (3b, 3c)・・銅系合
金相、 (3d)・・炭化物、 (4)・・金属めっき被膜、
(5)・・金属間化合物
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02F 3/00 301 F02F 3/00 301B F16J 1/01 F16J 1/01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金により形成されたピス
    トン母材と、ピストン本体に形成された環状溝内に装着
    されるピストンリングとを備えたアルミニウム合金製ピ
    ストンにおいて、 銅系合金相と、鉄系合金相と、炭化物とを含みかつピス
    トン本体より硬度の高い焼結体により補強リングを形成
    し、補強リングの少なくとも1つの外面に形成された金
    属めっき被膜を介して鋳ぐるみにより補強リングをピス
    トン本体に固着したことを特徴とするアルミニウム合金
    製ピストン。
  2. 【請求項2】 焼結体は、10〜40重量%の銅系合金
    と、0.05〜2.0重量%の炭素と、0.05〜1.0重
    量%の燐又は硼素の少なくとも1種の元素と、残部の鉄
    系合金とを含む請求項1に記載のアルミニウム合金製ピ
    ストン。
  3. 【請求項3】 金属めっき被膜の膜厚は、0.1〜10
    0μmである請求項1又は2に記載のアルミニウム合金
    製ピストン。
  4. 【請求項4】 金属めっき被膜は、1〜50μmの膜厚
    を有する請求項3に記載のアルミニウム合金製ピスト
    ン。
  5. 【請求項5】 金属めっき被膜は、銅めっき、亜鉛めっ
    き又はニッケルめっきのいずれかである請求項1〜4の
    いずれか1項に記載のアルミニウム合金製ピストン。
  6. 【請求項6】 焼結体中の銅系合金と鉄系合金とは、そ
    れぞれピストン母材中のアルミニウムと反応して金属間
    化合物を形成する請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    アルミニウム合金製ピストン。
  7. 【請求項7】 鉄系合金相は、銅系合金相の周囲に連続
    するマトリックスネットワーク組織を形成する請求項1
    〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ピスト
    ン。
  8. 【請求項8】 補強リングは、ステンレス鋼粉を主体と
    する基地となる鉄系合金相と、鉄系合金相内に分散して
    形成される銅系合金相と、炭化物相とを含む請求項1〜
    7のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ピスト
    ン。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100482441B1 (ko) * 2002-05-06 2005-04-14 현대자동차주식회사 피스톤용 다공질 소결재 인서트 조성물 및 이것을 이용한다공질 소결재 인서트의 제조 방법
JP2009533589A (ja) * 2006-04-08 2009-09-17 カーエス コルベンシュミット ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 2つのピストンリング溝を有し、1つのピストンリング溝にピストンリング支持体が設けられている、内燃機関のためのピストン
EP2549089A1 (en) * 2010-03-19 2013-01-23 Honda Motor Co., Ltd. Piston for internal combustion engine
WO2016192864A1 (de) * 2015-05-29 2016-12-08 Mahle International Gmbh Kolben für einen zylinder einer brennkraftmaschine

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