第1の発明は、内箱と外箱と前記内箱と前記外箱との間に充填した断熱材とよりなる断熱箱体と、前記断熱箱体の内方に形成され前面が開口する貯蔵室と、前記貯蔵室の内部に設けられ上面が開口する下容器と、前記下容器の上部をスライドする上容器と、前記貯蔵室の前面開口を開閉自在に閉塞する引出扉と、前記引出扉とともに前記下容器を前後に移動可能とするレール装置とを備え、前記下容器は底部両端を前記レール装置に保持されるとともに、前記下容器の側面上端部に外側リブと内側リブを設け、前記上容器の側面に外側突起部と内側突起部を設け、前記外側突起部を前記外側リブと前記内側リブの間に配置し、前記内側突起部を前記内側リブの内面側に配置し、前記上容器は前記下容器上を摺動するものである。
これによれば、下容器の側面上端部に外側リブと内側リブの2つのリブが奥行き方向に形成されるため、下容器の左右方向の変形を軽減できる。加えて、上容器と下容器の摺動部を構成する上容器の外側突起部、内側突起部が下容器の外側リブと内側リブとレール状の嵌め合い構造となるため、下容器の左右方向の変形圧力を上容器にも分散することになり、上容器の剛性によっても下容器の左右方向の変形を軽減できる。そして、上容器自体も外側突起部と内側突起部の2つの突起部によって剛性が増す構造のため、間接的に下容器の変形防止に役立つ。
よって、レール装置が容器の底部の左右両端に取り付けられた構成において、下容器の変形を軽減・防止できることで、より大容積化でき収納力を高めることができるとともに、上下容器の使い分けによる利便性の向上も図れる。
第2の発明は、特に、第1の発明の前記内側突起部を前記上容器の奥行き方向全体に設けたことにより、上容器の側面により近接配置した内側突起部が上容器の奥行き方向全体に設けられ、上容器の奥行き方向の剛性強度を高めることが出来る。また、容器に冷気通路等を配置するなど設計の自由度を向上できる。
第3の発明は、特に、第2の発明において、前記上容器側面の前記内側突起部近傍に一定間隔ごとに冷気連通口を設けたことにより、上容器に供給された冷気は冷気連通口を通じて下容器に供給できる。また、第2の発明により上容器の剛性強度が補強されているため、上容器側面の内側突起部近傍に一定間隔ごとに冷気連通口を設けても上容器の剛性強度を補完できる。
第4の発明は、特に、第1の発明において、前記上容器の前方に前記外側突起部を設け、前記下容器の側面上端部(側面フランジ部)後方に第1の後方突起部を設け、前記上容器を最後方に移動させた状態で前記外側突起部と前記第1の後方突起部とが当接するものである。
これによれば、第1の発明の効果に加え、上容器の前後移動に伴う後方への容器落ちを防ぐストッパー機能として上容器の側面の外側突起部を用いるので従来のように上容器底部に突起を設ける必要がなく、上容器が後方へ脱落するのを防止できるとともに突起が下容器の収納物を傷つけることもない。
第5の発明は、特に、第1の発明において、前記上容器の前方に前記内側突起部を設け、前記下容器の側面上端部(側面フランジ部)後方または背面上端部(背面フランジ部)に第2の後方突起部を設け、前記上容器を最後方に移動させた状態で前記内側突起部と前記第2の後方突起部と当接するものである。
これによれば、第1の発明の効果に加え、上容器の前後移動に伴う後方への容器落ちを防ぐストッパー機能として上容器の側面の内側突起部を用いることができ、容器の剛性強度を向上させるとともにストッパー機能を有することができる。
第6の発明は、特に、第1の発明において、前記上容器の前方に前記外側突起部を設け、前記下容器の側面上端部(側面フランジ部)前方に前方突起部を設け、前記上容器を最前方に移動させた状態で前記外側突起部と前記前方突起部とが当接するものである。
これによれば、第1の発明の効果に加え、上容器の前後移動に伴う前方への容器落ちを防ぐストッパー機能として上容器の側面の外側突起部を用いることができ、容器の剛性強度を向上させるとともにストッパー機能を有することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる冷蔵庫100は、観音開き式の扉を上部に備える冷蔵庫100であり、冷蔵庫100の内方と外方とを断熱状態で隔てる断熱箱体101内に複数に区画された貯蔵室を備えている。
冷蔵庫100の内の複数に区画された貯蔵室は、その機能(冷却温度)によって冷蔵室102、製氷室105、庫内の温度が変更できる切換室106、野菜室103、および冷凍室104等と区別して称されることがある。
冷蔵庫100の最上部に位置する冷蔵室102の前面開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した回転式の断熱扉107が設けられ、棚状の収納空間となっている。
また、冷蔵室102の下方に配置される製氷室105、切換室106、野菜室103、および冷凍室104は引出式の収納空間となされている。
断熱箱体101は、金属製の外箱112と樹脂製の内箱110との間に例えば硬質発泡ウレタンなどの断熱材111を充填して形成される少なくとも一面が開口した直方体の箱体である。この断熱箱体101は、外方の雰囲気(大気)から断熱箱体101の内方に流入しようとする熱を遮断する機能を有している。
冷蔵室102は、冷蔵保存のために収容物が凍らない程度の低い温度に維持される貯蔵
室である。具体的な温度の下限としては、通常1〜5℃で設定されている。
野菜室103は、断熱箱体101の最下部に配置され、主として野菜の冷蔵を目的とした貯蔵室である。また、野菜室103は、冷蔵室102と同等もしくは若干高い温度設定となされている。具体な温度の下限としては、2℃〜7℃である。なお、低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。
冷凍室104は、冷凍温度帯に設定される貯蔵室である。具体的には、冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30や−25℃の低温で設定されることもある。
製氷室105は、内方に製氷機(図示せず)を設け製氷機で氷を作りその氷を保存する貯蔵室である。設定温度は冷凍室104とほぼ同等である。
切換室106は、冷蔵庫100に取り付けたれた操作盤により、用途に応じ冷蔵温度帯から冷凍温度帯まで切り換えることができる。
図2は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図であり、図1におけるA−A線で切断した状態を示している。
図2に示すように、異なる温度帯の貯蔵室を区画するために、各貯蔵室の間に仕切壁108が設置されている。冷蔵庫100に備えられる貯蔵室のうち引出式の貯蔵室には、前面開口を閉塞する引出扉201と、引出扉201と断熱箱体101とを伸縮自在に接続するとともに貯蔵室の内部に備えた下容器206を前後に移動可能とするレール装置202とが設けられている。下容器206は底部両端をレール装置202によって支持されている。
引出扉201は、貯蔵室の開口を開閉自在に閉塞することができる断熱性を備えた板状の部材であり、奥側周縁にパッキン207を備えている。パッキン207は、引出扉201が貯蔵室の開口を閉塞した状態で断熱箱体101等と密着し、冷気が漏れるのを防いでいる。また、引出扉201の正面上部には、貯蔵室を手前に引き出すときに手を掛ける手掛部201aを備えている。
引出扉201には、扉フレーム205が引出扉201に対して垂直突出状に取り付けられている。そして、扉フレーム205は、レール装置202に取り付けられている。さらに、扉フレーム205は下容器206を保持している。
図3は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫のレール装置を示す斜視図である。
図3に示すように、レール装置202は、三段に重ねられた三つのレールを有し、第2レール(ミドルレール221)が第1レール(キャビネットレール222)に対して移動可能であり、かつ、第3レール(トップレール203)が第2レール(ミドルレール221)に対して移動可能であることにより、全体として伸縮可能である。
キャビネットレール222は、内箱110の側面または底面に固定された「固定レール」であり、トップレール203とミドルレール221とが、固定レールに対し移動可能に設けられた「移動レール」である。
図4は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の内箱とレール装置の取付部を示す断面図である。図4では、引出式の貯蔵室のうち冷凍室104を例に説明する。
まず、レール装置202について説明する。
キャビネットレール222の長手方向に垂直な断面形状は、左右対称ではなく、高さの高い方の側面が、内箱110の内側面に固定されている。
ミドルレール221は、断面がIの字状であり、左右に突出したフランジを長手方向の上下に有する形状である。この上下のフランジのうちの下のフランジは、キャビネットレール222に長手方向に移動可能に保持されている。
トップレール203は、断面がコの字状の断面形状であり、ミドルレール221の上のフランジを長手方向に移動可能に保持している。
キャビネットレール222とトップレール203のそれぞれは、回転支持部材保持部146により複数の回転支持部材145を保持しており、この回転支持部材145によりミドルレール221を移動可能に保持している。なお、回転支持部材145としては、ベアリングを用いることができる。
より詳細に説明すると、ミドルレール221の上下のフランジのうち、下のフランジを中心とする部分をキャビネットレール222が複数の回転支持部材145を介して三方向から保持している。
また、ミドルレール221の上フランジを中心とする部分をトップレール203が複数の回転支持部材145を介して三方向から保持している。
キャビネットレール222、ミドルレール221およびトップレール203がこのように組み合わされていることにより、ミドルレール221は、キャビネットレール222上をその長手方向に移動可能である。さらに、トップレール203は、ミドルレール221上をその長手方向に移動可能である。つまり、トップレール203は、ミドルレール221を介してキャビネットレール222上をその長手方向に移動可能である。
また、ミドルレール221およびトップレール203は、複数の回転支持部材145が回転することによりスムーズに移動することができる。
トップレール203、ミドルレール221、キャビネットレール222、回転支持部材145は、予め組み込んだ状態で、内箱110に取り付けられる。
次に、レール装置202の内箱110への取付について説明する。
図4に示すように、キャビネットレール222に一体に形成されたレール取付部223を内箱110の側部に面で当接するように配設し、内箱110の側部にビス400によって固定する。
このとき、取り付け面となる内箱110は主に樹脂によって成型されているため、内箱110に直接ビスを固定しても、レール装置202にかかる荷重に耐え得る強度が確保できない。そこで、レール装置202を確実に固定する手段として、レール取付部223を、内箱110を介して、断熱材111内に埋設したレール保持部材270に取り付ける。
レール保持部材270は主に鉄などの金属材料によって形成される。また、レール保持部材270を、あらかじめ内箱110内面の所定位置に固定し、その後、発泡断熱材を内
箱110と外箱112との間に充填しに断熱材111内に埋没させることにより、レール保持部材270の保持力をより向上させることが可能となる。
レール保持部材270は、レール取付部223とビス400で固定されるレール保持部270aと、レール装置202の内倒れを防止する内倒れ防止手段270bを一体に形成してある。内倒れ防止手段270bはレール保持部270aの下部に形成された横フランジ部である。
より具体的には、内倒れ防止手段270bは、断熱材111側から内箱110に密着するように形成された縦フランジ部であるレール保持部270aの下部から内箱110を離れて外箱112の方向へ折れ曲って形成され、さらに先端部分は下向きに折れ曲って形成されている。そして充填された断熱材111に内倒れ防止手段270bの横フランジ部が面で断熱材111を受け、さらに横フランジ部が断熱材内に食らい込むので、レール保持部材270の強度を確保できる。これにより、レール取付部223が冷凍室の庫内側へ倒れ込むのを防止し、さらにレール装置202が庫内側方向への倒れを防止することができ、引出扉201の開閉をスムーズに行なうことができる。
なお、横フランジ部の内倒れ防止手段270bはレール保持部270aの上部から折れ曲って一体に形成されてもよく、さらに上部と下部の両方に内倒れ防止手段270bを形成してもよい。これによって、レール保持部270aに対して上部と下部の横フランジ部が面で断熱材111を受け、さらに上下の横フランジ部が断熱材内に食らい込むので、さらにレール保持部材270の強度を確保できる。
また、冷凍室104の底面壁となる仕切壁108は、両側部に底面段差部108aが形成され、底面段差部108aは仕切壁108の基準面となる中央部よりも一段高く奥行き方向に向かって形成されている。
そして、底面段差部108a上にレール装置202が配設されている。またレール装置202が固定される内箱110の側壁面部には側面段差部110aが形成されている。側面段差部110aは冷凍室104内の上部側壁面部よりも外箱112側へ凹んで形成され壁厚が薄くなっている。
したがって、レール装置202を底面段差部108aに載置して側面段差部110aにビス止め固定するので、収納空間内に飛び出すレール装置202を抑制することができ、冷凍室104内に下容器206の全幅寸法を大きくでき、無効空間を低減することができる。
また、底面段差部108aに載置してレール装置202を組立てるので作業性を向上できる。また底面段差部108aの部分は仕切壁108の壁厚が大きくなるので、冷凍室104内にある金属製のレール装置202が冷やされて、下部にある野菜室103の天面となる仕切壁108が結露するのを防止することができる。
図5は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室における内箱とレール装置の取付部を示す断面図である。
図5に示すように、最下部に形成された野菜室103のレール保持部材280は断熱材111内に配置され、レール保持部280aと内倒れ防止手段280bとを備えている。レール保持部280aは、略L字状の縦フランジ部と横フランジ部とで形成され、内箱110の側面部と底面部に密着している。内倒れ防止手段280bは、レール保持部280aの底面部となる横フランジ部に一体形成され、また内箱110から離れる方向で、下方
に向かう下フランジ部となって形成されている。
内倒れ防止手段280bが下方に向かう下フランジ部となって、断熱材111内に埋設されているので、レール取付部223に野菜室庫内側へ倒れ込む方向にモーメントが働いても下フランジ部の内倒れ防止手段280bが、その下部に充填された断熱材111によって阻止されるので、倒れこみを防止し、レール保持部材280の強度をさらに確保でき、野菜室103のレール装置202の庫内側方向への倒れを防止することができる。
また、野菜室103の底面壁401は、両側部に底面段差部401aが形成され、底面段差部401aは底面壁401の基準面となる中央部よりも一段高く、奥行き方向に向かって形成されている。
そして、底面段差部401a上にレール装置202が配設されている。またレール装置202が固定される内箱110の側壁面部には側面段差部110aが形成されている。側面段差部110aは野菜室103内の上部側壁面部よりも外箱112側へ凹んで形成され壁厚が薄くなっている。
そして、レール取付部223は側面段差部110aを間に挟んで金属製のレール保持部材280とビス400で側面固定される。
したがって、レール装置202を底面段差部401aに載置して側面段差部110aにビス止め固定するので、収納空間内に飛び出すレール装置202を抑制することができ、野菜室103内に下容器206の全幅寸法を大きくでき、無効空間を低減することができる。
また、底面段差部401aに載置してレール装置202を組立てるので作業性を向上できる。さらに、底面段差部401aの部分は底面壁401の壁厚が大きくなるので、断熱性を確保できる。
また、最下段の野菜室103の引出扉201は上段の冷凍室104の引出扉201よりも下方にあり、利用者が引出扉201を引出した時に、位置的に最下段にある野菜室103の引出扉201に体重をかけやすい位置にあり、収納量の負荷以外に外部の負荷量もかかる虞があり、レール保持部材280を略L字状のレール保持部280aと下フランジ部となる内倒れ防止手段280bとを一体に形成したので、最下段の引出扉201のレール装置202の倒れ込み防止として、より強固に保つことができる。
冷凍室104、野菜室103ともに側面段差部110aによって側面の壁厚が薄くなっているので、真空断熱材(図示しない)をレール装置202が配設される部分に対応させて、具体的には冷凍室104と野菜室103のレール装置202間よりも高さ寸法が大きい真空断熱材を外箱112に貼り付けることで断熱性を確保することができる。
引出扉201とレール装置202との取付について説明する。
図6は、本発明の実施の形態1における引出扉とレール装置とを接続した状態を示す斜視図である。
図6に示すように、引出扉201は、奥側面のほぼ全面を覆う内側板211と、扉フレーム205とを備えている。内側板211は、引出扉201を構成する部材の一つであり、真空成形により形成される板状の部材である。内側板211に直接に固定された扉フレーム205は、ビスなどを用いてトップレール203に接続されることにより、引出扉2
01は、レール装置202の機能により引き出されたり押し戻されたりすることが可能となっている。
引出扉201、特に引出扉201の上端部を持って引き出したり押し戻したりしたときに発生する応力が、トップレール203の基端部に集中するのを緩和するため、扉フレーム205の基端部は、扉フレーム205の主要部より上方に突出した拡大部281を備えている。
扉フレーム205は、扉フレーム205の一辺に対応する端縁が引出扉201の内側板211に沿うように折曲される折曲部241を備えており、折曲部241は、トップレール203の基端部より上方の引出扉201の部分に取り付けられている。拡大部281を折曲部241と扉フレーム205との間に設けることで、扉フレーム205と引出扉201との固定部の大きさを高さ方向に大きくすることとなり、引出扉201に対して下部に取り付けられているレール装置202と引出扉201との取付部の強度不足を補い、スムーズな引出扉の開閉を行うことが可能となる。
また、内側板211には容器固定手段301が設けられている。容器固定手段301は金属製の部材で、内側板211の裏側の発泡断熱材内に固定された平板状の金属板(図示せず)に、内側板211を介してビス等により固定されている。容器固定手段301の上方は内側板211との間に隙間を備えており、この隙間に下容器206の一部を差し込むことで、容器を固定できる。
これらの構成により、引出扉201を持って引き出したり押し戻したりした場合であっても、応力がトップレール203の取付部に集中することはなく、折曲部241や扉フレーム205を介して接続されている部分に分散するため、全体として引出扉201とトップレール203との取付強度を向上することが可能となる。
これは、トップレール203が引出扉201の下部に取り付けられている本実施の形態のような場合には、特に有効である。仮に、レール装置202を引出扉201の上下方向中央部付近に取り付けた場合において必要となる最低限の強度を確保した扉フレーム205を用いて、本実施の形態の位置と同様に、レール装置202を引出扉201の上下方向中央部より下方に配置した状態で、引出扉201を前後に開閉操作を行った場合、扉フレーム205の引出扉201との固定部側の強度不足により、扉フレーム205、若しくは内側板211に変形が起こり、結果として、引出扉201に備えられているパッキン207が断熱箱体101から離れ、隙が発生し、冷蔵庫内に着霜等の品質不良へと繋がる可能性もある。
引出扉201とトップレール203との取付部が引出扉201の下部に有ると、引出扉201の上部を持って引き出したり押し戻したりした場合、取付部にかかるモーメントが比較的大きくなるが、本実施の形態は、取付部よりも上方に突出した拡大部281を設けた扉フレーム205が取り付けられ、また、取付部よりも上方に容器固定手段301が設けられている。このため、引っ張り力の支点となる位置を上方とでき、取付部にかかるモーメントが小さくなるので、トップレール203の取付部を破損から保護することが可能となる。
下容器206の扉フレーム205への配置について説明する。
図7は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫のレール装置の間に容器を配置した状態を奥側から示す断面図である。
図7に示すように、下容器206は、野菜やペットボトルに充填された飲料、冷凍食品などを収容するための容器であり、上面が開口した樹脂製の箱体である。下容器206は、下部の両端部に内方に向く段部262が形成されるように幅が狭い狭幅部261を備えている。そして下容器206は、狭幅部261が2本のトップレール203の間に配置され、段部262が扉フレーム205の上面に載置されることで、扉フレーム205、トップレール203に支持される。
このように、トップレール203が引出扉201の下部の両角に設けられているため、下容器206の内、幅を狭くしなければならない狭幅部261をできる限り短く抑えることが可能となる。従って、下容器206は、収納容積ができる限り広くなるような形状を採用することが可能となる。
図7は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫のレール装置と容器の配置を示した要部拡大図である。
本実施の形態では、図8の(A)に示すように、下容器206は、下部の両端部に内方に向く段部262が形成されるように幅が狭い狭幅部261を備えるものとしたが、図8の(B)や図8の(C)に示すように、下容器206の側面はほぼストレート形状とし、下容器206は段部262を設けないで、レール装置202は、下容器206の底部の左右両端の側方で支持したり(図8の(B)参照)、あるいは、下容器206の底部の左右両端の下方で支持したり(図8の(C)参照)してもよい。なお、図8では、レール装置202と下容器206の位置関係を示すものであって、扉フレーム205は、省略して図示していない。
以上の構成により、引出扉201の最大引き出し距離は、下容器206が完全に開放する長さとなる。つまり、冷凍室104を全開にしたときに、下容器206の背面の端部が冷凍室104直上の引出扉201の前面より前方に位置する。このため、下容器206の奥への食品の収納、および、奥からの食品の取り出しが容易である。また、下容器206が上部の引出扉201に干渉しないため、下容器206の取付、取外しを容易に行うことができる。
図9は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の容器の斜視図である。
図9に示すように、下容器206は開口部の周囲には外側に凸となるフランジ部を備えている。すなわち、前面の上端部には前面フランジ部206a、両側面の上端部には側面フランジ部206b、背面の上端部には背面フランジ部206cがそれぞれ連続するように設けられている。フランジ部は前面、側面、背面のそれぞれの側壁を折り返すように形成されており、その内部は中空であることが軽量化の面で望ましい。このフランジ部を設けることにより、下容器206の開口部の強度を増すことができる。
下容器206の両側面の下部に備えられた段部262には、下容器206と一体成形され、下方に凸となる突起部206dが前方、および/または、後方に設けられている。これらの突起部206dは、扉フレーム205に形成された切欠き形状の固定孔部(図示せず)に挿入される。
このように、下容器206の前面フランジ部206aを引出扉201の容器固定手段301に固定し、突起部206dを扉フレーム205に固定することで、引出扉201に対して下部に取り付けられているレール装置202と引出扉201との取付部の強度不足を補い、スムーズな引出扉の開閉を行うことが可能となる。
すなわち、引っ張り力の支点となる位置を引出扉201よりも後方とすることで、取付部にかかるモーメントが小さくなるため、トップレール203の取付部またはレール固定部の取付部を破損から保護することが可能となる。
また、下容器206の背面の壁面高さは、前面または両側面の壁面高さより低くなるように構成されている。換言すると、背面フランジ部206cは、前面フランジ部206aおよび/または側面フランジ部206bより低い位置に設けられている。
上容器208は側面に突起部とレールフランジ209を備え、下容器206の側面フランジ部206bと内箱に設けたレール溝(図示しない)上を前後に摺動することで下容器206上および内箱内へ移動することができる。
図10は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の上容器と下容器の摺動部の要部断面図である。
図10に示すように、上容器208は側面に外側突起部208aと内側突起部208bを備え、下容器206の側面上端部である側面フランジ部206bには外側リブ210aと内側リブ210bを備える。外側突起部208aは外側リブ210aと内側リブ210bの間に配置し、内側突起部208bは内側リブ210bの内面側に配置し、上容器208は下容器206上を摺動する。また、内側突起部208bを外側突起部208aより大きくし外側突起部208aの係り代は7mm程度、内側突起部208bの係り代は15mm程度と内側の係り代の方を大きく設定している。また、下容器206のリブについても外側リブ210aを内側リブ210bより大きく設定している。
以上のように構成した上容器208と下容器206について、以下その動作、作用を説明する。
まず、下容器206の側面上端部である側面フランジ部206bに外側リブ210aと内側リブ210bの2つのリブが奥行き方向に形成されるため、下容器206の左右方向の変形を軽減できる。
加えて、上容器208と下容器206の摺動部を構成する上容器208の外側突起部208a、内側突起部208bが下容器206の外側リブ210aと内側リブ210bとレール状の嵌め合い構造となるため、下容器206の左右方向の変形圧力を上容器208にも分散することになり、上容器208の剛性によっても下容器206の左右方向の変形を軽減できる。なお、嵌め合い構造となる各突起部と各リブ間の距離は摺動機能と下容器の剛性強度向上を両立できる程度に設定することが重要で1〜5mm程度とし、下容器フランジ部が変形していない状態では、各突起部と各リブ間に摺動用の隙間があり、変形が許容範囲を超えた状態から隙間は無くなり下容器の変形防止として機能する設定にする。
そして、上容器208自体も外側突起部208aと内側突起部208bの2つの突起部によって剛性が増す構造のため、間接的に下容器206の変形防止に役立つ。
また、上容器208の側壁に近い内側突起部208bを外側突起部208aより大きくすることで、より上容器208の剛性強度を増すことができる。
また、下容器206についても、外側リブ210aを内側リブ210bより大きく設定することで外側突起部208aが外側リブ210aと内側リブ210bの溝から脱落することを軽減・防止できる。
以上のように本実施の形態では、レール装置が下容器の底部の左右両端に取り付けられた構成において、課題となる下容器上部の変形を軽減・防止できることで、下容器をより大容積化でき収納力を高めることができるとともに、上下容器の使い分けによる利便性の向上も図れる。
図11は、本発明の実施の形態1における別形態の冷蔵庫の上容器の斜視図である。
図11に示すように、本実施の形態の内側突起部208bを上容器208の奥行き方向全体に設けることにより、上容器208の側面により近接配置した内側突起部208bが上容器208の奥行き方向全体に設けられ、上容器208の奥行き方向の剛性強度を高めることが出来る。
図12は、本発明の実施の形態1における別形態の冷蔵庫の上容器と下容器の摺動部の要部断面図である。
図11、図12に示すように、本実施の形態の上容器208の側面の内側突起部208b近傍に一定間隔ごとに冷気連通口212を設けたことにより、上容器208に供給された冷気は冷気連通口212を通じて下容器206に供給でき、下容器206内の貯蔵物を冷却できる。上容器208の側面は内側突起部208b近傍に設けた冷気連通口212によって剛性強度は低下するが、内側突起部208bを上容器208の奥行き方向全体に設けたことにより上容器208の剛性強度が補強されているため、上容器208側面の内側突起部208b近傍に一定間隔ごとに冷気連通口212を設けても上容器208の剛性強度を補完できる。
(実施の形態2)
図13は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の下容器の側面フランジ部の要部拡大図、図14は、上容器の側面前方の外側突起部近傍の要部拡大図である。
本実施の形態においては、実施の形態1と異なる点のみを説明し、同様の構成、動作、作用については、説明を省略する。
図13、図14に示すように、上容器208の前方に外側突起部208aを設け、下容器206の側面上端部(側面フランジ部)後方に第1の後方突起部213(溝部で構成しても良い)を設け、上容器208を最後方に移動させた状態において外側突起部208aと第1の後方突起部213が当接し、上容器の後方への行き過ぎ、脱落を防止する位置決めのストッパーとして機能する。
以上のように本実施の形態では、下容器206の変形を防止するとともに、上容器208の前後移動に伴う後方への容器落ちを防ぐ等のストッパー機能として上容器208の側面の外側突起部208aを用いるので従来のように上容器底部に突起を設ける必要がなく、上容器208が後方へ脱落するのを防止できるとともに突起が下容器の収納物を傷つけることもないという優れた効果がある。
図15は、本発明の実施の形態2における別形態の冷蔵庫の下容器の側面フランジ部と背面フランジ部の要部拡大図である。
図14、図15に示すように、上容器208の前方に内側突起部208bを設け、下容器206の側面上端部(側面フランジ部)後方または背面上端部(背面フランジ部)に第2の後方突起部214、215を設け、上容器208を最後方に移動させた状態において内側突起部208bと第2の後方突起部214または215が当接し、上容器の後方への行き過ぎ、脱落を防止する位置決めのストッパーとして機能する。
以上のように本実施の形態では、上容器208の前後移動に伴う後方への容器落ちを防ぐ等のストッパー機能として上容器208の側面の内側突起部208bを用いることができ、下容器の剛性強度を向上させ変形を防止するとともにストッパー機能を有することができる。なお、背面上端部(背面フランジ部)に第2の後方突起部215を設ける場合は、別途新規に設けるのではなく背面フランジ部206cの壁面を使用しても良い。
また、内側突起部208bは上容器208の両側面に配置されるため、下容器206内の両端部に配置されることになり、突起が下容器の収納物を傷つけることもない。
また、図13、図14に示すように、上容器208の前方に外側突起部208aを設け、下容器206の側面上端部(側面フランジ部)前方に前方突起部216(溝部で構成しても良い)を設け、上容器208を最前方に移動させた状態において外側突起部208aと前方突起部216が当接し、上容器208の前方への行き過ぎ、脱落を防止する位置決めのストッパーとして機能する。
以上のように本実施の形態では、上容器208の前後移動に伴う前方への容器落ちを防ぐ等のストッパー機能として上容器208の側面の外側突起部208aを用いることができ、下容器の剛性強度を向上させ変形を防止するとともにストッパー機能を有することができる。