JP5630775B2 - 燃料電池発電システム - Google Patents

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Description

本発明は、単電池を複数積層して構成される燃料電池スタックに燃料及び酸化剤をそれぞれ供給して電気化学反応により発電を行う燃料電池発電システムとその起動方法及び起動プログラムに関するものである。
燃料電池発電システムは、水素等の燃料と空気等の酸化剤を燃料電池本体に供給して、電気化学的に反応させることにより、燃料の持つ化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換して外部へ取り出す発電装置である。この燃料電池発電システムは、比較的小型であるにもかかわらず、高効率で、環境性に優れるという特徴を持つ。また、発電に伴う発熱を温水や蒸気として回収することにより、コージェネレーションシステムとしての適用が可能である。
このような燃料電池本体は、電解質の違い等により様々なタイプのものに分類されるが、なかでも、電解質に固体高分子電解質膜を用いた固体高分子形燃料電池は、低温動作性や高出力密度等の特徴から、一般家庭用を視野に入れた小型コージェネレーションシステムや電気自動車用の動力源としての用途に適しており、今後、市場規模が急激に拡大することが予想されている。
この固体高分子形燃料電池発電システムは、一般家庭用の小型コージェネレーションシステムを例にとると、都市ガスやLPG等に代表される炭化水素系燃料から水素含有ガスを製造する改質装置、改質装置で製造された水素含有ガスと大気中の空気を燃料極及び酸化剤極にそれぞれ供給して起電力を発生させる燃料電池スタック、燃料電池スタックで発生した電気エネルギーを外部負荷に供給する電気制御装置、及び発電に伴う発熱を回収する熱利用系等から構成されている。
このように、燃料電池発電システムの運転には燃料の投入が前提となるため、燃料投入量に対する発電量で定義される発電効率が高いほど、燃料使用量の削減が実現でき、ユーザメリットが高くなる。したがって、発電効率が燃料電池発電システムの性能を示す指標となっている。
この燃料電池発電システムにおいて、実際に発電機能を担っている燃料電池スタックには、運転に伴う様々な要因により経時的に電圧が低下し、結果として発電効率が低下するという問題がある。すなわち、燃料電池スタックの経時的な電圧低下を抑制することが、発電効率の高い燃料電池発電システムを提供する上で、最も重要なポイントとなっている。
このような燃料電池発電システムは、ユーザの電力需要に応じて定期的に起動停止して運用するのが一般的であるが、反応ガスの供給停止を伴う停止保管時には、燃料電池の燃料極と酸化剤極に外部から空気が混入する。このように酸化剤極が、空気が混入したような高電位に保持されると、触媒の劣化が生じるため、例えば、特許文献1に記載されているように、酸化剤極を還元雰囲気にした状態で停止保管する方法が採用されている。
また、停止保管状態から起動操作を行う際においても、酸化剤極に酸素が存在する状態で無負荷状態に保持すると、触媒の劣化が生じる。したがって、例えば、特許文献2に記載されているように、外部負荷に接続する前に可変抵抗器に接続することで、酸化剤極を高電位に保持させることなく発電移行させる方法が提案されている。
このように、特許文献1や特許文献2に記載されている上記の起動方法や停止保管方法においては、酸化剤極が高電位に保持されることを防止することで、シンタリングによる触媒劣化が大幅に改善できるという利点がある。
また、燃料電池スタックにおける電圧低下の最も大きな要因としては、酸化剤極触媒の活性低下に起因する活性化分極の増大が挙げられる。すなわち、燃料電池スタックの酸化剤極には、白金微粒子をカーボン粒子に担持したカーボン担持白金触媒が一般的に用いられているが、この白金触媒を代表とする酸化剤極の触媒は、酸化剤の供給に伴って酸化皮膜が生成し、徐々に触媒活性が低下する。そこで、酸化剤極の触媒活性を回復させることにより燃料電池スタックの電圧低下を抑制する方法が種々提案されている。
例えば、特許文献3には、燃料電池発電システムの発電中に負荷電流を低下させることなく燃料電池スタックの酸化剤極を酸化剤供給不足の状態にすることで燃料電池スタックの電圧を回復させる方法が記載されている。特許文献4には、燃料電池発電中に間欠的にあるいは局所的に酸化剤を欠乏させて、電圧低下を抑制させる方法が記載されている。特許文献5には、一時的にカソード電位を0.66V以下、より好ましくは0.1V以下にすることによって電池性能を回復させる操作方法が記載されている。
また、特許文献6には、燃料電池を起動時に短絡させることで、電池電圧を0V以上0.3V以下に1〜10秒間強制的に低下させることにより、CO被毒を解消する方法が記載されている。特許文献6に記載された方法は、燃料電池に固定抵抗を接続(短絡)して、負荷電流密度を増大させ、燃料極の過電圧の上昇により吸着したCOを酸化除去するというものであるが、結果としては、負荷電流密度の上昇に伴い酸化剤の欠乏が生じるため、特許文献3及び特許文献5の技術と同様な効果も得られることが予想される。
したがって、特許文献3〜6に記載された方法は、いずれも、酸化剤極へ供給する酸化剤を欠乏させることにより酸化剤極の電位を一時的に低下させ、燃料電池スタックの電圧を回復させる点で共通した方法である。酸化剤を欠乏させるこれらの方法では、いずれも、酸化剤極電位の低下により酸化剤極触媒の酸化皮膜が還元によって除去され、酸化剤極の触媒活性の改善に伴う電圧の回復が可能となる。
特開2002−93448号公報 特開平5−251101号公報 特公平8−24050号公報 WO01/01508 特表2003−536232号公報 特許第3460793号
しかしながら、本発明者等が燃料電池の劣化要因を解明すべく検討を重ねたところ、上述したような従来の燃料電池発電システムの起動方法や停止保管方法、及び性能回復方法には、依然として以下のような解決すべき課題が残されていることが分かった。
まず、従来の燃料電池発電システムにおいては、システムの起動時に酸化剤を供給することにより、酸化剤極では酸化剤濃度に応じて電位分布が発生し、酸化剤極入口で高く、出口で低くなる。ここで、酸化剤極の電位上昇速度が高いほど、あるいは電位上昇幅が大きいほど、セル平面内、特に酸化剤極入口、出口間の酸化剤極電位の勾配が大きくなり、微小な酸化剤極の腐食が生じることが明らかになった。
すなわち、システムの起動時、あるいは停止保管時に、酸化剤極の高電位保持状態を避けたとしても、酸化剤極電位の勾配が発生する起動操作を繰り返すと、酸化剤極を構成する触媒やガス拡散層、セパレータに使用されている材料の微小な腐食が徐々に進行することになる。したがって、燃料電池発電システムを長期運転すると、電極材料の腐食に伴い、触媒の活性低下やガス拡散性の低下もが徐々に進行し、燃料電池スタックの性能が低下するという問題があることが分かった。
また、燃料電池の性能に大きな影響を与える酸化剤極の触媒活性低下の要因として、酸化剤による触媒の酸化皮膜の生成や触媒に用いられているカーボン担体の腐食が挙げられる。しかしながら、酸化剤極に供給する酸化剤を欠乏させる従来の電圧回復方法を用いた場合には、酸化剤極の酸化皮膜除去により、短期的な電池性能の回復効果は得られるが、酸化剤の供給を再開したときに微小なカーボン腐食による触媒劣化が生じるため、長期的には燃料電池スタックの経時的な電圧低下を十分に抑制できないという課題があった。このようなカーボン腐食による触媒劣化は、起動時における酸化剤の供給開始時にも同様に発生し、同様な課題を生じていた。
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解消するために提案されたものであり、その第1の目的は、起動時に発生するセル面内の酸化剤極の電位勾配に起因する電位分布量を適正な範囲に制御することにより、長期運転で問題になる燃料電池酸化剤極の微小な劣化を抑制することができる燃料電池発電システムとその起動方法及び起動プログラムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、電圧回復操作時や起動時における酸化剤極への酸化剤の供給再開時や供給開始時に発生するカーボン腐食を抑制することにより、長期運転で問題になる燃料電池酸化剤極の微小な劣化を抑制することができる燃料電池発電システムとその性能回復方法及び性能回復プログラム、並びに起動方法及び起動プログラムを提供することにある。
上記第1の目的を達成するための燃料電池発電システムの起動方法は、電解質を挟んで配置した燃料極と酸化剤極とを有する単電池を複数積層して構成される燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに供給する燃料及び酸化剤をそれぞれ制御する燃料流量制御手段及び酸化剤流量制御手段と、前記燃料電池スタックの負荷電流を制御する負荷電流制御手段を備えた燃料電池発電システムの起動方法において、次のような技術的特徴を有するものである。
他の態様では、前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、酸化剤供給開始時に前記燃料電池スタックに発生する酸化剤極でのセル面内電位分布を800mV未満とすることを特徴とするものである。
他の態様では、前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、前記負荷電流制御手段による負荷電流の制御によって、酸化剤供給開始時に前記燃料電池スタックに発生する酸化剤極でのセル面内電位分布を800mV未満とすることを特徴とするものである。
他の態様では、前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、前記酸化剤流量制御手段による酸化剤流量の制御及び前記負荷電流制御手段による負荷電流の制御によって、酸化剤供給開始時に前記燃料電池スタックに発生する酸化剤極でのセル面内電位分布を800mV未満とすることを特徴とするものである。
上記のような特徴を有する発明によれば、起動操作における酸化剤供給開始時に発生する酸化剤極でのセル面内電位分布が800mV未満となるようにすることにより、酸化剤極入口、出口間の酸化剤極電位の勾配を低減できるので、長期運転で問題になる燃料電池酸化剤極の微小な劣化を抑制することができる。
他の態様では、燃料電池発電システムの起動方法において、前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、酸化剤供給開始時に前記燃料電池スタックに発生する酸化剤極でのセル面内電位分布を300mV以下とすることを特徴とするものである。
上記のような特徴を有する発明によれば、酸化剤極でのセル面内電位分布を300mV以下とすることにより、カーボンの腐食をほぼ完全に抑制することができる。
他の態様では、前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、酸化剤供給前における前記燃料電池スタックの平均単電池電圧の上昇速度を、毎秒200mV以下とすることを特徴とするものである。
他の態様では、前記燃料電池スタックに直流電圧を印加し、印加する直流電圧を制御する直流電圧制御手段を用いて、前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、前記直流電圧制御手段により、前記燃料電池スタックに直流電圧を印加し、この直流電圧を制御することによって、酸化剤供給前における前記燃料電池スタックの平均単電池電圧の上昇速度を毎秒200mV以下とすることを特徴とするものである。
他の態様では、前記負荷電流制御手段として、前記燃料電池スタックに直流電圧を印加し、印加する直流電圧を制御する手段を用いて、前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、前記負荷電流制御手段により、前記燃料電池スタックに直流電圧を印加し、この直流電圧を制御することによって、酸化剤供給前における前記燃料電池スタックの平均単電池電圧の上昇速度を、毎秒200mV以下とすることを特徴とするものである。
他の態様では、酸化剤濃度の高い酸化剤極入口の電位上昇速度を毎秒200mV以下とすることにより、燃料電池発電システムの起動時において、酸化剤極の電位上昇による酸化剤極の電位分布量を低減することができる。
また、上記起動方法の発明をコンピュータプログラム及びシステムの観点から把握することもできる。
上記第2の目的を達成するための燃料電池発電システムの性能回復方法は、電解質を挟んで配置した燃料極と酸化剤極とを有する単電池を複数積層して構成される燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに供給する燃料及び酸化剤をそれぞれ制御する燃料流量制御手段及び酸化剤流量制御手段と、前記燃料電池スタックの負荷電流を制御する負荷電流制御手段を備えた燃料電池発電システムの性能を回復させるために、前記燃料電池発電システムの発電中に前記酸化剤流量制御手段により前記酸化剤極に供給する酸化剤を一時的に欠乏させる燃料電池発電システムの性能回復方法において、次のような技術的特徴を有するものである。
1つの態様では、前記燃料電池発電システムの発電中に、前記酸化剤流量制御手段により前記酸化剤極に供給する酸化剤を一時的に欠乏させる際に、前記燃料電池スタックに発生する平均単電池電圧の低下量を、500mV未満とすることを特徴とするものである。
他の態様では、前記燃料電池発電システムの発電中に、前記酸化剤流量制御手段により前記酸化剤極に供給する酸化剤を一時的に欠乏させる際に、前記酸化剤流量制御手段による酸化剤流量の制御及び前記負荷電流制御手段による負荷電流の制御によって、前記燃料電池スタックに発生する平均単電池電圧の低下量を500mV未満とすることを特徴とするものである。
上記のような特徴を有する発明によれば、酸化剤を一時的に欠乏させる際に発生する平均単電池電圧の低下量を500mV未満とすることにより、続く酸化剤の供給再開時における酸化剤極の電位上昇による電位分布量を低減することができるため、酸化剤の供給再開時における微小なカーボンの腐食を抑制することができる。
他の態様では、燃料電池発電システムの性能回復方法において、前記燃料電池発電システムの発電中に、前記酸化剤流量制御手段により前記酸化剤極に供給する酸化剤を一時的に欠乏させる際に、前記燃料電池スタックに発生する平均単電池電圧の低下量を、200mV以上400mV以下とすることを特徴とするものである。
上記のような特徴を有する発明によれば、平均単電池電圧の低下量を400mV以下とすることにより、カーボン腐食量を50%以下に抑制することができるため、燃料電池発電システムの寿命要求を満足できる。また、平均単電池電圧の低下量を200mV以上とすることにより、回復操作による電圧回復効果を得るための制約を満足することができる。
他の態様では、前記燃料電池発電システムの発電中に、前記酸化剤流量制御手段により前記酸化剤極に供給する酸化剤を一時的に欠乏させた後の、酸化剤供給再開時における前記燃料電池スタックの平均単電池電圧の上昇速度を毎秒200mV以下とすることを特徴とするものである。
他の態様では、前記燃料電池発電システムの発電中に、前記酸化剤流量制御手段により前記酸化剤極に供給する酸化剤を一時的に欠乏させた後の、酸化剤供給再開時に、前記負荷電流制御手段による負荷電流の制御によって、酸化剤供給再開時における前記燃料電池スタックの平均単電池電圧の上昇速度を毎秒200mV以下とすることを特徴とするものである。
他の態様では、前記燃料電池発電システムの発電中に、前記酸化剤流量制御手段により前記酸化剤極に供給する酸化剤を一時的に欠乏させた後の、酸化剤供給再開時に、前記酸化剤流量制御手段による酸化剤流量の制御及び前記負荷電流制御手段による負荷電流の制御によって、酸化剤供給再開時における前記燃料電池スタックの平均単電池電圧の上昇速度を毎秒200mV以下とすることを特徴とするものである。
上記のような特徴を有する発明によれば、性能回復操作として酸化剤を一時的に欠乏させた後の、酸化剤供給再開時における平均単電池の上昇速度を毎秒200mV以下とすることにより、酸化剤供給再開時における酸化剤の電位分布量を低減することができるため、酸化剤供給再開時における微小なカーボンの腐食を抑制することができる。
また、上記性能回復方法の発明をコンピュータプログラム及びシステムの観点から把握することもできる。
他の態様では、前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、酸化剤供給開始時における前記燃料電池スタックの平均単電池電圧の上昇速度を毎秒200mV以下とすることを特徴とするものである。
他の態様では、前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、前記負荷電流制御手段による負荷電流の制御によって、酸化剤供給開始時における前記燃料電池スタックの平均単電池電圧の上昇速度を毎秒200mV以下とすることを特徴とするものである。
上記のような特徴を有する発明によれば、起動操作時の酸化剤供給開始時における平均単電池の上昇速度を毎秒200mV以下とすることにより、酸化剤供給開始時における酸化剤の電位分布量を低減することができるため、酸化剤供給開始時における微小なカーボンの腐食を抑制することができる。
また、上記起動方法の発明をコンピュータプログラム及びシステムの観点から把握することもできる。
本発明によれば、起動時に発生するセル面内の酸化剤極の電位勾配に起因する電位分布量を適正な範囲に制御することにより、長期運転で問題になる燃料電池酸化剤極の微小な劣化を抑制することができる燃料電池発電システムとその起動方法及び起動プログラムを提供することができる。
本発明によれば、電圧回復操作時や起動時における酸化剤極への酸化剤の供給再開時や供給開始時に発生するカーボン腐食を抑制することにより、長期運転で問題になる燃料電池酸化剤極の微小な劣化を抑制することができる燃料電池発電システムとその性能回復方法及び性能回復プログラム、並びに起動方法及び起動プログラムを提供することができる。
以下には、本発明を適用した実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
(1)第1実施形態
(1−1)構成
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係る燃料電池発電システムを示す構成図である。なお、図中において、ブロック間を接続する実線はガス配管の結線図、破線は電気配線の結線図をそれぞれ示している。本実施形態は、起動操作時の酸化剤供給開始時における燃料電池スタックの負荷電流を制御することによって、酸化剤極の電位分布量を低減するようにしたものである。
図1に示すように、本実施形態の燃料電池発電システムは、燃料電池スタック1、改質装置2、電気制御装置3から構成されている。なお、燃料電池スタック1は、実際には、電解質を挟んで配置した燃料極と酸化剤極とを有する単電池を複数積層して構成されているが、図中では、簡略化の観点から、燃料電池スタック1が、燃料極1aと酸化剤極1bから構成されているように示している。
燃料電池スタック1の燃料極1aには、改質装置2により都市ガス(13A)を水蒸気改質して得た改質ガスが、燃料供給ライン11を通じて供給され、燃料排出ライン12を通じて排出されるように構成されている。また、酸化剤極1bには空気ブロワ4からの空気が、酸化剤供給ライン13を通じて供給され、酸化剤排出ライン14を通じて排出されるように構成されている。そして、燃料電池スタック1で得られた電気エネルギーは、電気制御装置3により外部負荷である交流系統電源5へ供給されるように構成されている。
また、前記電気制御装置3には、図2に示すように、燃料電池スタック1の直流電力を交流に変換する機能、及び交流系統電源5からの交流電力を直流電力に変換する機能を有するインバーター31と、このインバーター31を制御する制御装置32とが内蔵されている。なお、図2において、実線矢印は制御の流れを示している。
上記のように構成された電気制御装置3は、燃料電池発電時に、燃料電池の起電力から電気エネルギーを取り出して外部負荷に供給するための燃料電池負荷電流を制御する負荷運転モードの他に、燃料電池発電システムの起動時において、交流系統電源5を電源として酸化剤極1bからこの電気制御装置3を含む外部回路を経由して燃料極1aへ直流電流を流す際に、燃料電池スタックの平均セル電圧の上昇幅を所定の値に制御しつつ、所定の平均セル電圧まで上昇させることができる電圧制御モードを有している。また、本実施形態においては、システム制御装置100による指令によって、改質装置2から燃料極1aへ供給する改質ガス量を、負荷電流の大きさに応じて決定する機能を持たせた。
また、図1に示すように、燃料電池スタック1に対して改質ガス及び空気の供給・排出を行う各ライン11〜14には、燃料電池スタック1を密封するためのバルブ15〜18がそれぞれ設けられている。すなわち、燃料極1aの入口には、燃料供給ライン11を閉止する燃料極入口バルブ15が設けられ、燃料極1aの出口には、燃料排出ライン12を閉止する燃料極出口バルブ16が設けられている。同様に、酸化剤極1bの入口には、酸化剤供給ライン13を閉止する酸化剤極入口バルブ17が設けられ、酸化剤極1bの出口には、酸化剤排出ライン14を閉止する酸化剤極出口バルブ18が設けられている。
さらに、以上のような燃料電池発電システムの各部は、システム制御装置100からの制御指令により制御されるように構成されている。すなわち、電気制御装置3のモード切替や起動・停止は、システム制御装置100からの制御指令により行われる。同様に、改質装置2、空気ブロワ4、及び4つのバルブ15〜18についても、システム制御装置100からの制御指令により制御されて起動・停止または開閉するようになっている。
なお、図中の一点鎖線は、システム制御装置100と各部との間でやり取りされる制御指令などの信号を示している。また、このようなシステム制御装置100は、具体的には、本発明によるシステム起動用に特化したプログラムを記憶させたマイコンにより実現される。
(1−2)発電停止操作手順
図3は、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における発電停止操作手順を示すフローチャートである。この図3に示すように、燃料電池発電システムの発電中に発電停止指令がなされた場合には、空気ブロワ4から酸化剤極1bへの空気の供給を停止し(S301)、酸化剤供給ライン13に設けた酸化剤極入口バルブ17を閉止して(S302)、電気制御装置3における負荷運転モードを継続する(S303)。この負荷運転モードの継続時間は、燃料極1aを基準とした単電池電圧(燃料電池スタック1の平均セル電圧)が予め設定されたモード切替電圧Voに低下するまでの間(S304のNO)である。ここでは、一例として、モード切替電圧Vo=0.1Vであるとする。
そして、燃料極1aを基準とした単電池電圧が予め設定されたモード切替電圧Voに低下した時点(S304のYES)で、電気制御装置3を停止する(S305)。その後、酸化剤排出ライン14に設けた酸化剤極出口バルブ18を閉止し(S306)、改質装置2から燃料極1aへの改質ガスの供給を停止する(S307)と共に、燃料供給ライン11に設けた燃料極入口バルブ15及び燃料排出ライン12に設けた燃料極出口バルブ16をそれぞれ閉止する(S308)ことにより、燃料電池スタック1を還元雰囲気に保持した状態で密封して、発電停止操作を終了する。この発電停止操作の結果、燃料電池発電システムは、停止保管状態となる。
(1−3)発電起動操作手順
図4は、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における発電起動操作手順を示すフローチャートである。
この図4に示すように、燃料電池発電システムの停止中に起動指令がなされた場合には、改質装置2から燃料極1aへ水素リッチな改質ガスの供給を開始した状態で(S401)、電気制御装置3を電圧制御モードとし(S402)、酸化剤極1bから燃料極1aへ外部回路を介して負荷電流相当の直流電流を流す。ここで、負荷電流をIo(=0.15A/cm2)に設定する。
続いて、酸化剤極1bへの空気の供給を開始し(S403)、平均セル電圧が300mVに上昇するまで空気の供給を継続し(S404のNO)、平均セル電圧が300mVに上昇した(S404のYES)後、空気の供給を停止する(S405)。さらに、1秒静定させた後(S406のYES)、再び酸化剤極1bへの空気の供給を開始し(S407)、平均セル電圧が600mVに上昇するまで空気の供給を継続し(S408のNO)、平均セル電圧が600mVに上昇した(S408のYES)後、空気の供給を停止する(S409)。
その後、1秒静定させた後(S410のYES)、再び酸化剤極1bへの空気の供給を開始し、負荷電流をIoから定格電流値Irまで増大させ(S411)、平均セル電圧が定格電圧Vr(燃料電池の定格出力における平均セル電圧)近傍の800mVとなった時点で、電気制御装置3を負荷運転モードに切り替え(S412)、起動操作を終了する。この発電起動操作の結果、燃料電池発電システムは、通常の発電状態となる。
(1−4)作用
図5は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における起動動作を示すタイミングチャートであり、システム制御装置100からシステム各部への制御指令のタイミング、及び燃料電池スタック1の平均セル電圧の時間的な変化を示している。以下には、この図5を参照して、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法による作用について説明する。
図5に示すように、燃料電池スタック1が停止状態にあるときには、酸化剤極1bは還元雰囲気にて封入されているので、酸化剤極1bの電位はゼロボルト近傍である。この状態で起動指令がなされた場合、燃料極1aに水素リッチな改質ガスを供給した後(図中、A点)、電気制御装置3が電圧制御モード(図中、B点)とされる結果、酸化剤極1bから燃料極1aへ外部回路を介して負荷電流相当の直流電流を流す通電操作が実施され、その後、酸化剤極1bに間欠的に空気が供給される(図中、C・D点)。この場合、負荷電流および空気流量の制御により、C点、D点を起点とする間欠的な各空気供給で上昇させる平均セル電圧は、それぞれ300mVであり、続いて空気供給を停止した後の負荷電流増大後の空気供給で上昇させる平均セル電圧は、200mVである。
このように、本実施形態においては、酸化剤濃度の高い酸化剤極入口付近の電位上昇幅が300mV以下となるように負荷電流および空気流量を制御することにより、燃料電池発電システムの起動時において、酸化剤極の電位上昇による酸化剤極の電位分布量を確実に300mV以下とすることができる。
(1−5)効果
図6は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法による効果を示す図であり、起動操作1回の電圧分布量とカーボン腐食量の関係を示したものである。ここで、カーボン腐食量はカーボン腐食に由来するカソード排出ガス中のCO2濃度により算出し、反応ガス中のCO2の影響を除去するために、カーボン腐食量の測定時には燃料極には水素、酸化剤極にはCO2を含まない空気を用いた。
実施例1としては、本実施形態の方法で平均セル電圧の電位上昇幅を300mV以下とすることにより電位分布量を300mV以下とする起動方法を採用した燃料電池発電システムについて評価し、実施例1aとしては、電位上昇幅を300mV超で、かつ、900mV未満の値とすることにより電位分布量を400mV〜700mVとする起動方法を採用した燃料電池発電システムについて評価した。また、比較例1,1aとして、燃料電池発電システムの起動操作時に、酸化剤極に空気を供給して、平均セル電圧を900mV以上まで上昇させることにより800mV〜900mVの電位分布を生じる従来の起動方法を採用した燃料電池発電システムについても評価した。なお、図中、実施例1,1aは○、比較例1,1aは□で示した。
通常、空気導入直後には空気が到達している酸化剤極入口近傍では起電力が生じるが、空気が到達していない酸化剤極出口近傍では起電力が生じないため、酸化剤極の電位をセル平面内で均一に上昇させることは不可能である。その結果、例えば、平均セル電圧を900mVまで上昇させた比較例1の場合、瞬間的に酸化剤極入口と酸化剤極出口で800mVの電位分布が生じた。
図6は、電位分布量が800mVとなる場合(比較例1)を100%として、燃料極に水素、酸化剤極に窒素をそれぞれ供給した状態で、セル酸化剤極近傍に、意図的に直流電圧発生装置により直流電圧を印加して電位分布を発生させ、電位分布量とカーボン腐食量の関係を調査した結果を示したものである。図6から明らかなように、電位分布量の低下に伴いカーボン腐食が抑制されることが分かった。また、電位分布量が400mV〜700mVの場合(実施例1a)には、電位分布量が800mVの場合(比較例1)と比較して、カーボン腐食量が3割以上抑制され、劇的に効果があることが分かった。さらに、セル平面内の電位分布量が300mV以下の場合(実施例1)では、カーボンの腐食がほぼ完全に抑制されることが分かった。
すなわち、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法を適用した実施例1においては、電位分布量が300mV以下となるように起動操作を実施したため、カーボンの腐食はほぼ完全に抑制された。また、図6から、電位分布量が800mV未満となるように起動操作を実施すれば、カーボン腐食量を低減できることが分かった。
また、図7は、セル平面内の電位分布量が300mV以下の場合(実施例1)と電位分布量が800mVの場合(比較例1)の燃料電池発電システムについて、12時間の発電と12時間の停止保管を1サイクルとした起動停止サイクルを1,000回実施したときの燃料電池スタックを構成する酸化剤極触媒の有効表面積の変化(初期を100としたときの割合)と、起動後30分後の定格発電時における平均セル電圧の変化を示したものである。
図7から明らかなように、比較例1の触媒有効表面積比が48%であるのに対して、実施例1の触媒有効表面積比は93%であり、また、電圧低下量は、比較例1が20mVであるのに対して、実施例1では5mVであった。このように、実施例1では、比較例1でみられるような酸化剤極の触媒劣化に伴う触媒有効表面積の低下が大幅に改善され、電圧低下量も大幅に改善された。
すなわち、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法を用いた場合には、酸化剤極に空気が供給される際には、直ちに酸素還元反応が生じるので、酸化剤濃度の高い酸化剤極入口付近の電位上昇は抑えられる。したがって、酸化剤極の電位変化量、電位変化速度が抑制され、セル平面内の酸化剤極の電位勾配が是正されるので、これらに由来する微小な酸化剤極の腐食を抑制することができる。よって、酸化剤極の触媒有効表面積の低下や、ガス拡散性の低下を防止し、燃料電池スタックの電圧低下を防ぐことができる。
(2)第2実施形態
(2−1)構成
本実施形態は、上記第1実施形態の変形例であって、起動操作時の酸化剤供給前における燃料電池スタックの平均セル電圧の上昇速度を制御することによって、酸化剤極の電位分布量を低減するようにしたものである。
すなわち、本実施形態の電気制御装置3は、燃料電池発電時に、燃料電池の起電力から電気エネルギーを取り出して外部負荷に供給するための燃料電池負荷電流を制御する負荷運転モードの他に、燃料電池発電システムの起動時において、交流系統電源5を電源として所定の直流電圧を発生させ、電気的に燃料電池スタックに接続することにより、燃料電池スタックの平均セル電圧の上昇速度を所定の値に制御しつつ、所定の平均セル電圧まで上昇させることができる電圧制御モードを有している。なお、燃料電池発電システムの他の構成は、上記第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
(2−2)発電停止操作手順
燃料電池発電システムの発電中に発電停止指令がなされた場合には、上記第1実施形態と同様に、酸化剤供給ラインに設けたバルブ17を閉止して酸化剤極への空気の供給を停止した後、燃料極を基準とした単電池電圧が0.1Vまで低下するまで電気制御装置により発電を継続した。その後、酸化剤極出口バルブ18を閉止し、燃料極への改質ガスを停止すると共に、燃料極入口及び出口バルブ15及び16をそれぞれ閉止し、燃料電池スタックを還元雰囲気に保持した状態で密封した。
(2−3)発電起動操作手順
図8は、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における発電起動操作手順を示すフローチャートである。
この図8に示すように、燃料電池発電システムの停止中に起動指令がなされた場合には、 改質装置2から燃料極1aへ水素リッチな改質ガスの供給を開始した状態で(S801)、電気制御装置3を電圧制御モードとし、交流系統電源5を電源として所定の直流電圧を発生させ、電気的に燃料電池スタックに接続することにより、燃料電池スタックに任意の直流電圧を印加する。ここで、燃料電池スタックに直流電圧を印加すると、各セルにほぼ均一に分配される。すなわち、燃料電池スタックに印加する電圧を制御することで、燃料電池スタックの各セルの電圧は所定値に制御される。
ここでは、燃料電池スタックに印加する初期電圧を、平均セル電圧が0.1Vとなるように設定し(S802)、その後、平均セル電圧の上昇速度が毎秒200mVとなるように燃料電池に印加する直流電圧を上昇させ(S803)、平均セル電圧が定格電圧Vr(Vr=800mV)近傍まで増大するまで継続する(S804のYES)。
平均セル電圧が定格電圧Vr近傍まで増大した時点(S804のNO)で、燃料電池に印加する直流電圧の上昇を停止し(S805)、酸化剤極1bへの空気の供給を開始する(S806)。それと同時に、電気制御装置3を負荷運転モードに切り替え(S807)、初期負荷電流をIoに設定する。その後、負荷電流を定格電流値Irにまで上昇させ(S808)、起動操作を終了する。この発電起動操作の結果、燃料電池発電システムは、通常の発電状態となる。この起動操作のシーケンスを図9に示す。
(2−4)作用
図9は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における起動動作を示すタイミングチャートであり、システム制御装置100からシステム各部への制御指令のタイミング、及び燃料電池スタック1の平均セル電圧の時間的な変化を示している。以下には、この図9を参照して、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法による作用について説明する。
図9に示すように、燃料電池スタックが停止状態にあるときには、酸化剤極1bは還元雰囲気にて封入されているので、酸化剤極1bの電位はゼロボルト近傍である。この状態で起動指令がなされた場合、燃料極1aに水素リッチな改質ガスを供給した後(図中、A点)、電気制御装置3が電圧制御モード(図中、B点)とされる結果、交流系統電源5を電源として所定の直流電圧を発生させ、電気的に燃料電池スタックに接続することにより、燃料電池スタックの平均セル電圧が制御される。
この時、電圧上昇速度が毎秒200mVとなるように、燃料電池スタックに印加される電圧を上昇させて、定格電圧近傍まで増大させた後、酸化剤極1bに空気を供給する(図中、C点)。それと同時に、電気制御装置3を負荷運転モードに切り替える(図中、D点)ことにより、酸化剤濃度の高い酸化剤極入口の電位上昇速度を抑えることができる。その結果、燃料電池発電システムの起動時において、酸化剤極の電位上昇による酸化剤極の電位分布量を低減することができる。
(2−5)効果
図10は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法による効果を示す図であり、起動操作1回の電圧上昇速度とカーボン腐食量の関係を示したものである。実施例2および比較例2として、燃料電池発電システムの起動操作時に、酸化剤を供給して、毎秒200mV以下(実施例2)と毎秒425mV(比較例2)という異なる電圧上昇速度で平均セル電圧を800mVまで上昇させた後、負荷に接続する起動方法をそれぞれ採用した燃料電池発電システムについて評価した。なお、実施例2の場合、電圧上昇速度は毎秒200mV以下であり、比較例2の場合、電圧上昇速度は毎秒425mVであった。また、図中、実施例2は●、比較例2は■で示した。
なお、図10は、電圧上昇速度が毎秒425mVとなる場合(比較例2)を100%として、カーボン腐食量を示したものである。図10から明らかなように、電圧上昇速度の低下に伴ってカーボン腐食が抑制されることが分かった。また、上記第1実施形態で示した図6を参照して、カーボン腐食量から電位分布量を求めることにより、本実施形態を適用した場合も電位分布量を低減できることが分かった。
ここで、比較例2の燃料電池発電システムでは20,000時間の寿命であるため、要求寿命の40,000時間を達成するためには、カーボン腐食は50%以下に抑えることが要求されている。したがって、電池寿命の観点からは、平均セル電圧の上昇速度を毎秒200mV以下とすることが好ましい。さらに、起動時間の制約から毎秒1mV以上の運用が好ましい。
なお、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法を適用した実施例2においては、平均セル電圧の上昇速度を毎秒200mV以下となるように起動操作を実施したため、上記の寿命要求及び起動時間の制約を満足することが可能となった。
すなわち、上記第1実施形態と同様に、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法では、酸化剤極に空気が供給される際には、予め燃料電池スタックが所定の平均セル電圧に充電されているので、酸化剤濃度の高い酸化剤極入口付近の急激な電位上昇は抑えられる。したがって、酸化剤極の電位変化量、電位変化速度が抑制され、セル平面内の酸化剤極の電位勾配が是正されるので、これらに由来する微小な酸化剤極の腐食を抑制することができる。よって、酸化剤極の触媒有効表面積の低下や、ガス拡散性の低下を防止し、燃料電池スタックの電圧低下を防ぐことができる。
(2−6)変形例
上述したように、本実施形態においては、電圧上昇速度が毎秒200mV以下となるように燃料電池に印加する直流電圧を設定する例について説明したが、図11及び図12に示すように、電圧をステップ状に上昇させた場合、上昇幅を800mV以下、より好ましくは300mV以下に設定することで、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
なお、本実施形態で用いた燃料電池スタックのセル有効面積は100cm2であるが、有効面積が大きい場合には効果はより顕著となる。また電位分布量の測定値としては±20mVの誤差を有している。
(3)第3実施形態
(3−1)構成
本実施形態は、上記第1実施形態の変形例であって、性能回復操作時の酸化剤供給停止時における燃料電池スタックの平均セル電圧の低下量を制御することによって、酸化剤極の電位分布量を低減するようにしたものである。
すなわち、本実施形態の電気制御装置3は、燃料電池の起電力から電気エネルギーを取り出して外部負荷に供給するための燃料電池負荷電流を制御する負荷運転モードの他に、燃料電池発電システムの発電中に、酸化剤極に供給する酸化剤を一時的に欠乏させる際に、燃料電池スタックの平均セル電圧の低下量を所定の値に制御すると共に、酸化剤の供給再開時に、所定の平均セル電圧まで上昇させることができる電圧制御モードを有している。なお、燃料電池発電システムの他の構成は、上記第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
(3−2)性能回復操作手順
図13は、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法における性能回復操作手順を示すフローチャートである。
この図13に示すように、燃料電池発電システムの発電中に性能回復操作指令がなされた場合には、改質装置2から燃料極1aへ水素リッチな改質ガスの供給を継続した状態で、電気制御装置3を電圧制御モードとし(S1301)、負荷電流を一定に制御する。この時点の平均セル電圧の値は、酸化剤供給停止前の平均セル電圧Vrとしてシステム制御装置100により計測・記憶され(S1302)、後段の手順で使用される。
その後、酸化剤供給ライン13に設けた酸化剤極入口バルブ17を閉止して酸化剤極1bへの空気の供給を停止し(S1303)、平均セル電圧が、酸化剤ガス停止前の平均セル電圧Vrから300mV低下するまで、電気制御装置3により負荷電流を一定に制御することによって、発電を継続する(S1304のNO)。平均セル電圧が、酸化剤ガス停止前の平均セル電圧Vrから300mV低下した時点(S1304のYES)で、酸化剤極入口バルブ17を開放して酸化剤極1bへの空気の供給を再開する(S1305)。
平均セル電圧が、酸化剤供給停止前の平均セル電圧Vrを上回った時点(S1306のYES)で、電気制御装置3を負荷運転モードに切り替え(S1307)、性能回復操作を終了する。この性能回復操作の結果、燃料電池発電システムは、性能回復操作前より高い平均セル電圧で通常の発電状態となる。
(3−3)作用
図14は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復操作方法における性能回復動作を示すタイミングチャートであり、システム制御装置100からシステム各部への制御指令のタイミング、及び燃料電池スタック1の平均セル電圧の時間的な変化を示している。以下には、この図14を参照して、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法による作用について説明する。
図14に示すように、燃料電池スタック1が通常の発電状態にあるときには、燃料電池スタック1の平均セル電圧は、例えば800mVであり、定格電流値Irの負荷電流が流れ、燃料極1aには水素リッチな改質ガスが供給され、酸化剤極1bには空気が供給されている。この状態で性能回復指令がなされた場合、電気制御装置3が電圧制御モード(図中、A点)とされ、負荷電流が一定(定格電流値Ir)に制御され、改質ガス供給が継続される一方で空気供給が停止(図中、B点)される結果、平均セル電圧が低下する。
この場合、平均セル電圧を500mVまで低下させた時点で、空気供給を再開する(図中、C点)ことで平均セル電圧を上昇させ、平均セル電圧が800mVを上回った時点で電気制御装置3を負荷運転モードに切り替える(図中、D点)。
このように、本実施形態においては、酸化剤を一時的に欠乏させる際の電位変動幅が300mV以下となるように負荷電流および空気流量を制御することにより回復操作シーケンスによる運転制御を実施するため、酸化剤極への空気供給再開時における酸化剤極の電位上昇による酸化剤極の電位分布量を、300mV程度とすることができる。
(3−4)効果
図15は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復操作方法による効果を示す図であり、性能回復操作1回のカーボン腐食量の比較を示したものである。ここで、カーボン腐食量はカーボン腐食に由来するカソード排出ガス中のCO2濃度により算出し、反応ガス中のCO2の影響を除去するために、カーボン腐食量の測定時には燃料極には水素、酸化剤極にはCO2を含まない空気を用いた。
実施例3としては、本実施形態の方法で、燃料電池発電システムの回復操作時に、平均セル電圧の電圧低下量を300mV以下とすることにより電位分布量を300mV程度とする性能回復方法を採用した燃料電池発電システムについて評価し、比較例3としては、電圧低下量を500mVとした場合の性能回復方法を採用した燃料電池発電システムについて評価した。この電圧低下量の値「500mV」は、300mV超で、かつ、運転電圧である800mV未満の範囲で選定された値である。なお、図中、実施例3は○、比較例3は□で示した。
空気停止後の電圧低下過程では、顕著なカーボン腐食はみられなかったが、空気再供給時にカーボンの腐食が確認された。比較例3において、空気再導入直後では、空気が到達している酸化剤入口近傍では起電力が生じるが、空気が到達していない酸化剤出口近傍では、起電力が低いため、酸化剤極の電位をセル平面内で均一に上昇させることは不可能である。その結果、例えば、平均セル電圧を500mV低下させた比較例3の場合、酸化剤入口と酸化剤出口で瞬間的に500mV以上の電位分布が生じた。
図15は、電圧低下量が500mVとなる場合(比較例3)を100%として、電圧低下量とカーボン腐食量の関係を調査した結果を示している。図15から明らかなように、電圧低下量の減少に伴いカーボン腐食が抑制され、電圧低下量が300mVの場合(実施例3a)には、電圧低下量が500mVの場合(比較例3)と比較して、カーボン腐食量が8割程度減少することが分かる。
すなわち、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法を適用した実施例3においては、電圧低下量が300mVとなるように性能回復操作を実施したため、カーボン腐食を抑制することができた。
また、図16は、セル平面内の電圧低下量を300mVとする性能回復方法(実施例3)と電圧低下量を500mVとする性能回復方法(比較例3)について、15分ごとに1回の性能回復操作を実施して、2,000回実施したときの燃料電池スタックを構成する酸化剤極触媒の有効表面積の変化(初期を100としたときの割合)と起動後5分後の電流密度0.2A/cm2における定格発電時の平均セル電圧の変化を示したものである。
図16から明らかなように、比較例3の触媒有効表面積比が48%であるのに対して、実施例3の触媒有効表面積比は93%であり、また、電圧低下量は、比較例3が20mVであるのに対して、実施例3では5mVであった。このように、実施例3では、比較例3でみられるような酸化剤極の触媒劣化に伴う触媒有効表面積の低下が大幅に改善され、電圧低下量も大幅に改善された。
ここで、比較例3の燃料電池発電システムは20,000時間の寿命であるため、要求寿命の40,000時間を達成するためには、カーボン腐食を50%以下に抑えることが要求されている。したがって、図15の結果により、電池寿命の観点からは、回復操作時の電圧低下量を400mV以下とする必要があることがわかった。なお、回復操作による電圧回復効果を得るための制約からは、電圧低下量を200mV以上とする運用が好ましい。
なお、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法を適用した実施例3においては、酸化剤を一時的に欠乏させる際の、平均セル電圧の低下量が200mV以上400mV以下となるように性能回復操作を実施したため、上記の寿命要求及び回復操作効果を得るための制約を満足することが可能となった。
すなわち、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法によれば、まず、酸化剤極へ供給していた空気停止に伴う酸化剤極電位の低下によって酸化剤極触媒の酸化皮膜が還元によって除去され、酸化剤極の触媒活性の改善を実現して短期的な性能回復を実現させることができる。本実施形態によれば、これに加えて、従来問題となっていた回復操作中に発生する微小な酸化剤極の腐食を抑制することができるため、酸化剤極の触媒有効表面積の低下や、ガス拡散性の低下を防止し、燃料電池スタックの経時的な電圧低下を抑制することができる。
(4)第4実施形態
(4−1)構成
本実施形態は、上記第1実施形態の変形例であって、性能回復操作時の酸化剤供給停止後の酸化剤供給再開時における燃料電池スタックの平均セル電圧の上昇速度を制御することによって、酸化剤極の電位分布量を低減するようにしたものである。
すなわち、本実施形態の電気制御装置3は、燃料電池の起電力から電気エネルギーを取り出して外部負荷に供給するための燃料電池負荷電流を制御する負荷運転モードの他に、燃料電池発電システムの発電中に、酸化剤極に供給する酸化剤を一時的に欠乏させた後の酸化剤の供給再開時に、燃料電池スタックの平均セル電圧の上昇速度を所定の値に制御しつつ、所定の平均セル電圧まで上昇させることができる電圧制御モードを有している。なお、燃料電池発電システムの他の構成は、上記第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
(4−2)性能回復操作手順
図17は、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法における性能回復操作手順を示すフローチャートである。
この図17に示すように、燃料電池発電システムの発電中に性能回復操作指令がなされた場合には、改質装置2から燃料極1aへ水素リッチな改質ガスの供給を継続した状態で、電気制御装置3を電圧制御モードとし(S1701)、負荷電流を一定に制御する。この時点の平均セル電圧の値は、酸化剤供給停止前の平均セル電圧Vrとしてシステム制御装置100により計測・記憶され(S1702)、後段の手順で使用される。
その後、酸化剤供給ライン13に設けた酸化剤極入口バルブ17を閉止して酸化剤極1bへの空気の供給を停止し(S1703)、平均セル電圧が0.1Vに低下するまで、電気制御装置3により負荷電流を一定に制御することによって、発電を継続する(S1704のNO)。平均セル電圧が、0.1Vに低下した時点(S1704のYES)で、電気制御装置3により負荷電流を一旦遮断した(S1705)後、酸化剤極入口バルブ17を開放して酸化剤極1bへの空気の供給を再開して(S1706)、電圧制御モードの電気制御装置3により負荷電流を制御することによって、平均セル電圧の上昇速度が毎秒200mVとなるように平均セル電圧を上昇させる(S1707)。
平均セル電圧が、酸化剤供給停止前の平均セル電圧Vrを上回った時点(S1708のYES)で、電気制御装置3を負荷運転モードに切り替え(S1709)、性能回復操作を終了する。この性能回復操作の結果、燃料電池発電システムは、性能回復操作前より高い平均セル電圧で通常の発電状態となる。
(4−3)作用
図18は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復操作方法における性能回復動作を示すタイミングチャートであり、システム制御装置100からシステム各部への制御指令のタイミング、及び燃料電池スタック1の平均セル電圧の時間的な変化を示している。以下には、この図18を参照して、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法による作用について説明する。
図18に示すように、燃料電池スタック1が通常の発電状態にあるときには、燃料電池スタック1の平均セル電圧は、例えば800mVであり、定格電流値Irの負荷電流が流れ、燃料極1aには水素リッチな改質ガスが供給され、酸化剤極1bには空気が供給されている。この状態で性能回復指令がなされた場合、電気制御装置3が電圧制御モード(図中、A点)とされ、負荷電流が一定(定格電流値Ir)に制御され、改質ガス供給が継続される一方で空気供給が停止(図中、B点)される結果、平均セル電圧が低下する。
この場合、平均セル電圧を0.1Vまで低下させた時点で、負荷電流を一旦遮断した後、空気供給を再開する(図中、C点)ことで平均セル電圧を上昇させ、平均セル電圧が800mVを上回った時点で電気制御装置3を負荷運転モードに切り替える(図中、D点)。
このように、本実施形態においては、酸化剤を一時的に欠乏させた後、酸化剤極1bへの空気供給を再開する際に、酸化剤濃度の高い酸化剤極入口の電位上昇速度を抑えることができる。その結果、性能回復操作時における酸化剤供給再開時において、酸化剤極の電位上昇による酸化剤極の電位分布量を低減することができる。
(4−4)効果
図19は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法による効果を示す図であり、性能回復操作1回の電圧上昇速度とカーボン腐食量の関係を示したものである。実施例4および比較例4として、燃料電池発電システムの性能回復操作時における酸化剤の供給再開時に、毎秒200mV以下(実施例4)と毎秒425mV(比較例4)という異なる電圧上昇速度で平均セル電圧を800mVまで上昇させる性能回復方法をそれぞれ採用した燃料電池発電システムについて評価した。また、図中、実施例4は●、比較例4は■で示した。
なお、図19は、電圧上昇速度が毎秒425mVとなる場合(比較例4)を100%として、カーボン腐食量を示したものである。図19から明らかなように、電圧上昇速度の低下に伴ってカーボン腐食が抑制されることが分かった。また、上記第3実施形態で示した図15を参照して、カーボン腐食量から電位分布量を求めることにより、本実施形態を適用した場合も電位分布量を低減できることが分かった。
ここで、比較例4の燃料電池発電システムでは20,000時間の寿命であるため、要求寿命の40,000時間を達成するためには、カーボン腐食は50%以下に抑えることが要求されている。したがって、電池寿命の観点からは、平均セル電圧の上昇速度を毎秒200mV以下とすることが好ましい。さらに、回復操作時間の制約(負荷運転停止時間の制約)から毎秒1mV以上の運用が好ましい。
なお、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法を適用した実施例4においては、酸化剤を一時的に欠乏させた後の、酸化剤供給再開時における平均セル電圧の上昇速度を毎秒200mV以下となるように性能回復操作を実施したため、上記の寿命要求及び回復操作時間の制約を満足することが可能となった。
すなわち、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法では、酸化剤を一時的に欠乏させた後の、酸化剤供給再開時における電圧上昇速度を抑えることで、酸化剤濃度の高い酸化剤極入口付近の電位上昇速度は抑えられ、その結果として電位分布が抑制される。したがって、酸化剤極の電位変化量、電位変化速度が抑制され、セル平面内の酸化剤極の電位勾配が是正されるので、これらに由来する微小な酸化剤極の腐食を抑制することができる。よって、酸化剤極の触媒有効表面積の低下や、ガス拡散性の低下を防止し、燃料電池スタックの電圧低下を防ぐことができる。
特に、酸素欠乏による酸化剤極の電位を300mV以上低下させる必要がある場合には、前記第3実施形態の性能回復方法よりも、本実施形態の方がより有効である。
(4−5)変形例
なお、本実施形態で用いた燃料電池スタックのセル有効面積は100cm2であるが、有効面積が大きい場合には効果はより顕著となる。また電圧分布量の測定値としては±20mVの誤差を有している。
(5)第5実施形態
(5−1)構成
本実施形態は、上記第1実施形態の変形例であって、起動操作時の酸化剤供給開始時における燃料電池スタックの平均セル電圧の上昇速度を制御することによって、酸化剤極の電位分布量を低減するようにしたものである。
すなわち、本実施形態の電気制御装置3は、燃料電池の起電力から電気エネルギーを取り出して外部負荷に供給するための燃料電池負荷電流を制御する負荷運転モードの他に、燃料電池発電システムの起動時における酸化剤の供給開始時に、燃料電池スタックの平均セル電圧の上昇速度を所定の値に制御しつつ、所定の平均セル電圧まで上昇させることができる電圧制御モードを有している。なお、燃料電池発電システムの他の構成は、上記第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
(5−2)起動操作手順
図20は、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における起動操作手順を示すフローチャートである。
この図20に示すように、燃料電池発電システムの停止中に起動指令がなされた場合には、改質装置2から燃料極1aへ水素リッチな改質ガスの供給を開始した状態で(S2001)、酸化剤極入口バルブ17を開放して酸化剤極1bへの空気の供給を開始して(S2002)、電気制御装置3を電圧制御モードとし、負荷電流を制御することによって、平均セル電圧の上昇速度が毎秒200mVとなるように平均セル電圧を上昇させる(S2003)。なお、この場合の平均セル電圧の上昇速度は、起動時間の制約から毎秒1mV以上の運用が好ましい。
平均セル電圧が、定格電圧Vrまで上昇した時点(S2004のYES)で、電気制御装置3を負荷運転モードに切り替え(S2005)、起動操作を終了する。この機動操作の結果、燃料電池発電システムは、通常の発電状態となる。
(5−3)効果
以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法によれば、燃料電池発電システムの発電起動過程で、酸化剤供給開始時における電圧上昇速度を200mV以下に抑えることにより、酸化剤濃度の高い酸化剤極入口付近の電位上昇速度は抑えられ、その結果として電位分布が抑制されるため、上記第4実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、酸化剤極の電位変化量、電位変化速度が抑制され、セル平面内の酸化剤極の電位勾配が是正されるので、これらに由来する微小な酸化剤極の腐食を抑制することができ、これによって、酸化剤極の触媒有効表面積の低下や、ガス拡散性の低下を防止し、燃料電池スタックの電圧低下を防ぐことができる。
(6)他の実施形態
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な変形例が実施可能である。例えば、第1実施形態において発電起動操作手順について示した保持時間は一例にすぎず、適宜変更可能である。
すなわち、本発明は、燃料電池発電システムの発電起動過程で、酸化剤供給開始時に発生する燃料電池スタックのセル面内電位分布を800mV未満、より好ましくは300mV以下の値に制御する限り、あるいは、酸化剤供給前または酸化剤供給開始時における平均セル電圧の上昇速度が毎秒200mV以下となるように制御する限り、具体的なシステム構成や発電起動操作手順は適宜変更可能であり、同様に優れた効果が得られるものである。
また、本発明は、燃料電池発電システムの性能回復操作時に酸化剤を一時的に欠乏させる際の平均セル電圧の低下量が500mV未満、より好ましくは200mV以上400mV以下の値となるように制御する限り、あるいは、酸化剤を一時的に欠乏させた後の酸化剤供給再開時における平均セル電圧の上昇速度が毎秒200mV以下となるように制御する限り、具体的なシステム構成や性能回復操作手順は適宜変更可能であり、同様に優れた効果が得られるものである。
本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第1実施形態を実現するための燃料電池発電システムの構成を示す図。 本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第1実施形態における電気制御装置の構成を示す図。 本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第1実施形態における発電停止操作手順を示すフローチャート。 本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第1実施形態における発電起動操作手順を示すフローチャート。 本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第1実施形態における発電起動動作を示すタイミングチャート。 本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第1実施形態による効果を示す図であり、電位分布量とカーボン腐食量の関係を示すグラフ。 本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第1実施形態による効果を示す図であり、触媒有効表面積比と電圧低下量を示すグラフ。 本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第2実施形態における発電起動操作手順を示すフローチャート。 本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第2実施形態における発電起動動作を示すタイミングチャート。 本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第2実施形態による効果を示す図であり、電圧上昇速度とカーボン腐食量の関係を示すグラフ。 本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第2実施形態の変形例における発電起動操作手順を示すフローチャート。 本発明に係る燃料電池発電システムの起動方法の第2実施形態の変形例における発電起動動作を示すタイミングチャート。 本発明に係る燃料電池発電システムの性能回復方法の第3実施形態における性能回復操作手順を示すフローチャート。 本発明に係る燃料電池発電システムの性能回復方法の第3実施形態における性能回復動作を示すタイミングチャート。 本発明に係る燃料電池発電システムの性能回復方法の第3実施形態による効果を示す図であり、電圧低下量とカーボン腐食量の関係を示すグラフ。 本発明に係る燃料電池発電システムの性能回復方法の第3実施形態による効果を示す図であり、触媒有効表面積比と電圧低下量を示すグラフ。 本発明に係る燃料電池発電システムの性能回復方法の第4実施形態における性能回復操作手順を示すフローチャート。 本発明に係る燃料電池発電システムの性能回復方法の第4実施形態における性能回復動作を示すタイミングチャート。 本発明に係る燃料電池発電システムの性能回復方法の第4実施形態による効果を示す図であり、電圧上昇速度とカーボン腐食量の関係を示すグラフ。 本発明に係る燃料電池発電システムの性能回復方法の第5実施形態における起動操作手順を示すフローチャート。
1…燃料電池スタック
1a…燃料電池スタック燃料極
1b…燃料電池スタック酸化剤極
2…改質装置
3…電気制御装置
4…空気ブロワ
5…交流系統電源
11…燃料供給ライン
12…燃料排出ライン
13…酸化剤供給ライン
14…酸化剤排出ライン
15…燃料極入口バルブ
16…燃料極出口バルブ
17…酸化剤極入口バルブ
18…酸化剤極出口バルブ
31…インバーター
32…制御装置
100…システム制御装置

Claims (2)

  1. 電解質を挟んで配置した燃料極と酸化剤極とを有する単電池を複数積層して構成される燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに供給する燃料及び酸化剤をそれぞれ制御する燃料流量制御手段及び酸化剤流量制御手段と、前記燃料電池スタックの負荷電流を制御する負荷電流制御手段を備えた燃料電池発電システムにおいて、
    前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、
    前記燃料流量制御手段により前記燃料極への燃料の供給を開始した状態で、前記酸化剤流量制御手段により酸化剤極への酸化剤の供給を開始すると共に、前記負荷電流制御手段を、前記燃料電池スタックの酸化剤極入口付近の電位上昇幅が800mV未満となるように負荷電流および空気流量を制御する電圧制御モードから
    前記燃料電池スタックの平均単電池電圧が所定の平均単電池電圧に到達した時点で、前記負荷電流制御手段を前記燃料電池スタックで得られた電気エネルギーを外部負荷に供給するための負荷電流を制御する負荷運転モード切り替えるように構成されていることを特徴とする燃料電池発電システム。
  2. 電解質を挟んで配置した燃料極と酸化剤極とを有する単電池を複数積層して構成される燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに供給する燃料及び酸化剤をそれぞれ制御する燃料流量制御手段及び酸化剤流量制御手段と、前記燃料電池スタックの負荷電流を制御する負荷電流制御手段を備えた燃料電池発電システムにおいて、
    前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、
    前記燃料流量制御手段により前記燃料極への燃料の供給を開始した状態で、前記酸化剤流量制御手段により酸化剤極への酸化剤の供給を開始すると共に、前記負荷電流制御手段を、前記燃料電池スタックの酸化剤極入口付近の電位上昇幅が300mV以下となるように負荷電流および空気流量を制御する電圧制御モードから
    前記燃料電池スタックの平均単電池電圧が所定の平均単電池電圧に到達した時点で、前記負荷電流制御手段を前記燃料電池スタックで得られた電気エネルギーを外部負荷に供給するための負荷電流を制御する負荷運転モード切り替えるように構成されていることを特徴とする燃料電池発電システム。
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