請求項1に記載の発明は、内箱と、外箱と、前記内箱と前記外箱との間に充填した断熱材とを備えた前面開口部を有する断熱箱体と、前記断熱箱体の内部に備えられた容器と前記容器の前面側に備えられた扉とからなる引出し式貯蔵室において、前記容器を前後に移動可能とするレール部材を有し、前記レール部材は前記断熱箱体側に備えられた固定レールと、前記扉側に備えられた移動レールと前記固定レールと前記移動レールとを連結する中間走行レールとを有し、前記扉には扉支持部材を備え、前記扉支持部材に前記移動レールが固定されるとともに、前記容器が係合し、前記引出し式貯蔵室の最大開放位置において、前記容器の奥側の内壁面が前記断熱箱体の前記前面開口部より前方に位置するものである。
これによって、ガタツキの少ない高品位な引出し扉を構成することができ、使用者の使い勝手を向上させる目的で、引出し式貯蔵室を奥まで引き出せるような貯蔵室を備えた冷蔵庫で、従来の引出ししろの少ない冷蔵庫に比べて引出し式扉に大きな負荷がかかった場合でも、ガタツキ部分を中心にレールに発生する偏荷重の発生を抑制し、この偏荷重によるレールの変形や取り付け面の変形等を低減することができ、冷蔵庫の信頼性を低下させることなく引出し扉開放時に容器の上面開口部を最大化することができ、容器からの食品取り出し性、さらに容器自身の着脱性を向上させることができるので、引出し扉開放時に容器の上面開口部を最大化することができ、容器からの食品取り出し性、さらに容器自身の着脱性を向上させることができるので、使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記引出し式貯蔵室の最大開放位置において、さらに前記容器の奥端面が前記容器が備えられた引出し式貯蔵室の直上部の扉の前面より前方に位置するものである。
これによって、さらに容器自身が直上部の室の扉に妨げられず障害なく着脱することができるので、容器の清掃、洗浄時などの使い勝手が極めてよい冷蔵庫を提供することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、引出し式貯蔵室は、使用者が行う一回の引出し動作によって、最大開放位置まで引出せるものである。
これによって、使用者が引出し式貯蔵室を開放する動作を行う際に一回の引出し動作によってスムーズに最大開放位置まで開放することができるので、例えば冷蔵庫に収納する収納物を持ちながらでも、片手での動作でスムーズに最大開放位置まで引き出すことができ、使用者の冷蔵庫の収納性を向上させることができ、使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記容器が、複数の引出し式貯蔵室に備えたうちの、少なくともひとつの容器であるものである。
これによって、複数の引出し式貯蔵室のうち請求項1から3に記載の発明の作用効果を期待する前記容器が最も必要とされる引出し式貯蔵室に少なくとも備えられていることにより、かかる容器を必ずしも必要としない引出し式貯蔵室との使い分けをすれば、合理的な冷蔵庫を提供できる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記容器が、前記複数の引出し式貯蔵室のうちで最も容量の大きい引出し式貯蔵室の容器であるものである。
これによって、最も容量が大きい為に収納時の重量が大きくなる為に引出し式扉により大きな負荷がかかるような引出し式貯蔵室においても、ガタツキ部分を中心にレールに発生する偏荷重の発生を抑制し、この偏荷重によるレールの変形や取り付け面の変形等を低減することができ、冷蔵庫の信頼性を低下させることなく引出し扉開放時に容器の上面開口部を最大化することができ、容器からの食品取り出し性、さらに容器自身の着脱性を向上させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明に加え、断熱箱体の奥行き寸法に対して、容器の奥行き寸法が55%以上90%以下であるものである。
これによって、従来引出し代を大きくすることが難しかった奥行きの深いタイプの引出し式貯蔵室においても、引出し式貯蔵室に備えられた容器の奥部までスムーズに引き出せることによって、使用者の冷蔵庫の収納性を向上させることができ、使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明に加え、引出し式貯蔵室の最大開放位置において、前記引出し式貯蔵室に備えられた容器は、ほぼ鉛直方向において上方に引き上げることで取り出せるものである。
これによって、使用者が容器の清掃等を行う為に容器を取り外す際に容易に容器の着脱を行うことができ、食品等を収納する為に汚れ等が付着しやすい冷蔵庫を清潔に保つ際の使用者の使い勝手を大幅に向上させることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明において、容器の上部に、前記容器より浅い小物容器を設けたものである。
これによって、それぞれ食品の大きさに合った区分収納が出来、使い勝手の向上を図ることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記小物容器が、請求項1から7のいずれか一項に記載の容器に含まれるものであり、小物容器に対しても請求項1から7のいずれか一項に記載の容器と同様の作用効果が期待できる。
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の発明において、床面から引出し貯蔵室の上端の高さを1000mm以下としたものである。
これによって、人の肘から下に容器を配置出来、食品の出し入れ動作が楽に行なうことができる。
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の発明において、引出し式貯蔵室には、前記引出し式貯蔵室が閉まる際に扉を自閉させる自閉手段を備え、前記自閉手段は前記引出し式貯蔵室を移動可能とするレール部材に備えられたものである。
これによって、自閉手段を有することで、断熱箱体と扉との気密性が向上し、消費電力量の削減と操作感をより向上させた引出し式貯蔵室を構成することができる。
また、レールに自閉手段を備えることによって、自閉手段の為のスペースを最小限にすることができ食品収納スペースを向上させることができる。
請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載の発明に加え、引出し式貯蔵室を移動可能とするレール部材の摺動部には潤滑剤を塗布したものである。
これによって、摺動部の潤滑性を向上させることでガタの少ない高品位な引出しを構成することができるとともに、低温環境下でレールを使用する場合や、容器に荷重を加えた場合でも滑らかに移動レールが移動できるので引出しの操作力を低減することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、潤滑剤は回転支持部材の移動する範囲に塗布したものである。
これによって、確実にレール部材のスムーズな動きを得ることができる。
請求項14に記載の発明は、請求項12または13に記載の発明において、潤滑剤は固形潤滑材料であり、低温から高温まで潤滑信頼性を長期にわたって確保することができるので、冷蔵庫が店頭で販売される場合から冷蔵温度帯や冷凍温度帯といった低温下で使用される場合でも、高い潤滑信頼性を確保することができ、あらゆる温度帯において確実にレール部材のスムーズな動きを得ることができる。
請求項15に記載の発明は、請求項1から14のいずれか一項に記載の発明において、冷凍温度帯の貯蔵室にレール部材を適用したものである。
これによって、近年より大容量化が図られている冷凍温度帯を有する貯蔵室においても、高品位のレール部材を備えることができ、冷凍温度帯を有する貯蔵室において高い潤滑信頼性を確保することができ、低温度帯において確実にレール部材のスムーズな動きを得ることができる。
請求項16に記載の発明は、請求項1から15のいずれか一項に記載の発明において、断熱箱体は内箱と外箱との間に発泡断熱材が充填されたものであって、前記発泡断熱材が充填によって前記断熱箱体が形成された後に、引出し式貯蔵室を移動可能とするレール部材が取り付けられたものである。
これによって、固定レールと中間レールと移動レールとをあらかじめ組み込んだ状態のクリアランスの小さい高精度なレール部材を断熱箱体に備える際に、断熱箱体の発泡に伴う温度上昇および異物の混入等を防ぎ、高精度なレールの信頼性を低下させることなく、断熱箱体にレールを備えることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の側断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は同実施の形態の冷蔵庫の概略組立図、図4は、同実施の形態の冷蔵庫のレール部材の分解組立図、図5は、同実施の形態の冷蔵庫のレール部材の断面図である。
図1から図5において、冷蔵庫18の断熱箱体19は内箱20と外箱21との間に発泡断熱材22を充填したものであり、前面開口部19aを有し、仕切壁23、23a、24により、上部より冷蔵室25、切替室26、野菜室27、冷凍室28を形成している。
また、仕切壁24の両側面は開放部24aを有し、仕切壁24内部には断熱箱体19と同様に発泡断熱材22が充填されている。
また、仕切壁24の上部に配置する野菜室27は冷却温度が5℃程度、下部に配置する冷凍室28は冷却温度が−20℃程度の冷凍温度帯というように仕切壁24を介して上下に異なる温度帯に設定されている。
野菜室27と冷凍室28はそれぞれ前面開口部19aを野菜室引出し扉29と冷凍室引出し扉30が備えられた引出し式貯蔵室であり、更に野菜室27と野菜室引出し扉29および冷凍室引出し扉30とはそれぞれレール部材31にて連結されることにより前後方向に引出し摺動可能となっている。また、切替室26も引出し式貯蔵室である。
また、野菜室引出し扉29の上端部は床面から人の肘の高さに相当する1000mm以下に位置するように設定されている。
レール部材31は固定レール31aと、移動レール31bと、固定レール31aと移動レール31bとの間に備えられた中間走行レール31cと、中間走行レール31cと固定レール31aおよび移動レール31bとの係合を支持する回転支持部材である複数のベアリング31dとからなり、固定レール31aと移動レール31bと中間走行レール31cとベアリング31dとを予め組み込んだ状態で固定レール31aを内箱20の両側壁面に固定し、移動レール31bを、仕切壁24を介して上下に配置する野菜室引出し扉29と冷凍室引出し扉30に連結支持している。
そして、各貯蔵室の容器32はレール部材31を内箱20に固定後にレール部材31の移動レール31bに支持し、各貯蔵室引出し扉を前後方向に引出すのと同期して移動レール31bと共に前後に移動し、更に各貯蔵室引出し扉を少なくとも全開した時に容器32は上方向に容易に着脱できるようになっている。
このような引出し式扉を開く際の動作は、使用者が行う一回の引出し動作によって、最大開放位置まで引出せるものである。なお、ここでは図示しないがレール部材31は仕切壁24に配置しても良い。
また、固定レール31aと移動レール31bと、固定レール31aと移動レール31bとの間にベアリング31dを介して配設した中間走行レール31cとからなるレール部材31は予め組み込んだものであり、このように予め組み込んだ高精度のレールを用いることで初めてそれぞれのレール間のクリアランスを最小限に設定することができる。
また、容器32の奥行(P寸法)は深さ(H寸法)より大きく設定するとともに、野菜室引出し扉29および冷凍室引出し扉30の引出し代(L寸法)は容器32の奥行(P寸法)より大きく設定している。
また、野菜室引出し扉29および冷凍室引出し扉30を最大開放したとき、容器32の奥側の内壁面(c面)は前面開口部19aすなわち、ここでは断熱箱体19の前面開口面(a面)より前方に位置するように設定している。
また、断熱箱体19の奥行き寸法(M寸法)に対して、野菜室27に備えられた容器32の奥行(P寸法)は60%程度となっており、奥行きが深い引出し式貯蔵室である。
さらに、この野菜室27は複数の引出し式貯蔵室の中でも容量が最も大きい貯蔵室である。
そして、上記扉開閉仕様を実施するために、レール部材31の移動レール31bの全長(D寸法)を固定レール31a(E寸法)より大きく設定している。
なお、固定レール31aと移動レール31bとの間にベアリング31dを介して配設した中間走行レール31cの全長(F寸法)は、固定レール31a(E寸法)と略同一としている。そして、野菜室引出し扉29および冷凍室引出し扉30の閉時、固定レール31aと移動レール31bの先端部は略同一面とし、移動レール31bと中間走行レール31cの後端部を略同一面となる。また、野菜室引出し扉29および冷凍室引出し扉30の全開時、固定レール31aの先端部は移動レール31bの後端部が略同一位置となるとともに、中間走行レール31cの固定レール31aおよび移動レール31bとのラップ代が略同一寸法となるように中間走行レール31cは摺動動作する。
なお、内箱20の両側壁面に固定された左右のレール部材31は左右対称の形状を有し、左右共に備えることでより良い摺動性を発揮する。
また、冷凍室28の容器32の上部には、容器32より浅い小物容器32aが設置されていて、食品の区分収納を可能にしている。
また、左右一対のレール部材31の固定レール31aは位置規制手段である連結部材33によってそれぞれ内箱20を介して固定位置を規制される。
連結部材33は水平部33aと、水平部33aの両端に垂直部33bを有する断面H形状で水平部33aは仕切壁24内部で上仕切壁24bと下仕切壁24cとにはさまれて固定され、垂直部33bは仕切壁24の開放部24aより仕切壁24の外部に突出し、内箱20の発泡断熱材22を充填した側に配置されるので連結部材33は各貯蔵室内に露出しない構造となっている。
また、垂直部33bの両端はそれぞれ野菜室27と冷凍室28との上下方向の中心部付近まで達し、各貯蔵室内の左右のレール部材31の固定レール31aは垂直部33bの固定部33cに固定され、少なくとも垂直部33bの固定部33cは内箱20の発泡断熱材22を充填した側の面に接している。更に左右の垂直部33bには孔33dを設けている。
なお、連結部材33が大きくなる場合には前後に複数に分割し、それぞれに水平部33aと垂直部33bと固定部33cとを備え、必要に応じて孔33dを設けると連結部材33を一体とした場合と同様の効果が得られる。また、ベアリング31dは回転支持部材であればよく、たとえばローラー等を用いてもよい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、各貯蔵室引出し扉を手前に引出すと各貯蔵室の両側部に備えられたレール部材31の移動レール31bと中間走行レール31cとが回転支持部材31dが回転することにより滑らかに手前側に摺動する。
それに伴い、レール部材31に支持された容器32も手前に引出され、容器32内に収納された被冷却物の取出し及び新たな被冷却物の収納が可能となる。
以上のように、固定レール31aと移動レール31bとをあらかじめ組み込んだ状態の高精度のレール部材31を内箱20の両側壁面に固定することにより固定レール31aと移動レール31bとのクリアランスを小さくすることができ、ガタの少ない高品位な引出しを構成することができる。また、クリアランスを小さくすることにより取付けのバラツキも小さくできるので引出し扉の取付け不具合による傾きや他の引出し扉との間隔の不均一化という外観不良も抑制することができる。これらの効果はレール部材31の引出し代が大きいほど効果的である。本実施の形態の引出し式貯蔵室のように、最大開放したとき、容器32の奥側の内壁面(c面)は断熱箱体19の前面開口面(a面)より前方に位置するような引出し代の大きいものであると、仮に背景技術で説明したような移動レールと固定レールが別体であって、断熱箱体側に備えられた固定レールの溝に後から扉側に備えられた移動レールを挿入するようなタイプのレールを用いた場合には、その挿入の際にレール間のクリアランスが小さいものであると、レールの挿入が非常に困難となる為、必然的にレール間のクリアランスを大きくとる必要があった。
よって、背景技術のような別体のレールを用いた場合には、レール間のクリアランスが大きくなる為、取付けのバラツキも大きくなり、また引出し扉の取付け不具合による傾きや他の引出し扉との間隔の不均一化が生じることで、このガタツキ部分を中心にレールに偏荷重が発生するため、この偏荷重によるレールの変形や取り付け面の変形等が懸念され、本実施の形態のような引出ししろの大きい引出し式扉により大きな負荷がかかるような引出し式貯蔵室に適用することが難しかったが、本実施の形態のような固定レール31aと移動レール31bとをあらかじめ組み込んだ状態の高精度のレール部材31であれば、引出し代の大きい貯蔵室に適用しても十分な信頼性を確保することができる。
また、本実施の形態では、断熱箱体19に備えられた複数の引出し式貯蔵室の中で最も容量の大きい引出し式貯蔵室である野菜室27の最大開放位置において、容器32の奥側の内壁面(c面)が断熱箱体19の前面開口面(a面)より前方に位置するものである。
これによって、最も容量が大きい為に収納時の重量が大きくなる為に引出し式扉により大きな負荷がかかるような引出し式貯蔵室においても、ガタツキ部分を中心にレールに発生する偏荷重の発生を抑制し、この偏荷重によるレールの変形や取り付け面の変形等を低減することができ、冷蔵庫の信頼性を低下させることなく引出し扉開放時に容器の上面開口部を最大化することができ、容器からの食品取り出し性、さらに容器自身の着脱性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態では、断熱箱体19の奥行き寸法(M寸法)に対して、野菜室27に備えられた容器32の奥行(P寸法)は60%程度となっており、奥行きが深い引出し式貯蔵室である。
これによって、従来引出し代を大きくすることが難しかった奥行きの深いタイプの引出し式貯蔵室においても、固定レール31aと移動レール31bとをあらかじめ組み込んだ状態の高精度のレール部材31を適用することで、引出し式貯蔵室に備えられた容器32の奥部までスムーズに引き出せることによって、使用者の冷蔵庫の収納性を向上させることができ、使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
なお、断熱箱体19の奥行き寸法(M寸法)に対する野菜室27に備えられた容器32の奥行(P寸法)の比率は55%以上で90%以下程度の範囲であれば、奥行きの深いタイプの引出し容器であり、この範囲の容器を大きな引出し代で上面を開放することにより使用者の使い勝手は従来に比べて飛躍的に向上するものである。
さらに上記比率が70%を超えるようなものであると、当該引出し式貯蔵室の後方に圧縮機や冷却器,凝縮器などの冷凍サイクル部品が配置されないかもしくは配置されても薄型化されたタイプの冷蔵庫で実現がしやすく、従来型の冷蔵庫と比べて差別化しやすい。
また、上記比率が80%を超えないようなものであると、当該引出し式容器に対する荷重に対しての強度確保に関わる構造やレール仕様が比較的合理的な範囲で対応できコスト負担が少なく実現できる。
また、引出し式貯蔵室である野菜室27は、使用者が行う一回の引出し動作によって、最大開放位置まで引出せるものである。
これによって、使用者が野菜室27を開放する動作を行う際に一回の引出し動作によってスムーズに最大開放位置まで開放することができるので、例えば冷蔵庫に収納する収納物を持ちながらでも、片手での動作でスムーズに最大開放位置まで引き出すことができ、使用者の冷蔵庫の収納性を向上させることができ、使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
また、固定レール31aと移動レール31bとの間を回転支持部材であるベアリング31dで支持することにより容器32に荷重を加えた場合でも滑らかに移動レール31bが移動できるので引出しの操作力を低減することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
また、連結部材33によりレール部材31の固定レール31aの取付位置を規制することで左右一対のレール部材31の幅寸法あるいは平行度が規定どおりに保持できることと、連結部材33により断熱箱体19の発泡断熱材22充填後の冷却時の熱収縮等による寸法変化を抑制することで、固定レール31aと移動レール31bとのクリアランスを小さく設定したレール部材31をあらかじめ組み込んだ状態で内箱20の両側壁面に固定する仕様としても左右一対のレール部材31間の寸法精度を高く保てるので容器32の引出し時の操作性を、位置規制手段である連結部材33により高めることができる。また、長期にわたって操作信頼性の確保も図ることができる。
また、中間走行レール31cを備え、レール部材31の移動レール31bの全長(D寸法)を固定レール31a(E寸法)より大きく設定しているので、野菜室引出し扉29および冷凍室引出し扉30を最大開放したとき、引出し代(L寸法)は容器32の奥行(P寸法)より大きく設定でき、容器32の奥側の内壁面(c面)は断熱箱体19の前面開口面(a面)より前方に位置することが可能となる。
したがって、野菜室27と冷凍室28使用時、野菜室引出し扉29および冷凍室引出し扉30と連動した容器32の奥部まで引き出す事ができ、容器32の奥部まで見渡すことが可能となり、容器32内の被冷却物の使い忘れによるロスを防止できるとともに、容器32をレール部材31に着脱することが容易となるので使い勝手の向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、引出し式貯蔵室である野菜室27の引出し代が大きい為、最大開放位置において、野菜室27に備えられた容器32は、ほぼ鉛直方向において上方に引き上げることで取り出すことが可能である。
これによって、使用者が容器の清掃等を行う為に容器を取り外す際に容易に容器の着脱を行うことができ、食品等を収納する為に汚れ等が付着しやすい冷蔵庫を清潔に保つ際の使用者の使い勝手を大幅に向上させることができる。
なお、本実施の形態では、断熱箱体19に備えられた複数の引出し式貯蔵室の中で最も容量の大きい引出し式貯蔵室である野菜室27の最大開放位置において、容器32の奥側の内壁面(c面)が断熱箱体19の前面開口面(a面)より前方に位置するものとして食品の取り出しやすさや容器32の着脱のしやすさが享受できるものとしたが、複数の引出し式貯蔵室のうち、このような効果が最も必要とされる引出し式貯蔵室に少なくとも備えられていることにより、かかる容器を必ずしも必要としない引出し式貯蔵室との使い分けをすれば、多くの引出し式貯蔵室を有する冷蔵庫において合理的な構成を選択できる。例えば、比較的コンパクトで小容量の引き出し容器ではその必要性が低くなるし、直上部に位置する扉が引出し扉でなく見開きタイプの回転式扉等の場合は、この上部扉を開いた状態であれば比較的容易に容器を着脱できるので、着脱機会とのバランスで考えれば上述のような構成でない容器であってもさほどの不便さを感じにくいからである。
また、本実施の形態では、本実施の形態では、断熱箱体19に備えられた複数の引出し式貯蔵室の中で最も容量の大きい引出し式貯蔵室である野菜室27の最大開放位置において、容器32の奥側の内壁面(c面)が断熱箱体19の前面開口面(a面)より前方に位置するものとしたが、より好ましくは、図1に示すように引出し式貯蔵室である野菜室27の最大開放位置において、容器32の奥端面を引出し式貯蔵室と隣接した上方に位置する貯蔵室に備えられた扉の前面(b面)より前方に位置させることで、使用者が野菜室27から収納物の出し入れを行う際に、容器の上方部分に扉等も介在しなくなる為、容器32からの食品取り出し性がより向上する。
また、使用者が容器32の清掃等を行う為に容器32を取り外す際に、容器32を上方へ持ち上げるだけで障害が無く簡単に容器32の着脱を行うことができ、食品等を収納する為に汚れ等が付着しやすい冷蔵庫を清掃や洗浄により清潔に保つ際の使用者の使い勝手を大幅に向上させることができる。
また、冷凍室28の容器32の上部には、容器32より浅い小物容器32aが設置されているので、食品の区分収納が可能となり、さらに使い勝手が向上する。
この浅い小物容器32aの奥側の内壁面と断熱箱体19の前面開口面(a面)、奥端面と上部に介在する扉の前面(b面)との位置関係を上述の容器32と同様に設定することで、浅い小物容器32aに対しても同様の作用効果を得ることができる。
また、野菜室引出し扉29の上端部を人の肘の位置より低い1000mm以下に設定しているので、容器32内の食品の出し入れを楽に行なうことができる。
また、連結部材33を各貯蔵室内に露出させないようにしたので連結部材33を各貯蔵室内部に配置した場合に比べ収納内容積の低減を抑制することができる。
また、連結部材33を金属材料で形成した場合に端面のエッジによる怪我を防止できるので安全性を向上させることができ、更に端面のエッジ削除処理を廃止できるのでコストダウンを図ることができる。
また、左右の固定レール31aを連結する連結部材33を断熱箱体19の発泡断熱材22内に埋設したので、冷蔵庫18の使用時に連結部材33の結露,着霜の防止を図ることができ、更に連結部材33が空気と接することが無いので連結部材33の耐食性を向上させることができ、連結部材33の防錆処理も軽減できるのでコストダウンを図ることができる。
また、連結部材33の周辺に発泡断熱材22があることで連結部材33の取付け強度も向上し、位置規制の信頼性やレール部材31の取付け強度の向上を図ることができる。
また、断熱箱体19を野菜室27と冷凍室28に区画する仕切壁24を設け、左右の固定レール31aを連結する連結部材33を仕切壁24の内部に設けたので、複数の貯蔵空間を有する場合に連結部材33を配置することによる収納内容積の低減を抑制することができる。
また、上下に隣り合った野菜室27と冷凍室28にそれぞれレール部材31を備え、それぞれのレール部材31の固定レール31aを連結部材33で一体に固定したので、複数の貯蔵室の操作性を同時に高めることができる。
また、連結部材33を両端に垂直部33bを有する断面H形状とし、垂直部33bに上下に隣り合った野菜室27と冷凍室28のレール部材31の固定レール31aを一体に固定したので、一つの連結部材33に複数のレール部材31の固定レール31aを固定することにより部品点数の削減によるコストダウンを図ることができる。
なお、本実施の形態では、連結部材33を両端に垂直部33bを有し、その間に水平部33aを有する断面H形状とし連結部材33を両端に垂直部33bを有する断面H形状としたが、左右の垂直部33bには孔33dを設けている連結部材33が大きくなる場合には前後に複数に分割し、それぞれに水平部33aと垂直部33bと固定部33cとを備え、必要に応じて孔33dを設けると連結部材33を一体とした場合と同様の効果が得られる。
なお、連結部材33の水平部33aは、冷蔵庫の設計によっては必ずしも必要ではない場合もあり、例えば連結部材33は水平部33aが無く、内箱20の発泡断熱材22を充填した側に左右の一対の垂直部33bを有するものでもあっても良く、その場合には垂直部33bは互いにつながっておらず別体であるが、その場合でも何らかの方法で位置規制手段を設けて垂直部33bの左右の位置決めを行うことで、レール部材31の左右の取り付け位置の精度を向上させることができ、水平部33aを無くし省資源を図りながら高精度のレール部材を備えることができる。
また、連結部材33の両端の垂直部31bに孔31cを設けたので、複数の貯蔵室の温度帯が異なる場合に連結部材33からの熱伝達を抑制し、温度帯の高い貯蔵室側の結露の防止や熱リークによる消費電力の増加を抑制できる。
なお、垂直部31bに設ける孔31cは強度を維持できる程度に複数設けることで、熱移動量を効果的に低減できる。
また、左右の一対のレール部材31の固定レール31aを前後方向に複数の連結部材33で連結した場合には、特にレール部材31を大型冷蔵庫に使用した場合に、連結部材33を複数に分割することにより連結部材33の小型化を図れるのでコストダウンを図ることができる。
なお、本実施の形態ではレール部材31を野菜室27と冷凍室28とで共通としたが、実使用の収納形態などによりそれぞれ貯蔵室別に違う材料で形成したものを使用するとさらにコスト低減、信頼性向上を図ることができる。
また、連結部材33は線膨張率が1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃、熱伝導率が0.1〜0.2W/m・Kである材料としたが、一般的には線膨張率に関しては金属類が1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃で樹脂類は1.0〜15.0×10−5cm/cm・℃であり、熱伝導率は金属類が1.0〜400.0W/m・Kで樹脂類は0.1〜0.2W/m・Kである。
従って、連結部材33の材料としては冷蔵庫18の運転時にレール部材31の取付け位置精度が要求される場合には線膨張率の小さい金属類を使用し、温度帯の高い貯蔵室側の結露の防止や熱リークによる消費電力の増加の抑制が要求される場合には熱伝導率の小さい樹脂類を使用することが望ましい。また、複数の貯蔵室に対して両者を一体化して用いてもよい。
なお、本実施の形態では、野菜室27と冷凍室28にレール部材31を用いたもので説明したが、引出し容器を備えた貯蔵室に適宜適用できる。たとえば、野菜室27の上部に位置する切替室25や、切替室25の横に併設した製氷室(図示せず)等の引出し式貯蔵室に用いてもよい。
また、本実施の形態では、連結部材33は水平部33aと、水平部33aの両端に垂直部33bを有する断面H形状とし、野菜室27と冷凍室28のそれぞれのレール部材31を一体に固定したもので説明したが、野菜室27と冷凍室28のそれぞれに両端に垂直部を有する断面コの字状の連結部材を用いてもよい。この場合、野菜室27と冷凍室28が上下に併設していない冷蔵庫において、それぞれガタツキの少ない高品位かつ荷重を加えても操作力の小さい使い勝手の良い引出しを提供することができる。また、複数のレール部材を一つの連結部材に固定した場合に比べ複数の貯蔵室の温度帯が異なる場合に更に連結部材からの熱伝達を抑制し、温度帯の高い貯蔵室側の結露の防止や熱リークによる消費電力の増加を抑制できる。
なお、左右の一対のレール部材の固定レールを複数の連結部材で連結してもよい。この場合、連結部材を複数に分割することにより連結部材の小型化を図れるのでコストダウン、軽量化を図ることができる。
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2における冷蔵庫の側断面図、図7は図6のA−A断面図、図8は同実施の形態の冷蔵庫の概略組立図、図9は、同実施の形態の冷蔵庫のレール部材の分解組立図、図10は、同実施の形態の冷蔵庫のレール部材の断面図である。
図において、冷蔵庫218の断熱箱体219は内箱220と外箱221との間に発泡断熱材222を充填したものであり、前面開口部219aを有し、仕切壁223、223a、226により、上部より冷蔵室224、切替室225、野菜室227、冷凍室228を形成している。
また、仕切壁226の上部に配置する野菜室227は冷却温度が5℃程度、下部に配置する冷凍室228は冷却温度が−20℃程度というように仕切壁226を介して上下に異なる温度帯に設定されている。
野菜室227と冷凍室228とはそれぞれ前面開口部219aを扉229と扉230にて閉塞され、更に野菜室227と扉229および冷凍室228と扉230とはそれぞれレール部材231にて連結されることにより前後方向に引出し摺動可能となっている。
また、扉219を自閉させる自閉手段を有することで断熱箱体219と扉229、230との確実な気密性確保が可能となっている。
レール部材231は固定レール231aと、移動レール231bと、固定レール231aと移動レール231bとの間に備えられた中間走行レール231cと、中間走行レール231cと固定レール231aおよび移動レール231bとの係合を支持する回転支持部材である複数のベアリング231dとからなり、固定レール231aと移動レール231bと中間走行レール231cとベアリング231dとを予め組み込んだ状態で固定レール231aを内箱220の両側壁面に固定し、移動レール231bをそれぞれの貯蔵室ドアに固定することでそれぞれの貯蔵室と貯蔵室ドアとを連結している。ここで、図記しないが、レール部材231は、貯蔵室を区画する仕切壁226に固定してもよい。
なお、固定レール231aと移動レール231bと、固定レール231aと移動レール231bとの間にベアリング231dを介して配設した中間走行レール231cとからなるレール部材231は予め組み込んだものであり、爪241と自閉ユニット242は断熱箱体219に影響されず固定することができる。ここで、冷蔵庫奥行きに十分なスペースがある場合、中間走行レールがなく固定レールと移動レール間に回転支持部材を配設してもかまわない。
更に内箱220の両側壁面に固定された左右のレール部材231は左右対称の形状を有し、左右共に備えることでより良い摺動性を発揮する。
各貯蔵室の容器232はレール部材231を内箱220に固定後にレール部材231の移動レール231bに支持し、各貯蔵室ドアを前後方向に引出すのと同期して移動レール231bと共に前後に移動し、更に各貯蔵室ドアを少なくとも全開した時に容器232は上方向に着脱自在となっている。
また、ベアリング231dは回転支持部材であればよく、たとえばローラー等を用いてもよい。
自閉手段は、左右一対のレール部材231に配設されており、爪241と自閉ユニット42で構成され、自閉ユニット242はフック243とバネ244を配設している。爪241は移動レール231bに固定されており、自閉ユニット242は固定レール231aに固定されている。
ここで、扉229,230を前後方向に開時、爪241と爪241と係合しているフック243が扉229、230と同期し移動する、ある一定距離L(自閉距離)移動後爪241とフック243の係合が外れフック243はその位置で保持される。閉時は、開時の逆となり爪241とフック243が係合するとバネ244の弾性力F(自閉力)により引き戻され扉229,230は断熱箱体219と嵌合する。ここで、図示しないが、自閉手段を持つ事でガスケット250内のマグネットを廃止することができ、前面開口部219aを金属にする必要がなくなり、冷蔵庫218の消費電力量低減とコスト削減が可能となる。
また、自閉力F及び自閉距離Lは、F=KL、F>f、(ただし、K:バネ定数、f:扉に作用する負荷量)で表すことができ、負荷量fに合せバネ定数K、自閉距離Lを変えることで自閉力、自閉距離を調整することが可能となる。また、負荷量だけでなく、扉位置や、断熱箱体と扉との嵌合強化等を考慮し自閉力、自閉距離を変えることも可能である。
また、扉229、230の全閉状態で自閉手段であるバネ244の弾性力F(自閉力)を残留させるように設定されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、各貯蔵室ドアを手前に引出すと各貯蔵室の両側部に備えられたレール部材231の移動レール231bと中間走行レール231cとがベアリング231dが回転することにより滑らかに手前側に摺動する。その際、爪241と爪241と係合しているフック243が扉229、230と同期し移動する、ある一定距離L(自閉距離)移動後爪241とフック243の係合が外れフック243はその位置で保持される。閉時は、開時の逆となり爪241とフック243が係合するとバネ244の弾性力F(自閉力)により引き戻され扉229,230は断熱箱体と嵌合する。
それに伴い、レール部材231に支持された容器232も手前に引出され、容器232内に収納された被冷却物の取出し及び新たな被冷却物の収納が可能となる。
以上のように本実施の形態においては固定レール231aと移動レール231bとをあらかじめ組み込んだ状態のレール部材231に自閉手段を配設することにより断熱箱体219と扉229,230の気密性が向上し、消費電力量の削減と操作感の良い引出しを構成することができる。また、断熱箱体219に影響されず、爪241とフック243を係合することができ安定性の高い自閉構造にすることができる。また、固定レール231aと移動レール231bとの間を回転支持部材であるベアリング231dで支持することにより容器232に荷重を加えた場合でも滑らかに移動レール231bが移動できるので引出しの操作力を低減することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
また、バネの弾性で自閉させるため、温度変化の影響を少なくすることができ、構成要素が簡素であるため、自閉性のばらつきを押さえることができる。
また、自閉力、自閉距離を容易に変えることができ、木目細かな操作性を実現できる。
また、中間走行レール231cを備えることによりレール部材231の移動レール231bの引出し代を大きくすることができるので容器232の奥部まで引き出す事ができ、容器232の奥部まで見渡すことが可能となり、容器232内の被冷却物の使い忘れによるロスを防止したり、容器232をレール部材231に着脱することが容易となるので使い勝手の向上を図ることができる。
また、扉229、230の全閉状態で自閉手段であるバネ244の弾性力F(自閉力)を残留させるように設定されているので、扉と断熱箱体とのシール性をさらに高めることができ消費電力量の更なる低減が可能となる。
なお、本実施の形態では、野菜室227と冷凍室228にレール部材231を用いたもので説明したが、引出し容器を備えた貯蔵室に適宜適用できる。たとえば、野菜室227の上部に位置する切替室225や、切替室225の横に併設した製氷室(図示せず)等に用いてもよい。
(実施の形態3)
図11は本発明の実施の形態3における冷蔵庫の側断面図、図12は図11のA−A断面図、図13は同実施の形態の冷蔵庫の概略組立図、図14は、図13の扉部のB矢視図、図15は、図13のC−C断面図、図16は、図14のD−D断面図である。
図11から図16において、冷蔵庫318の断熱箱体319は内箱320と外箱321との間に発泡断熱材322を充填したものであり、前面開口部319aを有し、仕切壁323、323a、326により、上部より冷蔵室324、切替室325、野菜室327、冷凍室328を形成している。
仕切壁326の両側面は開放部326aを有し、仕切壁326内部には断熱箱体319と同様に発泡断熱材322が充填されている。また、仕切壁326の上部に配置する野菜室327は冷却温度が5℃程度、下部に配置する冷凍室328は冷却温度が−20℃程度というように仕切壁326を介して上下に異なる温度帯に設定されている。また、野菜室扉329、冷凍室扉330は内板335と外板336との間に発泡断熱材337を充填したものである。
野菜室327と冷凍室328はそれぞれ前面開口部319aを野菜室扉329と冷凍室扉330にて閉塞され、更に野菜室扉329および冷凍室扉330は、それぞれ扉支持部材334およびレール部材332により前後方向に引出し摺動可能となっている。
レール部材332は、固定レール332aと、移動レール332bと、固定レール332aと移動レール332bとの間に備えられた中間走行レール332cと、中間走行レール332cと固定レール332aおよび移動レール332bとの係合を支持する回転支持部材である複数のベアリング332dとからなり、固定レール332aと移動レール332bと中間走行レール332cとベアリング332dとを予め組み込んだ状態で、固定レール332aを、内箱320を介して発泡断熱材322側に設けた位置規制を兼ねた補強部材331に左右それぞれ固定される。
また、扉支持部材334は、下方を段付したフレーム334aと取付部334bとからなり、左右それぞれ別々に野菜室扉329に連結固定される。この時、内板335の発泡断熱材337側には扉支持部材334の固定と補強を兼ねた、内板335よりも高剛性材料、例えば鋼板からなる1枚ものの扉補強部材338を設けており、扉支持部材334側に設けた位置決めピン(図示せず)と取付部334bの取付穴334cで位置決めするとともに取付ネジ334dでそれぞれ固定される。
そして、野菜室扉329に扉支持部材334を連結固定した状態で、レール部材332の移動レール332bと扉支持部材334の段付したフレーム334aを固定穴334eと取付ネジ334dにより連結固定し、フレーム334aの上方から容器333を載置する。
また、扉支持部材334の段付したフレーム334aの移動レール332bとの嵌め込み部は下方を開口し,下端の幅寸法Fより段付上部の幅寸法Eを狭くした台形形状で形成している。
また、扉支持部材334は線膨張率が1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃である材料にて形成している。
また、扉支持部材334は熱伝導率が0.1〜0.2W/m・Kである材料にて形成している。
なお、固定レール332aと移動レール332bと、固定レール332aと移動レール332bとの間にベアリング332dを介して配設した中間走行レール332cとを有するレール部材332は予め組み込んだものであり、それぞれのレール間のクリアランスを最小限に設定することができる。
また、ベアリング332dは回転支持部材であればよく、たとえばローラ等を用いてもよい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、各貯蔵室扉を手前に引出すと各貯蔵室の両側部に備えられたレール部材332の移動レール332bと中間走行レール332cとがベアリング332dが回転することにより滑らかに手前側に摺動する。それに伴い、扉支持部材334のフレーム334aに支持された容器333も手前に引出され、容器333内に収納された被冷却物の取出し及び新たな被冷却物の収納が可能となる。
特に、レール部材332は、固定レール332aと、移動レール332bと、固定レール332aと移動レール332bとの間に備えられた中間走行レール332cと、中間走行レール332cと固定レール332aおよび移動レール332bとの係合を支持する回転支持部材である複数のベアリング332dとからなり、固定レール332aと移動レール332bと中間走行レール332cとベアリング332dとを予め組み込んだ状態で、固定レール332aを、内箱320を介して発泡断熱材322側に設けた位置規制を兼ねた補強部材331に左右それぞれ固定しているので、固定レール332aと移動レール332bとのクリアランスを小さくすることができ、ガタの少ない高品位な引出しを構成することができる。また、クリアランスを小さくすることにより取付けのバラツキも小さくできるので扉の取付け不具合による傾きや他の扉との間隔の不均一化という外観不良も抑制することができる。これらの効果はレール部材332の引出し代が大きいほど効果的である。また、固定レール332aと移動レール332bとの間を回転支持部材であるベアリング332dで支持することにより容器333に荷重を加えた場合でも滑らかに移動レール332bが移動できるので引出しの操作力を低減することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
また、野菜室扉329に扉支持部材334を連結した状態で、レール部材332の移動レール332bと扉支持部材334の段付したフレーム334aを固定穴334eと取付ネジ334dにより固定し、フレーム334aの上方から容器333を載置することで、扉支持部材334とレール部材332の移動レール332bとの固定が確実となり容器333の着脱性が向上するとともに、レール部材332の操作性の確保、組立作業性の向上を図ることができる。
また、内板336の発泡断熱材337側には扉支持部材334の固定と補強を兼ねた扉補強部材338を設けたことにより、扉支持構造強度を高めるとともに組立作業性向上を図ることができる。また、扉補強部材338が扉支持部材334の幅寸法あるいは平行度を規制できることで、固定レール332aと移動レール332bとのクリアランスを小さく設定したレール部材332をあらかじめ組み込んだ状態での適用が可能となり、長期にわたって操作信頼性の確保も図ることができる。
また、扉支持部材334の段付したフレーム334aの移動レール332bとの嵌め込み部は下方を開口し,下端の幅寸法Fより段付上部の幅寸法Eを狭くした台形形状で形成しているので、扉支持部材34の移動レール332bへの組込みが容易となる。
また、扉支持部材334は線膨張率が1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃である材料にて形成しているので、扉支持部材334を線膨張率が小さい材料で形成することにより、冷蔵庫の冷却運転時に扉支持部材が収縮することによる操作性への影響を低減できるのでレール部材の操作信頼性を向上することができる。
また、扉支持部材334は熱伝導率が0.1〜0.2W/m・Kである材料にて形成しているので、扉支持部材334を熱伝導率が小さい材料で形成することにより、特に複数の貯蔵室の温度帯が異なる場合に扉支持部材からの熱伝達を抑制し、温度帯の高い貯蔵室側の結露の防止や熱リークによる消費電力の増加を抑制できる。
また、扉補強部材338は内板336よりも高剛性材料で形成しているので、扉支持部材の固定強度がさらに高まり、長期的に操作信頼性を確保することができる。
また、扉支持部材334は、下方を段付したフレーム334aと取付部334bとからなり、左右それぞれ別々に野菜室扉329に連結固定されるので、扉支持部材334の兼用化が可能となりコスト低減、さらに軽量化を図ることができる。
なお、本実施の形態では野菜室扉329で説明したが、冷凍室扉330、あるいは野菜室327の上部に位置する切替室325や、切替室325の横に併設した製氷室(図示せず)等の引き出し扉に用いてもよい。
(実施の形態4)
図17は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の側断面図、図18は図17の要部拡大図、図19は図17のA−A断面図、図20は同実施の形態の冷蔵庫のレール部材の分解組立図、図21は同実施の形態の冷蔵庫のレール部材の断面図である。
図において、冷蔵庫418の断熱箱体419は内箱420と真空断熱材421aを配設した外箱421との間に発泡断熱材422を充填したものであり、前面開口部419aを有し、仕切壁423、423a、426により、上部より冷蔵室424、切替室425、野菜室427、冷凍室428を形成している。
また、仕切壁426の両側面は開放部426aを有し、仕切壁426内部には断熱箱体419と同様に発泡断熱材422が充填されている。
野菜室427と冷凍室428とはそれぞれ前面開口部419aを野菜室ドア429と冷凍室ドア430にて閉塞され、更に野菜室427と野菜室ドア429および冷凍室428と冷凍室ドア430とはそれぞれレール部材431にて連結されることにより前後方向に引出し摺動可能となっている。
また各貯蔵室の容器433はレール部材431を庫内に取り付け後、移動レール431bに扉支持部材437を配置、固定され、各貯蔵庫室ドアを前後方向に引き出すのと同期して移動し、更に各貯蔵室を少なくとも全開したときに容器433は上方向に着脱自在となっている。
補強部材432はレール部材431の位置規制手段であり、レール部材431を前後方向に摺動可能とする前面開口部419aから貯蔵室の両側部に備えられレール部材431の固定レール431aと固定されている。更に補強部材432は真空断熱材421aと10mm以上の距離を設けて内箱420に固定され発泡断熱材422により埋設されている。
また、断熱箱体419の側面から見た投影面においては、補強部材432はすべて真空断熱材421a内に含まれるようになっている。すなわち補強部材432の外箱421側には発泡断熱材422を介して必ず真空断熱材421aが備えられているものである。
レール部材431は固定レール431aと、扉支持部材437を配置し固定した移動レール431bと、固定レール431aと移動レール431bとの間に備えられた中間走行レール431cと、中間走行レール431cと固定レール431aおよび移動レール431bとの係合を支持する回転支持部材である複数のベアリング431dよりなる。
なお、固定レール431aと移動レール431bと、固定レール431aと移動レール431bとの間にベアリング431dを介して配設した中間走行レール431cとを有するレール部材431は、予め組み込んだ状態で固定された固定レール431aを、補強部材432とで位置規制され固定されており、それぞれのレール間のクリアランスを最小限に設定することができる。
また、貯蔵室ドアの発泡断熱材側に扉支持部材437の取付け用扉補強材436を設けたことにより移動レール431bの固定が安定したものとなり、レール部材431の位置規制がさらに確実なものになる。
また補強部材432は独立してレール部材431の固定レール431aと位置規制されており、その線膨張率が1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃である材料にて構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、各貯蔵室ドアを手前に引出すと各貯蔵室の両側部に備えられたレール部材431の移動レール431bと中間走行レール431cとが回転支持部材431dが回転することにより滑らかに手前側に摺動する。
それに伴い、レール部材431に配置された扉支持部材437により支持された容器432も手前に引き出され、容器433内に収納された被冷却物の取出し及び新たな被冷却物の収納が可能となる。
以上のように本実施の形態においては固定レール431aと移動レール431bとをあらかじめ組み込んだ状態のレール部材431を両側壁面に固定することにより固定レール431aと移動レール431bとのクリアランスを小さくすることができ、ガタの少ない高品位な引出しを構成することができる。また、クリアランスを小さくすることにより取り付けのバラツキも小さくできるのでドアの取り付け不具合による傾きやほかのドアとの感覚の不均一化という概観不良も抑制することができる。また、固定レール431aと移動レール431bとの間を回転支持部材であるベアリング431dで支持することにより容器433に荷重を加えた場合でも滑らかに移動レール431bが移動できるので引出しの操作力を低減することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
また、補強部材432によりレール部材431の固定レール431aの取付けを位置規制することで左右一対のレール部材431の幅寸法あるいは平行度が規定どおりに保持できることと、補強部材432は、真空断熱材421aを配設した断熱箱体419の発泡断熱材422充填後の冷却時の熱収縮による寸法変化を抑制できる。
また、本実施の形態では断熱箱体419の側面から見た投影面においては、補強部材432はすべて真空断熱材421a内に含まれるようになっている。補強部材432は断熱箱体419の発泡断熱材422充填によって、発泡断熱材422の強度によって保持されているものであるが、補強部材432の外箱421側には発泡断熱材422を介して必ず真空断熱材421aが備えられていることで、補強部材432の外箱側は発泡断熱材422に加えて、発泡断熱材422と比較して強度が大きい真空断熱材421aとの複層構造となっていることで、補強部材432周辺の断熱箱体419の強度を大幅に向上させることができ、補強部材の取り付け強度をより高めることで、補強部材に備えられるレール部材431の取り付け強度をより向上させることができる。
また固定レール431aと移動レール431bとのクリアランスを小さく設定したレール部材431をあらかじめ組み込んだ状態で両側面の固定部側に固定する使用としても左右一対のレール部材431間の寸法制度を高く保てるので容器433の引き出し時の操作性を、位置規制手段である補強部材432により高めることができる。また、長期にわたって操作性信頼性の確保も図ることができる。
また中間レール431cを備えることにより、レール部材431の移動レール431bの引き出し代を大きくすることができ、容器433の奥まで引き出せるため、容器433の奥部まで見渡すことが可能で容器433内の被冷却物の使い忘れによるロスの防止、容器433の取り外しが容易となり使い勝手の向上を図ることができる。
また左右の固定レール431aを位置規制した補強部材432を真空断熱材421aを配設した断熱箱体419の発泡断熱材422内に埋設したので冷蔵庫418の使用時による結露、着霜が生じることがなく、さらに空気と接しないため耐食性に優れ、安価な構造体とすることが出来る。また真空断熱材421aを配設した断熱箱体としているため外気からの吸熱に影響されにくく省エネ効果を図ることができる。さらに真空断熱材421aは発泡断熱材422よりも圧縮強度、曲げ強度の高いものを適用することで、断熱箱体自身の構造強度を高めながら引出し扉の摺動性を高めることができる。
また固定レール431aを位置規制する補強部材432は、真空断熱材421aと10mm以上の距離を確保しているため発泡断熱材422の流動性を確保でき所定の断熱性能を備えた断熱箱体419を提供できる。
また補強部材432は、それぞれ独立してレール部材431の固定レール431aを位置規制しているため各貯蔵室からの熱伝達による熱リークがなく省エネにも寄与するとともに小型化できコストダウンを図ることもできる。
また補強部材432の線膨張率を1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃としたことになり冷蔵庫418の運転時収縮することによる影響を抑えレール部材431の操作信頼性を向上することができる。
(実施の形態5)
図22は本発明の実施の形態5における冷蔵庫の側断面図、図23は図22のA−A断面図、図24は、同実施の形態の冷蔵庫のレール部材の分解組立図、図25は同実施の形態の冷蔵庫のレール部材の断面図、図26は同実施の形態の冷蔵庫のレール部材の断面図である。
図において、冷蔵庫518の断熱箱体519は内箱520と外箱521との間に発泡断熱材522を充填したものであり、前面開口部519aを有し、仕切壁523a、523b、526により、上部より冷蔵室524、切替室525、野菜室527、冷凍室528を形成している。
また、仕切壁526の両側面は開放部526aを有し、仕切壁526内部には断熱箱体519と同様に発泡断熱材522が充填されている。
また、仕切壁526の上部に配置する野菜室527は冷却温度が5℃程度、下部に配置する冷凍室528は冷却温度が−20℃程度というように仕切壁526を介して上下に異なる温度帯に設定されている。
野菜室527と冷凍室528とはそれぞれ前面開口部519aを野菜室ドア529と冷凍室ドア530にて閉塞され、更に野菜室527と野菜室ドア529および冷凍室528と冷凍室ドア530とはそれぞれレール部材531にて連結されることにより前後方向に引出し摺動可能となっている。
レール部材531は固定レール531aと、移動レール531bと、固定レール531aと移動レール531bとの間に備えられた中間走行レール531cと、中間走行レール531cと固定レール531aおよび移動レール531bとの係合を支持するベアリング等の複数の回転支持部材531dとからなり、低温でも潤滑性を有する潤滑剤531eをベアリング等の複数の回転支持部材531dの移動する範囲の摺動部に塗布している。
そして、固定レール531aと移動レール531bと中間走行レール531cと回転支持部材531dと潤滑剤531eとを予め組み込んだ状態で固定レール531aを内箱520の両側壁面に固定し移動レール531bをそれぞれの貯蔵室ドアに固定することでそれぞれの貯蔵室と貯蔵室ドアとを連結している。
上記構成により、固定レール531aと移動レール531bと、固定レール531aと移動レール531bとの間に回転支持部材531dと潤滑剤531eを介して配設した中間走行レール531cとからなるレール部材531は予め組み込んだものであり、それぞれのレール間のクリアランスを最小限に設定することができる。
尚、潤滑剤531eは低温でも潤滑性を有するように、潤滑剤の低温トルクがJISK2220.18の試験方法で測定し−30℃条件で回転トルクが29N・cm以下で、かつJISK2220.7の試験方法で測定した、ちょう度が265以上のものを適用している。
また、潤滑剤531eは、食品に対して安全なように、米国農務省の食品添加物に関する基準、USDAグループH1で承認されたものを適用している。
また、固定レール531aと移動レール531bと中間走行レール531cの少なくとも回転支持部材531dが移動する範囲にフロロカーボン樹脂などの潤滑性のある固形潤滑材料531fをコーティングしてもよい。
更に内箱520の両側壁面に固定された左右のレール部材531は左右対称の形状を有し左右共に備えることでより良い摺動性を発揮する。
各貯蔵室の容器532はレール部材531を内箱520に固定後にレール部材531の移動レール531bに支持し、各貯蔵室ドアを前後方向に引出すのと同期して移動レール531bと共に前後に移動し、更に各貯蔵室ドアを少なくとも全開した時に容器532は上方向に着脱自在となっている。
また、左右一対のレール部材531の固定レール531aは位置規制手段である連結部材533によってそれぞれ内箱520を介して固定位置を規制される。
連結部材533は水平部533aと、水平部533aの両端に垂直部533bを有する断面H形状で水平部533aは仕切壁526内部で上仕切壁526bと下仕切壁526cとにはさまれて固定され、垂直部533bは仕切壁526の開放部526aより仕切壁526の外部に突出し、内箱520の発泡断熱材522を充填した側に配置されるので連結部材533は各貯蔵室内に露出しない構造となっている。
また、垂直部533bの両端はそれぞれ野菜室527と冷凍室528との上下方向の中心部付近まで達し、各貯蔵室内の左右のレール部材531の固定レール531aは垂直部533bの固定部533cに固定され、少なくとも垂直部533bの固定部533cは内箱520の発泡断熱材522を充填した側の面に接している。更に左右の垂直部533bには孔533dを設けている。
なお、連結部材533が大きくなる場合には前後に複数に分割し、それぞれに水平部533aと垂直部533bと固定部533cとを備え、必要に応じて孔533dを設けると連結部材533を一体とした場合と同様の効果が得られる。
また、連結部材533は線膨張率が1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃である材料にて形成されることが望ましい。また、熱伝導率が0.1〜0.2W/m・Kである材料にて形成されることが望ましい。
また、回転支持部材531dは、たとえばローラー等を用いてもよい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、各貯蔵室ドアを手前に引出すと各貯蔵室の両側部に備えられたレール部材531の移動レール531bと中間走行レール531cとが回転支持部材531dが回転することと回転支持部材531dの移動範囲に塗布された潤滑剤531eにより滑らかに手前側に摺動する。
それに伴い、レール部材531に支持された容器532も手前に引出され、容器532内に収納された被冷却物の取出し及び新たな被冷却物の収納が可能となる。
以上のように本実施の形態においては固定レール531aと移動レール531bとをあらかじめ組み込んだ状態のレール部材531を内箱520の両側壁面に固定することにより固定レール531aと移動レール531bとのクリアランスを小さくすることができ、ガタの少ない高品位な引出しを構成することができる。また、クリアランスを小さくすることにより取付けのバラツキも小さくできるのでドアの取付け不具合による傾きや他のドアとの間隔の不均一化という外観不良も抑制することができる。これらの効果はレール部材531の引出し代が大きいほど効果的である。また、固定レール531aと移動レール531bとの間を回転支持部材531dと潤滑剤531eで支持することにより容器532に荷重を加えた場合でも滑らかに移動レール531bが移動できるので引出しの操作力を低減することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
また、低温でも潤滑性を有する潤滑剤531eをベアリング等の複数の回転支持部材531dの移動する範囲の摺動部に塗布しているので、容器に荷重を加えた場合でも滑らかに移動レールが確実に摺動できるので引出しの操作力を低減することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
また、潤滑剤531eは低温でも潤滑性を有するように、潤滑剤の低温トルクがJISK2220.18の試験方法で測定し−30℃条件で回転トルクが29N・cm以下で、かつJISK2220.7の試験方法で測定した、ちょう度が265以上のものを適用しているので、低温から高温までのレール部材のスムーズな動きを確保することができる。
近年より大容量化が図られている冷凍温度帯を有する貯蔵室においても、高品位のレール部材を備えることができ、冷凍温度帯の幅は概ね−6℃以下のものが含まれるが、特に−18℃以下の冷凍温度帯を有する貯蔵室において高い潤滑信頼性を確保することができ、低温度帯において確実にレール部材のスムーズな動きを得ることができる。
また、潤滑剤531eは、食品に対して安全なように、米国農務省の食品添加物に関する基準、USDAグループH1で承認されたものを適用しているので、潤滑剤531eが万が一食品などに触れても人体への影響はなく、食品への安全性を確保することができる。
また、上記潤滑剤531eを適用することで、野菜室527と冷凍室528に同一仕様のレール部材531を適用でき、冷凍から冷蔵の温度帯の貯蔵室におけるレール部材の兼用化が可能となり、作業性、低コスト化を図ることができる。
また、連結部材533によりレール部材531の固定レール531aの取付位置を規制することで左右一対のレール部材531の幅寸法あるいは平行度が規定どおりに保持できることと、連結部材533により断熱箱体519の発泡断熱材522充填後の冷却時の熱収縮等による寸法変化を抑制することで、固定レール531aと移動レール531bとのクリアランスを小さく設定したレール部材531をあらかじめ組み込んだ状態で内箱520の両側壁面に固定する仕様としても左右一対のレール部材531間の寸法精度を高く保てるので容器532の引出し時の操作性を、位置規制手段である連結部材533により高めることができ、また、固定レール531a移動レール531bとの間を回転支持部材531dと潤滑剤531eとで支持しているので摺動部の磨耗などが防止され長期にわたって操作信頼性の確保も図ることができる。
また、中間走行レール531cを備えることによりレール部材531の移動レール531bの引出し代を大きくすることができるので容器532の奥部まで引き出す事ができ、容器532の奥部まで見渡すことが可能となり、容器532内の被冷却物の使い忘れによるロスを防止したり、容器532をレール部材531に着脱することが容易となるので使い勝手の向上を図ることができる。
特に各貯蔵室の容器532の奥行きを大きくしたものを手前まで引出したい場合には中間走行レール531cを備えることにより、引出し時のレール部材531の強度や操作性に有効となる。
また、連結部材533を各貯蔵室内に露出させないようにしたので連結部材533を各貯蔵室内部に配置した場合に比べ収納内容積の低減を抑制することができる。
また、連結部材533を金属材料で形成した場合に端面のエッジによる怪我を防止できるので安全性を向上させることができ、更に端面のエッジ削除処理を廃止できるのでコストダウンを図ることができる。
また、左右の固定レール531aを連結する連結部材533を断熱箱体519の発泡断熱材522内に埋設したので、冷蔵庫518の使用時に連結部材533の結露,着霜の防止を図ることができ、更に連結部材533が空気と接することが無いので連結部材533の耐食性を向上させることができ、連結部材533の防錆処理も軽減できるのでコストダウンを図ることができる。
また、連結部材533の周辺に発泡断熱材522があることで連結部材533の取付け強度も向上し、位置規制の信頼性やレール部材531の取付け強度の向上を図ることができる。
また、断熱箱体519を野菜室527と冷凍室528に区画する仕切壁526を設け、左右の固定レール531aを連結する連結部材533を仕切壁526の内部に設けたので、複数の貯蔵空間を有する場合に連結部材533を配置することによる収納内容積の低減を抑制することができる。
また、上下に隣り合った野菜室527と冷凍室528にそれぞれレール部材531を備え、それぞれのレール部材531の固定レール531aを連結部材533で一体に固定したので、複数の貯蔵室の操作性を同時に高めることができる。
また、連結部材533を両端に垂直部533bを有する断面H形状とし、垂直部533bに上下に隣り合った野菜室527と冷凍室528のレール部材531の固定レール531aを一体に固定したので、一つの連結部材533に複数のレール部材531の固定レール531aを固定することにより部品点数の削減によるコストダウンを図ることができる。
また、連結部材533の両端の垂直部531bに孔531cを設けたので、複数の貯蔵室の温度帯が異なる場合に連結部材533からの熱伝達を抑制し、温度帯の高い貯蔵室側の結露の防止や熱リークによる消費電力の増加を抑制できる。
なお、垂直部531bに設ける孔531cは強度を維持できる程度に複数設けることで、熱移動量を効果的に低減できる。
また、左右一対のレール部材531の固定レール531aを前後方向に複数の連結部材533で連結した場合には、特にレール部材531を大型冷蔵庫に使用した場合に、連結部材533を複数に分割することにより連結部材533の小型化を図れるのでコストダウンを図ることができる。
また、連結部材533の線膨張率を1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃とした線膨張率が小さい材料で形成することにより、冷蔵庫518の運転時に連結部材533が収縮することによる操作性への影響を低減できるのでレール部材531の操作信頼性を向上することができる。
また、連結部材533の熱伝導率を0.1〜0.2W/m・Kとしたので熱伝導率が小さい材料で形成することにより、特に複数の貯蔵室の温度帯が異なる場合に連結部材533からの熱伝達を抑制し、温度帯の高い貯蔵室側の結露の防止や熱リークによる消費電力の増加を抑制できる。
なお、本実施の形態ではレール部材531と容器532とを野菜527と冷凍室528とで共通としたが、実使用の収納形態などによりそれぞれ貯蔵室別に違う材料で形成したものを使用するとさらにコスト低減、信頼性向上を図ることができる。
また、連結部材533は線膨張率が1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃、熱伝導率が0.1〜0.2W/m・Kである材料としたが、一般的には線膨張率に関しては金属類が1.0〜3.0×10−6cm/cm・℃で樹脂類は1.0〜15.0×10−5cm/cm・℃であり、熱伝導率は金属類が1.0〜400.0W/m・Kで樹脂類は0.1〜0.2W/m・Kである。
従って、連結部材533の材料としては冷蔵庫518の運転時にレール部材531の取付け位置精度が要求される場合には線膨張率の小さい金属類を使用し、温度帯の高い貯蔵室側の結露の防止や熱リークによる消費電力の増加の抑制が要求される場合には熱伝導率の小さい樹脂類を使用することが望ましい。また、複数の貯蔵室に対して両者を一体化して用いてもよい。
なお、本実施の形態では、野菜室527と冷凍室528にレール部材531を用いたもので説明したが、引出し容器を備えた貯蔵室に適宜適用できる。たとえば、野菜室527の上部に位置する切替室525や、切替室525の横に併設した製氷室(図示せず)等に用いてもよい。
また、本実施の形態では、連結部材533は水平部533aと、水平部533aの両端に垂直部533bを有する断面H形状とし、野菜室527と冷凍室528のそれぞれのレール部材531を一体に固定したもので説明したが、野菜室527と冷凍室528のそれぞれに両端に垂直部を有する断面コの字状の連結部材を用いてもよい。この場合、野菜室527と冷凍室528が上下に併設していない冷蔵庫において、それぞれガタツキの少ない高品位かつ荷重を加えても操作力の小さい使い勝手の良い引出しを提供することができる。また、複数のレール部材を一つの連結部材に固定した場合に比べ複数の貯蔵室の温度帯が異なる場合に更に連結部材からの熱伝達を抑制し、温度帯の高い貯蔵室側の結露の防止や熱リークによる消費電力の増加を抑制できる。
なお、左右の一対のレール部材の固定レールを複数の連結部材で連結してもよい。この場合、連結部材を複数に分割することにより連結部材の小型化を図れるのでコストダウン、軽量化を図ることができる。