JP5878421B2 - 湿式コーティング用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、特に摺動部材の表面処理に用いる湿式コーティング用組成物に関する。
内燃機関のピストンに代表される摺動部材の表面には、摺動特性(耐摩耗性、耐焼き付き性等)を高めるために固体潤滑剤による被覆層が形成されている。この場合の固体潤滑剤としてはフッ素化合物、二硫化モリブデン等が汎用されている。例えば、樹脂被覆層を形成する被覆組成物であって、該樹脂被覆層を形成する成分が71〜78wt%の耐熱性樹脂からなる結合剤、3〜5wt%のポリテトラフルオロエチレンおよび19〜24wt%の二硫化モリブデンから成り、かつ、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した前記ポリテトラフルオロエチレンの平均粒子径が、0.1〜2.0μmの範囲であり、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した前記二硫化モリブデンの粒子径が、0.5〜3.0μmの範囲であることを特徴とする摺動部材被覆組成物が知られている(特許文献1)。その他にも、固体潤滑剤として黒鉛、ポリフロロテトラフルオロエチレン及び二硫化モリブデンのいずれかを含むものも知られている(特許文献2)。
ところが、これら従来技術の固体潤滑剤により形成される被覆層は、基材との密着性は良好であるものの、摺動特性(特に耐摩耗性)という点においてさらなる改善の余地が残されている。
これに対し、耐摩耗性を改善するために銅、銀等の金属成分を含む被覆層を形成させることが提案されている。例えば、摺動部材の摺動面に、硬質材料の粉末と、マトリックスを形成する金属の粉末と、固体潤滑材の粉末とからなる混合物を溶射して形成する溶射皮膜であって、前記混合物は前記固体潤滑材として金属被覆固体潤滑材粒子を0.1〜10質量%未満含むことを特徴とする摺動部材の耐摩耗性溶射皮膜において、被覆金属が銅、ニッケル、銀、コバルト、モリブデンの中から選択される一種である耐摩耗性溶射皮膜が知られている(特許文献3)。また、基材の表面に被膜が形成された摺動部材であって、前記被膜の表面には、該被膜の一部として積層した複数の花弁状の薄肉片が形成されていることを特徴とする摺動部材において、前記被膜が金、銀、銅、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなるものが知られている(特許文献4)。
特開2009−68390 特開2010−255038 特開2003−64463 特開2008−51179
しかしながら、特許文献4、特許文献5等による方法は、めっき法又は溶射法によるものであり、内燃機関のピストン等のように被覆層の厚み制御等が厳密に要求される部材に対しては不向きであると言える。他方、被覆層を湿式コーティング(塗布ないしは印刷方法)によって形成することができれば被覆層の厚み制御等を比較的正確かつ容易に行うことが可能であるが、基材との密着性等の問題があることから、未だそのような技術は開発されていないのが現状である。
従って、本発明の主な目的は、基材との密着性が良好な被覆層(固体潤滑層)を形成できる湿式コーティング用組成物を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、コーティング液において特定の分散剤を適用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の湿式コーティング用組成物に係る。
1. 基材及びその表面上に最外層として固体潤滑層を含む摺動部材における当該固体潤滑層を形成するために用いる湿式コーティング用組成物であって、
(1)銀系微粒子、
(2)ポリアミド系分散剤及び
(3)溶媒
を含む湿式コーティング用組成物。
2. 分散剤が、銀系微粒子100重量部に対して6〜14重量部含まれる、前記項1に記載の湿式コーティング用組成物。
3. 摺動部材が、基材及び固体潤滑層の間にこれらに直接に接するように形成された樹脂系プライマー層をさらに含む、前記項1に記載の湿式コーティング用組成物。
4. 樹脂系プライマー層がエポキシ樹脂系プライマー層又はポリイミド樹脂系プライマー層である、前記項3に記載の湿式コーティング用組成物。
5. 基材がアルミニウム又はアルミニウム合金である、前記項1に記載の湿式コーティング用組成物。
6. 溶媒がアルコール系溶媒である、前記項1に記載の湿式コーティング用組成物。
7. 銀系微粒子の平均粒径が1〜100nmである、前記項1に記載の湿式コーティング用組成物。
8. 銀系微粒子が銀及び有機成分を含む、前記項1に記載の湿式コーティング用組成物。
9. 銀系微粒子の銀含有率が60〜99重量%である、前記項8に記載の湿式コーティング用組成物。
10. 銀系微粒子が、銀塩を含む出発材料をアミン化合物の存在下で熱処理する工程を含む製造方法により得られる、前記項8又は9に記載の湿式コーティング用組成物。
11. 摺動部材が、内燃機関におけるピストンである、前記項1に記載の湿式コーティング用組成物。
12. 前記ピストンのスカート部に固体潤滑層を形成するために用いる、前記項11に記載の湿式コーティング用組成物。
13. 1)前記項1に記載の湿式コーティング用組成物を用いて基材又はその表面層に対して湿式コーティングすることにより被覆層を形成する工程、2)前記被覆層を熱処理することにより固体潤滑層を得る工程を含む、固体潤滑層の形成方法。
本発明の湿式コーティング用組成物によれば、銀系微粒子とともに特定の分散剤を含むことから、良好な摺動特性を発揮できる固体潤滑層を基材上に密着性良く形成することができる。特に所定の分散剤を含むので、基材(特にアルミニウム又はアルミニウム合金の表面、あるいはその表面上に形成された樹脂系プライマー層、好ましくはエポキシ樹脂系プライマー層又はポリイミド樹脂系プライマー層)との密着性に優れることから、基材が他の部材と擦れ合う面(摺動面)上でも耐久性に優れる固体潤滑層を形成することができる。
また、本発明の湿式コーティング用組成物は湿式コーティングプロセスを適用できるので、従来技術のような溶射法、めっき法等に比して簡便、高精度で固体潤滑層を形成することができる。従って、例えば固体潤滑層を有する製品の工業的規模での製造に最適である。
このような特徴をもつ湿式コーティング用組成物は、例えば内燃機関(自動車、自動二輪、船舶、農機具、発電機等)のピストンのスカート部の表面(摺動面)をはじめ、摺動特性と基材との密着性とが要求される部位に好適に用いることができる。
一般的な内燃機関のピストンの側面図を示す。 ピストンのスカート部とその表面上に本発明組成物によるコーティング層を形成した状態を示す図である。 試験例において、実施例1のペースト状混合物に係る分散剤の含有量と剥離強度との関係を示すグラフである。
本発明の湿式コーティング用組成物(本発明組成物)は、基材及びその表面上に最外層として固体潤滑層を含む摺動部材における当該固体潤滑層を形成するために用いる湿式コーティング用組成物であって、
(1)銀系微粒子、
(2)ポリアミド系分散剤及びポリエステル系分散剤の少なくとも1種の分散剤及び
(3)溶媒
を含むことを特徴とする。
1.湿式コーティング用組成物
(1)銀系微粒子とその製造方法
(1−1)銀系微粒子
本発明組成物で使用する銀系微粒子は限定的でなく、公知又は市販のものも使用することができる。本発明では、例えば、金属成分として銀を含む金属ナノ粒子であって、さらにP、N及びOの少なくとも1種を含有し、平均粒子径が1〜100nmである銀系微粒子を好適に用いることができる。
銀系微粒子中の銀成分の含有量は、最終製品の用途、得られる粒子の粒径等によるが、通常は60〜99重量%程度、特に75〜98重量%とすることが望ましい。かかる銀系微粒子は、銀成分が80重量%以上の高含有率であっても、有機溶媒等に対する分散性に優れているという特徴を有している。残部は、一般的にはP、N及びOの少なくとも1種を含む物質(好ましくは、P、N及びOの少なくとも1種を含む有機成分)により構成される。これらの成分が銀成分とともに存在することにより、銀系微粒子の分散安定性の向上を図ることができる。本発明では、かかる分散安定性を妨げない限り、C、H等の他の成分が含まれていても良い。
銀系微粒子の平均粒子径は特に限定されず、通常は1〜100nm程度とし、好ましくは1〜50nm、より好ましくは5〜30nmとすれば良く、例えば有機成分の種類、最終製品の用途等により適宜設定することができる。
(1−2)銀系微粒子の製造方法
銀系微粒子は、公知の製造方法によって製造することもできる。例えば、銀成分として金属塩(銀塩)を含む出発材料をアミン化合物の存在下で熱処理することによって製造することができる。
金属塩としては、例えば硝酸塩、塩化物、炭酸塩、硫酸塩等の無機酸塩;ステアリン酸塩、ミリスチン酸塩等の有機酸塩のほか、金属錯体(錯塩)等も用いることができる。特に、本発明では、(1)金属炭酸塩、(2)脂肪酸塩及び(3)金属錯体の少なくとも1種の金属塩を好適に使用することができる。
金属炭酸塩としては、例えば炭酸銀(AgCO)を用いることができる。
脂肪酸塩としては、R−COOH又はHOOC−R−COOH(ただし、Rは、炭素数7以上(特に7〜17)であって置換基を有していても良い炭化水素基を示す。)又はHOOC−R−COOH(ただし、Rは、炭素数3以上であって置換基を有していても良い炭化水素基を示す。)で示される脂肪酸の金属塩が好ましい。上記炭化水素基R及びRは、飽和又は不飽和のいずれであっても良い。
また、金属錯体としては、カルボキシレート配位子を含む金属錯体が好ましい。このような金属錯体としては、RCOO(ただし、Rは、炭素数7以上であって置換基を有していても良い炭化水素基を示す。)で示される単座配位子又はOOC−R−COO(ただし、Rは、炭化水素基を示す。)で示される二座配位子(キレート配位子を含む。)のいずれであっても良い。単座配位子の場合は直鎖状アルキル基が好ましい。二座配位子の場合は直鎖状メチレン基が好ましい。上記炭化水素基Rは、炭素数7〜30であることが好ましく、炭素数7〜17であることがより好ましい。また、上記炭化水素基Rは、メチレン基等の飽和炭化水素基;フェニル基、プロピレン基、ビニレン基等の不飽和炭化水素基のいずれであっても良い。上記炭化水素基Rの炭素数は限定的でないが、6〜12程度であることが好ましい。
金属錯体は、カルボキシレート配位子を有するものであれば、それ以外にホスフィン配位子等の他の配位子を有していても良い。
本発明における金属錯体としては、例えばM(RP)(OCR’)(ただし、MはAgを示す。R〜R及びR’は、互いに同一又は別異で、シクロヘキシル基、フェニル基又は炭素数1〜30のアルキル基であって、置換基を有していても良いものを示す。)を好適に用いることができる。
上記置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、スルホン基、OH基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン基(Cl、Br等)、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、置換基の位置及び数は特に限定されない。
本発明では、これらの中でも、M(PPh)(OCC2n+1)(ただし、MはAgを示す。Phはフェニル基を示す。nは7〜17を示す。)で表わされる金属錯体を好適に用いることができる。
また、本発明では、必要に応じて、出発材料に他の成分を含有させることもできる。例えば、脂肪酸又はその塩を添加することができる。好ましくは、脂肪酸としては、上記の脂肪酸塩における脂肪酸と同様のものを使用することができる。その含有量等は、例えば用いる出発物材料の種類等に応じて適宜設定することができる。
本発明の製造方法では、上記のような銀成分を含む出発材料をアミン化合物の存在下において不活性ガス雰囲気中で熱処理する。特に、本発明では、有機溶媒を用いることなく、銀成分(銀塩)を含む出発材料とアミンを反応容器に仕込んで、熱処理するだけでも良い。アミンが固体の場合は、銀成分を含む出発材料とアミンを固体のまま熱処理すれば良い。
上記アミン化合物の種類は、1級アミン、2級アミン又は3級アミンのいずれであっても特に限定されない。
1級アミンとしては、特に一般式RNH(ただし、Rは、炭素数8以上の炭化水素基を示す。)で示されるものが好ましい。例えば、オクチルアミンC17NH、ラウリルアミンC1225NH、ステアリルアミンC1837NH等が挙げられる。
2級アミンとしては、特に一般式RNH(ただし、R及びRは、互いに同一又は別異であって、炭素数2〜8の炭化水素基を示す。)で示されるものが好ましい。例えば、ジエチルアミン(CNH、ジヘキシルアミン(C13NH、ジオクチルアミン(C17NH等が挙げられる。
3級アミンとしては、特に一般式RN(ただし、R〜Rは、互いに同一又は別異であって、炭素数2〜8の炭化水素基を示す。)で示されるものが好ましい。例えば、トリエチルアミン(CN、トリプロピルアミン(CN、トリオクチルアミン(C17N等が挙げられる。
アミン化合物の使用量は、銀成分を含む出発材料と等モル以上であれば特に限定されない。従って、必要に応じて過剰量を用いても良い。なお、アミン化合物は、あらかじめ適当な有機溶媒に溶解又は分散させた上で使用することもできる。
熱処理温度は、金属塩がアミン化合物と反応して所定の銀系微粒子が得られる限り特に制限されず、用いる金属塩及びアミン化合物の種類等に応じて適宜決定することができる。一般的には50℃以上の範囲(例えば50〜150℃程度)で設定すれば良く、特に、出発材料とアミン化合物との混合物が最終的に液状になる温度以上で、かつ、アミン化合物の沸点未満の温度領域とすることが好ましい。すなわち、上記混合物が最終的にすべて溶融状態になる温度以上での熱処理により、P、N及びOを少なくとも1種を含む物質で構成される銀系微粒子の形成をより効果的に進行させることができる。
熱処理時間は限定的でなく、例えば使用する出発材料の種類、熱処理温度等に応じて適宜設定すれば良いが、通常は1〜10時間程度、好ましくは3〜8時間とすれば良い。
熱処理雰囲気については、特に限定されないが、通常は大気中又は酸化性雰囲気中とすれば良い。
熱処理が終了した後、必要に応じて精製を行う。精製方法は、公知の精製法も適用でき、例えば洗浄、遠心分離、膜精製、溶媒抽出等により行えば良い。
(2)分散剤
分散剤は、ポリアミド系分散剤及びポリエステル系分散剤の少なくとも1種を用いる。これらの分散剤を使用することによって優れた密着性等を得ることができる。ポリアミド系分散剤及びポリエステル系分散剤は、用いる溶媒との相溶性がある限りは特に限定されず、いずれも公知又は市販のものを使用することができる。ポリアミド系分散剤としては、例えば製品名「ソルスパース11200」、「ソルスパース28000」(いずれも日本ルーブリゾール社製)、製品名「オロナイト340R」、「オロナイトRB」(いずれもオロナイトジャパン社製)等が挙げられる。この中でも、前記「ソルパース28000」が好ましい。また、ポリエステル系分散剤としては、例えば製品名「テキサホール873」(サンノプコ社製)、製品名「ディスパロンKS−860」(楠本化成社製)等を用いることができる。この中でも、前記「テキサホール873」が好ましい。すなわち、本発明組成物では、前記「ソルパース28000」及び前記「テキサホール873」の少なくとも1種の製品を用いることが好ましい。これらの製品を使用することにより、よりいっそう優れた密着性と摺動特性とを得ることができる。
分散剤の含有量は、要求される密着性(用途、摺動部材の使用目的)等に応じて適宜設定することができるが、通常は銀系微粒子100重量部に対して分散剤6重量部以上とし、好ましくは6〜14重量部とすることが望ましい。
(3)溶媒
溶媒は、特に非水系溶媒を好適に使用することができる。非水系溶媒としては、特に制限されず、例えばアルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、炭化水素系溶媒(ヘキサン、トルエン、キシレン等)等の公知又は市販の溶媒から適宜採用することができる。本発明組成物では、特に前記の好ましい分散剤との好適な組み合わせ(相溶性等)という見地より、非水系溶媒としてアルコール系溶媒(特にベンジルアルコール等の芳香族アルコール系溶媒)を用いることが好ましい。
溶媒の含有量は制限されず、本発明組成物中における銀系微粒子の含有割合(固形分)が5〜95重量%となるような範囲内で適宜設定することができる。
(4)その他の成分
本発明組成物では、本発明の効果を妨げない範囲内で、上記のような成分のほかにも、必要に応じて公知の添加剤を適宜配合することもできる。例えば、増粘剤、着色剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤等を挙げることができる。
2.本発明組成物の製造方法
本発明組成物は、前記(1)〜(3)及び必要に応じて前記(4)の成分を均一に混合することによって調製することができる。混合に際しては、例えばミキサー、ニーダー、ボールミル等の公知の攪拌装置を使用することができる。
3.本発明組成物の使用
本発明組成物は、例えば1)基材又はその表面層に対して本発明組成物を湿式コーティングすることにより被覆層を形成する工程(塗布工程)、2)前記被覆層を熱処理することにより固体潤滑層を得る工程(熱処理工程)を含む方法によって好適に使用することができる。
塗布工程
塗布工程では、基材又はその表面層に対して本発明組成物を湿式コーティングすることにより被覆層を形成する。
基材としては、限定的ではないが、特に金属(合金、金属間化合物を含む。)を好適に使用することができる。金属としては、例えば鉄、鉄合金(鋼、ステンレス鋼等)、アルミニウム、アルミニウム合金等を挙げることができる。
また、基材の材質等に応じて基材上に表面層(下地層)を形成した上で固体潤滑層を形成することもできる。表面層としては、例えば基材と固体潤滑層との密着性を高めるためのプライマー層を形成することが好ましい。プライマー層の厚みは特に制限されないが、通常は1〜20μm程度の範囲内とすれば良い。この場合のプライマー層は、例えば樹脂成分を含むプライマー層形成用塗料を用いて形成することができる。表面層(特にプライマー層)の形成方法は特に制限されず、前記樹脂成分を溶媒に溶解又は分散させた塗料を公知の方法で基材に塗布すれば良い。前記樹脂成分としては限定的でなく、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂(特にポリアミドイミド樹脂)、ポリウレタン樹脂等の公知のプライマー成分の中から基材の材質等に応じて適宜選択することができる。例えば、基材がアルミニウム又はアルミニウム合金である場合、エポキシ樹脂系プライマー層又はポリイミド樹脂系プライマー層を形成することによって、当該プライマー層上に固体潤滑層を好適に形成することができる。
被覆層の形成方法は、湿式コーティングであれば特に限定されず、例えばスプレーによる方法、刷毛による方法、ローラーによる方法、印刷による方法(スクリーン印刷、インクジェット印刷等)等の各種の湿式プロセスを採用することができる。この場合の被覆層の厚みは、所望の摺動特性等に応じて適宜設定することができるが、一般的には最終的に得られる固体潤滑層の厚みが1〜100μm程度の範囲内となるように調整することが好ましい。例えば、内燃機関のピストンのスカート部に固体潤滑層を形成する場合は1〜50μm程度とすることが望ましい。
熱処理工程
熱処理工程では、前記被覆層を熱処理することにより固体潤滑層を得る。熱処理温度は、被覆層(ウェットな塗布層)を固体化(乾燥)できれば特に限定されないが、通常は100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲内で適宜設定することができる。本発明では、特に、銀と有機成分を含む銀系微粒子を使用する場合は、その有機成分が分解し始める温度又はそれ以上の温度とするこが好ましい。また、熱処理雰囲気は特に限定されないが、通常は大気中とすれば良い。このようにして、所定の固体潤滑層を得ることができる。
<本発明の実施の形態>
本発明組成物を用いて固体潤滑層を形成する場合、その固体潤滑層を形成する領域は特に摺動特性が要求される部分(摺動面)に適用すれば良い。例えば、自動車、自動二輪等の内燃機関のピストンであれば、ピストンのスカート部(外周面)に固体潤滑層を形成するために好適に使用することができる。図1には、ピストン10の側面図を示す。ピストン10の下部の外周面がスカート部11であり、ここが摺動面となる。そこで、図2の拡大図に示すように、例えばスカート部11の摺動面11aの表面上にプライマー層13を形成し、当該プライマー層13の表面上に固体潤滑層14を形成すれば良い。この場合、プライマー層13の厚みは、通常1〜5μm程度とすることが好ましい。また、プライマー層の形成方法は、公知のプライマー層の形成方法と同様にすれば良い。また、固体潤滑層14の厚みは、所望の摺動特性等に応じて適宜設定することができるが、一般的には5〜20μm程度とすることが好ましい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
(1)銀ナノ粒子の調製
炭酸銀AgCO100重量部とオクチルアミンn−C17NH100重量部をパイレックス(登録商標)製の三つ口フラスコに入れ、大気中で徐々に100℃まで加熱し、その温度で4時間保持した。加熱した後、室温でメタノール1800重量部を加えて攪拌し、静置した後、上澄みを除去した。これを4回繰り返し、桐山ロートで濾過し、減圧下で乾燥させ、黒色の銀ナノ粒子を得た(収率98.7%)。得られた銀ナノ粒子の平均粒子径は30nmであった。銀成分の含有量は96重量%であった。
(2)湿式コーティング用組成物の調製
前記銀ナノ粒子100重量部に対し、ポリアミド系分散剤(製品名「ソルパース28000」日本ルーブリゾール社製)10重量部及び溶媒としてベンジルアルコール14.3重量部を均一に混合した。得られたペースト状混合物について、プラズモン吸収(黄色の発色)の有無について調べたところ、黄色の発色が認められた。これにより、上記銀ナノ粒子が前記分散剤及び溶媒との関係において相溶性があることが確認できた。
参考例2
分散剤としてポリエステル系分散剤(製品名「テキサホール873」サンノプコ社製)を用いたほかは、実施例1と同様にして同様のペースト状混合物を調製した。
比較例1
分散剤として市販の分散剤(製品名「Disperbyk−103」ビックケミー・ジャパン製)を用いたほかは、実施例1と同様にしてペースト状混合物を調製した。
試験例1
実施例、参考例及び比較例で得られたペースト状混合物を用いて、アルミニウム合金上に固体潤滑層を形成した。まず、アルミニウム合金(AC8H)の表面にプライマー層を形成した。プライマー用塗料としてポリアミドイミド樹脂を用い、スクリーン印刷でプライマー層(厚み約3μm)を得た。次いで、前記プライマー層上に各ペースト状混合物をスクリーン印刷法により塗布し、乾燥させた後、大気中200℃で3時間の熱処理を行うことにより、厚み約10μmの固体潤滑層を形成し、サンプルを作製した。得られた各サンプルにおける固体潤滑層について、表面・界面物性解析装置(SAICAS:Surface And Interfacial Cutting Analysis System)として製品名「SAICAS DN」(ダイプラ・ウィンテス社製)を用いて剥離強度(kN/m)を測定した。その結果、実施例1では約0.65kN/m、参考例2では約0.61kN/m、比較例1では約0.05kN/mであった。この結果からも明らかなように、本発明による特定の分散剤を含む湿式コーティング用組成物は、特定の分散剤を含まないコーティング用組成物の場合に比して高い密着性を発揮できることがわかる。
試験例2
分散剤の添加量を変えたほかは、実施例1と同様にしてペースト状混合物を調製し、試験例1と同様にしてサンプル作製した。得られた各サンプルについて試験例1と同様にして固体潤滑層の剥離強度を測定した。その結果を図3に示す。図3に示すように、実施例1の分散剤では、その含有量の増加に伴って剥離強度が高くなり、銀ナノ粒子100重量部に対して分散剤6重量部でほぼ最大値に近い剥離強度に達し、それより多い含有量では同様の剥離強度を維持していることがわかる。

Claims (13)

  1. 基材及びその表面上に最外層として固体潤滑層を含む摺動部材における当該固体潤滑層を形成するために用いる湿式コーティング用組成物であって、
    (1)銀系微粒子、
    (2)ポリアミド系分散剤及び
    (3)溶媒
    を含む湿式コーティング用組成物。
  2. 分散剤が、銀系微粒子100重量部に対して6〜14重量部含まれる、請求項1に記載の湿式コーティング用組成物。
  3. 摺動部材が、基材及び固体潤滑層の間にこれらに直接に接するように形成された樹脂系プライマー層をさらに含む、請求項1に記載の湿式コーティング用組成物。
  4. 樹脂系プライマー層がエポキシ樹脂系プライマー層又はポリイミド樹脂系プライマー層である、請求項3に記載の湿式コーティング用組成物。
  5. 基材がアルミニウム又はアルミニウム合金である、請求項1に記載の湿式コーティング用組成物。
  6. 溶媒がアルコール系溶媒である、請求項1に記載の湿式コーティング用組成物。
  7. 銀系微粒子の平均粒径が1〜100nmである、請求項1に記載の湿式コーティング用組成物。
  8. 銀系微粒子が銀及び有機成分を含む、請求項1に記載の湿式コーティング用組成物。
  9. 銀系微粒子の銀含有率が60〜99重量%である、請求項8に記載の湿式コーティング用組成物。
  10. 銀系微粒子が、銀塩を含む出発材料をアミン化合物の存在下で熱処理する工程を含む製造方法により得られる、請求項8又は9に記載の湿式コーティング用組成物。
  11. 摺動部材が、内燃機関におけるピストンである、請求項1に記載の湿式コーティング用組成物。
  12. 前記ピストンのスカート部に固体潤滑層を形成するために用いる、請求項11に記載の湿式コーティング用組成物。
  13. 1)請求項1に記載の湿式コーティング用組成物を用いて基材又はその表面層に対して湿式コーティングすることにより被覆層を形成する工程、2)前記被覆層を熱処理することにより固体潤滑層を得る工程を含む、固体潤滑層の形成方法。
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