JP5636263B2 - 凝集剤注入制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、浄水処理施設の監視制御システムに関し、とくに凝集剤の注入量を制御する凝集剤注入制御システムに関する。
浄水場では、取水した原水に凝集剤を注入することで、原水中の濁質分を凝集させてフロックを形成し、生成したフロックを沈殿池で沈降分離する凝集沈殿処理が実施されている。フロックを沈降分離した沈殿処理水は、次の浄水施設であるろ過池に導入されてろ過される。
この凝集沈殿処理では、原水水質に応じて決定される凝集剤注入率が重要である。河川や湖沼などの表流水を原水とする場合、原水水質は気象条件や季節などが要因となり変動するため、設定された濁度以下の上水を得るには、適正な凝集剤注入率または凝集剤注入量を決定できる凝集剤注入制御方法が必要である。
凝集剤注入制御方法には、原水水質の濁度、アルカリ度、pHなどの計測結果から、予め設定した凝集剤注入モデル式に従い凝集剤注入率を演算し、この凝集剤注入率に基づいて凝集剤を注入するフィードフォワード制御がある。しかし、フィードフォワード制御は、原水水質が変動して過去に作成された凝集剤注入モデル式との整合が取れなくなった場合には、凝集剤注入量が不適正となり、凝集不良を引き起こす。この結果、沈殿池出口での濁度が高くなり、濁度が高い沈殿処理水がろ過池に導入されるため、ろ過池の逆洗頻度が増加するという課題がある。
フィードフォワード制御に対して、沈殿池出口での濁度の計測結果に基づいて、凝集剤注入量を補正するフィードバック制御がある。フィードバック制御によれば、原水水質が変動しても、その影響が沈殿池出口での濁度の変化として計測されるならば、フィードバックが働くため凝集剤注入量を修正できる。しかし、原水へ凝集剤を注入した結果が、沈殿池出口の濁度として判明するまでに約3〜4時間を要し、凝集剤注入量の補正に時間遅れが生じる。この時間遅れのために、原水水質が急激に変動した場合は対応が困難である。
フィードフォワード制御とフィードバック制御にはそれぞれ欠点があるため、各制御方式を組み合わせて、まず、原水水質から基本凝集剤注入率を演算し、その演算値を沈殿池出口での濁度を用いて補正するフィードフォワード・フィードバック制御がある。フィードフォワード・フィードバック制御は、フォードフォワード制御と比較して、凝集剤注入モデル式の整合性が取れない場合でもフィードバックが働くため、凝集剤注入量を適正に維持できる。しかし、フィードバック制御の課題である時間遅れは解決されていないため、原水水質が急激に変動する非定常時への対応は、未だ困難である。
フィードバック補正の時間遅れを短縮するために、以下のような技術が提案されている。
たとえば特許文献1には、自動で原水を複数の攪拌槽に供給して凝集剤を注入し、得られたフロック粒径および溶解性有機物量の指標となる紫外線吸光度のデータより、自動的に凝集剤注入量を制御する装置および方法が開示されている。
特許文献2には、混和池から採取した試料を凝集監視装置に導入し、処理液の濁度または色度を計測し、計測値を演算して凝集剤注入ポンプを制御する凝集剤注入制御方法が開示されている。
特許文献3には、流動電流計により流動電流値を計測し、これを原水のアルカリ度、電気伝導率などにより補正し、補正された流動電流値を用いて、凝集剤注入設備を制御する凝集剤注入制御装置が開示されている。
特許文献4には、アルミニウム系凝集剤を被処理水に添加して、懸濁固形物を凝集させ、沈殿処理する水処理設備における凝集剤注入制御システムで、凝集剤が添加された被処理水の溶存アルミニウムイオン濃度を溶存アルミニウムイオン濃度測定装置で測定し、この測定結果から凝集剤の注入率を凝集剤注入率演算装置で演算し、この凝集剤注入率演算結果に基づいて凝集剤注入装置により被処理水へ凝集剤を注入する技術が開示されている。
特許第3205450号公報 特開平5−146608号公報 特開2004−223357号公報 特開2008−161809号公報
特許文献1に記載の技術では、濁度と濁質の偏存度および大きさを凝集剤注入量の制御に用いている。濁度と濁質の偏存度および大きさは、凝集剤が注入された原水(以下、「凝集剤注入水」と称する)についてのデータであり、沈殿池出口までに沈降分離する濁質の影響も受けている。そのため、沈殿池出口でのデータを用いる場合と比較して、凝集剤注入量の補正精度は低くなるという欠点がある。
特許文献2に記載の技術では、凝集剤注入水を凝集監視装置に導入し、フロックを成長させ、ろ過し、濁度または色度を計測する。そのため、前述した沈殿池出口での濁度を用いるよりは迅速なフィードバック補正が可能なものの、凝集監視装置では実機プラントと同様の操作が必要となるので、依然として補正に時間遅れが生じる。また、これら一連の操作を実行する凝集監視装置は実機プラントと規模および構成が異なるため、凝集剤注入量の補正精度は低くなるという欠点がある。
特許文献3に記載の技術では、凝集剤注入水を流動電流計に導入し、流動電流を計測する。このとき、原水が高濁度の場合、流動電流の計測が困難となるため、高濁度時は凝集剤注入量の補正精度は低くなるという欠点がある。
特許文献4に記載の技術では、凝集剤注入水をオンライン型のイオンクロマトグラフィーに導入し、溶存アルミニウム濃度(凝集剤注入水中に含まれるアルミニウムイオンの濃度)を計測する。溶存アルミニウム濃度は水温とpHで、概ね決定されるため凝集良否を判断する指標として使用するのは困難である。
本発明の目的は、上記の課題に対処し、フィードバック補正の時間遅れのさらなる短縮が可能で、原水が高濁時の場合にも適用可能であり、適正な凝集剤注入量を演算できる凝集剤注入制御システムを提供することにある。
本発明者らは上述した目的の達成に向けて、以下のような特徴を備える凝集剤注入制御システムの発明に至った。
本発明では、原水に凝集剤を注入してフロックを形成するフロック形成池と、フロックを分離除去する沈殿池およびろ過池を備える浄水場の凝集剤注入制御システムにおいて、原水の少なくとも濁度を計測する原水センサと、原水に凝集剤を注入した凝集剤注入水を採水するサンプリング部と、採水した凝集剤注入水に含まれるアルミニウムの濃度を計測するアルミニウム計測装置と、原水センサの濁度の計測値を用いて、基本凝集剤注入率を演算する注入率演算機能と、アルミニウム濃度の計測値とその目標値から凝集剤注入率の補正値を演算する第一補正値演算機能と、演算された基本凝集剤注入率と第一補正値の和として、凝集剤注入率を決定する注入率補正機能と備える。
また、採水した凝集剤注入水に含まれるアルミニウムを計測するにあたり、凝集剤注入水に含まれる所定粒経のフロックを使用する。
また、所定粒経のフロックとして50μm以下であって、所定範囲の粒径のフロックを分離して使用する。
また、沈殿処理水の少なくとも濁度を含む水質を計測する沈殿処理水センサと、この計測値と沈殿処理水濁度の目標値を用いて凝集剤注入率の第二補正値を演算する第二補正値演算機能とを備え、注入率補正機能は、基本凝集剤注入率と第一補正値および第二補正値の和として凝集剤注入率を決定する。
また、ろ過池のろ過水の水質計測手段と、水質計測手段の計測値とろ過水の目標値を用いて凝集剤注入率の第三補正値を演算する第三補正値演算機能とを備え、注入率補正機能は、演算された基本凝集剤注入率、第一補正値、第二補正値および第三補正値の和として凝集剤注入率を決定する。
また、原水センサで計測する水質項目として濁度のほかに、アルカリ度、水温、pH、紫外線吸光度の内一つもしくは複数を入力し、入力値を第一補正値の算出に反映させる。
また、原水を取水する取水口において濁度を検知する取水口センサを備え、基本凝集剤注入率の算出に取水口センサの出力を反映させる。
また、取水地点の計測値および単位時間当たりの変化量を用いて、凝集剤の基本凝集剤注入率を演算する。
また、原水センサの計測値および単位時間当たりの変化量を用いて、凝集剤注入率の補正値を加算するときの重み係数を演算する補正値重み演算機能を備える。
また、凝集剤注入率の第1の補正値と第2の補正値に与える重み係数は、一方の重み係数を大きくするときに、他方の重み係数を小さくする関係とする。
また、原水センサの計測する濁度の時間変化率が大きいときには第1の補正値が、また原水センサの計測する濁度の時間変化率が小さいときには第2の補正値が、注入率補正機能の出力に大きく影響する関係とする。
また、凝集剤注入率の第一補正値は、原水センサにより計測した濁度と沈殿処理水濁度の目標値から演算したアルミニウム残留率目標値と、アルミニウム濃度計測値を凝集剤注入率(アルミニウム濃度換算)で除して求めたアルミニウム残留率に基づき、アルミニウム残留率がアルミニウム残留率目標値に漸近するように定める。
本発明によれば、凝集剤注入水を、従来の沈殿池出口よりも早い段階で採水するので、凝集剤注入率の補正の時間遅れが短縮可能である。
実施例におけるその他の効果としては、凝集剤(ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド)の主成分はアルミニウムであり、分級処理水のアルミニウム濃度を計測することで、凝集剤の過不足を直接判断することが可能となる。
また実施例におけるその他の効果としては、沈殿処理水濁度による補正もすることで、制御のロバスト性が向上する。
本発明の実施例1による凝集剤注入制御システムの構成図。 実施例1における金属製の回転フィルタを用いたフロック分級装置の構成図。 実施例1におけるアルミニウム計測装置の構成図。 実施例1における管理手段の構成図。 沈殿処理水濁度とアルミニウム残留率の関係を説明する図。 実施例1における第一補正値演算機能の処理フローを説明する図。 実施例1における注入率補正機能の処理フローを説明する図。 実施例2における第二補正値演算機能の処理フローを説明する図。 実施例7における凝集剤注入制御システムの構成図。 変化率と補正値の重みwの関係を説明する図。 原水濁度の時間変化例を説明する図。 原水濁度変化率の時間経過例を説明する図。 実施例9における凝集剤注入制御システムの構成図。
以下、本発明による凝集剤注入制御システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明による凝集剤注入制御システムの一実施形態を示す図である。
まず、本凝集剤注入制御システム10の制御対象である浄水処理施設100は、着水井110、混和池120、フロック形成池130、沈殿池140、ろ過池150、浄水池160、および薬品注入設備170から構成される。浄水処理施設100では、河川、地下水などの水源から取水した原水W1を浄水処理し、最終的に得られたろ過水を浄水池160から上水として送水する。そのために、原水W1は、まず、着水井110に導入され、その後、混和池120、フロック形成池130、沈殿池140、ろ過池150、浄水池160の順に導入されて、処理される。
これに対し、実施例1での凝集剤注入制御システム10は、図1に示すように、浄水処理施設100内に原水センサ210、アルミニウム計測装置220、沈殿処理水センサ230、およびフロック分級装置300の各種計測装置を設置し、これらから得られた諸量を、以下の制御に使用する。
実施例1での凝集剤注入制御システム10は、浄水処理施設制御手段400、ネットワーク500、管理手段600から構成され、先に述べた各種計測諸量に基づいて浄水処理施設100内に設置された薬品注入設備170で注入する凝集剤の注入量(以下、「凝集剤注入量」と称する)を決定する。
なお、凝集剤注入制御システム10のうち、原水センサ210、アルミニウム計測装置220、フロック分級装置300は、浄水処理施設100内に設けられる。浄水処理施設制御手段400、ネットワーク500、管理手段600は、浄水処理施設100内に設けても、浄水処理施設100外に設けてもよい。本実施例では、浄水処理施設100外に設けている。浄水処理施設制御手段400と管理手段600はネットワーク500を介して接続され、浄水処理施設100と浄水処理施設制御手段400は図示しない通信回線を介して接続され、それぞれデータを送受信する。
以下、原水W1の処理過程を説明する。まず、原水W1は、粒径の大きな砂などが沈降除去された後、着水井110に導入され、水量と水質が原水W1センサ210により計測される。
混和池120では、原水W1に薬品注入設備170から凝集剤が注入され、急速攪拌される。急速攪拌により、原水W1中の濁質分は凝集してフロックになる。その後、凝集剤が注入された原水W1、すなわち凝集剤注入水W2は、フロック形成池130に導入される。なお、薬品注入設備170は、浄水処理施設制御手段400により制御され、原水W1に凝集剤を注入し、凝集剤の注入量などのプロセスデータを計測する。
フロック形成池130では、凝集剤注入水W2が緩速攪拌され、フロックの成長が促進される。緩速攪拌された凝集剤注入水W2は、沈殿池140に導入される。
沈殿池140では、緩速攪拌後の凝集剤注入水W2のフロックが沈降分離される。沈殿処理水W3は、ろ過池150に導入される。
ろ過池150では、沈殿処理水W3がろ過され、沈殿池140では沈降分離されなかった微細なフロックが除去される。ろ過処理された沈殿処理水W3、すなわちろ過水W4は、浄水池160に導入される。ろ過水W4は、浄水池160から上水W5として需要家に供給される。
なお、本発明においては混和池120にて、凝集剤注入水W2の一部がポンプなどの送水手段(図示せず)を介して採水され、フロック分級装置300に導入される。この凝集剤注入水W2の採水場所は、原水W1に凝集剤を注入する混和池120から、沈殿池140の出口までの間ならどこでもよいが、望ましくは、混和池120からフロック形成池130の間で採水するのがよい。
フロック分級装置300では、凝集剤注入水W2に含有するフロックが分級され、排水W6と分級処理水W7が得られる。フロック分級装置300の役割は、沈殿処理水W3の濁度に影響する沈降性の悪い小さなフロックの含有比率状態を早期に把握するためである。
一般にフロックの粒径は1〜100μmとさまざまであるが、沈降性の悪いフロックとは、粒径が50μm以下、とくに15μm以下の小さなフロックである。そのため、フロック分級装置300による分級は、50μm以下、望ましくは5〜15μmの範囲から決定したある粒径以下の小さなフロックを分離する。ここで、フロック分級装置300としてはたとえば、金属製もしくはセラミック製のフィルタ(フィルタ目開き:5〜15μm)が用いられるが、凝集剤注入水W2に含有するフロックを分級する場合、前記のフィルタのほかにも、液体サイクロン、沈降分離装置、浮上分離装置などでもよく、凝集剤注入水W2中のフロックの分級手段はとくに限定されるものではない。
本実施形態の一例として、図2は、金属製の回転フィルタを用いたフロック分級装置300の構成を示す。フロック分級装置300は、ろ過槽310、回転フィルタ320、回転フィルタを駆動するためのモータ330、および分級処理水を得るためのポンプ340から構成される。
ろ過槽310内では、凝集剤注入水W2が回転フィルタ320により分級処理される。このとき、回転フィルタ320のフィルタ目開きは上述したように5〜15μmが望ましい。分級を実施した場合、分級処理水W7は凝集剤注入水W2と比較して、小さなフロックの含有比率が高くなり、排水W6は小さなフロックの含有比率が低くなる。ここで、排水W6は通常の排水設備で排水しても、フロック形成池130に返送してもよい。得られた分級処理水W7は、アルミニウム計測装置220に導入される。
アルミニウム計測装置220では、分級処理水W7のアルミニウム濃度が計測される。分級処理水W7のアルミニウム濃度の計測方法としては、原子吸光光度法、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法および吸光光度法があるが、安価かつ連続的にアルミニウム濃度を計測する手段としては、吸光光度法が望ましい。
吸光光度法としてエリオクロムシアニンレッド(C2315NaS、以下、ECRと称する)を呈色試薬として用いる方法がある。これは溶解性アルミニウムがpH4.6〜5.6の領域において、ECR試薬と呈色反応を起こし錯体を生成して、その吸光度を求めて定量するものである。このとき、アルミニウム濃度の定量範囲は0〜0.5mg/Lが望ましく、この範囲で、吸光度とアルミニウム濃度に直線関係が得られるように、ECR試薬の添加量などを調整する。
ECR試薬を用いる吸光光度法の場合、排水W8はpH5程度の弱酸性の液であるため、中和もしくは希釈して通常の排水設備で排水する。また、分級処理水W7中のフロックに含まれるアルミニウムは不溶性であるため、予め酸を注入して分級処理水W7のpHを3〜4とし、不溶性のアルミニウムを溶解する。
本実施形態の一例として、図3は、アルミニウム計測装置220の構成を示す図である。アルミニウム計測装置220は、ポンプ221、試薬タンク222、攪拌槽223、吸光度測定装置224、廃液タンク225、電磁弁226から構成される。
図3では、ポンプ221は分級処理水および試薬を一定流量で連続的に供給し、第一攪拌槽223aと第二攪拌槽223bで攪拌・混合する。具体的には、試料水(分級処理水)W7と、タンク222a内のECR試薬溶液を、それぞれ試料水ポンプ221a、ECR溶液ポンプ21bを介して第1攪拌槽223aに送り、混合攪拌する。その混合液aは、次に緩衝液ポンプ221cから送られてくる緩衝液タンク222b内の緩衝液と第2攪拌槽223bにおいて、混合攪拌される。
その後、混合液bは、電磁弁226を介して吸光度測定装置224に送られてアルミニウム濃度が測定される。なお、電磁弁226には純水ポンプ221dから純水タンク222c内の純水が送られており、混合液と純水を、吸光度測定装置224に切り替えて供給する。
図3装置において、タンク222aから供給されるECR溶液は分級処理水W7の溶解性アルミニウムと錯体を形成する他にも、不溶性のアルミニウムを溶解させる役割を果たす。タンク222bから供給される緩衝液は、溶解性アルミニウムがECR試薬と呈色反応し、錯体を生成するpH範囲である4.6〜5.6にする役割を有する。また緩衝液は所定pHの範囲にすることが重要であるが、環境への対応からPRTR対象物質の対象外であることが望ましく、たとえば、酢酸緩衝液などを用いるとよい。
上記のようにしてアルミニウムを溶解させ、所定pH範囲に調整された混合液bは、吸光度測定装置224に供給され、吸光度が計測される。
計測された吸光度は、予め基礎実験により定めた吸光度とアルミニウム濃度の関係より、アルミニウム濃度に換算される。この換算は図示しないパーソナルコンピュータなどの計算機で実施してもよいし、後述する図4の管理手段600のメモリ650内にアルミニウム濃度換算機能652として記憶して、それを利用してもよく、とくに限定されない。本実施形態では、メモリ650内に記憶されたアルミニウム濃度換算機能652を使用する。
なお、フロック分級装置300およびアルミニウム計測装置220の運転条件は一度決定した場合、変更しないことが望ましい。
図1の凝集剤注入制御システム10は、以上のようにして原水センサ210、アルミニウム計測装置220、および沈殿処理水センサ230から、水質データを入手する。また、原水センサ210と薬品注入設備170から、水量や凝集剤注入量などのプロセスデータを入手する。これらの水質データおよびプロセスデータD1は、通信回線を介して浄水処理施設制御手段400に送信される。
本発明では、水質データとして、原水センサ210により濁度、アルカリ度が計測され、アルミニウム計測装置220によりアルミニウム濃度が計測され、沈殿処理水センサ230により沈殿処理水濁度が計測される。
浄水処理施設制御手段400は、薬品注入設備170、フロック分級装置300およびアルミニウム計測装置220を制御するなど、浄水処理施設100の各プロセスの制御を実行する。また、浄水処理施設制御手段400は、管理手段600との間で、ネットワーク500を介して、計測した水質データ、プロセスデータD1をおよび後述する制御データD2を相互に送受信する。
管理手段600は、たとえばパーソナルコンピュータなどの計算機、およびこの計算機で実行されるソフトウェアからなる。管理手段600は、浄水処理施設制御手段400からネットワーク500を介して水質データとプロセスデータD1を受信し、受信した水質データとプロセスデータを用いて凝集剤注入量を演算する。この凝集剤注入量は、制御データD2として、浄水処理施設制御手段400にネットワーク500を介して送信される。
ここで、図4を用いて、管理手段100について詳しく説明する。図4は本実施形態における管理手段600の構成図である。管理手段600は、CPU610、ネットワークインターフェース(以下、「IF」と称する)620,およびメモリ650を備えている。
CPU610は、このプログラムを実行して、上述の各機能を動作させる。
IF620は、ネットワーク500とのインターフェースであり、ネットワーク500に接続された浄水処理施設制御手段400と情報を通信する働きをする。
メモリ650には、管理手段600にデータ収集機能651、アルミニウム濃度換算機能652、注入率演算機能653、第一補正値演算機能654、第二補正値演算機能656、および注入率補正機能655を持たせるためのプログラムが記憶されている。また、メモリ650には、水質データおよびプロセスデータD1が一時的に保存される。
データ収集機能651は、上述したように、浄水処理施設制御手段400を介して、プロセスデータや水質データD1を収集し、プロセスデータおよび水質データD1は、メモリ650内に一時的に保存される。
アルミニウム濃度換算機能652は、吸光度から残留アルミニウム濃度CAlを演算する。残留アルミニウム濃度CAlは、メモリ650内に一時的に保存される。
注入率演算機能653においては、原水センサ210により計測された水質データ(原水W1の濁度Tuとアルカリ度AL)を用いて、(1)式に従い、基本凝集剤注入率Fを演算する。
[数1]
=a・Tu a2+a・AL a4 ・・・(1)
ここで、a、a、a、aは係数であり、予め基礎試験で定めて、メモリ650内に記憶されている。たとえば、a=5.5、a=0.4、a=−0.55、a=0.04のとき、原水W1濁度Tuが100度、アルカリ度ALが35mg/Lであれば、基本凝集剤注入率Fは、次の(2)式で与えられる。
[数2]
=5.5・Tu 0.4+(−0.55)・AL 0.04=34mg/L ・・・(2)
なお、基本凝集剤注入率Fは、原水W1の水質、水量、および浄水場の仕様により異なるが、少なくとも5〜100mg/Lの範囲であることが望ましい。
また、基本凝集剤注入率Fを演算する式は、(1)式に限定されるものではない。原水センサ210で他の水質データ、たとえば、水温T、pH、または紫外線吸光度E260を計測し、それらを考慮した式に従って、基本凝集剤注入率Fを演算してもよい。
このようにして演算された基本凝集剤注入率Fは、メモリ650内に一時的に保存される。
図5は、沈殿処理水W3の濁度(横軸)とアルミニウム残留率(縦軸)の関係を示す図である。ここで、アルミニウム残留率とは、アルミニウム濃度を凝集剤注入率(注入PAC中のアルミニウム濃度)で除算した割合である。図によれば、沈殿処理水W3の濁度の増加(横軸)に伴い、アルミニウム残留率も増加する傾向にある。また、その増加割合は、原水W1の濁度Tuが小さいほど大きい。この関係から、たとえば、(3)式に従い、原水W1濁度Tuと予めメモリ650内に記憶した沈殿処理水W3の濁度の目標値DVTuから、アルミニウム残留率の目標値DVAlを演算する。
[数3]
DVAl=b・Tu b2・DVTu b3 ・・・(3)
ここで、b、b、bは係数であり、予め基礎試験で定めて、メモリ650内に記憶されている。また、アルミニウム残留率の目標値DVAlは、メモリ650内に一時的に保存される。
以上の(3)式から演算したアルミニウム残留率の目標値DVAlと、実際に計測した残留アルミニウム濃度から演算したアルミニウム残留率RAlとの偏差から第一補正値Qを演算する。ここで、アルミニウム残留率RAlを演算するときの凝集剤注入率Fは、採水場所から採水後、残留アルミニウム濃度として計測されるまでの時間遅れτを考慮して、現在の時刻tから時間遅れτ前の凝集剤注入率F(t−τ)を使用する。
時間遅れτは、予め基礎試験で定めて、メモリ650内に記憶される。
図6に、実施例1における第一補正値演算機能654の処理フローを示す。
第一補正値演算機能654は、予めメモリ650内に記憶されたフィードバックの制御周期Δt毎に機能し、第一補正値Qを演算する。
ステップS11で、原水W1濁度Tu、および沈殿処理水濁度の目標値DVTuを取得する。ここで、原水W1濁度Tuは、原水センサ210により計測された水質データであり、沈殿処理水濁度の目標値DVTuは、予めメモリ650内に記憶された目標値である。
ステップS12で、図4のアルミニウム濃度換算機能652から残留アルミニウム濃度CAlを取得する。なお、残留アルミニウム濃度CAlは、アルミニウム計測装置220による計測値である。
ステップS13で、現在の時刻tより時間遅れτ前の凝集剤注入率F(t−τ)を取得する。なお、ここでτは、採水場所から採水後、残留アルミニウム濃度として計測されるまでの時間遅れである。
ステップS14で、(4)式に従い、アルミニウム残留率RAlを演算する。
[数4]
Al=CAl/F(t−τ)×100 ・・・(4)
ステップS15で、(3)式に従い、アルミニウム残留率の目標値DVAlを演算する。
ステップS16で、(5)式に従い、アルミニウム残留率RAlの偏差ΔRAlを演算する。
[数5]
ΔRAl(t)=RAl−DVAl ・・・(5)
ステップS17で、(6)式に従い、第一補正値Qを演算する。
[数6]
=c・ΔRAl(t)+c・∫ ΔRAl(s)ds ・・・(6)
ここで、c、cは係数であり、第一補正値Qが振動せずかつ速やかに適正値まで到達できるように予め調整して、メモリ650内に記憶される。このようにして算出された第一補正値Qは、メモリ650内に一時的に保存される。
図7に、実施例1における注入率補正機能655(図4)の処理フローを示す。
ステップS21で、注入率演算機能653から基本凝集剤注入率Fを取得する。基本凝集剤注入率Fは、(1)式により求め注入率演算機能653に記憶されているものである。
ステップS22で、第一補正値演算機能654から第一補正値Qを取得する。第一補正値Qは、(6)式により求め第一補正値演算機能654に記憶されているものである。
ステップS23で、(7)式に従い、凝集剤注入率Fを演算する。
[数7]
=F+Q ・・・(7)
凝集剤注入率Fは、メモリ650内に一時的に保存される。
ステップS24で、原水W1の水量を取得する。原水W1の水量は、原水センサ210により計測されたデータである。
ステップS25で、凝集剤注入量を演算する。凝集剤注入量は、原水W1の水量に(7)式の凝集剤注入率Fを掛けて求められる。
演算された凝集剤注入量は、制御データD2として、浄水処理施設制御手段400を介して薬品注入設備170に入力される。薬品注入設備170は、この凝集剤注入量に応じて凝集剤を原水W1に注入する。
本発明では、浄水処理施設100のプロセスの早い段階(フロック形成池130の前)で採水するので、凝集剤注入率の補正の時間遅れが短縮可能である。また、凝集剤注入率の第一補正値Qを、原水W1濁度および沈殿処理水W3濁度と高い相関のあるアルミニウム残留率という指標に基づいて決定しているので、凝集剤注入量を適正化できる。
実施例2は、実施例1の管理手段600のメモリ650に、沈殿処理水W3濁度Tuと沈殿処理水W3濁度の目標値DVTuから第二補正値Qを演算する第二補正値演算機能656を備えた場合である。つまり、実施例1は原水W1の観点から凝集剤注入量を補正制御したものであるが、実施例2では沈殿処理水W3の観点からも更に凝集剤注入量を補正制御する。
第二補正値演算機能656は、予めメモリ650内に記憶されたフィードバックの制御周期Δt毎に機能し、第二補正値Qを演算する。
図8に、実施例2における第二補正値演算機能656の処理フローを示す。
ステップS31で、沈殿処理水濁度Tuと沈殿処理水濁度の目標値DVTuを取得する。沈殿処理水濁度Tuは、沈殿処理水センサ230により計測されたデータであり、沈殿処理水濁度の目標値DVTuは、予めメモリ650内に記憶された目標値である。
ステップS32で、(8)式に従い、沈殿処理水濁度の偏差ΔTuを演算する。
[数8]
ΔTu(t)=Tu−DVTu ・・・(8)
ステップS33で、(9)式に従い、第二補正値Qを演算する。
[数9]
=d・ΔTu(t)+d・∫ ΔTu(s)ds ・・・(9)
ここで、d、dは係数であり、第二補正値Qが振動せずかつ速やかに適正値まで到達できるように予め調整して、メモリ650内に記憶される。第二補正値Qは、メモリ650内に一時的に保存される。
実施例2では、注入率演算機能655にて第二補正値Qが取得され、(10)式に従い、凝集剤注入率Fを演算する。
[数10]
=F+Q+Q ・・・(10)
凝集剤注入率Fは、メモリ650内に一時的に保存される。
実施例2によれば、沈殿処理水W3の濁度Tuによる補正も実施することで、制御のロバスト性が向上し、沈殿処理水濁度Tuを、予め設定した沈殿処理水濁度の目標値DVTuに安定して維持できる。
実施例3は、第一補正値演算機能654のアルミニウム残留率の目標値DVAlを演算する式に、原水センサ210により計測したアルカリ度ALを考慮した場合である。
本実施例においてアルカリ度ALを考慮した場合には、(11)式に従い、アルミニウム残留率の目標値DVAlを演算する。
[数11]
DVAl=b・Tu b2・DVTu b3・AL b4・ ・・・(11)
ここで、b、b、b、bは係数であり、予め基礎試験で定めて、メモリ650内に記憶される。
なお、アルカリ度ALを考慮したアルミニウム残留率の目標値DVAlの演算式は、(11)式に限定されるものではなく、(12)式のように表現してもよい。
[数12]
DVAl=b・Tu b2・DVTu b3+b・AL b4・ ・・・(12)
ここで、bは係数であり、予め基礎試験で定めて、メモリ650内に記憶される。
実施例3によれば、アルカリ度ALをアルミニウム残留率の目標値DVAlの演算式に考慮することで、より高精度にアルミニウム残留率の目標値DVAlを演算することが可能となる。
実施例4は、第一補正値演算機能654のアルミニウム残留率の目標値DVAlを演算する式に、原水センサ210により計測した水温Tを考慮した場合である。
水温Tを考慮した場合、式(13)に従い、アルミニウム残留率の目標値DVAlを演算する。
[数13]
DVAl=k・exp(−K/T)・Tu b2・DVTu b3 ・・・(13)
ここで、b、b、k、Kは係数であり、予め基礎試験で定めて、メモリ650内に記憶される。
なお、水温Tを考慮したアルミニウム残留率の目標値DVAlの演算式は、(13)式のアレニウス型に限定されるものではなく、たとえば、水温Tのべき乗で表現してもよい。
実施例4によれば、水温Tをアルミニウム残留率の目標値DVAlの演算式に考慮することで、より高精度にアルミニウム残留率の目標値DVAlを演算することが可能となる。
実施例5は、第一補正値演算機能654のアルミニウム残留率の目標値DVAlを演算する式に、原水センサ210により計測したpHを考慮した場合である。
pHを考慮した場合、(14)式に従い、アルミニウム残留率の目標値DVAlを演算する。
[数14]
DVAl=b・Tu b2・DVTu b3+b・pHb7 ・・・(14)
ここで、b、b、b、b、bは係数であり、予め基礎試験で定めて、メモリ650内に記憶される。
なお、pHを考慮したアルミニウム残留率の目標値DVAlの演算式は、(14)式に限定されるものではなく、たとえば、(11)式のように一つの関数にまとめてもよい。
実施例5によれば、pHをアルミニウム残留率の目標値DVAlの演算式に考慮することで、より高精度にアルミニウム残留率の目標値DVAlを演算することが可能となる。
実施例6は、第一補正値演算機能654のアルミニウム残留率の目標値DVAlを演算する式に、原水センサ210により計測した紫外線吸光度E260を考慮した場合である。
紫外線吸光度E260を考慮した場合、(15)式に従い、アルミニウム残留率の目標値DVAlを演算する。
[数15]
DVAl=b・Tu b2・DVTu b3+b・E260 b9 ・・・(15)
ここで、b、b、b、b、bは係数であり、予め基礎試験で定めて、メモリ650内に記憶される。
なお、紫外線吸光度E260を考慮したアルミニウム残留率の目標値DVAlの演算式は、(15)式に限定されるものではなく、たとえば、(11)式のように一つの関数にまとめてもよい。
実施例6によれば、紫外線吸光度E260をアルミニウム残留率の目標値DVAlの演算式に考慮することで、より高精度にアルミニウム残留率の目標値DVAlを演算することが可能となる。
図9に実施例7における凝集剤注入制御システムの構成図を示す。実施例7は、着水井110より前にある取水口180に、取水口センサ240を設置し、取水口センサ240により取水口での濁度(以下、「取水口濁度」と称する)を計測し、取水口濁度と原水センサ210から計測した水質データから基本凝集剤注入率Fを演算する場合である。
取水口センサ240により計測された取水口濁度Tuは、メモリ650内に一時的に保存される。
原水センサ210により計測した水質データと、取水口センサ240により計測した取水口濁度Tuから、(16)式に従い、基本凝集剤注入率Fを演算する。
[数16]
=a・Tu a2+a・AL a4+a・(Tu−Tu(t−Δt))・・(16)
ここで、a、a、a、a、aは係数であり、予め基礎試験で定めて、メモリ650内に記憶される。また、Tu(t−Δt)は、現在の時刻tよりΔt前の取水口濁度Tuである。
なお、基本凝集剤注入率Fを演算する式は、(16)式に限定されるものではない。また、原水センサ210で他の水質データ、たとえば、水温T、pH、または紫外線吸光度E260を計測し、それらを考慮した式に従って、基本凝集剤注入率Fを演算してもよい。
基本凝集剤注入率Fは、メモリ650内に一時的に保存される。
実施例7によれば、実施例1における基本凝集剤注入率Fを演算する式に、取水口濁度Tuを考慮することで、実施例1よりも濁度の急変に対して、速やかに凝集剤注入率を補正することが可能である。
また、(16)式では、取水口濁度Tuを考慮したが、取水口センサ240で取水口濁度Tu以外の水質を計測できるようにして、それらの水質も用いて基本凝集剤注入率Fを演算してもよい。たとえば、取水口センサにより計測したアルカリ度ALも考慮した(17)式に従い、基本凝集剤注入率Fを演算する。
[数17]
=a・Tu a2+a・AL a4+a・(Tu−Tu(t−Δt))+a・(AL−AL(t−Δt))・・・(17)
ここで、aは係数であり、予め基礎試験で定めて、メモリ650内に記憶される。また、AL(t−Δt)は、現在の時刻tよりΔt前のアルカリ度ALである。
実施例8は、実施例2の管理手段600のメモリ650に、補正値重み演算機能657を記憶した場合である。補正値重み演算機能657は、原水濁度Tuの変化率RTu0から複数の補正値の重みを決定する役割を有する。
まず、(18)式に従い、原水W1濁度Tuの変化率RTu0を演算する。
[数18]
Tu0=(Tu−Tu(t−Δt))/Tu ・・・(18)
ここで、Tu(t−Δtは現在の時刻tよりΔt前の原水W1濁度Tuである。
次に、(19)式に従い、アルミニウム残留率RAlを指標とした第一補正値Qに掛ける重みwを演算する。
[数19]
=e・|RTu0| ・・・(19)
ここで、eは係数であり、予め基礎試験で定めて、メモリ650内に記憶される。また、第一補正値Qに掛ける重みwを演算する式は、(19)式に限定されるものではない。
最後に、(20)式に従い、沈殿処理水W3の濁度Tuを指標とした第二補正値Qに掛ける重みwを演算する。
[数20]
=1−w ・・・(20)
図10aに、変化率(横軸)と、補正値の重みw(縦軸)の関係を示す。要するに、変化率の絶対値が大きいほど、補正値の重みwを大きくしている。なお、図10bは、原水W1の濁度(縦軸)が、時間経過(横軸)と共に大きく増加した後に低減して安定する様子を示している。また、図10cは、図10bのときの原水W1の濁度変化率(縦軸)が、時間経過(横軸)と共に変動する様子を示している。
実施例8において注入率補正機能655は、補正値重み演算機能657で演算した補正値の重みwおよびwを取得し、(21)式に従い、凝集剤注入率Fを演算する。
[数21]
=F+w・Q+w・Q ・・・(21)
この(19)(20)(21)式によれば、図10の過渡現象(原水W1の濁度(縦軸)が急激に増大した過渡時)において、凝集剤注入率Fは、変動初期にアルミニウム残留率RAlを指標とした第一補正値Qが支配的となり、安定後は沈殿処理水W3の濁度Tuを指標とした第二補正値Qが支配的となる。
実施例8によれば、原水W1濁度Tuの変化率RTu0が大きいほど、アルミニウム濃度を指標とした第一補正値Qの効果が大きくなるため、実施例1と同じくロバスト性を向上した上で、沈殿処理水濁度Tuを、予め設定した沈殿処理水濁度の目標値DVTuに安定して維持できる。
なお、実施例8では、原水W1濁度Tuの変化率RTu0より補正値の重みを演算したが、原水センサ210により計測した原水W1濁度Tu以外の水質でもよい。原水W1濁度Tu以外の水質とは、アルカリ度AL、水温T、pH、紫外線吸光度E260などが挙げられる。それらの大きさもしくは変化率で補正値の重みを演算してもよい。また、補正値の重みを演算するための水質は1種類のみではなく、原水センサ210で計測した複数の水質を組み合わせてもよい。
また、実施例8では、原水センサ210の水質データを使用しているが、実施例7のように取水口センサ240がある場合、原水センサ210の水質データではなく、取水口センサ240により計測した水質データを用いて、補正値の重みを演算してもよい。
図11に、実施例9における凝集剤注入制御システムの構成図を示す。実施例9は、ろ過池160の出口にろ過水センサ250を設置し、ろ過水センサ250より、ろ過水濁度Tuを計測し、計測したろ過水濁度Tuから第三補正値Qを演算する場合である。
実施例9では、実施例1の管理手段600のメモリ650に第三補正値演算機能658が記憶される。
第三補正値演算機能658の処理フローは第二補正値演算機能の処理フローと同様であるが、沈殿処理水濁度Tuではなく、予めメモリ650内に記憶されたろ過水濁度の目標値DVTu3と、ろ過水濁度Tuから第三補正値Qを演算することが異なる。
実施例9によれば、実施例1の注入率補正機能655で、第三補正値演算機能658で演算した第三補正値Qを取得するプロセスが追加され、(22)式に従い、凝集剤注入率Fを演算する。
[数22]
=F+Q+Q+Q ・・・(22)
実施例9によれば、ろ過水濁度Tuによる補正も加えることで、実施例1と比較して、さらに制御のロバスト性が向上し、沈殿処理水濁度Tuを、予め設定した沈殿処理水濁度の目標値DVTuに安定して維持できる。
10…凝集剤注入制御システム
100…浄水処理施設
110…着水井
120…混和池
130…フロック形成池
140…沈殿池
150…ろ過池
160…浄水池
170…薬品注入設備
180…取水口センサ
210…原水センサ
220…アルミニウム計測装置
221…ポンプ
222…タンク
223…攪拌槽
224…吸光度測定装置
225…廃液タンク
226…電磁弁
230…沈殿処理水センサ
240…取水口センサ
250…ろ過水センサ
300…フロック分級装置
310…ろ過槽
320…回転フィルタ
330…モータ
340…ポンプ
400…浄水処理施設制御手段
500…ネットワーク
600…管理手段
610…CPU
620…ネットワークインターフェース
650…メモリ
651…データ収集機能
652…アルミニウム濃度換算機能
653…注入率演算機能
654…第一補正値演算機能
655…注入率補正機能
656…第二補正値演算機能
657…補正値重み演算機能
658…第三補正値演算機能

Claims (11)

  1. 原水に凝集剤を注入してフロックを形成するフロック形成池と、フロックを分離除去する沈殿池およびろ過池を備える浄水場の凝集剤注入制御システムにおいて、
    原水の少なくとも濁度を計測する原水センサと、
    原水に凝集剤を注入した凝集剤注入水を採水するサンプリング部と、
    採水した凝集剤注入水に含まれるアルミニウムの濃度を計測するアルミニウム計測装置と、原水センサの濁度の計測値を用いて、基本凝集剤注入率を演算する注入率演算機能と、
    前記アルミニウム濃度の計測値を用いて凝集剤注入率の補正値を演算する第一補正値演算機能と、
    演算された基本凝集剤注入率と第一補正値の和として、凝集剤注入率を決定する注入率補正機能とを備え、
    前記凝集剤注入率の第一補正値は、原水センサにより計測した濁度と沈殿処理水濁度の目標値から演算したアルミニウム残留率目標値と、アルミニウム濃度計測値を凝集剤注入率(アルミニウム濃度換算)で除して求めたアルミニウム残留率に基づき、アルミニウム残留率がアルミニウム残留率目標値に漸近するように定めることを特徴とする凝集剤注入制御システム。
  2. 請求項1に記載の凝集剤注入制御システムにおいて、
    採水した凝集剤注入水に含まれるアルミニウムを計測するにあたり、凝集剤注入水に含まれる所定粒のフロックを使用することを特徴とする凝集剤注入制御システム。
  3. 請求項2に記載の凝集剤注入制御システムにおいて、
    前記所定粒のフロックとして50μm以下であって、所定範囲の粒径のフロックを分離して使用することを特徴とする凝集剤注入制御システム。
  4. 請求項1に記載の凝集剤注入制御システムにおいて、
    沈殿処理水の少なくとも濁度を含む水質を計測する沈殿処理水センサと、この計測値と沈殿処理水濁度の目標値を用いて凝集剤注入率の第二補正値を演算する第二補正値演算機能とを備え、前記注入率補正機能は、前記基本凝集剤注入率と前記第一補正値および第二補正値の和として凝集剤注入率を決定することを特徴とする凝集剤注入制御システム。
  5. 請求項4に記載の凝集剤注入制御システムにおいて、
    ろ過池のろ過水の水質計測手段と、該水質計測手段の計測値とろ過水の目標値を用いて凝集剤注入率の第三補正値を演算する第三補正値演算機能とを備え、前記注入率補正機能は、演算された基本凝集剤注入率、第一補正値、第二補正値および第三補正値の和として凝集剤注入率を決定することを特徴とする凝集剤注入制御システム。
  6. 請求項1に記載の凝集剤注入制御システムにおいて、
    前記原水センサで計測する水質項目として濁度のほかに、アルカリ度、水温、pH、紫外線吸光度の内一つもしくは複数を入力し、入力値を第一補正値の算出に反映させることを特徴とする凝集剤注入制御システム。
  7. 請求項1に記載の凝集剤注入制御システムにおいて、
    前記原水を取水する取水口において濁度を検知する取水口センサを備え、前記基本凝集剤注入率の算出に前記取水口センサの出力を反映させることを特徴とする凝集剤注入制御システム。
  8. 請求項7に記載の凝集剤注入制御システムにおいて、
    取水地点の計測値および単位時間当たりの変化量を用いて、凝集剤の基本凝集剤注入率を演算することを特徴とする凝集剤注入制御システム。
  9. 請求項4に記載の凝集剤注入制御システムにおいて、
    原水センサの計測値および単位時間当たりの変化量を用いて、凝集剤注入率の補正値を加算するときの重み係数を演算する補正値重み演算機能を備えたことを特徴とする凝集剤注入制御システム。
  10. 請求項9に記載の凝集剤注入制御システムにおいて、
    凝集剤注入率の第1の補正値と第2の補正値に与える重み係数は、一方の重み係数を大きくするときに、他方の重み係数を小さくする関係とすることを特徴とする凝集剤注入制御システム。
  11. 請求項9に記載の凝集剤注入制御システムにおいて、
    原水センサの計測する濁度の時間変化率が大きいときには第1の補正値が、また原水センサの計測する濁度の時間変化率が小さいときには第2の補正値が、前記注入率補正機能の出力に大きく影響する関係とすることを特徴とする凝集剤注入制御システム。
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