JP2005116402A - 燃料電池システムの起動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池システムの起動時に、電極触媒の劣化や腐食を防止しつつ、燃料極側から酸化剤極側へリークした水素ガスが系外へ放出される際の濃度を低下させる。
【解決手段】S1では、燃料極に水素ガスの供給を開始する。水素ガス流量の増加と共に、酸化剤極3に残っている酸素によって、燃料電池の電圧が立ち上がる。S2では、電圧が触媒の腐食・劣化を促進する第一の所定値になった時に、スイッチを閉じて負荷を接続する。S3では、電圧が第一の所定値より小さい第二の所定値まで降下してきたら、酸化剤極に空気の供給を開始する。S4では、燃料電池電圧が第一及び第二の所定値の範囲以内に保たれるように、コンプレッサ及び空気圧力調整弁を制御して空気流量を制御する。S5では、燃料極側が燃料ガスで均一に置換されたと判断した場合、通常発電状態の水素量と空気量とを供給するとともに、通常運転時の負荷電流を取り出す。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池システムの起動方法に関する。
燃料電池は、水素ガスなどの燃料ガスと酸素を有する酸化ガスとを電解質を介して電気化学的に反応させ、電解質両面に設けた電極間から電気エネルギを直接取り出すものである。特に固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、動作温度が低く、取り扱いが容易なことから電動車両用の電源として注目されている。
固体高分子型燃料電池やリン酸型燃料電池においては、燃料極及び酸化剤極に設けられた電極触媒の活性度が発電性能に大きく影響する。そして、燃料電池の起動時に無負荷状態となると、負荷電流による酸化剤極への電子供給が無くなり酸化剤極が燃料極に対して高電位に曝されるので、酸化剤極の白金触媒微粒子の粗大化や白金触媒を担持するカーボン材料の酸化が急速に進み、触媒活性の低下や触媒担持体の腐食が生じるという問題点があった。
この問題点に対処するため、特許文献1記載の燃料電池の起動方法においては、システム起動時に、まず燃料極側に燃料ガスのみ供給し、燃料極側が燃料ガスで十分に置換された後、酸化剤極側への酸化剤ガス供給と外部負荷接続を同時に行い、無負荷状態での高電圧状態を避け、酸化剤極側の触媒層の腐食・劣化を抑制するとともに、燃料ガス不足による燃料極側の触媒層の腐食・劣化を抑制しようとしている。しかしながら、このような起動方法では、前回の停止から時間が経ち、拡散等によって酸化剤極側に酸素が存在していた場合、燃料ガスの供給とともに、触媒劣化が発生するような高電圧状態となってしまう。
それに対して、特許文献2記載の燃料電池の起動方法では、起動時における無負荷状態の高電圧を避けるために、供給する燃料ガスと酸化剤ガスの流量を増加方向に制御するとともに、予備的な負荷を用いて電圧を所定値に制御して、触媒層の劣化を抑制する方法が知られている。
特開平9−120830号公報(第3頁、図1) 特公平7−063020号公報(第3頁、図3)
先述したように、特許文献1記載の技術では、前回の停止から時間が経ち、拡散等によって酸化剤極側に酸素が存在していた場合、燃料ガスの供給とともに、触媒劣化が発生するような高電圧状態となるという問題点があった。
また、特許文献2記載の技術のように、燃料ガス及び酸化剤ガスを同時に供給し、負荷を接続して、電圧を抑制する方法を取ると、常に電圧が立ち、電流が流れることになる。その場合、外部の蓄電池の容量や抵抗の発熱等により電圧抑制能力が制限されるという問題点があった。
そこで、まず燃料ガスを供給して、酸化剤極側の残酸素によって発生する電圧が触媒の劣化を促進する電圧に達した時点で予備負荷を接続する。そして、酸化剤極側の酸素の消費とともに低下する電圧に合わせて、取り出す負荷を調整し、燃料極側が燃料ガスに置換されるのを待った後、酸化剤ガスを供給するとともに負荷を接続する上記二つを組み合わせた方法を取ることができる。このようにすると、高電圧状態を避けることができるとともに、常に負荷を取る必要がないので、外部の蓄電池や抵抗の発熱等の制限が緩和される。
しかしながら、上記のような起動方法では、燃料極側から酸化剤極側へクロスリークしてくる水素は、酸素が存在する間は触媒表面上で酸素と反応し消費されるが、酸素が欠乏してきた場合(電圧が低下してきた場合)、クロスリークしてきた水素は酸化剤極側に蓄積してくる。この状態で、起動を続行し酸化剤極側へ酸化剤ガスを供給した場合、システム外部へ酸化剤ガスの排気とともに排出される水素濃度が高くなってしまうという問題点が生じる。
本発明は、上記問題点を解決するため、燃料極に供給された水素と酸化剤極に供給された酸素との電気化学反応により発電する燃料電池本体から電力を負荷へ供給する燃料電池システムの起動方法において、酸化剤極への酸化剤ガス供給を遮断しかつ燃料電池本体と負荷との接続を遮断した状態で、燃料極へ燃料ガスの供給を開始する第1ステップと、燃料電池本体の電圧が第1の所定値以上になった場合に、燃料電池本体と負荷とを接続する第2ステップと、燃料電池本体の電圧が第1の所定値より小さい第2の所定値以下になった場合に、酸化剤極に酸化剤ガスの供給を開始する第3ステップと、を備えたことを要旨とする。
本発明によれば、燃料電池システムの起動時における燃料極と酸化剤極との電圧を酸化剤極触媒の劣化や腐食に至る電圧以下に制御することができるという効果がある。
また、燃料電池システムの起動時に燃料極側から酸化剤極側へクロスリークする水素を消費することができ、酸化剤ガスの供給開始とともにシステム外部へ排出される水素濃度を許容限度以下に低減することができるという効果がある。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、特に限定されないが以下の各実施例は、燃料電池車両に好適な燃料電池システムの起動方法である。
図1は、本発明に係る燃料電池システムの起動方法の実施例1が適用される燃料電池システム1の構成を説明するシステム構成図である。実施例1は請求項1から請求項4に相当する。この燃料電池システムは、燃料ガスとして水素ガス、酸化剤ガスとして空気を用いる一般的な構成である。
図1において、燃料電池システム1は、酸化剤極3と燃料極4とを有する燃料電池本体2と、酸化剤極3の入口に空気を供給するコンプレッサ5と、酸化剤極3の出口から排出される空気量を調整することにより酸化剤極の圧力を調整する空気圧力調整弁6と、高圧水素ガスを貯蔵する水素タンク7と、高圧水素ガスの圧力を運転状態に応じた圧力に調整する水素圧力調整弁8と、水素圧力調整弁で圧力調整された新規水素ガスと燃料極4から排出されたガスとを混合して燃料極4に供給するエゼクタ9と、燃料極4から外部へ燃料ガスを放出するパージ弁10と、燃料極4から排出された燃料ガスをエゼクタ9の吸込口へ再循環させる水素循環経路11と、燃料電池本体2と負荷装置14との電気的接続を開閉(接続・遮断)するスイッチ12と、燃料電池本体2から負荷装置14へ供給される電流を測定する電流計13と、燃料電池本体2が発電した電力を消費する負荷装置14と、燃料電池本体2の電圧を測定する電圧計15と、燃料電池システム1を制御するコントローラ16とを備えている。
燃料電池車両の場合、燃料電池本体2が発電した電力を消費する負荷装置14は、車両駆動モータに供給する電力を制御する電力制御装置及び蓄電池等である。
燃料電池本体2と負荷装置14とを接続するスイッチ12は、メカニカルなスイッチやリレーでもよいが、サイリスタ、IGBT、MOSFETなどの半導体スイッチ、またはメカニカルなスイッチと半導体スイッチとを直列接続した開閉手段でもよい。
また、図示していないが、発電にともなう燃料電池本体2の発熱を冷却する冷却水経路と冷却水圧送ポンプと冷却水放熱装置(ラジエター)を備えている。
コントローラ16には、電流計13及び電圧計15の検出信号が接続され、燃料電池本体2の電圧値を検知するとともに、燃料電池本体2から負荷装置14へ供給される電流値を検知できるようになっている。
また、コントローラ16は、コンプレッサ5,空気圧力調整弁6,水素圧力調整弁8,パージ弁10、及びスイッチ12に対して制御信号を出力して、燃料電池システム起動時のシーケンスを制御するとともに、通常運転時のシステム制御を行うものである。
さらに、コントローラ16は、酸化剤極3への酸化剤ガス(空気)供給を遮断しかつ燃料電池本体2と負荷装置14との接続を遮断した状態で、燃料極4へ燃料ガス(水素)の供給を開始する第1ステップと、燃料電池本体1の電圧が第1の所定値以上になった場合に、燃料電池本体2と負荷装置14とを接続する第2ステップと、燃料電池本体2の電圧が第1の所定値より小さい第2の所定値以下になった場合に、酸化剤極3に酸化剤ガスの供給を開始する第3ステップとを含む燃料電池システムの起動方法を実行する制御装置である。
尚、特に限定されないが、本実施例におけるコントローラ16は、CPU、CPUが実行する制御プログラム及び制御用データを記憶したROM、作業用のRAM、及び入出力インタフェースを備えたマイクロプロセッサで構成されている。そして、燃料電池システムの起動時の制御及び通常運転時の制御は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現されている。
次に、上記構成の燃料電池システムの作用を説明する。
通常運転時には、水素タンク7からの高圧水素ガスが水素圧力調整弁12によって適正な圧力に調圧制御されたのち、燃料電池本体2に供給される。燃料電池本体2へは発電に必要以上の水素ガスを供給する必要があり、燃料電池本体2からは反応に寄与しなかった水素ガスが排出され、燃費向上を計るため、エゼクタ9を用いて、再利用をしている。さらに、水素ガスは閉ループで循環しているため、燃料極4と水素循環経路11とを含む燃料ガス循環系に窒素等の不純物の蓄積が起こり、燃料電池の性能低下の原因となる。そこで、パージ弁10を開いて、不純物が蓄積した燃料ガスを外部へ排出する。
また、コンプレッサ5から発電に必要以上の空気を燃料電池本体2に供給し、燃料電池本体2の酸化剤極3の下流にある空気圧力調整弁6によって空気極の圧力を制御する。
次に、図1乃至図3を参照して、本発明に係る燃料電池システムの起動手順について説明する。
図2は、本発明による図1に記載した燃料電池システムの起動時における水素流量、燃料電池電圧、空気流量、負荷電流、酸化剤極側の水素蓄積量の時間経過を示すタイムチャートである。燃料電池システムの起動開始前の初期状態では、コンプレッサ5は停止し、空気圧力調整弁6,水素圧力調整弁8及びパージ弁10は、それぞれ閉じた状態にあり(空気圧力調整弁6,パージ弁10は閉でなくても構わない。)、燃料電池本体2と負荷装置14との間のスイッチ12は開(遮断)状態にある。
まず起動の第1ステップ(以下、図2では第iステップをSi(i=1〜5)と略す)では、水素圧力調整弁8を徐々に開くとともにパージ弁10も開いて、燃料電池本体2の燃料極4に水素ガスの供給を開始する。これにより、図2(a)に示すように、水素ガスの供給量が増加し、水素ガス流量の増加に従って酸化剤極3に残っている酸素によって、図2(b)に示すように燃料電池本体2の電圧が立ち上がる。
第2ステップ(S2)では、燃料電池の電圧が触媒の腐食・劣化を促進する第一の所定値(例えば一セルあたり0.8V)になった時に、燃料電池本体2と負荷装置14とを接続するスイッチ12を閉じることで負荷電流が流れる。この負荷装置は固定抵抗や蓄電池などである。酸化剤極3側の酸素が負荷電流の供給により消費されるに従い、燃料電池電圧が低下していく。また、燃料極4側から酸化剤極3側へクロスリークする水素が酸化剤極3の酸素量の低下とともに、酸化剤極3側へ蓄積し始める。
第3ステップ(S3)では、燃料電池電圧が第一の所定値より小さい第二の所定値(例えば転極が生じない一セルあたり0.3V)まで降下してきたら、コンプレッサ5を起動するとともに空気圧力調整弁6を開くことにより、酸化剤極3に空気の供給を開始する。
第4ステップ(S4)では、空気の供給とともに、再度燃料電池電圧が上昇してくるため、燃料電池電圧が第一及び第二の所定値の範囲以内に保たれるように、コンプレッサ5及び空気圧力調整弁6を制御して空気流量を制御する。
第5ステップ(S5)では、燃料極側が燃料ガスで均一に置換されたと判断した場合、パージ弁10を閉止し、通常発電状態の水素量と空気量とを供給するとともに、負荷装置から通常運転時の負荷電流取り出しを実施する。これで起動シーケンスを終了し、以後通常発電状態となる。
図3は、本実施例におけるコントローラ16による起動手順を更に詳細に説明するフローチャートである。
まず、S10において、起動開始前の初期状態が示されている。初期状態では、コンプレッサ5は停止し、空気圧力調整弁6,水素圧力調整弁8及びパージ弁10は、それぞれ閉じた状態にあり、燃料電池本体2と負荷装置14との間を開閉するスイッチ12は開(遮断)状態にある(空気圧力調整弁6,パージ弁10は閉でなくても構わない。)。
燃料電池システム起動の最初のステップであるS12では、コントローラ16から水素圧力調整弁8に対して所定圧力まで水素圧力調整弁8を開く信号を出力するとともに、パージ弁10を開いて、水素圧力調整弁8から燃料極4へ水素の供給を開始する(図2のS1に相当)。これにより、水素ガス流量の増加するに従って、燃料極に供給された水素と酸化剤極3に残っている酸素によって、燃料電池本体2の電圧が立ち上がる。
次いでコントローラ16は、S14において、電圧計15から燃料電池の電圧値を読み込み、S16では、燃料電池の電圧値が触媒の腐食・劣化を始める虞が生じる第一の所定値V1(例えば一セルあたり0.8V)を超えたか否かを判定する。
S16の判定で、電圧値が第一の所定値V1を超えていなければ、S14へ戻る。
S16の判定で、電圧値が第一の所定値V1を超えていれば、S18へ進み、スイッチ12を閉じて、燃料電池本体2と負荷装置14を接続する(図2のS2に相当)。これにより、燃料電池本体2から負荷装置14へ負荷電流が流れる。このときの負荷は固定抵抗や蓄電池などである。負荷電流の供給により酸化剤極3側の酸素が消費されるに従い、燃料電池電圧が低下する。また、燃料極4側から酸化剤極3側へクロスリークする水素が酸化剤極3の酸素量の低下とともに、酸化剤極3側へ蓄積し始める。
次いでコントローラ16は、S20において、電圧計15から燃料電池の電圧値を読み込み、S22では、燃料電池の電圧値が第一の所定値V1より小さい第二の所定値V2(例えば、転極が生じない一セルあたり0.3V)未満となったか否かを判定する。
S22の判定で、電圧値が第二の所定値V2以上であれば、S20へ戻る。
S22の判定で、電圧値が第二の所定値V2未満であれば、S24へ進み、コンプレッサ5を起動するとともに、空気圧力調整弁6の開度制御を始めることにより、酸化剤極3に空気の供給を開始する(図2のS3に相当)。この空気の供給とともに、再度燃料電池本体2の電圧が上昇してくる。
次いでコントローラ16は、S26で経過時間の計測を開始する。
次いで、コントローラ16は、S28において、電圧計15から燃料電池の電圧値を読み込み、S30では、燃料電池の電圧値が前記第一の所定値V1(例えば一セルあたり0.8V)を超えたか否かを判定する。S30の判定で、電圧値が第一の所定値V1を超えていなければ、S34へ進む。S30の判定で、電圧値が第一の所定値V1を超えていれば、S32へ進む。S32では、コンプレッサ5の回転速度を低下すると共に空気圧力調整弁6を調整する制御を行って、酸化剤極3への空気供給量を減少して、S38へ進む。
S34では、燃料電池の電圧値が前記第二の所定値V2(例えば一セルあたり0.3V)未満となったか否かを判定する。S34の判定で、電圧値が第二の所定値V2以上であれば、S38へ進む。S34の判定で、電圧値が第二の所定値V2未満であれば、S36へ進む。S36では、コンプレッサ5の回転速度を上昇すると共に空気圧力調整弁6を調整する制御を行って、酸化剤極3への空気供給量を増加して、S38へ進む。
S38では、所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間経過していなければ、S28へ戻る。S38の判定で用いる所定時間は、予め実験的に求めておいた燃料極4側水素ガス通路及び水素循環経路11を含む燃料ガス循環路内のガス置換に必要な時間である。
以上のS28からS38までを繰り返すループでは、空気の供給とともに、再度燃料電池電圧が上昇してくるため、燃料電池電圧が第一及び第二の所定値の範囲以内に保たれるように、コンプレッサ5及び空気圧力調整弁6を制御して空気流量を制御する(図2のS4に相当)。
S38の判定で、所定時間経過していれば、燃料極4及び水素循環経路11を含む燃料極側の通路が均一に燃料ガスである水素で置換されたとして、パージ弁10を閉じて、通常発電状態の水素量と空気量とを供給するとともに、負荷装置から通常運転時の負荷電流取り出しを実施する(図2のS5に相当)。これで起動シーケンスを終了し、以後通常発電状態となる。
次に、比較例として、従来の起動手順を図4、図5を用いて説明する。以下の各比較例における燃料電池システムの構成は、図1に示した実施例1と同様である。
図4に示す比較例1では、S1’において、水素ガス、空気を同時に供給開始する。次いで、S2’において、燃料電池の電圧が触媒の腐食を促進する所定値になった時に、負荷装置を接続することで電流が流れる。S2’からS5’の間で燃料電池電圧が触媒の腐食を促進する所定値以下になるように負荷電流の取り出しを続ける。次いで、S5’で燃料極側が燃料ガスで均一に置換されたと判断した場合、通常発電状態の水素量と空気量の供給と通常運転時の負荷電流取り出しを実施する。S5’以降では、通常発電を行う。
図5に示す比較例2では、S1”において、水素ガスのみを供給開始する。次いで、S2”において、燃料電池の電圧が触媒の劣化や腐食を促進する所定値になった時に、負荷装置を接続することで電流が流れる。次いで、S2”からS5”の間で酸化剤極側の酸素が発電消費されるに従い、電圧が低下していく。また、燃料極側から酸化剤極側へクロスリークしてくる水素の蓄積量は増加していく。次いで、S5”において、燃料極側が燃料ガスで均一に置換されたと判断した場合、通常発電状態の水素量と空気量の供給と負荷電流取り出しを実施する。S5”以降では、通常発電を行う。
次に、比較例と比較して本実施例の効果を説明する。
図4で説明した比較例1の起動手順では、S2’〜S5’において、水素ガスと空気が常に供給されており、燃料電池の電圧を触媒の劣化や腐食が促進されない状態に維持するためには、負荷電流を取り出し続ける必要があり、外部の蓄電池の容量や固定抵抗の発熱を考慮に入れる必要がある。しかし、常に酸化剤極側に空気が供給されているため、酸化剤極側に水素は蓄積しない。
図5で説明した比較例2の起動手順では、S2”〜S5”において酸化剤極側に水素蓄積量が大きいため、S5”での空気供給開始とともにシステム外部へ高水素濃度の排気が排出されるという欠点がある。しかし、S2”〜S5”において酸化剤極側の残酸素が消費されてしまうと、負荷電流を取り出す必要がないため、外部蓄電池の容量や固定抵抗の発熱による制限が緩和される。
それに対して、本発明の実施例1では、図2で説明したS4にて、燃料電池の電圧を触媒の劣化や腐食が生じない範囲内に収めるように、空気供給量を制御することで、常に負荷電流を取り出し続ける必要がなく、さらに、燃料極側から酸化剤極側へクロスリークしてくる水素を消費することができるので、外部蓄電池の容量や固定抵抗の発熱による制限が緩和されるだけでなく、S5の通常の空気流量の供給開始とともに、システム外部へ排出される水素濃度を低減することができるという効果がある。
次に、本発明に係る燃料電池システムの起動方法の実施例2を説明する。実施例2は請求項5に相当する。燃料電池システムの起動方法の実施例2が適用される燃料電池システムの構成及びその起動方法は、図1に示した実施例1とほぼ同様である。
実施例2が実施例1と異なる点は、燃料電池本体2を構成する全ての単セルの燃料極側が燃料ガス(水素)で均一に置換されたと判断する第5ステップのために、例えば、すべての単セルのセル電圧を検出するセル電圧検出装置を設け、各セルの電圧をモニタしてセル電圧の偏差が所定以下となったことで燃料極側が燃料ガスで均一に置換されたと判断していることである。
また、燃料極出口付近に水素濃度センサを設け、燃料極出口から排出される排水素ガス中の水素濃度を監視することにより、燃料極側が燃料ガスで均一に置換されたと判断することもできる。
本実施例によれば、燃料極側が燃料ガスで均一に置換された後に、通常運転時の負荷電流を出力させるため、燃料ガスの不足による燃料極側の触媒腐食を避けることができる。
次に、本発明に係る燃料電池システムの起動方法の実施例3を説明する。実施例3は請求項6及び請求項7に相当する。燃料電池システムの起動方法の実施例2が適用される燃料電池システムの構成及びその起動方法は、図1に示した実施例1とほぼ同様である。
図6は、本実施例における酸化剤極の酸素分圧と燃料電池電圧との関係の温度依存性を説明する図である。
酸化剤極中の酸素分圧と電圧は、一般に次に示す(1)式のようになる。
(数1)
E={(RT)/(2F)}ln(P) …(1)
ここで、P:酸素分圧、T:燃料電池の運転温度(絶対温度)、E:燃料電池電圧、F:ファラデー定数、R:気体定数である。
つまり、燃料電池の電圧は、運転温度が高いほど、酸素分圧が高いほど高くなる。この式を定性的に示すと図6のようになる。このグラフは3点の異なる温度別(T1<T2<T3)に酸素分圧と燃料電池の電圧との関係を示したものである。これからわかるように、電圧をある所定範囲内(図6では、E1〜E2の範囲)にするための酸素分圧の範囲は、温度T1、T2、T3では、それぞれΔP1、ΔP2、ΔP3となる。そして、これらの大小関係は、ΔP1>ΔP2>ΔP3となり、温度が高ければ高いほど、一定の電圧範囲を維持する為の酸素分圧の範囲は狭くなる。言い換えると、電圧変化における酸素分圧の感度は高温ほど高くなる。
そこで、本実施例においては、図1には図示しない燃料電池の温度センサを設け、この温度センサで検出した燃料電池の内部温度を使用して、燃料電池システムの起動制御を行う。即ち、温度センサが検出した燃料電池内部温度が高い場合は、実施例1のS4における供給空気量の制御量の変化率を小さくすることで、酸素分圧の変化率を小さくすることができるので、燃料電池本体の電圧値を所定範囲内に制御しやすくなる。これとは逆に、燃料電池内部温度が低い場合は、供給空気量の変化率を大きくすることで、酸素分圧の変化率を大きくできるので、燃料電池本体の電圧値を所定範囲内に制御しやすくなる。
また、本発明では通常運転時より少流量の空気量を制御して、燃料電池電圧を所定範囲に収める必要があるため、精密な空気流量制御が必要である。通常発電時に使用するコンプレッサまたはブロア等で空気の小流量の制御が困難であれば、起動用に別途小流量制御可能なポンプを備えたり、オリフィスを通った空気のみを燃料電池本体に供給したりすることで、正確な流量制御が可能である。
本発明に係る燃料電池システムの起動方法が適用される燃料電池システムの構成図である。 実施例1の燃料電池システムの起動方法を説明するタイムチャートである。 実施例1の起動方法の詳細を説明するフローチャートである。 比較例1の燃料電池システムの起動方法を説明するタイムチャートである。 比較例2の燃料電池システムの起動方法を説明するタイムチャートである。 実施例3における酸化剤極の酸素分圧と燃料電池電圧との関係の温度依存性を説明する図である。
符号の説明
1…燃料電池システム
2…燃料電池本体
3…酸化剤極
4…燃料極
5…コンプレッサ
6…空気圧力調整弁
7…水素タンク
8…水素圧力調整弁
9…エゼクタ
10…パージ弁
11…水素循環経路
12…スイッチ
13…電流計
14…負荷装置
15…電圧計
16…コントローラ

Claims (7)

  1. 燃料極に供給された水素と酸化剤極に供給された酸素との電気化学反応により発電する燃料電池本体から電力を負荷装置へ供給する燃料電池システムの起動方法において、
    酸化剤極への酸化剤ガス供給を遮断しかつ燃料電池本体と負荷装置との接続を遮断した状態で、燃料極へ燃料ガスの供給を開始する第1ステップと、
    燃料電池本体の電圧が第1の所定値以上になった場合に、燃料電池本体と負荷装置とを接続する第2ステップと、
    燃料電池本体の電圧が第1の所定値より小さい第2の所定値以下になった場合に、酸化剤極に酸化剤ガスの供給を開始する第3ステップと、
    を備えたことを特徴とする燃料電池システムの起動方法。
  2. 前記第3ステップの後に、燃料電池本体の電圧が所定範囲となるように、酸化剤極に供給する酸化剤ガスの供給量を制御する第4ステップを備えたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システムの起動方法。
  3. 前記第4ステップにおいて、燃料電池本体の電圧が前記第1の所定値以上になった場合、酸化剤ガス供給量を減少させることを特徴とする請求項2記載の燃料電池システムの起動方法。
  4. 前記第4ステップにおいて、燃料電池本体の電圧が前記第2の所定値以下になった場合、酸化剤ガス供給量を増加させることを特徴とする請求項2記載の燃料電池システムの起動方法。
  5. すべての単セルの燃料極側が燃料ガスで均一に置換されたと判断した場合に、燃料ガスの供給、酸化剤ガスの供給及び負荷装置を通常運転状態に制御する第5ステップを備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の燃料電池システムの起動方法。
  6. 燃料電池本体の内部温度が所定温度より高い場合には、前記酸化剤ガス供給量を減少または増加させる際の変化率を所定変化率より小さくすることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の燃料電池システムの起動方法。
  7. 燃料電池本体の内部温度が所定温度より低い場合には、前記酸化剤ガス供給量を減少または増加させる際の変化率を所定変化率より大きくすることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の燃料電池システムの起動方法。
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