JP2004172106A - 燃料電池システムの運転方法および燃料電池システム - Google Patents

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Shinya Kosako
慎也 古佐小
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Shinichi Arisaka
伸一 有坂
Takayuki Urata
▲たか▼行 浦田
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一仁 羽藤
Hiroki Kusakabe
弘樹 日下部
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Abstract

【課題】 燃料電池が停止起動を繰り返す場合であっても、燃料電池の劣化を回避することができる燃料電池システムの運転方法、およびその方法を実施するための燃料電池システムの提供。
【解決手段】 電解質と、前記電解質を挟む、白金系の金属触媒を有するアノードおよびカソードと、前記アノードに燃料ガスを供給し、前記カソードに酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成された一対のセパレータ板とを具備したセルを少なくとも一つ有する燃料電池を備え、前記燃料電池と負荷との間の接続/切断を切り替える燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池と前記負荷との間が切断されてから所定時間経過するまで、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を継続させ、酸化剤ガスの供給を停止した後に燃料ガスの供給を停止することにより、前記燃料電池のセルの電圧が0.9V以上となる時間が10分以内になるように制御する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、高分子電解質を用いた燃料電池を備える燃料電池システムの運転方法に関し、特に燃料電池の起動停止に伴って生じる燃料電池の劣化を抑制することができる燃料電池システムの運転方法、およびその方法を実施するための燃料電池システムに関する。
高分子電解質を用いた燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、酸素を含有する空気などの酸化剤ガスとを、電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させる。図1は、固体高分子電解質型燃料電池の単電池(セル)が備えるMEA(電解質膜電極接合体)の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜11の両面に、白金(Pt)系の金属触媒を炭素粉末に担持させて得られる触媒体と水素イオン伝導性高分子電解質との混合物で構成される触媒層12が配置される。
現在、高分子電解質膜11としては、パーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion膜など)が一般的に使用されている。
触媒層12の外面には、通気性および電子伝導性を併せ持つ、例えば撥水処理を施したカーボンペーパーで構成されるガス拡散層13が形成されている。この触媒層12とガス拡散層13とを合わせて電極14と呼ぶ。なお、以下では適宜、燃料ガスが供給される電極14をアノードと呼び、酸化剤ガスが供給される電極14をカソードと呼ぶ。
高分子電解質膜11に対して供給する燃料ガスおよび酸化剤ガスが外部へリークすることを防止するため、および前記2種類のガスが混合することを防止するために、電極14の周囲には高分子電解質膜11を挟んでガスシール材およびガスケットが配置される。このシール材およびガスケットは、電極14および高分子電解質膜11と一体化されており、これらすべてを組み合わせたものがMEA15と呼ばれる。
図2は、図1に示すMEAを備えるセルの構成を模式的に示す断面図である。 図2に示すように、MEA15の外側には、MEA15を機械的に固定するための導電性のセパレータ板16が配置される。これらのセパレータ板16のMEA15と接触する側の面には、電極14に反応ガスを供給し、生成ガスおよび余剰ガスを運び去るためのガス流路17が形成される。なお、ガス流路はセパレータ板とは別に設けることもできるが、セパレータ板の表面に溝を設けてガス流路を形成する方式が一般的である。
このように、一対のセパレータ板16でMEA15を固定し、片側のガス流路17に燃料ガスを供給し、他方のガス流路17に酸化剤ガスを供給することで、数十から数百mA/cmの実用電流密度通電時において一つのセルで0.7〜0.8V程度の起電力を発生させることができる。しかし、通常、燃料電池を電源として使うときは、数ボルトから数百ボルトの電圧が必要とされるため、実際には、セルを必要とする個数だけ直列に連結することになる。
ガス流路にガスを供給するためには、外部から供給されるガスが通流する配管を、セパレータ板16の枚数に対応する数に分岐させ、その分岐先を直接セパレータ板16上の溝につなぎ込む配管用の治具が必要となる。この治具をマニホールドと呼び、特に上記のようなガスを供給するための配管からセパレータ板16の溝に直接つなぎ込むタイプのマニホールドを外部マニホールドと呼ぶ。また、このマニホールドには、構造をより簡単にした内部マニホールドと呼ばれる形式のものがある。内部マニホールドとは、ガス流路が形成されたセパレータ板に、貫通した孔を設け、ガス流路の出入り口をこの孔まで通し、この孔から直接ガスをガス流路に供給するものである。
次に、前述したガス拡散層13および触媒層12の機能について説明する。ガス拡散層13は、主に次の3つの機能を有する。第一の機能は、ガス拡散層13の外面に位置するガス流路から、触媒層12中の触媒へ、均一に燃料ガスまたは酸化剤ガスなどの反応ガスを供給するために、反応ガスを拡散させる機能である。第二の機能は、触媒層12にて反応により生成した水をセパレータ板16に形成されたガス流路に速やかに排出する機能である。第三の機能は、反応に必要な電子または生成される電子を伝導する機能である。したがって、ガス拡散層13には、高い反応ガス透過性、水分排出性、および電子伝導性が必要となる。
一方、触媒層12は、主に次の4つの機能を有する。第一の機能は、ガス拡散層13から供給された燃料ガスまたは酸化剤ガスなどの反応ガスを、触媒層12の反応サイトに供給する機能である。第二の機能は、触媒上の反応に必要な水素イオンまたは生成される水素イオンを伝導する機能である。第三の機能は、触媒上の反応に必要な電子または生成される電子を伝導する機能である。第四の機能は、高い触媒性能を有することによって電極反応を促進させる機能である。したがって、触媒層12には、高い反応ガス透過性、水素イオン伝導性、電子伝導性、および触媒性能が必要となる。
図3はMEAの詳細な構成を模式的に示す断面図である。ガス拡散層13は、一般的に、発達したストラクチャーを有する炭素微粉末、造孔材、カーボンペーパーおよびカーボンクロスなどの導電性多孔質基材を用いて構成されている。これにより、ガス拡散層13は多孔質構造となり、その結果高い反応ガス透過性が得られる。
また、ガス拡散層13の中に、フッ素樹脂を代表とする撥水性高分子などを分散させることが一般的に行われている。その結果、高い水分排出性が得られる。
さらに、ガス拡散層13は、カーボン繊維105、金属繊維および炭素微粉末などの電子伝導性材料を用いて構成されるのが一般的である。これにより、高い電子伝導性が得られる。
一方、触媒層12中の触媒坦体104には、一般的に、発達したストラクチャーを有する炭素微粉末および造孔材が用いられる。これにより、触媒層12は多孔質構造となり、ガスチャネル107が形成されるため、高い反応ガス透過性が得られる。
また、触媒層12中の触媒103の近傍に高分子電解質102を分散させることにより水素イオンネットワーク108を形成させることが一般的に行われている。これにより、高い水素イオン伝導性が得られる。
また、触媒層12中の触媒坦体104に、炭素微粉末または炭素繊維などの電子伝導性材料を用いることが一般的である。これにより、電子チャネル106が形成されるため、高い電子伝導性が得られる。
さらに、触媒103として、Ptに代表される反応活性の高い金属触媒を用い、この金属触媒を、粒径が数nmの非常に微細な粒子として炭素微粉末上に担持させ、得られた触媒体を触媒層12に高分散させることが行われている。これにより、触媒層12の触媒性能を向上させることが可能となる。
以上のように構成された燃料電池が0.9Vを超える開回路状態に近い非常に高い電圧を保持していることに伴なって、カソードが高電位状態となっている場合、カソードのPt触媒の溶出、およびシンタリング(Ptの粒子拡大)によるPt触媒の反応面積の減少という問題が発生することがわかっている。
また、同様にして燃料電池が開回路状態に近い非常に高い電圧を保持している場合、高分子電解質が分解するという問題も発生する。これは次のような理由によるものと考えられる。
水素と酸素とを反応種とする燃料電池の開回路電圧は、理論的には1.23Vとされている。しかし、実際の開回路電圧は、アノードおよびカソードのそれぞれの極における不純物および吸着種との混成電位によることになり、約0.93V〜1.1Vとなる。また、高分子電解質膜中に水素および酸素が若干拡散されていることに起因して、開回路電圧が理論値よりも低下することになる。アノードの電位は、極端な金属種などの不純物の溶解がないとすると、カソードの吸着種による影響が大きく、非特許文献1に記述されているように反応式1から反応式5に示されるような化学反応の混成電位になると考えられている。なお、反応式に対応して示されている電圧は、当該反応式が示す反応が起きたときのSHEに対する標準電極電位を示している。このようにアノードの電位が高い場合、水酸化ラジカル(OH・)、スーパーオキシド(O ・)、および水素ラジカル(H・)が高濃度に発生した状態となり、これらラジカル類が高分子電解質の反応性の高い部分をアタックし、高分子電解質を分解させると考えられる。
(化1)
+4H+4e=2HO 1.23V
(化2)
PtO+2H+2e=Pt(OH) 1.11V
(化3)
Pt(OH)+2H+2e=Pt+2HO 0.98V
(化4)
PtO+2H+2e=Pt+HO 0.88V
(化5)
+2H+2e=H 0.68V
前述したような燃料電池が開回路電圧になることにより発生する問題を回避するために、従来からいくつかの燃料電池システムの運転方法が提案されている。
例えば、外部負荷とは別に燃料電池システム内に電力を消費する電力消費手段を設けておき、燃料電池が発電を開始してから、燃料電池と外部負荷とが接続されるまでの間、燃料電池と前記電力消費手段とを接続しておくことによって、燃料電池において生成された電力が前記電力消費手段によって消費され、その結果燃料電池が開回路電圧になることを回避することができる燃料電池システムの運転方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、燃料電池システム内に開回路電圧を抑制するための放電手段を設けることにより、燃料電池が開回路電圧になることを回避することができる燃料電池システムの運転方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
これらの燃料電池システムの運転方法により、前述したようなカソードにおけるPt触媒の溶出およびシンタリングによる触媒の反応面積の減少を回避することができる。また、ラジカル類が生成されることにより高分子電解質が分解される事態を回避することができる。
特開平5−251101号公報 特開平8−222258号公報 H. Wroblowa, et al., J. Electroanal. Chem., 15, p139-150 (1967), "Adosorption and Kinetics at Platinum Electrodes in The Presence of Oxygen at Zero Net Current"
しかしながら、前述したような燃料電池が開回路電圧になることを回避する燃料電池システムの運転方法の場合、燃料電池は常に発電した状態にある。しかしながら、メタンを主成分とする都市ガスなどの原料ガスを用いる家庭用の燃料電池システムの場合、光熱費を抑制するために、電気消費量の少ない時間帯は発電を停止し、電気消費量の多い時間帯に発電を行うように燃料電池の動作を制御することが望ましい。例えば、昼間は発電して深夜は発電を停止するDSS(Daily Start-up & Shut-down)運転は、光熱費の増大を回避することができる。したがって、発電状態と非発電状態とを繰り返すように燃料電池の動作が制御されることが望ましく、そのような動作パターンにおいても燃料電池が開回路電圧になることを回避できるような燃料電池システムの運転方法が望ましい。
また、燃料電池の停止時に、窒素等の不活性ガスを充填して電極の酸化を防いだり、供給ガスをフィルターを通して供給したりすることにより、ガス中の汚染物質を減らすことが可能であるが、このような方法では、発電電圧低下を延命することはできても、一旦低下した電圧を復活させることはできない。また、延命効果はあるものの本質的には、いつかは電圧が低下してしまう。
さらに、フィルターを通してガスを供給する場合、定期的なフィルターの交換が必要であり、フィルター交換の手間や費用が掛かるという問題がある。さらに、フィルターの圧力損失分だけ、余計にコンプレッサーやブロアーのエネルギーが必要となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料電池が発電を停止させる場合に、燃料電池の電圧を制御することにより、燃料電池の耐久性を向上させることができる燃料電池システムの運転方法、およびその方法を実施するための燃料電池発電システムを提供することにある。
前述した課題を解決するために、本発明の燃料電池システムの運転方法は、電解質と、前記電解質を挟む、白金系の金属触媒を有するアノードおよびカソードと、前記アノードに燃料ガスを供給し、前記カソードに酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成された一対のセパレータ板とを具備したセルを少なくとも一つ有する燃料電池を備え、前記燃料電池と負荷との間の接続/切断を切り替える燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池と前記負荷との間が切断されてから所定時間経過するまで、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を継続させ、その後酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止することにより、前記燃料電池のセルの電圧が0.9V以上となる時間が10分以内になるように制御することを特徴とする。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池と前記負荷との間が切断されてから所定時間経過するまで、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を継続させ、その後略同時に酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止することが好ましい。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池と前記負荷との間が切断されてから所定時間経過するまで、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を継続させ、その後酸化剤ガスの供給を停止した後に燃料ガスの供給を停止することが好ましい。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池と前記負荷との間が切断されてから所定時間経過するまで、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を継続させ、その後燃料ガスの供給を停止した後に酸化剤ガスの供給を停止することが好ましい。
また、本発明の燃料電池システムの運転方法は、電解質と、前記電解質を挟む、白金系の金属触媒を有するアノードおよびカソードと、前記アノードに燃料ガスを供給し、前記カソードに酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成された一対のセパレータ板とを具備したセルを少なくとも一つ有する燃料電池を備え、前記燃料電池と負荷との間の接続/切断を切り替える燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池と前記負荷との間が切断される前に、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給の少なくとも何れか一方を停止し、その後前記燃料電池と前記負荷との間を切断することを特徴とする。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池と前記負荷との間が切断される前に、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を停止し、その後前記燃料電池と前記負荷との間を切断することが好ましい。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池と前記負荷との間が切断される前に、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給を停止し、その後前記燃料電池と前記負荷との間を切断し、その後前記アノードに対する燃料ガスの供給を停止することが好ましい。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池と前記負荷との間が切断される前に、前記アノードに対する燃料ガスの供給を停止し、その後前記燃料電池と前記負荷との間を切断し、その後前記カソードに対する酸化剤ガスの供給を停止することが好ましい。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池と前記負荷との間が切断される前であって、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給の少なくとも何れか一方が停止された後に、前記燃料電池のセルの電圧が所定の下限電圧まで低下したときに前記燃料電池と前記負荷との間を切断し、その後前記燃料電池のセルの電圧が所定の上限電圧まで上昇したときに前記燃料電池と前記負荷との間を接続し、その後前記燃料電池のセルの電圧が所定の下限電圧まで低下したときに前記燃料電池と前記負荷との間を切断するステップと、前記燃料電池のセルの電圧が所定の上限電圧まで上昇したときに前記燃料電池と前記負荷との間を接続するステップとを、前記燃料電池のセルの電圧が所定の上限電圧に達しなくなるまで繰り返すことが好ましい。
また、本発明の燃料電池システムは、電解質と、前記電解質を挟む、白金系の金属触媒を有するアノードおよびカソードと、前記アノードに燃料ガスを供給し、前記カソードに酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成された一対のセパレータ板とを具備したセルを少なくとも一つ有する燃料電池と、前記アノードに対する燃料ガスの供給、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給、および前記燃料電池と負荷との間の接続/切断の切替を制御する制御装置とを備えた燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、前記燃料電池と前記負荷との間を切断してから所定時間経過するまで、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を継続させ、その後酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止させることにより、前記燃料電池のセルの電圧が0.9V以上となる時間が10分以内になるように制御するように構成されていることを特徴とする。
さらに、本発明の燃料電池システムは、電解質と、前記電解質を挟む、白金系の金属触媒を有するアノードおよびカソードと、前記アノードに燃料ガスを供給し、前記カソードに酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成された一対のセパレータ板とを具備したセルを少なくとも一つ有する燃料電池と、前記アノードに対する燃料ガスの供給、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給、および前記燃料電池と負荷との間の接続/切断の切替を制御する制御装置とを備えた燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、前記燃料電池と前記負荷との間を切断する前に、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給の少なくとも何れか一方を停止し、その後前記燃料電池と前記負荷との間を切断するように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池システムの運転方法は、電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備した燃料電池を備える燃料電池システムの運転方法であって、燃料電池の電圧がしきい値電圧以下に下がった場合または前回の復活操作から一定時間が経過した後に、酸素極側の電位を下げる復活操作を行うことを特徴とする。
また、本発明の燃料電池システムは、電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備するセルを複数個有する燃料電池を備える燃料電池システムの運転方法であって、特定の1つまたは複数のセルの酸素極側の電位を下げる復活操作を行い、前記セルの電圧が復活した後に、順次別のセルの復活操作を行うことを特徴とする。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、復活操作が、酸素極側の酸素含有ガス供給量を減らして発電を継続し、セル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に酸素含有ガスの供給量を増やすことが好ましい。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、復活操作が、酸素含有ガスの供給を止めて発電を継続し、セル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、酸素含有ガスの供給を再開することが好ましい。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、復活操作が、酸素極側に不活性ガスまたは炭化水素ガスを供給してセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、酸素含有ガスの供給を再開することが好ましい。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、復活操作が、酸素極側に酸素含有ガスの代わりに水を供給してセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、酸素含有ガスの供給を再開することが好ましい。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、復活操作が、酸素極側に還元剤を供給してセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、酸素含有ガスの供給を再開することが好ましい。
また、前記発明に係る燃料電池システムの運転方法において、復活操作が、燃料電池の負荷を増やしてセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、負荷を減らすことが好ましい。
また、本発明の燃料電池システムの運転方法は、電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備した燃料電池を備える燃料電池システムの運転方法であって、燃料電池の運転を停止させた後に、酸素極側の電位を下げる復活操作を行うことを特徴とする。
また、本発明の燃料電池システムは、電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備するセルのスタックを有する燃料電池システムであって、セルまたはスタックの電圧を検出する電圧検出手段、および前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて前記セルまたはスタックへの酸素含有ガスの供給を制御する制御手段を有する。
また、本発明の燃料電池システムは、電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備するセルのスタックを有する燃料電池システムであって、セルまたはスタックの電圧を検出する電圧検出手段、前記セルまたはスタックに水を供給する供給手段、および前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて前記供給手段を制御する制御手段を有する。
また、本発明の燃料電池システムは、電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備するセルのスタックを有する燃料電池システムであって、セルまたはスタックの電圧を検出する電圧検出手段、前記セルまたはスタックに酸素含有ガスの代わりに不活性ガス、炭化水素ガス、または還元剤を供給する供給手段、および前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて前記供給手段を制御する制御手段を有する燃料電池システム。
また、本発明の燃料電池システムは、電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備するセルのスタックを有する燃料電池システムであって、セルまたはスタックの電圧を検出する電圧検出手段、前記セルまたはスタックの電流を増減する電流増減手段、および前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて前記電流増減手段を制御する制御手段を有する。
本発明の燃料電池システムの運転方法およびその方法を実施するための燃料電池システムは、燃料電池が発電状態と非発電状態とを繰り返す場合であっても、燃料電池の劣化を回避することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムは、負荷が停止した後に、酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を略同時に停止することによって、燃料電池の劣化を回避するものである。
図4は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成の一例を示すブロック図である。図4において、301は燃料電池スタックを示している。この燃料電池スタック301は、複数のセル31,31…が積層されて構成されている。各セル31は、一対の電極であるアノード32とカソード33とを備えており、直列に接続されている。
なお、燃料電池スタック301の構成は、通常の高分子電解質型の燃料電池スタックと同様である。したがって、各セル31のアノード32とカソード33との間には高分子電解質膜が配置されている。また、アノード32およびカソード33はガス拡散層および触媒層からなり、触媒層はPt触媒を有している。
燃料電池スタック301は、負荷306、および各セル31の電圧を検知するためのセル電圧検知装置304と接続されている。
また、各セル31のアノード32は、燃料ガスの供給を制御するための燃料ガス制御装置302と接続されている。一方、各セル31のカソード33は、酸化剤ガスの供給を制御するための酸化剤ガス制御装置303と接続されている。
さらに、各セル31のアノード32は、窒素などの不活性ガスの供給を制御するための不活性ガス制御装置307と接続されている。後述するように、本実施の形態の燃料電池システムでは、負荷306が停止した後に、アノード32に対して不活性ガスによるパージが行われる。
前述した燃料ガス制御装置302、酸化剤ガス制御装置303、セル電圧検知装置304、負荷306、および不活性ガス制御装置307は、制御装置305と接続されている。
制御装置305は、適宜のタイミングで燃料ガスの供給の開始/停止を行うために、燃料ガス制御装置302の動作を制御する。同様にして、適宜のタイミングで酸化剤ガスの供給の開始/停止を行うために、制御装置305は酸化剤ガス制御装置303の動作を制御する。
また、制御装置305は、燃料電池スタック301と負荷306との接続/切断を切り替える。
次に、以上のように構成された本実施の形態の燃料電池システムの燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止するタイミングについて説明する。
図5は、燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。図5において、(a)はカソード33に対する酸化剤ガスの供給を酸化剤ガス制御装置303が停止するタイミングを、(b)はカソード33に対して供給される酸化剤ガスの量の変化をそれぞれ示している。一方、図5において、(c)はアノード32に対する燃料ガスの供給を燃料ガス制御装置302が停止するタイミングを、(d)はアノード32に対して供給される燃料ガスの量の変化をそれぞれ示している。また、図5において、(e)はセル31の電圧の変化を、(f)はカソード33の電位の変化をそれぞれ示している。なお、ここでカソード33の電位は、可逆水素電極(RHE)に対する値を用いている。
図5(a)に示すとおり、本実施の形態では、燃料電池スタック301と負荷306とが切断されてから、すなわち負荷306が停止してから所定の時間Taが経過するまでカソード33に対して酸化剤ガスの供給を行うように、制御装置305が酸化剤ガス制御装置303の動作を制御する。この場合、図5(b)に示すように、カソード33への酸化剤ガスの供給量は、酸化剤ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
一方、図5(c)に示すとおり、負荷306が停止してから所定の時間Tcが経過するまでアノード32に対して燃料ガスの供給を行うように、制御装置305が燃料ガス制御装置302の動作を制御する。この場合、図5(d)に示すように、アノード32への燃料ガスの供給量は、燃料ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
本実施の形態の場合、時間Taと時間Tcとは略同一である。そのため、負荷306が停止した後、カソード33に対する酸化剤ガスの供給およびアノード32に対する燃料ガスの供給が略同じ時間行われることになる。
以上のように酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給が行われた場合、図5(e)に示すように、セル31の電圧は、負荷306が起動しているときの電圧V1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して開回路電圧V2(0.9Vを超える値)となる。その後セル31の電圧は、時間Tvの間、開回路電圧V2の値を維持する。そして、酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給が停止した後、セル31の電圧は徐々に減少し、最終的には0〜0.2V程度の電圧V3となる。
このときのカソード33の電位は、図5(f)に示すように、セル31の電圧と同様に変化する。すなわち、負荷306が起動しているときの電位Vc1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して開回路電位Vc2(0.9Vを超える値)となる。その後カソード33の電位は、時間Tvcの間、開回路電位Vc2の値を維持する。そして、酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給が停止した後、カソード33の電位は徐々に減少し、最終的には0〜0.2V程度の電位Vc3となる。
以上のようなタイミングで燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給を停止することにより、各セル31において高分子電解質膜を透過した水素イオンによってカソード33の電位を低下させることができる。その結果、カソード33において酸化Ptの還元および吸着した酸化種の除去が進行し、触媒層の触媒活性が回復することになる。
なお、図5(f)に示すように、本実施の形態の場合、カソード33の電位が時間Tvcだけ開回路電位となるため、カソード33のPt触媒の溶出、シンタリングによる触媒反応面積の減少、Ptの酸化、および酸化種の吸着による反応面積の減少などの問題が生じる。また、前述したようにラジカル類が高濃度に発生した状態となり、燃料電池スタック301が有する高分子電解質の分解が生じることになる。
しかしながら、時間Tvcが可及的に短くなるように、前述した時間TcおよびTaを定めることによって、そのようなPt触媒の劣化、高分子電解質の分解を抑制することができる。Ptの溶出速度、カソード33の厚みなどによって時間Tvの値は異なるが、一般的には10分以内、好ましくは1分以内であることが望ましい。
そこで、本実施の形態では、セル31の電圧が0.9V以上になる時間Tvが1分以内となるように、制御装置305が前述した時間TcおよびTaを制御する。これにより、時間Tvcも同様に10分以内となり、Pt触媒の劣化、高分子電解質の分解を効果的に抑制することができる。
本実施の形態の場合、時間Tvが経過した後、各セル31のアノード32に対して不活性ガスを用いてパージを行うように制御装置305が不活性ガス制御装置307の動作を制御する。このようにパージを行うことによって、Ptの酸化を防止することができ、かつ燃料電池スタック301を安全に停止させることができる。
なお、本実施の形態では、窒素などの不活性ガスを用いてアノード32に対するパージを実行しているが、これに限定されるわけではなく、例えば炭化水素ガスまたは還元剤を用いてパージを実行するようにしてもよい。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムは、負荷が停止した後に、酸化剤ガスの供給と比べて燃料ガスの供給をより長く行うことによって、燃料電池の劣化を回避するものである。
なお、本実施の形態の燃料電池システムの構成は実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。以下、図4を参照しながら、本実施の形態の燃料電池システムの燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止するタイミングについて説明する。
図6は、燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。図6における(a)〜(f)は図5における(a)〜(f)と同様である。
図6(a)に示すとおり、本実施の形態では、燃料電池スタック301と負荷306との間が切断されてから、すなわち負荷306が停止してから所定の時間Tcが経過するまでカソード33に対して酸化剤ガスの供給を行うように、制御装置305が酸化剤ガス制御装置303の動作を制御する。この場合、図6(b)に示すように、カソード33への酸化剤ガスの供給量は、酸化剤ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
一方、図6(c)に示すとおり、負荷306が停止してから所定の時間Taが経過するまでアノード32に対して燃料ガスの供給を行うように、制御装置305が燃料ガス制御装置302の動作を制御する。この場合、図6(d)に示すように、アノード32への燃料ガスの供給量は、燃料ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
本実施の形態の場合、時間Taは、時間Tcと比べて長い時間となっている。すなわち、負荷306が停止した後、時間Tcが経過したときにカソード33に対する酸化剤ガスの供給が停止し、その後時間Taが経過したときにアノード32に対する燃料ガスの供給が停止することになる。そのため、時間Taから時間Tcを減じた時間Ta−Tcの間、アノード32に対してのみガスの供給が行われる。
以上のように酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給が行われた場合、図6(e)に示すように、セル31の電圧は、負荷306が起動しているときの電圧V1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して開回路電圧V2(0.9Vを超える値)となる。その後セル31の電圧は、時間Tvの間、開回路電圧V2の値を維持する。そして、酸化剤ガスの供給が停止した後、セル31の電圧は徐々に減少し、最終的には0〜0.2V程度の電圧V3となる。
このときのカソード33の電位は、図6(f)に示すように、セル31の電圧と同様に変化する。すなわち、負荷306が起動しているときの電位Vc1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して開回路電位Vc2(0.9Vを超える値)となる。その後カソード33の電位は、時間Tvcの間、開回路電位Vc2の値を維持する。そして、酸化剤ガスの供給が停止した後、カソード33の電位は徐々に減少し、最終的には0〜0.2V程度の電位Vc3となる。
以上のようなタイミングで燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給を停止することにより、実施の形態1の場合と同様に、各セル31において高分子電解質膜を透過した水素イオンによってカソード33の電位を低下させることができる。その結果、カソード33において酸化Ptの還元および吸着した酸化種の除去が進行し、触媒層の触媒活性が回復することになる。
本実施の形態では、時間Tv経過後のセル31の電圧の低下、および時間Tvc経過後のカソード33の電位の低下が、実施の形態1の場合と比べてより速く進む。これは、本実施の形態の場合では酸化剤ガスの供給が停止された後も燃料ガスの供給が継続されるために燃料ガス中の水素濃度が維持されるので、水素イオンが高分子電解質膜を拡散透過する速度が実施の形態1の場合と比べて高くなり、その結果カソード33の電位の低下が速まるためである。
なお、時間Tvが可及的に短くなるように、具体的には1分以内となるように、前述した時間TcおよびTaを定めることによって、Pt触媒の劣化、高分子電解質の分解を抑制することができることは、実施の形態1の場合と同様である。
また、アノード32に対して不活性ガスによるパージを実行する点についても実施の形態1の場合と同様である。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムは、負荷が停止した後に、燃料ガスの供給と比べて酸化剤ガスの供給をより長く行うことによって、燃料電池の劣化を回避するものである。
なお、本実施の形態の燃料電池システムの構成は実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。以下、図4を参照しながら、本実施の形態の燃料電池システムの燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止するタイミングについて説明する。
図7は、燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。図7における(a)〜(f)は図5における(a)〜(f)と同様である。
図7(a)に示すとおり、本実施の形態では、燃料電池スタック301と負荷306との間が切断されてから、すなわち負荷306が停止してから所定の時間Tcが経過するまでカソード33に対して酸化剤ガスの供給を行うように、制御装置305が酸化剤ガス制御装置303の動作を制御する。この場合、図7(b)に示すように、カソード33への酸化剤ガスの供給量は、酸化剤ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
一方、図7(c)に示すとおり、負荷306が停止してから所定の時間Taが経過するまでアノード32に対して燃料ガスの供給を行うように、制御装置305が燃料ガス制御装置302の動作を制御する。この場合、図7(d)に示すように、アノード32への燃料ガスの供給量は、燃料ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
本実施の形態の場合、時間Tcは、時間Taと比べて長い時間となっている。すなわち、負荷306が停止した後、時間Taが経過したときにアノード32に対する燃料ガスの供給が停止し、その後時間Tcが経過したときにカソード33に対する酸化剤ガスの供給が停止することになる。そのため、時間Tcから時間Taを減じた時間Tc−Taの間、カソード33に対してのみガスの供給が行われる。
以上のように酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給が行われた場合、図7(e)に示すように、セル31の電圧は、負荷306が起動しているときの電圧V1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して開回路電圧V2(0.9Vを超える値)となる。その後セル31の電圧は、時間Tvの間、開回路電圧V2の値を維持する。そして、燃料ガスの供給が停止した後、セル31の電圧は徐々に減少し、最終的には0〜0.2V程度の電圧V3となる。
このときのカソード33の電位は、図7(f)に示すように、負荷306が起動しているときの電位Vc1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して開回路電位Vc2(0.9Vを超える値)となる。その後もカソード33に対して酸化剤ガスの供給が継続されるため、カソード33の電位は、開回路電位Vc2の値を維持する。
なお、図7(e)に示すように、時間Tvが経過した後にセル31の電圧が低下するのは、燃料ガスの水素濃度が低下するに伴ってアノード32の電位が上昇するからである。この場合のセル31の電圧の低下は、実施の形態1および実施の形態2の場合と比べて緩やかに進むことになる。
本実施の形態において、時間Tvが可及的に短くなるように、具体的には1分以内になるように、前述した時間TcおよびTaを定めることによって、Pt触媒の劣化、高分子電解質の分解を抑制することができる。
なお、アノード32に対して不活性ガスによるパージを実行する点については実施の形態1の場合と同様である。
(実施の形態4)
前述した実施の形態1乃至3に係る燃料電池システムは、負荷が停止した後に燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給を停止するものであった。これに対して、本発明の実施の形態4に係る燃料電池システムは、負荷が停止する直前に、酸化剤ガスの供給および燃料ガスの供給を停止することによって、燃料電池の劣化を回避するものである。
なお、本実施の形態の燃料電池システムの構成は実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。以下、図4を参照しながら、本実施の形態の燃料電池システムの燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止するタイミングについて説明する。
図8は、燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、本発明の実施の形態4に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。図8における(a)〜(f)は図5における(a)〜(f)と同様である。
図8(a)に示すとおり、本実施の形態では、燃料電池スタック301と負荷306との間を切断する直前(好ましくは切断する1分以内前)、すなわち負荷306が停止する直前にカソード33に対する酸化剤ガスの供給を停止するように、制御装置305が酸化剤ガス制御装置303の動作を制御する。この場合、図8(b)に示すように、カソード33への酸化剤ガスの供給量は、酸化剤ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
同様にして、図8(c)に示すとおり、負荷306が停止する直前にアノード32に対する燃料ガスの供給を停止するように、制御装置305が燃料ガス制御装置302の動作を制御する。この場合、図8(d)に示すように、アノード32への燃料ガスの供給量は、燃料ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給が停止した後、制御装置305は、燃料電池スタック301と負荷306との間を切断する。
以上のように酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給が行われた場合、図8(e)に示すように、セル31の電圧は、負荷306が起動しているときの電圧V1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して電圧V4(開回路電圧V2(0.9Vを超える値)よりも低い値)となる。その後セル31の電圧は徐々に減少し、 最終的には0〜0.2V程度の電圧V3となる。
このときのカソード33の電位は、図8(f)に示すように、セル31の電圧と同様に変化する。すなわち、負荷306が起動しているときの電位Vc1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して電位Vc4(開回路電位Vc2(0.9Vを超える値)よりも低い値)となる。その後カソード33の電位は徐々に減少し、最終的には0〜0.2V程度の電位Vc3となる。
以上のようなタイミングで燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給を停止することにより、実施の形態1の場合と同様に、各セル31において高分子電解質膜を透過した水素イオンによってカソード33の電位を低下させることができる。その結果、カソード33において酸化Ptの還元および吸着した酸化種の除去が進行し、触媒層の触媒活性が回復することになる。
なお、アノード32に対して不活性ガスによるパージを実行する点については実施の形態1の場合と同様である。
ところで、本実施の形態の燃料電池システムは、負荷306が停止する場合に、次のように動作することが望ましい。図8には、図8(e)の負荷306が停止するときのセル31の電圧の変化を示す部分の拡大図が示されている。この拡大図に示されているように、セル31の電圧は、カソード33に対する酸化剤ガスの供給が停止した後、電圧V1から低下する。この状態で負荷をとりつづけると電極の限界電流を超えて電流が流れることによりセル31が破壊されてしまうため、セル31の電圧が所定の電圧V5に到達したときに、制御装置305は負荷306と燃料電池スタック301とを切断する。その直後、セル31の電圧は回復するが、0.9V以上に上昇すると前述したような問題が生じるため、セル31の電圧が電圧V4に到達したときに、制御装置305は負荷306と燃料電池スタック301とを接続する。
その結果、セル31の電圧が低下する。そして、再度電圧V5に到達したときに、制御装置305は負荷306と燃料電池スタック301とを切断する。
この動作を数回繰り返す間に開回路のときのセル31の電圧がV4に到達しなくなり、負荷306と燃料電池スタック301とが切断されたままとなる。
以上のように動作することにより、開回路となった直後のセル31の電圧がV4より大きくなることを防止することができ、カソード33の電位が上昇することによって生じるPtの溶出などを抑制することができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る燃料電池システムは、負荷が停止する直前(好ましくは負荷が停止する1分以内前)に、酸化剤ガスの供給を停止することによって、燃料電池の劣化を回避するものである。
なお、本実施の形態の燃料電池システムの構成は実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。以下、図4を参照しながら、本実施の形態の燃料電池システムの燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止するタイミングについて説明する。
図9は、燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、本発明の実施の形態5に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。図9における(a)〜(f)は図5における(a)〜(f)と同様である。
図9(a)に示すとおり、本実施の形態では、燃料電池スタック301と負荷306との間を切断する直前、すなわち負荷306が停止する直前にカソード33に対する酸化剤ガスの供給を停止するように、制御装置305が酸化剤ガス制御装置303の動作を制御する。この場合、図9(b)に示すように、カソード33への酸化剤ガスの供給量は、酸化剤ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
一方、図9(c)に示すとおり、負荷306が停止してから所定の時間にアノード32に対する燃料ガスの供給を継続するように、制御装置305が燃料ガス制御装置302の動作を制御する。この場合、図9(d)に示すように、アノード32への燃料ガスの供給量は、燃料ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
以上のように酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給が行われた場合、図9(e)に示すように、セル31の電圧は、負荷306が起動しているときの電圧V1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して電圧V4(開回路電圧V2(0.9Vを超える値)よりも低い値)となる。その後セル31の電圧は徐々に減少し、最終的には0〜0.2V程度の電圧V3となる。
このときのカソード33の電位は、図9(f)に示すように、セル31の電圧と同様に変化する。すなわち、負荷306が起動しているときの電位Vc1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して電位Vc4(開回路電位Vc2(0.9Vを超える値)よりも低い値)となる。その後カソード33の電位は徐々に減少し、最終的には0〜0.2V程度の電位Vc3となる。
以上のようなタイミングで燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給を停止することにより、実施の形態1の場合と同様に、各セル31において高分子電解質膜を透過した水素イオンによってカソード33の電位を低下させることができる。その結果、カソード33において酸化Ptの還元および吸着した酸化種の除去が進行し、触媒層の触媒活性が回復することになる。
本実施の形態では、セル31の電圧の低下およびカソード33の電位の低下が、実施の形態4の場合と比べてより速く進む。これは、本実施の形態の場合では酸化剤ガスの供給が停止された後も燃料ガスの供給が継続されるために燃料ガス中の水素濃度が維持されるので、水素イオンが高分子電解質膜を拡散透過する速度が実施の形態4の場合と比べて高くなり、その結果カソード33の電位の低下が速まるためである。
なお、開回路となった直後のセル31の電圧が電圧V4より大きくなることを防止するために、負荷306と燃料電池スタック301との接続/切断を繰り返すように動作すべきであることは実施の形態4の場合と同様である。
また、アノード32に対して不活性ガスによるパージを実行する点については実施の形態1の場合と同様である。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係る燃料電池システムは、負荷が停止する直前に、燃料ガスの供給を停止することによって、燃料電池の劣化を回避するものである。
なお、本実施の形態の燃料電池システムの構成は実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。以下、図4を参照しながら、本実施の形態の燃料電池システムの燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止するタイミングについて説明する。
図10は、燃料電池スタック301が発電を停止する場合における、本発明の実施の形態6に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。図10における(a)〜(f)は図5における(a)〜(f)と同様である。
図10(a)に示すとおり、本実施の形態では、燃料電池スタック301と負荷306との間を切断してから、すなわち負荷306が停止してから所定の時間にカソード33に対する酸化剤ガスの供給を継続するように、制御装置305が酸化剤ガス制御装置303の動作を制御する。この場合、図10(b)に示すように、カソード33への酸化剤ガスの供給量は、酸化剤ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
一方、図10(c)に示すとおり、燃料電池スタック301と負荷306との間を切断する直前、すなわち負荷306が停止する直前にアノード32に対する燃料ガスの供給を停止するように、制御装置305が燃料ガス制御装置302の動作を制御する。この場合、図10(d)に示すように、アノード32への燃料ガスの供給量は、燃料ガスの供給が停止した後に徐々に少なくなる。
以上のように酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給が行われた場合、図10(e)に示すように、セル31の電圧は、負荷306が起動しているときの電圧V1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して電圧V4(開回路電圧V2(0.9Vを超える値)よりも低い値)となる。その後セル31の電圧は徐々に減少し、最終的には0〜0.2V程度の電圧V3となる。
このときのカソード33の電位は、図10(f)に示すように、負荷306が起動しているときの電位Vc1(0.7〜0.75V程度)から負荷306が停止したときに瞬時に上昇して電位Vc4(開回路電位Vc2(0.9Vを超える値)と同じ値)となる。その後もカソード33に対して酸化剤ガスの供給が継続されるため、カソード33の電位は、電位Vc4の値を維持する。
なお、図10(e)に示すように、負荷306が停止した後にセル31の電圧が低下するのは、燃料ガスの水素濃度が低下するに伴ってアノード32の電位が上昇するからである。この場合のセル31の電圧の低下は、実施の形態4および実施の形態5の場合と比べて緩やかに進むことになる。
本実施の形態において、セル31の電圧が開回路電圧になることを防止することができるため、Pt触媒の劣化などを抑制することができる。
なお、開回路となった直後のセル31の電圧が電圧V4より大きくなることを防止するために、負荷306と燃料電池スタック301との接続/切断を繰り返すように動作すべきであることは実施の形態4の場合と同様である。
また、アノード32に対して不活性ガスによるパージを実行する点については実施の形態1の場合と同様である。
[評価試験]
前述した各実施の形態の燃料電池システムの運転方法を評価するために、以下のようにして燃料電池スタックを作製し、その燃料電池スタックを用いて試験を行った。以下、適宜図5を参照して説明する。
まず、炭素粉末であるアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製のデンカブラック、粒径35nm)を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性ディスパージョン(ダイキン工業株式会社製のD1)と混合し、乾燥重量としてPTFEを20重量%含む撥水インクを調製した。このインクを、ガス拡散層の基材となるカーボンペーパー(東レ株式会社製のTGPH060H)上に塗布して含浸させ、熱風乾燥機を用いて300℃で熱処理することにより、厚みが約200μmのガス拡散層を形成した。
一方、炭素粉末であるケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製のKetjen Black EC、粒径30nm)上にPt触媒を担持させて得られた触媒体(50重量%がPt)66重量部を、水素イオン伝導材かつ結着材であるパーフルオロカーボンスルホン酸アイオノマー(米国Aldrich社製の5重量%Nafion分散液)33重量部(高分子乾燥重量)と混合し、得られた混合物を成形して厚み10〜20μmの触媒層を形成した。
前述したようにして得たガス拡散層と触媒層とを、高分子電解質膜(米国DuPont社製のNafion112膜)の両面に接合することにより、図1に示したものと同様の構成のMEAを作製した。ここで、高分子電解質膜の一方の側に配置されたガス拡散層および触媒層からなる電極がアノード32となり、他方の側に配置されたガス拡散層および触媒層からなる電極がカソード33となる。
次に、以上のようにして作製したMEAの高分子電解質膜の外周部にゴム製のガスケット板を接合し、冷却水、燃料ガス、および酸化剤ガスが通流するためのマニホールド孔を形成した。
また、20cm×32cm×1.3mmの外寸を有し、深さ0.5mmのガス流路および冷却水流路が形成された、フェノール樹脂を含浸させて得られた黒鉛板からなる導電性のセパレータ板を準備した。このセパレータ板を2枚用い、MEAの一方の面に酸化剤ガス流路が形成されたセパレータ板を重ね合わせ、他方の面に燃料ガス流路が形成されたセパレータ板を重ね合わせることにより、セルを得た。
セパレータ板のMEA側とは反対側の面には、冷却水の流路となる溝が形成されており、セルを2個積層することにより、MEA間に冷却水が通流する構造となっている2セル積層電池を得た。このパターンを繰り返すことにより、50セルが積層された燃料電池スタック301を作製した。なお、このときの燃料電池スタック301の両端部には、ステンレス鋼製の集電板、電気絶縁材料の絶縁板、および端板を配置し、その全体を締結ロッドで固定した。このときの締結圧はセパレータ板の面積当たり15kgf/cmとした。
以上のようにして作製された燃料電池スタック301を用いて、次のような評価試験を行った。
まず、燃料ガス制御装置302が、原料ガスである13Aガスを改質器によって改質することにより得られた燃料ガスをアノード32に供給し、酸化剤ガス制御装置303が、酸化剤ガスとしての空気をカソード33に供給する。そして、燃料電池スタック301の電池温度が70℃、燃料ガス利用率(Uf)が70%、空気利用率(Uo)が40%の条件の下、放電試験を行った。なお、燃料ガスおよび空気は、それぞれ65℃および70℃の露点を有するように加湿されている。
図11および図12は、評価試験におけるセル31の電圧の変化を示すグラフである。図11における期間Aでは、燃料ガスをアノード32へ、空気をカソード33へそれぞれ連続的に供給した状態で、200mA/cmの電流密度の連続負荷で燃料電池スタック301を発電させた。負荷306と燃料電池スタック301とが接続されている状態でのセル31の電圧は約0.76Vであった。この期間Aにおいて、燃料電池スタック301における生成水および排出水のイオン分析を行ったところ、フッ素イオンは0.2μg/cm/日以下であった。これにより、高分子電解質の分解が生じていないことが分かった。
図11における期間Bでは、本発明の実施の形態3の運転方法を実施した。通電時間を30分、セル31の電圧が開回路電圧となっている時間Tvを2分とし、時間Tv経過後に燃料ガスと同様に加湿した窒素で約10分間パージし、その後再び通電した。この間、カソード33に対して空気を連続して供給した。このような一連の動作を繰り返し実行した結果、セル31の電圧は徐々に低下した。期間Bが開始してから約120時間後の期間Bの終了時には、セル31の電圧は0.735Vまで低下した。前述した一連の動作の1回当たりのセル31の電圧の低下率は、50〜100μV/回であった。
以上のように、期間Bにおいてセル31の電圧が低下したのは、カソード33におけるPtの酸化および酸化吸着種の蓄積による反応面積の低下などにより燃料電池スタック301の性能が劣化したためであると考えられる。
また、期間Bにおいて燃料電池スタック301における生成水および排出水のイオン分析を行ったところ、フッ素イオンは約1μg/cm/日であった。これにより、高分子電解質の分解が生じていることが分かった。
しかしながら、前述した一連の動作における時間Tvを0.5分とした別の試験を実施したところ、一連の動作の1回当たりのセル31の電圧の低下率は15μV/回で、フッ素イオンの検出量は0.5μg/cm/日以下であった。このように時間Tvを1分以内に短縮化することによって、Ptの酸化、酸化種の吸着、および高分子電解質の分解を抑制する効果があることが分かった。
また、別の実験においてセル31の電圧が開回路電圧となっている時間と電圧の低下との関係を調べたところ、図27に示すような結果が得られた。図27において、PおよびRは、200mA/cmの電流密度の連続負荷で燃料電池スタック301を発電させている期間を、Qは、セル31の電圧が開回路電圧となっている期間をそれぞれ示している。
なお、期間Pおよび期間Rにおいて、セル31の電圧が所定の値まで低下した場合に、後述する実施の形態7で説明される復活操作を実行することによって、セル31の電圧を復活させるサイクルが繰り返されている。図27において、セル31の電圧が復活してから所定の値まで低下するまでの期間であって、期間Qが開始する直前のものを期間Paとし、同じく期間Qが終了した直後のものを期間Raとする。また、図27において、符号aは、期間Paにおけるセル31の電圧の平均値と期間Raにおけるセル31の電圧の平均値との差を表している。
図27に示すとおり、前述した差aは約8.5mVである。また、期間Qは約71時間である。この結果から、セル31の電圧が開回路電圧となっている時間1分当たりに2μVの低下が生じることが確認された。
実用的な燃料電池システムを実現するとの観点に立てば、燃料電池システムの稼働期間が10年程度の場合、セル31の電圧の低下は、セル31の初期電圧に対して10%以下程度に抑えられていることが望ましい。したがって、例えばセル31の初期電圧を750mVとした場合、セル31の電圧の低下は10%以下程度、すなわち75mV以下程度に抑えられていることが望ましい。
ところで、10年間にわたって1日1回程度燃料電池システムを起動させた場合、燃料電池の起動停止は約3650回行われることになる。そのため、例えばセル31の電圧が開回路電圧となっている時間を10分とした場合、2(μV/分)×10(分)×3650(回)=73mVだけセル31の電圧の低下が生じることになる。したがって、前述したようにセル31の初期電圧を750mVとした場合、セル31の電圧の低下を10%以下程度、すなわち75mV以下程度に抑えるためには、セル31の電圧が開回路電圧となっている時間を10分以内とすべきである。
図11における期間Cでは、期間Aと同様の運転方法を実施した。その結果、期間Bの終了時のセル31の電圧が維持された。
図11における期間Dでは、本発明の実施の形態5の運転方法を実施した。図8(e)に示す電圧V4を0.9Vに、電圧V5を0.5Vにそれぞれ設定した。通電時間を30分継続させ、負荷306を停止させる直前にカソード33に対する空気の供給を停止した。その後、セル31の電圧が電圧V3(0.2V)に達したときに燃料ガスと同様に加湿した窒素で約10分間パージした後、燃料ガスおよび空気の供給を開始し、セル31の電圧が電圧V4(0.9V)に達したときに通電を再開した。このような一連の動作を約80時間繰り返し実行した結果、セル31の電圧は約0.77Vに維持された。
このように期間Dにおいてセル31の電圧を比較的高い値に維持することができたのは、セル31の電圧が0.9Vより大きくなることを防止することができたためにPtの酸化および酸化種の吸着が抑制され、しかもカソード33の電位が0.2V付近まで低下することによってわずかに吸着した酸化種も還元除去することができるためであると考えられる。
また、期間Dにおいて燃料電池スタック301における生成水および排出水のイオン分析を行ったところ、フッ素イオンは約0.2μg/cm/日以下であった。これにより、高分子電解質の分解も抑制されていることが分かった。
図11における期間Eでは、期間Aと同様の運転方法を実施した。その結果、期間Eにおいてはセル31の電圧が徐々に低下した。これは、第1に、通電とパージとを繰り返した場合と連続通電の場合とでは、高分子電解質の含水率に差が生じるため、電極の濡れ状態が緩和されたことに起因して、セル31の電圧が低下したものと考えられる。また、第2に、連続通電状態であっても、Pt触媒に対する酸化種の吸着が生じるため、連続通電の場合における平衡な吸着状態に徐々に移行していることに起因して、セル31の電圧が低下したものと考えられる。
前述したようなセル31の電圧低下はしばらく継続し、矢符Fが示す時点からセル31の電圧が約0.74Vで安定した。
図11における期間Gでは、図8(e)に示す電圧V4を0.85〜0.92Vの範囲内で変化させながら、本発明の実施の形態5の運転方法を実施した。その結果、期間Dの場合と同様にセル31の電圧は約0.77Vに維持された。その後、期間Hにおいて期間Eと同様に運転を実施した結果、セル31の電圧が徐々に低下した。そして、矢符Fの場合と同様に、矢符Iが示す時点からセル31の電圧が約0.74Vに安定した。
また、期間Gにおいて燃料電池スタック301における生成水および排出水のイオン分析を行ったところ、期間Dの場合と同様に、フッ素イオンは約0.2μg/cm/日以下であった。これにより、高分子電解質の分解も抑制されていることが分かった。
このように、燃料電池スタック301の起動停止を繰り返したとしても、本発明の実施の形態5の運転方法を実施すれば、燃料電池スタック301の劣化を防止することが可能になることが確認された。
図12における期間Jでは図11における期間Dと同様の運転方法を、図12における期間Kでは図11における期間Eと同様の運転方法をそれぞれ実施した。その結果、期間Jではセル31の電圧が約0.77Vに維持され、その後期間Kにおいてセル31の電圧が徐々に低下した。そして、矢符Lが示す時点からセル31の電圧が約0.74Vで安定した。
図12における期間Mでは、図8(e)に示す電圧V4を0.95Vに設定した以外には期間Dと同様の運転方法を実施し、図12における期間Nでは図11における期間Eと同様の運転方法を実施した。その結果、期間Mではセル31の電圧が約0.76Vに維持され、その後期間Nにおいてセル31の電圧が徐々に低下した。そして、矢符Oが示す時点からセル31の電圧が約0.73Vで安定した。
このように、期間Jの場合と比べて、期間Mにおけるセル31の電圧の方が約0.01V低い値となっている。同様にして、矢符Lの場合と比べて、矢符Oにおけるセル31の電圧の方が約0.01V低い値となっている。この試験結果より、図9(e)に示す電圧V4を0.95Vと開回路電圧付近の値に設定した場合には、燃料電池スタック301が劣化する傾向が現れることが分かった。
(実施の形態7)
燃料電池は、基本的には電解質膜とその両側に配置した電極で構成される。この燃料電池用電極は、反応ガスを供給するガス拡散層と実際に化学反応を起こす触媒層から構成される。触媒層は、カーボンに貴金属触媒を担持したものが用いられる。
燃料電池は、燃料極に供給された燃料ガスと、酸素極に供給された酸素含有ガスを反応させて発電を行う。このうち酸素含有ガスは、一般には空気をコンプレッサーやブロアーで供給される。ところが、空気には発電反応を劣化させる窒素酸化物や硫黄酸化物が含まれる。また、装置を構成する部材からは溶剤等の有機物が漏洩する。
これらの汚染物は、燃料電池の運転中に徐々に触媒表面に蓄積し、発電電圧を劣化させる。これらの汚染物の大部分は、触媒表面の電位を変化させることで分解または除去することができる。
汚染物の蓄積は、燃料極、酸素極のどちらでも起こりうるが、燃料極は、過電圧が小さいため、燃料極の電位は汚染物の蓄積の影響を受けにくい。このため、燃料電池の運転中の発電電圧の劣化は、主に酸素極への汚染物の蓄積に由来する。
また、触媒には白金等の貴金属が使われており、一般には酸化しにくいが、高分子電解質型燃料電池は、強酸性雰囲気であるため、燃料電池内で酸素極の電位が高い状態に置かれると、触媒表面が酸化される。白金の場合、標準水素電極に対する電位がpH1〜2において0.7V以上であると、表面の酸化が起こる。触媒表面が酸化されると、酸素の還元反応速度が小さくなり、発電電圧が低下する。さらに、酸化物は、汚染物に対する吸着力が大きいため、汚染物の蓄積を促し、発電電圧の低下に拍車をかける。
以上のような汚染物の蓄積や触媒表面の酸化を解消し、発電電圧を復活させるためには、酸素極の電位を下げる復活操作を行うことが有効である。
高分子電解質型燃料電池においては、通常運転時には負荷を取っていない時のセル電圧は約0.95V、負荷を取って運転している時には0.8V〜0.6V程度にセル電圧は低下している。燃料極の電位は、燃料に水素含有ガスを使う場合には、標準水素電極の電位とほぼ等しくなる。さらに、燃料極の過電圧が低いために、酸素極の電位(対燃料極)は、ほぼセル電圧と等しくなる。よってセル電圧を検出すれば、酸素極の電位を把握することができ、復活操作の完了を知ることができる。本発明の復活操作をする目安となるセル電圧のしきい値は、上に示したような初期電圧の95%とするのが好ましい。しきい値が高すぎると頻繁に復活操作を行わなければならず煩雑である。また、しきい値が低すぎると、発電効率が低下するととともに十分な復活ができなくなるおそれがある。
復活操作を行う場合の電位は、触媒が酸化して劣化した分を還元して復活させる場合には0.7V(対燃料極)より小さくすれば良い。特に、数十秒間電気的にショートさせるのも有効である。また、汚染物が吸着して劣化した分を還元脱離させる場合には0.4V(対燃料極)以下にするが望ましい。復活電位を0.4V(対燃料極)に設定すれば、触媒の酸化および汚染物の吸着いずれによる劣化をも解消することができる。
復活操作は、スタックを構成するすべてのセルに対して同時に行っても良いし、1つのセル毎または一部のセル毎に復活操作を行い、順次別のセルの復活操作を行っても良い。すべてのセルの復活操作を同時に行う場合には、セル電圧の検出は、スタック全体の電圧を検出することで代用できる。各セル毎に復活操作を行う場合には、各セル毎の電圧を検出する必要があり、スタック構成が複雑になるが、より確実に復活操作を行える利点がある。
復活操作は、1)酸素の供給を減らした状態で発電を行い酸素消費を行う、2)炭化水素ガス、不活性ガス、または水を供給して酸素を置換する、3)還元剤を供給する、4)燃料電池の負荷を増やす、などの方法をとることができる。これらの方法を、以下により詳しく述べる。
好ましい実施の形態においては、復活操作は、酸素極側の酸素含有ガス供給量を減らして発電を継続し、セル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に酸素含有ガスの供給量を増やすことからなる。
他の好ましい実施の形態においては、復活操作は、酸素含有ガスの供給を止めて発電を継続し、セル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、酸素含有ガスの供給を再開することからなる。
さらに他の好ましい実施の形態においては、復活操作は、酸素極側に不活性ガスまたは炭化水素ガスを供給してセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、酸素含有ガスの供給を再開することからなる。
他の好ましい実施の形態においては、復活操作は、酸素極側に水を供給してセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、水の供給を停止する。この復活操作においては、酸素含有ガスの供給は継続してもよい。
他の好ましい実施の形態においては、復活操作は、酸素極側に酸素含有ガスの代わりに、すなわち酸素含有ガスの供給を停止し、不活性ガス、炭化水素ガス、または還元剤を供給する。そして、セル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、酸素含有ガスの供給を再開する。
さらに他の好ましい実施の形態においては、復活操作は、燃料電池の負荷を増やしてセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、負荷を減らすことからなる。
酸素の供給を減らした復活操作方法では、酸素の供給量は、理論的には酸素の利用率、すなわちセルに供給する酸素の分子数に対するセルを流れる電子数×4が100%を超えた場合に、酸素欠乏が起こり、酸素極の電位が低下する。しかし、実際には、利用率が100%未満でもガス供給の不均一さやガス拡散の阻害などにより、酸素極の電位が低下して復活操作を行うことができる。復活可能な利用率は、セルのガス流路の構成やガス拡散層の構成により異なるが、典型的には70%以上で復活操作を行うことができる。利用率を上げるには、酸素の供給を減らすことで実施できるが、負荷を増やしてセルに流れる電流を増やすことでも同じ効果を得ることができる。電流を増やして酸素の利用率を上げる場合、水素の利用率が上がらないように、水素の供給量を電流に見合う分だけ増やしておく必要がある。
炭化水素ガス、不活性ガス、または水を供給して酸素を置換する復活方法では、酸素分圧を下げて酸素極の電位を低下させる。
炭化水素ガスとしては、脱硫器で脱硫した都市ガスやプロパンガス、ブタンガスを用いることができる。
不活性ガスとしては、窒素やアルゴン、二酸化炭素を用いることができる。
水は、水蒸気状態でも液体の状態でも構わない。
還元剤を供給する復活方法では、還元剤と酸素を反応させて酸素分圧を下げて酸素極の電位を低下させる。また、還元剤によって劣化した触媒が還元され、汚染物が分解される。還元剤としては、水素ガス、硼水素化ナトリウム水溶液、ヒドラジンを用いることができる。
燃料電池の負荷を増やす復活方法では、一時的にセルを流れる電流を増やすことでセルの電圧を下げることができ、酸素極の電位を下げることができる。セル構成や電極の構成にもよるが、典型的には電極面積1cm2当たり0.4Aに電流を増やすと、セル電圧が0.7V以下になり、復活操作を行うことができる。
以上に述べた復活操作は、負荷を接続した状態で行うものである。しかし、効率は下がるが、発電を止めた状態、すなわち負荷を切り離した状態で酸素極側に不活性ガス、炭化水素ガス、水または還元剤を供給して酸素極側の電位を下げる復活操作を行った後、燃料電池の運転を止める燃料電池の運転方法を採用することもできる。
次に、本発明の復活操作を行えるようにした燃料電池の構成例を図13および図14により説明する。
燃料電池10は、MEA11とセパレータ板12とを交互に積層して構成されている。MEA11は、高分子電解質膜、この電解質膜を挟む燃料極および酸素極、前記両電極の周縁部において電解質膜を挟むガスケットからなる。MEA11およびセパレータ板12には、酸素含有ガスのマニホールド孔13、燃料ガスのマニホールド孔14および冷却水のマニホールド孔15が設けられている。図13においては、MEA11は電極部のみが示されており、セパレータ板12の一方のマニホールド孔13から供給される酸素含有ガスの空気はガス流路16を通じてMEAの酸素極に供給され、他方のマニホールド孔13から外部へ排出されることが理解されよう。酸素含有ガスの入り口側のマニホールド孔13には、4に示すように、ガス流路16の入り口を閉鎖するガス遮断手段が設けられている。このガス遮断手段は、2本のねじ17、これらのねじに螺合された栓体18およびねじを回転させる手段(図示しない)からなり、ねじ17を回転させることにより、栓体18をマニホールド孔内を前後に摺動させ、ガス流路16の入り口を閉鎖する。この栓体を順次移動させることにより、セルを1つ毎に復活操作を行うことができる。
次に、上記のような復活操作を行うに適した燃料電池システムについて、説明する。
好ましい実施の形態においては、前記のように、セルのスタックを有する燃料電池システムは、セルまたはスタックの電圧を検出する電圧検出手段、および前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて前記セルまたはスタックへの酸素含有ガスの供給を制御する制御手段を有する。
他の好ましい実施の形態における燃料電池システムは、セルまたはスタックの電圧を検出する電圧検出手段、前記セルまたはスタックに酸素含有ガスの代わりに不活性ガス、炭化水素ガス、還元剤または水を供給する供給手段、および前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて前記供給手段を制御する制御手段を有する。
さらに他の好ましい実施の形態における燃料電池システムは、セルまたはスタックの電圧を検出する電圧検出手段、前記セルまたはスタックの電流を増減する電流増減手段、および前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて前記電流増減手段を制御する制御手段を有する。
図15は電圧検出手段、およびセルまたはスタックへの酸素含有ガスの供給を制御する制御手段を有する燃料電池システムの概略構成を示す。この燃料電池システム20は、セルC1、C2・・・・Cnを積層したスタック21、各セルの酸素極23および末端のセルの燃料極24とリード線で接続されて個々のセルおよびスタックの電圧を検出する検知装置29、および検知装置からの信号に基づいて動作する制御装置30を備える。各セルの酸素極23に酸素含有ガスを供給するガス流路25は、入り口側が開閉栓A1、A2・・・・Anを介して入り口側マニホールド27に接続され、出口側は出口側マニホールド28に接続されている。ブロアー26はマニホールド27へ酸素含有ガスを供給する。1つのセルまたは複数のセルの電圧がしきい値以下に下がったことが検知装置29により検出されると、制御装置30は当該1つのセルまたは複数のセルへの酸素含有ガス供給路の開閉栓を制御して酸素極への酸素含有ガスの供給量を減少させて復活操作を行わせる。そして、当該セルの電圧が所定値に回復すれば、検知装置29により確認され、開閉栓は元の状態に復帰される。図では、燃料ガスの供給路および負荷は省略している。
ここでは、抵抗器の抵抗値を制御する例を示したが、抵抗器の代わりにリレーまたはトランジスタなどを用い、復活させようとするセルの電圧を強制的に低下させるようにしてもよい。
図16に示す燃料電池システム40は、制御装置41が各セル間に接続された抵抗器R1、R2・・・・Rnの抵抗値を制御するようにしたこと以外は図15のシステムと同様の構成である。この燃料電池システムでは、検知装置29からの信号により、復活操作を行おうとするセル、例えばセルC1に対して、抵抗器R1を短絡させることによりセル電圧を強制的に低下させる。これによってセルC1の酸素極の電位が下がり、復活操作が行われる。こうして順次セルR2・・・・Rnの復活操作を行うことができる。
次に本発明の実施例を具体的に説明する。
《実施例1》
高分子電解質膜および前記電解質膜を挟む一対の電極により電解質膜電極接合体(MEA)を作製した。一方、黒鉛板にガス流路を切削加工してセパレータ板を作製した。MEAを一対のセパレータ板で挟み、特性測定用単セルを組み立て、試験を行った。
単セルの温度は70℃に設定し、燃料極側には露点が70℃となるように加湿した水素ガスを、酸素極側には露点が70℃となるように加湿した空気をそれぞれ供給し、燃料利用率80%、酸素利用率40%、電流密度200mA/cm2で発電を行った。
セル電圧がしきい値電圧以下に下がった場合に、復活操作として酸素極側に供給している空気を止めて発電を継続し、セル電圧が復活電位まで下がった後に空気の供給を再開した。本実施例では、しきい値電圧を0.75Vとし、酸素極の復活電位を1セル当たり0.2V(対燃料極)とした。空気を遮断してから復活電位にまでセル電圧が下がる時間は約10秒であった。
図17に本実施例のセル電圧の経時変化を実線で示す。また、図18に復活操作時におけるセル電圧の変化を示す。なお、図17には、比較例として復活操作を行わずに連続で運転した場合のセル電圧の経時変化を点線で示す。本実施例によると、比較例と比べて高いセル電圧を維持できることがわかる。
本実施例では、しきい値電圧を0.75Vとしたが、しきい値電圧をこれよりも高く設定した場合には、復活操作の頻度が増し、平均電圧は高くなる。逆にしきい値電圧を低く設定した場合には、復活操作の頻度が減り、平均電圧は低くなる。いずれも本実施例と同様に復活操作を行うことができる。
本実施例では、酸素極の復活電位を0.2V(対燃料極)としたが、0.1V〜0.4V(対燃料極)の範囲で復活電位を変化させても同様の効果が得られた。また、本実施例では、セル電圧がしきい値電圧以下に下がった場合に復活操作を行ったが、前回の復活操作から一定時間が経過した後、例えば48時間毎に復活操作を行っても同様の効果が得られる。
《実施例2》
実施例1と同様に単セルを構成し、実施例1と同様に発電を行った。
セル電圧がしきい値電圧以下に下がった場合に、復活操作として酸素極側に供給している空気の供給量を減らして発電を継続し、セル電圧が復活電位まで下がった後に空気の供給量を元に戻した。本実施例では、しきい値電圧を0.75Vとし、酸素極の復活電位を1セル当たり0.2V(対燃料極)とした。復活操作時の空気供給量は、酸素利用率が100%となる量、すなわち(単位時間当たりにセルに流れる電子数の4倍)÷(単位時間当たりに供給される酸素の分子数)が100%となる量を供給した。
空気を減らしてから復活電位にまでセル電圧が下がる時間は約30秒であった。図19に本実施例のセル電圧の経時変化を示す。実施例1と同様に高いセル電圧を維持することができた。
本実施例では、酸素利用率を100%としたが、酸素利用率を70%から120%の範囲で変化させても、復活電位にまで下がる時間が変わったものと同様の効果が得られた。
《実施例3》
実施例1と同様の単セルを60セル積層してスタックを構成した。このスタックを用いて図13及び14で説明したような燃料電池を作製した。実施例1と同様の条件で発電を行い、48時間毎に復活操作を行った。復活操作は、スタックの空気供給マニホールド内に設けたガス遮断手段を用いて、スタック中のセル1つ毎に空気を止めて発電を継続し、空気が遮断されたセル電圧が復活電位まで下がった後に次のセルの空気を止めて、次のセルを復活させることにより、順次セルを復活させた。酸素極の復活電位は1セル当たり0.2V(対燃料極)とした。
図20にスタック全体の電圧の経時変化を示す。本実施例では、スタックを構成するセル毎に復活操作を行うため、確実に全セルの復活操作を完了することができ、さらにスタック全体の電圧が復活操作時にも大きく下がらないため、燃料電池を用いたシステムを連続で運転することができた。
本実施例では、セル1つ毎に空気を止めて復活操作を行ったが、複数のセルの空気供給を止めて複数セル毎に復活操作を行っても同様の効果が得られる。
《実施例4》
実施例1と同様に単セルを構成し、実施例1と同様に発電を行った。復活操作として電流を遮断し、酸素極側に供給している空気の代わりに不活性ガスとして窒素を供給してセル電圧が復活電位まで下がった後に空気の供給を再開した。しきい値電圧は0.75Vとし、酸素極の復活電位は0.2V(対燃料極)とした。窒素の供給量は、空気供給量と同じとした。図21に本実施例のセル電圧の経時変化を示す。実施例1と同様に高いセル電圧を維持することができた。
本実施例では、不活性ガスとして窒素を用いたが、代わりに脱硫都市ガス、水蒸気を供給しても同様の効果が得られる。また、本実施例では、復活操作時に発電は停止させたが、発電を継続していても同様の効果が得られる。
《実施例5》
実施例1と同様に単セルを構成し、実施例1と同様に発電を行った。復活操作として電流を遮断し、酸素極側に供給している空気の代わりに水を供給してセル電圧が復活電位まで下がった後に空気の供給を再開した。しきい値電圧は0.75Vとし、酸素極の復活電位は0.2V(対燃料極)とした。また、水の供給量は、セルのガス流路を満たす量と同じとした。図22に本実施例のセル電圧の経時変化を示す。実施例1と同様に高いセル電圧を維持することができた。
《実施例6》
実施例3と同様の単セルを60セル積層したスタックを構成した。実施例1と同様の条件で発電を行い、48時間毎に復活操作を行った。復活操作は、スタックの空気供給マニホールド内に設けた水供給手段を用いて、スタック中の2個のセル毎に水を供給し、水が供給されたセルの電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に別のセルに水を供給して復活させることにより、順次セルを復活させた。酸素極の復活電位は1セル当たり0.2V(対燃料極)とした。
水供給手段は、図13に19で示すような水供給パイプを設け、このパイプから隣接する2セルに、マニホールド内からガス流路16に水を流し込むように構成されている。図23にスタック全体の電圧の経時変化を示す。本実施例によると、実施例3と同様にスタック全体の電圧が復活操作時にも大きく下がらずに復活操作を行えた。
《実施例7》
実施例1と同様に単セルを構成し、実施例1と同様に発電を行った。復活操作として電流を遮断し、酸素極側に供給している空気の代わりに1%の硼水素ナトリウムを含む水溶液を供給してセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に空気の供給を再開した。しきい値電圧は0.75Vとし、酸素極の復活電位は0.2V(対燃料極)とした。水溶液の供給量は、セルのガス流路を満たす量と同じとした。
図24に本実施例のセル電圧の経時変化を示す。実施例1と同様に高いセル電圧を維持することができた。本実施例では、硼水素ナトリウムを含む水溶液を用いたが、代わりにヒドラジンを含む水溶液を供給しても同様の効果が得られる。
《実施例8》
実施例1と同様に単セルを構成し、実施例1と同様に発電を行った。24時間毎に復活操作として水素の供給量を2倍に増やし、電流を2倍に増やして発電を行い、30秒後に電流および水素供給量を元に戻した。復活操作時にセル電圧は一時的に0.6Vまで下がった。図25に本実施例のセル電圧の経時変化を示す。実施例1と同様に高いセル電圧を維持することができた。
《実施例9》
実施例1と同様に単セルを構成し、実施例1と同様に発電を行った。12時間発電を行う毎に電流を遮断し、酸素極側に供給している空気の代わりに不活性ガスとして窒素を供給した。そして、セル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、水素極への水素の供給を停止し、水素極側にも窒素を供給してパージを行った。その後、両極へのガス供給を遮断した。セルは強制的にまたは放置により室温まで冷却する。上記のようにして運転を停止してから12時間後に再びセルを70℃に保温し、水素と空気の供給を再開し、再び発電を再開した。これを繰り返したところ、高いセル電圧を維持することができた。図26に本実施例のセル電圧の経時変化を示す。
本発明に係る燃料電池システムの運転方法および燃料電池システムは、燃料電池が発電状態と非発電状態とを繰り返す場合であっても燃料電池の劣化を回避することができ、特に起動停止が頻繁に行われる自動車用の燃料電池システム、及び日毎に起動停止が行われる燃料電池システム等に有用である。
固体高分子電解質型燃料電池の単電池(セル)が備えるMEA(電解質膜電極接合体)の構成を模式的に示す断面図である。 図1に示すMEAを備えるセルの構成を模式的に示す断面図である。 MEAの詳細な構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成の一例を示すブロック図である。 燃料電池スタックが発電を停止する場合における、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。 燃料電池スタックが発電を停止する場合における、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。 燃料電池スタックが発電を停止する場合における、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。 燃料電池スタックが発電を停止する場合における、本発明の実施の形態4に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。 燃料電池スタックが発電を停止する場合における、本発明の実施の形態5に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。 燃料電池スタックが発電を停止する場合における、本発明の実施の形態6に係る燃料電池システムの動作を示すタイミングチャートである。 評価試験におけるセルの電圧の変化を示すグラフである。 評価試験におけるセルの電圧の変化を示すグラフである。 本発明の一実施形態におけるスタックの一部を除いた正面図である。 図13のV−V'線断面図である。 本発明の他の実施の形態における燃料電池システムの概略構成を示す図である。 本発明のさらに他の実施の形態における燃料電池システムの概略構成を示す図である。 本発明の実施例1および比較例のセル電圧の経時変化を示した図である。 実施例1の復活操作におけるセル電圧の挙動を示した図である。 本発明の実施例2のセル電圧の経時変化を示した図である。 実施例3のスタック電圧の経時変化を示した図である。 本発明の実施例4のセル電圧の経時変化を示した図である。 本発明の実施例5のセル電圧の経時変化を示した図である。 本発明の実施例6のスタック電圧の経時変化を示した図である。 本発明の実施例7のセル電圧の経時変化を示した図である。 本発明の実施例8のセル電圧の経時変化を示した図である。 本発明の実施例9のセル電圧の経時変化を示した図である。 セルの電圧が開回路電圧となっている時間と電圧の低下との関係を示すグラフである。
符号の説明
11 高分子電解質膜
12 触媒層
13 ガス拡散層
14 電極
15 MEA
16 セパレータ板
17 ガス流路
18 冷却水流路
31 セル
32 アノード
33 カソード
301 燃料電池スタック
302 燃料ガス制御装置
303 酸化剤ガス制御装置
304 セル電圧検知装置
305 制御装置
306 負荷
307 不活性ガス制御装置

Claims (24)

  1. 電解質と、前記電解質を挟む、白金系の金属触媒を有するアノードおよびカソードと、前記アノードに燃料ガスを供給し、前記カソードに酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成された一対のセパレータ板とを具備したセルを少なくとも一つ有する燃料電池を備え、前記燃料電池と負荷との間の接続/切断を切り替える燃料電池システムの運転方法において、
    前記燃料電池と前記負荷との間が切断されてから所定時間経過するまで、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を継続させ、その後酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止することにより、前記燃料電池のセルの電圧が0.9V以上となる時間が10分以内になるように制御することを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
  2. 前記燃料電池と前記負荷との間が切断されてから所定時間経過するまで、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を継続させ、その後略同時に酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止する、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
  3. 前記燃料電池と前記負荷との間が切断されてから所定時間経過するまで、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を継続させ、その後酸化剤ガスの供給を停止した後に燃料ガスの供給を停止する、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
  4. 前記燃料電池と前記負荷との間が切断されてから所定時間経過するまで、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を継続させ、その後燃料ガスの供給を停止した後に酸化剤ガスの供給を停止する、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
  5. 電解質と、前記電解質を挟む、白金系の金属触媒を有するアノードおよびカソードと、前記アノードに燃料ガスを供給し、前記カソードに酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成された一対のセパレータ板とを具備したセルを少なくとも一つ有する燃料電池を備え、前記燃料電池と負荷との間の接続/切断を切り替える燃料電池システムの運転方法において、
    前記燃料電池と前記負荷との間が切断される前に、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給の少なくとも何れか一方を停止し、その後前記燃料電池と前記負荷との間を切断することを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
  6. 前記燃料電池と前記負荷との間が切断される前に、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を停止し、その後前記燃料電池と前記負荷との間を切断する、請求項5に記載の燃料電池システムの運転方法。
  7. 前記燃料電池と前記負荷との間が切断される前に、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給を停止し、その後前記燃料電池と前記負荷との間を切断し、その後前記アノードに対する燃料ガスの供給を停止する、請求項5に記載の燃料電池システムの運転方法。
  8. 前記燃料電池と前記負荷との間が切断される前に、前記アノードに対する燃料ガスの供給を停止し、その後前記燃料電池と前記負荷との間を切断し、その後前記カソードに対する酸化剤ガスの供給を停止する、請求項5に記載の燃料電池システムの運転方法。
  9. 前記燃料電池と前記負荷との間が切断される前であって、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給の少なくとも何れか一方が停止された後に、前記燃料電池のセルの電圧が所定の下限電圧まで低下したときに前記燃料電池と前記負荷との間を切断し、その後前記燃料電池のセルの電圧が所定の上限電圧まで上昇したときに前記燃料電池と前記負荷との間を接続し、その後前記燃料電池のセルの電圧が所定の下限電圧まで低下したときに前記燃料電池と前記負荷との間を切断するステップと、前記燃料電池のセルの電圧が所定の上限電圧まで上昇したときに前記燃料電池と前記負荷との間を接続するステップとを、前記燃料電池のセルの電圧が所定の上限電圧に達しなくなるまで繰り返す、請求項5に記載の燃料電池システムの運転方法。
  10. 電解質と、前記電解質を挟む、白金系の金属触媒を有するアノードおよびカソードと、前記アノードに燃料ガスを供給し、前記カソードに酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成された一対のセパレータ板とを具備したセルを少なくとも一つ有する燃料電池と、前記アノードに対する燃料ガスの供給、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給、および前記燃料電池と負荷との間の接続/切断の切替を制御する制御装置とを備えた燃料電池システムにおいて、
    前記制御装置は、前記燃料電池と前記負荷との間を切断してから所定時間経過するまで、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給を継続させ、その後酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を停止させることにより、前記燃料電池のセルの電圧が0.9V以上となる時間が10分以内になるように制御するように構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  11. 電解質と、前記電解質を挟む、白金系の金属触媒を有するアノードおよびカソードと、前記アノードに燃料ガスを供給し、前記カソードに酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成された一対のセパレータ板とを具備したセルを少なくとも一つ有する燃料電池と、前記アノードに対する燃料ガスの供給、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給、および前記燃料電池と負荷との間の接続/切断の切替を制御する制御装置とを備えた燃料電池システムにおいて、
    前記制御装置は、前記燃料電池と前記負荷との間を切断する前に、前記カソードに対する酸化剤ガスの供給および前記アノードに対する燃料ガスの供給の少なくとも何れか一方を停止し、その後前記燃料電池と前記負荷との間を切断するように構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  12. 電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備した燃料電池を備える燃料電池システムの運転方法であって、燃料電池の電圧がしきい値電圧以下に下がった場合または前回の復活操作から一定時間が経過した後に、酸素極側の電位を下げる復活操作を行うことを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
  13. 電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備するセルを複数個有する燃料電池を備える燃料電池システムの運転方法であって、特定の1つまたは複数のセルの酸素極側の電位を下げる復活操作を行い、前記セルの電圧が復活した後に、順次別のセルの復活操作を行うことを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
  14. 復活操作が、酸素極側の酸素含有ガス供給量を減らして発電を継続し、セル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に酸素含有ガスの供給量を増やすことを特徴とする請求項12または13に記載の燃料電池システムの運転方法。
  15. 復活操作が、酸素含有ガスの供給を止めて発電を継続し、セル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、酸素含有ガスの供給を再開することを特徴とする請求項12または13に記載の燃料電池システムの運転方法。
  16. 復活操作が、酸素極側に不活性ガスまたは炭化水素ガスを供給してセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、酸素含有ガスの供給を再開することを特徴とする請求項12または13に記載の燃料電池システムの運転方法。
  17. 復活操作が、酸素極側に酸素含有ガスの代わりに水を供給してセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、酸素含有ガスの供給を再開することを特徴とする請求項12または13に記載の燃料電池システムの運転方法。
  18. 復活操作が、酸素極側に還元剤を供給してセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、酸素含有ガスの供給を再開することを特徴とする請求項12または13に記載の燃料電池システムの運転方法。
  19. 復活操作が、燃料電池の負荷を増やしてセル電圧が酸素極の復活電位(対燃料極)まで下がった後に、負荷を減らすことを特徴とする請求項12または13に記載の燃料電池システムの運転方法。
  20. 電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備した燃料電池を備える燃料電池システムの運転方法であって、燃料電池の運転を停止させた後に、酸素極側の電位を下げる復活操作を行うことを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
  21. 電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備するセルのスタックを有する燃料電池システムであって、セルまたはスタックの電圧を検出する電圧検出手段、および前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて前記セルまたはスタックへの酸素含有ガスの供給を制御する制御手段を有する燃料電池システム。
  22. 電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備するセルのスタックを有する燃料電池システムであって、セルまたはスタックの電圧を検出する電圧検出手段、前記セルまたはスタックに水を供給する供給手段、および前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて前記供給手段を制御する制御手段を有する燃料電池システム。
  23. 電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備するセルのスタックを有する燃料電池システムであって、セルまたはスタックの電圧を検出する電圧検出手段、前記セルまたはスタックに酸素含有ガスの代わりに不活性ガス、炭化水素ガス、または還元剤を供給する供給手段、および前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて前記供給手段を制御する制御手段を有する燃料電池システム。
  24. 電解質、前記電解質を挟む一対の電極、および前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方に酸素含有ガスを供給・排出するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備するセルのスタックを有する燃料電池システムであって、セルまたはスタックの電圧を検出する電圧検出手段、前記セルまたはスタックの電流を増減する電流増減手段、および前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて前記電流増減手段を制御する制御手段を有する燃料電池システム。
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