JP5629535B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
そこで、本発明の目的は、荷重負荷時の接地面積を増加させ、氷上性能を向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
(1)トレッド踏面に、複数の溝により複数のブロックを区画してなる空気入りタイヤにおいて、
前記複数のブロックには、タイヤ赤道面を横切る向きに延びる複数のサイプが形成され、前記複数のサイプによって区画されたブロック片の表面に椀状の凹部が形成されており、
トレッドショルダー部のブロックに形成された凹部の深さは、トレッドセンター部のブロックに形成された凹部の深さより深いことを特徴とする空気入りタイヤ。
前記トレッド踏面に、前記多角形ブロックがトレッド周方向に間隔を置いて並べられた多角形ブロック列を2列以上設けるとともに、
トレッド幅方向で隣り合う多角形ブロック列に属する多角形ブロックを、一方の多角形ブロック列に属する多角形ブロックのトレッド周方向位置が、他方の多角形ブロック列に属する、トレッド周方向で隣り合う多角形ブロック同士の間に位置されるとともに、一方の多角形ブロック列に属する多角形ブロックと他方の多角形ブロック列に属する多角形ブロックとがトレッド周方向視およびトレッド幅方向視の双方において部分的に重なるよう千鳥状に配列することにより、多角形ブロックが密集配置されたブロック群を形成した、
ことを特徴とする上記(1)〜(4)に記載した空気入りタイヤ。
なお、タイヤの内部補強構造等は一般的なラジアルタイヤのそれと同様であるので図示
を省略する。
なお、上述した例では、サイプ5は隣り合う周方向溝2を連通させていたが、サイプ5はブロック内で終端してもよい。また、サイプ5はタイヤ赤道面CLを横切る向き、すなわち、タイヤ赤道面CLに平行な向き以外に延びればよく、タイヤ赤道面CLに対して傾斜して延びてもよいが、エッジ効果を最大限に発揮するためにはトレッド幅方向に延びていることが好ましい。
図2(a)〜(d)はブロック片4aが接地直後の状態から、タイヤの回転に伴って、タイヤ回転軸の直下に至り、接地域内から抜け出すまでの状態を順に示したものである。
まず、図2(a)に示す、ブロック片4aが接地直後のほぼ無荷重の状態から、ブロック片4aが接地域内に入り始め、ブロック片4aに荷重が加わり始めると、図2(b)に示すように、ブロック片4aの表面部分は、凹部6が拡張する向きに変形し、凹部6と氷路面20との間の凹部内空間が狭くなり、この凹部6内に存在する空気が外側に放出される。
次に、図2(c)に示すように、ブロック片4aがタイヤ回転軸の直下に完全に入り、さらに荷重が加わると、最終的に凹部6の全表面が氷路面20に接地する結果、ブロック片4aの表面を超える径で広がるため、接地面積が増加する。この状態から、図2(d)に示すように、タイヤがさらに回転して、ブロック片4aに荷重がかからなくなると、凹部6はもとの形状に復元しようとするが、その際凹部6内が減圧下におかれ、この減圧による吸着効果(吸盤効果)により、ブロック片4aは氷路面20に対する吸着力を得る。この吸着力により、除荷状態になってもなお路面20との接触が維持される。その結果、凹部6の表面による接地面積の増大に加えて、吸着効果により、ブロック片4aのすべりや浮き上がりは抑制され、氷上ブレーキ性能が向上する。
特に、タイヤがブレーキング状態にあるときは、接地面の後半のブロックが除荷されていく過程において最も滑りやすくなるが、上述したとおり、本発明はこのときの浮き上がり変形を抑制、接地面積を大幅に確保することが可能となり、氷上ブレーキ性能を向上させることができる。また、氷路面20に存在していた水膜は、ブロック片4a間のサイプ5に入り込むことも、氷上ブレーキ性能の向上に寄与する。
一方、本発明では、荷重負荷時の接地面積をトレッド周方向およびトレッド幅方向の両方向に増加させ、さらに、上述した吸着効果により、氷上性能をさらに向上させることが可能となった。
なお、凹部6の形状は、トレッド周方向およびトレッド幅方向に異なる曲線とすることもできる。例えば、トレッド周方向には単一の曲率Rにより形成され、トレッド幅方向にはバスタブ曲線を描く凹部6とすることもできる。
図4(a)では、サイプ5がトレッド周方向に振幅を有するジグザグ状である。ジグザグ状のサイプ5により、ブロック片4aのエッジ効果を高めることができる。なお、サイプの深さ方向にも振幅を有する、いわゆる3Dサイプとすることもできる。
図4(b)では、凹部6の縁がサイプ5および/またはブロック端4Eに接している。この構成により、ブロック片4aの縁部の厚さが減少するので、ブロック片4aが荷重を受けて、凹部6の表面を接地させる際に、ブロック片4aの縁部分の抵抗が小さく、接地面積を増大させることができる。
なお、トレッドショルダー部とは、トレッド端TEに最も近いブロックのことであり、トレッドセンター部のブロックは、タイヤ赤道面CLに最も近いブロックのことである。
トレッド踏面1には、トレッド周方向に沿って延びる3本の周方向溝2a、2b、2cが設けられている。これらの周方向溝2a、2b間には、溝9によって区画され平面形状が八角形の多角形ブロック10が多数設けられている。多角形ブロック10の平面形状は八角形に限らず五角形以上の多角形とすることができるが、トレッド幅方向に延びるエッジを確実に配置できるとともに、後述のように多角形ブロック10を千鳥状にかつ密に配置しやすくなるので八角形とすることが好ましい。各多角形ブロック10には、トレッド幅方向にジグザグ状に延びる2本のサイプ5が形成されている。これらのサイプ5によって、多角形ブロック10は3個のブロック片10aに区画されている。ブロック片10aの表面には、平面視で略楕円形の凹部6が形成されている。
ここに、ブロック群Gにおいて、多角形ブロック10を区画する溝9は、トレッド周方向に隣り合う多角形ブロック10間に挟まれた溝部分9aと、千鳥関係にある多角形ブロック10間に挟まれた溝部分9bと、を有する。
発明例タイヤおよび従来例タイヤのサンプルピースを試作し、FEM計算および氷上ターンテーブル試験により氷上性能を評価した。
サンプルピースとして、図6(a)に示す従来例タイヤのブロックおよび図6(b)に示す発明例タイヤのブロックを用意した。各ブロック4はトレッド幅方向に延びるサイプ5によりブロック片4aに区画されている。従来例タイヤのブロック片4aの表面は平面である。発明例タイヤのブロック片4aの表面には椀状の凹部6が形成されている。
FEM計算により、発明例および従来例に関して、接地面積、平均エッジ圧および予測氷上性能を測定した。結果は、従来例を100として表1に指数表示した。いずれの測定項目も、数値が大きいほど性能が優れていることを示す。
氷(温度−2℃)を配置したターンテーブルの上で、発明例および従来例のサンプルピースを用いて、氷上摩擦係数を測定した。試験条件としては、荷重3kgf/cm2、速度5km/hとした。結果は、従来例を100として表1に指数表示した。いずれの測定項目も、数値が大きいほど性能が優れていることを示す。
以上の通り、本発明により、氷上性能を向上させた空気入りタイヤを提供することができる。
2 周方向溝
3 幅方向溝
4 ブロック
4a ブロック片
5 サイプ
6 凹部
10 多角形ブロック
10a ブロック片
11 多角形ブロック列
G ブロック群G
Claims (4)
- トレッド踏面に、複数の溝により複数のブロックを区画してなる空気入りタイヤにおいて、
前記複数のブロックには、タイヤ赤道面を横切る向きに延びる複数のサイプが形成され、前記複数のサイプによって区画されたブロック片の表面に椀状の凹部が形成されており、
トレッドショルダー部のブロックに形成された凹部の深さは、トレッドセンター部のブロックに形成された凹部の深さより深いことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記凹部は、トレッド幅方向およびトレッド周方向のそれぞれに単一の曲率により形成されている表面を有することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記凹部の深さは、前記溝の深さの10%以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- トレッド踏面に、複数の溝により五角形以上の多角形の平面形状をした複数の多角形ブロックを区画してなる空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド踏面に、前記多角形ブロックがトレッド周方向に間隔を置いて並べられた多角形ブロック列を2列以上設けるとともに、
トレッド幅方向で隣り合う多角形ブロック列に属する多角形ブロックを、一方の多角形ブロック列に属する多角形ブロックのトレッド周方向位置が、他方の多角形ブロック列に属する、トレッド周方向で隣り合う多角形ブロック同士の間に位置されるとともに、一方の多角形ブロック列に属する多角形ブロックと他方の多角形ブロック列に属する多角形ブロックとがトレッド周方向視およびトレッド幅方向視の双方において部分的に重なるよう千鳥状に配列することにより、多角形ブロックが密集配置されたブロック群を形成した、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載した空気入りタイヤ。
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