JP4686958B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池システムに関する。この燃料電池システムは電気自動車等の移動用電源、あるいは据え置き用電源に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、固体高分子膜型の燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cells)が知られている。この燃料電池は、水素極(アノード極)と、この水素極に水素を含む燃料ガスを供給するための燃料室と、空気極(カソード極)と、この空気極に空気を供給するための空気室と、水素極及び空気極間に介在するイオン交換樹脂からなる電解質膜とを有している。また、この燃料電池では、水素極と空気極との間で電気化学反応を生じ、効果的に起電力を得るため、水素極及び空気極に各々反応層が形成され、各反応層には白金等の触媒が担持されている。
【0003】
この燃料電池は燃料供給手段、燃料排気手段及び燃料置換手段等とともに燃料電池システムを構成する。燃料供給手段により燃料室に燃料ガスが供給され、燃料排気手段により反応後の燃料ガスが排気され、燃料置換手段により燃料電池の起動時に燃料室内に残留する残留ガス又は空気が排出される。より詳細には、通常駆動時においては、燃料供給手段により燃料室に燃料ガスが供給されて電気化学反応を生じさせるとともに、燃料排気手段により反応後の燃料ガスが間欠的に排出され、これによって連続して起電力を得ることができる。また、停止時においては、燃料供給手段による燃料ガスの燃料室内への供給が停止されるとともに、燃料置換手段により燃料室内に残留する残留ガスが排出され、空気と置換されて、電気化学反応を停止させることができる。さらに、起動時においては、燃料供給手段により燃料室に燃料ガスが供給されるとともに、燃料置換手段により燃料室内の空気が排出されて、電気化学反応を開始することができる。こうして、この燃料電池システムでは、通常駆動の開始となる起動と、連続して起電力を得る通常駆動と、起電力を得ない停止とを繰り返すことができる。なお、駆動は起動と通常駆動とからなり、駆動時は起動時と通常駆動時とからなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の燃料電池システムにおいては、駆動と停止とを繰り返すと、燃料電池の空気極及び電解質膜が劣化しやすいことが明らかとなった。
【0005】
発明者らはこの原因を以下のように推測している。つまり、通常駆動時の燃料電池システムでは、水素極において、H 2 →2H++2eの反応を生じ、空気極において、O2+4H++4e→2H2Oの反応を生じ、水素極と空気極との間に起電力を生じる。ところが、その燃料電池システムを停止し、再び起動する起動時において、水素極に燃料ガスである水素とともに空気が存在すると、水素極における水素で満たされている面において、H 2 →2H++2eの反応を生じ、水素極における水素で満たされておらず、空気が残留している面において、1/2O2+2H++2e→H2Oの反応を生じる。その際、電解質内の酸性度が変化し、空気極においては、C+2H2O→CO2+4H++4e、Pt+2H2O→PtO+2H++2e、Pt→Pt2++2e、2H2O→O2+4H++4e等の反応を生じる。こうして、起動時、燃料電池内において局部電池が発生し、その結果、空気極側の白金の溶出と電解質膜の変色とが生じることにより、空気極が劣化すると考えられる。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、駆動と停止とを繰り返しても、燃料電池の空気極及び電解質膜が劣化し難い燃料電池システムを提供することを解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池システムは、水素極、該水素極に燃料ガスを供給するための燃料室、空気極、該空気極に空気を供給するための空気室並びに該水素極及び該空気極間に介在する電解質膜を有し、少なくとも該空気極に触媒が担持された固体高分子膜型の燃料電池と、
該燃料室と接続された燃料ガス供給流路を有し、該燃料電池に該燃料ガスを供給するための燃料供給手段と、
該燃料室と接続された燃料ガス排気流路を有し、連続して起電力を得る通常駆動時に該燃料電池で反応した後の該燃料ガスを排気する燃料排気手段と、
該燃料ガス排気流路が燃料ガス置換流路とされ、該燃料室内に残留する残留ガス又は残留空気を排出し、新たに供給される該燃料ガスと置換する燃料置換手段と、
該燃料供給手段、該燃料排気手段及び該燃料置換手段を制御する制御手段とを備え、
前記燃料置換手段は前記燃料室を負圧とするポンプを有し、
前記燃料ガス排気流路には、該ポンプが設けられ、
該ポンプの下流において、該燃料ガス置換流路は該燃料ガス排気流路よりも該通常駆動の開始となる起動時に流路の抵抗が小さくなるように構成され、
前記制御手段は、前記起動時に、該燃料置換手段が前記燃料ガス置換流路を開くとともに前記ポンプを駆動して該燃料室内に残留する前記残留ガス又は前記残留空気を排出し、次いで前記燃料供給手段が前記燃料ガス供給流路を開いて該燃料室に前記燃料ガスを供給することを特徴とする。
【0008】
本発明の燃料電池システムでは、起動時における燃料室内に残留している空気の排出速度が通常駆動時における燃料室内から排気される燃料ガスの排出速度より速くなるように排気流路が構成されているため、起動時において燃料置換手段により燃料室内の空気はごく短時間で排出される。また、この際、燃料供給手段により燃料室内に新たに燃料ガスが供給される。これにより、起動時において、水素極に残留していた空気もごく短時間で排出されるとともに、水素極が燃料ガスで迅速に満たされることになる。そのため、水素極に水素と空気とが存在する時間がほとんどなくなり、燃料電池内において局部電池が発生することを防止することができる。
【0009】
したがって、本発明の燃料電池システムは、駆動と停止とを繰り返しても、燃料電池の空気極及び電解質膜が劣化し難い。
【0010】
本発明の燃料電池システムでは、制御手段は、起動時における燃料室内から排気される残留空気の速度が通常駆動時における燃料室内から排気される燃料ガスの速度より速くなるように燃料置換手段を制御する。これにより、燃料電池内において局部電池が発生することを自動的に防止し、燃料電池の空気極及び電解質膜の劣化を自動的に防止することができる。
【0011】
この制御手段は、起動時に空気極の劣化を防止可能な置換率かつ時間で燃料室内から残留ガスを排出し、空気と置換するように燃料置換手段を制御する。これにより、燃料電池内において局部電池が発生することを確実に防止することができる。
【0012】
燃料置換手段は、電磁オンオフ弁と、この電磁オンオフ弁と並列に設けられた燃料ガス排気流路とを有していることができる。電磁オンオフ弁と並列に設けられた燃料ガス排気流路のみにより通常駆動時の反応後の燃料ガスを間欠的に排出し、この流路に加え電磁オンオフ弁をオンすることにより弁を開き、起動時の残留空気を排出することができる。電磁オンオフ弁に直列に燃料ガス置換流路が形成され、燃料ガス置換流路は燃料ガス排気流路よりも抵抗が小さくなるように設定されている。これにより、起動時の空気の排出速度が通常駆動時の燃料ガスの排出速度より多くなる。
【0013】
また、燃料置換手段は、電磁可変絞り弁を有していることもできる。電磁可変絞り弁を制御して、起動時の空気の排出速度を通常駆動時の残留ガスの排出速度より速くすることができるからである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の燃料電池システムを具体化した実施形態1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
(実施形態1)
実施形態1の燃料電池システムでは、図1に示す燃料電池スタック1(以下、単に「スタック」という。)が用いられる。このスタック1は、2枚のエンドプレート2a、2b間に図示しない集電板及び絶縁板を介して積層体10が挟持されたものである。積層体10は、図2に示すように、MEA(Membrane Electrode Assembly)11をセパレータ12で挟みながら順次積層したものである。MEA11は、イオン交換樹脂(「Nafion」(登録商標)デュポン(株)製)からなる電解質膜11aと、この電解質膜11aの一面に一体に形成されたカーボンからなる水素極(アノード)11bと、電解質膜11aの他面に一体に形成されたカーボンからなる空気極(カソード)11cとからなる。水素極11b及び空気極11cは電解質膜11aと一体の反応層を有し、各反応層には触媒としての白金が担持されている。全ての水素極11bは一方の集電板に電気的に接続され、全ての空気極11cは他方の集電板に電気的に接続されており、図1に示すように、両集電板の各端子1a、1bはスタック1から突出されている。
【0016】
図2に示すように、各セパレータ12の水素極11b側には燃料室12aが形成されており、燃料室12aによって燃料ガスが水素極11bに供給されるようになっている。他方、各セパレータ12の空気極11c側には空気室12bが形成されており、空気室12bによって空気が空気極11cに供給されるようになっている。燃料室12aは水平方向に開口されており、空気室12bは燃料室12aと直交する方向である垂直方向に開口されている。なお、積層体10の両端のセパレータ12には燃料室12a又は空気室12bだけが形成されている。こうして、一枚のMEA11と一対のセパレータ12とによって個々の燃料電池であるセル10aが構成されている。各セル10aの全ての燃料室12aは、図1に示すように、一方のエンドプレート2aに形成された燃料ガス導入口3及び他方のエンドプレート2bに形成された図示しない燃料ガス導出口に連通している。燃料ガス導入口3及び燃料ガス導出口は燃料供給手段の一部である。また、各セル10aの全ての空気室12bは上下に連通している。
【0017】
このスタック1では、代表セル10aの空気極11cの面内の電位を測定可能な電位センサ5が取付けられている。
【0018】
そして、このスタック1を図3に示すように構成し、燃料電池システムを組付ける。この燃料電池システムでは、スタック1の燃料ガス導入口3に水素供給流路20が接続され、燃料ガス導出口に水素排気流路30が接続されている。水素供給流路20には水素二次圧センサ21、水素供給電磁弁22、水素二次圧調整弁23、水素元電磁弁24、水素一次圧調整弁25及び水素一次圧センサ26を介して水素タンク27が接続されている。水素排気流路30には酸素濃度センサ31、水素濃度センサ32、リリーフ弁33、水素ポンプ34、逆止弁35、電磁オンオフ弁である起動電磁弁37、流路36、ガス排出電磁弁38及び消音器39が接続され、消音器39を介して外気に開放されている。また、水素排気流路30の水素ポンプ34と逆止弁35との間には循環路40が接続されており、循環路40は逆止弁41を介してスタック1の燃料ガス導入口3に接続されている。スタック1に接続された空気マニホールド51には空気供給路50が接続され、空気供給路50はフィルタ53を有する空気ファン52に接続されている。また、スタック1に接続された空気マニホールド51に配設されたノズル61には配管60が接続され、配管60は水供給ポンプ62を介して水位センサ64を有する水タンク63に接続されている。スタック1には空気排気流路70が接続され、空気排気流路70は排気温度センサ71、水凝縮器72、水回収ポンプ73及び逆止弁74を介して水タンク63に接続されている。これらのうち、水素供給流路20、水素二次圧センサ21、水素供給電磁弁22、水素二次圧調整弁23、水素元電磁弁24、水素一次圧調整弁25、水素一次圧センサ26及び水素タンク27が燃料室12a内に該燃料ガスを供給するための燃料供給手段である。また、水素排気流路30、酸素濃度センサ31、水素濃度センサ32、リリーフ弁33、水素ポンプ34、逆止弁35、流路36、起動電磁弁37、ガス排出電磁弁38及び消音器39は、燃料電池の起動時に燃料室12a内に残留する残留ガス又は残留空気を排出し、空気又は該燃料ガスと置換するための燃料置換手段としての機能と、通常駆動時に燃料室12aから排気される電池反応後の燃料ガスを間欠的に外部に排出する燃料排気手段としての機能との2つの機能を有するものである。燃料排気手段として機能する場合、水素ポンプ34により吸引された燃料排気ガスは流路36のみを通って外部に排出される。燃料置換手段として機能する場合、流路36に追加して起動電磁弁37を開けることにより、水素ポンプ34で吸引された残留空気等は起動電磁弁37及びこれに配設された流路36を通って、すなわち2つの流路を介して外部に排出される。したがって、2つの流路を有することにより、排気流路の抵抗は流路36のみを使用する場合よりも小さくなるので、残留ガスを排出するときの速度がより速くなる。
【0019】
また、この燃料電池システムでは、制御手段である制御装置80と燃料供給手段、燃料置換手段等とが電気的に接続されている。具体的には、制御装置80の図示しないコンピュータの入出力ポートがインターフェイスを介して燃料供給手段、燃料置換手段の水素二次圧センサ21、酸素濃度センサ31等と電気的に接続されている。また、制御装置80のコンピュータの入出力ポートはインターフェイスを介して燃料供給手段、燃料置換手段以外の電位センサ5、空気ファン52、水供給ポンプ62等とも電気的に接続されている。
【0020】
以上の構成をした燃料電池システムにおける動作の概要を説明する。この燃料電池システムでは、通常駆動時において、空気ファン52から空気室12bに空気が供給されるとともに、水素タンク27から燃料室12aに燃料ガスが供給される。これにより、空気極11cと水素極11bとの間で電気化学反応を生じさせ、起電力を得ることができる。この間、消音器39から大気に燃料室12a内の電池反応後の燃料ガスが間欠的に排出され、電気化学反応を連続的に生じさせている。また、水タンク63の水が空気マニホールド51のノズル61からスタック1内に噴射され、これにより空気極11cの乾燥が防止されるとともにスタック1が冷却される。さらに、スタック1から排出された水と空気は水凝縮器72に回収される。そして、空気は大気に放出され、水は水回収ポンプ73により水タンク63に回収される。
【0021】
また、停止時においては、水素タンク27から燃料室12aへの燃料ガスの供給が停止されるとともに、水素ポンプ34で燃料ガスを吸引して消音器39から大気に燃料室12a及び排気流路内に残留する燃料ガスが排出される。これにより、水素極11bの水素の濃度が低下し、電気化学反応を停止させることができる。
【0022】
さらに、起動時においては、空気ファン52から空気室12bに空気が供給されるとともに、水素タンク27から燃料室12aに燃料ガスが供給される。また、同時に消音器39から大気に燃料室12a内の空気が排出され、燃料室12a内の空気と燃料ガスとが置換される。これにより、空気極11cと水素極11bとの間で電気化学反応が開始される。こうして、この燃料電池システムでは、通常駆動の開始となる起動と、連続して起電力を得る通常駆動と、起電力を得ない停止とを繰り返すことができる。
【0023】
次に、この燃料電池システムにおける起動時の動作を詳細に説明する。この燃料電池システムに電源が投入されると、制御装置80のコンピュータにより処理が開始され、図4に示すプログラムが実行される。
【0024】
このプログラムが実行されると、まずステップS1において、燃料電池システムを初期化した後、イグニッション・スイッチがONされるまで待機する。イグニッション・スイッチがONされるとステップS3が実行される。ステップS3では、センサ類をONし、各センサからの検出値の入力を可能にする。ステップS3の実行後、ステップS5を実行する。
【0025】
ステップS5において、水素一次圧をチェックする。水素一次圧センサ26から入力した水素一次圧の検出値が設定圧(例えば1MPa)より大きい場合(YES)、水素タンク27に燃料ガスが十分充填されていると判断して、ステップS7を実行する。また、水素一次圧センサ26から入力した水素一次圧の検出値が設定圧以下である場合(NO)、水素タンク27の燃料ガスが不足していると判断して、ステップS9を実行する。
【0026】
ステップS7において、水タンク63の水量をチェックする。水位センサ64から入力した水量の検出値が所定値以上である場合(YES)、水量が十分であると判断して、ステップS11を実行する。また、水位センサ64から入力した水量の検出値が所定値より小さい場合(NO)、水量が不足していると判断して、ステップS9を実行する。
【0027】
ステップS9では、燃料電池システムを所定の出力状態とし、起動を停止する。水素タンク27の燃料ガスが不足していたり、水タンク63の水量が不足しているため、スタック1内で電気化学反応を開始させることができないからである。
【0028】
ステップS11では、水回収ポンプ73をONして、スタック1から水タンク63への水の回収を開始する。また、ステップS13では、水供給ポンプ62をONして、空気マニホールド51のノズル61からスタック1内に水を噴射する。同時に、水素元電磁弁24を開く。さらに、ステップS15では、空気ファン52をONし、大気よりフィルタ53を通して空気をスタック1に供給する。これにより、スタック1の空気室12bに空気と水とが供給される。ステップS15の実行後、ステップS17を実行する。
【0029】
ステップS17では起動電磁バルブ37及びガス排出電磁弁38を開き、ステップS19では水素ポンプ34をONする。これにより、スタック1の燃料室12a内が負圧になる。そして、ステップS21では水素供給電磁弁22を開く。これにより、燃料室12a内に燃料ガスが供給され、燃料室12a内の空気が燃料ガスで置換される。そして、空気極11cと水素極11bとの間で電気化学反応が開始される。ステップS23では、そのまま0.5秒待機して、空気極11cと水素極11bとの間の電気化学反応がある程度安定するのを待つ。0.5秒経過後、ステップS25を実行する。
【0030】
ステップS25において、図示しない電圧センサにより、燃料電池システム全体の出力電圧をチェックする。電圧センサから入力した出力電圧の検出値が所定値以上である場合(YES)、出力電圧が十分であると判断して、ステップS27を実行する。また、電圧センサから入力した出力電圧の検出値が所定値より小さい場合(NO)、出力電圧が不十分であると判断して、ステップS33を実行する。
【0031】
ステップS27において、燃料室12a内の水素濃度をチェックする。水素濃度センサ32から入力した水素濃度の検出値が95%以上である場合(YES)、燃料室12a内の水素濃度が十分であると判断して、ステップS29を実行する。また、水素濃度センサ32から入力した水素濃度の検出値が95%より小さい場合(NO)、燃料室12a内の水素濃度が不十分であると判断して、ステップS33を実行する。
【0033】
ステップS29において、スタック1から排出される残留ガスの酸素濃度をチェックする。酸素濃度センサ31から入力した酸素濃度の検出値が1%以下である場合(YES)、燃料室12a内に酸素ガスがほとんど残っていないと判断して、ステップS31を実行する。また、酸素濃度センサ31から入力した酸素濃度の検出値が1%より大きい場合(NO)、燃料室12a内には酸素ガスが残っていると判断して、ステップS33を実行する。
【0034】
ステップS31において、セル10aの空気極11cの局部電位をチェックする。全ての電位センサ5から入力した電圧の検出値が1.1V以下である場合(YES)、全てのセル10aについての局部電位が正常であると判断して、ステップS35を実行する。また、全ての電位センサ5から入力した電圧の検出値のうちの1つでも1.1Vより大きい場合(NO)、セル10aについての局部電位が異常であると判断して、ステップS33を実行する。
【0035】
ステップS33では警告灯を点灯し、ステップS35を実行する。燃料電池システム全体の出力電圧が不十分では、燃料電池システムから所定の出力が得られない虞があるためである。また、スタック1から排出される残留ガスの水素濃度が95%より小さかったり、酸素濃度が1%より大きい場合、燃料室12a内の空気が燃料ガスで十分には置換されていないと考えられるからである。さらに、各セル10aの空気極11cの局部電位のうちの1つでも1.1Vより大きい場合、その空気極11cが劣化する虞があるためである。なお、残留ガスの水素濃度及び酸素濃度をチェックすることにより燃料室12a全体のガス濃度を把握することができるが、各燃料室12a毎のガスの偏在の程度は把握することはできない。そのため、各セル10aの空気極11cの局部電位をチェックして、各燃料室12a毎のガスの偏在の程度を把握している。
【0036】
ステップS35では水素供給電磁弁22を閉じる。また、ステップS37では起動電磁バルブ37及びガス排出電磁弁38を閉じる。これにより、起動時のプログラムの実行が終了し、引き続いて通常駆動時のプログラムが実行される。
【0037】
実施形態1の燃料電池システムでは、起動時における燃料室12a内の空気の排出速度が通常駆動時における燃料室12a内の残留ガスの排出速度より速くなるように構成されている。つまり、通常駆動時において燃料室12a内の残留ガスは流路36のみを通って消音器39から大気に排出され、起動時において燃料室12a内の空気は流路36と起動電磁弁37との両方を通って消音器39から大気に排出される。そして、起動電磁弁37等は制御装置80によって制御されており、特に起動時においては空気極11cの劣化を防止可能な置換率かつ時間で燃料室12a内から残留ガスを排出し、空気と置換するように制御される。そのため、水素極11bに水素と空気とが存在する時間がほとんどなくなり、燃料電池内において局部電池が発生することを防止することができる。
【0038】
したがって、この燃料電池システムは、駆動と停止とを繰り返しても、燃料電池の空気極11c及び電解質膜11aが劣化し難い。このため、この燃料電池システムは優れた耐久性を発揮することができる。
【0039】
(実施形態2)
実施形態2の燃料電池システムでは、実施形態1と同様のスタック1を図5に示すように構成し、燃料電池システムを組付けている。この燃料電池システムでは、水素排気流路30には酸素濃度センサ31、水素濃度センサ32、リリーフ弁33、水素ポンプ34、逆止弁35、電磁可変絞り弁85、ガス排出電磁弁38及び消音器39が接続され、消音器39を介して外気に開放されている。この水素排気流路30、酸素濃度センサ31、水素濃度センサ32、リリーフ弁33、水素ポンプ34、逆止弁35、電磁可変絞り弁85、ガス排出電磁弁38及び消音器39が燃料室12a内に残留する残留ガス又は空気を排出し、空気又は該燃料ガスと置換するための燃料置換手段である。なお、実施形態1と同様の構成については同様の記号を用い、その説明を省略する。
【0040】
また、この燃料電池システムでは、実施形態1における起動電磁弁37の替わりに、電磁可変絞り弁85が制御手段である制御装置80に電気的に接続されている。その他の電気回路構成及びこの燃料電池システムの動作の概要は実施形態1と同様である。
【0041】
以上の構成をした燃料電池システムにおける起動時の処理プログラムを図6に示す。このプログラムでは、ステップS40において、ガス排出電磁弁38を開き、電磁可変絞り弁85を起動開度まで開く。また、ステップS42において、ガス排出電磁弁38を閉じ、電磁可変絞り弁85を通常開度まで絞る。その他のステップの処理内容は図4に示す実施形態1のプログラムの処理内容と同様であり、その説明を省略する。
【0042】
実施形態2の燃料電池システムでは、電磁可変絞り弁85を制御して、水素排出流路30の抵抗を可変とし、起動時の残留空気の排出速度を通常駆動時の排気される燃料ガスの排出速度より速くすることができる。その他の作用、効果は実施形態1と同様である。
【0043】
したがって、実施形態2の燃料電池システムも、駆動と停止とを繰り返しても、燃料電池の空気極11c及び電解質膜11aが劣化し難く、優れた耐久性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1、2の燃料電池システムに係る燃料電池スタックの分解斜視図である。
【図2】実施形態1、2の燃料電池システムに係る積層体の模式断面図である。
【図3】実施形態1の燃料電池システムに係る模式構成図である。
【図4】実施形態1の燃料電池システムに係る起動時の処理プログラムのフローチャートである。
【図5】実施形態2の燃料電池システムに係る模式構成図である。
【図6】実施形態2の燃料電池システムに係る起動時の処理プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
11b…水素極
12a…燃料室
11c…空気極
12b…空気室
11a…電解質膜
1、10a…燃料電池(1…スタック、10a…セル)
3、20、21、22、23、24、25、26、27…燃料供給手段(3…燃料ガス導入口、20…配管、21…水素二次圧センサ、22…水素供給電磁弁、23…水素二次圧調整弁、24…水素元電磁弁、25…水素一次圧調整弁、26…水素一次圧センサ、27…水素タンク)
30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、85…燃料置換手段(30…配管、31…酸素濃度センサ、32…水素濃度センサ、33…リリーフ弁、34…水素ポンプ、35…逆止弁、36…流路、37…電磁オンオフ弁(起動電磁弁)、38…ガス排出電磁弁、39…消音器、85…電磁可変絞り弁)
80…制御手段(制御装置)
Claims (5)
- 水素極、該水素極に燃料ガスを供給するための燃料室、空気極、該空気極に空気を供給するための空気室並びに該水素極及び該空気極間に介在する電解質膜を有し、少なくとも該空気極に触媒が担持された固体高分子膜型の燃料電池と、
該燃料室と接続された燃料ガス供給流路を有し、該燃料電池に該燃料ガスを供給するための燃料供給手段と、
該燃料室と接続された燃料ガス排気流路を有し、連続して起電力を得る通常駆動時に該燃料電池で反応した後の該燃料ガスを排気する燃料排気手段と、
該燃料ガス排気流路が燃料ガス置換流路とされ、該燃料室内に残留する残留ガス又は残留空気を排出し、新たに供給される該燃料ガスと置換する燃料置換手段と、
該燃料供給手段、該燃料排気手段及び該燃料置換手段を制御する制御手段とを備え、
前記燃料置換手段は前記燃料室を負圧とするポンプを有し、
前記燃料ガス排気流路には、該ポンプが設けられ、
該ポンプの下流において、該燃料ガス置換流路は該燃料ガス排気流路よりも該通常駆動の開始となる起動時に流路の抵抗が小さくなるように構成され、
前記制御手段は、前記起動時に、該燃料置換手段が前記燃料ガス置換流路を開くとともに前記ポンプを駆動して該燃料室内に残留する前記残留ガス又は前記残留空気を排出し、次いで前記燃料供給手段が前記燃料ガス供給流路を開いて該燃料室に前記燃料ガスを供給することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記制御手段は、前記燃料供給手段が前記燃料室に前記燃料ガスを供給した後、燃料電池システム全体の出力電圧をチェックすることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
- 前記制御手段は、前記燃料供給手段が前記燃料室に前記燃料ガスを供給した後、前記燃料室内の水素濃度をチェックすることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池システム。
- 前記制御手段は、前記燃料供給手段が前記燃料室に前記燃料ガスを供給した後、前記残留ガスの酸素濃度をチェックすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の燃料電池システム。
- 前記制御手段は、前記燃料供給手段が前記燃料室に前記燃料ガスを供給した後、前記空気極の局部電位をチェックすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の燃料電池システム。
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