請求項1に記載の発明は、内箱と、外箱と、前記内箱および前記外箱の間に充填された断熱材とにより形成された断熱箱体と、引出扉が設けられた引出し式の貯蔵室とを備える冷蔵庫であって、前記貯蔵室内に、長尺状の、第1レール、第2レールおよび第3レールとを有して収納容器を前後に移動可能に支持するレール装置と、前記レール装置を前記内箱に固定するための補助部材と、を備え、前記第3レールに直接的又は間接的に前記収納容器を支持して前後に摺動可能にするとともに、前記レール装置は、前記第2レールは、左右に突出したフランジを長手方向の上下に有し、前記第1レールは、前記内箱の内側面に固定されており、前記第2レールの下のフランジを越える高さまで延設されたフランジを長手方向の一方に有して摺動部材を介して移動可能に保持され、前記第3レールは、前記第2レールの上のフランジを摺動部材を介して移動可能に保持され、前記補助部材は、少なくとも前記第1レールの下面の中心位置まで延設されたフランジ部を有する構成とするとともに、前記フランジ部の先端を折り曲げることで、前記レール装置の底面側に、前記引出扉が引き出された際に前記レール装置に加わる力の向きと同方向に伸びた縦フランジ部をさらに有することで、前記レール装置の倒れ防止手段を形成したことにより、レール装置は、レール装置の倒れ防止手段を備えるので、レール装置に力が加えられた場合に開き難い構成となり、本発明の冷蔵庫におけるレール装置は、大容量の貯蔵室を全開可能に支持する場合であっても、レール装置の変形は抑制され、当該貯蔵室の使い勝手の良さは保持される。
また、レール装置の下部において、第1レールの底面に対しての中心位置を補助部材によって受けることとなるとともに、補助部材の発泡断熱材との接触面積を大きくすることとなり、レール装置の垂直方向へ下がろうとする変形を発泡断熱材による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するための補助部材の形状を工夫することにより、補助部材自体の材料的な強度が向上するとともに、補助部材の発泡断熱材内での垂直方向の変形を抑制できることとなり、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の垂直方向の傾きが抑制される。つまり、本来的には、レール装置の固定の役割を担う補助部材に、さらに、レール装置の補強という役割を担わせることができる。
また、補助部材の形状として縦断面二次モーメントが増加することによる強度向上を図るとともに、補助部材の縦フランジ部の水平方向における発泡断熱材との接触面積が追加されることとなり、補助部材の縦フランジ部の水平方向へ移動しようとする変形を発泡断熱材による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するための補助部材の形状を工夫することにより、補助部材自体の材料的な強度が向上するとともに、補助部材の発泡断熱材内での水平方向の変形を抑制できることとなり、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の水平方向の傾きが抑制される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記補助部材の前記フランジ部の上面と前記内箱の下面とは、断熱材を介さず、直接に接していることにより、レール装置に荷重が掛かった場合において、その荷重によるレール装置の変形を柔軟な発泡断熱材を介さずに、強固な材質である補助部材によって抑制することが可能となり、補助部材の補強効果を確実にもたらすことができる。
また、補助部材を内箱面に直接に取り付けを行えるため、補助部材の取り付け位置の規制がしやすくなり、補助部材は求められた所定の位置に確実に取り付けが行え、補助部材の補強効果が確実に得られる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第1レールの下面と前記内箱の上面とは、直接に接していることにより、レール装置に荷重が掛かった場合において、第1レールの下面と内箱の上面との間に空間が存在した場合は、レール装置は何の阻害も受けずに変形を続けることとなるが、第1レールの下面と内箱の上面とは、直接に接していることで、第1レールの下面と内箱の上面との間に空間が存在せず、その荷重によるレール装置の変形を、内箱の発泡断熱材内に取り付けられた補助部材によって抑制することが可能となり、補助部材の補強効果を確実にもたらすことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記補助部材は、金属材料によって成形されたことにより、補助部材に設けられたレール装置の固定部に必要な強度を容易に確保することとなり、本来の使用目的であるレール装置の固定を確実に行うことができ、すなわち、レール装置の固定と補強との両方を兼ねそろえた補助部材を一部品で成形することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記補助部材は、角度を持った2平面間の曲げ部に、補強形状を有したことにより、補助部材のフランジ部に荷重が掛かった際における補助部材の曲げ部の変形を、補助部材自体の形状によって抑制することができ、補助部材の強度を向上でき、レール装置の変形を抑制することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記補助部材は、左右兼用可能な形状をしたことにより、左右の補助部材を内箱に取り付ける際に使い分ける必要がないこととなり、作業性を向上できるとともに、補助部材を成形するための金型費用を抑制できる。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記縦フランジ部の下面と前記縦フランジ部の下面に対向する前記内箱との間に、一定の距離を持たせたことにより、レール装置に荷重が掛かった場合において、荷重によるレールの変形が補助部材にも影響を与え、レール装置に掛かった荷重と同方向に変形しようとする補助部材の縦フランジ部の下面と内箱との間に、一定の距離があることで、縦フランジ部の下面と内箱とは直接に接しておらず、発泡断熱材が存在することとなり、補助部材の変形により補助部材の縦フランジ部の下面で内箱を突き破る等の破損を起こすことなく、内箱の表面の形状を良好に維持することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1または4に記載の発明において、前記縦フランジ部は、庫内側とは反対側に傾斜させたことにより、レール装置に荷重が掛かった場合において、荷重によるレールの変形が補助部材にも影響を与え、補助部材の縦フランジ部の変形が内箱の存在する庫内側に変形することを抑制し、補助部材の縦フランジ部の進行方向に対して、より確実に内箱が存在せず、発泡断熱材が存在することとなり、補助部材の変形により補助部材の端面で内箱を突き破る等の破損を起こすことなく、内箱の表面の形状をより良好に維持することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明において、前記第1レール、前記第2レール、および前記第3レールそれぞれの長さは、前記収納容器が最大引き出し位置まで引き出された場合に、前記収納容器の奥端辺が、前記貯蔵室の直上部の扉の前面より前方に位置させる長さであることにより、貯蔵室の引き出し距離が長い場合であっても、本発明の冷蔵庫レール装置の変形を抑制することとなり、貯蔵室の使い勝手は保持される。
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記縦フランジ部は、前記レール装置に荷重が掛けられた場合に、前記縦フランジ部が水平方向へ移動しようとする変形を、前記断熱材との接触による抵抗で抑制させたものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の冷蔵庫の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫151の正面図である。
図1に示すように、冷蔵庫151は、観音開き式の扉を備える冷蔵庫であり、断熱箱体152内に複数に区画された貯蔵室を備えている。
具体的には貯蔵室として、上部より冷蔵室153、製氷室154、製氷室154に併設され室内の温度が変更可能な切換室155、野菜室156、および冷凍室157を備えている。
各貯蔵室の開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した断熱扉が設けられている。具体的には、冷蔵室153には断熱箱体152の開口部を開閉可能に塞ぐ左扉160aおよび右扉160bが設けられている。
また、製氷室154、切換室155、野菜室156、および冷凍室157にはそれぞれ引き出し式の扉161、扉162、扉163、および扉164が設けられている。
これら貯蔵室のうち、冷蔵室153以外の貯蔵室は引き出し式の貯蔵室である。
また、図1に示すように、断熱箱体152は、ABSなどの樹脂体を真空成型した内箱170とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱171とで構成された空間に発泡断熱材172が充填された断熱壁で構成されている。
野菜室156と冷凍室157の後側には、冷却器(図示せず)およびファン(図示せず)が設けられており、冷蔵庫151の本体下部に設置された圧縮機(図示せず)により冷却器が駆動され、冷却器から冷却された空気が各貯蔵室に送られる。また、それぞれの貯蔵室ごとに所定の温度に冷却制御される。
図2は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫151の野菜室156を引き出した状態を示す斜視図である。
図2に示すように、野菜室156は引き出し式の貯蔵室であり、野菜室156を形成する収納容器163aは、レール装置140により、断熱箱体152に出し入れ可能に備えられている。
具体的には、収納容器163aは、ミドルレール143を介して冷蔵庫151の前後方向に移動可能なトップレール144にその左右(図2において手前側と奥側)を支持されている。
なお、ミドルレール143は、図2に図示しないキャビネットレール142に移動可能に支持されている。また、キャビネットレール142は内箱170の内側面に固定されている。
収納容器163aの左右それぞれを支持するトップレール144の端部は扉163に連結されている。また、扉163の最大引き出し距離は、収納容器163aが完全に開放する長さである。
つまり、当該最大引き出し距離は、野菜室156を全開にしたときに、収納容器163aの奥(図2において左側)の端面が野菜室156の直上の扉161および扉162の前面より前方に位置する長さである。
この場合、収納容器163aの奥への食品の収納、および、収納容器163aの奥からの食品の取り出しが容易である。また、収納容器163aの取り出しおよび取り付けの際に、収納容器163aが上部の扉161および扉162に干渉しない。そのため収納容器163aの取り出しおよび取り付けを容易に行うことができる。
なお、冷凍室157も、野菜室156と同様に、最大引き出し距離が決定されており、使用者は、冷凍室157を形成する収納容器を容易に着脱することができる。
野菜室156および冷凍室157は、レール装置140が伸長することにより、このような位置まで引き出される。
図3は、本発明の実施の形態1におけるレール装置140の構成概要を示す断面図である。
図3に示すように、レール装置140は、引き出し式の貯蔵室を形成する収納容器を前後に移動可能に支持する装置であり、キャビネットレール142と、ミドルレール143と、トップレール144とを有する。
キャビネットレール142、ミドルレール143、およびトップレール144はそれぞれ長尺状であり、これらの長手方向が同一になるように配置されている。
また、キャビネットレール142は内箱170を挟んでホルダレール148とビス150aで締結される。これにより、レール装置140は、内箱170の内側面に固定される。ホルダレール148は、本発明の冷蔵庫における補助部材の一例であり、レール装置140を内箱170の内側面に固定するための部材である。このホルダレール148は、発泡断熱材172側に配置され、具体的には、ホルダレール148は、発泡断熱材172に埋設されている。
図3に示すように、ホルダレール148は、キャビネットレール142の下面の直下まで延設されたフランジ部148aを有する。これにより、キャビネットレール142の下方へのたわみを抑制することができる。具体的には、ホルダレール148は、少なくともキャビネットレール142の下面の中心位置まで延設されたフランジ部148aを有する。そして、ホルダレール148は、フランジ部148aの先端を、略直角に鉛直方向下方に折り曲げた縦フランジ部148eを有している。
キャビネットレール142は、本発明の冷蔵庫における第1レールの一例である。
レール装置140は、内箱170の内側面にキャビネットレール142を固定した上でトップレール144に直接的又は間接的に収納容器163aを支持して前後に摺動可能にしたものである。
また、キャビネットレール142の断面形状は、左右対称ではない。
ミドルレール143は、本発明の冷蔵庫における第2レールの一例である。ミドルレール143は、長手方向に垂直な断面がIの字状であり、左右に突出したフランジを長手方向の上下に有する形状である。
この上下のフランジのうちの下のフランジは、キャビネットレール142に長手方向に移動可能に保持されている。
トップレール144は、本発明の冷蔵庫における第3レールの一例であり、収納容器163a等の引き出し式の貯蔵室を形成する容器を支持するレールである。
トップレール144は、断面がコの字状の断面形状であり、ミドルレール143の上のフランジを長手方向に移動可能に保持している。
キャビネットレール142およびトップレール144のそれぞれは、具体的には、ボールゲージ146に保持された複数のベアリング145によりミドルレール143を移動可能に保持している。ここでベアリング145は、本発明の冷蔵庫における摺動部材の一例である。
より詳細に説明すると、ミドルレール143の上下のフランジのうち、下のフランジを中心とする部分をキャビネットレール142が複数のベアリング145で保持している。
また、キャビネットレール142は、当該断面においては複数のベアリング145を介して三方向からミドルレール143を支持することで、ミドルレール143を長手方向に移動可能に保持している。
また、ミドルレール143の上フランジを中心とする部分をトップレール144が複数のベアリング145で保持している。また、トップレール144も、当該断面においては複数のベアリング145を介して三方向からミドルレール143を支持することで、ミドルレール143を長手方向に移動可能に保持している。
キャビネットレール142、ミドルレール143およびトップレール144がこのように組み合わされていることにより、ミドルレール143は、キャビネットレール142上をその長手方向に移動可能である。
さらに、トップレール144は、ミドルレール143上をその長手方向に移動可能である。つまり、トップレール144は、ミドルレール143を介してキャビネットレール142上をその長手方向に移動可能である。
また、ミドルレール143およびトップレール144は、このように移動する際、複数のベアリング145が回転することによりスムーズに移動することができる。
以下、レール装置の倒れ防止手段について説明する。
図10に示すように、レール装置131に荷重が掛かると、レール装置131は矢印の方向へ変形しようとする。つまり、固定レール131aが口開きを行おうとする。
しかし、図3に示すように、ホルダレール148は、少なくともキャビネットレール142の下面の中心位置まで延設されたフランジ部148aを有することにより、キャビネットレール142の下部において、キャビネットレール142の底面に対しての中心位置をホルダレール148によって受けることとなるとともに、ホルダレール148が発泡断熱材172側に配置され、ホルダレール148が発泡断熱材172に埋設されていることから、ホルダレール148と発泡断熱材172との接触面積を大きくすることとなり、レール装置140の垂直方向へ下がろうとする変形を発泡断熱材172による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置140を内箱170に固定するためのホルダレール148の形状を工夫することにより、ホルダレール148自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレール148の発泡断熱材172内での垂直方向の変形を抑制できることとなり、レール装置140に荷重が掛けられた場合におけるレール装置140の垂直方向の傾きが抑制され、その結果、キャビネットレール142の口開きを抑制することができる。つまり、本来的には、レール装置140の固定の役割を担うホルダレール148に、さらに、レール装置140の補強という役割を担わせることができる。
また、ホルダレール148は、レール装置140の底面側に、引出扉が引き出された際にレール装置140に加わる力の向きと同方向に伸びた縦フランジ部148eを有したことにより、ホルダレール148の形状として縦断面二次モーメントが増加することによる強度向上を図るとともに、ホルダレール148の縦フランジ部148eの水平方向における発泡断熱材172との接触面積が追加されることとなり、縦フランジ部148eの水平方向へ移動しようとする変形(図3の矢印にて示す)を発泡断熱材172との接触による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するためのホルダレールの形状を工夫することにより、ホルダレール自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレールの発泡断熱材内での水平方向の変形を抑制できることとなり、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の水平方向の傾きが抑制される。
このように、レール装置140を内箱170に固定するためのホルダレール148の形状を工夫する、すなわち、本実施の形態では、レール装置の倒れ防止手段として、ホルダレール148をレール装置140が取り付けられた内箱170の発泡断熱材172側に配置するとともに、少なくともキャビネットレール142の下面の中心位置まで延設されたフランジ部148aを有する構成としたことにより、レール装置140に荷重が掛けられた場合におけるレール装置140の傾き等の変形が抑制される。
つまり、本来的には、レール装置140の固定の役割を担うホルダレール148に、さらに、レール装置140の補強という役割を担わせることができる。
図4は、本発明の実施の形態1におけるレール装置の外観を示す斜視図である。
図4に示すように、トップレール144は、ミドルレール143を介してキャビネットレール142に対して移動する。つまり、レール装置140全体として伸縮する。
具体的には、野菜室156の場合、使用者が扉163を引き出すことにより、扉163に連結された左右のトップレール144が引き出される。
これにより、図2に示すように、トップレール144に支持されている収納容器163aが断熱箱体152の外部に引き出される。つまり、野菜室156が全開になる。
また、キャビネットレール142、ミドルレール143、およびトップレール144それぞれの長さは、収納容器163aが最大引き出し位置まで引き出された場合に、収納容器163aの奥端辺が、野菜室156の直上部の扉の前面より前方に位置させる長さである。
このように、引き出し式貯蔵室である野菜室156が全開可能である本実施の形態の冷蔵庫151は、レール装置140が有する種々の技術的特徴により、引き出しの円滑性等の使い勝手を失わない。
図5は、本発明の実施の形態1におけるホルダレールの取り付け状態を示す斜視図である。
図5に示すように、ホルダレール148は内箱170の裏側面に取り付けられる。
具体的には、まず、ホルダレール148に設けられた内箱170へ固定するための補助部材の固定部148bと、内箱170に設けられた穴とを合わせ、ビス150bによって固定される。その後、内箱170と外箱171との間隙にウレタンなどの発泡断熱材172を発泡充填することで、ホルダレール148は内箱170の裏面に固着された状態で発泡断熱材172中に埋設されるものであり、ホルダレール148は発泡断熱材172が固化することでより強固に固定される。その後、レール装置140を内箱170に配置し、キャビネットレール142に設けられた穴(図示せず)と、ホルダレール148に設けられたレール装置の固定部148cとを合わせ、ビス150aによって固定され、内箱170にレール装置140を固定する。
図6は、本発明の実施の形態1におけるホルダレールを示す斜視図である。
ホルダレール148に設けられたフランジ部148aは、扉163が引き出された際に、長手方向に伸びたレール装置140に掛かる下向きの荷重を、受け止める状態になる。このとき、フランジ部148aはレール装置140から伝わる荷重によって、補助部材の固定部148bやレール装置の固定部148cを備えたホルダレール148の取り付け面となるホルダレール148の側面148fとフランジ部148aを有する面とで形成される角度が大きく広がろうという動きになる。この2面で形成される角度が大きくなる方向へ変形することは、レール装置140のたわみが発生することになり、引き出し扉の開閉時の操作性を損なうことになる。
このように、レール装置の信頼性を高めるため、ホルダレール148の形状を工夫することにより、使い勝手のよい引き出し式の貯蔵室を実現するレール装置を提供することができる。
以上のように、ホルダレール148は、少なくともキャビネットレール142の下面の中心位置まで延設されたフランジ部148aを有することにより、キャビネットレール142の下部において、キャビネットレール142の中心位置をホルダレール148によって受けることとなるとともに、ホルダレール148と発泡断熱材172との接触面積を大きくすることとなり、レール装置140の垂直方向へ下がろうとする変形を発泡断熱材172による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置140を内箱170に固定するためのホルダレール148の形状を工夫することにより、ホルダレール148自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレール148の発泡断熱材172内での垂直方向の変形を抑制できることとなり、レール装置140に荷重が掛けられた場合におけるレール装置140の垂直方向の傾きが抑制され、その結果、キャビネットレール142の口開きを抑制することができる。つまり、本来的には、レール装置140の固定の役割を担うホルダレール148に、さらに、レール装置140の補強という役割を担わせることができる。
また、ホルダレール148は、レール装置140の底面側に、引出扉が引き出された際にレール装置140に加わる力の向きと同方向に伸びた縦フランジ部148eを有したことにより、ホルダレール148の形状として縦断面二次モーメントが増加することによる強度向上を図るとともに、ホルダレール148の縦フランジ部148eの水平方向における発泡断熱材172との接触面積が追加されることとなり、縦フランジ部148eの水平方向へ移動しようとする変形(図3の矢印にて示す)を発泡断熱材172との接触による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するためのホルダレールの形状を工夫することにより、ホルダレール自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレール148の発泡断熱材172内での水平方向の変形を抑制できることとなり、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の水平方向の傾きが抑制される。
すなわち、ホルダレール148の庫内側に折り曲げられたフランジ部148aが、キャビネットレール142の下面の中心位置まで延設している。
これにより、レール装置140の庫内側への傾き量、および鉛直方向のたわみ量等が抑制される。なお、ホルダレール148の庫内側に折り曲げられたフランジ部148aの長さは、キャビネットレール142の左右方向の中心を越える長さが好ましい。
これにより、大容量の野菜室156に多くの食品等が収納されており、かつ、図2に示すように、全開可能である場合であっても、野菜室156の出し入れの際の円滑性は失われない。かつ、使用者は、食品等の出し入れ、および、収納容器163aの清掃等のための収納容器163aの取り外しおよび取り付けを容易に行うことができる。
また、冷凍室157のレール装置においても野菜室156と同様な構成とすることができる。
このように、本実施の形態1の冷蔵庫151は、引き出し式の貯蔵室を備える冷蔵庫であって、当該貯蔵室の容量が大きなものであっても、使い勝手の良さを失わない冷蔵庫である。
また、実施の形態1におけるレール装置は、野菜室156および冷凍室157のみならず、引き出し式の貯蔵室である、製氷室154および切換室155における引き出し機構として用いることもできる。
また、図3に示すように、ホルダレール148のフランジ部148aの上面と内箱170の下面とは、断熱材を介さず、直接に接していることにより、レール装置140に荷重が掛かった場合において、その荷重によるレール装置140の変形を柔軟な発泡断熱材172を介さずに、強固な材質であるホルダレール148によって抑制することが可能となり、ホルダレール148の補強効果を確実にもたらすことができる。
また、ホルダレール148を内箱面に直接に取り付けを行えるため、ホルダレール148の取り付け位置の規制がしやすくなり、ホルダレール148は求められた所定の位置に確実に取り付けが行え、ホルダレール148の補強効果が確実に得られる。
また、図3に示すように、キャビネットレール142の下面と内箱170の上面とは、直接に接していることにより、レール装置140に荷重が掛かった場合において、キャビネットレール142の下面と内箱170の上面との間に空間が存在した場合は、レール装置は何の阻害も受けずに変形を続けることとなるが、キャビネットレール142の下面と内箱170の上面とは、直接に接していることで、キャビネットレール142の下面と内箱170の上面との間に空間が存在せず、その荷重によるレール装置140の変形を、内箱170の発泡断熱材172内に取り付けられたホルダレール148によって抑制することが可能となり、ホルダレール148の補強効果を確実にもたらすことができる。
ただし、レール装置の取り付け工程におけるバラツキや、製品バラツキ等の影響により、キャビネットレール142の下面と内箱170の上面とが、必ずしも、直接に接することがない場合があるが、キャビネットレール142の下面と内箱170の上面との隙が1mm以下であれば、直接に接した場合に比べ、ホルダレール148の補強効果における劣化が小さく、キャビネットレール142の下面と内箱170の上面との隙が1mm以下であれば、直接に接していることとほぼ同様の作用効果が得られる。
また、図3に示すように、ホルダレール148は、レール装置140の底面側に、引出扉が引き出された際にレール装置に加わる力の向きと同方向に伸びた縦フランジ部148eを有したことにより、ホルダレール148の形状として縦断面二次モーメントが増加することによる強度向上を図るとともに、ホルダレールの縦フランジ部148eの水平方向における発泡断熱材172との接触面積が追加されることとなり、ホルダレール148の縦フランジ部148eの水平方向へ移動しようとする変形を発泡断熱材172による抵抗で抑制することができる。すなわち、レール装置を内箱に固定するためのホルダレール148の形状を工夫することにより、ホルダレール148自体の材料的な強度が向上するとともに、ホルダレール148の発泡断熱材172内での水平方向の変形を抑制できることとなり、レール装置に荷重が掛けられた場合におけるレール装置の水平方向の傾きが抑制される。
また、図5に示すように、ホルダレール148は、金属材料によって成形されたことにより、ホルダレール148に設けられたレール装置の固定部148cに必要な強度を容易に確保することとなり、本来の使用目的であるレール装置の固定を確実に行うことができ、すなわち、レール装置の固定と補強との両方を兼ねそろえたホルダレール148を一部品で成形することができる。
また、図6に示すように、ホルダレール148は、角度を持った2平面間の曲げ部に、補強形状148dを有したことにより、ホルダレール148のフランジ部148aに荷重が掛かった際におけるホルダレール148の曲げ部の変形を、ホルダレール自体の形状によって抑制することができ、ホルダレール148の強度を向上でき、レール装置140の変形を抑制することができる。
また、ホルダレール148は、左右兼用可能な形状をしたことにより、左右のホルダレール148を内箱170に取り付ける際に使い分ける必要がないこととなり、作業性を向上できるとともに、ホルダレール148を成形するための金型費用を抑制できる。
また、図6に示すように、縦フランジ部の下面148gと縦フランジ部の下面148gに対向する内箱170との間に、一定の距離を持たせたことにより、レール装置に荷重が掛かった場合において、荷重によるレールの変形がホルダレール148にも影響を与え、レール装置に掛かった荷重と同方向に変形しようとするホルダレール148の縦フランジ部の下面148gと内箱170との間に、一定の距離があることで、縦フランジ部の下面148gと内箱170とは直接に接しておらず、発泡断熱材172が存在することとなり、ホルダレール148の変形によりホルダレール148の縦フランジ部の下面148gで内箱170を突き破る等の破損を起こすことなく、内箱170の表面の形状を良好に維持することができる。
この場合、この一定の距離が、1mm以下になると、レール装置に荷重が掛かった場合において、レールの変形がホルダレールにも影響を与え、ホルダレール148の縦フランジ部の下面148gで内箱170を突き破る等の破損を起こす可能性が高くなり、また、レール装置に通常掛かる荷重によって起こるレール装置の変形が及ぼすホルダレールの変形が5mmを超えるとは考え難く、この一定の距離を大きくすることは、庫内側に内箱170と発泡断熱材172によって形成される凸形状が大きくなることとなり、それにより庫内容積を小さくすることとなるので、一定の距離とは、1mm以上5mm以下とすることが好ましい。
図7は、本発明の実施の形態1における他のレール装置の構成概要を示す断面図である。図7の点線部で囲まれたように、縦フランジ部148eは、庫内側とは反対側(図7において左側)、すなわち、内箱170から遠ざかるように傾斜させていることにより、レール装置に荷重が掛かった場合において、荷重によるレールの変形がホルダレール148にも影響を与え、ホルダレール148の縦フランジ部148eの変形が内箱170の存在する庫内側に変形することを抑制し、ホルダレール148の縦フランジ部148eの進行方向に対して、より確実に内箱170が存在せず、発泡断熱材172が存在することとなり、ホルダレール148の変形により縦フランジ部の下面148gで内箱170を突き破る等の破損を起こすことなく、内箱170の表面の形状をより良好に維持することができる。
なお、本実施の形態では、補助部材の固定部148bは、一つのホルダレール148につき、前側と後側とに各1ヵ所ずつ計2箇所設けたが、ビス150bで固定するのは、ホルダレール148の前側のみとしている。これは、レールの変形は長手方向の後側では、下向き変形がほとんどなく、ホルダレールの変形もほとんど起こらないため、補強という観点からも、補助部材の固定部148bは強度が必要とされる前側の一箇所でも、十分に補強効果を得ることができるためである。
また、ビス150bで固定するのは、ホルダレール148を発泡前の内箱に固定をするためであり、発泡断熱材172の充填後にはホルダレール148は発泡断熱材172内に埋設されるが、発泡前の内箱においても確実に求められた位置に固定することが可能となり、ホルダレール148の補強効果を確実にもたらすことができる。また、前述したように、ホルダレール148は最終的には内箱170の側面に取り付けられ、発泡断熱材172内に埋設され、発泡後には完全に内箱170に固定された強固なものとして存在するため、発泡前のホルダレール148の内箱170への固定は固定部148bの片側でも十分にその役目を果たすことができることから、補助部材の固定部148bは一箇所のみの固定としてもよい。
上述したように、補助部材の固定部148bは、一つのホルダレール148につき、前側と後側とに各1ヵ所ずつ計2箇所設けたが、本実施の形態では、ビス150bで固定するのは、ホルダレール148の前側のみとしている。
ただし、より強度を持たせるために、ホルダレール148の後側もビス150bで固定してもよい。
また、補助部材の固定部148bをレール装置の固定部148cよりも、フランジ部148aに近い位置に存在させることにより、レール装置に荷重が掛かった場合において、レールの変形が及ぼすホルダレール148の変形を、より効果的に抑制することができる。
つまり、補助部材の固定部148bがレール装置の固定部148cより、フランジ部148aから遠い位置に存在した場合は、レールの変形が及ぼすホルダレールの変形はレール装置の固定部148cを支点として変形を行う。支点と荷重の掛かるポイントが遠いほど変形が起こり易くなることとなり、ホルダレール148の変形における支点を、レール装置の固定部148cではなく、補助部材の固定部148bとし、補助部材の固定部148bをより荷重の掛かるポイントであるフランジ部148aに近づけることで、ホルダレール148の変形を抑制することができ、結果的にはレール装置の補強の役割を果たすことになる。
なお、本実施の形態では、レール装置の固定部148cは、一つのホルダレール148につき、前側と後側とに各1ヵ所ずつ計2箇所設け、2本のビス150aで固定しているが、一つのホルダレール148につき、レール装置の固定部148cは、2箇所以上、例えば、前側と後側と中間と3箇所設け、3本のビス150aで固定してもよい。