JP5640775B2 - 顆粒状酸化ガリウムの製造方法 - Google Patents
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かかる方法を採用することにより、酸化ガリウムを造粒して、顆粒状の酸化ガリウムを製造する従来法により得た酸化ガリウムに比較し、原料供給時に崩れ難い顆粒状の酸化ガリウムを得ることができる。
かかる方法を採用することにより、ろ過性に優れたオキシ水酸化ガリウムを得ることができ、加えて酸化ガリウムを造粒して、顆粒状の酸化ガリウムを製造する従来法により得た酸化ガリウムに比較し、原料供給時に崩れ難い顆粒状の酸化ガリウムを得ることができる。
かかる方法を採用することにより、微粒でろ過性に優れ、且つBET比表面積が大きく、製造装置に起因する金属不純物の実質的混入のない純度の高いオキシ水酸化ガリウムを得ることができると共に、酸化ガリウムを造粒して、顆粒状の酸化ガリウムを製造する従来法により得た酸化ガリウムに比較し、原料供給時に崩れ難い顆粒状の酸化ガリウムを得ることができる。
本発明によれば、蛍光体原料や、ターゲット用原料、透明導電膜や透明導電性を有する単結晶基板材料を製造する際の、原料供給時に崩れ難い顆粒状の酸化ガリウムを提供することが可能となる。
本発明における酸化ガリウムの製造は、ガリウムを含有する酸性水溶液と塩基性水溶液を混合し、pHを8〜10の範囲に調整して水酸化ガリウムを生成させ、得られた水酸化ガリウムをpH8〜10の範囲で、60℃以上の温度で1時間以上保持し、生成するオキシ水酸化ガリウムを濾別、洗浄後、乾燥、焼成する工程よりなる。
ガリウム塩として硝酸ガリウムを用い、これを濃度1.5mol/l以下、好ましくは
0.4〜1.2mol/lで用いる場合には、工業的濾過特性を満足し、かつ50%累積粒径(体積基準)が1μm以下、好ましくは0.5μm〜0.8μmの微粒の酸化ガリウムを得ることが可能である。
更には該熱処理工程で攪拌棒や攪拌翼等の攪拌治具を用いる場合には、かかる攪拌治具もフッ素含有樹脂製品を用いることが好ましい。本発明においてフッ素含有樹脂とは、フッ素樹脂で構成された部材、或いは接触部位がフッ素含有樹脂で被覆されている場合をも含む概念である。被覆手段としてはコーティング、ライニング等が挙げられる。フッ素含有樹脂で被覆される母材としては、例えばステンレス鋼、炭素鋼、鋳鉄、硝子、樹脂−セラミック繊維複合材等が使用される。
アクリル系樹脂やポリビニルアルコール等が挙げられる。さらに必要に応じて分散剤を添加してもかまわない。いずれも、得られる顆粒状の酸化ガリウムに残留せず、また、金属などの不純物を含有しないものが好適である。添加するバインダー量としては、必要とされる粒子の結合力などにより一義的ではないが、通常、オキシ水酸化ガリウムに対して約0.1〜10重量%、好ましくは、0.1〜3重量%である。バインダーの添加方法としては、特に限定されないが、例えば、バインダーとオキシ水酸化ガリウムを溶媒中で混合し、溶媒を留去して混合物として添加する方法、バインダーを溶媒に溶解させたものを造粒中に噴霧して添加する方法などが挙げられる。使用する溶媒としては、水、メタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒、ヘキサンなどの飽和炭化水素系溶媒などが挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。造粒時、水等の溶媒が結合剤としての働きをする場合は、必ずしも溶媒以外のバインダーの使用は必須ではない。造粒後の造粒物はそのまま、或は必要に応じて粉砕する。粉砕時間は、1分〜100時間の間で適宜選択できる。好ましくは2〜48時間程度である。
このようにして乾燥した顆粒状のオキシ水酸化ガリウムは、Si≦2ppm、Na≦0.5ppm、K≦0.5ppm、Ca≦0.5ppm、Fe≦0.5ppm、Mg≦0.5ppm、Zn≦0.5ppm、Al≦1ppmと極めて不純物の少ない高純度品が得られる。
さらに、用途に応じて、適宜、純度を損なわない範囲で、粗大な粒子を粉砕装置を用いて、オキシ水酸化ガリウムと同様に粉砕しても構わない。粉砕装置としては、ボールミル、ハンマーミル、ロールミル、コーヒーミル、ハンマークラッシャー、冷凍ミル、サイクロンミル、遊星型ボールミルなどが挙げられる。
さらには、用途に応じて、適宜、純度を損なわない範囲で、使用用途に応じ粒径の選別を行う。
(硝酸ガリウムの製造)
2000mlのPFA製容器に、アルゴン気流下、純度99.9999%の金属ガリウム250.0gと電子工業用の69%濃硝酸1500.0mlを投入し、4日間攪拌しながら溶解させた。次いでこのPFA(四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンの共重合体樹脂)製3つ口フラスコを95℃の湯浴で加熱することにより3.12mol/lの硝酸ガリウム水溶液1150mlを得た。
1000mlのPFA製三角フラスコに電子工業用の28%アンモニア水600mlと純水300mlを加え、18%アンモニア水900mlを調整した。
製造例1で製造した硝酸ガリウム水溶液1150mlに上記方法で調整したアンモニア水800mlと純水5850mlを加え、pH=1の硝酸ガリウム水溶液(0.46mol/l)1950mlを調整した。
2000mlのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製フラスコに、上記方法で得られた硝酸ガリウム水溶液920ml、上記方法で調整したアンモニア水200ml、および純水780mlを加え、室温下、PTFE製の攪拌棒、攪拌羽根で30分間攪拌し、pHが9.8の水酸化ガリウム懸濁液1900mlを得た。次いで、得られた懸濁液を60℃の油浴で加熱攪拌を24時間行ない、オキシ水酸化ガリウムの懸濁液を得た。この懸濁液を静置し、オキシ水酸化ガリウムを沈殿させた後、上澄み液を除去し、ついでオキシ水酸化ガリウムに純水1000mlを添加し、攪拌洗浄後、洗浄水を排出した。純水1000mlによる洗浄操作を5回行なった。5回目の洗浄後、オキシ水酸化ガリウムを懸濁する洗浄水全量を直径150mmの桐山ロート(桐山濾紙No.5C)を用いて、吸引濾過した。次いで、吸引濾過後のオキシ水酸化ガリウム全量を140℃で15時間乾燥し、オキシ水酸化ガリウム39.2gを得た。得られたオキシ水酸化ガリウムの50%累積粒径、不純物濃度を表1に示す。
上記方法で得られたオキシ水酸化ガリウム(30.0g)を、パン型造粒機を用いて、水を霧吹きで噴霧しながら造粒を行なった。で12時間回転させ粉砕を行なった。その後、乾燥を行ない、顆粒状のオキシ水酸化ガリウム15.0gを得た。得られた顆粒状のオキシ水酸化ガリウムの粒径は0.1mm〜3mmであった。
上記方法で得られた顆粒状のオキシ水酸化ガリウム全量(15.0g)を、純度99.9%以上の高純度アルミナ製ルツボに入れ、これを焼成炉で温度800℃で4時間焼成し、酸化ガリウム13.0gを得た。得られた顆粒状の酸化ガリウムの粒径は、0.1mm〜3mmであった。また、得られた顆粒状の圧縮強度は3.92MPaであった。
(顆粒状の酸化ガリウムの製造)
実施例1で得られた顆粒状の酸化ガリウム全量(13.0g)を、純度99.9%以上の高純度アルミナ製ルツボに入れ、これを焼成炉で温度1400℃で4時間焼成し、顆粒状の酸化ガリウム13.0gを得た。得られた酸化ガリウムの粒径は、0.1mm〜3mmであった。また、得られた顆粒状の圧縮強度は13.27MPaであった。
(酸化ガリウムの製造)
実施例1と同一の方法で得られたオキシ水酸化ガリウム(39.2g)を、純度99.9%以上の高純度アルミナ製ルツボに入れ、これを焼成炉で温度800℃で4時間焼成し、酸化ガリウム33.9gを得た。得られた酸化ガリウムの50%累積粒径、BET比表面積、不純物濃度を表1に示す。
上記方法で得られた酸化ガリウム全量(33.9g)を、パン型造粒機を用いて、水を霧吹きで噴霧しながら造粒を行なった。で12時間回転させ粉砕を行なった。その後、乾燥を行ない、顆粒状の酸化ガリウム17.0gを得た。得られた顆粒状の酸化ガリウムの粒径は0.1mm〜3mmであった。また、得られた顆粒状の圧縮強度は0.09MPaであった。
Claims (5)
- 顆粒状酸化ガリウムを製造するにおいて、オキシ水酸化ガリウムを造粒して顆粒状オキシ水酸化ガリウムとした後、該顆粒状オキシ水酸化ガリウムを焼成することで顆粒状酸化ガリウムを得ることを特徴とする顆粒状酸化ガリウムの製造方法。
- オキシ水酸化ガリウムの製造工程が、ガリウムを含有する酸性水溶液と塩基性溶液を混合し、pHを8〜10の範囲に調整し水酸化ガリウムを得る工程と、得られた水酸化ガリウムをpH8〜10の範囲で60℃以上の温度で1時間以上保持しオキシ水酸化ガリウムを得る熱処理工程からなることを特徴とする請求項1記載の顆粒状酸化ガリウムの製造方法。
- ガリウムを含有する酸性水溶液として、濃度1.5mol/l以下の硝酸ガリウム水溶液を用いることを特徴とする請求項2記載の顆粒状酸化ガリウムの製造方法。
- 水酸化ガリウムの熱処理工程における水酸化ガリウムと接触する部位に、フッ素含有樹脂を用いることを特徴とする請求項2または請求項3記載の顆粒状酸化ガリウムの製造方法。
- 不純物含有量が、Si≦2ppm、Na≦0.5ppm、K≦0.5ppm、Ca≦0.5ppm、Fe≦0.5ppm、Mg≦0.5ppm、Zn≦0.5ppm、Al≦1ppmで、圧縮強度が1MPa以上であることを特徴とする顆粒状酸化ガリウム。
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