JP5615945B2 - 積層キャパシター及び積層キャパシターの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層キャパシター及び積層キャパシターの製造方法に関する。
従来から、固体電子装置においては、高速動作の期待できる強誘電体薄膜を備えた装置が開発されている。固体電子装置に用いる誘電体材料として、金属酸化物が現在盛んに開発されているが、Pbを含まず、比較的低温で焼成可能な誘電セラミックスとして、BiNbOが挙げられる。このBiNbOについては、固相成長法によって形成されたBiNbOの誘電特性が報告されている(非特許文献1)。また、未だ出願公開はされていないが、本願出願人は、製造工程の簡素化がより図れるとともに、比較的高い絶縁性と比誘電率を備えた、ある特殊な結晶構造を有する結晶相を備えたビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物層(不可避不純物を含み得る)とその製造方法に関する発明を出願している(特許文献1及び2)。
特願2011−245915 特願2011−245916
Effect of phase transition on the microwave dielectric properties of BiNbO4, Eung Soo Kim, Woong Choi, Journal of the European Ceramic Society 26 (2006) 1761−1766
しかしながら、従来技術である固相成長法によって形成されたBiNbOによる絶縁体の比誘電率は高くないため、積層キャパシターの誘電体として用いるには、さらに誘電特性を向上させる必要がある。
また、従来技術では、真空プロセスやフォトリソグラフィー法を用いたプロセス等、比較的長時間、及び/又は高価な設備を要するプロセスが一般的であるため、原材料や製造エネルギーの使用効率が非常に悪くなる。上述のような製造方法が採用された場合、積層キャパシターを製造するために多くの処理と長時間を要するため、工業性ないし量産性の観点から好ましくない。また、従来技術には、大面積化が比較的困難であるという問題も存在する。
本出願人がこれまでに出願した発明は、従来技術における上述の各技術課題に対する幾つかの解決手段を提案するが、積層キャパシターに採用される誘電体及び電極の最適化に向けた研究及び開発は、未だ道半ばである。
本発明は、上述の諸問題の少なくとも1つを解決することにより、酸化物を少なくとも誘電体層に適用した積層キャパシターの高性能化、又はそのような積層キャパシターの製造プロセスの簡素化と省エネルギー化を実現する。その結果、本発明は、工業性ないし量産性に優れた積層キャパシターの提供に大きく貢献するものである。
本願発明者らは、数多く存在する酸化物の中から、積層キャパシターの誘電体及び/又は電極層としての機能を適切に発揮させる酸化物の選定と組み合わせについて鋭意研究と分析を重ねた。興味深いことに、例えば、誘電体としての酸化物の性能が高い場合であっても、電極層間で挟み込んだときに誘電体としての性能の高さが全く活かされない場合や、誘電体としてはほとんど機能しない場合がある。
しかしながら、本願発明者らは、多くの試行錯誤と詳細な分析の結果、積層キャパシターの誘電体をある特定の酸化物層の組み合わせによって形成した特殊な積層構造とした上で、その誘電体層を電極層間に挟み込むように、換言すれば、いわばサンドイッチ構造となるように配置することにより、誘電体層の性能を適切に発揮させることができることを知見した。また、そのようなサンドイッチ構造を複数積層することにより、積層キャパシターが実現されることが確認された。加えて、発明者らは、電極層についても特定の酸化物層を適用することにより、電極層及び誘電体層のいずれもが酸化物層を用いて形成されることを見出した。さらに、発明者らは、それらの特定の酸化物層及び/又は電極層が、製造工程の簡素化がより図れる材料となり得ることを見出した。本発明は上述の各視点に基づいて創出された。
本発明の1つの積層キャパシターは、電極層と誘電体層とが交互に少なくとも2回積み重ねられた構造を一部に備えている。さらにこの積層キャパシターは、前述の誘電体層が、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物、又はビスマス(Bi)と亜鉛(Zn)とニオブ(Nb)とからなる酸化物(不可避不純物を含み得る)によって構成される第1酸化物層と、ランタン(La)とタンタル(Ta)とからなる酸化物、ランタン(La)とジルコニウム(Zr)とからなる酸化物、及びストロンチウム(Sr)とタンタル(Ta)とからなる酸化物の群から選択される1種の酸化物(不可避不純物を含み得る)によって構成される第2酸化物層との積層酸化物からなる。
この積層キャパシターは、電極層と誘電体層とが交互に少なくとも2回積み重ねられた構造を一部に備えた積層キャパシターである。また、上述の誘電体層は、第1酸化物層と第2酸化物層とが積層された積層酸化物である。ここで、発明者らの研究の結果、第1酸化物は、比較的高誘電率ではあるが、リーク電流値が大きく、表面の平坦性が低いことが分かった。一方、第2酸化物は、比較的低誘電率ではあるが、リーク電流値が非常に小さく、表面平坦性に優れていることが分かった。そして、興味深いことに、発明者らが第1酸化物層と第2酸化物層とを積層した積層酸化物を調査と分析を行った結果、この積層酸化物が、リーク電流値及び平坦性に関しては第2酸化物の良さを活用し、誘電率に関しては第1酸化物の良さを活用していると考えられる結果が得られた。
上述の積層キャパシターの別態様として、さらに、一部の誘電体層を挟むように配置される電極層が、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる酸化物、アンチモン(Sb)と錫(Sn)とからなる酸化物、及びインジウム(In)と錫(Sn)とからなる酸化物の群から選択される1種の電極層用酸化物(不可避不純物を含み得る)であることは、好ましい一態様である。これにより、誘電体層及び電極層用酸化物のいずれもが酸化物によって形成された高性能の積層キャパシターが実現される。
また、本発明の1つの積層キャパシターの製造方法においては、次の(1)第1酸化物層形成工程及び(2)第2酸化物層形成工程の各工程を、第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、その第1電極層との間に第1酸化物層と第2酸化物層とを挟むように形成される第2電極層を形成する第2電極層形成工程との間に行う。加えて、前述の第1電極層形成工程、次の(1)第1酸化物層形成工程、次の(2)第2酸化物層形成工程、及び前述の第2電極層形成工程が、少なくとも2回繰り返される。
(1)ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液、又はビスマス(Bi)を含む前駆体、亜鉛(Zn)を含む前駆体、及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液である第1前駆体溶液を出発材とする第1前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより、前記ビスマス(Bi)と前記ニオブ(Nb)、又は前記ビスマス(Bi)と前記亜鉛(Zn)と前記ニオブ(Nb)からなる第1酸化物層(不可避不純物を含み得る)を形成する第1酸化物層形成工程。
(2)ランタン(La)を含む前駆体及びタンタル(Ta)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液、ランタン(La)を含む前駆体及びジルコニウム(Zr)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液、及びストロンチウム(Sr)を含む前駆体及びタンタル(Ta)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液の群から選択される1種の第2前駆体溶液を出発材とする第2前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより、前記ランタン(La)と前記タンタル(Ta)、前記ランタン(La)と前記ジルコニウム(Zr)、又は前記ストロンチウム(Sr)と前記タンタル(Ta)とからなる第2酸化物層(不可避不純物を含み得る)を、前記第1酸化物層上又は下に形成する第2酸化物層形成工程。
なお、各工程の間に基板の移動や検査等の本発明の要旨とは関係のない工程が行われることを妨げるものではない。
この積層キャパシターの製造方法によれば、フォトリソグラフィー法を用いない比較的簡素な処理(例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法、凹版/凸版印刷法、又はナノインプリント法)によって第1酸化物及び第2酸化物が形成され得る。加えて、大面積化も容易である。従って、この積層キャパシターの製造方法によれば、工業性ないし量産性に優れた積層キャパシターの製造方法を提供することができる。
また、上述の積層キャパシターの製造方法の別態様として、さらに、第1電極層を形成する工程及び/又は第2電極層を形成する工程が、ランタン(La)を含む前駆体及びニッケル(Ni)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液、アンチモン(Sb)を含む前駆体及び錫(Sn)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液、又はインジウム(In)を含む前駆体と錫(Sn)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液である電極層用前駆体溶液を出発材とする電極層用前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより、そのランタン(La)とそのニッケル(Ni)とからなる酸化物、そのアンチモン(Sb)とその錫(Sn)とからなる酸化物、又はそのインジウム(In)とその錫(Sn)とからなる酸化物である電極層用酸化物(不可避不純物を含み得る)を形成する工程であることは、好ましい一態様である。これにより、第1電極層及び/又は第2電極層、並びに誘電体層が、酸化物によって形成された高性能の積層キャパシターが実現される。
また、上述の積層キャパシターの製造方法の別態様として、第1酸化物層形成工程及び/又は第2酸化物層形成工程において、第1前駆体溶液を出発材とする第1前駆体層又は第2前駆体溶液を出発材とする第2前駆体層を、前述の第1酸化物又は前述の第2酸化物を形成する前に、酸素含有雰囲気中において、80℃以上300℃以下で加熱した状態で型押し加工を施すことにより、前述の第1前駆体層又は前述の第2前駆体層に対して型押し構造を形成する型押し工程をさらに含むことは、もう1つの好ましい一態様である。これにより、真空プロセスやフォトリソグラフィー法を用いたプロセス、あるいは紫外線の照射プロセス等、比較的長時間、及び/又は高価な設備を必要とするプロセスが不要になる。また、前述のような各プロセスを要せずに、比較的低温の加熱処理によって第1酸化物層及び第2酸化物層が形成されるため、工業性ないし量産性に優れる。
また、上述の積層キャパシターの製造方法の別態様として、第1電極層及び/又は第2電極層の形成工程において、電極層用前駆体溶液を出発材とする電極層用前駆体層を、前述の電極層用酸化物を形成する前に、酸素含有雰囲気中において、80℃以上300℃以下で加熱した状態で型押し加工を施すことにより、前述の電極層用前駆体層に対して型押し構造を形成する型押し工程をさらに含むことは、もう1つの好ましい一態様である。これにより、真空プロセスやフォトリソグラフィー法を用いたプロセス、あるいは紫外線の照射プロセス等、比較的長時間、及び/又は高価な設備を必要とするプロセスが不要になる。また、前述のような各プロセスを要せずに、比較的低温の加熱処理によって第1電極用及び/又は第2電極用の電極用酸化物が形成されるため、工業性ないし量産性に優れる。なお、本出願において、上述の「電極層用前駆体溶液」、「電極層用前駆体層」、及び「電極層用酸化物」は、いずれも、最終的に形成される第1電極又は第2電極に適用又は対応しうる。
ところで、本願において、「型押し」は「ナノインプリント」と呼ばれることもある。
本発明の1つの積層キャパシターによれば、リーク電流を低く抑えるとともに平坦性が優れた誘電体層を有する、電極層と誘電体層とが交互に少なくとも2回積み重ねられた構造を一部に備える積層キャパシターが実現される。また、本発明の1つの積層キャパシターの製造方法によれば、比較的簡素な処理によって第1酸化物層及び第2酸化物層が形成されるため、工業性ないし量産性に優れた積層キャパシターの製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの構造を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における積層キャパシターの製造方法の一過程を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態における酸化物層の結晶構造を示す断面TEM写真及び電子線回析像である。 比較例における酸化物層の結晶構造を示す断面TEM写真及び電子線回析像である。 本発明の第1の実施形態における第1酸化物層及びその他の実施形態における酸化物層の、周波数(Hz)に対するtanδ値を示すグラフである。
本発明の実施形態である積層キャパシター100及びその製造方法を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。なお、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしも互いの縮尺を保って記載されるものではない。さらに、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。
<第1の実施形態>
[積層キャパシター100の構造]
図1は、本実施形態における積層キャパシター100の構造を示す断面模式図である。図1に示すように、本実施形態の積層キャパシター100は、計5層の電極層と計4層の誘電体層とが交互に積層された構造を一部に備えている。また、電極層と誘電体層とが交互に積層されていない部分では、下層側の電極層(例えば、第1段目の電極層20a)と上層側の電極層(例えば、第5段目の電極層20e)とが電気的に接続するように、各電極層が形成されている。また、図1中の縦の一点鎖線は、各層の形成後にダイシングによって分離される箇所を示している。なお、各電極層20a,20b,20c,20d,20eの材料ないし組成、及び各誘電体層30a,30b,30c,30dの材料ないし組成は、後述する本実施形態の積層キャパシター100の製造方法の説明の中で開示される。
[積層キャパシター100の製造工程]
図2乃至図12は、製造方法の一過程を示す断面模式図である。なお、図2、図3、図5、及び図7は、説明の便宜のため、図1に示す積層キャパシター100の一部の構造を抜き出して表したものである。また、本出願における温度の表示は、ヒーターの設定温度を表している。
(1)第1段目の電極層20aの形成
本実施形態では、まず、SiO/Si基板(すなわち、シリコン基板上に酸化シリコン膜を形成した基板。以下、単に「基板」ともいう)10上に、公知のスピンコーティング法により、ランタン(La)を含む前駆体及びニッケル(Ni)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液(電極層用前駆体溶液という。以下、第1段目乃至第5段目の電極層用前駆体の溶液に対して同じ。)を出発材とする電極層用前駆体層21aを形成する。その後、予備焼成として、約5分間、150℃以上250℃以下に加熱する。なお、この予備焼成は、酸素雰囲気中又は大気中(以下、総称して、「酸素含有雰囲気」ともいう。)で行われる。
なお、この予備焼成により、電極層用前駆体層21a中の溶媒を十分に蒸発させるとともに、将来的な塑性変形を可能にする特性を発現させるために好ましいゲル状態(熱分解前であって有機鎖が残存している状態と考えられる)を形成することができる。前述の観点をより確度高く実現するから言えば、予備焼成温度は、80℃以上250℃以下が好ましい。その後、第1段目の電極層20aのパターニングを行うために、図2に示すように、200℃に加熱した状態で、電極層用型M1を用いて、1MPa以上20MPa以下の圧力(代表的には、5MPの圧力)で型押し加工を施す。その結果、本実施形態の電極層用型M1により、層厚が約100nm〜約300nmの厚層部と層厚が約10nm〜約100nmの薄層部とを備える第1段目の電極層用前駆体層21aが形成される。
また、発明者らの研究によれば、上述の型押し加工の際、第1段目の電極層用前駆体層21aのみならず、後述する第2乃至第5の電極層用前駆体層を80℃以上300℃以下の範囲内で加熱することにより、前述の各電極層用前駆体層の塑性変形能力が高くなるとともに、主溶媒を十分に除去できることが明らかとなった。従って、前述の各電極層用前駆体層を、型押し加工の際、80℃以上300℃以下の範囲内で加熱することは好ましい一態様である。ここで、型押し加工時の加熱温度が80℃未満である場合には、前述の各電極層用前駆体層の温度が低下することに起因して各前駆体層の塑性変形能力が低下することになるため、型押し構造の成型時の成型の実現性、又は成型後の信頼性ないし安定性が乏しくなる。また、型押し加工時の加熱温度が300℃を超える場合には、塑性変形能の根源である有機鎖の分解(酸化熱分解)が進むため、塑性変形能力が低下するからである。さらに、前述の観点から言えば、前述の各電極層用前駆体層を、型押し加工の際、100℃以上250℃以下の範囲内で加熱することは、さらに好ましい一態様である。
その後、第1段目の電極層用前駆体層21aを全面エッチングすることにより、図3に示すように、第1段目の電極層に対応する領域以外の領域から第1段目の電極層用前駆体層21aを除去する(第1段目の電極層用前駆体層21aの全面に対するエッチング工程)。なお、本実施形態のエッチング工程は、真空プロセスを用いることないウェットエッチング技術を用いて行われたが、プラズマを用いた、いわゆるドライエッチング技術によってエッチングされることを妨げない。なお、プラズマ処理を大気圧下において行う公知技術を採用することも可能である。
さらにその後、本焼成として、第1段目の電極層用前駆体層21aを、酸素雰囲気中、約15分間、580℃に加熱することにより、図4に示すように、基板10上に、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる第1段目の電極層用酸化物層(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。また、単に「第1段目の電極層」ともいう。)20aが形成される。また、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる電極用酸化物層(第1段目の電極用酸化物層のみならず、その他の電極用酸化物層を含む)は、LNO層とも呼ばれる。
また、本実施形態における第1段目の電極層20aのためのランタン(La)を含む前駆体の例は、酢酸ランタンである。その他の例として、硝酸ランタン、塩化ランタン、又は各種のランタンアルコキシド(例えば、ランタンイソプロポキシド、ランタンブトキシド、ランタンエトキシド、ランタンメトキシエトキシド)が採用され得る。また、本実施形態における第1段目の電極層20aのためのニッケル(Ni)を含む前駆体の例は、酢酸ニッケルである。その他の例として、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、又は各種のニッケルアルコキシド(例えば、ニッケルイソプロポキシド、ニッケルブトキシド、ニッケルエトキシド、ニッケルメトキシエトキシド)が採用され得る。
加えて、本実施形態では、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる第1段目の電極層20aが採用されているが、第1段目の電極層20aはこの組成に限定されない。例えば、アンチモン(Sb)と錫(Sn)とからなる第1段目の電極層(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)を採用することもできる。その場合、アンチモン(Sb)を含む前駆体の例として、酢酸アンチモン、硝酸アンチモン、塩化アンチモン、又は各種のアンチモンアルコキシド(例えば、アンチモンイソプロポキシド、アンチモンブトキシド、アンチモンエトキシド、アンチモンメトキシエトキシド)が採用され得る。また、錫(Sn)を含む前駆体の例として、酢酸錫、硝酸錫、塩化錫、又は各種の錫アルコキシド(例えば、錫イソプロポキシド、錫ブトキシド、錫エトキシド、錫メトキシエトキシド)が採用され得る。また、インジウム(In)と錫(Sn)とからなる酸化物(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)を採用することもできる。その場合、インジウム(In)を含む前駆体の例は、酢酸インジウム、硝酸インジウム、塩化インジウム、又は各種のインジウムアルコキシド(例えば、インジウムイソプロポキシド、インジウムブトキシド、インジウムエトキシド、インジウムメトキシエトキシド)が採用され得る。また、錫(Sn)を含む前駆体の例は、前述の例と同じである。
(2)第1段目の誘電体層30aの形成
まず、図5に示すように、基板10上に、公知のスピンコーティング法により、ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液(第1前駆体溶液という。以下、第1前駆体の溶液に対して同じ。)を出発材とする第1前駆体層31aを形成する。その後、予備焼成として、約5分間、250℃に加熱する。なお、この予備焼成は、酸素含有雰囲気で行われる。また、この予備焼成により、第1前駆体層31a中の溶媒を十分に蒸発させるとともに、将来的な塑性変形を可能にする特性を発現させるために好ましいゲル状態(熱分解前であって有機鎖が残存している状態と考えられる)を形成することができる。前述の観点をより確度高く実現するから言えば、予備焼成温度は、80℃以上250℃以下が好ましい。本実施形態では、最終的に十分な第1酸化物層31の厚み(例えば、約180nm)を得るために、前述のスピンコーティング法による第1前駆体層31aの形成と予備焼成を5回繰り返した。
続いて、第1前駆体層31a上に、公知のスピンコーティング法により、ランタン(La)を含む前駆体及びタンタル(Ta)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする第2前駆体層32aを形成する。その後、予備焼成として、酸素含有雰囲気中で、約5分間、80℃以上250℃以下に加熱(代表的には、250℃)に加熱する。本実施形態では、最終的に十分な第2酸化物層32の厚み(例えば、約20nm)を得るために、前述のスピンコーティング法による第2前駆体層32aの形成と予備焼成を1回実施した。その結果、図6に示すように、基板10及び第1段目の電極層20a上に、第1前駆体層31aと第2前駆体層32aとの積層構造を備えた誘電体層用前駆体層33aが形成される。
本実施形態では、予備焼成のみを行った積層状態の第1前駆体層31a及び第2前駆体層32aに対して、型押し加工を施す。具体的には、誘電体層30aのパターニングを行うため、図7に示すように、80℃以上300℃以下に加熱した状態で、誘電体層用型M2を用いて、1MPa以上20MPa以下の圧力(代表的には、5MP)で型押し加工を施す。その結果、本実施形態の誘電体層用型M2により、いずれも、層厚が約100nm〜約300nmの厚層部と層厚が約10nm〜約100nmの薄層部とを備える、第1前駆体層31aと第2前駆体層32aとの積層構造が形成される。
その後、誘電体層用前駆体層33aを全面エッチングすることにより、誘電体層30aに対応する領域以外の領域からゲート誘電体層用前駆体層33aを除去する(誘電体層用前駆体層33aの全面に対するエッチング工程)。なお、本実施形態の誘電体層用前駆体層33aのエッチング工程は、真空プロセスを用いることないウェットエッチング技術を用いて行われたが、プラズマを用いた、いわゆるドライエッチング技術によってエッチングされることを妨げない。
その後、本焼成として、第1前駆体層31a及び第2前駆体層32aを、酸素雰囲気中、約20分間、550℃で加熱することにより、図8に示すように、基板10及び第1段目の電極層20a上に、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる第1酸化物層31(不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)と、ランタン(La)とタンタル(Ta)とからなる第2酸化物層32(不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)との積層酸化物が形成される。なお、本実施形態における第1酸化物層31の厚みは約50nm〜約250nmであり、第2酸化物層32の厚みは約5nm〜約50nmである。また、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる第1酸化物層31は、BNO層とも呼ばれる。また、ランタン(La)とタンタル(Ta)とからなる第2酸化物層32は、LTO層とも呼ばれる。
ところで、本実施形態の積層キャパシター100では、上述の第1酸化物層31と第2酸化物層32との積層酸化物層が誘電体層30aとして用いられることになる。
ここで、本実施形態における第1酸化物層31のためのビスマス(Bi)を含む前駆体の例は、オクチル酸ビスマスである。その他の例として、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、又は各種のビスマスアルコキシド(例えば、ビスマスイソプロポキシド、ビスマスブトキシド、ビスマスエトキシド、ビスマスメトキシエトキシド)が採用され得る。また、本実施形態における第1酸化物層31のためのニオブ(Nb)を含む前駆体の例は、オクチル酸ニオブである。その他の例として、塩化ニオブ、硝酸ニオブ、又は各種のニオブアルコキシド(例えば、ニオブイソプロポキシド、ニオブブトキシド、ニオブエトキシド、ニオブメトキシエトキシド)が採用され得る。
また、本実施形態における第2酸化物層32のためのランタン(La)を含む前駆体の例は、酢酸ランタンである。その他の例として、硝酸ランタン、塩化ランタン、又は各種のランタンアルコキシド(例えば、ランタンイソプロポキシド、ランタンブトキシド、ランタンエトキシド、ランタンメトキシエトキシド)が採用され得る。また、本実施形態における第2酸化物層32のためのタンタル(Ta)を含む前駆体の例は、タンタルブトキシドである。その他の例として、硝酸タンタル、塩化タンタル、又はその他の各種のタンタルアルコキシド(例えば、タンタルイソプロポキシド、タンタルブトキシド、タンタルエトキシド、タンタルメトキシエトキシド)が採用され得る。
また、本実施形態の第1酸化物層31におけるビスマス(Bi)とニオブ(Nb)との原子組成比は、ビスマス(Bi)が1としたときにニオブ(Nb)が1であった。また、本実施形態の第2酸化物層32におけるランタン(La)とタンタル(Ta)との原子組成比は、ランタン(La)を1としたときにタンタル(Ta)が1.5であった。また、このときの第1酸化物層31の厚みは約160nmであり、第2酸化物層32の厚みは約20nmであった。なお、第1酸化物層31におけるビスマス(Bi)とニオブ(Nb)との原子組成比については、ビスマス(Bi)が1としたときにニオブ(Nb)が0.33以上3以下であれば、本実施形態の効果の少なくとも一部の効果が確度高く奏され得る。また、第2酸化物層32におけるランタン(La)とタンタル(Ta)との原子組成比については、ランタン(La)を1としたときにタンタル(Ta)が0.11以上9以下であれば、少なくとも一部の効果が確度高く本実施形態の効果が奏され得る。
加えて、本実施形態では、ランタン(La)とタンタル(Ta)とからなる第2酸化物層32が採用されているが、第2酸化物層32はこの組成に限定されない。例えば、ランタン(La)とジルコニウム(Zr)とからなる第2酸化物層(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。また、LZO層とも呼ばれる。)を採用することもできる。その場合、ランタン(La)を含む前駆体の例は、酢酸ランタンである。その他の例として、硝酸ランタン、塩化ランタン、又は各種のランタンアルコキシド(例えば、ランタンイソプロポキシド、ランタンブトキシド、ランタンエトキシド、ランタンメトキシエトキシド)が採用され得る。また、ジルコニウム(Zr)を含む前駆体の例は、ジルコニウムブトキシドである。その他の例として、硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、又はその他の各種のジルコニウムアルコキシド(例えば、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムメトキシエトキシド)が採用され得る。また、ストロンチウム(Sr)とタンタル(Ta)とからなる第2酸化物層(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。また、STO層とも呼ばれる。)を採用することもできる。その場合、ストロンチウム(Sr)を含む前駆体の例は、酢酸ストロンチウムである。その他の例として、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、又は各種のストロンチウムアルコキシド(例えば、ストロンチウムイソプロポキシド、ストロンチウムブトキシド、ストロンチウムエトキシド、ストロンチウムメトキシエトキシド)が採用され得る。またタンタル(Ta)を含む前駆体の例は、前述の例と同じである。
また、発明者らの研究によれば、上述の型押し加工の際、積層状態の第1前駆体層31a及び第2前駆体層32aを80℃以上300℃以下の範囲内で加熱することにより、第1前駆体層31a及び第2前駆体層32aの塑性変形能力が高くなるとともに、主溶媒を十分に除去できることが明らかとなった。従って、第1前駆体層31a及び第2前駆体層32aを、型押し加工の際、80℃以上300℃以下の範囲内で加熱することは好ましい一態様である。ここで、型押し加工時の加熱温度が80℃未満である場合には、第1前駆体層31a及び第2前駆体層32aの温度が低下することに起因して各前駆体層の塑性変形能力が低下することになるため、型押し構造の成型時の成型の実現性、又は成型後の信頼性ないし安定性が乏しくなる。また、型押し加工時の加熱温度が300℃を超える場合には、塑性変形能の根源である有機鎖の分解(酸化熱分解)が進むため、塑性変形能力が低下するからである。さらに、前述の観点から言えば、第1前駆体層31a及び第2前駆体層32aを、型押し加工の際、100℃以上250℃以下の範囲内で加熱することは、さらに好ましい一態様である。
(3)第2段目以降の電極層及び誘電体層の形成
その後は、これまでに説明した電極層(第1段目の電極層20a)及び積層構造を有する誘電体層30aの製造工程を用いて、電極層及び誘電体層を交互に積層するとともに、型押し加工によるパターニングが行われる。
具体的には、第1段目の誘電体層30aがパターニングされた後、図9に示すように、誘電体層30a及び第1段目の電極層20a上に、第1段目の電極層用前駆体層21aと同じ材料の第2段目の電極層用前駆体層21bが、第1段目の電極層用前駆体層21aと同様に形成される。その後、図10に示すように、第1目の電極層20aと同様に、パターニングされた第2段目の電極層20bが形成される。なお、第2段目の電極層20bのパターニングをするための型押し加工の際には、上述の電極層用型M1及び誘電体層用型M2とは凹凸の位置と深さを異ならせた形状の型(便宜上、型M3という。)が採用される。
さらにその後、図11に示すように、第2段目の電極層20b及び第1段目の誘電体層30a上に、第1段目の誘電体層用前駆体層33a(すなわち、第1前駆体層31aと第2前駆体層32aとの積層酸化物層)と同じ材料の第2段目の誘電体層用前駆体層33bが、第1段目の誘電体層用前駆体層33aと同様に形成される。その後、図12に示すように、第1段目の誘電体層30aと同様に、パターニングされた第2段目の誘電体層30bが形成される。なお、第2段目の誘電体層30bのパターニングをするための型押し加工の際には、上述の誘電体層用型M2が採用される。
このように、交互に電極層及び誘電体層を積層するとともに、型押し加工を施すことによるパターニングを行うことにより、最終的に、図1に示すような積層キャパシター100が製造される。
上述のとおり、本実施形態の積層キャパシター100は、各電極層及び各誘電体層が、いずれも金属酸化物によって形成されている点は特筆すべきである。加えて、本実施形態では、各電極層及び各誘電体層いずれも各種の前駆体溶液を酸素含有雰囲気中で加熱することによって形成されているため、従来の方法と比較して大面積化が容易になるとともに、工業性ないし量産性が格段に高められる。
なお、本出願の内容を知ることにより、上述の各電極層及び各誘電体層の形成工程をさらに交互に繰り返し行うことによって上方に積み重ねることができることは、当業者であれば理解できるであろう。従って、本実施形態において、第1段目の電極層20a、第2段目の電極層20b、第3段目の電極層20c、及び第4段目の電極層20dは、いずれも、本出願における「第1電極層」となり得る。また、本実施形態において、第2段目の電極層20b、第3段目の電極層20c、及び第4段目の電極層20dは、いずれも、本出願における「第2電極層」となり得る。
[1.断面TEMによる観察]
また、種々の分析の過程において、積層酸化物である誘電体層のうち、第1酸化物層31は、結晶相及びアモルファス相を含んでいることが確認された。より詳細に見れば、第1酸化物層31は、結晶相、微結晶相、及びアモルファス相を含んでいることが分かった。図13は、本実施形態の第1酸化物層31の製造工程と同じ工程を経て作製された第1酸化物を含む積層構造を示す断面TEM(Transmission Electron Microscopy)写真である。図13に示すように、第1酸化物層31中には、少なくとも一部には結晶構造を有する領域が存在することが確認された。より詳細には、第1酸化物層31中には、アモルファス相、微結晶相、及び結晶相が確認された。なお、本出願において、「微結晶相」とは、ある層状の材料が形成されている場合に、その層の膜厚方向の上端から下端に至るまで一様に成長した結晶相ではない結晶相を意味する。また、その後の発明者らによる研究によれば、第1酸化物層31が微結晶を含むアモルファス状であるために、第1酸化物層31が概して高誘電率を備えているが、リーク電流値が積層キャパシターへの適用の許容範囲を超えるとともに、第1酸化物層31の表面の平坦性が低いと考えられる。
一方、第2酸化物層32は、特定の結晶構造が確認されない、実質的にアモルファス状の層であるという興味深い知見が得られた。図14は、本実施形態の第2酸化物層32の製造工程と同じ工程を経て作製された第2酸化物層の表面のAFM(Atomic force microscopy)像である。図14に示すように、一定の結晶構造を有する第1酸化物層31とは異なり、第2酸化物層32がアモルファス状であること確認される。従って、このような第2酸化物層32が、電極層(例えば、第2段目の電極層20b)との良好な接合界面(原子相互拡散の少ない界面)の形成に貢献し、その結果、リーク電流が低減されたものと考えられる。また、本実施形態では、第1酸化物層31及び第2酸化物層32が完全に結晶化をさせない状態で形成されることによって上述の電気的特性を発揮していることから、本実施形態のゲート誘電体層30が、比較的低温の加熱処理によって形成され得る点は、特筆に値する。
<第2の実施形態>
本実施形態は、第2酸化物層が異なる点を除いて、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する説明は省略され得る。
本実施形態の第2酸化物層は、ランタン(La)を含む前駆体及びジルコニウム(Zr)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液から形成された、ランタン(La)とジルコニウム(Zr)とからなる、いわゆる複合酸化物である。なお、本実施形態の第2酸化物層におけるランタン(La)とジルコニウム(Zr)との原子組成比は、ランタン(La)を3としたときにジルコニウム(Zr)が7であった。また、このときの第1酸化物層の厚みは約160nmであり、第2酸化物層の厚みは約20nmであった。
上述のように、第2酸化物層がランタン(La)とジルコニウム(Zr)とからなる酸化物層であっても、第1の実施形態の積層キャパシター100の少なくとも一部の効果が奏され得る。
<第3の実施形態>
本実施形態も、第2酸化物層が異なる点を除いて、第2の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する説明は省略され得る。
本実施形態の第2酸化物層は、ストロンチウム(Sr)を含む前駆体及びタンタル(Ta)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液から形成された、ストロンチウム(Sr)とタンタル(Ta)とからなる、いわゆる複合酸化物である。なお、本実施形態の第2酸化物層におけるストロンチウム(Sr)とタンタル(Ta)との原子組成比は、ストロンチウム(Sr)を1としたときにタンタル(Ta)が1であった。また、このときの第1酸化物層31の厚みは約160nmであり、第2酸化物層の厚みは約20nmであった。
上述のように、第2酸化物層がストロンチウム(Sr)とタンタル(Ta)とからなる酸化物層であっても、第1の実施形態の積層キャパシター100の少なくとも一部の効果が奏され得る。
なお、上述の第2の実施形態の酸化物層及び第3の実施形態の酸化物層が採用された場合であっても、リーク電流値が、代表的には、1MV/cmにおいて、10−7A/cmオーダー以下であった。特に、ランタン(La)とジルコニウム(Zr)とからなる酸化物層である第2酸化物層におけるリーク電流値は、代表的には、1MV/cmにおいて、10−8A/cmオーダー以下であった。
また、LTO層である第2酸化物層が採用された場合、BNO層である第1酸化物層31と第2酸化物層との積層酸化物の合成された比誘電率εrは、約123であった。また、LZO層である第2酸化物層が採用された場合、第1酸化物層31と第2酸化物層との積層酸化物の合成された比誘電率εrは、約94であった。一方、STO層である第2酸化物層が採用された場合、第1酸化物層31と第2酸化物層との積層酸化物の合成された比誘電率εrが約134という高い値となった点は特筆すべきである。
ところで、上述の各実施形態における第1酸化物層31は、ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を焼成することによって形成されている。本出願では、前述のように、前駆体溶液を出発材とし、それを焼成することによって第1酸化物層31やその他の酸化物層を形成する方法を、便宜上、「溶液法」とも呼ぶ。この溶液法によって形成された第1酸化物層31は、誘電損失が小さい点ても好ましい誘電体層である。
図15は、溶液法によって形成された第1酸化物層31における、周波数(Hz)に対する誘電損失の割合を示すtanδ値を示すグラフである。なお、図15には、本実施形態における第1酸化物層31の変形例である「他の実施例1」として、公知のスパッタリング法によって形成されたBNO層、及び「他の実施例2」として、第1の実施形態と同様に、溶液法によって形成したビスマス(Bi)と亜鉛(Zn)とニオブ(Nb)とからなる複合酸化物(BZNO層)の結果が合わせて示されている。
また、この他の実施例2における複合酸化物の前駆体溶液は、ビスマス(Bi)を含む前駆体の例は、オクチル酸ビスマスである。その他の例として、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、又は各種のビスマスアルコキシドが採用され得る。また、亜鉛(Zn)を含む前駆体の例は、塩化亜鉛である。その他の例として、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、又は各種の亜鉛アルコキシド(例えば、亜鉛イソプロポキシド、亜鉛ブトキシド、亜鉛エトキシド、亜鉛メトキシエトキシド)が採用され得る。なお、亜鉛(Zn)を含む前駆体として酢酸亜鉛の採用する場合、亜鉛の溶解性を高めるため、酢酸亜鉛中に添加物モノエタノールアミンを少量加えることは好適な一態様である。その他の添加物として、ジエチルアミノエタノール、アセチルアセトン、又はジエタノールアミンなども採用できる。また、ニオブ(Nb)を含む前駆体の例は、オクチル酸ニオブである。その他の例として、塩化ニオブ、硝酸ニオブ、又は各種のニオブアルコキシド(例えば、ニオブイソプロポキシド、ニオブブトキシド、ニオブエトキシド、ニオブメトキシエトキシド)が採用され得る。
図15に示すように、本実施形態の第1酸化物層31及びスパッタリング法によるBNO層(他の実施例1)は、他の実施例2に対してtanδ値、すなわち誘電損失が少ないことが分かった。さらに組成は同じであっても、溶液法によって形成された第1酸化物層31は、スパッタリング法によるBNO層(他の実施例1)よりも、さらに誘電損失が少ないことが明らかとなった。
上述のとおり、溶液法によって形成された第1酸化物層31は、比誘電率が高いうえに誘電損失が少ないという特性を備えている。加えて、真空装置等の複雑で高価な設備を要することなく比較的短時間で形成されるため、工業性ないし量産性に優れた積層キャパシターの提供に大きく貢献する。同様に、溶液法によって形成された第2酸化物層も、真空装置等の複雑で高価な設備を要することなく比較的短時間で形成されるため、工業性ないし量産性に優れた積層キャパシターの提供に大きく貢献する。従って、溶液法を用いて形成した第1酸化物層31を備える積層キャパシターは、その第1酸化物層31中に亜鉛(Zn)を含まずに積層キャパシターの高性能化を実現することができる点で優れているといえる。なお、上述の「他の実施例2」で採用したBZNO膜は、誘電損失の観点では第1酸化物層31(つまり、BNO層)に劣るが、BZNO膜を用いた積層キャパシターリーク電流が比較的少ないため、BZNO膜もBNO層に代替し得る一例である。
<その他の実施形態>
ところで、上述の各実施形態では、溶液法による各層の形成と型押し加工によるパターニング技術が説明されているが、上述の各実施形態におけるパターニング方法は特に限定されない。例えば、公知のグリーンシート工法や印刷工法も採用しうる。
また、上述の各実施形態では、基材としてSiO/Si基板が採用されているが、本実施形態の基材はSiO/Si基板に限定されない。例えば、SiO/Si基板以外の絶縁性基板(例えば、高耐熱ガラス、アルミナ(Al)基板、STO(SrTiO)基板、Si基板の表面にSiO層及びTi層を介してSTO(SrTiO)層を形成した絶縁性基板など。)、半導体基板(例えば、Si基板、SiC基板、Ge基板など。)を含む、種々の基材を用いることができる。
また、上述の各実施形態では、電極層としてLTO層に代表される酸化物層が採用されているが、そのような酸化物層の代わりに、白金(Pt)層が採用されてもよい。この白金層220は、公知のスパッタリング法により、例えばSiO/Si基板10上に形成され得る。なお、白金(Pt)層10と基材であるSiO/Si基板との接着性を高めるために、本実施形態では、SiO上に約10nm厚のTiO膜(図示しない)が形成されている。
また、上述の各実施形態における効果を適切に奏させるために、第1前駆体溶液の溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノールの群から2種が選択されるアルコールの混合溶媒であることが好ましい。また、第2前駆体溶液の溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノールの群から選択される1種のアルコール溶媒、又は酢酸、プロピオン酸、オクチル酸の群から選択される1種のカルボン酸たる溶媒であることが好ましい。また、チャネル用前駆体溶液の溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノールの群から選択される1種のアルコール溶媒、又は酢酸、プロピオン酸、オクチル酸の群から選択される1種のカルボン酸たる溶媒であることが好ましい。
加えて、上述の各実施形態における効果を適切に奏させるために、電極層用前駆体溶液の溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノールの群から選択される1種のアルコール溶媒、又は酢酸、プロピオン酸、オクチル酸の群から選択される1種のカルボン酸である溶媒であることが好ましい。
また、上述の各実施形態においては、溶液法における本焼成として、第1酸化物を形成するための加熱温度が450℃以上700℃以下であれば、上述の各実施形態の少なくとも一部の効果が奏され得る。また、溶液法における本焼成として、第2酸化物を形成するための加熱温度が250℃以上700℃以下であれば、上述の各実施形態の少なくとも一部の効果が奏され得る。また、溶液法における本焼成として、チャネル用酸化物を形成するための加熱温度が250℃以上700℃以下であれば、上述の各実施形態の少なくとも一部の効果が奏され得る。
加えて、上述の各実施形態においては、溶液法における本焼成として、電極用酸化物層を形成するための加熱温度が500℃以上900℃以下であれば、上述の各実施形態の少なくとも一部の効果が奏され得る。
また、上述の各実施形態では、各酸化物層の形成の際に、型押し加工を施す「型押し工程」が行われている。この型押し工程における圧力は、代表的に例示されている5MPaには限定されない。幾つかの例で既に述べたとおり、この型押し工程における圧力が1MPa以上20MPa以下の範囲内の圧力であれば、上述の各実施形態の少なくとも一部の効果が奏され得る。
上述の各実施形態では、高い塑性変形能力を得た各前駆体層に対して型押し加工を施すこととしている。その結果、型押し加工を施す際に印加する圧力を1MPa以上20MPa以下という低い圧力であっても、各前駆体層が型の表面形状に追随して変形するようになり、所望の型押し構造を高い精度で形成することが可能となる。また、その圧力を1MPa以上20MPa以下という低い圧力範囲に設定することにより、型押し加工を施す際に型が損傷し難くなるとともに、大面積化にも有利となる。
ここで、上記の圧力を「1MPa以上20MPa以下」の範囲内としたのは、以下の理由による。まず、その圧力が1MPa未満の場合には、圧力が低すぎて各前駆体層を型押しすることができなくなる場合があるからである。他方、その圧力が20MPaもあれば、十分に前駆体層を型押しすることができるため、これ以上の圧力を印加する必要がないからである。前述の観点から言えば、上述の各実施形態における型押し工程においては、2MPa以上10MPa以下の範囲内にある圧力で型押し加工を施すことがより好ましい。
また、上述の各実施形態における各酸化物層を形成するための予備焼成の際、予備焼成温度は、もっとも好ましくは、100℃以上250℃以下である。これは、各種の前駆体層中の溶媒をより確度高く蒸発させることが出来るからである。また、特に、その後に型押し工程を行う場合は、前述の温度範囲で予備焼成を行うことにより、将来的な塑性変形を可能にする特性を発現させるためにより好ましいゲル状態(熱分解前であって有機鎖が残存している状態と考えられる)を形成することができる。
また、上述の各実施形態における型押し工程において、予め80℃以上300℃以下に加熱した型(代表的には、電極層用型M1及び誘電体層用型M2)を用いて型押し加工を施すことは、他の好ましい一態様である。
型の好適な温度を80℃以上300℃以下としたのは、以下の理由による。まず、80℃未満の場合には、各前駆体層の温度が低下することに起因して各前駆体層の塑性変形能力が低下することになる。加えて、300℃を超える場合には、各前駆体層の固化反応が進みすぎることに起因して各前駆体層の塑性変形能力が低下する。上記観点から言えば、型押し工程において、100℃以上250℃以下に加熱した型を用いて型押し加工を施すことがより好ましい。
また、上述の型押し工程において、予め、型押し面が接触することになる各前駆体層の表面に対する離型処理及び/又はその型の型押し面に対する離型処理を施しておき、その後、各前駆体層に対して型押し加工を施すことが好ましい。そのような処理を施すことにより、各前駆体層と型との間の摩擦力を低減することができるため、各前駆体層に対してより一層精度良く型押し加工を施すことが可能となる。なお、離型処理に用いることができる離型剤としては、界面活性剤(例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等)、フッ素含有ダイヤモンドライクカーボン等を例示することができる。
また、上述の各実施形態における各前駆体層に対する型押し工程と本焼成の工程との間に、型押し加工が施された各前駆体層(例えば、電極層用前駆体層)のうち最も層厚が薄い領域においてその前駆体層が除去される条件で、その前駆体層を全体的にエッチングする工程が含まれることは、より好ましい一態様である。これは、各前駆体層を本焼成した後にエッチングするよりも容易に不要な領域を除去することが可能なためである。従って、本焼成後に全面エッチングを行うよりも、本焼成前に全面エッチングを行うことが好ましい。
以上述べたとおり、上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
10 基板
20a,20b,20c,20d,20e 電極層
21a,21b 電極層用前駆体層
30a,30b,30c,30d 誘電体層
31 第1酸化物層
31a 第2前駆体層
32 第2酸化物層
32a 第2前駆体層
33a,33b 誘電体層用前駆体層
100 積層キャパシター
M1 電極層用型
M2 誘電体層用型

Claims (13)

  1. 電極層と誘電体層とが、それぞれ一層積み重ねられた構造を一部に備え、
    前記誘電体層は、
    ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物、又はビスマス(Bi)と亜鉛(Zn)とニオブ(Nb)とからなる酸化物(不可避不純物を含み得る)によって構成される、完全に結晶化をさせない第1酸化物層と、ランタン(La)とタンタル(Ta)とからなる酸化物、ランタン(La)とジルコニウム(Zr)とからなる酸化物、及びストロンチウム(Sr)とタンタル(Ta)とからなる酸化物の群から選択される1種の酸化物(不可避不純物を含み得る)によって構成される、完全に結晶化をさせない第2酸化物層との積層酸化物からなる、
    積層キャパシター。
  2. 前記電極層が、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる酸化物、アンチモン(Sb)と錫(Sn)とからなる酸化物、及びインジウム(In)と錫(Sn)とからなる酸化物の群から選択される1種の電極用酸化物(不可避不純物を含み得る)によって構成される、
    請求項1に記載の積層キャパシター。
  3. 前記第1酸化物が、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物(不可避不純物を含み得る)であり、かつ前記ビスマス(Bi)が1としたときに前記ニオブ(Nb)の原子組成比が、0.33以上3以下であり、
    前記第2酸化物層が、ランタン(La)とタンタル(Ta)とからなる酸化物(不可避不純物を含み得る)からなり、かつ前記ランタン(La)を1としたときの前記タンタル(Ta)の原子組成比が、0.11以上9以下である、
    請求項1又は請求項2に記載の積層キャパシター。
  4. 前記第1酸化物層が、結晶相及びアモルファス相を含む、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の積層キャパシター。
  5. ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液、又はビスマス(Bi)を含む前駆体、亜鉛(Zn)を含む前駆体、及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液である第1前駆体溶液を出発材とする第1前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより、前記ビスマス(Bi)と前記ニオブ(Nb)、又は前記ビスマス(Bi)と前記亜鉛(Zn)と前記ニオブ(Nb)からなる、完全に結晶化をさせない第1酸化物層(不可避不純物を含み得る)を形成する第1酸化物層形成工程と、
    ランタン(La)を含む前駆体及びタンタル(Ta)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液、ランタン(La)を含む前駆体及びジルコニウム(Zr)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液、及びストロンチウム(Sr)を含む前駆体及びタンタル(Ta)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液の群から選択される1種の第2前駆体溶液を出発材とする第2前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより、前記ランタン(La)と前記タンタル(Ta)、前記ランタン(La)と前記ジルコニウム(Zr)、又は前記ストロンチウム(Sr)と前記タンタル(Ta)とからなる、完全に結晶化をさせない第2酸化物層(不可避不純物を含み得る)を、前記第1酸化物層上又は下に形成する第2酸化物層形成工程とを、
    第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、前記第1電極層との間に前記第1酸化物層と前記第2酸化物層とを挟むように形成される第2電極層を形成する第2電極層形成工程との間に行い、かつ
    前記第1電極層形成工程、前記第1酸化物層形成工程、前記第2酸化物層形成工程、及び前記第2電極層形成工程が、それぞれ1回行われる、
    積層キャパシターの製造方法。
  6. 前記第1酸化物層を形成するための加熱温度が、450℃以上700℃以下であり、
    前記第2酸化物層を形成するための加熱温度が、250℃以上700℃以下であり、
    請求項5に記載の積層キャパシターの製造方法。
  7. 前記第1酸化物層が、結晶相及びアモルファス相を含む、
    請求項5又は請求項6に記載の積層キャパシターの製造方法。
  8. 前記第1電極層を形成する工程及び/又は前記第2電極層を形成する工程が、
    ランタン(La)を含む前駆体及びニッケル(Ni)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液、アンチモン(Sb)を含む前駆体及び錫(Sn)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液、又はインジウム(In)を含む前駆体と錫(Sn)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液である電極層用前駆体溶液を出発材とする電極層用前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより、前記ランタン(La)と前記ニッケル(Ni)とからなる酸化物、前記アンチモン(Sb)と前記錫(Sn)とからなる酸化物、又は前記インジウム(In)と前記錫(Sn)とからなる酸化物である電極層用酸化物(不可避不純物を含み得る)を形成する工程である、
    請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の積層キャパシターの製造方法。
  9. 前記電極層用酸化物を形成するための加熱温度が、500℃以上900℃以下である、
    請求項8に記載の積層キャパシターの製造方法。
  10. 前記第1酸化物層形成工程及び/又は前記第2酸化物層形成工程において、
    前記第1前駆体溶液を出発材とする第1前駆体層又は前記第2前駆体溶液を出発材とする第2前駆体層を、前記第1酸化物層又は前記第2酸化物層を形成する前に、酸素含有雰囲気中において、80℃以上300℃以下で加熱した状態で型押し加工を施すことにより、前記第1前駆体層又は前記第2前駆体層に対して型押し構造を形成する型押し工程をさらに含む、
    請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載の積層キャパシターの製造方法。
  11. 前記第1電極層及び/又は前記第2電極層の形成工程において、
    前記電極層用前駆体溶液を出発材とする電極層用前駆体層を、前記電極層用酸化物を形成する前に、酸素含有雰囲気中において、80℃以上300℃以下で加熱した状態で型押し加工を施すことにより、前記電極層用前駆体層に対して型押し構造を形成する型押し工程をさらに含む、
    請求項8又は請求項9に記載の積層キャパシターの製造方法。
  12. 前記型押し工程において、1MPa以上20MPa以下の範囲内の圧力で前記型押し加工を施す、
    請求項10又は請求項11に記載の積層キャパシターの製造方法。
  13. 前記型押し工程において、予め、80℃以上300℃以下の範囲内の温度に加熱した型を用いて前記型押し加工を施す、
    請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載の積層キャパシターの製造方法。
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