JP5164497B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
このスノータイヤは、筒状突起を内部空間が接地面に向けて広がる錐状に形成することによって、トレッド踏面が氷路面等に接地すると内部空間の空気が排出され、これにより筒状突起が吸盤的に作用し、接地面に対して吸着作用が生じるとしている。
(1)タイヤのトレッド踏面に、複数の溝により多数のブロックを区画してなる空気入りタイヤであって、
少なくともトレッド幅方向中央域に配置したブロックが円柱型であり、該円柱型ブロックの表面に椀状の凹部を有し、前記円柱型ブロックの半径rの、前記凹部の中心深さdに対する比r/dが2.5〜15の範囲にあることを特徴とする空気入りタイヤ。
また、トレッド幅方向中央域とは、タイヤ赤道を挟んで、トレッド踏面の1/2の面積の部分をいうものとする。
トレッド幅方向側方域とは、トレッド踏面のトレッド幅方向中央域以外の部分をいうものとする。
なお、タイヤの内部補強構造等は一般的なラジアルタイヤのそれと同様であるので図示を省略する。
図1に示す例では、トレッド幅方向に溝2Vを挟んで7個の円柱型ブロック10を配置し、さらにこれら7個の円柱型ブロック10の相互間に対応して、6個の円柱型ブロック10を配置する。これら2列の組み合わせをトレッド周方向に繰り返すことで、円柱型ブロック10は千鳥格子状の配置となる。なお、一列に配置する円柱型ブロック10の個数はこの図の例に限定されるものではない。
また、円柱型ブロック10は、同じ径の角柱型ブロックと比較して、溝2の体積を増加することとなるので、排水性を向上させることができる。
まず、図5(a)に示す、円柱型ブロック10が接地直後のほぼ無荷重の状態から、円柱型ブロック10が接地域内に入り始め、円柱型ブロック10に荷重が加わり始めると、図5(b)に示すように、円柱型ブロック10の表面部分は、凹部12の径が拡張する向きに変形し、凹部12と氷路面15との間の凹部内空間が狭くなり、この凹部12内に存在する空気が外側に放出される。
次に、図5(c)に示すように、円柱型ブロック10がタイヤ回転軸の直下に完全に入り、さらに荷重が加わると、最終的に凹部12の全表面が氷路面15に接地する結果、円柱型ブロック10の径を超える径で広がる接地面積が獲得される。この状態から、図5(d)に示すように、タイヤがさらに回転して、円柱型ブロック10に荷重がかからなくなると、凹部12は球冠状に復元しようとするが、その際凹部12内が減圧下におかれることになり、この減圧による吸着効果(吸盤効果)により、円柱型ブロック10は氷路面15に対する吸着力を得る。この吸着力により、除荷状態になってもなお路面との接触が維持される。その結果、円柱型ブロック10のすべりや浮き上がりは抑制され、接地面積が増大するため、氷上ブレーキ性能が向上する。
特に、タイヤがブレーキング状態にあるときは、接地面の後半のブロックが除荷されていく過程において最も滑りやすくなるが、上述したとおり、本発明はこのときの浮き上がり変形を抑制、接地面積を大幅に確保することが可能となり、氷上ブレーキ性能を向上させることができる。
また、接地面となる凹部12の径と円柱型ブロック10の径とが同一であるため、円柱型ブロック10の円周部分には厚みがない。それゆえ、円柱型ブロック10が荷重を受けて、凹部12の表面を接地させる際に、円柱型ブロック10の円周部分の抵抗が小さく、接地面積を増大させることができる。
これに対して、上述した、筒状突起を有するスノータイヤの場合、筒状突起によって、接地面に対する吸着作用を狙っているが、吸着作用が十分ではない。この理由として以下の2点が挙げられる。すなわち、筒状突起の凹部は錐状であるため、最大荷重がかかった場合でも、凹部の全表面が接地することはない。また、筒状突起は、その径よりも小さい底面の径を有する錘状の凹部を形成するために、筒状突起の円周部分に厚みを有する。この構造もまた、凹部の全表面が接地することを妨げる。凹部の一部しか接地しないと、氷路面に対する吸着作用が十分ではなく、それゆえ、筒状突起のすべりが発生し、接地面積が減少するため、氷上ブレーキ性能を阻害する。
2.5〜15の範囲にあることが好適である。
なぜなら、この比r/dが、2.5より小さいと、凹部12が深すぎることを意味し、凹部12が完全には接地せず、十分な吸盤効果が得られないためである。
一方、この比r/dが、15より大きいと、凹部12が浅すぎることを意味し、凹部12と接地面とによって形成する空間が小さいため、十分な吸盤効果が得られないためである。
なお、この凹部12による吸盤効果については、以下で詳細に説明する。
次に、円柱型ブロックをトレッド幅方向中央域に配置し、残るトレッド幅方向側方域に通常のブロックを配置した、本発明の空気入りタイヤの他の実施形態を示すトレッドパターンの展開図を図7に示す。
図示のトレッドパターンは、トレッド幅方向側方域に、トレッド周方向に延びる周方向溝3とトレッド幅方向に延びる幅方向溝4とにより、円柱型の円柱型ブロック10よりも表面積の大きい角柱型ブロック20を区画するものである。この角柱型ブロック20は、表面にトレッド幅方向に延びる複数のサイプ21を有する。角柱型のブロック20はトレッド周方向に連なる陸部列を形成する。
図7に示すように、円柱型の円柱型ブロック10と角柱型のブロック20を組み合わせて配置することにより、円柱型ブロック10によるすべり抑制効果と、角柱型ブロック20によるトレッド幅方向側方域剛性を両立することが可能となる。一般的に、トレッド幅方向側方域は接地圧が高く、ここでのブロックへのせん断入力は大きくなる。このトレッド幅方向側方域に角柱型ブロック20を配置すると、サイプで分断された角柱型ブロック20のブロック片ごとに接触して支えあい、倒れこみを抑制する効果が得られる。したがって、氷雪上において、優れたすべり抑制効果と倒れこみ抑制効果を両立することが可能となる。
図7は、上述したように、発明例タイヤのトレッドパターンの展開図を示し、図8は、従来例タイヤのトレッドパターンの展開図を示す。図8に示す従来例タイヤでは、図7に示す発明例タイヤのトレッド幅方向中央域に配置した円柱型のブロックの代わりに、角柱型のブロック20をトレッド踏面1の全体に配置した点以外は、図7に示す発明例タイヤと同じ構造である。
1 トレッド踏面
2、2H、2V 溝
3 周方向溝
4 幅方向溝
10 円柱型ブロック
12 凹部
15 氷路面
20 角柱型ブロック
21 サイプ
Claims (2)
- タイヤのトレッド踏面に、複数の溝により多数のブロックを区画してなる空気入りタイヤであって、
少なくともトレッド幅方向中央域に配置したブロックが円柱型であり、該円柱型ブロックの表面に椀状の凹部を有し、
前記円柱型ブロックの半径rの、前記凹部の中心深さdに対する比r/dが2.5〜15の範囲にあることを特徴とする空気入りタイヤ。 - トレッド幅方向側方域に配置したブロックは、角柱型であり、該角柱型ブロックの表面にトレッド幅方向に延びる複数のサイプを有し、該角柱型ブロックはトレッド周方向に連なる陸部列を形成する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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