本発明は、内箱と、外箱と、前記内箱および前記外箱の間に充填された断熱材とにより形成された断熱箱体と、引出し式の貯蔵室とを備える冷蔵庫であって、前記貯蔵室内に、長尺状の、第1レール、第2レールおよび第3レールとを有して収納容器を前後に移動可能に支持するレール装置を備え、前記レール装置は、前記レール装置の倒れ防止部を備える。そして、前記第3レールに直接的又は間接的に前記収納容器を支持して前後に摺動可能にしたことにより、レール装置は、レール装置の倒れ防止部を備えるので、レール装置に力が加えられた場合に開き難い構成となる。よって、本発明の冷蔵庫におけるレール装置は、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、レール装置の変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第2レールは、左右に突出したフランジを長手方向の上下に有し、前記第1レールは、前記第2レールの下のフランジを越える高さまで延設されたフランジを長手方向の左右に有して摺動部材を介して移動可能に保持され、前記第3レールは、前記第2レールの上のフランジを摺動部材を介して移動可能に保持される。そして、前記レール装置は、前記内箱の内側面に固定部材を固定した上で前記第3レールに直接的又は間接的に前記収納容器を支持して前後に摺動可能にするとともに、前記レール装置の倒れ防止部は、前記内箱に対して固定される前記固定部材の平面部と前記第1レールの外郭の平面部とが予め接合されることによって構成される。よって、第1レールは、当該溝に移動可能に設置された第2レールを介して第1レールに力が加えられた場合に開き難い断面形状となり、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、レール装置の変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
また、第1レールは、正面から見たときに左右対称であることから、例えば板材をロール成型することにより第1レールを作製する場合に、精度よく作製することが容易である。
また、第1レールと固定部材とは別体であることから、固定部材の奥行き方向の長さは、第1レールの長さとは関係なく決定することができることとなり、固定部材の長さはレール装置を内箱に固定するために必要な長さだけあればよく、レール装置の作製に必要な材料の量(長さ)を従来よりも少なくすることが可能である。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第1レールは、前記第1レールの側面が前記固定部材と接合されていることにより、レール装置全体の高さを増加させずに、すなわち、レール装置全体の高さを第1レールの一体で固定部材の形状を作製したレール装置(従来例のレール装置)と同じ高さで、第1レールと固定部材とを接合することができる。
また、固定部材が第1レールの下面まで伸びていた部分が削減されるため、固定部材が第1レールの下面に固定された場合と比較して、固定部材の作製に必要な材料の量(長さ)を少なくすることが可能である。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第1レールは、前記第1レールの下面が前記固定部材と接合されていることにより、固定部材と第1レールとの接合面に対し、主として垂直な方向から力が加えられることとなり、当該接合部分の信頼性が向上する。また、レール装置が引き出された状態における強度においても信頼性が向上する。
本発明に係る冷蔵庫において、前記固定部材は、少なくとも1箇所、折り曲げられた部分を有し、当該折り曲げられた部分を挟んで存在する平行ではない2つの面を接続する補強部を有する。これにより、固定部材に力が加えられた場合の曲げ量が抑制されることとなり、補強部がない場合と比較すると、レール装置に荷重が掛けられた場合のレール装置の傾き量が減少する。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第2レールは、上下方向の寸法が所定の寸法より長いことにより、長手方向に垂直な断面における断面2次モーメントが所定の値より大きいことにより、第2レールの断面2次モーメントを増加させるように、第2レールの寸法を変更することで、第2レールの変形が抑制される。
また、この効果は、固定部材と第1レールとが一体成型された場合、言い換えると、第1レールが直接内箱に固定された場合であっても発揮される。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第3レールは、前記第2レールの上のフランジを挟んで長手方向の左右に下向きのフランジを有し、前記左右のフランジのうちの前記内側面側のフランジは、他方のフランジよりも下方まで延設されている。これにより、第3レールの断面2次モーメントを増加させるように、第3レールの断面の形状を変更することで、第3レールの変形が抑制される。
また、この効果は、固定部材と第1レールとが一体成型された場合、言い換えると、第1レールが直接内箱に固定された場合であっても発揮される。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第1レールおよび前記第3レールの少なくとも一方は、前記第2レールを、前記長手方向に垂直な断面において四方向から支持することにより前記第2レールを前記長手方向に移動可能に保持する。これにより、第2レールと、第1レールまたは第3レールとの結合部分の、庫内方向の力に対する強度が向上される。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第2レールは、左右に突出したフランジを長手方向の上下に有し、前記第1レールは、前記内箱の内側面に固定されており、前記第2レールの下のフランジを越える高さまで延設されたフランジを長手方向の一方に有して摺動部材を介して移動可能に保持され、前記第3レールは、前記第2レールの上のフランジを摺動部材を介して移動可能に保持される。そして、前記レール装置は、前記内箱の内側面に前記第1レールを固定した上で前記第3レールに直接的又は間接的に前記収納容器を支持して前後に摺動可能にするとともに、前記レール装置の倒れ防止部は、前記第2レールの上下方向の寸法が所定の寸法より長いことにより、前記長手方向に垂直な断面における断面2次モーメントが所定の値より大きい構成としている。よって、前記長手方向に垂直な断面における断面2次モーメントが所定の値より大きく、前記レール装置は、前記内箱の内側面に前記第1レールを固定した上で前記第3レールに直接的又は間接的に前記収納容器を支持して前後に摺動可能にしたことにより、第2レールの断面2次モーメントを増加させるように、第2レールの寸法を変更することで、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、第2レールの変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第2レールは、左右に突出したフランジを長手方向の上下に有し、前記第1レールは、前記内箱の内側面に固定されており、前記第2レールの下のフランジを越える高さまで延設されたフランジを長手方向の一方に有して摺動部材を介して移動可能に保持され、前記第3レールは、前記第2レールの上のフランジを摺動部材を介して移動可能に保持される。そして、前記レール装置は、前記内箱の内側面に前記第1レールを固定した上で前記第3レールに直接的又は間接的に前記収納容器を支持して前後に摺動可能にするとともに、前記レール装置の倒れ防止部は、前記第3レールのフランジを前記第2レールの上のフランジを挟んで前記長手方向の左右に下向きのフランジとし、前記左右のフランジのうちの前記内側面側のフランジは、他方のフランジよりも下方まで延設される構成としている。よって、第3レールの断面2次モーメントを増加させるように、第3レールの断面の形状を変更することで、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、第3レールの変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
本発明に係る冷蔵庫において、前記内側面を挟んで、前記レール装置とは反対側に、前記レール装置を前記内箱に固定するための補助部材を備える。そして、前記補助部材は、前記第1レールの下面の直下まで延設されることで前記第1レールの下方への変形を抑制するフランジを有する。これにより、レール装置を内箱に固定するための補助部材の形状を工夫することにより、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の傾き等が抑制される。つまり、本来的には、レール装置の固定の役割を担う補助部材に、さらに、レール装置の補強という役割を担わせることができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第1レール、前記第2レール、および前記第3レールそれぞれの長さは、前記収納容器が最大引き出し位置まで引き出された場合に、前記収納容器の奥端辺が、前記貯蔵室の直上部の扉の前面より前方に位置させる長さである。これにより、貯蔵室の引き出し距離が長い場合であっても、本発明の冷蔵庫レール装置の変形を抑制する各種の技術的特徴のそれぞれ、または、それらの組み合わせにより、当該貯蔵室の使い勝手は保持される。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第1レールと前記固定部材との接合は、スポット溶接とした。これにより、局部的に溶接されることとなり、長手方向に連続的に溶接した場合と比較すると、レール装置の長手方向の溶接による熱変形(ゆがみ)は抑制され、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第2レールは、左右に突出したフランジを長手方向の上下に有し、前記第1レールは、前記内箱の内側面に固定されており、前記第2レールの下のフランジを越える高さまで延設されたフランジを長手方向の一方に有して摺動部材を介して移動可能に保持され、前記第3レールは、前記第2レールの上のフランジを摺動部材を介して移動可能に保持され、前記内側面を挟んで、前記レール装置とは反対側に、前記レール装置を前記内箱に固定するための補助部材を備える。そして、前記レール装置は、前記内箱の内側面に前記第1レールを固定した上で前記第3レールに直接的又は間接的に前記収納容器を支持して前後に摺動可能にするとともに、前記レール装置の倒れ防止部は、前記補助部材を前記レール装置が取り付けられた内箱の断熱材側に配置するとともに、少なくとも前記第1レールの下面の中心位置まで延設されたフランジ部を有する構成としている。これにより、レール装置の下部において、第1レールの底面に対しての中心位置を補助部材によって受けることとなるとともに、補助部材の発泡断熱材との接触面積を大きくすることとなり、レール装置の垂直方向へ下がろうとする変形を発泡断熱材による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するための補助部材の形状を工夫することにより、補助部材自体の材料的な強度が向上するとともに、補助部材の発泡断熱材内での垂直方向の変形を抑制できることとなり、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の垂直方向の傾きが抑制される。つまり、本来的には、レール装置の固定の役割を担う補助部材に、さらに、レール装置の補強という役割を担わせることができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記補助部材の前記フランジ部の上面と前記内箱の下面とは、断熱材を介さず、直接に接している。これにより、レール装置に荷重が掛かった場合において、その荷重によるレール装置の変形を柔軟な発泡断熱材を介さずに、強固な材質である補助部材によって抑制することが可能となり、補助部材の補強効果を確実にもたらすことができる。
また、補助部材を内箱面に直接に取り付けを行えるため、補助部材の取り付け位置の規制がしやすくなり、補助部材は求められた所定の位置に確実に取り付けが行え、補助部材の補強効果が確実に得られる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第1レールの下面と前記内箱の上面とは、直接に接している。これにより、レール装置に荷重が掛かった場合において、第1レールの下面と内箱の上面との間に空間が存在した場合は、レール装置は何の阻害も受けずに変形を続けることとなるが、第1レールの下面と内箱の上面とは、直接に接していることで、第1レールの下面と内箱の上面との間に空間が存在せず、その荷重によるレール装置の変形を、内箱の発泡断熱材内に取り付けられた補助部材によって抑制することが可能となり、補助部材の補強効果を確実にもたらすことができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記補助部材は、前記レール装置の底面側に、前記引出扉が引き出された際に前記レール装置に加わる力の向きと同方向に伸びた縦フランジ部を有する。これにより、補助部材の形状として縦断面二次モーメントが増加することによる強度向上を図るとともに、補助部材の縦フランジ部の水平方向における発泡断熱材との接触面積が追加される。従って、補助部材の縦フランジ部の水平方向へ移動しようとする変形を発泡断熱材による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するための補助部材の形状を工夫することにより、補助部材自体の材料的な強度が向上するとともに、補助部材の発泡断熱材内での水平方向の変形を抑制できる。ゆえに、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の水平方向の傾きが抑制される。
本発明に係る冷蔵庫において、前記補助部材は、金属材料によって成形されている。これにより、補助部材に設けられたレール装置の固定部に必要な強度を容易に確保することとなり、本来の使用目的であるレール装置の固定を確実に行うことができ、すなわち、レール装置の固定と補強との両方を兼ねそろえた補助部材を一部品で成形することができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記補助部材は、角度を持った2平面間の曲げ部に、補強形状を有したことにより、補助部材のフランジ部に荷重が掛かった際における補助部材の曲げ部の変形を、補助部材自体の形状によって抑制することができ、補助部材の強度を向上でき、レール装置の変形を抑制することができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記補助部材は、左右兼用可能な形状をしたことにより、左右の補助部材を内箱に取り付ける際に使い分ける必要がないこととなり、作業性を向上できるとともに、補助部材を成形するための金型費用を抑制できる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記縦フランジ部の下面と前記縦フランジ部の下面に対向する前記内箱との間に、一定の距離を持たせている。レール装置に荷重が掛かった場合において、荷重によるレールの変形が補助部材にも影響を与え、レール装置に掛かった荷重と同方向に変形しようとする補助部材の縦フランジ部の下面と内箱との間に、一定の距離があることで、縦フランジ部の下面と内箱とは直接に接しておらず、発泡断熱材が存在することとなり、補助部材の変形により補助部材の縦フランジ部の下面で内箱を突き破る等の破損を起こすことなく、内箱の表面の形状を良好に維持することができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記縦フランジ部は、庫内側とは反対側に傾斜させている。レール装置に荷重が掛かった場合において、荷重によるレールの変形が補助部材にも影響を与え、補助部材の縦フランジ部の変形が内箱の存在する庫内側に変形することを抑制し、補助部材の縦フランジ部の進行方向に対して、より確実に内箱が存在せず、発泡断熱材が存在することとなり、補助部材の変形により補助部材の端面で内箱を突き破る等の破損を起こすことなく、内箱の表面の形状をより良好に維持することができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第1レール、前記第2レール、および前記第3レールそれぞれの長さは、前記収納容器が最大引き出し位置まで引き出された場合に、前記収納容器の奥端辺が、前記貯蔵室の直上部の扉の前面より前方に位置させる長さである。これにより、貯蔵室の引き出し距離が長い場合であっても、本発明の冷蔵庫レール装置の変形を抑制することとなり、貯蔵室の使い勝手は保持される。
本発明に係る冷蔵庫は、内箱と外箱と前記内箱と前記外箱間に充填した発泡断熱材とよりなる前面開口部を有する断熱箱体と、前記断熱箱体内に形成された引出し式の貯蔵室と、前記貯蔵室の前面開口を開閉自在に閉塞する引出扉と、第1レールと第3レールと前記第1レールと前記第3レールとの間に備えられた第2レールとを有する。そして、前記第1レールと前記第3レールと前記第2レールとはそれぞれ回転支持部材で支持され前記第1レールと前記第3レールと前記第2レールとを予め組み込んだ状態で前記第1レールが前記内箱の側壁に固定され、前記貯蔵室内部に備えた容器を前後に移動可能とするレール装置と、を備える。さらに、前記第3レールの前記貯蔵室側端面にレール保護部品を備えたことにより、第2レールを採用していることで、第3レールの最奥部(貯蔵室側端面)が、外箱の最前面部よりも外側に位置する場合であっても、第3レールの貯蔵室側端面に取り付けられたレール保護部品が、第3レールの最奥部(貯蔵室側端面)の曝露部分を保護する。よって、第3レールの端面に手が触れることを防止し、安全性を高めることができ、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、貯蔵室の使い勝手の良さ、使用上の安全性、見た目の品位を保持することができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記レール保護部品は、後方端部に傾斜面を設けたことにより、引出し量が増大し、レール保護部品の最奥部(貯蔵室側)が外箱の最前面部より外側に位置するところまで引出扉が引出され、レール保護部品の最奥部と外箱の最前面部にできた隙間に指を置いた場合においても、その傾斜面によって、指を傾斜面の外側へ押し出すように逃がすことが可能となり、引出扉を閉めるときの安全性を高めることができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記傾斜面は、10度以上45度以下の角度である。傾斜面の傾斜角度が小さすぎると、レール保護部品に設けられる傾斜面の大きさが大きくなることとなり、レール保護部品の大きさ自体も大きくなるため、求められる寸法内に形状がおさまりきらない可能性もあり、また、傾斜面の先端側で形状的な厚みが薄いため、強度確保が困難となる。また、逆に傾斜面の傾斜角度が大きすぎると、レール保護部品の奥側に指を置いた場合に、スムーズに指を傾斜面の外側に押しだすことができない可能性がある。よって、傾斜面の傾斜角度を10度以上45度以下の角度にすることにより、レール保護部品を必要以上に大きくする必要もなく、安全性を高めることができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記引出扉は、前記引出扉に固定された扉フレームを備え、前記扉フレームは前記第3レールに固定され、前記レール保護部品は前記扉フレームの前記貯蔵室側端面に固着されている。これにより、レール保護部品を扉フレームに固着することが可能となり、製造工程において、扉フレームとレール保護部品とを装着した引出扉を、レール装置に接合することができるため、作業性の向上を図ることができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記レール保護部品は、前記第3レールと前記扉フレームとの固定部を保護している。扉フレームと第3レールとの固定部も覆い隠すことにより、引出扉の開閉時に、固定部に手等が当たることを抑制することとなり、安全性を高めることができる。また、固定部の端面のさびの発生も抑制することができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記レール保護部品は、前記扉フレームを塗装するために前記扉フレームに設けられた吊り穴を保護したことにより、扉フレームの塗装用の吊り穴の周りにできたバリを取る作業を行う必要がなくなる。さらに、塗装用の吊り穴のさびの発生も抑制することができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記レール保護部品は、樹脂材料を用いて形成されている。これにより、レール保護部品の形状が複雑であっても成形可能であり、着色も容易であるため塗装をする必要がなく、また、丸みを帯びた形状にすることが可能であるため、指等が接触した場合であっても、接触時の痛さを緩和し、安全性を高めることができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記レール保護部品は、前記扉フレームと同系色で合わせたことにより、レール保護部品を目立たせることなく設置することも可能である。
本発明に係る冷蔵庫において、前記レール保護部品の上面は、前記扉フレームの上面と略同一高さとしたことにより、容器を扉フレームに装着する際に、レール保護部品が容器取り付けの妨げにならず、使い勝手の向上を図ることができる。また、レール保護部品の上面が扉フレームの上面部と略同一高さにあることにより、容器をレール保護部品にも装着することが可能となり、容器の荷重を扉フレームとレール保護部品とにバランス良くかけることができ、結果として、レール装置の耐久性の向上を図ることができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記第3レールと前記第1レールそれぞれの長さは、前記容器が最大引出し位置まで引出された場合に、前記容器の奥端辺が、前記外箱の最前面部より前方に位置させる長さである。これにより、容器の取り出しおよび取り付けの際に、容器が上部の扉に干渉しないため、容器の取り出しおよび取り付けを容易に行うことができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記レール保護部品は、前記扉フレームの上から被せるようにして、前記扉フレームに取り付け固定されている。これにより、レール保護部品の取り付け時に容易に取り付けが行えるとともに、容器をレール保護部品の上に固定させた場合等において、レール保護部品の上部から加わる荷重に対して、レール保護部品の強度の確保を比較的容易に行うことができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記レール保護部品の一部を、前記第3レールに接触させている。これにより、容器をレール保護部品の上に固定させた場合等において、レール保護部品の上部から加わる荷重に対して、剛体である第3レールによって支持することが可能となり、レール保護部品の強度の確保を容易に行うことができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記レール保護部品の内側にリブを設けている。これにより、レール保護部品自体の変形を抑制できるとともに、リブによって、容器をレール保護部品の上に固定させた場合等において、レール保護部品の上部から加わる荷重に対して、レール保護部品の強度の確保を容易に行うことができる。
本発明に係る冷蔵庫において、前記レール保護部品と前記扉フレームとを接合する勘合部を、前記レール保護部品に複数設けたことにより、レール保護部品の取り付け強度が向上するとともに、あらゆる方向から負荷が加わってもレール保護部品が外れにくくなり、レール装置の端面保護を確実に行うことができる。
本発明に係るレール装置は、内箱と、外箱と、前記内箱および前記外箱の間に充填された断熱材とにより形成された断熱箱体と、引き出し式の前記貯蔵室とを備える冷蔵庫に取り付け可能である。また、前記貯蔵室を形成する収納容器を前後に移動可能に支持されている。そして、前記内箱の内側面に固定された固定部材と、長手方向が同一になるように配置された、長尺状の、第1レール、第2レールおよび第3レールとを有する。前記第2レールは、左右に突出したフランジを前記長手方向の上下に有し、下のフランジは前記第1レールに前記長手方向に移動可能に保持されており、前記第1レールは、前記固定部材に接合されており、前記第2レールの下のフランジを越える高さまで延設されたフランジを前記長手方向の左右に有し、前記第3レールは、前記第2レールの上のフランジを前記長手方向に移動可能に保持し、かつ、前記収納容器を支持することにより、様々な冷蔵庫に取り付け可能なレール装置として実現される。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の冷蔵庫の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図である。図1に示すように、冷蔵庫51は、観音開き式の扉を備える冷蔵庫であり、断熱箱体52内に複数に区画された貯蔵室を備えている。
具体的には貯蔵室として、上部より冷蔵室53、製氷室54、製氷室54に併設され室内の温度が変更可能な切換室55、野菜室56、および冷凍室57を備えている。
各貯蔵室の開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した断熱扉が設けられている。具体的には、冷蔵室53には断熱箱体52の開口部を開閉可能に塞ぐ左扉60aおよび右扉60bが設けられている。
また、製氷室54、切換室55、野菜室56、および冷凍室57にはそれぞれ引き出し式の扉61、扉62、扉63、および扉64が設けられている。
これら貯蔵室のうち、冷蔵室53以外の貯蔵室は引き出し式の貯蔵室である。
また、図1に示すように、断熱箱体52は、ABSなどの樹脂体を真空成型した内箱70とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱71とで構成された空間に発泡断熱材72が充填された断熱壁で構成されている。
野菜室56と冷凍室57の後側には、冷却器(図示せず)およびファン(図示せず)が設けられており、冷蔵庫51の本体下部に設置された圧縮機(図示せず)により冷却器が駆動され、冷却器から冷却された空気が各貯蔵室に送られる。また、それぞれの貯蔵室ごとに所定の温度に冷却制御される。
図2は、本実施の形態1における冷蔵庫51の野菜室56を引き出した状態を示す斜視図である。
図2は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室を引き出した状態を示す斜視図である。図2に示すように、野菜室56は引き出し式の貯蔵室であり、野菜室56を形成する収納容器63aは、レール装置40により、断熱箱体52に出し入れ可能に備えられている。
具体的には、収納容器63aは、第2レール(ミドルレール)43を介して冷蔵庫51の前後方向に移動可能な第3レール(トップレール)44にその左右(図2において手前側と奥側)を支持されている。
なお、第2レール(ミドルレール)43は、図2に図示しない第1レール(キャビネットレール)42に移動可能に支持されている。また、ブラケット41は内箱70の内側面に固定されている。
収納容器63aの左右それぞれを支持する第3レール(トップレール)44の端部は扉63に連結されている。また、扉63の最大引き出し距離は、収納容器63aが完全に開放する長さである。
つまり、当該最大引き出し距離は、野菜室56を全開にしたときに、収納容器63aの奥(図2において左側)の端面が野菜室56の直上の扉61および扉62の前面より前方に位置する長さである。
この場合、収納容器63aの奥への食品の収納、および、収納容器63aの奥からの食品の取り出しが容易である。また、収納容器63aの取り出しおよび取り付けの際に、収納容器63aが上部の扉61および扉62に干渉しない。そのため収納容器63aの取り出しおよび取り付けを容易に行うことができる。
なお、冷凍室57も、野菜室56と同様に、最大引き出し距離が決定されており、使用者は、冷凍室57を形成する収納容器を容易に着脱することができる。
野菜室56および冷凍室57は、レール装置40が伸長することにより、このような位置まで引き出される。
図3は本実施の形態1におけるレール装置の構成概要を示す正面図である。図3に示すように、レール装置40は、引き出し式の貯蔵室を形成する収納容器を前後に移動可能に支持する装置であり、ブラケット41と、第1レール(キャビネットレール)42と、第2レール(ミドルレール)43と、第3レール(トップレール)44とを有する。
第1レール(キャビネットレール)42、第2レール(ミドルレール)43、および第3レール(トップレール)44はそれぞれ長尺状であり、これらの長手方向が同一になるように配置されている。
ブラケット41は、本発明の冷蔵庫における固定部材の一例である。ブラケット41は、点線で表された内箱70を挟んでホルダレール48とボルト(図示せず)で締結される。これにより、レール装置40は、内箱70の内側面に固定される。
また、ブラケット41の2箇所の折り曲げ部には、当該折り曲げ位置を挟んで存在する平行ではない2つの面を接続するリブ41aが設けられている。
なお、リブ41aは、本発明の冷蔵庫における補強部の一例であり、ブラケット41の曲げに対する強度を向上させている。
なお、リブ41aは、例えばブラケット41本体を打ち出すことにより、ブラケット41と一体成型してもよい。また、例えば別途用意したリブ41aをブラケット41に溶接してもよい。
また、ブラケット41は、ブラケット41と第1レール(キャビネットレール)42の側面とが接合されていることにより、レール装置40の高さを第1レール(キャビネットレール)42一体で固定部の形状を作製した第1レール(キャビネットレール)42と同じ高さで、第1レールと固定部材とを接合することができる。これにより、レール装置40以外の構造体はそのままの状態で従来のレール装置との付け替えが可能となる。すなわち、レール装置以外の構造体を共有化しやすくなる。
具体的には、固定部材が第1レールの下面に固定された場合においては、固定部材の板厚分だけレール装置全体の高さが増加するが、第1レールの側面が固定部材と接合され、固定部材が第1レールの下に存在しない。このため、レール装置全体の高さを第1レールの一体で固定部材の形状を作製したレール装置(従来例のレール装置)と同じ高さで、第1レールと固定部材とを接合することができる。
また、ブラケット41が第1レール(キャビネットレール)42の下まで伸びた場合よりも、ブラケット41の作製に必要な材料の量(長さ)を従来よりも少なくすることが可能である。
ホルダレール48は、本発明の冷蔵庫における補助部材の一例であり、レール装置40を内箱70内側面に固定するための部材である。
ホルダレール48は、図3に示すように、第1レール(キャビネットレール)42の下面の直下まで延設されたフランジを有する。これにより、第1レール(キャビネットレール)42の下方へのたわみを抑制することができる。
具体的には、ホルダレール48は、少なくとも第1レール(キャビネットレール)42の下面の中心位置まで延設されたフランジ部を有することにより、第1レール(キャビネットレール)42の下部において、第1レール(キャビネットレール)42の底面に対しての中心位置をホルダレール48によって受ける。また、ホルダレール48が発泡断熱材72側に配置され、ホルダレール48が発泡断熱材72に埋設されていることから、ホルダレール48と発泡断熱材72との接触面積を大きくすることとなり、レール装置40の垂直方向へ下がろうとする変形を発泡断熱材72による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置40を内箱70に固定するためのホルダレール48の形状を工夫することにより、ホルダレール48自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレール48の発泡断熱材72内での垂直方向の変形を抑制できることとなり、レール装置40に荷重が掛けられた場合におけるレール装置40の垂直方向の傾きが抑制され、その結果、第1レール(キャビネットレール)42の口開きを抑制することができる。つまり、本来的には、レール装置40の固定の役割を担うホルダレール48に、さらに、レール装置40の補強という役割を担わせることができる。
また、ホルダレール48は、レール装置40の底面側に、引出扉が引き出された際にレール装置40に加わる力の向きと同方向に伸びた縦フランジ部を有したことにより、ホルダレール48の形状として縦断面二次モーメントが増加することによる強度向上を図るとともに、ホルダレール48の縦フランジ部の水平方向における発泡断熱材72との接触面積が追加されることとなり、縦フランジ部の水平方向へ移動しようとする変形を発泡断熱材72との接触による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するためのホルダレールの形状を工夫することにより、ホルダレール自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレールの発泡断熱材内での水平方向の変形を抑制できることとなり、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の水平方向の傾きが抑制される。
このように、レール装置40を内箱70に固定するためのホルダレール48の形状を工夫する。すなわち、本実施の形態では、レール装置の倒れ防止部として、ホルダレール48をレール装置40が取り付けられた内箱70の発泡断熱材72側に配置するとともに、少なくとも第1レール(キャビネットレール)42の下面の中心位置まで延設されたフランジ部を有する構成とした。これにより、レール装置40に荷重が掛けられた場合におけるレール装置40の傾き等の変形が抑制される。
つまり、本来的には、レール装置40の固定の役割を担うホルダレール48に、さらに、レール装置40の補強という役割を担わせることができる。
第1レール(キャビネットレール)42は、本発明の冷蔵庫における第1レールの一例であり、その側面がブラケット41と面接合されている。具体的には、ブラケット41と第1レール(キャビネットレール)42とはスポット溶接より接合されており、ブラケット41および第1レール(キャビネットレール)42が、従来の第1レール(固定レール)131a(図12参照)に相当する。
具体的には、レール装置40は、内箱70に対して固定されるブラケット41の平面部と第1レール(キャビネットレール)42の外郭の平面部とが予め接合されることによって構成されている。すなわち、ブラケット41を構成する平面部と第1レール(キャビネットレール)42の外郭を構成する平面部とが向き合っている。ブラケット41の平面部と第1レール(キャビネットレール)42の外郭の平面部とが対面しているものであって、ブラケット41の端部が、第1レール(キャビネットレール)42の外郭の平面部に突き合わされて接合されているものではない。
かつ、レール装置40は、内箱70の内側面にブラケット41を固定した上で第3レール(トップレール)44に直接的又は間接的に収納容器63aを支持して前後に摺動可能にしたものである。
これにより、強度面で補強の必要があるブラケット41自体の強度を容易に向上させることができる。具体的には、容易に、材料の肉厚を増加させたり、材質を変更させたりできる。
なお、このスポット溶接は、長手方向に間隔を置いて、ほぼ等間隔に三箇所設けている。具体的には、ブラケット41の両端近傍と、ブラケット41の中心部近傍と、の三箇所にスポット溶接を設けている。
また、第1レール(キャビネットレール)42は、上方に延設されたフランジを長手方向(図3においては紙面に垂直な方向、以下同じ)の左右に有している。
第2レール(ミドルレール)43は、本発明の冷蔵庫における第2レールの一例である。第2レール(ミドルレール)43は、長手方向に垂直な断面がIの字状であり、左右に突出したフランジを長手方向の上下に有する形状である。
この上下のフランジのうちの下のフランジは、第1レール(キャビネットレール)42に長手方向に移動可能に保持されている。
具体的には、第1レール(キャビネットレール)42の左右のフランジは、図3に示すように、第2レール(ミドルレール)43の下のフランジを越える高さまで延設されている。これにより、第2レール(ミドルレール)43を移動可能かつ安定的に保持している。
第3レール(トップレール)44は、本発明の冷蔵庫における第3レールの一例であり、収納容器63a等の引き出し式の貯蔵室を形成する容器を支持するレールである。
第3レール(トップレール)44は、第1レール(キャビネットレール)42と同様の断面形状であり、第2レール(ミドルレール)43の上のフランジを長手方向に移動可能に保持している。
第1レール(キャビネットレール)42および第3レール(トップレール)44のそれぞれは、具体的には、ボールゲージ46に保持された複数のベアリング45により第2レール(ミドルレール)43を移動可能に保持している。ここでベアリング45は、本発明の冷蔵庫における摺動部材の一例である。
より詳細に説明すると、第2レール(ミドルレール)43の上下のフランジのうち、下のフランジを中心とする部分を第1レール(キャビネットレール)42が複数のベアリング45で保持している。
また、第1レール(キャビネットレール)42は、当該断面においては複数のベアリング45を介して三方向から第2レール(ミドルレール)43を支持することで、第2レール(ミドルレール)43を長手方向に移動可能に保持している。
また、第2レール(ミドルレール)43の上フランジを中心とする部分を第3レール(トップレール)44が複数のベアリング45で保持している。また、第3レール(トップレール)44も、当該断面においては複数のベアリング45を介して三方向から第2レール(ミドルレール)43を支持することで、第2レール(ミドルレール)43を長手方向に移動可能に保持している。
第1レール(キャビネットレール)42、第2レール(ミドルレール)43および第3レール(トップレール)44がこのように組み合わされていることにより、第2レール(ミドルレール)43は、第1レール(キャビネットレール)42上をその長手方向に移動可能である。
さらに、第3レール(トップレール)44は、第2レール(ミドルレール)43上をその長手方向に移動可能である。つまり、第3レール(トップレール)44は、第2レール(ミドルレール)43を介して第1レール(キャビネットレール)42上をその長手方向に移動可能である。
また、第2レール(ミドルレール)43および第3レール(トップレール)44は、このように移動する際、複数のベアリング45が回転することによりスムーズに移動することができる。
図4は本実施の形態1におけるレール装置の外観を示す第1の斜視図である。図5は本実施の形態1におけるレール装置の外観を示す第2の斜視図である。図4および図5に示すように、第3レール(トップレール)44は、第2レール(ミドルレール)43を介して第1レール(キャビネットレール)42に対して移動する。つまり、レール装置40全体として伸縮する。
具体的には、野菜室56の場合、使用者が扉63を引き出すことにより、扉63に連結された左右の第3レール(トップレール)44が引き出される。
これにより、図2に示すように、第3レール(トップレール)44に支持されている収納容器63aが断熱箱体52の外部に引き出される。つまり、野菜室56が全開になる。
また、第1レール(キャビネットレール)42、第2レール(ミドルレール)43、および第3レール(トップレール)44それぞれの長さは、収納容器63aが最大引き出し位置まで引き出された場合に、収納容器63aの奥端辺が、野菜室56の直上部の扉の前面より前方に位置させる長さである。
このように、引き出し式貯蔵室である野菜室56が全開可能である本実施の形態の冷蔵庫51は、レール装置40が有する種々の技術的特徴により、引き出しの円滑性等の使い勝手を失わない。
具体的には、図3に示すように、第1レール(キャビネットレール)42の左右のフランジは、ともに、第2レール(ミドルレール)43の下のフランジを越える高さまで延設されている。
つまり、第1レール(キャビネットレール)42の長手方向に垂直な断面が、おおよそ左右対称である。
さらに、第1レール(キャビネットレール)42は、内箱70に固定されたブラケット41と面接合されている。
これにより、図42の従来の第1レール(固定レール)4031aと比較すると、第1レール(キャビネットレール)42の長手方向に垂直な断面が、おおよそ左右対称であるため、第2レール(ミドルレール)43から第1レール(キャビネットレール)42にかかる荷重がほぼ左右均等にかかるため、庫内側方向の成分を持つ荷重に対して開きにくいという特徴がある。
また、第1レール(キャビネットレール)42に掛かる荷重は、第1レール(キャビネットレール)42とスポット溶接により接合されているブラケット41に伝達することになる。
しかし、ブラケット41の曲げ部分には、図3および図4に示すように複数のリブ41aが設けられている。そのため、リブ41aがない場合と比較すると同じ荷重に対する曲げ量は抑制される。
また、図3に示すように、ホルダレール48の庫内側に折り曲げられた部分の一部が、第1レール(キャビネットレール)42の下まで延伸している。
これにより、レール装置40の庫内側への傾き量、および鉛直方向のたわみ量等が抑制される。なお、ホルダレール48の庫内側に折り曲げられた部分の長さは、おおよそ、第1レール(キャビネットレール)42の左右方向の中心を越える長さであることが好ましい。
さらに、第1レール(キャビネットレール)42はおおよそ左右対称であるため、ロール成型時の成形性がよい。つまり、精度よく作製することが容易である。
また、第1レール(キャビネットレール)42とブラケット41との接合は、スポット溶接としたことにより、局部的に溶接されることとなり、長手方向に連続的に溶接した場合と比較すると、溶接時の加熱によるレール装置の長手方向の変形(ゆがみ)は抑制され、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
つまり、本実施の形態1では、レール装置の倒れ防止部は、内箱70に対して固定されるブラケット41の平面部と第1レール(キャビネットレール)42の外郭の平面部とが予め接合されることによって構成したことにより、第1レール(キャビネットレール)42は、当該溝に移動可能に設置された第2レール(ミドルレール)43を介して第1レール(キャビネットレール)42に力が加えられた場合に開き難い断面形状となり、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、レール装置の変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
また、第1レール(キャビネットレール)42は、正面から見たときに左右対称であることから、例えば板材をロール成型することにより第1レール(キャビネットレール)42を作製する場合に、精度よく作製することが容易である。
また、第1レール(キャビネットレール)42とブラケット41とは別体であることから、ブラケット41の奥行き方向の長さは、第1レール(キャビネットレール)42の長さとは関係なく決定することができることとなり、ブラケット41の長さはレール装置を内箱に固定するために必要な長さだけあればよく、レール装置の作製に必要な材料の量(長さ)を従来よりも少なくすることが可能である。
以上のように、第1レール(キャビネットレール)42の、第2レール(ミドルレール)43を挟む2つのフランジがともに所定の高さ以上であること、ブラケット41の曲げ部分にリブ41aが設けられていること、およびホルダレール48が、第1レール(キャビネットレール)42を下から支え得る形状であることにより、レール装置40が傾く、曲がるまたはたわむといった、レール装置40の変形が抑制される。
これにより、大容量の野菜室56に多くの食品等が収納されており、かつ、図2に示すように、全開可能である場合であっても、野菜室56の出し入れの際の円滑性は失われない。かつ、使用者は、食品等の出し入れ、および、収納容器63aの清掃等のための収納容器63aの取り外しおよび取り付けを容易に行うことができる。
また、冷凍室57のレール装置においても野菜室56と同様な構成とすることができる。
このように、本実施の形態1の冷蔵庫51は、引き出し式の貯蔵室を備える冷蔵庫であって、当該貯蔵室の容量が大きなものであっても、使い勝手の良さを失わない冷蔵庫である。
また、第1レール(キャビネットレール)42は、レール装置40を内箱70に固定するためのブラケット41とは別体である。そのため、ブラケット41は、レール装置40の、内箱70に対する固定に必要な長さだけあればよい。これにより、レール装置40に必要な材料が削減されるという効果も発揮される。
なお、本実施の形態1では、第1レール(キャビネットレール)42とブラケット41との接合は、スポット溶接としたが、アーク溶接などにより、長手方向に連続的に接合してもよい。
また、ホルダレール48のフランジ部の上面と内箱70の下面とは、断熱材を介さず、直接に接していることにより、レール装置40に荷重が掛かった場合において、その荷重によるレール装置40の変形を柔軟な発泡断熱材72を介さずに、強固な材質であるホルダレール48によって抑制することが可能となり、ホルダレール48の補強効果を確実にもたらすことができる。
また、ホルダレール48を内箱面に直接に取り付けを行えるため、ホルダレール48の取り付け位置の規制がしやすくなり、ホルダレール48は求められた所定の位置に確実に取り付けが行え、ホルダレール48の補強効果が確実に得られる。
また、第1レール(キャビネットレール)42の下面と内箱70の上面とは、直接に接していることにより、レール装置40に荷重が掛かった場合において、第1レール(キャビネットレール)42の下面と内箱70の上面との間に空間が存在した場合は、レール装置は何の阻害も受けずに変形を続けることとなる。第1レール(キャビネットレール)42の下面と内箱70の上面とは、直接に接していることで、第1レール(キャビネットレール)42の下面と内箱70の上面との間に空間が存在せず、その荷重によるレール装置40の変形を、内箱70の発泡断熱材72内に取り付けられたホルダレール48によって抑制することが可能となり、ホルダレール48の補強効果を確実にもたらすことができる。
ただし、レール装置の取り付け工程におけるバラツキや、製品バラツキ等の影響により、第1レール(キャビネットレール)42の下面と内箱70の上面とが、必ずしも、直接に接することがない場合があるが、第1レール(キャビネットレール)42の下面と内箱70の上面との隙が1mm以下であれば、直接に接した場合に比べ、ホルダレール48の補強効果における劣化が小さく、第1レール(キャビネットレール)42の下面と内箱70の上面との隙が1mm以下であれば、直接に接していることとほぼ同様の作用効果が得られる。
なお、図3から図5に示す、本実施の形態1におけるレール装置40は、貯蔵室が大容量であり、かつ、貯蔵室が全開するまで引き出された場合であっても、当該貯蔵室の使い勝手の良さを保持することのできるレール装置の一例である。
なお、本発明のレール構造は冷蔵庫に限られたものではなく、例えばシステムキッチン、食器棚、食器洗浄器、机等に限らず引き出し機構を有するもの全てに適用されるものである。
なお、本実施の形態1では、第3レール(トップレール)44の端部が扉63に連結されて、収納容器63aは、この第3レール(トップレール)44に支持されている。すなわち、収納容器63aは第3レール(トップレール)44に直接的に支持されている。
しかしながら、例えば、収納容器63aは、扉63に連結された扉フレーム(図示せず)に支持されているものとしてもよい。すなわち、収納容器63aは第3レール(トップレール)44に間接的に支持されている。この扉フレームは、例えば、鉄など、金属材料で成形されたものであって、扉63の貯蔵室側の面に対して略垂直に、ビスなど(図示せず)を用いて扉63に固定連結されている。また、扉フレームは、第3レール(トップレール)44に接合される。
なお、この扉フレームを介して、収納容器63aは第3レール(トップレール)44に間接的に支持されていることは、以下で示す実施の形態2以降についても、同様にいえるものである。
引き出し式の容器を支持して収納物の出し入れをする扉を備えた貯蔵室においては、従来、収納物の出し入れの容易さや扉引き出し時の容器内の見渡し易さに一定の満足度を使用者に与える意味で、使い勝手面で引き出し容器の引き出し代を設定することが一般的であった。近年、例えば引き出し貯蔵室を野菜室として用いる場合は、健康志向により野菜の収納量が増えている状況に加えて、ペットボトル入りの飲料の増加で、これら重量の重い飲料ボトル類が冷蔵室から野菜室に移されることで、野菜室の収納容器に収納状態において大きな荷重が掛かる状況となっている。このような状況下で、上述のように引き出し容器の引き出し代を使い勝手面で大きく設定すると、収納容器を最終的に支持するレール部材への荷重が大きくなり、より高耐荷重のレール装置が要求される背景にある。
このことは、食品を多量に一旦冷凍保存をしている冷凍室に対しても同様である。
また、本発明では、収納物を出し入れする通常の使用状態と同様の使用位置で、同時にいつでも容器を着脱して洗浄できるようにするためには、使用者が1アクション(一回)の引き出し動作をするのみで上方向への容器の着脱が可能となる位置まで引き出せるような冷蔵庫本体との前後方向の寸法関係の設計思想と、かつ、その引き出し代が大きい状態にも耐える高耐荷重の高精度レール装置と、そのレール装置のよさを生かす冷蔵庫本体と扉へのバラツキの少ない固定、装着構造が必要となるものである。本発明は、この課題を総合的に解決できる冷蔵庫への引き出しレール装置の組み込み構成を提供するものである。
以下、本発明の実施の形態1における冷蔵庫について、図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
図6は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の側面から見た断面図である。図7は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面から見た断面図である。図8は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の分解図である。図9は本発明の実施の形態1におけるレール装置の分解図である。図10は本発明の実施の形態1におけるレール装置の構成概要を示す正面図である。
図6から図10において、冷蔵庫618の断熱箱体619は内箱620と外箱621との間に発泡断熱材622を充填したものであり、前面開口部619aを有し、仕切壁623、623a、624により、上部より冷蔵室625、切換室626、野菜室627、冷凍室628を形成している。
また、仕切壁624の両側面は開放部624aを有し、仕切壁624内部には断熱箱体619と同様に発泡断熱材622が充填されている。
また、仕切壁624の上部に配置する野菜室627は冷却温度が5℃程度、下部に配置する冷凍室628は冷却温度が−20℃程度の冷凍温度帯というように仕切壁624を介して上下に異なる温度帯に設定されている。
野菜室627と冷凍室628はそれぞれ前面開口部619aを野菜室引出し扉629と冷凍室引出し扉630が備えられた引出し式貯蔵室であり、更に野菜室627と野菜室引出し扉629および冷凍室引出し扉630とはそれぞれレール部材631にて連結されることにより前後方向に引出し摺動可能となっている。また、切換室626も引出し式貯蔵室である。
また、野菜室引出し扉629の上端部は床面から人の肘の高さに相当する1000mm以下に位置するように設定されている。
レール部材631は第1レール(固定レール)631aと、第3レール(移動レール)631bと、第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bとの間に備えられた第2レール(中間走行レール)631cと、第2レール(中間走行レール)631cと第1レール(固定レール)631aおよび第3レール(移動レール)631bとの係合を支持する回転支持部材である複数のベアリング631dとからなる。そして、第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bと第2レール(中間走行レール)631cとベアリング631dとを予め組み込んだ状態で第1レール(固定レール)631aを内箱620の両側壁面に固定し、第3レール(移動レール)631bを、仕切壁624を介して上下に配置する野菜室引出し扉629と冷凍室引出し扉630に連結支持している。
そして、各貯蔵室の容器632はレール部材631を内箱620に固定後にレール部材631の第3レール(移動レール)631bに支持し、各貯蔵室引出し扉を前後方向に引出すのと同期して第3レール(移動レール)631bと共に前後に移動し、更に各貯蔵室引出し扉を少なくとも全開した時に容器632は上方向に容易に着脱できるようになっている。
このような引出し式扉を開く際の動作は、使用者が行う一回の引出し動作によって、最大開放位置まで引出せるものである。なお、ここでは図示しないがレール部材631は仕切壁624に配置しても良い。
また、第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bと、第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bとの間にベアリング631dを介して配設した第2レール(中間走行レール)631cとからなるレール部材631は予め組み込んだものであり、このように予め組み込んだ高精度のレールを用いることで初めてそれぞれのレール間のクリアランスを最小限に設定することができる。
また、容器632の奥行(P寸法)は深さ(H寸法)より大きく設定するとともに、野菜室引出し扉629および冷凍室引出し扉630の引出し代(L寸法)は容器632の奥行(P寸法)より大きく設定している。
また、野菜室引出し扉629および冷凍室引出し扉630を最大開放したとき、容器632の奥側の内壁面(c面)は前面開口部619aすなわち、ここでは断熱箱体619の前面開口面(a面)より前方に位置するように設定している。
また、断熱箱体619の奥行き寸法(M寸法)に対して、野菜室627に備えられた容器632の奥行(P寸法)は60%程度となっており、奥行きが深い引出し式貯蔵室である。
さらに、この野菜室627は複数の引出し式貯蔵室の中でも容量が最も大きい貯蔵室である。
そして、上記扉開閉仕様を実施するために、レール部材631の第3レール(移動レール)631bの全長(D寸法)を第1レール(固定レール)31aの全長(E寸法)より大きく設定している。
なお、第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bとの間にベアリング631dを介して配設した第2レール(中間走行レール)631cの全長(F寸法)は、第1レール(固定レール)631a(E寸法)と略同一としている。そして、野菜室引出し扉629および冷凍室引出し扉630の閉時、第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bの先端部は略同一面とし、第3レール(移動レール)631bと第2レール(中間走行レール)631cの後端部を略同一面となる。また、野菜室引出し扉629および冷凍室引出し扉630の全開時、第1レール(固定レール)631aの先端部は第3レール(移動レール)631bの後端部が略同一位置となるとともに、第2レール(中間走行レール)631cの第1レール(固定レール)631aおよび第3レール(移動レール)631bとのラップ代が略同一寸法となるように第2レール(中間走行レール)631cは摺動動作する。
なお、内箱620の両側壁面に固定された左右のレール部材631は左右対称の形状を有し、左右共に備えることでより良い摺動性を発揮する。
また、冷凍室628の容器632の上部には、容器632より浅い小物容器632aが設置されていて、食品の区分収納を可能にしている。
また、左右一対のレール部材631の第1レール(固定レール)631aは位置規制部である連結部材633によってそれぞれ内箱620を介して固定位置を規制される。
連結部材633は水平部633aと、水平部633aの両端に垂直部633bを有する断面H形状で水平部633aは仕切壁624内部で上仕切壁624bと下仕切壁624cとにはさまれて固定され、垂直部633bは仕切壁624の開放部624aより仕切壁624の外部に突出し、内箱620の発泡断熱材622を充填した側に配置されるので連結部材33は各貯蔵室内に露出しない構造となっている。
また、垂直部633bの両端はそれぞれ野菜室627と冷凍室628との上下方向の中心部付近まで達し、各貯蔵室内の左右のレール部材631の第1レール(固定レール)631aは垂直部633bの固定部633cに固定され、少なくとも垂直部633bの固定部633cは内箱620の発泡断熱材622を充填した側の面に接している。更に左右の垂直部633bには孔633dを設けている。
なお、連結部材633が大きくなる場合には前後に複数に分割し、それぞれに水平部633aと垂直部633bと固定部633cとを備え、必要に応じて孔633dを設けると連結部材633を一体とした場合と同様の効果が得られる。また、ベアリング631dは回転支持部材であればよく、たとえばローラー等を用いてもよい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、各貯蔵室引出し扉を手前に引出すと各貯蔵室の両側部に備えられたレール部材631の第3レール(移動レール)631bと第2レール(中間走行レール)631cとがベアリング631dが回転することにより滑らかに手前側に摺動する。
それに伴い、レール部材631に支持された容器632も手前に引出され、容器632内に収納された被冷却物の取出し及び新たな被冷却物の収納が可能となる。
また、第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bとをあらかじめ組み込んだ状態の高精度のレール部材631を内箱620の両側壁面に固定することにより第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bとのクリアランスを小さくすることができ、ガタの少ない引出しを構成することができる。また、クリアランスを小さくすることにより取付けのバラツキも小さくできるので引出し扉の取付け不具合による傾きや他の引出し扉との間隔の不均一化という外観不良も抑制することができる。これらの効果はレール部材631の引出し代が大きいほど効果的である。本実施の形態1の引出し式貯蔵室のように、最大開放したとき、容器632の奥側の内壁面(c面)は断熱箱体619の前面開口面(a面)より前方に位置するような引出し代の大きいものであると、仮に背景技術で説明したような移動レールと固定レールが別体であって、断熱箱体側に備えられた固定レールの溝に後から扉側に備えられた移動レールを挿入するようなタイプのレールを用いた場合には、その挿入の際にレール間のクリアランスが小さいものであると、レールの挿入が非常に困難となる為、必然的にレール間のクリアランスを大きくとる必要があった。
よって、従来のような別体のレールを用いた場合には、レール間のクリアランスが大きくなる為、取付けのバラツキも大きくなり、また引出し扉の取付け不具合による傾きや他の引出し扉との間隔の不均一化が生じることで、このガタツキ部分を中心にレールに偏荷重が発生するため、この偏荷重によるレールの変形や取り付け面の変形等が懸念され、本実施の形態1のような引出ししろの大きい引出し式扉により大きな負荷がかかるような引出し式貯蔵室に適用することが難しかった。しかし、本実施の形態1のような第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bとをあらかじめ組み込んだ状態の高精度のレール部材631であれば、引出し代の大きい貯蔵室に適用しても十分な信頼性を確保することができる。
また、本実施の形態1では、断熱箱体619に備えられた複数の引出し式貯蔵室の中で最も容量の大きい引出し式貯蔵室である野菜室627の最大開放位置において、容器632の奥側の内壁面(c面)が断熱箱体619の前面開口面(a面)より前方に位置するものである。
これによって、最も容量が大きい為に収納時の重量が大きくなる為に引出し式扉により大きな負荷がかかるような引出し式貯蔵室においても、ガタツキ部分を中心にレールに発生する偏荷重の発生を抑制し、この偏荷重によるレールの変形や取り付け面の変形等を低減することができ、冷蔵庫の信頼性を低下させることなく引出し扉開放時に容器の上面開口部を最大化することができ、容器からの食品の取り出し易さや容器自身の着脱性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態1では、断熱箱体619の奥行き寸法(M寸法)に対して、野菜室627に備えられた容器632の奥行(P寸法)は60%程度となっており、奥行きが深い引出し式貯蔵室である。
これによって、従来引出し代を大きくすることが難しかった奥行きの深いタイプの引出し式貯蔵室においても、第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bとをあらかじめ組み込んだ状態の高精度のレール部材631を適用することで、引出し式貯蔵室に備えられた容器32の奥部までスムーズに引き出せる。これによって、使用者の冷蔵庫の収納性を向上させることができ、使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
なお、断熱箱体619の奥行き寸法(M寸法)に対する野菜室627に備えられた容器632の奥行(P寸法)の比率は55%以上で90%以下程度の範囲であれば、奥行きの深いタイプの引出し容器であり、この範囲の容器を大きな引出し代で上面を開放することにより使用者の使い勝手は従来に比べて飛躍的に向上するものである。
さらに上記比率が70%を超えるようなものであると、当該引出し式貯蔵室の後方に圧縮機や冷却器,凝縮器などの冷凍サイクル部品が配置されないかもしくは配置されても薄型化されたタイプの冷蔵庫で実現がしやすく、従来型の冷蔵庫と比べて差別化しやすい。
また、上記比率が80%を超えないようなものであると、当該引出し式容器に対する荷重に対しての強度確保に関わる構造やレール仕様が比較的合理的な範囲で対応できコスト負担が少なく実現できる。
また、引出し式貯蔵室である野菜室627は、使用者が行う一回の引出し動作によって、最大開放位置まで引出せるものである。
これによって、使用者が野菜室627を開放する動作を行う際に一回の引出し動作によってスムーズに最大開放位置まで開放することができるので、例えば冷蔵庫に収納する収納物を持ちながらでも、片手での動作でスムーズに最大開放位置まで引き出すことができ、使用者の冷蔵庫の収納性を向上させることができ、使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
また、第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bとの間を回転支持部材であるベアリング631dで支持することにより容器632に荷重を加えた場合でも滑らかに第3レール(移動レール)631bが移動できるので引出しの操作力を低減することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
また、連結部材633によりレール部材631の第1レール(固定レール)631aの取付位置を規制することで左右一対のレール部材631の幅寸法あるいは平行度が規定どおりに保持できることと、連結部材633により断熱箱体619の発泡断熱材622充填後の冷却時の熱収縮等による寸法変化を抑制することで、第1レール(固定レール)631aと第3レール(移動レール)631bとのクリアランスを小さく設定したレール部材631をあらかじめ組み込んだ状態で内箱620の両側壁面に固定する仕様としても左右一対のレール部材631間の寸法精度を高く保てるので容器632の引出し時の操作性を、位置規制部である連結部材633により高めることができる。また、長期にわたって操作信頼性の確保も図ることができる。
また、第2レール(中間走行レール)631cを備え、レール部材631の第3レール(移動レール)631bの全長(D寸法)を第1レール(固定レール)631a(E寸法)より大きく設定している。よって、野菜室引出し扉629および冷凍室引出し扉630を最大開放したとき、引出し代(L寸法)は容器32の奥行(P寸法)より大きく設定でき、容器632の奥側の内壁面(c面)は断熱箱体619の前面開口面(a面)より前方に位置することが可能となる。
したがって、野菜室627と冷凍室628使用時、野菜室引出し扉629および冷凍室引出し扉630と連動した容器632の奥部まで引き出す事ができ、容器32の奥部まで見渡すことが可能となり、容器632内の被冷却物の使い忘れによるロスを防止できる。さらに、容器632をレール部材631に着脱することが容易となるので使い勝手の向上を図ることができる。
また、本実施の形態1では、引出し式貯蔵室である野菜室627の引出し代が大きい為、最大開放位置において、野菜室627に備えられた容器632は、ほぼ鉛直方向において上方に引き上げることで取り出すことが可能である。
これによって、使用者が容器の清掃等を行う為に容器を取り外す際に容易に容器の着脱を行うことができ、食品等を収納する為に汚れ等が付着しやすい冷蔵庫を清潔に保つ際の使用者の使い勝手を大幅に向上させることができる。
なお、本実施の形態1では、断熱箱体619に備えられた複数の引出し式貯蔵室の中で最も容量の大きい引出し式貯蔵室である野菜室627の最大開放位置において、容器632の奥側の内壁面(c面)が断熱箱体619の前面開口面(a面)より前方に位置するものとして食品の取り出しやすさや容器632の着脱のしやすさが享受できるものとした。しかし、複数の引出し式貯蔵室のうち、このような効果が最も必要とされる引出し式貯蔵室に備えられていることにより、かかる容器を必ずしも必要としない引出し式貯蔵室との使い分けをすれば、多くの引出し式貯蔵室を有する冷蔵庫において合理的な構成を選択できる。例えば、比較的コンパクトで小容量の引き出し容器ではその必要性が低くなるし、直上部に位置する扉が引出し扉でなく見開きタイプの回転式扉等の場合は、この上部扉を開いた状態であれば比較的容易に容器を着脱できるので、着脱機会とのバランスで考えれば上述のような構成でない容器であってもさほどの不便さを感じにくいからである。
また、本実施の形態1では、断熱箱体619に備えられた複数の引出し式貯蔵室の中で最も容量の大きい引出し式貯蔵室である野菜室627の最大開放位置において、容器632の奥側の内壁面(c面)が断熱箱体619の前面開口面(a面)より前方に位置するものとした。しかし、より好ましくは、図6に示すように引出し式貯蔵室である野菜室627の最大開放位置において、容器632の奥端面を引出し式貯蔵室と隣接した上方に位置する貯蔵室に備えられた扉の前面(b面)より前方に位置させることで、使用者が野菜室627から収納物の出し入れを行う際に、容器の上方部分に扉等も介在しなくなる為、容器632からの食品取り出し性がより向上する。
また、使用者が容器632の清掃等を行う為に容器632を取り外す際に、容器632を上方へ持ち上げるだけで障害が無く簡単に容器632の着脱を行うことができ、食品等を収納する為に汚れ等が付着しやすい冷蔵庫を清掃や洗浄により清潔に保つ際の使用者の使い勝手を大幅に向上させることができる。
また、冷凍室628の容器632の上部には、容器632より浅い小物容器632aが設置されているので、食品の区分収納が可能となり、さらに使い勝手が向上する。
この浅い小物容器632aの奥側の内壁面と断熱箱体619の前面開口面(a面)、奥端面と上部に介在する扉の前面(b面)との位置関係を上述の容器632と同様に設定することで、浅い小物容器632aに対しても同様の作用効果を得ることができる。
また、野菜室引出し扉629の上端部を人の肘の位置より低い1000mm以下に設定しているので、容器632内の食品の出し入れを楽に行なうことができる。
また、連結部材633を各貯蔵室内に露出させないようにしたので連結部材633を各貯蔵室内部に配置した場合に比べ収納内容積の低減を抑制することができる。
また、連結部材633を金属材料で形成した場合に端面のエッジによる怪我を防止できるので安全性を向上させることができ、更に端面のエッジ削除処理を廃止できるのでコストダウンを図ることができる。
また、左右の第1レール(固定レール)631aを連結する連結部材633を断熱箱体619の発泡断熱材622内に埋設したので、冷蔵庫618の使用時に連結部材633の結露,着霜の防止を図ることができ、更に連結部材633が空気と接することが無いので連結部材633の耐食性を向上させることができ、連結部材633の防錆処理も軽減できるのでコストダウンを図ることができる。
また、連結部材633の周辺に発泡断熱材622があることで連結部材633の取付け強度も向上し、位置規制の信頼性やレール部材631の取付け強度の向上を図ることができる。
また、断熱箱体619を野菜室627と冷凍室628に区画する仕切壁624を設け、左右の第1レール(固定レール)631aを連結する連結部材633を仕切壁624の内部に設けたので、複数の貯蔵空間を有する場合に連結部材633を配置することによる収納内容積の低減を抑制することができる。
また、上下に隣り合った野菜室627と冷凍室628にそれぞれレール部材631を備え、それぞれのレール部材631の第1レール(固定レール)631aを連結部材633で一体に固定したので、複数の貯蔵室の操作性を同時に高めることができる。
また、連結部材633を両端に垂直部633bを有する断面H形状とし、垂直部633bに上下に隣り合った野菜室627と冷凍室628のレール部材631の第1レール(固定レール)631aを一体に固定したので、一つの連結部材633に複数のレール部材631の第1レール(固定レール)631aを固定することにより部品点数の削減によるコストダウンを図ることができる。
なお、本実施の形態1では、連結部材633を両端に垂直部633bを有し、その間に水平部633aを有する断面H形状とし連結部材633を両端に垂直部633bを有する断面H形状とした。しかし、左右の垂直部633bには孔633dを設けている連結部材633が大きくなる場合には前後に複数に分割し、それぞれに水平部633aと垂直部633bと固定部633cとを備え、必要に応じて孔633dを設けると連結部材633を一体とした場合と同様の効果が得られる。
なお、連結部材633の水平部633aは、冷蔵庫の設計によっては必ずしも必要ではない場合もあり、例えば連結部材633は水平部633aが無く、内箱620の発泡断熱材622を充填した側に左右の一対の垂直部633bを有するものでもあっても良い。その場合には垂直部633bは互いにつながっておらず別体であるが、その場合でも何らかの方法で位置規制部を設けて垂直部633bの左右の位置決めを行うことで、レール部材631の左右の取り付け位置の精度を向上させることができ、水平部633aを無くし省資源を図りながら高精度のレール部材を備えることができる。
また、連結部材633の両端の垂直部631bに孔631cを設けたので、複数の貯蔵室の温度帯が異なる場合に連結部材633からの熱伝達を抑制し、温度帯の高い貯蔵室側の結露の防止や熱リークによる消費電力の増加を抑制できる。
なお、垂直部631bに設ける孔631cは強度を維持できる程度に複数設けることで、熱移動量を効果的に低減できる。
また、左右の一対のレール部材631の第1レール(固定レール)631aを前後方向に複数の連結部材633で連結した場合には、特にレール部材631を大型冷蔵庫に使用した場合に、連結部材633を複数に分割することにより連結部材633の小型化を図れるのでコストダウンを図ることができる。
なお、本実施の形態1ではレール部材631を野菜室627と冷凍室628とで共通としたが、実使用の収納形態などによりそれぞれ貯蔵室別に違う材料で形成したものを使用するとさらにコスト低減、信頼性向上を図ることができる。
また、連結部材633は線膨張率が1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃、熱伝導率が0.1〜0.2W/m・Kである材料としたが、一般的には線膨張率に関しては金属類が1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃で樹脂類は1.0〜15.0×10−5cm/cm・℃であり、熱伝導率は金属類が1.0〜400.0W/m・Kで樹脂類は0.1〜0.2W/m・Kである。
従って、連結部材633の材料としては冷蔵庫618の運転時にレール部材631の取付け位置精度が要求される場合には線膨張率の小さい金属類を使用し、温度帯の高い貯蔵室側の結露の防止や熱リークによる消費電力の増加の抑制が要求される場合には熱伝導率の小さい樹脂類を使用することが望ましい。また、複数の貯蔵室に対して両者を一体化して用いてもよい。
なお、本実施の形態1では、野菜室627と冷凍室628にレール部材631を用いたもので説明したが、引出し容器を備えた貯蔵室に適宜適用できる。たとえば、野菜室627の上部に位置する切換室626や、切換室626の横に併設した製氷室(図示せず)等の引出し式貯蔵室に用いてもよい。
また、本実施の形態1では、連結部材633は水平部633aと、水平部633aの両端に垂直部633bを有する断面H形状とし、野菜室627と冷凍室628のそれぞれのレール部材631を一体に固定したもので説明したが、野菜室627と冷凍室628のそれぞれに両端に垂直部を有する連結部材を用いてもよい。この場合、野菜室627と冷凍室628が上下に併設していない冷蔵庫において、それぞれガタツキの少なくて荷重を加えても操作力の小さい使い勝手の良い引出しを提供することができる。また、複数のレール部材を一つの連結部材に固定した場合に比べ複数の貯蔵室の温度帯が異なる場合に更に連結部材からの熱伝達を抑制し、温度帯の高い貯蔵室側の結露の防止や熱リークによる消費電力の増加を抑制できる。
なお、左右の一対のレール部材の第1レール(固定レール)を複数の連結部材で連結してもよい。この場合、連結部材を複数に分割することにより連結部材の小型化を図れるのでコストダウン、軽量化を図ることができる。
(実施の形態2)
図11は本発明の実施の形態2におけるレール装置の構成概要を示す正面図である。
実施の形態2におけるレール装置80は、実施の形態1におけるレール装置40と比較すると、第1レール(キャビネットレール)42とブラケット84との接合位置が異なる。
具体的には、ブラケット84は全体としてLの字形状である。また、第1レール(キャビネットレール)42の下面とブラケット84とがスポット溶接により接合されている(図11の点線で囲まれた部分)。
つまり、ブラケット84は、第1レール(キャビネットレール)42を下から支える構造になっている。
これにより、レール装置80に加えられる鉛直方向の荷重に対する強度が向上する。
また、第1レール(キャビネットレール)42とブラケット84との接合面に対し、主として垂直な方向から荷重が加えられる。そのため、当該接合部分の信頼性が向上する。
また、さらに、ブラケット84は、実施の形態1におけるブラケット41に比べ、折り曲げ箇所が一箇所少ない。つまり、ブラケット84は、ブラケット41より少ない工程で作製できる。
このように、実施の形態2におけるレール装置80は、主として鉛直方向の荷重に対して高い強度および信頼性を備えている。
これにより、レール装置80が、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、レール装置80の変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
(実施の形態3)
図12は本発明の実施の形態3におけるレール装置81の構成概要を示す正面図である。
実施の形態3におけるレール装置81は、従来の固定レール4031a(図42参照)と同様の形状の第1レール(キャビネットレール)86を有している。
つまり、第1レール(キャビネットレール)86は、実施の形態1における第1レール42とは異なり、内箱70に直接固定されている。
また、第1レール(キャビネットレール)86の断面形状は、第1レール(キャビネットレール)42とは異なり、左右対称ではない。しかし、第2レール(ミドルレール)85の上下方向の寸法が、実施の形態1における第2レール43の上下方向の寸法よりも長くなっている。
これにより、第2レール(ミドルレール)85の断面2次モーメントは、第2レール(ミドルレール)43の断面2次モーメントよりも大きくなっている。つまり、第2レール(ミドルレール)85は、第2レール(ミドルレール)43よりも曲げに対する強度が高い。
例えば、レール装置81に加えられる荷重の位置および大きさを考慮し、第2レール(ミドルレール)85に求められる図心軸回りの断面2次モーメントを算出する。
また、この算出された断面2次モーメントと、第2レール(ミドルレール)85の上フランジおよび下フランジの断面形状等を含む第2レール(ミドルレール)85の断面形状とに基づき、算出された断面2次モーメントに必要な第2レール(ミドルレール)85の上下方向の寸法を求める。
第2レール(ミドルレール)85の上下方向の実際の寸法を、このようにして求められた寸法より長くすることにより、実際の断面2次モーメントが、上記の算出された断面2次モーメントの値よりも大きくなる。
このように、第2レール(ミドルレール)85の上下方向の寸法を長くすることで、第2レール(ミドルレール)85の曲げに対する強度が向上する。
これにより、レール装置81が、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、レール装置81の変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
本実施の形態3では、レール装置の倒れ防止部は、第2レール(ミドルレール)85の上下方向の寸法が所定の寸法より長いことにより、長手方向に垂直な断面における断面2次モーメントが所定の値より大きい構成としたことにより、第2レール(ミドルレール)85の断面2次モーメントを増加させるように、第2レール(ミドルレール)85の寸法を変更することで、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、第2レール(ミドルレール)の変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
(実施の形態4)
図13は本発明の実施の形態4におけるレール装置の構成概要を示す正面図である。
実施の形態4におけるレール装置82は、従来の固定レール4031a(図42参照)と同様の形状の第1レール(キャビネットレール)86を有している。
また、第3レール(トップレール)44aの内箱70側(図13において左側)のフランジが、実施の形態1における第3レール44と比較すると長くなっている(図13の点線で囲まれた部分)。
具体的には、図13に示すように、第3レール(トップレール)44aは、第2レール43の上のフランジを挟んで長手方向の左右に下向きのフランジを有している。
また、左右のフランジのうちの内箱70の内側面側(図13において左側)のフランジは、他方のフランジよりも下方まで延設されている。
これにより、第3レール(トップレール)44aの断面2次モーメントは、第3レール44の断面2次モーメントよりも大きくなっている。つまり、第3レール(トップレール)44aは、第3レール44よりも曲げに対する強度が高い。
これにより、レール装置82が、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、レール装置82の変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
本実施の形態4では、レール装置の倒れ防止部は、第3レール(トップレール)44aのフランジを第2レール(ミドルレール)43の上のフランジを挟んで長手方向の左右に下向きのフランジとし、左右のフランジのうちの内側面側のフランジは、他方のフランジよりも下方まで延設される構成としたことにより、第3レール(トップレール)44aの断面2次モーメントを増加させるように、第3レール(トップレール)44aの断面の形状を変更することで、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、第3レールの変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
(実施の形態5)
図14は本発明の実施の形態5におけるレール装置の構成概要を示す正面図である。
実施の形態5におけるレール装置83は、上述の実施の形態2におけるレール装置80と同じく、全体としてLの字形状のブラケット84を有している。
また、第1レール(キャビネットレール)42の下面とブラケット84とがスポット溶接により接合されており、ブラケット84は、第1レール(キャビネットレール)42を下から支える構成になっている。
しかし、第1レール(キャビネットレール)42および第3レール(トップレール)44の第2レール(ミドルレール)43aに対する支持形態が、実施の形態1から4における支持形態とは異なる。
具体的には、第2レール(ミドルレール)43aの各部分を、図14に示すように、上フランジ43b、ベースプレート43c、および下フランジ43dとすると以下に示す支持形態である。
すなわち、第1レール(キャビネットレール)42は、複数のベアリング45を介し、下フランジ43dを中心とする部分を、断面において四方向から支持している。これにより、第2レール(ミドルレール)43を長手方向に移動可能に保持している。
また、第3レール(トップレール)44は、複数のベアリング45を介し、上フランジ43bを中心とする部分を、断面において四方向から支持している。これにより、第2レール(ミドルレール)43を長手方向に移動可能に保持している。
実施の形態1から4と比較すると、第2レール(ミドルレール)43aは、第1レール(キャビネットレール)42および第3レール(トップレール)44のそれぞれとの関係において、より多くの方向から支持されている。
こうすることで、第3レール(トップレール)44および第1レール(キャビネットレール)42と、第2レール(ミドルレール)43aとの結合部分の、庫内方向(図9において右方向)の力に対する強度が向上する。
これにより、レール装置83が、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、レール装置83の変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
なお、第2レール(ミドルレール)43aは、第1レール(キャビネットレール)42および第3レール(トップレール)44の少なくとも一方において四方向から支持されていれば、ともに三方向から支持されている場合よりも、レール装置83としての強度は向上する。
以上、実施の形態1から5について説明したが、これらの説明および各図面に記載した各種の技術的特徴は、様々に組み合わせてもよい。
例えば、実施の形態2におけるレール装置80の内箱70への固定のために、図3に示すホルダレール48を用いてもよい。こうすることで、レール装置80の庫内側への傾き、および鉛直方向のたわみ等の変形が抑制される。
また、実施の形態3から5におけるレール装置の内箱70への固定のためにホルダレール48を用いても同様の効果がある。
また、例えば、実施の形態3における第1レール(キャビネットレール)86の曲げ部分に、実施の形態1におけるブラケット41と同様のリブを設けてもよい。これにより、第1レール(キャビネットレール)86の曲げに対する強度が向上する。
また、例えば、実施の形態2から5の各レール装置におけるそれぞれの技術的特徴の全てを組み合わせてもよい。
つまり、実施の形態2に示すように、第1レール(キャビネットレール)42の下面とL次形状のブラケット84とをスポット溶接で接合する。また、実施の形態3に示す、上下方向の寸法が長い第2レール(ミドルレール)85と、実施の形態4にしめす、フランジ部分の長い第3レール(トップレール)44aとを使用する。
さらに、実施の形態5に示すように、第2レール(ミドルレール)85が、第1レール(キャビネットレール)42および第3レール(トップレール)44aから、断面において四方向から支持されるよう、複数のベアリング45を配置する。
このように、レール装置の信頼性を高める各種の技術的特徴を組み合わせることでも、使い勝手のよい引き出し式の貯蔵室を実現するレール装置を提供することができる。
また、実施の形態1から5における各種のレール装置は、野菜室56および冷凍室57のみならず、引き出し式の貯蔵室である、製氷室54および切換室55における引き出し機構として用いることもできる。
(実施の形態6)
以下、本発明の冷蔵庫の実施の形態6について、図面を参照しながら説明する。
図15は本発明の実施の形態6における冷蔵庫の正面図である。図15に示すように、冷蔵庫151は、観音開き式の扉を備える冷蔵庫であり、断熱箱体152内に複数に区画された貯蔵室を備えている。
具体的には貯蔵室として、上部より冷蔵室153、製氷室154、製氷室154に併設され室内の温度が変更可能な切換室155、野菜室156、および冷凍室157を備えている。
各貯蔵室の開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した断熱扉が設けられている。具体的には、冷蔵室153には断熱箱体152の開口部を開閉可能に塞ぐ左扉160aおよび右扉160bが設けられている。
また、製氷室154、切換室155、野菜室156、および冷凍室157にはそれぞれ引き出し式の扉161、扉162、扉163、および扉164が設けられている。これら貯蔵室のうち、冷蔵室153以外の貯蔵室は引き出し式の貯蔵室である。
また、図15に示すように、断熱箱体152は、ABSなどの樹脂体を真空成型した内箱170とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱171とで構成された空間に発泡断熱材172が充填された断熱壁で構成されている。
野菜室156と冷凍室157の後側には、冷却器(図示せず)およびファン(図示せず)が設けられており、冷蔵庫151の本体下部に設置された圧縮機(図示せず)により冷却器が駆動され、冷却器から冷却された空気が各貯蔵室に送られる。また、それぞれの貯蔵室ごとに所定の温度に冷却制御される。
図16は本発明の実施の形態6における冷蔵庫の野菜室を引き出した状態を示す斜視図である。
図16に示すように、野菜室156は引き出し式の貯蔵室であり、野菜室156を形成する収納容器163aは、レール装置140により、断熱箱体152に出し入れ可能に備えられている。
具体的には、収納容器163aは、第2レール(ミドルレール)143を介して冷蔵庫151の前後方向に移動可能な第3レール(トップレール)144にその左右(図14において手前側と奥側)を支持されている。
なお、第2レール(ミドルレール)143は、図16に図示しない第1レール(キャビネットレール)142に移動可能に支持されている。また、第1レール(キャビネットレール)142は内箱170の内側面に固定されている。
収納容器163aの左右それぞれを支持する第3レール(トップレール)144の端部は扉163に連結されている。また、扉163の最大引き出し距離は、収納容器163aが完全に開放する長さである。
つまり、当該最大引き出し距離は、野菜室156を全開にしたときに、収納容器163aの奥(図14において左側)の端面が野菜室156の直上の扉161および扉162の前面より前方に位置する長さである。
この場合、収納容器163aの奥への食品の収納、および、収納容器163aの奥からの食品の取り出しが容易である。また、収納容器163aの取り出しおよび取り付けの際に、収納容器163aが上部の扉161および扉162に干渉しない。そのため収納容器163aの取り出しおよび取り付けを容易に行うことができる。
なお、冷凍室157も、野菜室156と同様に、最大引き出し距離が決定されており、使用者は、冷凍室157を形成する収納容器を容易に着脱することができる。
野菜室156および冷凍室157は、レール装置140が伸長することにより、このような位置まで引き出される。
図17は、本発明の実施の形態6におけるレール装置140の構成概要を示す断面図である。
図17に示すように、レール装置140は、引き出し式の貯蔵室を形成する収納容器を前後に移動可能に支持する装置であり、第1レール(キャビネットレール)142と、第2レール(ミドルレール)143と、第3レール(トップレール)144とを有する。
第1レール(キャビネットレール)142、第2レール(ミドルレール)143、および第3レール(トップレール)144はそれぞれ長尺状であり、これらの長手方向が同一になるように配置されている。
また、第1レール(キャビネットレール)142は内箱170を挟んでホルダレール148とビス150aで締結される。これにより、レール装置140は、内箱170の内側面に固定される。ホルダレール148は、本発明の冷蔵庫における補助部材の一例であり、レール装置140を内箱170の内側面に固定するための部材である。このホルダレール148は、発泡断熱材172側に配置され、具体的には、ホルダレール148は、発泡断熱材172に埋設されている。
図17に示すように、ホルダレール148は、第1レール(キャビネットレール)142の下面の直下まで延設されたフランジ部148aを有する。これにより、第1レール(キャビネットレール)142の下方へのたわみを抑制することができる。具体的には、ホルダレール148は、少なくとも第1レール(キャビネットレール)142の下面の中心位置まで延設されたフランジ部148aを有する。そして、ホルダレール148は、フランジ部148aの先端を、略直角に鉛直方向下方に折り曲げた縦フランジ部148eを有している。
第1レール(キャビネットレール)142は、本発明の冷蔵庫における第1レールの一例である。
レール装置140は、内箱170の内側面に第1レール(キャビネットレール)142を固定した上で第3レール(トップレール)144に直接的又は間接的に収納容器163aを支持して前後に摺動可能にしたものである。
また、第1レール(キャビネットレール)142の断面形状は、左右対称ではない。
第2レール(ミドルレール)143は、本発明の冷蔵庫における第2レールの一例である。第2レール(ミドルレール)143は、長手方向に垂直な断面がIの字状であり、左右に突出したフランジを長手方向の上下に有する形状である。
この上下のフランジのうちの下のフランジは、第1レール(キャビネットレール)142に長手方向に移動可能に保持されている。
第3レール(トップレール)144は、本発明の冷蔵庫における第3レールの一例であり、収納容器163a等の引き出し式の貯蔵室を形成する容器を支持するレールである。
第3レール(トップレール)144は、断面がコの字状の断面形状であり、第2レール(ミドルレール)143の上のフランジを長手方向に移動可能に保持している。
第1レール(キャビネットレール)142および第3レール(トップレール)144のそれぞれは、具体的には、ボールゲージ146に保持された複数のベアリング145により第2レール(ミドルレール)143を移動可能に保持している。ここでベアリング145は、本発明の冷蔵庫における摺動部材の一例である。
より詳細に説明すると、第2レール(ミドルレール)143の上下のフランジのうち、下のフランジを中心とする部分を第1レール(キャビネットレール)142が複数のベアリング145で保持している。
また、第1レール(キャビネットレール)142は、当該断面においては複数のベアリング145を介して三方向から第2レール(ミドルレール)143を支持することで、第2レール(ミドルレール)143を長手方向に移動可能に保持している。
また、第2レール(ミドルレール)143の上フランジを中心とする部分を第3レール(トップレール)144が複数のベアリング145で保持している。また、第3レール(トップレール)144も、当該断面においては複数のベアリング145を介して三方向から第2レール(ミドルレール)143を支持することで、第2レール(ミドルレール)143を長手方向に移動可能に保持している。
第1レール(キャビネットレール)142、第2レール(ミドルレール)143および第3レール(トップレール)144がこのように組み合わされていることにより、第2レール(ミドルレール)143は、第1レール(キャビネットレール)142上をその長手方向に移動可能である。
さらに、第3レール(トップレール)144は、第2レール(ミドルレール)143上をその長手方向に移動可能である。つまり、第3レール(トップレール)144は、第2レール(ミドルレール)143を介して第1レール(キャビネットレール)142上をその長手方向に移動可能である。
また、第2レール(ミドルレール)143および第3レール(トップレール)144は、このように移動する際、複数のベアリング145が回転することによりスムーズに移動することができる。
以下、本発明に係るレール装置の倒れ防止部について説明する。
図42に示すように、従来のレール装置4031に荷重が掛かると、レール装置4031は矢印の方向へ変形しようとする。つまり、固定レール4031aが口開きを行おうとする。
しかし、図17に示すように、ホルダレール148は、少なくとも第1レール(キャビネットレール)142の下面の中心位置まで延設されたフランジ部148aを有することにより、第1レール(キャビネットレール)142の下部において、第1レール(キャビネットレール)142の底面に対しての中心位置をホルダレール148によって受ける。また、ホルダレール148が発泡断熱材172側に配置され、ホルダレール148が発泡断熱材172に埋設されていることから、ホルダレール148と発泡断熱材172との接触面積を大きくする。よって、レール装置140の垂直方向へ下がろうとする変形を発泡断熱材172による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置140を内箱170に固定するためのホルダレール148の形状を工夫することにより、ホルダレール148自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレール148の発泡断熱材172内での垂直方向の変形を抑制できる。これにより、レール装置140に荷重が掛けられた場合におけるレール装置140の垂直方向の傾きが抑制され、その結果、第1レール(キャビネットレール)142の口開きを抑制することができる。つまり、本来的には、レール装置140の固定の役割を担うホルダレール148に、さらに、レール装置140の補強という役割を担わせることができる。
また、ホルダレール148は、レール装置140の底面側に、引出扉が引き出された際にレール装置140に加わる力の向きと同方向に伸びた縦フランジ部148eを有したことにより、ホルダレール148の形状として縦断面二次モーメントが増加することによる強度向上を図るとともに、ホルダレール148の縦フランジ部148eの水平方向における発泡断熱材172との接触面積が追加されることとなり、縦フランジ部148eの水平方向へ移動しようとする変形(図17の矢印にて示す)を発泡断熱材172との接触による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するためのホルダレールの形状を工夫することにより、ホルダレール自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレールの発泡断熱材内での水平方向の変形を抑制できることとなり、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の水平方向の傾きが抑制される。
このように、レール装置140を内箱170に固定するためのホルダレール148の形状を工夫する、すなわち、本実施の形態6では、レール装置の倒れ防止部として、ホルダレール148をレール装置140が取り付けられた内箱170の発泡断熱材172側に配置するとともに、少なくとも第1レール(キャビネットレール)142の下面の中心位置まで延設されたフランジ部148aを有する構成としたことにより、レール装置140に荷重が掛けられた場合におけるレール装置140の傾き等の変形が抑制される。
つまり、本来的には、レール装置140の固定の役割を担うホルダレール148に、さらに、レール装置140の補強という役割を担わせることができる。
図18は本発明の実施の形態6におけるレール装置の外観を示す斜視図である。図18に示すように、第3レール(トップレール)144は、第2レール(ミドルレール)143を介して第1レール(キャビネットレール)142に対して移動する。つまり、レール装置140全体として伸縮する。
具体的には、野菜室156の場合、使用者が扉163を引き出すことにより、扉163に連結された左右の第3レール(トップレール)144が引き出される。
これにより、図16に示すように、第3レール(トップレール)144に支持されている収納容器163aが断熱箱体152の外部に引き出される。つまり、野菜室156が全開になる。
また、第1レール(キャビネットレール)142、第2レール(ミドルレール)143、および第3レール(トップレール)144それぞれの長さは、収納容器163aが最大引き出し位置まで引き出された場合に、収納容器163aの奥端辺が、野菜室156の直上部の扉の前面より前方に位置させる長さである。
このように、引き出し式貯蔵室である野菜室156が全開可能である本実施の形態6の冷蔵庫151は、レール装置140が有する種々の技術的特徴により、引き出しの円滑性等の使い勝手を失わない。
図19は、本発明の実施の形態6におけるホルダレールの取り付け状態を示す斜視図である。図19に示すように、ホルダレール148は内箱170の裏側面に取り付けられる。
具体的には、まず、ホルダレール148に設けられた内箱170へ固定するための補助部材の固定部148bと、内箱170に設けられた穴とを合わせ、ビス150bによって固定される。その後、内箱170と外箱171との間隙にウレタンなどの発泡断熱材172を発泡充填することで、ホルダレール148は内箱170の裏面に固着された状態で発泡断熱材172中に埋設されるものであり、ホルダレール148は発泡断熱材172が固化することでより強固に固定される。その後、レール装置140を内箱170に配置し、第1レール(キャビネットレール)142に設けられた穴(図示せず)と、ホルダレール148に設けられたレール装置の固定部148cとを合わせ、ビス150aによって固定され、内箱170にレール装置140を固定する。
図20は本発明の実施の形態6におけるホルダレールを示す斜視図である。ホルダレール148に設けられたフランジ部148aは、扉163が引き出された際に、長手方向に伸びたレール装置140に掛かる下向きの荷重を、受け止める状態になる。このとき、フランジ部148aはレール装置140から伝わる荷重によって、補助部材の固定部148bやレール装置の固定部148cを備えたホルダレール148の取り付け面となるホルダレール148の側面148fとフランジ部148aを有する面とで形成される角度が大きく広がろうという動きになる。この2面で形成される角度が大きくなる方向へ変形することは、レール装置140のたわみが発生することになり、引き出し扉の開閉時の操作性を損なうことになる。
このように、レール装置の信頼性を高めるため、ホルダレール148の形状を工夫することにより、使い勝手のよい引き出し式の貯蔵室を実現するレール装置を提供することができる。
以上のように、ホルダレール148は、少なくとも第1レール(キャビネットレール)142の下面の中心位置まで延設されたフランジ部148aを有することにより、第1レール(キャビネットレール)142の下部において、第1レール(キャビネットレール)142の中心位置をホルダレール148によって受けることとなるとともに、ホルダレール148と発泡断熱材172との接触面積を大きくすることとなり、レール装置140の垂直方向へ下がろうとする変形を発泡断熱材172による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置140を内箱170に固定するためのホルダレール148の形状を工夫することにより、ホルダレール148自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレール148の発泡断熱材172内での垂直方向の変形を抑制できることとなり、レール装置140に荷重が掛けられた場合におけるレール装置140の垂直方向の傾きが抑制され、その結果、第1レール(キャビネットレール)142の口開きを抑制することができる。つまり、本来的には、レール装置140の固定の役割を担うホルダレール148に、さらに、レール装置140の補強という役割を担わせることができる。
また、ホルダレール148は、レール装置140の底面側に、引出扉が引き出された際にレール装置140に加わる力の向きと同方向に伸びた縦フランジ部148eを有したことにより、ホルダレール148の形状として縦断面二次モーメントが増加することによる強度向上を図るとともに、ホルダレール148の縦フランジ部148eの水平方向における発泡断熱材172との接触面積が追加されることとなり、縦フランジ部148eの水平方向へ移動しようとする変形(図17の矢印にて示す)を発泡断熱材172との接触による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するためのホルダレールの形状を工夫することにより、ホルダレール自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレール148の発泡断熱材172内での水平方向の変形を抑制できることとなり、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の水平方向の傾きが抑制される。
すなわち、ホルダレール148の庫内側に折り曲げられたフランジ部148aが、第1レール(キャビネットレール)142の下面の中心位置まで延設している。
これにより、レール装置140の庫内側への傾き量、および鉛直方向のたわみ量等が抑制される。なお、ホルダレール148の庫内側に折り曲げられたフランジ部148aの長さは、第1レール(キャビネットレール)142の左右方向の中心を越える長さが好ましい。
これにより、大容量の野菜室156に多くの食品等が収納されており、かつ、図16に示すように、全開可能である場合であっても、野菜室156の出し入れの際の円滑性は失われない。かつ、使用者は、食品等の出し入れ、および、収納容器163aの清掃等のための収納容器163aの取り外しおよび取り付けを容易に行うことができる。
また、冷凍室157のレール装置においても野菜室156と同様な構成とすることができる。
このように、本実施の形態6の冷蔵庫151は、引き出し式の貯蔵室を備える冷蔵庫であって、当該貯蔵室の容量が大きなものであっても、使い勝手の良さを失わない冷蔵庫である。
また、実施の形態6におけるレール装置は、野菜室156および冷凍室157のみならず、引き出し式の貯蔵室である、製氷室154および切換室155における引き出し機構として用いることもできる。
また、図17に示すように、ホルダレール148のフランジ部148aの上面と内箱170の下面とは、断熱材を介さず、直接に接していることにより、レール装置140に荷重が掛かった場合において、その荷重によるレール装置140の変形を柔軟な発泡断熱材172を介さずに、強固な材質であるホルダレール148によって抑制することが可能となり、ホルダレール148の補強効果を確実にもたらすことができる。
また、ホルダレール148を内箱面に直接に取り付けを行えるため、ホルダレール148の取り付け位置の規制がしやすくなり、ホルダレール148は求められた所定の位置に確実に取り付けが行え、ホルダレール148の補強効果が確実に得られる。
また、図17に示すように、第1レール(キャビネットレール)142の下面と内箱170の上面とは、直接に接していることにより、レール装置140に荷重が掛かった場合において、第1レール(キャビネットレール)142の下面と内箱170の上面との間に空間が存在した場合は、レール装置は何の阻害も受けずに変形を続けることとなる。しかし、第1レール(キャビネットレール)142の下面と内箱170の上面とは、直接に接していることで、第1レール(キャビネットレール)142の下面と内箱170の上面との間に空間が存在せず、その荷重によるレール装置140の変形を、内箱170の発泡断熱材172内に取り付けられたホルダレール148によって抑制することが可能となり、ホルダレール148の補強効果を確実にもたらすことができる。
ただし、レール装置の取り付け工程におけるバラツキや、製品バラツキ等の影響により、第1レール(キャビネットレール)142の下面と内箱170の上面とが、必ずしも、直接に接することがない場合がある。第1レール(キャビネットレール)142の下面と内箱170の上面との隙が1mm以下であれば、直接に接した場合に比べ、ホルダレール148の補強効果における劣化が小さく、第1レール(キャビネットレール)142の下面と内箱170の上面との隙が1mm以下であれば、直接に接していることとほぼ同様の作用効果が得られる。
また、図17に示すように、ホルダレール148は、レール装置140の底面側に、引出扉が引き出された際にレール装置に加わる力の向きと同方向に伸びた縦フランジ部148eを有したことにより、ホルダレール148の形状として縦断面二次モーメントが増加することによる強度向上を図るとともに、ホルダレールの縦フランジ部148eの水平方向における発泡断熱材172との接触面積が追加されることとなり、ホルダレール148の縦フランジ部148eの水平方向へ移動しようとする変形を発泡断熱材172による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するためのホルダレール148の形状を工夫することにより、ホルダレール148自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレール148の発泡断熱材172内での水平方向の変形を抑制できることとなり、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の水平方向の傾きが抑制される。
また、図19に示すように、ホルダレール148は、金属材料によって成形されたことにより、ホルダレール148に設けられたレール装置の固定部148cに必要な強度を容易に確保することとなり、本来の使用目的であるレール装置の固定を確実に行うことができる。すなわち、レール装置の固定と補強との両方を兼ねそろえたホルダレール148を一部品で成形することができる。
また、図20に示すように、ホルダレール148は、角度を持った2平面間の曲げ部に、補強形状148dを有したことにより、ホルダレール148のフランジ部148aに荷重が掛かった際におけるホルダレール148の曲げ部の変形を、ホルダレール自体の形状によって抑制することができ、ホルダレール148の強度を向上でき、レール装置140の変形を抑制することができる。
また、ホルダレール148は、左右兼用可能な形状をしたことにより、左右のホルダレール148を内箱170に取り付ける際に使い分ける必要がないこととなり、作業性を向上できるとともに、ホルダレール148を成形するための金型費用を抑制できる。
また、図20に示すように、縦フランジ部の下面148gと縦フランジ部の下面148gに対向する内箱170との間に、一定の距離を持たせたことにより、レール装置に荷重が掛かった場合において、荷重によるレールの変形がホルダレール148にも影響を与え、レール装置に掛かった荷重と同方向に変形しようとするホルダレール148の縦フランジ部の下面148gと内箱170との間に、一定の距離があることで、縦フランジ部の下面148gと内箱170とは直接に接しておらず、発泡断熱材172が存在する。よって、ホルダレール148の変形によりホルダレール148の縦フランジ部の下面148gで内箱170を突き破る等の破損を起こすことなく、内箱170の表面の形状を良好に維持することができる。
この場合、この一定の距離が、1mm以下になると、レール装置に荷重が掛かった場合において、レールの変形がホルダレールにも影響を与え、ホルダレール148の縦フランジ部の下面148gで内箱170を突き破る等の破損を起こす可能性が高くなり、また、レール装置に通常掛かる荷重によって起こるレール装置の変形が及ぼすホルダレールの変形が5mmを超えるとは考え難く、この一定の距離を大きくすることは、庫内側に内箱170と発泡断熱材172によって形成される凸形状が大きくなることとなり、それにより庫内容積を小さくすることとなるので、一定の距離とは、1mm以上5mm以下とすることが好ましい。
図21は本発明の実施の形態6における他のレール装置の構成概要を示す断面図である。図21の点線部で囲まれたように、縦フランジ部148eは、庫内側とは反対側(図21において左側)、すなわち、内箱170から遠ざかるように傾斜させている。よって、レール装置に荷重が掛かった場合において、荷重によるレールの変形がホルダレール148にも影響を与え、ホルダレール148の縦フランジ部148eの変形が内箱170の存在する庫内側に変形することを抑制する。ホルダレール148の縦フランジ部148eの進行方向に対して、より確実に内箱170が存在せず、発泡断熱材172が存在することとなり、ホルダレール148の変形により縦フランジ部の下面148gで内箱170を突き破る等の破損を起こすことなく、内箱170の表面の形状をより良好に維持することができる。
なお、本実施の形態6では、補助部材の固定部148bは、一つのホルダレール148につき、前側と後側とに各1ヵ所ずつ計2箇所設けたが、ビス150bで固定するのは、ホルダレール148の前側のみとしている。これは、レールの変形は長手方向の後側では、下向き変形がほとんどなく、ホルダレールの変形もほとんど起こらないため、補強という観点からも、補助部材の固定部148bは強度が必要とされる前側の一箇所でも、十分に補強効果を得ることができるためである。
また、ビス150bで固定するのは、ホルダレール148を発泡前の内箱に固定をするためである。発泡断熱材172の充填後に、ホルダレール148は発泡断熱材172内に埋設されるが、発泡前の内箱においても確実に求められた位置にホルダレール148を固定することが可能となる。従って、ホルダレール148の補強効果を確実にもたらすことができる。また、前述したように、ホルダレール148は最終的には内箱170の側面に取り付けられ、発泡断熱材172内に埋設される。発泡後にホルダレール148は完全に内箱170に固定された強固なものとして存在するため、発泡前のホルダレール148の内箱170への固定は固定部148bの片側でも十分にその役目を果たすことができる。従って、補助部材の固定部148bは一箇所のみの固定としてもよい。
本実施の形態6では、補助部材の固定部148bは、一つのホルダレール148につき、前側と後側とに各1ヵ所ずつ計2箇所設けたが、本実施の形態6では、ビス150bで固定するのは、ホルダレール148の前側のみとしている。
ただし、より強度を持たせるために、ホルダレール148の後側もビス150bで固定してもよい。
また、補助部材の固定部148bをレール装置の固定部148cよりも、フランジ部148aに近い位置に存在させることにより、レール装置に荷重が掛かった場合において、レールの変形が及ぼすホルダレール148の変形を、より効果的に抑制することができる。
つまり、補助部材の固定部148bがレール装置の固定部148cより、フランジ部148aから遠い位置に存在した場合は、レールの変形が及ぼすホルダレールの変形はレール装置の固定部148cを支点として変形を行う。支点と荷重の掛かるポイントが遠いほど変形が起こり易くなることとなり、ホルダレール148の変形における支点を、レール装置の固定部148cではなく、補助部材の固定部148bとし、補助部材の固定部148bをより荷重の掛かるポイントであるフランジ部148aに近づけることで、ホルダレール148の変形を抑制することができ、結果的にはレール装置の補強の役割を果たすことになる。
なお、本実施の形態6では、レール装置の固定部148cは、一つのホルダレール148につき、前側と後側とに各1ヵ所ずつ計2箇所設け、2本のビス150aで固定しているが、一つのホルダレール148につき、レール装置の固定部148cは、2箇所以上、例えば、前側と後側と中間と3箇所設け、3本のビス150aで固定してもよい。
(実施の形態7)
図22は本発明の実施の形態7におけるレール装置の構成概要を示す断面図である。
実施の形態7におけるレール装置は、実施の形態6におけるレール装置と比較すると、レール装置の構成が異なる。具体的には、図22に示すように、本実施の形態7のレール装置200は、例えば図3で示したような三段に上下に重ねられたレール装置40とは異なり、レール装置200は、横並びに三列に並べられた3つのレールを有したものである。ここでは、実施の形態6と異なる点を中心に説明する。
図22に示すように、具体的には、レール装置200は、板状体の上下辺に内方向に延出する鍔部201aを設けた第1レール(固定レール)201と、容器(図示せず)を支持する支持枠(図示せず)の外側に支え金具206を介して固定した第1レール(固定レール)201の高さ寸法より幅狭でその上下辺から外方向に鍔部202aを延出させた第3レール(可動レール)202と、これら内外のレール201、202の間に設けられて第1レール(固定レール)201より小さく可動レール202より大きい高さ寸法を有し、その上下辺から内方向に鍔部203aを設けた第2レール(中間レール)203と、から構成されている。
すなわち、レール装置200は、前記第1レールは、内箱の内側面に固定されており、板状体の上下辺に内方向に延出する鍔部201aを有し、前記第3レールは、容器を支持する支持枠(図示せず)の外側に支え金具206を介して固定した第1レール(固定レール)201の高さ寸法より幅狭でその上下辺から外方向に鍔部202aを延出させており、前記第2レールは、第1レール(固定レール)201、第3レール(可動レール)202の間に設けられて第1レール(固定レール)201より小さく第3レール(可動レール)202より大きい高さ寸法を有し、その上下辺から内方向に鍔部203aを有している。
第2レール(中間レール)203は、第1レール(固定レール)201と第3レール(可動レール)202の各鍔部201a、203a、202a間に嵌挿したボールベアリング204により実質的に一体化されるとともに前後摺動自在に保持されており、第1レール(固定レール)201内を摺動する第2レール(中間レール)203および第2レール(中間レール)203内を摺動することによって第3レール(可動レール)202は2段階で引き出されることになる。
したがって、引き出された状態の第3レール(可動レール)202に支持枠(図示せず)を介して保持された容器は、各レール201,202,203間の保持機構によって、その後端が貯蔵室の前面開口部までフルオープン状態で大きく引き出される。
また、第1レール(固定レール)201は内箱170を挟んでホルダレール205とビス(図示せず)で締結される。これにより、レール装置200は、内箱170の内側面に固定される。ホルダレール205は、本発明の冷蔵庫における補助部材の一例であり、レール装置200を内箱170の内側面に固定するための部材である。このホルダレール205は、発泡断熱材172側に配置され、具体的には、ホルダレール205は、発泡断熱材172に埋設されている。
図22に示すように、ホルダレール205は、第1レール(固定レール)201の下面の直下まで延設されたフランジ部205aを有する。これにより、第1レール(固定レール)201の下方へのたわみを抑制することができる。具体的には、ホルダレール205は、少なくとも第1レール(固定レール)201の下面の中心位置まで延設されたフランジ部205aを有する。そして、ホルダレール205は、フランジ部205aの先端を、略直角に鉛直方向下方に折り曲げた縦フランジ部205eを有している。
以下、本発明に係るレール装置の倒れ防止部について説明する。
図42に示すように、従来のレール装置4031に荷重が掛かると、レール装置4031は矢印の方向へ変形しようとする。つまり、第1レール4031aが口開きを行おうとする。
しかし、図22に示すように、ホルダレール205は、少なくとも第1レール(固定レール)201の下面の中心位置まで延設されたフランジ部205aを有することにより、第1レール(固定レール)201の下部において、第1レール(固定レール)201の底面に対しての中心位置をホルダレール205によって受けることとなるとともに、ホルダレール205が発泡断熱材172側に配置され、ホルダレール205が発泡断熱材172に埋設されていることから、ホルダレール205と発泡断熱材172との接触面積を大きくすることとなり、レール装置200の垂直方向へ下がろうとする変形を発泡断熱材172による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置200を内箱170に固定するためのホルダレール205の形状を工夫することにより、ホルダレール205自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレール205の発泡断熱材172内での垂直方向の変形を抑制できる。これにより、レール装置200に荷重が掛けられた場合におけるレール装置200の垂直方向の傾きが抑制され、その結果、第1レール(固定レール)201の口開きを抑制することができる。つまり、本来的には、レール装置200の固定の役割を担うホルダレール205に、さらに、レール装置200の補強という役割を担わせることができる。
また、ホルダレール205は、レール装置200の底面側に、引出扉が引き出された際にレール装置200に加わる力の向きと同方向に伸びた縦フランジ部205eを有したことにより、ホルダレール205の形状として縦断面二次モーメントが増加することによる強度向上を図るとともに、ホルダレール205の縦フランジ部205eの水平方向における発泡断熱材172との接触面積が追加されることとなり、縦フランジ部205eの水平方向へ移動しようとする変形を発泡断熱材172との接触による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するためのホルダレールの形状を工夫することにより、ホルダレール自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレールの発泡断熱材内での水平方向の変形を抑制できる。これにより、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の水平方向の傾きが抑制される。
このように、レール装置200を内箱170に固定するためのホルダレール205の形状を工夫する。すなわち、本実施の形態7では、レール装置の倒れ防止部として、ホルダレール205をレール装置200が取り付けられた内箱170の発泡断熱材172側に配置するとともに、少なくとも第1レール(固定レール)201の下面の中心位置まで延設されたフランジ部205aを有する構成とした。これにより、レール装置200に荷重が掛けられた場合におけるレール装置200の傾き等の変形が抑制される。
つまり、本来的には、レール装置200の固定の役割を担うホルダレール205に、さらに、レール装置200の補強という役割を担わせることができる。
また、図22に示すように、ホルダレール205のフランジ部205aの上面と内箱170の下面とは、断熱材を介さず、直接に接している。これにより、レール装置200に荷重が掛かった場合において、その荷重によるレール装置200の変形を柔軟な発泡断熱材172を介さずに、強固な材質であるホルダレール205によって抑制することが可能となり、ホルダレール205の補強効果を確実にもたらすことができる。
また、ホルダレール205を内箱面に直接に取り付けを行えるため、ホルダレール205の取り付け位置の規制がしやすくなり、ホルダレール205は求められた所定の位置に確実に取り付けが行え、ホルダレール205の補強効果が確実に得られる。
また、図22に示すように、第1レール(固定レール)201の下面(より具体的には、第1レール(固定レール)201の下方の鍔部201aの下面)と内箱170の上面とは、直接に接している。よって、レール装置200に荷重が掛かった場合において、第1レール(固定レール)201の下面と内箱170の上面との間に空間が存在した場合は、レール装置は何の阻害も受けずに変形を続けることとなる。しかし、第1レール(固定レール)201の下面と内箱170の上面とは、直接に接していることで、第1レール(固定レール)201の下面と内箱170の上面との間に空間が存在せず、その荷重によるレール装置200の変形を、内箱170の発泡断熱材172内に取り付けられたホルダレール205によって抑制することが可能となり、ホルダレール205の補強効果を確実にもたらすことができる。
ただし、レール装置の取り付け工程におけるバラツキや、製品バラツキ等の影響により、第1レール(固定レール)201の下面と内箱170の上面とが、必ずしも、直接に接することがない場合があるが、第1レール(固定レール)201の下面と内箱170の上面との隙が1mm以下であれば、直接に接した場合に比べ、ホルダレール205の補強効果における劣化が小さく、第1レール(固定レール)201の下面と内箱170の上面との隙が1mm以下であれば、直接に接していることとほぼ同様の作用効果が得られる。
なお、本実施の形態7においても、ホルダレールは金属材料によって成形すること、ホルダレールは角度を持った2平面間の曲げ部に補強形状を有すること、ホルダレールは左右兼用可能な形状とすること、縦フランジ部の下面と縦フランジ部の下面に対向する内箱との間に一定の距離を持たせること、縦フランジ部は庫内側とは反対側に傾斜させること、に関しては、実施の形態6に示した同等の作用効果が得られる。
また、第1レール(固定レール)201、第2レール(中間レール)203、および第3レール(可動レール)202それぞれの長さは、収納容器が最大引き出し位置まで引き出された場合に、収納容器の奥端辺が、貯蔵室の直上部の扉の前面より前方に位置させる長さである。
このように、引き出し式貯蔵室である貯蔵室が全開可能である本実施の形態7の冷蔵庫は、レール装置200が有する種々の技術的特徴により、引き出しの円滑性等の使い勝手を失わない。
図23は本発明の実施の形態7における他のレール装置の構成概要を示す断面図である。
図23に示すように、本実施の形態7のレール装置210は、図22で示したレール装置200と同様に、例えば図3で示したような三段に上下に重ねられたレール装置40とは異なり、レール装置210は、横並びに三列に並べられた3つのレールを有したものである。
具体的には、断面形状がH形状をした第2レール(中間レール)213が、第1レール(固定レール)211に対して移動可能であり、かつ、第3レール(可動レール)212が第2レール(中間レール)213に対して移動可能であることにより、全体として伸縮可能である。なお、図23では、摺動部材であるベアリングは省略している。
レール装置210においては、図23に示すように、図22のレール装置200と同様に、ホルダレール215は、少なくとも第1レール(固定レール)211の下面の中心位置まで延設されたフランジ部215aを有することにより、第1レール(固定レール)211の下部において、第1レール(固定レール)211の底面に対しての中心位置をホルダレール215によって受ける。また、ホルダレール215が発泡断熱材172側に配置され、ホルダレール215が発泡断熱材172に埋設されていることから、ホルダレール215と発泡断熱材172との接触面積を大きくすることとなり、レール装置210の垂直方向へ下がろうとする変形を発泡断熱材172による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置210を内箱170に固定するためのホルダレール215の形状を工夫することにより、ホルダレール215自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレール215の発泡断熱材172内での垂直方向の変形を抑制できることとなり、レール装置210に荷重が掛けられた場合におけるレール装置210の垂直方向の傾きが抑制され、その結果、第1レール(固定レール)211の口開きを抑制することができる。つまり、本来的には、レール装置210の固定の役割を担うホルダレール215に、さらに、レール装置210の補強という役割を担わせることができる。
また、ホルダレール215は、レール装置210の底面側に、引出扉が引き出された際にレール装置210に加わる力の向きと同方向に伸びた縦フランジ部215eを有したことにより、ホルダレール215の形状として縦断面二次モーメントが増加することによる強度向上を図るとともに、ホルダレール215の縦フランジ部215eの水平方向における発泡断熱材172との接触面積が追加されることとなり、縦フランジ部215eの水平方向へ移動しようとする変形を発泡断熱材172との接触による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するためのホルダレールの形状を工夫することにより、ホルダレール自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレールの発泡断熱材内での水平方向の変形を抑制できることとなり、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の水平方向の傾きが抑制される。
また、図23に示すように、ホルダレール215のフランジ部215aの上面と内箱170の下面とは、断熱材を介さず、直接に接していることにより、レール装置210に荷重が掛かった場合において、その荷重によるレール装置210の変形を柔軟な発泡断熱材172を介さずに、強固な材質であるホルダレール215によって抑制することが可能となり、ホルダレール215の補強効果を確実にもたらすことができる。
また、ホルダレール215を内箱面に直接に取り付けを行えるため、ホルダレール215の取り付け位置の規制がしやすくなり、ホルダレール215は求められた所定の位置に確実に取り付けが行え、ホルダレール215の補強効果が確実に得られる。
また、図23に示すように、第1レール(固定レール)211の下面と内箱170の上面とは、直接に接していることにより、レール装置210に荷重が掛かった場合において、第1レール(固定レール)211の下面と内箱170の上面との間に空間が存在した場合は、レール装置は何の阻害も受けずに変形を続けることとなる。しかし、第1レール(固定レール)211の下面と内箱170の上面とは、直接に接していることで、第1レール(固定レール)211の下面と内箱170の上面との間に空間が存在せず、その荷重によるレール装置210の変形を、内箱170の発泡断熱材172内に取り付けられたホルダレール215によって抑制することが可能となり、ホルダレール215の補強効果を確実にもたらすことができる。
ただし、レール装置の取り付け工程におけるバラツキや、製品バラツキ等の影響により、第1レール(固定レール)211の下面と内箱170の上面とが、必ずしも、直接に接することがない場合があるが、第1レール(固定レール)211の下面と内箱170の上面との隙が1mm以下であれば、直接に接した場合に比べ、ホルダレール215の補強効果における劣化が小さく、第1レール(固定レール)211の下面と内箱170の上面との隙が1mm以下であれば、直接に接していることとほぼ同様の作用効果が得られる。
(実施の形態8)
上記した、実施の形態1から7については、引き出し式の扉を引き出すことで、収納容器が引き出される(すなわち、引き出し式の扉と一体に収納容器が引き出される)ものについて説明した。
引出し式の貯蔵室の別の形態として、引き出し式の扉を備えるのではなく、片開きのヒンジ式の扉(回転扉)を備え、このヒンジ式の扉を開けて、貯蔵室の開口部から収納容器を引き出すタイプのもの(収納容器そのもの自体が単独で引き出される)もあり、本実施の形態8では、このタイプのものについて説明する。
図24は本発明の実施の形態8の冷蔵庫の正面図である。図24に示すように冷蔵庫500は、2つの扉を備える冷蔵庫であり、断熱箱体570内に3つに区画された貯蔵室を備えている。
断熱箱体570は、ABSなどの樹脂体を真空成型した内箱571とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱572とで構成された空間に発泡断熱材573が充填された断熱壁で構成されている。
断熱箱体570内には、上述の3つの貯蔵室が備えられている。具体的には冷蔵庫500は、冷蔵室510、野菜室520、および冷凍室530を備えている。なお、図では矩形の点線がそれぞれの貯蔵室の開口部を表している。また、野菜室520には、後述する引き出し式の容器が収容されている。
各貯蔵室の開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した断熱扉が設けられている。
具体的には、冷蔵室510および野菜室520の開口部を開閉自在に閉塞するヒンジ式の第一扉511が設けられている。第一扉511は向かって左の端部にヒンジが設けられており、縦方向の回動軸を中心に回動する。また、冷凍室530には、引き出し式の第二扉531が設けられている。
このような基本構成を有する本実施の形態の冷蔵庫500では、冷蔵室510は直接冷却方式により冷却され、野菜室520および冷凍室530は間接冷却方式により冷却される。
図25は本実施の形態8の冷蔵庫の縦断面図である。図25に示すように、断熱箱体570内において、冷蔵室510と野菜室520とは、上仕切体515により仕切られている。また、野菜室520と冷凍室530とは下仕切体525により仕切られている。
また、冷蔵庫500は、2つの冷却器を備えている。具体的には、冷蔵室510の奥面510aの裏側に第一冷却器512を備えている。冷蔵室510の奥面510aは第一冷却器512からの熱伝導によって冷却される。冷蔵室510内の空気は、この冷却された奥面510aにより冷却される。
第一冷却器512は、冷却パイプ512aと金属板512bとを有する。冷蔵室510の奥面510aは、奥面510aの裏側に接するように取り付けられた金属板512bにより直接的に冷却される。
また、冷蔵庫500は、冷凍室530の奥面の裏側に第二冷却器532を備える。冷凍室530内は、第二冷却器532から放出される冷気が循環することにより冷却される。
第二冷却器532から放出される冷気は、野菜室520にも供給され、ダンパーの開閉制御により、例えば、冷蔵室510の温度帯と冷凍室530の温度帯との間の温度帯に維持される。
また、野菜室520には、引き出し式の収納ケース521が収容されており、使用者は、第一扉511を開くことにより、収納ケース521を引き出すことができる。
なお、本実施の形態8で説明する収納ケース521は、上記した実施の形態1から7で説明した収納容器に相当する。
本実施の形態8の冷蔵庫500は、収納ケース521に対する食品等の出し入れが容易であり、かつ、収納ケース521の着脱を容易に行うことができるという特徴を有する。以下に、収納ケース521およびその引き出し構成について図26、図27を用いて説明する。
図26は本実施の形態8における収納ケースの外観を示す拡大斜視図である。図26に示すように、収納ケース521はレール部材542に支持されている。また、レール部材542は前後方向に長尺状であり、野菜室520内に固定される固定部材541により前後方向に摺動可能に支持されている。
具体的には、収納ケース521は、左右方向の両端部、より詳しくは収納ケース521の下部であって左右方向の両端部それぞれに庫外側に突出した保持部523を有する。
また、保持部523には、レール部材542に収納ケース521を着脱可能に取り付けるための取付穴523aが配置されている。
レール部材542には、上方に突出し取付穴523aと係合する突出部543が設けられている。収納ケース521の左右のレール部材542の突出部543のそれぞれは、取付穴523aに挿抜可能である。
これにより、引出ユニット540は、収納ケース521は上下方向に着脱可能に支持している。
また、収納ケース521は、収納ケース521の側方から収納ケース521内の収納物を確認可能な光透過性のある樹脂で形成されている。つまり、収納ケース521は、透明度の比較的高い樹脂で作成されている。
これにより、例えば、収納ケース521に収納されている食品の種類および数などを、収納ケース521の側方から容易に確認することができる。
また、収納ケース521の上部かつ後部には、小物ケース522が着脱可能に取り付けられている。これにより、例えば、収納ケース521と小物ケース522との使い分けが可能になる。また、例えば、収納ケース521に重量の大きな食品を収納した場合の収納ケース521の歪み量が小物ケース22により抑制される。
なお、引出ユニット540は、収納ケース521の左右のレール部材542と固定部材541とにより構成されている。
なお、本実施の形態8で説明する引出ユニット540は、上記した実施の形態1から7で説明したレール装置に相当する。
図27は本実施の形態8における収納ケース521と引出ユニット540とを示す平面断面図である。
図27に示すように、引出ユニット540は、収納ケース521の左右それぞれに配置された、第1レール(固定部材)541とレール部材542とを有している。また、2つのレール部材542のそれぞれは、第2レール(ミドルレール)542aと第3レール(支持レール)542bとから構成されている。
第3レール(支持レール)542bは、収納ケース521を直接的に支持するレールであり、第2レール(ミドルレール)542aに対して前後方向に摺動可能である。また、第2レール(ミドルレール)542aは第1レール(固定部材)541に対して前後方向に摺動可能である。
レール部材542がこのような構成であることにより、引出ユニット540全体として前後方向に伸縮することができる。
つまり、第一扉511が、ヒンジの回動軸550を中心に図27に示すように回動した場合、つまり、第一扉511が開かれた場合、収納ケース521が使用者に引っ張られることにより、引出ユニット540が伸長し、収納ケース521は野菜室520から引き出される。
また、収納ケース521の最大引き出し距離は、収納ケース521の使い勝手を向上させる距離である。
なお、本実施の形態8で説明した引出ユニット540の代わりに、上記した実施の形態1から7で説明したレール装置を適用することで、レール装置に力が加えられた場合に開き難い構成となり、レール装置の変形は抑制され、貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
すなわち、本実施の形態8のように、片開きのヒンジ式の扉(回転扉)を備え、このヒンジ式の扉を開けて、貯蔵室の開口部から収納容器を引き出すタイプのもの(収納容器そのもの自体が単独で引き出される)の場合においても、収納容器は第3レールに直接的又は間接的に支持され、引き出されるものであり、引出し式の貯蔵室に含まれるものである。
(実施の形態9)
実施の形態9として、扉を三つ備える冷蔵庫について説明する。実施の形態8と異なるのは、扉を三つ備える点で、異なる点を中心に説明する。図28は本発明の実施の形態9の冷蔵庫の正面図である。
図28に示すように冷蔵庫700は、三つの扉を備える冷蔵庫であり、断熱箱体770内に三つの貯蔵室を備えている。
具体的には冷蔵庫700は、冷蔵室710、室内の温度が変更可能な野菜室720、および冷凍室730を備えている。
各貯蔵室の開口部には断熱扉が設けられている。具体的には冷蔵庫700は、冷蔵室710の開口部を開閉自在に閉塞する上扉711と、野菜室720の開口部を開閉自在に閉塞する中扉721と、冷凍室730の開口部を開閉自在に閉塞する下扉731とを備える。図28では矩形の点線がそれぞれの貯蔵室の開口部を表している。
また、上扉711および中扉721は、ヒンジ式の扉であり、それぞれ、向かって左の端部にヒンジが設けられており、縦方向の回動軸を中心に回動する。
また、上記3つの貯蔵室のそれぞれの冷却方式は、実施の形態8と同じである。すなわち、冷蔵室710は直接冷却方式により冷却され、野菜室720および冷凍室730は間接冷却方式により冷却される。
さらに、野菜室720には、実施の形態8と同じく、引き出し式の収納ケース(図示せず)が収容されており、引出ユニット(図示せず)に着脱可能に支持されている。
しかし、実施の形態9の冷蔵庫700は、実施の形態8の冷蔵庫700とは異なり、冷蔵室710と野菜室720のそれぞれに扉が備えられている。
なお、本実施の形態9で説明した冷蔵庫に、上記した実施の形態1から7で説明したレール装置を適用することで、レール装置に力が加えられた場合に開き難い構成となり、レール装置の変形は抑制され、貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
すなわち、本実施の形態9のように、片開きのヒンジ式の扉(回転扉)を備え、このヒンジ式の扉を開けて、貯蔵室の開口部から収納容器を引き出すタイプのもの(収納容器そのもの自体が単独で引き出される)の場合においても、収納容器は第3レールに直接的又は間接的に支持され、引き出されるものであり、引出し式の貯蔵室に含まれるものである。
以上説明した実施の形態8および9において、3つの貯蔵室の冷却方式として、直接冷却方式と間接冷却方式とが採用されているとした。しかし、本発明の実施に際し、各貯蔵室の冷却方式は特定なものに限定されない。
例えば、実施の形態8の冷蔵庫500において、冷蔵室510、野菜室520および冷凍室530の全てが間接冷却方式により冷却されてもよい。実施の形態9の冷蔵庫700についても同様である。
また、各貯蔵室の種類も実施の形態8および9で説明した種類に限定されない。例えば、野菜室520および野菜室720が、使用者が温度帯の設定が可能な変温室と呼ばれる貯蔵室であってもよい。
また、第一扉511および中扉721等のヒンジ式の扉は、いわゆる片開き式の扉である。しかしながら、第一扉511および中扉721等のヒンジ式の扉は、左右に並ぶ2枚の扉板のそれぞれが、外側の端辺付近の回動軸を中心に回動する観音開き式の扉であってもよい。
つまり、2枚の扉板により一つの第一扉511が構成されていてもよい。中扉721も同様である。
つまり、本発明の効果であるレール装置の変形抑制という効果は、貯蔵室の種類および冷却方式等に依存することなく発揮される。
(実施の形態10)
図29は本発明の実施の形態10における冷蔵庫の正面図である。図29に示すように、冷蔵庫851は、観音開き式の扉を備える冷蔵庫であり、断熱箱体852内に複数に区画された貯蔵室を備えている。
具体的には貯蔵室として、上部より、冷蔵室853、製氷室854、製氷室854に併設され室内の温度が変更可能な切換室855、野菜室856、および冷凍室857を備えている。
各貯蔵室の開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した断熱扉が設けられている。具体的には、冷蔵室853には断熱箱体852の開口部を開閉可能に塞ぐ左扉860aおよび右扉860bが設けられている。
また、製氷室854、切換室855、野菜室856、および冷凍室857にはそれぞれ引出し式の引出扉861、扉862、扉863、および扉864が設けられている。これら貯蔵室のうち、冷蔵室853以外の貯蔵室は、引出し式の貯蔵室である。
また、図29に示すように、断熱箱体852は、ABSなどの樹脂体を真空成型した内箱870とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱871とで構成された空間に発泡断熱材872が充填された断熱壁で構成されている。
野菜室856と冷凍室857の後側には、冷却器(図示せず)およびファン(図示せず)が設けられており、冷蔵庫851の本体下部に設置された圧縮機により冷却器が駆動され、冷却器から冷却された空気が各貯蔵室に送られる。また、それぞれの貯蔵室ごとに所定の温度に冷却制御される。
図30は本発明の実施の形態10における冷蔵庫の野菜室を引出した状態を示す斜視図である。
図30に示すように、野菜室856は引出し式の貯蔵室であり、野菜室856を形成する容器863aは、レール装置840により、断熱箱体852に出し入れ可能に備えられている。
具体的には、容器863aは、中間レールである第2レール(ミドルレール)843を介して冷蔵庫851の前後方向に移動可能な第3レール(移動レール)である第3レール(トップレール)844に接合された扉フレーム841に、その左右(図30において手前側と奥側)を支持されている。
なお、第2レール(ミドルレール)843は、第1レール(固定レール)である第1レール(キャビネットレール)842(図30に図示しない)に移動可能に支持され、また、第3レール(トップレール)844は第2レール(ミドルレール)843に移動可能に支持されている。また、第1レール(キャビネットレール)842は内箱870の内側面に固定されている。
また、第1レール(キャビネットレール)842と第3レール(トップレール)844と第2レール(ミドルレール)843とはそれぞれ回転支持部材(図示せず)で支持され、第1レール(キャビネットレール)842と第3レール(トップレール)844と第2レール(ミドルレール)843とを予め組み込んだ状態で第1レール(キャビネットレール)842が内箱870の側壁に固定されている。
容器863aの左右それぞれを支持する扉フレーム841は、ビスを用いて引出扉863に固定連結されている。
また、引出扉863の最大引出し距離は、容器863aが完全に開放する長さである。
つまり、最大引出し距離は、野菜室856を全開にしたときに、容器863aの奥(図30において左側)の端面が外箱871の最前面部より前方に位置する長さである。
この場合、容器863aの奥への食品の収納、および、容器863aの奥からの食品の取り出しが容易である。また、容器863aの取り出しおよび取り付けの際に、容器863aが上部の引出扉861および引出扉862に干渉しないことが望ましい。それにより、容器863aの取り出しおよび取り付けを容易に行うことができる。
なお、冷凍室857も、野菜室856と同様に、最大引出し距離が決定されており、使用者は、冷凍室857を形成する容器を容易に着脱することができる。
野菜室856および冷凍室857は、レール装置840が伸長することにより、このような位置まで引き出される。
図31は本発明の実施の形態10における冷蔵庫のレール装置の外観を示す斜視図である。
図31に示すように、第3レール(トップレール)844は、第2レール(ミドルレール)843を介して第1レール(キャビネットレール)842に対して移動する。つまり、レール装置840全体として伸縮する。
具体的には、野菜室856の場合、使用者が引出扉863を引き出すことにより、引出扉863に連結された左右の扉フレーム841と第3レール(トップレール)844とが引出される。
これにより、図30に示すように、第3レール(トップレール)844に接合された扉フレーム841に支持されている容器863aが断熱箱体852の外部に引出される。つまり、野菜室856が全開になる。
また、第1レール(キャビネットレール)842、第2レール(ミドルレール)843、および第3レール(トップレール)844それぞれの長さは、容器863aが最大引出し位置まで引出された場合に、容器863aの奥端辺が、外箱の最前面部871aより前方に位置させる長さである。
このように、引出し式貯蔵室である野菜室856が全開可能である本実施の形10態の冷蔵庫851は、レール装置840が有する種々の技術的特徴により、引出しの円滑性等の使い勝手を失わない。
図32は本発明の実施の形態10における冷蔵庫の野菜室を引出した状態を示す側面図である。図33は本発明の実施の形態10における冷蔵庫のレール装置の要部側面図である。図34は本発明の実施の形態10における冷蔵庫のレール装置の要部斜視図である。
図32に示すように、野菜室856を形成する容器863aは、レール装置840により、断熱箱体852に出し入れ可能に備えられており、野菜室856は全開に引き出された状態となっている。
これにより、引出扉863の最大引出し距離は、容器863aが完全に開放する長さである。
つまり、最大引出し距離は、野菜室856を全開にしたときに、容器863aの奥の端面が外箱の最前面部871aより前方に位置する長さである。
この場合、容器863aの奥への食品の収納、および、容器863aの奥からの食品の取り出しが容易である。また、容器863aの取り出しおよび取り付けの際に、容器863aが上部の引出扉861および引出扉862に干渉しないことが望ましい。それにより、容器863aの取り出しおよび取り付けを容易に行うことができる。
なお、冷凍室857も、野菜室856と同様に、最大引出し距離が決定されており、使用者は、冷凍室857を形成する容器を容易に着脱することができる。
ここで、引出扉863を最大に引出した状態の場合、第3レール(トップレール)844の貯蔵室側端面である最奥部が外箱871の最前面部871aよりも手前に位置することになり、第3レール(トップレール)844の奥側の端面が断熱箱体852の外に剥き出しの状態になるので、第3レール(移動レール)の最奥部(貯蔵室側端面)の曝露部分を保護することが望ましい。
また、金属材料で成形された扉フレーム841の貯蔵室側端面である最奥部も外箱の最前面部871aよりも手前に位置することになり、扉フレーム841の最奥部の端面と外箱の最前面部871aとの間に生じた隙に、指を置いた状態で引出扉863を閉じるときのことを想定すると、第3レール(移動レール)の最奥部(貯蔵室側端面)の曝露部分を保護することが望ましい。
よって、安全性を高めるために、第3レール(トップレール)844の貯蔵室側端面にレール保護部品846を装着している。
これにより、第3レール(トップレール)844の貯蔵室側端面を隠すことにより、安全性を高めることができる。また、扉フレーム841の貯蔵室側端面と外箱の最前面部871aとの間に生じた隙を無くすことができ、安全性を高めることができる。
しかしながら、レール保護部品846によって、扉フレーム841の貯蔵室側端面と外箱の最前面部871aとによって生じた隙を完全に無くすことが不可能な場合がある。
図33、図34に示すように、近年の貯蔵室の収納量増加の傾向により、扉フレーム841に取り付けられたレール保護部品846の貯蔵室側端面が、外箱の最前面部871aより外側に位置するところまで引出し量が増大する場合がある。
この場合、レール装置840が固定される内箱870の奥行き寸法に限界があるため、レール保護部品846の奥行き長さも伸ばすことができない。つまり、レール保護部品846の奥行き長さが伸ばせられないため、引出扉863を最大に引出された状態において、レール保護部品846の最奥部と外箱の最前面部871aとの間に隙間ができることになる。その隙に指を置いた状態で、引出扉863を閉めると、その間で指を挟む可能性がある。
レール保護部品846の貯蔵室側端面と外箱の最前面部871aとの間に生じた隙によって指を挟むことを抑制するために、レール保護部品846の奥側に、上向きの傾斜面と外向きの傾斜面とを合わせた形状からなる傾斜面846aを設けている。
これにより、レール保護部品846の最奥部と外箱871の最前面部871aとの間に生じた隙に指を置いたとしても、レール保護部品の傾斜面846aは、上向きの傾斜面と外向きの傾斜面とを合わせた形状をしている。レール保護部品846の最奥部と外箱の最前面部871aとの間に生じた隙から、傾斜面に沿うように、指を外側へ押し出すように逃がすことが可能となり、引出扉863を閉めるときの安全性を高めることができる。
なお、この傾斜面846aの角度は、10度以上45度以下の角度であることが好ましい。10度未満であると、レール保護部品846に設けられる傾斜面846aの大きさが大きくなることにより、レール保護部品846の大きさ自体も大きくなるため、求められる寸法内に形状が治まりきらない可能性もある。また、傾斜面の先端側で形状的な厚みが薄いため、レール保護部品846の強度確保が困難となる。
また、45度を超えると、レール保護部品846の奥側に指を置いた場合に、スムーズに指を傾斜面846aの外側に押し逃がさすことができない可能性がある。
よって、傾斜面を10度以上45度以下の角度にすることにより、レール保護部品846を必要以上に大きくする必要もなく、安全性を高めることができる。
また、この傾斜面846aは、上向きの傾斜面と外向きの傾斜面とを合わせた形状にしている。仮に、上向きの傾斜面のみの場合、傾斜面846aに置かれた指が、引出扉863を閉じた際に、レール保護部品846上を滑り、レール保護部品846の上部に置かれたケースに接触する可能性がある。そこで、外向きの傾斜面を合わせることにより、傾斜面846aに置かれた指が、引出扉863を閉じた際に、レール保護部品上を滑り、上部に持ち上げられると同時に、外側に押し出すように逃がすことが可能となり、より安全性を確保することができる。
また、扉フレーム841は第3レール(トップレール)844に固定され、レール保護部品846は扉フレーム841の貯蔵室側端面に固着されている。扉フレーム841に設けられた穴に、レール保護部品846に設けた扉フレーム取り付け形状846bを挿入することにより、レール保護部品846は扉フレーム841に固定される。レール保護部品846を扉フレーム841に固着することが可能となることにより、製造工程において、扉フレーム841とレール保護部品846とを装着した引出扉863を、レール装置840に接合することができるため、作業性の向上を図ることができる。
また、扉フレーム841とレール保護部品846とを装着した引出扉863をレール装置840に接合するときは、第3レール(トップレール)844に設けられた引っ掛け形状に、扉フレーム841を差込んだ後、扉フレーム841と第3レール(トップレール)844とをビスを用いて固定する。このとき、第3レール(トップレール)844と扉フレーム841の固定部は引っ掛け形状にしているため、引出扉863を開閉する際に、その引っ掛け形状に手等が当たる可能性がある。また、引っ掛け形状を用いずとも、扉フレーム841と第3レール(トップレール)844の固定部は表面から出っ張る形状になってしまうため、指等が扉開閉時に当たる可能性がある。
レール保護部品846は、第3レール(トップレール)844の貯蔵室側端面を保護するとともに、扉フレーム841と第3レール(トップレール)844との固定部も覆い隠すことにより、引出扉863の開閉時に、扉フレーム841と第3レール(トップレール)844との固定部に手等が当たることを抑制した。
さらに、レール保護部品846は、扉フレーム841の先端部近傍に設けられた塗装用の吊り穴(図示せず)も同時に覆い隠す形状とした。一般的には、扉フレーム841は金属材料が用いられ、また、冷蔵庫の美感、清潔感等の向上のため塗装されている。この塗装時に扉フレーム841を吊るすための穴(図示せず)が必要となる。この塗装用の吊り穴に、棒等を通して吊り下げ塗装作業がなされる。ただ、塗装時には、この穴の中には吊り用の棒が通されているため、その穴内には塗料が付着せず、さらに吊り穴の周りには塗料によってできたバリが発生する。
レール保護部品846によって、扉フレーム841の塗装用の吊り穴を覆い隠すことにより、扉フレーム841の塗装用の吊り穴の周りにできたバリを取る作業をする必要がなくなる。
また、塗料の付着していない扉フレーム841の塗装用吊り穴は、材料の素材が露出しており錆び易くなるが、扉フレーム841の塗装用の吊り穴を覆い隠したことにより、錆の発生を抑制することができる。
また、冷凍室内に設置されたレール装置840に触れると、冷凍温度帯に冷やされたレール装置840が指に含んだ水分を瞬間的に凍結させ、指がレール装置840にくっついてしまう可能性もある。さらに、剥き出しにされたレール装置840に水分等が付着する等により、錆が発生する可能性もある。レール保護部品846を取り付けることにより、これらの錆の発生を抑制することができる。
また、レール保護部品846は、扉フレームの上面841aと略同一高さで、レール保護部品の上面846cを設けたことにより、容器863aを扉フレーム841に装着する際に、レール保護部品846が容器863aの取り付けの妨げにならず、使い勝手の向上を図ることができる。
さらに、レール保護部品846の上面846cが、扉フレーム841の上面841aと略同一高さの位置にあることにより、図32に示すように、容器863aをレール保護部品846にも取り付けすることが可能となる。容器863aの荷重を扉フレーム841とレール保護部品846とにバランス良くかけることができ、結果として、レール装置840の耐久性の向上を図ることができる。
また、レール保護部品846に容器863aを取り付けることが可能となることにより、扉フレーム841とレール保護部品846の奥行き長さの関係を最適なバランスに変えることができる。例えば、樹脂材料によって成形されたレール保護部品846は、金属材料によって成形された扉フレーム841に比べ強度は劣るが、レール装置840が金属材料であるため、扉フレーム841の長さを短くしても十分な強度が得られる場合、樹脂材料によって成形されたレール保護部品846の奥行き長さを長くする。逆に、金属材料によって成形された扉フレーム841の奥行き長さを短くすることで、冷蔵庫の重量の低減を図ることができる。すなわち、扉フレーム841とレール保護部品846との長さの選定の自由度が高まる。
また、レール保護部品846の材料を樹脂材料としている。これにより、レール保護部品846の形状が複雑であっても成形可能であり、着色も容易であるため塗装をする必要がない。さらに、レール保護部品846は、丸みを帯びた形状にすることも可能であり、また、材料自体に弾力性があるため、レール保護部品846に指等が接触した場合であっても、接触時の痛さを緩和することもできる。
また、レール保護部品846と扉フレーム841は同系色に合わせることにする。これにより、レール保護部品846を目立たせることなく設置することができる。また、冷蔵庫内は、清潔感を印象として与えるため、主に白色を使用している。このため、扉フレーム841を白色に塗装したものを用いるのが主流である。扉フレーム841が白色であり、容器863aも主に白色が使用されているため、本実施の形態10では、レール保護部品846も白色にすることが望ましい。よって、レール保護部品846は、一般的に入手し易いポリプロピレン樹脂を用いることにより、樹脂色自体が白色系であるので、あえてレール保護部品846は着色せずとも使用することができる。
以上より、第2レール(ミドルレール)843を採用していることで、第3レール(トップレール)844の最奥部(貯蔵室側端面)が、外箱871の最前面部871aよりも外側に位置する場合であっても、第3レール(トップレール)844の貯蔵室側端面に取り付けられたレール保護部品846が、第3レール(トップレール)844の最奥部(貯蔵室側端面)の曝露部分を保護する。これにより、第3レール(トップレール)844の端面に手が触れることを防止し、安全性を高めることができ、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、貯蔵室の使い勝手の良さ、使用上の安全性、美感を保持することができる。
次に、本発明のレール保護部品の内部構造、取り付け方等について、詳細に説明する。
図35は本発明の実施の形態10における冷蔵庫のレール装置のレール保護部品と扉フレームとの取り付け状態を示す断面図である。図36は本発明の実施の形態10における冷蔵庫のレール装置のレール保護部品を背面から見た斜視図である。
図35に示すように、レール保護部品846は、扉フレーム841の上から被せるようにして、扉フレーム841に取り付け固定している。すなわち、荷重が加わる方向とレール保護部品の取り付け方向とを同一方向としている。これにより、レール保護部品846の取り付け時に容易に取り付けが行えるとともに、容器863aをレール保護部品846の上に固定させた場合等において、レール保護部品846の上部から加わる荷重に対して、レール保護部品846の強度の確保を比較的容易に行うことができる。
また、図35、図36に示すように、レール保護部品846は、少なくともレール保護部品846の一部を、第3レール(移動レール)844に接触させている(図35の点線A部、図36の点線A部参照)。これにより、容器846aをレール保護部品846の上に固定させた場合等において、レール保護部品846の上部から加わる荷重に対して、剛体である第3レール(移動レール)844によって支持することが可能となり、レール保護部品846の強度の確保を容易に行うことができる。
より具体的には、次に述べる、リブ900、901、905、906の下面を第3レール(移動レール)844の上面に接触させている。
また、図35、図36に示すように、レール保護部品846の内側にリブを設けている。より具体的には、レール保護部品846の内側において、長手方向(冷蔵庫の奥行き方向)に平行に、前方(傾斜部の先端)から順に、レール保護部品846と一体に成形されたリブ905、906、907を設けている。また、レール保護部品846の内側において、前方部分には、長手方向(冷蔵庫の奥行き方向)と垂直方向に、前方(傾斜部の先端)から順に、所定の間隔を置いて、レール保護部品846と一体に成形されたリブ900、901を設けており、また、後方部分には、長手方向(冷蔵庫の奥行き方向)と垂直方向に、前方(傾斜部の先端)から順に、所定の間隔を置いて、レール保護部品846と一体に成形されたリブ902、903、904を、設けている。これにより、レール保護部品846自体の変形を抑制できるとともに、リブによって、容器863aをレール保護部品846の上に固定させた場合等において、レール保護部品846の上部から加わる荷重に対して、レール保護部品846の強度の確保を容易に行うことができる。
すなわち、特に、レール保護部品846長手方向(冷蔵庫の奥行き方向)と垂直方向に設けたリブ900、901、902、903、904は、レール保護部品846の側面930を外側に開きにくくするために側面を繋ぎ合わせるものである。従って、レール保護部品846の上部から加わる荷重に対して、レール保護部品846の強度の確保を容易に行うことができ、レール保護部品846が外れにくくなり、レール装置の端面保護を確実に行うことができる。つまり、樹脂材料によって成形されたレール保護部品846は、金属材料で成形された扉フレームと比較して強度は劣るが、レール保護部品846の内側にリブを設けることで、その強度の低下を補うことができる。
また、図35に示すように、レール保護部品846と扉フレーム841とを接合する勘合部を、レール保護部品846に複数(具体的には二箇所)設けている。具体的には、レール保護部品846の後端近傍に勘合部910、920を設け、扉フレーム841において勘合部910、920にそれぞれ対応する位置に、勘合穴をそれぞれ設けている。これにより、勘合部910、920とそれぞれ対応する位置に設けた勘合穴とをそれぞれ勘合させることで、レール保護部品846の取り付け強度が向上するとともに、左右方向や上下方向や斜め方向から負荷が加わってもレール保護部品846が外れにくくなり、レール装置の端面保護を確実に行うことができる。
なお、本実施の形態10では、レール保護部品846は、内部は空間を有した構造(すなわち、リブにより線接触になっている)のものであるが、内部の少なくとも一部は、空間を有しない構造(すなわち、樹脂が充填され面接触になっている)としてもよい。
(実施の形態11)
図37は本発明の実施の形態11における冷蔵庫のレール装置の概要を示す断面図である。
実施の形態11におけるレール装置は、実施の形態10におけるレール装置と比較すると、レール装置の構成が異なる。具体的には、図37に示すように、本実施の形態11のレール装置は、例えば図31で示したような三段に上下に重ねられたレール装置840とは異なり、レール装置は、横並びに三列に並べられた3つのレールを有したものである。ここでは、実施の形態10と異なる点を中心に説明する。
図37に示すように、具体的には、レール装置400は、板状体の上下辺に内方向に延出する鍔部401aを設けた第1レール(固定レール)401と、容器(図示せず)を支持する支持枠(図示せず)の外側に支え金具406を介して固定した第1レール(固定レール)401の高さ寸法より幅狭でその上下辺から外方向に鍔部402aを延出させた第3レール(移動レール)402と、これら内外のレール401、402の間に設けられて第1レール(固定レール)401より小さく第3レール(移動レール)402より大きい高さ寸法を有し、その上下辺から内方向に鍔部403aを設けた第2レール(中間レール)403と、から構成されている。
中間レール403が第1レール(固定レール)401に対して移動可能であり、かつ、第3レール(移動レール)402が第2レール(中間レール)403に対して移動可能であることにより、全体として伸縮可能である。
図38は本発明の実施の形態11における冷蔵庫の他のレール装置の概要を示す断面図である。
実施の形態11における他のレール装置410は、実施の形態10におけるレール装置840と比較すると、レール装置の構成が異なる。具体的には、図38に示すように、本実施の形態11の他のレール装置410は、例えば図31で示したような三段に上下に重ねられたレール装置840とは異なり、レール装置は、横並びに三列に並べられた3つのレールを有したものである。ここでは、実施の形態10と異なる点を中心に説明する。
図38に示すように、レール装置410は、断面形状がH形状をした中間レール413が、第1レール(固定レール)411に対して移動可能であり、かつ第3レール(移動レール)412が第2レール(中間レール)413に対して移動可能であることにより、全体として伸縮可能である。なお、図38では、摺動部材であるベアリングは省略している。
図37、図38に示すように、レール装置の形状は様々ものが存在するが、引出し式の貯蔵室と、貯蔵室の前面に位置する引出し扉を備える冷蔵庫であって、長手方向が同一になるように配置された、長尺状の、第1レール(固定レール)と第3レール(移動レール)と第2レール(中間レール)とを有し、貯蔵室を形成する容器を前後に移動可能に支持するレール装置を備えた冷蔵庫において、レール保護部品846を備えることにより、第3レール(移動レール)の貯蔵室側端面に取り付けられたレール保護部品が、第3レール(移動レール)の最奥部(貯蔵室側端面)の曝露部分を保護することとなり、第3レール(移動レール)の端面に手が触れることを防止し、安全性を高めることができ、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、貯蔵室の使い勝手の良さ、使用上の安全性、美感を保持することができる。
また、レール保護部品846は、後方端部に傾斜面846aを設けたことにより、引出し量が増大し、レール保護部品の最奥部が外箱の最前面部より外側に位置するところまで引出扉が引出される。従って、レール保護部品の最奥部と外箱の最前面部にできた隙間に指を置いた場合においても、その傾斜面によって、指を外へ押し出すように逃がすことが可能となり、引出扉を閉めるときの安全性を高めることができる。
(実施の形態12)
図39は本発明の実施の形態12おけるレール装置の取り付け方法を示す斜視図である。
冷蔵庫の扉は、扉外板(図示せず)と扉内板475との間に充填された発泡断熱材とで形成されている。扉内板475に取り付けられたレール固定部品474にレール装置440を結合する。また、扉内板475にレール固定部品474のような形状を設け、扉内板475とレール固定部品とを一体部品として扉内板475としても良い。
本実施の形態12では、実施の形態10で示した扉フレーム841は用いずに、レール装置440は固定される。レール装置440を容器863aによって覆うことにより、レール装置の端面保護の形状を設けることは可能であるが、冷蔵庫内の奥行き寸法の都合により、容器863aだけではレール装置440の端面保護が困難な場合がある。また、容器863aによってレール装置440の奥側の端面を保護すると、容器863aの奥端辺が、貯蔵室の直上部の扉の前面より前方に位置させることが困難となり、容器863aの取り出しおよび取り付けの際に、容器863aが上部の扉861に干渉し、容器863aの取り出し性を悪化させることになる。
また、容器863aを清掃のために取り外しを行っても、容器863aの有無に関わらず、レール装置の安全を確保することができる。
よって、扉フレーム841を用いない場合であっても、レール保護部品846を装着することによって、レールの端面保護を行い、冷蔵庫の引出扉の安全性を確保することができる。
このように、レール保護部品を装着させることで、使い勝手のよい引出し式の貯蔵室を実現するレール装置を提供することができる。
また、実施の形態10から12における各種のレール装置は、野菜室856および冷凍室857のみならず、引出し式の貯蔵室である製氷室854および切換室855における引出し機構として用いることもできる。