JP5418800B2 - 燃料電池システムの起動方法及び起動プログラム - Google Patents
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Description
上記のような特徴を有する請求項4に記載の発明によれば、酸化剤極でのセル面内電位分布を300mV以下とすることにより、カーボンの腐食をほぼ完全に抑制することができる。
(1−1)構成
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係る燃料電池発電システムを示す構成図である。なお、図中において、ブロック間を接続する実線はガス配管の結線図、破線は電気配線の結線図をそれぞれ示している。本実施形態は、起動操作時の酸化剤供給開始時における燃料電池スタックの負荷電流を制御することによって、酸化剤極の電位分布量を低減するようにしたものである。
図3は、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における発電停止操作手順を示すフローチャートである。この図3に示すように、燃料電池発電システムの発電中に発電停止指令がなされた場合には、空気ブロワ4から酸化剤極1bへの空気の供給を停止し(S301)、酸化剤供給ライン13に設けた酸化剤極入口バルブ17を閉止して(S302)、電気制御装置3における負荷運転モードを継続する(S303)。この負荷運転モードの継続時間は、燃料極1aを基準とした単電池電圧(燃料電池スタック1の平均セル電圧)が予め設定されたモード切替電圧Voに低下するまでの間(S304のNO)である。ここでは、一例として、モード切替電圧Vo=0.1Vであるとする。
図4は、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における発電起動操作手順を示すフローチャートである。
図5は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における起動動作を示すタイミングチャートであり、システム制御装置100からシステム各部への制御指令のタイミング、及び燃料電池スタック1の平均セル電圧の時間的な変化を示している。以下には、この図5を参照して、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法による作用について説明する。
図6は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法による効果を示す図であり、起動操作1回の電圧分布量とカーボン腐食量の関係を示したものである。ここで、カーボン腐食量はカーボン腐食に由来するカソード排出ガス中のCO2濃度により算出し、反応ガス中のCO2の影響を除去するために、カーボン腐食量の測定時には燃料極には水素、酸化剤極にはCO2を含まない空気を用いた。
(2−1)構成
本実施形態は、上記第1実施形態の変形例であって、起動操作時の酸化剤供給前における燃料電池スタックの平均セル電圧の上昇速度を制御することによって、酸化剤極の電位分布量を低減するようにしたものである。
燃料電池発電システムの発電中に発電停止指令がなされた場合には、上記第1実施形態と同様に、酸化剤供給ラインに設けたバルブ17を閉止して酸化剤極への空気の供給を停止した後、燃料極を基準とした単電池電圧が0.1Vまで低下するまで電気制御装置により発電を継続した。その後、酸化剤極出口バルブ18を閉止し、燃料極への改質ガスを停止すると共に、燃料極入口及び出口バルブ15及び16をそれぞれ閉止し、燃料電池スタックを還元雰囲気に保持した状態で密封した。
図8は、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における発電起動操作手順を示すフローチャートである。
図9は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における起動動作を示すタイミングチャートであり、システム制御装置100からシステム各部への制御指令のタイミング、及び燃料電池スタック1の平均セル電圧の時間的な変化を示している。以下には、この図9を参照して、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法による作用について説明する。
図10は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法による効果を示す図であり、起動操作1回の電圧上昇速度とカーボン腐食量の関係を示したものである。実施例2および比較例2として、燃料電池発電システムの起動操作時に、酸化剤を供給して、毎秒200mV以下(実施例2)と毎秒425mV(比較例2)という異なる電圧上昇速度で平均セル電圧を800mVまで上昇させた後、負荷に接続する起動方法をそれぞれ採用した燃料電池発電システムについて評価した。なお、実施例2の場合、電圧上昇速度は毎秒200mV以下であり、比較例2の場合、電圧上昇速度は毎秒425mVであった。また、図中、実施例2は●、比較例2は■で示した。
上述したように、本実施形態においては、電圧上昇速度が毎秒200mV以下となるように燃料電池に印加する直流電圧を設定する例について説明したが、図11及び図12に示すように、電圧をステップ状に上昇させた場合、上昇幅を800mV以下、より好ましくは300mV以下に設定することで、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
(3−1)構成
本実施形態は、上記第1実施形態の変形例であって、性能回復操作時の酸化剤供給停止時における燃料電池スタックの平均セル電圧の低下量を制御することによって、酸化剤極の電位分布量を低減するようにしたものである。
図13は、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法における性能回復操作手順を示すフローチャートである。
図14は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復操作方法における性能回復動作を示すタイミングチャートであり、システム制御装置100からシステム各部への制御指令のタイミング、及び燃料電池スタック1の平均セル電圧の時間的な変化を示している。以下には、この図14を参照して、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法による作用について説明する。
図15は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復操作方法による効果を示す図であり、性能回復操作1回のカーボン腐食量の比較を示したものである。ここで、カーボン腐食量はカーボン腐食に由来するカソード排出ガス中のCO2濃度により算出し、反応ガス中のCO2の影響を除去するために、カーボン腐食量の測定時には燃料極には水素、酸化剤極にはCO2を含まない空気を用いた。
(4−1)構成
本実施形態は、上記第1実施形態の変形例であって、性能回復操作時の酸化剤供給停止後の酸化剤供給再開時における燃料電池スタックの平均セル電圧の上昇速度を制御することによって、酸化剤極の電位分布量を低減するようにしたものである。
図17は、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法における性能回復操作手順を示すフローチャートである。
図18は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復操作方法における性能回復動作を示すタイミングチャートであり、システム制御装置100からシステム各部への制御指令のタイミング、及び燃料電池スタック1の平均セル電圧の時間的な変化を示している。以下には、この図18を参照して、本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法による作用について説明する。
図19は、以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの性能回復方法による効果を示す図であり、性能回復操作1回の電圧上昇速度とカーボン腐食量の関係を示したものである。実施例4および比較例4として、燃料電池発電システムの性能回復操作時における酸化剤の供給再開時に、毎秒200mV以下(実施例4)と毎秒425mV(比較例4)という異なる電圧上昇速度で平均セル電圧を800mVまで上昇させる性能回復方法をそれぞれ採用した燃料電池発電システムについて評価した。また、図中、実施例4は●、比較例4は■で示した。
なお、本実施形態で用いた燃料電池スタックのセル有効面積は100cm2であるが、有効面積が大きい場合には効果はより顕著となる。また電圧分布量の測定値としては±20mVの誤差を有している。
(5−1)構成
本実施形態は、上記第1実施形態の変形例であって、起動操作時の酸化剤供給開始時における燃料電池スタックの平均セル電圧の上昇速度を制御することによって、酸化剤極の電位分布量を低減するようにしたものである。
図20は、本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法における起動操作手順を示すフローチャートである。
以上のような本実施形態の燃料電池発電システムの起動方法によれば、燃料電池発電システムの発電起動過程で、酸化剤供給開始時における電圧上昇速度を200mV以下に抑えることにより、酸化剤濃度の高い酸化剤極入口付近の電位上昇速度は抑えられ、その結果として電位分布が抑制されるため、上記第4実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、酸化剤極の電位変化量、電位変化速度が抑制され、セル平面内の酸化剤極の電位勾配が是正されるので、これらに由来する微小な酸化剤極の腐食を抑制することができ、これによって、酸化剤極の触媒有効表面積の低下や、ガス拡散性の低下を防止し、燃料電池スタックの電圧低下を防ぐことができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な変形例が実施可能である。例えば、第1実施形態において発電起動操作手順について示した保持時間は一例にすぎず、適宜変更可能である。
1a…燃料電池スタック燃料極
1b…燃料電池スタック酸化剤極
2…改質装置
3…電気制御装置
4…空気ブロワ
5…交流系統電源
11…燃料供給ライン
12…燃料排出ライン
13…酸化剤供給ライン
14…酸化剤排出ライン
15…燃料極入口バルブ
16…燃料極出口バルブ
17…酸化剤極入口バルブ
18…酸化剤極出口バルブ
31…インバーター
32…制御装置
100…システム制御装置
Claims (4)
- 電解質を挟んで配置した燃料極と酸化剤極とを有する単電池を複数積層して構成される燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに供給する燃料及び酸化剤をそれぞれ制御する燃料流量制御手段及び酸化剤流量制御手段と、前記燃料電池スタックの負荷電流を制御する負荷電流制御手段を備えた燃料電池発電システムの起動方法において、
前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、水素リッチガスの供給をした状態で、酸素還元反応が生じるように酸化剤極から燃料極に外部回路を経由して所定値の直流電流を通電し、当該通電操作と同時またはそれ以降に平均セル電圧の電位上昇幅が所定値になるように酸化剤極に間欠的に空気を供給し、その後、再び酸化剤極に空気を供給するとともに酸化剤極から燃料極に外部回路を経由して流す直流電流を所定値に増大させることで、前記燃料電池スタックに発生する酸化剤極でのセル面内電位分布を800mV未満とすることを特徴とする燃料電池発電システムの起動方法。 - 前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、酸化剤供給開始時に水素リッチガスを供給した状態で前記燃料電池スタックに発生する酸化剤極でのセル面内電位分布を300mV以下とすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システムの起動方法。
- 電解質を挟んで配置した燃料極と酸化剤極とを有する単電池を複数積層して構成される燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに供給する燃料及び酸化剤をそれぞれ制御する燃料流量制御手段及び酸化剤流量制御手段と、前記燃料電池スタックの負荷電流を制御する負荷電流制御手段を備えた燃料電池発電システムを起動するためのプログラムにおいて、
前記燃料電池発電システムの発電開始過程で、
前記燃料流量制御手段により前記燃料極への燃料の供給を開始した状態で、前記酸化剤流量制御手段により酸化剤極への酸化剤を、平均セル電圧の電位上昇幅が所定値になるように間欠的に供給し、その後、再び酸化剤極に酸化剤を供給する酸化剤供給量制御操作と、
前記負荷電流制御手段により、前記燃料電池スタックに発生する酸化剤極でのセル面内電位分布が800mV未満となるように、前記酸化剤供給開始時に前記酸化剤極から燃料極へ外部回路を経由して所定値の直流電流を流し、その後定格電流値にまで増大させる直流電流を流す直流電流通電操作を、コンピュータに実現させることを特徴とする燃料電池発電システムの起動プログラム。 - 前記直流電流通電操作において、前記燃料電池スタックに発生する酸化剤極でのセル面内電位分布が300mV以下になるようにすることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池発電システムの起動プログラム。
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