JP2010215461A - 酸化インジウム粉末 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末との混合粉末を加圧成型し、これを焼結してITO焼結体を製造するのに用いる酸化インジウム粉末に関し、充填性に優れた酸化インジウム粉末を提供せんとする。
【解決手段】レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布において、(D90−D10)/D50が1〜10であることを特徴とする酸化インジウム粉末を提案する。
【選択図】なし
【解決手段】レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布において、(D90−D10)/D50が1〜10であることを特徴とする酸化インジウム粉末を提案する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ITO膜(Indium Tin Oxide膜)を形成する際のスパッタリングターゲット原料として好適に用いることができる酸化インジウム粉末に関する。
ITO膜は、高い導電性と可視光透過性を併せ持つため、太陽電池や液晶表示デバイス、タッチパネル、窓ガラス用結露防止発熱膜など、様々な透明導電膜用途に広く用いられている。
このようなITO薄膜を製造する方法として、スパッタリング、真空蒸着、ゾル・ゲル法、クラスタービーム蒸着、PLDなどの方法が挙げられるが、中でもスパッタリング法は、大面積基板上に低抵抗な膜を比較的低温で作製できるため工業的に広く用いられている。
このようなITO薄膜を製造する方法として、スパッタリング、真空蒸着、ゾル・ゲル法、クラスタービーム蒸着、PLDなどの方法が挙げられるが、中でもスパッタリング法は、大面積基板上に低抵抗な膜を比較的低温で作製できるため工業的に広く用いられている。
このようにスパッタリング法によってITO薄膜を製造する際、スパッタリングターゲットとして用いられるのがITO焼結体である。このITO焼結体は、酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末とを混合し(通常9:1程度)、得られた混合粉末(プレミックス粉体)を加圧成型後、焼結して製造するのが一般的である。
ITO焼結体原料としての酸化インジウム粉末の物性が、ITO焼結体及びITO薄膜の性能に影響するため、従来からこの種の用途に用いる酸化インジウム粉末について様々な提案がなされている。
ITO焼結体原料としての酸化インジウム粉末の物性が、ITO焼結体及びITO薄膜の性能に影響するため、従来からこの種の用途に用いる酸化インジウム粉末について様々な提案がなされている。
例えば特許文献1には、水酸化インジウムを針状結晶とすることにより、水酸化インジウムの状態で凝集を抑制し、さらには、該針状結晶の粒子径を制御することにより、仮焼して得られる酸化インジウム粉末の凝集及び粒子径を制御することを特徴とする酸化インジウム粉末が提案されている。
特許文献2には、酸化スズ粉末と均一に混合処理することができ、ITO焼結体におけるピンホールの発生を抑制できる酸化インジウム粉末として、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定し得られる凝集粒度体積基準分布において、粒度範囲0.2〜4μmにおける最高頻径の頻度が2〜5%であり、粒度範囲4μm以上における最高頻径の頻度が2〜4%である粒度分布を備えた酸化インジウム粉末が提案されている。
特許文献3には、ITO焼結体の反りを抑制することができる酸化インジウム粉末として、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定し得られる凝集粒度体積基準分布において、粒度範囲0.03〜5μmにおける最高頻径の頻度が1〜7%、好ましくは2〜5%であり、粒度範囲5μm以上における最高頻径の頻度が0.3〜2%、好ましくは0.5〜1.5%である粒度分布を備えた酸化インジウム粉末が提案されている。
特許文献4には、焼結密度の低下を抑え、割れやピンホールが生じるのを抑えることができる酸化インジウム粉末として、水銀圧入ポロシメータにより測定される対数微分空隙容積分布において、空隙容積最高度数径が0.2μm〜0.6μmに存在し、且つ空隙容積径1μmの空隙容積度数(B)及び空隙容積径2μmの空隙容積度数(C)のそれぞれに対する前記空隙容積最高度数径の空隙容積度数(A)の比(A/B)及び(A/C)のいずれも1.5〜3.5であることを特徴とする酸化インジウム粉末が提案されている。
特許文献5には、酸化インジウム粉末の飛散を抑えることができ、作業環境濃度を良好に維持し、分散性にも優れた新たな酸化インジウム粉末として、個数平均粒子径0.01μm〜1μmの酸化インジウム一次粒子が凝集してなる酸化インジウム凝集粒子を主成分粒子として含有する酸化インジウム粉末であって、酸化インジウム凝集粒子の個数平均粒子径が30μm〜3000μmであり、好ましく105℃雰囲気下に3時間置いた時の加熱減量が0.03質量%〜2質量%である酸化インジウム粉末が提案されている。
特許文献6には、酸化スズ粉末と混合し焼成してITO焼結体を製造した際、ITO焼結体内部に生じる空孔(空隙を含む)の形成を抑制することができる酸化インジウム粉末として、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布において、0.2μm以上1.0μm未満の粒度範囲、1.0μm以上4.0μm未満の粒度範囲、および4.0μm以上50.0μm未満の粒度範囲のそれぞれにピークが存在する粒度分布を備えた酸化インジウム粉末が提案されている。
前述のようにITO焼結体を製造する場合、酸化インジウム粉末の充填性が低いと、酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末との混合粉末(プレミックス粉体)の圧縮度が低くなるため加圧成型した際によく固まらず、空隙が多くなったりムラが生じたりしてITO焼結体にピンホールが生じてしまう。そこで本発明は、充填性に優れた酸化インジウム粉末を提供せんとするものである。
本発明者は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布において、(D90−D10)/D50が1〜10であることを特徴とする酸化インジウム粉末を提案する。
本発明の酸化インジウム粉末は、(D90−D10)/D50が1〜10であり、粒度分布がシャープであるため、充填性に優れており、酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末との混合粉末(プレミックス粉体)の圧縮度が高く、該混合粉末(プレミックス粉体)を加圧成型した際に固まり易いから、ピンホールの少ないITO焼結体を製造することができる。
以下、実施形態の例に基づいて本発明を説明するが、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る酸化インジウム粉末(「本酸化インジウム粉末」という)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布において、(D90−D10)/D50が1〜10であることを特徴とする酸化インジウム粉末である。
(D90−D10)/D50が1以上であれば、粒度分布がシャープ過ぎることがない、言い換えれば粒度が均一過ぎないため、酸化スズ粉末と混合した際に粒子間に空隙ができて充填性を高めることができる。他方、10以下であれば、粗粉及び微粉の割合が多過ぎることなく粒径が揃っているため、酸化スズ粉末との混合物を加圧成形した際に固まり易く、空隙が多くなったりムラが生じたりすることながいためにITO焼結体にピンホールが生じなくなる。
かかる観点から、(D90−D10)/D50は2〜9であるのがより好ましく、特に3〜8であるのがさらに好ましい。
(D90−D10)/D50が1以上であれば、粒度分布がシャープ過ぎることがない、言い換えれば粒度が均一過ぎないため、酸化スズ粉末と混合した際に粒子間に空隙ができて充填性を高めることができる。他方、10以下であれば、粗粉及び微粉の割合が多過ぎることなく粒径が揃っているため、酸化スズ粉末との混合物を加圧成形した際に固まり易く、空隙が多くなったりムラが生じたりすることながいためにITO焼結体にピンホールが生じなくなる。
かかる観点から、(D90−D10)/D50は2〜9であるのがより好ましく、特に3〜8であるのがさらに好ましい。
本酸化インジウム粉末は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD50が、1μm〜10μmであるのが好ましい。D50が10μm以下であれば、粗粒粉が少ないため、粒子間の空隙が減少して充填性がより一層高まることになる。一方、1μm以上であれば、微粉が多過ぎることがないため作業環境の悪化を抑制できる。
さらに、本酸化インジウム粉末のD50は2μm〜9μmであるのが特に好ましく、中でも2μm〜7μmであるのがより好ましい。
さらに、本酸化インジウム粉末のD50は2μm〜9μmであるのが特に好ましく、中でも2μm〜7μmであるのがより好ましい。
本酸化インジウム粉末のD10は、0.1μm〜1μmであるのが好ましい。D10が1μm以下であれば、粒子間の空隙をうめるような微粉が多くなり、充填性がより一層高まることになる。一方、0.1μm以上であれば、微粉が多過ぎることがないため作業環境の悪化を抑制できる。
さらに、本酸化インジウム粉末のD10は0.2μm〜0.8μmであるのが特に好ましく、中でも0.3μm〜0.6μmであるのがより好ましい。
さらに、本酸化インジウム粉末のD10は0.2μm〜0.8μmであるのが特に好ましく、中でも0.3μm〜0.6μmであるのがより好ましい。
本酸化インジウム粉末のD90は、10μm〜30μmであるのが好ましい。D90が30μm以下であれば、粗粒粉が少なく、粒子間の空隙が減少して充填性がより一層高まることになる。一方、10μm以上であれば製造が容易であるため好ましい。
さらに、本酸化インジウム粉末のD90は12〜28μmであるのが特に好ましく、中でも14〜26μmであるのがより好ましい。
さらに、本酸化インジウム粉末のD90は12〜28μmであるのが特に好ましく、中でも14〜26μmであるのがより好ましい。
(評価方法)
本酸化インジウム粉末の充填性を評価する指標の一つとして、本酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末とを9:1の質量割合で混合した際の圧縮度(={(タップ密度−嵩密度)/(タップ密度)}×100)を挙げることができる。
すなわち、本酸化インジウム粉末の圧縮度は、45〜65%であるのが好ましい。45%以上であれば、十分な圧縮度によって充填性を十分に高めることができる。他方、65%以下であれば、ハンドリングに支障がでない程度の流動性を得ることができる。
かかる観点から、本酸化インジウム粉末の圧縮度は、50〜60%であるのがさらに好ましく、中でも52〜58%であるのが特に好ましい。
本酸化インジウム粉末の充填性を評価する指標の一つとして、本酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末とを9:1の質量割合で混合した際の圧縮度(={(タップ密度−嵩密度)/(タップ密度)}×100)を挙げることができる。
すなわち、本酸化インジウム粉末の圧縮度は、45〜65%であるのが好ましい。45%以上であれば、十分な圧縮度によって充填性を十分に高めることができる。他方、65%以下であれば、ハンドリングに支障がでない程度の流動性を得ることができる。
かかる観点から、本酸化インジウム粉末の圧縮度は、50〜60%であるのがさらに好ましく、中でも52〜58%であるのが特に好ましい。
なお、本発明でいう「嵩密度」とは、自然落下により粉末を一定容器に充填される単位体積当たり質量であり、JIS K 5101に準拠して測定することができる。
また、「タップ密度」とは、自然落下により粉末を一定容器に充填した後、容器にタップによる衝撃を加え、試料の体積変化がなくなったときの単位体積当たり質量であり、JIS K 5101に準拠して測定することができる。
また、「タップ密度」とは、自然落下により粉末を一定容器に充填した後、容器にタップによる衝撃を加え、試料の体積変化がなくなったときの単位体積当たり質量であり、JIS K 5101に準拠して測定することができる。
<酸化インジウム粉末の製造方法>
次に、本実施形態に係る酸化インジウム粉末の製造方法について説明するが、本発明の酸化インジウム粉末の製造方法が次に説明する製造方法に限定されるものではない。
次に、本実施形態に係る酸化インジウム粉末の製造方法について説明するが、本発明の酸化インジウム粉末の製造方法が次に説明する製造方法に限定されるものではない。
本酸化インジウム粉末を製造するには、例えば水酸化インジウムスラリーを洗浄及び乾燥した後、粉砕を行い、次いで600〜800℃にて少なくとも2時間の第1焼成を行い、次に少なくとも第1焼成より高温の雰囲気にて第2焼成を行うようにすればよい。
本酸化インジウム粉末を製造するには、第1焼成に次いで第2焼成することと、第1焼成前に粉砕を行うことが重要である。
第1焼成に次いで第2焼成することにより、第1焼成において水蒸気を十分に抜いた後、第2焼成において粒子を成長させることができるため、粒度分布を適当な範囲に揃えることができる。仮に水蒸気が介在した雰囲気で焼成すると粒子成長にばらつきが生じ、粒度分布が適当な範囲よりばらついてしまう。
また、第1焼成前に粉体を解す(ほぐす)、すなわち水酸化インジウム(前駆体)の段階で粉体を解す(ほぐす)ことにより、第2焼成後の酸化インジウム粉末の充填性を高めることができる。これは、第1及び第2焼成前段階で粉体を解す(ほぐす)ことで、第1及び第2焼成時に発生する水蒸気が滞留することなく系外に放出させることができるため、各粒子に均等に熱が伝わりやすくなり、粒子間の焼結ムラを抑制できるからである。その結果、粒度のばらつきを低減することができ、充填性を高めることができるものと考えることができる。
第1焼成に次いで第2焼成することにより、第1焼成において水蒸気を十分に抜いた後、第2焼成において粒子を成長させることができるため、粒度分布を適当な範囲に揃えることができる。仮に水蒸気が介在した雰囲気で焼成すると粒子成長にばらつきが生じ、粒度分布が適当な範囲よりばらついてしまう。
また、第1焼成前に粉体を解す(ほぐす)、すなわち水酸化インジウム(前駆体)の段階で粉体を解す(ほぐす)ことにより、第2焼成後の酸化インジウム粉末の充填性を高めることができる。これは、第1及び第2焼成前段階で粉体を解す(ほぐす)ことで、第1及び第2焼成時に発生する水蒸気が滞留することなく系外に放出させることができるため、各粒子に均等に熱が伝わりやすくなり、粒子間の焼結ムラを抑制できるからである。その結果、粒度のばらつきを低減することができ、充填性を高めることができるものと考えることができる。
より具体的には、例えば硝酸インジウム溶液、硫酸インジウム溶液などのインジウム塩溶液を、60〜85℃程度に保ちながらpH7.4〜7.6程度となるようにアルカリ水溶液(例えばアンモニア水)を加えて水酸化インジウムスラリーを得る。得られた水酸化インジウムスラリーを固液分離し、得られた固体分(ケーキ)を洗浄及び乾燥し、第1の粉砕を行った後、大気中600〜800℃の雰囲気にて少なくとも2時間の第1焼成を行う。次いで、第2の粉砕を行った後、大気中少なくとも第1焼成より高温の雰囲気にて第2焼成を行い、そして必要に応じて第3の粉砕を行い、本酸化インジウム粉末を得ることができる。
第1焼成前に行う第1の粉砕に用いる粉砕機としては、例えば、ハンマーミル、ピンミルなどの高速回転型の粉砕機、ボールミルやビーズミルなどのメデイアを使用する粉砕機を挙げることができる。中でも、制御因子の数が多いという点で処理制御が容易であるハンマーミルが最も好ましい。
第1の粉砕における粉体を解す(ほぐす)作用の程度、すなわち粉砕強度は、ハンマーミルの場合、ディスクの回転数、粉砕機への供給速度、スクリーンメッシュの目開きサイズ等により、調整することができる。ピンミルの場合も、ディスクの回転数、粉砕機への供給速度等により、調整することができる。
なお、第1の粉砕において、粉体を解す(ほぐす)作用の程度の目安としては、ディスクの直径や、ハンマーやピンの形状や大きさ、本数にもよるが、回転数は1000〜20000rpm、粉砕機への供給速度は1分間に2000g〜6000g程度、ハンマーミルの場合、スクリーンメッシュの目開きサイズは0.1mm〜3mm程度とするのが好ましい。
第1の粉砕における粉体を解す(ほぐす)作用の程度、すなわち粉砕強度は、ハンマーミルの場合、ディスクの回転数、粉砕機への供給速度、スクリーンメッシュの目開きサイズ等により、調整することができる。ピンミルの場合も、ディスクの回転数、粉砕機への供給速度等により、調整することができる。
なお、第1の粉砕において、粉体を解す(ほぐす)作用の程度の目安としては、ディスクの直径や、ハンマーやピンの形状や大きさ、本数にもよるが、回転数は1000〜20000rpm、粉砕機への供給速度は1分間に2000g〜6000g程度、ハンマーミルの場合、スクリーンメッシュの目開きサイズは0.1mm〜3mm程度とするのが好ましい。
第1焼成は、前述のように大気中600〜800℃の雰囲気にて少なくとも2時間の焼成を行うことが好ましい。大気中600〜800℃の雰囲気にて少なくとも2時間の焼成を行うことにより、水蒸気を十分に抜くことができ、粒度分布を適当な範囲に揃えることができる。
なお、第1焼成の焼成温度は650〜800℃であるのがより好ましく、特に700〜800℃であるのがさらに好ましい。
また、第1焼成の焼成時間は2時間〜6時間であるのがより好ましく、特に2時間〜4時間であるのがさらに好ましい。
なお、第1焼成の焼成温度は650〜800℃であるのがより好ましく、特に700〜800℃であるのがさらに好ましい。
また、第1焼成の焼成時間は2時間〜6時間であるのがより好ましく、特に2時間〜4時間であるのがさらに好ましい。
第2焼成は、少なくとも第1焼成より高温の雰囲気にて焼成を行うことが好ましい。少なくとも第1焼成より高温の雰囲気にて焼成を行うことにより、粒子を十分に成長させることができる。
なお、第2焼成の焼成温度は大気中900℃〜1300℃であるのがより好ましく、特に900〜1250℃、中でも900〜1200℃であるのがさらに好ましい。
なお、第2焼成の焼成温度は大気中900℃〜1300℃であるのがより好ましく、特に900〜1250℃、中でも900〜1200℃であるのがさらに好ましい。
<用途>
本発明の酸化インジウム粉末は、酸化スズ粉末と混合し、この混合粉末(プレミックス粉体)を加圧成型後焼結させることにより、ITO膜(Indium Tin Oxide膜)を形成する際のスパッタリングターゲットとしてのITO焼結体を製造することができる。
本発明の酸化インジウム粉末は、酸化スズ粉末と混合し、この混合粉末(プレミックス粉体)を加圧成型後焼結させることにより、ITO膜(Indium Tin Oxide膜)を形成する際のスパッタリングターゲットとしてのITO焼結体を製造することができる。
(語句の説明)
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「好ましくYより小さい」の意を包含する。
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「好ましくYより小さい」の意を包含する。
以下、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
純水中にインジウムショットを投入し、適量の硝酸を添加し、オイルバス内で130℃にて15時間溶解させた。溶解完了後、純水にて稀釈してインジウムイオン濃度3.43mol/Lの硝酸インジウム溶液とした。この硝酸インジウム溶液の温度を75℃に管理すると共に、攪拌しながら28%アンモニア水を55分間かけて添加してpH7.5に調整して水酸化インジウムを析出させスラリーを得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにて固液分離して固体分(ケーキ)を回収し、これを純温水にて十分洗浄した後、140℃の雰囲気にて22時間乾燥させた。
乾燥後、スクリーンメッシュ目開き0.2mmφのハンマーミル(粉体供給速度3000g/min、回転数10000rpm)を用いて第1の粉砕を行った。
粉砕して得られた粉末を、SiC焼成容器(内容量300mm×300mm×200mm)に高さ(;鉱層厚み)150mmとなるように入れて、大気雰囲気下において初温40℃から昇温速度5.0℃/minで750℃まで昇温し、750℃を150分間保持するようにして第1焼成を実施した。
純水中にインジウムショットを投入し、適量の硝酸を添加し、オイルバス内で130℃にて15時間溶解させた。溶解完了後、純水にて稀釈してインジウムイオン濃度3.43mol/Lの硝酸インジウム溶液とした。この硝酸インジウム溶液の温度を75℃に管理すると共に、攪拌しながら28%アンモニア水を55分間かけて添加してpH7.5に調整して水酸化インジウムを析出させスラリーを得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにて固液分離して固体分(ケーキ)を回収し、これを純温水にて十分洗浄した後、140℃の雰囲気にて22時間乾燥させた。
乾燥後、スクリーンメッシュ目開き0.2mmφのハンマーミル(粉体供給速度3000g/min、回転数10000rpm)を用いて第1の粉砕を行った。
粉砕して得られた粉末を、SiC焼成容器(内容量300mm×300mm×200mm)に高さ(;鉱層厚み)150mmとなるように入れて、大気雰囲気下において初温40℃から昇温速度5.0℃/minで750℃まで昇温し、750℃を150分間保持するようにして第1焼成を実施した。
得られた粉末をSiC焼成容器に入れたまま40℃まで冷却した後、スクリーンメッシュ目開き1mmφのハンマーミル(粉体供給速度7400g/min、回転数5800rpm)を用いて第2の粉砕を行った。
粉砕して得られた粉末を、SiC焼成容器(内容量300mm×300mm×200mm)に粉末を高さ(;鉱層厚み)150mmとなるように入れ、大気雰囲気下において、初温40℃から昇温速度4.5℃/minで1070℃まで昇温した後、1070℃を180分間保持するようにして第2焼成を実施し、得られた粉末をSiC焼成容器に入れたまま品温40℃まで冷却し、さらにスクリーンメッシュ目開き1mmφのハンマーミル(粉体供給速度7400g/min、回転数5800rpm)を用いて第3の粉砕を行い、酸化インジウム粉末を得た。
粉砕して得られた粉末を、SiC焼成容器(内容量300mm×300mm×200mm)に粉末を高さ(;鉱層厚み)150mmとなるように入れ、大気雰囲気下において、初温40℃から昇温速度4.5℃/minで1070℃まで昇温した後、1070℃を180分間保持するようにして第2焼成を実施し、得られた粉末をSiC焼成容器に入れたまま品温40℃まで冷却し、さらにスクリーンメッシュ目開き1mmφのハンマーミル(粉体供給速度7400g/min、回転数5800rpm)を用いて第3の粉砕を行い、酸化インジウム粉末を得た。
(実施例2−5)
第1焼成前に行う粉砕の条件を、表1に示した条件に変更した以外、実施例1と同様にして酸化インジウム粉末を得た。
第1焼成前に行う粉砕の条件を、表1に示した条件に変更した以外、実施例1と同様にして酸化インジウム粉末を得た。
<レーザー回折粒度分布測定機を用いた凝集粒度体積基準分布測定>
粉末を少量ビーカーにとり、0.02%ヘキサメタリン酸ソーダ溶液(50mL)を添加し、超音波分散を2分間実施して分散スラリーを作製し(装置:(株)日本精機製作所製ホモジナイザ、TIPφ20、OUTPUT:8、TUNING:5)、得られたスラリーの一部をレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300)を用いて粒度を測定した。
この測定で得られた凝集粒度体積基準分布図(チャート)から、D50、D10及びD90を求めた。
粉末を少量ビーカーにとり、0.02%ヘキサメタリン酸ソーダ溶液(50mL)を添加し、超音波分散を2分間実施して分散スラリーを作製し(装置:(株)日本精機製作所製ホモジナイザ、TIPφ20、OUTPUT:8、TUNING:5)、得られたスラリーの一部をレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300)を用いて粒度を測定した。
この測定で得られた凝集粒度体積基準分布図(チャート)から、D50、D10及びD90を求めた。
<嵩密度(AD)>
酸化インジウム粉末(サンプル)と、酸化スズ粉末(D10:0.5μm、D50:3.3μm、D90:13.1μm)とを9:1の質量割合で混合して得られた混合粉の嵩密度を次のように測定した。
嵩密度は、JIS K 5101に準拠して、蔵持科学器械製作所製カサ比重測定器を使用して測定した。その際、いずれの粉末も粉砕してから3時間以内に測定を開始した。
酸化インジウム粉末(サンプル)と、酸化スズ粉末(D10:0.5μm、D50:3.3μm、D90:13.1μm)とを9:1の質量割合で混合して得られた混合粉の嵩密度を次のように測定した。
嵩密度は、JIS K 5101に準拠して、蔵持科学器械製作所製カサ比重測定器を使用して測定した。その際、いずれの粉末も粉砕してから3時間以内に測定を開始した。
<タップ密度 (TD)>
酸化インジウム粉末(サンプル)と、酸化スズ粉末(D10:0.5μm、D50:3.3μm、D90:13.1μm)とを9:1の質量割合で混合して得られた混合粉のタップ密度を次のように測定した。
タップ密度は、JIS K 5101に準拠して、試料200gを用いてパウダーテスターPT−E型(ホソカワミクロン製)により測定した。
酸化インジウム粉末(サンプル)と、酸化スズ粉末(D10:0.5μm、D50:3.3μm、D90:13.1μm)とを9:1の質量割合で混合して得られた混合粉のタップ密度を次のように測定した。
タップ密度は、JIS K 5101に準拠して、試料200gを用いてパウダーテスターPT−E型(ホソカワミクロン製)により測定した。
<圧縮度>
上記のようにして測定された混合粉の嵩密度(AD)及びタップ密度(TD)に基づき、次式により圧縮度(%)を算出した。
圧縮度={(タップ密度−嵩密度)/(タップ密度)}×100
上記のようにして測定された混合粉の嵩密度(AD)及びタップ密度(TD)に基づき、次式により圧縮度(%)を算出した。
圧縮度={(タップ密度−嵩密度)/(タップ密度)}×100
(考察)
表2の結果より、酸化インジウム粉末の(D90−D10)/D50の値が1〜10の範囲内であれば、酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末との混合粉末(プレミックス粉体)の圧縮度が50%を超える高い値となり、加圧成型した際に固まり易いことが分かった。よって、ピンホールの少ないITO焼結体を製造することができる。
表2の結果より、酸化インジウム粉末の(D90−D10)/D50の値が1〜10の範囲内であれば、酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末との混合粉末(プレミックス粉体)の圧縮度が50%を超える高い値となり、加圧成型した際に固まり易いことが分かった。よって、ピンホールの少ないITO焼結体を製造することができる。
Claims (5)
- レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布において、(D90−D10)/D50が1〜10であることを特徴とする酸化インジウム粉末。
- レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる凝集粒度体積基準分布において、D50が1μm〜10μmであることを特徴とする請求項1記載の酸化インジウム粉末。
- 請求項1又は2に記載の酸化インジウム粉末と、酸化スズ粉末とを混合して得られる、ITO焼結体の前駆体としてのプレミックス粉体。
- 請求項1又は2に記載の酸化インジウム粉末と、酸化スズ粉末とを混合し、焼成して得られるITO焼結体。
- 水酸化インジウムスラリーを洗浄及び乾燥した後、粉砕を行い、次いで600〜800℃にて少なくとも2時間の第1焼成を行い、次に少なくとも第1焼成より高温の雰囲気にて第2焼成を行う工程を備えた酸化インジウム粉末の製造方法。
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DE112010003694T5 (de) | 2009-09-17 | 2012-12-06 | Sumco Corporation | Verfahren und Vorrichtung zur Herstellung eines Epitaxialwafers |
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2009
- 2009-03-17 JP JP2009065231A patent/JP2010215461A/ja active Pending
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