JP2011256088A - 酸化ガリウム粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】IGZOなどのスパッタリングターゲット用原料として好適となるように、他の粉体、例えば酸化インジウム粉末などと混合して圧縮成形した際に、従来よりも最密に充填することができる、新たな酸化ガリウム粉末を提供せんとする。
【解決手段】 レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD10、D50及びD90において、(D90−D10)/D50の値が1.00〜1.50であることを特徴とする酸化ガリウム粉末を提案する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばIn−Ga−Zn複合酸化物(「IGZO」と称する)などのようなスパッタリングターゲット(焼結体)を製造するのに用いることができる酸化ガリウム粉末に関する。
IGZOは、電子ペーパーや液晶パネル、有機ELを駆動するTFTの半導体層材料として注目を集めている透明酸化物半導体の一種である。この材料から形成される薄膜は、可視光を透過するため、透明の膜をつくることができるばかりか、室温〜150℃といった低温プロセスで膜を形成できるため、プラスチック基板等、高温プロセスに適さない基板材料にも適用可能であるため様々な分野での利用が期待されている。
IGZOからなる半導体膜は、スパッタリング法で形成されるのが一般的であり、この際スパッタリングターゲットとして用いられるのがIGZO焼結体である。
IGZO焼結体は、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化インジウムなどの原料粉末を混合し、得られた混合粉末を加圧成形し、焼結して製造するのが一般的である。
IGZO焼結体及びIGZO薄膜の性能に酸化ガリウム粉末の物性が影響するため、用途に応じて酸化ガリウム粉末を改良することが望まれていた。
酸化ガリウムは、ガリウム塩溶液にアルカリを添加して中和することによって水酸化ガリウム(中間体)を沈澱生成させ、これを濾過乾燥した後焼成することによって製造するのが一般的である。
酸化ガリウムに関しては、従来、例えば特許文献1において、流動性に優れた酸化ガリウム粉末を製造するべく、ガリウムを陽極として電解することにより得られた水酸化ガリウムを仮焼して酸化ガリウム粉末を得る製法が提案されている。
また、特許文献2には、塩素などの不純物の少ない酸化ガリウム粉末を製造するべく、溶融ガリウムメタルを入れた温水浴中に塩素ガスを吹き込み、塩化ガリウム水溶液とし、これを中和して得られる水酸化ガリウムを脱水・乾燥し、次いでばい焼、解砕する酸化ガリウム粉末の製造方法が提案されている。
特許文献3には、ガリウム塩溶液にシュウ酸を加えて、シュウ酸の存在下で中和することによって水酸化ガリウム(中間体)を沈澱生成させ、これを濾過乾燥した後焼成することによって、比表面積(BET値)が3〜10m2/gであって、0.1〜10μmの範囲に粒子の99%(体積基準)が含まれる酸化ガリウム粉末を得る方法が提案されている。
特許文献4には、ガリウム塩溶液を硫酸イオンとアンモニウムイオンの共存下で中和して得られるガリウム化合物(ガリウム酸アンモニウム)を焼成して得られる酸化ガリウムが開示されている。
特許文献5には、粒度分布が揃い、粒子形状が等方的である粒子を提供するべく、ガリウム塩の水溶液に硫酸イオンとアンモニウムイオンとを共存させて反応させることで、粒子形状が等方的な多面体形状を有するガリウム化合物(NH4Ga3(SO42(OH)6・H2O)粉末を得る方法が提案されている。
特許文献6には、ガリウム濃度、アルカリ濃度、反応終了pHを制御することにより水酸化ガリウムの粒径を任意の粒径に制御し、所定時間以上の熟成によって粒子の顆粒化を促進して粒度分布の揃った水酸化ガリウムを得て、この水酸化ガリウムを濾過、乾燥、焼成することによって目的の酸化ガリウム粉末、すなわち、粒径/D50の値が0.8〜2.4μmで、かつ、粒径比(D90−D10)/D50の値が1.0未満である酸化ガリウム粉末を得る方法が提案されている。
特開平10−273318号公報 特開平10−338522号公報 特開平11−322335号公報 特開2002−20122号公報 特開2002−20122号公報 特開2004−142969号公報
スパッタリング法によって安定して均質なIGZO薄膜を製造するには、焼結密度の高いIGZO焼結体をスパッタリングターゲットとして用いることが必要不可欠である。このようなIGZO焼結体を製造するためには、その前駆体である成形体の空隙を少なくすることが必要であり、そのためには、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化インジウムなどからなる原料混合粉を圧縮成形した際に最密に充填できることが求められる。
そこで本発明は、他の粉体、例えば酸化インジウム粉末などと混合して圧縮成形した際に、従来よりも最密に充填することができる、新たな酸化ガリウム粉末を提供せんとするものである。
本発明は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD10、D50及びD90において、(D90−D10)/D50の値が1.00〜1.50であることを特徴とする酸化ガリウム粉末を提案する。
本発明の酸化ガリウム粉末は、(D90−D10)/D50の値が1.00〜1.50であるという特徴を有する。すなわち、従来の酸化ガリウム粉末に比べて、粒度分布が広い、言い換えれば大小様々な粒径の酸化ガリウム粉末粒子から構成されているため、他の粉体、例えば酸化インジウム粉末などと混合して圧縮成形すると、他の粉末粒子の間の様々な大きさの隙間に入り込むことができ、より最密に充填することができる。
よって、本発明の酸化ガリウム粉末は、酸化インジウム粉末などと混合し圧縮成形する用途、例えばIGZO焼結体などのようなスパッタリングターゲット用原料として特に好ましい。
以下、本発明の一実施形態の例(以下、「本実施形態」という)について説明するが、本発明が下記本実施形態に限定されるものではない。
((D90−D10)/D50)
本実施形態に係る酸化ガリウム粉末(以下、「本酸化ガリウム粉末」という)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD10、D50及びD90において、(D90−D10)/D50の値が1.00〜1.50であることが重要である。
(D90−D10)/D50の値は、粒度分布のばらつきを示す指標として一般的に認識されており、この値が1.00〜1.50であれば、従来の酸化ガリウム粉末に比べて、粒度分布が広い、言い換えれば大小様々な粒径の酸化ガリウム粉末粒子から構成されてなる粉体であるという特徴を有している。しかも、1.50以下であるから、分散性が悪くなる程には微粉粒子が多くないという特徴も有している。よって、前述のように、他の粉体、例えば酸化インジウム粉末などと混合して圧縮成形すると、他の粉末粒子の間の様々な大きさの隙間に入り込むことができ、より最密に充填することができる。
かかる観点から、本酸化ガリウム粉末は、(D90−D10)/D50の値が1.02以上、或いは、1.40以下であるものがさらに好ましく、その中でも1.05以上、或いは、1.30以下であるものがより一層好ましい。
なお、本発明において、D10、D50及びD90は、実施例の欄に示した測定方法でも分かるように、酸化ガリウム粉末を十分に分散させて測定した粒度分布の値であり、また、実際にSEM写真で観察した一次粒子径ともほぼ一致するため、これらの値は一次粒子(凝集粒子ではない)の粒度を示すものである。
(D50と体積平均粒径)
本酸化ガリウム粉末は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布が実質的に一山からなり、当該体積基準粒度分布によるD50の値が、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布による体積平均粒径(MV)より小さい、すなわちD50<MVであるものが好ましい。
一山からなる粒度分布においてD50<MVであるということは、微粉が少ないこと、言い換えれば、結晶成長が不十分である微粉粒子が少なく、多くの粒子が十分に結晶成長していることを示しており、微粉が多いことによる分散不良を無くすことができる。
D50<MVである本酸化ガリウム粉末を製造するには、十分に結晶成長させる、言い換えれば、成長不十分な微粉末の残留がないように製造することが必要である。十分に結晶成長させるには、効果的な水熱熟成を行うことが最も有効である。具体的には、ガリウム塩をアルカリで中和し、中和して得られた水酸化ガリウムを水熱熟成によって粒子成長を促す際、中和混合から水熱熟成の間、例えば攪拌したり、ゆっくりと昇温したりして、一貫して均一な温度でゆっくり確実に熟成させるのが好ましい。
なお、体積平均粒径(MV)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布において、体積平均粒径(MV)=(粒径×その体積)の総和/体積の総和の式で求められる値である。
さらに、D50<MVの関係において、D50と体積平均粒径(MV)の差が大きいということは、D50=MVである正規分布と比較すると、粒度分布を示すピーク曲線が粗粉側に大きく傾き、粗粉の比率が高いことを意味する。粗粉が多過ぎると、粗粉と粗粉の空隙を充填する微粉の量が不足するようになり、最密充填することが困難になる。よって、D50と体積平均粒径(MV)の差が大き過ぎないことが好ましいため、((MV−D50)/D50)×100の値は、15.0%未満、中でも1.0%以上、或いは15.0%以下、その中でも1.5%以上、或いは12.0%以下であるのがより一層好ましい。
(D50)
本酸化ガリウム粉末の粒度分布、すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD50は、0.50μm〜3.00μmであるのが好ましい。本酸化ガリウム粉末のD50の値が3.00μm以下であれば、粒径が大き過ぎることがないため、より一層均一且つ最密に充填することができる。他方、0.50μm以上であれば、微粉が多いために分散性が低下するのを避けることができる。
かかる観点から、本酸化ガリウム粉末のD50は、0.80μm以上であるのがより一層好ましく、中でも1.00μm以上、或いは、2.50μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、D50は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準累積度数50%の粒子径の意味である。
本酸化ガリウム粉末のD50は、中和熟成時のガリウム濃度を制御することで調整することができる。この際、ガリウム濃度が低い方が、粒子径は小さくなり、逆に高い場合、粒子径は大きくなる。焼成温度も多少影響し、高温焼成の方が粒子径は大きくなる傾向はあるが、酸化ガリウム粒子の特徴として、焼成の前後で粒径がほとんど変わらないという特徴がある。すなわち、中和熟成完了時点で、最終の焼成粉の粒子形状・粒子径はほぼ完成するため、中和熟成時の条件を調整するのが効果的である。
(製造方法)
次に、本酸化ガリウム粉末の製造方法の一例について説明する。但し、あくまで一例であって、本酸化ガリウム粉末の製造方法が以下に説明する製造方法に限定されるものではない。
本酸化ガリウム粉末の好ましい製造方法としては、第一に、硝酸塩や硫酸塩などのガリウム塩溶液と、アンモニア、水酸化ナトリウム、尿素などのアルカリ溶液とを混合して中和することによって水酸化ガリウム(中間体)を沈澱生成させる際に、ガリウム塩溶液とアルカリ溶液の液温を合わせると共に、両者の液温を低く制御することが重要である。
具体的には、ガリウム塩溶液とアルカリ溶液の液温の差が±5℃以下となるように制御するのが好ましい。ガリウム塩溶液とアルカリ溶液の液温の差が小さければ、混合中に温度変化することがなく、一定温度で中和することができる。
また、ガリウム塩溶液及びアルカリ溶液の液温(初期)は、中和段階で熟成が進行するのを防ぐために、50℃以下、特に10〜50℃、中でも15〜40℃となるように調整するのが好ましい。
また、中和工程では、反応過程で中和熱が発生するために液温が高くなる可能性があるが、液温が高くならないように制御することも必要である。具体的には、初期の液温と中和後の液温の差が±15℃となり、中和後の液温が50℃以下、特に10〜50℃、中でも20〜40℃となるように制御することが好ましい。
この際、温度制御手段としては、中和に要する時間を十分長くとることで、一気に中和熱が発生するのを抑える方法を挙げることができる。また、ガリウム塩溶液及びアルカリ溶液においてガリウム濃度或いはアルカリ濃度を薄くすることによって、中和反応の進行速度を遅くして中和熱が高くならないように制御する方法を挙げることもできる。
かかる観点から、ガリウム塩溶液のガリウム濃度は50〜250g/L、特に110〜200g/Lが好ましく、また、アルカリ溶液、例えばアンモニア水におけるアンモニア濃度は1〜10wt%、特に2〜5wt%とするのが好ましい。
このようにして中和が完了したら、撹拌しながら、一定の昇温速度で30分〜5時間かけて70〜90℃までゆっくり昇温させ、続いて当該温度を30分〜6時間程度保持するようにして熟成を行うことが必要である。特にこの際、攪拌することによって反応容器内の温度を均一にすることが重要である。
このように熟成を行った後、得られたスラリーを洗浄、濾過を行い、十分に乾燥させる、具体的には105℃以上で少なくとも5時間以上乾燥させるのが好ましい。
水酸化ガリウム(中間体)を洗浄濾過乾燥する手段としては、例えば純水を用いてデカンテーションを繰り返すなどして、例えば硝酸根等を洗浄除去した後、濾過等によって固液分離し、乾燥させて乾燥体(ケーキ)を得るようにすればよい。
焼成後の酸化ガリウムは、極めて硬いために、焼成前に粉体を解しておくのが好ましい。
焼成前に乾燥体(ケーキ)を解砕する程度は、手で解す程度の軽い解砕では解砕が十分ではなく、焼成時に凝集が起こって目的とする粒度分布、タップ密度、嵩密度に調整することができないため、例えばハンマーミル、ピンミルなどの高速回転型の解砕機や、ボールミルやビーズミルなどのメデイアを使用する解砕機、振動篩、ヘンシェルミキサーなどの機械的手段で解砕することが重要である。
その後の焼成は、大気雰囲気において、600〜1300℃を1時間〜6時間保持するように行うのが好ましい。
焼成温度(保持温度)は、600℃以上の適宜温度で行うのが好ましい。水酸化ガリウムから酸化ガリウムに変化する温度領域は500℃程度であるため、500℃以上であれば通常は十分であるが、ポーラスな酸化ガリウム粒子を作製するには、600〜1200℃、中でも800〜1100℃で焼成するのが好ましい。
また、保持温度での保持時間は、1時間〜6時間、特に1時間〜5時間とするのが好ましい。この際、焼成時間については、水酸化ガリウムから酸化ガリウムへ均一に転移させるために1時間以上とするのが好ましい。他方、長すぎても均一焼成の効果は変わらないので不経済であるばかりか、粒子によっては逆に空孔が塞がってしまう場合があるため、長くとも6時間程度とするのが好ましい。
(用途)
本酸化ガリウム粉末は、ターゲット材料、例えばIGZOなどのように、酸化インジウム粉末などと混合して圧縮成形する用途に特に好適に用いることができる。例えばIGZO焼結体であれば、本酸化ガリウム粉末と、酸化インジウム粉末及び酸化亜鉛粉末とを混合して圧縮成型した後、焼結してIGZO焼結体を製造することができる。
(語句の説明)
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「好ましくYより小さい」の意を包含する。
以下、本発明の実施例について説明する。
<粒度測定>
酸化ガリウム粉末を少量ビーカーに取り、2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を50mL添加し、その後、超音波分散器TIPφ20(日本精機製作所製、OUTPUT:8、TUNING:5)を用いて2分間分散処理して測定用サンプルを調製した。この測定用サンプルを、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置MT3300(日機装製)を用いて、体積累積基準D10、D50及びD90、並びに体積平均粒径(MV)を測定した。
(実施例1)
35℃に調整したGa濃度110g/Lの硝酸ガリウム塩水溶液を、35℃に調整したアンモニア水(アンモニア濃度2.8%)に加えて、30分間かけてゆっくりとpH8に調整した。調整後の混合液温度は40℃であった。
液温を40℃に保持しつつ5分間攪拌した後、撹拌を継続したまま90℃まで40分かけてゆっくり昇温した。更に、90℃を保持しつつ撹拌を継続したまま3時間熟成させた。
熟成途中、pHが低下するのでアンモニア水を追加し、pHを8に維持した。
熟成終了後、常温まで自然冷却し、純水によるデカンテーションを繰り返し、アンモニア、硝酸成分を洗浄した。
洗浄した後、濾過により固液分離を行い、更に105℃にて24時間乾燥させ、水酸化ガリウムの乾燥体(塊状)を得た。
このようにして得られた水酸化ガリウムの乾燥体(塊状)を、ヘンシェルミキサーを用いて、回転数800rpmにて解砕処理を行い、150meshの篩で僅かに残留した凝集物を除去し、分散した水酸化ガリウムの乾燥体(粉状)を得た。
そして、得られた水酸化ガリウムの乾燥体(粉状)をセラミック製の焼成容器(焼成匣鉢)に入れ、大気雰囲気にて常温から1.5時間で900℃迄昇温し、保持温度900℃で3時間焼成を行い、酸化ガリウム粉末を得た。
(実施例2)
硝酸ガリウム水溶液のGa濃度を150g/Lにした以外は、実施例1と同様にして酸化ガリウム粉末を得た。
(実施例3)
硝酸ガリウム水溶液のGa濃度を190g/Lにした以外は、実施例1と同様にして酸化ガリウム粉末を得た。
(実施例4)
焼成時の温度を700℃、保持時間を1.5時間とした以外は、実施例2と同様にして酸化ガリウム粉末を得た。
(実施例5)
焼成時の温度を1200℃、保持時間を4.5時間とした以外は、実施例3と同様にして酸化ガリウム粉末を得た。
(比較例1)
中和後の昇温において、撹拌をせず、かつ、昇温に要した時間は10分間、昇温時の温度は90℃、昇温後の保持時間は24時間とした以外は、実施例2と同様にして酸化ガリウム粉末を得た。
(比較例2)
硝酸ガリウムとアンモニア水の中和混合後、昇温操作を一切行わないで、中和混合完了時点の温度のまま5時間撹拌した以外は実施例2と同様にして酸化ガリウム粉を得た。
(比較例3)
硝酸ガリウムをアンモニア水と中和混合する際、一気に硝酸ガリウムをアンモニア水に投入した以外は実施例2と同様にして酸化ガリウム粉を得た。その際、一気に硝酸ガリウムをアンモニア水に投入した直後の液温は55℃であった。
Figure 2011256088
(考察)
実施例1〜5で得られた酸化ガリウム粉末はいずれも、(D90−D10)/D50の値が1.00〜1.50の範囲にあり、粒度分布が適度に広い粒子であった。これらの酸化ガリウム粉末を原料として、酸化亜鉛粉末及び酸化インジウム粉末と混合して加圧成形すると、従来品よりも最密に充填することができ、これを焼成すると焼結密度も高くなることが確認された。
また、実施例1〜5で得られた酸化ガリウム粉末はいずれも、D50と体積平均粒径(MV)との関係が、D50<体積平均粒径(MV)となっており、相対的に微粉含有量が少ないという特徴を有していることが判明した。酸化インジウム粉末と混合すると、D50>体積平均粒径(MV)の酸化ガリウム粉末に比べて、分散性が優れていることが確認されている。
このような酸化ガリウム粉末を得るためには、例えば硝酸ガリウムとアンモニアとの中和混合の温度と時間を厳密に制御することが必要であると考えることができる。
他方、中和混合後に行う熟成において、昇温後の保持時間(熟成時間)を極端に長くした比較例1においては、粒度分布がシャープな粒子が得られることが分かった。
さらに比較例1の酸化ガリウム粉は、昇温を急速に行い、更にその際、撹拌を行わなかったことにより、微粉の含有量が比較的多くなり、D50>体積平均粒径(MV)の関係になることが分かった。
比較例2においては、中和混合後の昇温を一切行っていないため、熟成による粒子成長が十分に進行せず、焼成において粒子が形成されたため、極めてブロードで、かつ、微粉の発生量が多い、すなわちD50>MVの関係を備えた粒度分布が得られている。
比較例3においては、中和混合を一気に行ったため、放熱の時間が十分でなく、混合前の硝酸ガリウム、アンモニア水の液温度より混合後の液温度が極端に高くなってしまい、その結果、昇温による熟成は進行したものの、熟成開始時点での水酸化ガリウム微粒子の粒子が均一でないため、最終的にブロードな粒度分布となり、微粉の含有量が比較的多いため、D50>MVの関係を備えた粒度分布が得られている。
以上のように、中和混合時の液温度を特定の範囲に調整し、十分撹拌しながら昇温を行い、その後、一定時間の熟成を行うことによって、(D90−D10)/D50の値を1.00〜1.50の範囲に調整することができることが分かった。
また、中和混合時の液温度を特定の範囲に調整することで、微粉の発生量を少なくすることができ、D50>体積平均粒径(MV)という特徴を有する粒度分布の酸化ガリウム粉末を得ることができることも分かった。

Claims (4)

  1. レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD10、D50及びD90において、(D90−D10)/D50の値が1.00〜1.50であることを特徴とする酸化ガリウム粉末。
  2. レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD50が、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布による体積平均粒径(MV)より小さいことを特徴とする請求項1記載の酸化ガリウム粉末。
  3. レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD50が0.5μm〜3.0μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の酸化ガリウム粉末。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の酸化ガリウム粉末を原料としてなるスパッタリングターゲット。
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