JP5614141B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関の可変動弁装置に関する。
自動車等の車両に搭載される内燃機関の可変動弁装置として、オイルポンプから吐出されるオイルに基づく油圧を可変動弁機構に作用させ、その油圧のオイルコントロールバルブによる調整を通じて同機構を動作させることで、吸気バルブや排気バルブといった機関バルブのバルブ特性を目標バルブ特性に調整するものが知られている。こうした内燃機関の可変動弁装置では、上記オイルコントロールバルブを駆動指令値に基づき駆動することで、可変動弁機構に作用する油圧の大きさが変化される。そして、このように可変動弁機構に作用する油圧の大きさを変化させることで、その油圧に基づき同機関に働く力の大きさも変化し、それによって機関バルブのバルブ特性を変化させるよう可変動弁機構が動作する。
ところで、可変動弁機構を動作させて機関バルブのバルブ特性を目標バルブ特性に制御しようとする場合、その可変動弁機構の動作の応答速度(動作速度)が機関バルブのバルブ特性の制御性に大きく影響する。例えば、可変動弁機構の動作の応答速度が遅すぎると、同機構の動作を行うべくオイルコントロールバルブを駆動してから同機構の動作が完了するまでの時間が長くなるため、その動作による機関バルブのバルブ特性の目標バルブ特性への調整に遅れが生じるようになる。
このため、特許文献1では、可変動弁機構の応答速度に応じて機関バルブのバルブ特性を目標バルブ特性にフィードバック制御する際のゲインを変更するようにしている。ここで、上記フィードバック制御は、オイルコントロールバルブの駆動指令値を補正するためのフィードバック補正項を設定するとともに、同補正項を機関バルブにおける実際のバルブ特性と目標バルブ特性との偏差が小さくなるように同偏差に基づき増減することで実現される。また、フィードバック制御の上記ゲインは、フィードバック補正項を機関バルブにおける実際のバルブ特性と目標バルブ特性との偏差に基づき増減する際の増減幅に対応した値である。
そして、特許文献1における可変動弁機構の応答速度に応じた上記フィードバック制御のゲインの変更に関しては、具体的には、可変動弁機構の応答速度が遅くなるほど上記ゲインを大きくしている。このようにゲインを大きくすると、機関バルブのバルブ特性を目標バルブ特性にフィードバック制御する際、そのためのオイルコントロールバルブの駆動指令値の変化が速くなり、ひいては同駆動指令値の変化に基づく可変動弁機構に作用する油圧の変化も速くなる。これにより、機関バルブのバルブ特性を目標バルブ特性にフィードバック制御する際の可変動弁機構の動作の応答速度が速くなることから、同機構の動作による機関バルブのバルブ特性の目標バルブ特性への調整に遅れが生じることを抑制できる。
なお、可変動弁機構の応答速度が比較的速い状況下で上記ゲインを大きくしすぎると、機関バルブのバルブ特性を目標バルブ特性にフィードバック制御する際、機関バルブのバルブ特性が目標バルブ特性に対し過度にオーバーシュートしたりアンダーシュートしたりしてハンチングが生じる。その結果、上記フィードバック制御による機関バルブのバルブ特性の目標バルブ特性に対する収束性が悪化するおそれがある。こうしたことを抑制するため、フィードバック制御の上記ゲインの初期値に関しては、可変動弁機構の応答速度の速い状況下で上記ハンチングを生じさせることのない程度に小さい値に設定することが考えられる。
特開2000−145485公報(段落[0004]、[0007]、[0024][0027]、図4、図5)
特許文献1に示されるように、可変動弁機構の応答速度に応じて機関バルブのバルブ特性を目標バルブ特性にフィードバック制御する際のゲインを変更するようにすれば、可変動弁機構の応答速度が遅くなるとき、同機構の動作による機関バルブのバルブ特性の目標バルブ特性への調整に遅れが生じることを抑制できるようにはなる。
ただし、上記ゲインを大きくしたとしても、機関バルブのバルブ特性を目標バルブ特性にフィードバック制御する際、可変動弁機構の応答速度を速くすることには限界がある。これは、可変動弁機構に作用させることの可能な油圧の最大値はオイルポンプのオイルの吐出圧によって決まっており、同機構に作用している油圧が上記最大値付近にあるときには、上記ゲインを大きくしても同機構に作用する油圧を上記最大値以上に上昇させることができず、その油圧の上昇による同機構の応答速度の増速が鈍るためである。従って、可変動弁機構に作用している油圧が上記最大値付近にあるときには、同機構の動作による機関バルブのバルブ特性の目標バルブ特性への調整に遅れが生じることを、上記フィードバック制御でのゲインを大きくすることによっては回避できない可能性が高い。
なお、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を予め高い値に設定しておけば、フィードバック制御でのゲインを大きくしても可変動弁機構の動作による機関バルブのバルブ特性の目標バルブ特性への調整に遅れが生じることを回避できないという上記問題が生じる可能性は低くなる。これは、オイルポンプのオイルの吐出圧を予め高い値に設定しておけば、可変動弁機構に作用させることの可能な油圧の最大値が大きくなり、可変動弁機構の応答速度を速めるべく上記ゲインを大きくして同機構に作用する油圧を上昇させるとき、その油圧の上昇幅を十分に確保することができるためである。このように同油圧の上昇幅を十分に確保できることから、その油圧の上昇幅を十分に確保できずに同油圧に基づく可変動弁機構の応答速度の上昇が鈍り、それに起因して同機構の動作による機関バルブのバルブ特性の目標バルブ特性への調整に遅れが生じることはなくなる。しかし、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を上述したように高い値に設定しておく場合、可変動弁機構の応答速度が速い状況など同吐出圧をそれほど高くしておく必要のない状況のもとでは、オイルポンプが無駄に駆動されることになる。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、可変動弁機構の動作による機関バルブのバルブ特性の目標バルブ特性への調整に遅れが生じることを回避でき、且つオイルポンプが無駄に駆動されることを回避できる内燃機関の可変動弁装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明によれば、オイルポンプから吐出されるオイルに基づく油圧が可変動弁機構に作用する。そして、可変動弁機構に作用する油圧がオイルコントロールバルブにより調整されることで、同機構が動作して機関バルブのバルブ特性が目標バルブ特性に調整される。また、上記オイルポンプとしては、オイルの吐出圧を変更することの可能な可変オイルポンプが採用されている。そして、この可変オイルポンプのオイルの吐出圧は、可変動弁機構を動作させる際の動作速度に応じて変更される。従って、可変動弁機構の動作速度が遅いときに可変オイルポンプのオイルの吐出圧を高くするとともに、可変動弁機構の動作速度が速いときに可変オイルポンプのオイルの吐出圧を低くすることが可能になる。
可変動弁機構の動作速度が遅いときに可変オイルポンプのオイルの吐出圧を高くすれば、可変動弁機構に作用させることの可能な油圧の最大値が大きくなるため、可変動弁機構の動作速度を速めるべくオイルコントロールバルブの駆動を通じて同機構に作用する油圧を上昇させるとき、その油圧の上昇幅を十分に確保することができる。このため、上記油圧の上昇幅を十分に確保できずに同油圧に基づく可変動弁機構の動作速度の上昇が鈍り、それに起因して同機構の動作による機関バルブのバルブ特性の目標バルブ特性への調整に遅れが生じることを回避できる。また、可変動弁機構の動作速度が速いときに可変オイルポンプのオイルの吐出圧を低くすれば、その吐出圧をそれほど高くしておく必要のない状況のもとで同吐出圧が高い値に保持されること、言い換えれば同ポンプが無駄に駆動されることを回避できる。以上により、可変動弁機構の動作による機関バルブのバルブ特性の目標バルブ特性への調整に遅れが生じることを回避でき、且つオイルポンプが無駄に駆動されることを回避できるようになる。
さらに、請求項1記載の発明によれば、予め定められた実行条件の成立をもって可変動弁機構が測定モードで動作され、その動作に基づき同機構の動作速度が測定される。そして、このように測定された可変動弁機構の動作速度に応じて、可変オイルポンプのオイルの吐出圧が変更される。このため、可変オイルポンプのオイル吐出圧を可変動弁機構の実際の動作速度に応じた適切な値とすることができる。
請求項2記載の発明によれば、可変動弁機構の動作速度が基準値未満といった遅い状態にあるとき、可変オイルポンプのオイルの吐出圧が高くされる。これにより、可変動弁機構に作用させることの可能な油圧の最大値が大きくなるため、同機構の動作速度を速めるべくオイルコントロールバルブの駆動を通じて同機構に作用する油圧を上昇させるとき、その油圧の上昇幅を十分に確保することができる。従って、上記油圧の上昇に基づく可変動弁機構の動作速度の上昇が鈍り、それに起因して可変動弁機構の動作速度が遅くなることを回避できる。その結果、可変動弁機構の動作による機関バルブのバルブ特性の可変を応答性よく行うことができ、ひいては内燃機関の運転性を向上させることができる。
請求項3記載の発明によれば、可変動弁機構の動作速度が基準値以上という速い状態にあるとき、すなわち同機構の動作速度を速くするために可変オイルポンプのオイルの吐出圧を高くしておく必要のないときには、同ポンプのオイルの吐出圧が低くされる。従って、可変オイルポンプのオイルの吐出圧をそれほど高くしておく必要のない状況のもとで同吐出圧が高い値に保持されること、言い換えれば同ポンプが無駄に駆動されることを回避できる。その結果、可変オイルポンプを駆動するために消費されるエネルギを低く抑えることができる。
請求項記載の発明によれば、上記基準値に関しては、機関回転速度、可変オイルポンプから吐出されるオイルの温度、及び、同オイルに基づく油圧のうちの少なくとも一つに基づき可変設定される。上記基準値は、可変オイルポンプのオイルの吐出圧を高くしたり低くしたりする際、それら吐出圧の変更を行うか否かの判断基準として用いられる。ここで、可変オイルポンプのオイルの吐出圧を高くして可変動弁機構の動作速度を速めるべき状況や、同吐出圧を低くして可変オイルポンプを無駄に駆動しないようにすべき状況は、機関回転速度、上記オイルの温度、及び、上記油圧等のパラメータによって変わってくる。従って、それらパラメータに基づき上記基準値を可変設定することで、可変オイルポンプのオイルの吐出圧を高くしたり低くしたりすることを適切に実行できる。
本実施形態の可変動弁装置が適用されるエンジン全体を示す略図。 バルブタイミング可変機構の駆動に基づく吸気バルブのバルブタイミングの変化態様を示すグラフ。 エンジン回転速度(機関回転速度)の変化に対するバルブタイミング可変機構に作用する油圧の変化を示すグラフ。 バルブタイミング可変機構に作用する油圧に対する同機構の応答速度の変化態様を示すグラフ。 オイルの温度(油温)の変化に対するバルブタイミング可変機構の応答速度の変化を示すグラフ。 デューティ比指令値を保持デューティ学習値に固定した状態から同学習値以外の値に変化させたときのバルブタイミング可変機構の応答速度の推移を示すグラフ。 デューティ比指令値を保持デューティ学習値に固定した状態から同学習値以外の値に変化させたときのバルブタイミング可変機構の応答速度の推移を示すグラフ。 オイルポンプの可変容量制御の実行手順を示すフローチャート。 バルブタイミング可変機構の応答速度の測定手順を示すフローチャート。
以下、本発明を自動車用エンジンの可変動弁装置に適用した一実施形態を図1〜図9に従って説明する。
図1に示されるエンジン1においては、その燃焼室2に吸気通路3を通じて空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁4から噴射された燃料が同燃焼室2に供給される。この空気と燃料とからなる混合気に対し点火プラグ5による点火が行われて同混合気が燃焼すると、ピストン6が往復移動してエンジン1の出力軸であるクランクシャフト7が回転する。一方、燃焼室2内にて燃焼した後の混合気は、排気として各燃焼室2から排気通路8に送り出される。
エンジン1において、燃焼室2と吸気通路3との間は吸気バルブ9の開閉動作によって連通・遮断されるとともに、燃焼室2と排気通路8との間は排気バルブ10の開閉動作によって連通・遮断される。これら吸気バルブ9及び排気バルブ10に関しては、クランクシャフト7の回転が伝達される吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12の回転に伴い開閉動作する。
エンジン1は、吸気バルブ9のバルブ特性を可変とする可変動弁機構として、吸気カムシャフト11に設けられたバルブタイミング可変機構13を備えている。このバルブタイミング可変機構13は、油圧回路16を通じて同機構13に作用する油圧を制御することによって動作する。そして、バルブタイミング可変機構13の動作を通じて、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト11の相対回転位相が変更される。こうしたバルブタイミング可変機構13の動作を通じて、図2に示されるように吸気バルブ9の開弁期間(作動角)を一定に保持した状態で同バルブ9の開弁時期及び閉弁時期が共に進角又は遅角される。
ここで、バルブタイミング可変機構13に作用する油圧を制御する油圧回路16について、図1を参照して詳しく説明する。
油圧回路16は、バルブタイミング可変機構13に接続された進角側油路17及び遅角側油路18を備えている。これら油路17,18は、オイルコントロールバルブ(OCV)19、並びに、供給通路20及び排出通路21を介して、エンジン1のオイルパン22に繋がっている。上記供給通路20には、OCV19に向けてオイルを吐出するオイルポンプ25が設けられている。このオイルポンプ25としては、エンジン1によって駆動される機械式のものであって、且つエンジン回転速度一定の条件下でオイルの吐出圧を可変とすることの可能な可変容量式のものが用いられている。また、上記OCV19は、互いに逆方向に働くコイルスプリング及び電磁ソレノイドの付勢力によって動作し、供給通路20及び排出通路21と進角側油路17及び遅角側油路18との接続状態を変更するものである。
そして、OCV19の動作を通じて、遅角側油路18と供給通路20とが連通するとともに、進角側油路17と排出通路21とが連通すると、オイルパン22内のオイル(作動油)がオイルポンプ25により遅角側油路18へ送り出されるとともに、進角側油路17内にあったオイル(作動油)がオイルパン22内へ戻される。このとき、バルブタイミング可変機構13には遅角側油路18を通じてオイルが供給される。これにより、バルブタイミング可変機構13は、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト11の相対回転位相を遅角させるよう油圧により作動される。その結果、吸気バルブ9のバルブタイミングが遅角側に変化するようになる。
また、OCV19の動作を通じて、遅角側油路18と排出通路21とが連通するとともに、進角側油路17と供給通路20とが連通すると、オイルパン22内のオイルがオイルポンプ25により進角側油路17に送り出されるとともに、遅角側油路18内にあったオイルがオイルパン22内へ戻される。このとき、バルブタイミング可変機構13には進角側油路17を通じてオイルが供給される。これにより、バルブタイミング可変機構13は、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト11の相対回転位相を進角させるよう油圧により作動される。その結果、吸気バルブ9のバルブタイミングが進角側に変化するようになる。
以上のように、吸気バルブ9のバルブタイミングは、OCV19の動作を通じて制御されることとなる。なお、OCV19の動作は、デューティ比指令値に応じて電磁ソレノイドの印可電圧を変更することによって行われる。このデューティ比指令値は、例えば「0〜100%」という範囲で変更される。そして、デューティ比指令値が「0%」に向けて小さくなるほど、遅角側油路18を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧が大となるようOCV19が動作させられ、吸気バルブ9のバルブタイミングを遅角させる力が強くなる。また、上記デューティ比指令値が「100%」に向けて大きくなるほど、進角側油路17を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧が大となるようOCV19が動作させられ、吸気バルブ9のバルブタイミングを進角させる力が強くなる。
次に、バルブタイミング可変機構13(可変動弁機構)の動作を制御する制御系について説明する。
この制御系には、エンジン1の運転制御など各種制御を行う電子制御装置26が設けられている。電子制御装置26は、上記各種制御にかかる演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
電子制御装置26の入力ポートには、以下に示す各種センサ等が接続されている。
・自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル27の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ28。
・吸気通路3に設けられたスロットルバルブ29の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ30。
・吸気通路3を通じて燃焼室2に吸入される空気の量を検出するエアフローメータ32。
・クランクシャフト7の回転に対応する信号を出力し、エンジン回転速度の算出等に用いられるクランクポジションセンサ34。
・吸気カムシャフト11の回転位置に対応した信号を出力するカムポジションセンサ35。
・オイルポンプ25から吐出された後にオイルパン22に戻ったオイルの温度(油温)を検出する油温センサ36。
・オイルポンプ25から吐出されたオイルに基づく油圧を検出する油圧センサ37。
電子制御装置26の出力ポートには、OCV19の駆動回路及びオイルポンプ25の駆動回路等が接続されている。
そして、電子制御装置26は、上記各種センサから入力した検出信号に基づき、エンジン回転速度及びエンジン負荷(エンジン1の1サイクル当たりに燃焼室2に吸入される空気の量)といったエンジン運転状態、並びに、オイルポンプ25から吐出されるオイルの温度(油温)及び同オイルに基づく油圧等を把握する。なお、上記エンジン回転速度は、クランクポジションセンサ34からの検出信号に基づき求められる。また、エンジン負荷は、アクセルポジションセンサ28、スロットルポジションセンサ30、及び、エアフローメータ32等の検出信号に基づき求められるエンジン1の吸入空気量とエンジン回転速度とから算出される。電子制御装置26は、エンジン負荷やエンジン回転速度といったエンジン運転状態、並びに、油温及び油圧等に応じて、上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。こうして吸気バルブ9のバルブタイミングの制御、及びオイルポンプ25の吐出圧の可変制御等が電子制御装置26を通じて実施される。
ここで、吸気バルブ9のバルブタイミングの制御に関しては、同バルブ9の実バルブタイミングVTがエンジン運転状態に応じて設定された目標バルブタイミングVTtとなるよう、バルブタイミング可変機構13を油圧動作させることにより実現される。なお、上記実バルブタイミングVTは、クランクポジションセンサ34及びカムポジションセンサ35からの信号に基づき求められる。
実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtとするためのバルブタイミング可変機構13の油圧動作は、OCV19の電磁ソレノイドに対する印可電圧のデューティ比を上述したデューティ比指令値とすることによって行われる。このデューティ比指令値は、次の式「デューティ比指令値D=フィードバック補正項P+保持デューティ学習値H …(1)」を用いて算出される。
上記式(1)のフィードバック補正項Pは、吸気バルブ9の実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtへと制御するフィードバック制御に用いられる値であって、その実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに近づくよう両者の乖離状態に基づき増減される。すなわち、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtよりも進角側である場合には、フィードバック補正項Pがゲインp分だけ減少されてデューティ比指令値Dが小さくされる。このようにデューティ比指令値Dを小さくすることで、実バルブタイミングVTが遅角されて目標バルブタイミングVTtに近づけられる。一方、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtよりも遅角側である場合には、フィードバック補正項Pがゲインp分だけ増加されてデューティ比指令値Dが大きくされる。このようにデューティ比指令値Dを大きくすることで、実バルブタイミングVTが進角されて目標バルブタイミングVTtに近づけられる。
上記式(1)の保持デューティ学習値Hは、吸気バルブ9の実バルブタイミングVTを一定に保持するために必要な理論上のデューティ比指令値Dとして学習される値であって、式(1)で求められるデューティ比指令値Dをフィードバック補正項Pの増減に併せて増減させる際の中心値となるものである。この保持デューティ学習値Hは、所定の学習タイミング毎に、次の式「今回の保持デューティ学習値H=前回の保持デューティ学習値H+更新量K …(2)」を用いて求められる。
この式(2)の更新量Kは、保持デューティ学習値Hの学習タイミング毎に、実バルブタイミングVTに徐変処理を施した値VTsmと目標バルブタイミングVTtに徐変処理を施した値VTtsmとに基づき増減されるものである。より詳しくは、値VTsmが値VTtsmよりも所定値以上進角側の値であれば、更新量Kが一定量(例えば0.1%)減少される。これにより、式(2)に基づき求められる今回の保持デューティ学習値Hは、前回の保持デューティ学習値Hと比較して「0%」寄りの値になる。また、値VTsmが値VTtsmよりも所定値以上遅角側の値であれば、更新量Kが一定量(例えば0.1%)増加される。これにより、式(2)に基づき求められる今回の保持デューティ学習値Hは、前回の保持デューティ学習値Hと比較して「100%」寄りの値になる。
ところで、バルブタイミング可変機構13を動作させて吸気バルブ9の実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtに制御しようとする場合、そのバルブタイミング可変機構13の動作の応答速度(動作速度)vが吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの制御性に大きく影響する。例えば、バルブタイミング可変機構13の動作の応答速度vが遅すぎると、同機構13の動作を行うべくOCV19を駆動してから同機構13の動作が完了するまでの時間が長くなるため、その動作による吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへの調整に遅れが生じるようになる。上述したようにバルブタイミング可変機構13の応答速度vが遅くなる状況としては、例えば以下のような状況[a]〜[c]があげられる。
[a]エンジン1の低回転時であって同エンジン1によって駆動されるオイルポンプ25のオイルの吐出圧が低くなり、OCV19の駆動を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧を上昇させる際、その油圧の上昇が遅くなるとき。
図3は、エンジン回転速度の変化に対するバルブタイミング可変機構13に作用する油圧の変化を示すグラフである。同図において、実線はオイルポンプ25の可変容量による吐出圧の可変を通じて同吐出圧を高くしたときの上記油圧の変化をしており、破線はオイルポンプ25の可変容量による吐出圧の可変を通じて同吐出圧を低くしたときの上記油圧の変化を示している。同図の実線と破線とのいずれにおいても、エンジン回転速度が低下してオイルポンプ25の吐出圧が低下するほど、バルブタイミング可変機構13に作用する油圧が低下してゆく傾向を示している。従って、エンジン1の低回転時であって同エンジン1によって駆動されるオイルポンプ25のオイルの吐出圧が低くなるときには、バルブタイミング可変機構13に作用する油圧の低下した状態となる。このようにバルブタイミング可変機構13に作用する油圧が元々低下した状態で、OCV19の駆動を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧を上昇させようとすると、その油圧の上昇が上述したように遅くなる。
図4は、バルブタイミング可変機構13に作用している油圧に対する同機構13の応答速度vの変化態様を示すグラフである。なお、同図の実線L1については、オイルがバルブタイミング可変機構13の油圧動作にとって適温である状態のもとでの上記応答速度vの変化態様を示している。また、同図の実線L2については、オイルが上記適温よりも低い状態、もしくは同適温よりも高い状態のもとでの上記応答速度vの変化態様を示している。同図から分かるように、オイルが適温である場合(実線L1)であれ、同適温でない場合(実線L2)であれ、バルブタイミング可変機構13に作用する油圧が低い状態のもとでは、上述したようにOCV19の駆動を通じて同機構13に作用する油圧を上昇させようとしても同油圧の上昇が遅くなることから同機構13の応答速度vが遅くなる。
[b]オイルの低温時であって同オイルの粘度が高くなる状況のもとで、OCV19の駆動を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧を上昇させる際、その油圧の上昇が上記オイルの高粘度に起因して遅くなるとき。
図5は、オイルの温度(油温)の変化に対するバルブタイミング可変機構13の応答速度vの変化を示すグラフである。同図から分かるように、上記応答速度vを必要レベルLV以上とし得る油温をオイルの適温とすると、その適温よりもオイルが低温になるときには上記応答速度vが必要レベルLVよりも遅くなる。こうしたオイルの低温時には、同オイルの粘度が高くなることから、OCV19の駆動によりバルブタイミング可変機構13に作用する油圧を上昇させようとしても、その油圧の上昇がオイルの高粘度により阻害される。その結果、OCV19の駆動によりバルブタイミング可変機構13に作用する油圧を上昇させようとする際、その油圧の上昇が遅くなって同機構13の応答速度vが遅くなる。
[c]オイルの高温時であって同温度の粘度が低くなる状況のもとで、OCV19の駆動を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧を上昇させる際、そのオイルの低粘度による上記油圧回路16等でのオイル漏れの増大に起因して上記油圧の上昇が遅くなるとき。
図5に示されるように、バルブタイミング可変機構13の応答速度vを必要レベルLV以上とし得る油温(適温)よりもオイルが高温になるときには、応答速度vが上記必要レベルLVよりも遅くなる。こうしたオイルの高温時には、同オイルの粘度が低くなることから、エンジン1における上記油圧回路16を含むなどオイル循環系全体でオイルが漏れやすくなる。このため、OCV19の駆動によりバルブタイミング可変機構13に作用する油圧を上昇させようとしても、その油圧の上昇が上記オイル漏れにより阻害される。その結果、OCV19の駆動によりバルブタイミング可変機構13に作用する油圧を上昇させようとする際、その油圧の上昇が遅くなって同機構13の応答速度vが遅くなる。
以上、バルブタイミング可変機構13の応答速度vが遅くなる状況の例として、状況[a]〜[c]をそれぞれ個別に説明したが、これらの状況が生じたとしても、OCV19の駆動を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧の上昇を可能な限り速めようとすることで、上記応答速度vが遅くなることをある程度は抑制可能である。従って、応答速度vが遅くなることに起因して、バルブタイミング可変機構13の動作による吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへの調整が遅れることについても、ある程度は抑制することが可能にはなる。
ただし、上述したようにOCV19の駆動を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧の上昇を速め、それによって同機構13の応答速度vを速めること、言い換えれば応答速度vが遅くならないようにすることには限界がある。これは、バルブタイミング可変機構13に作用させることの可能な油圧が最大値付近にあるときには、その油圧の上昇を速める際に同油圧を上記最大値以上に上昇させることができず、その油圧の上昇による同機構13の応答速度vの増速が鈍るためである。従って、バルブタイミング可変機構13に作用している油圧が最大値付近にあるときには、同機構13の動作による吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへの調整に遅れが生じることを、上記油圧の上昇を速めることでは回避できない可能性が高い。
ここで、こうした問題の発生原因について、図6を参照して更に詳しく説明する。この図は、デューティ比指令値Dを保持デューティ学習値Hに固定した状態から同学習値H以外の値に変化させたときのバルブタイミング可変機構13の応答速度vの推移を示すグラフである。
同図から分かるように、バルブタイミング可変機構13の応答速度vに関しては、保持デューティ学習値Hに固定した状態のデューティ比指令値Dを変化させた後の同指令値Dが保持デューティ学習値Hに近い値であるほど遅くなる一方、同指令値Dが「0%」もしくは「100%」に近い値であるほど速くなる。そして、デューティ比指令値Dが「0%」もしくは「100%」に近い値であるときには、バルブタイミング可変機構13に作用している油圧が最大値付近にあることになる。従って、保持デューティ学習値Hが「0%」もしくは「100%」に近い値であるときには、OCV19の駆動を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧の上昇を速めて同機構13の応答速度vを速めようとしても、上記油圧の上昇幅を十分に確保できず、その油圧の上昇による同機構13の応答速度vの増速が鈍ることは避けられない。このため、バルブタイミング可変機構13の動作による吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへの調整に遅れが生じることを、上記油圧の上昇を速めることでは回避できなくなる。
なお、オイルポンプ25のオイルの吐出圧を常に高くしておけば、OCV19の駆動を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧の上昇を速めようとしても、同機構13の動作による吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへの調整に遅れが生じることを回避できないという上記問題が生じる可能性は低くなる。このことについて図7を参照して詳しく説明する。同図における実線は、オイルポンプ25の吐出圧を常に高くしている状況のもと、デューティ比指令値Dを保持デューティ学習値Hに固定した状態から同学習値H以外の値に変化させたときのバルブタイミング可変機構13の応答速度vの推移を示している。ちなみに、同図における破線は、オイルポンプ25の吐出圧を図6の状態と等しくしたときの上記応答速度vの推移(図6の実線に対応)を示している。
図7から分かるように、オイルポンプ25の吐出圧を常に高くしている状況のもとでの上記応答速度vの推移(図中の実線)に関しては、横軸で示されるデューティ比指令値Dが保持デューティ学習値Hに対し「0%」側に変化する際の上記応答速度vの増速方向(図中の下方)への変化率が破線と比較して大きくなる。また、上記デューティ比指令値Dが保持デューティ学習値Hに対し「100%」側に変化する際の上記応答速度v(実線)の増速方向(図中の上方)への変化率も破線と比較して大きくなる。
このようにオイルポンプ25のオイルの吐出圧を常に高くしておけば、バルブタイミング可変機構13に作用させることの可能な油圧の最大値が大きくなり、それに関係して上記応答速度vが図中の実線で示される推移となる。このため、バルブタイミング可変機構13の応答速度vを速めるべくOCV19の駆動を通じて同機構13に作用する油圧の上昇を速めるとき、その油圧の上昇幅を十分に確保することができる。従って、上記油圧の上昇によって上記応答速度vを速める際にそれが鈍ることはない。このため、OCV19の駆動を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧の上昇を速めようとしても、同機構13の動作による吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへの調整に遅れが生じることを回避できない、という上記問題が生じることはなくなる。しかし、オイルポンプ25におけるオイルの吐出圧を上述したように常に高くしておく場合、バルブタイミング可変機構13の応答速度vが速い状況など、同吐出圧をそれほど高くしておく必要のない状況のもとでは、オイルポンプ25が無駄に駆動されることになる。
次に、バルブタイミング可変機構13の動作による吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへの調整に遅れが生じることを回避し、且つオイルポンプ25が無駄に駆動されることを回避することを目的とした本実施形態のオイルポンプ25の駆動制御について図8を参照して説明する。同図は、オイルポンプ25の吐出圧の可変制御(オイルポンプ25の可変容量制御)を行うためのポンプ駆動ルーチンを示すフローチャートである。このポンプ駆動ルーチンは、電子制御装置26を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、バルブタイミング可変機構13の応答速度vが所定の基準値以上であるか否かが判断される(S101)。
そして、バルブタイミング可変機構13の応答速度vが上記基準値以上という速い状態にあれば、オイルポンプ25の可変容量による吐出圧の調整を通じて同吐出圧が低くされる(S102)。このようにオイルポンプ25のオイルの吐出圧を低くすることで、その吐出圧をそれほど高くしておく必要のない状況のもとで同吐出圧が高い値に保持されること、言い換えれば同ポンプ25が無駄に駆動されることを回避できる。
一方、バルブタイミング可変機構13の応答速度vが上記基準値未満という遅い状態にあれば、オイルポンプ25の可変容量による吐出圧の調整を通じて同吐出圧が高くされる(S103)。このようにオイルポンプ25のオイルの吐出圧を高くすることで、バルブタイミング可変機構13に作用させることの可能な油圧の最大値が大きくなるため、同機構13の応答速度vを速めるべくOCV19の駆動を通じて同機構13に作用する油圧を上昇させるとき、その油圧の上昇幅を十分に確保することができる。このため、上記油圧の上昇幅を十分に確保できずに同油圧に基づくバルブタイミング可変機構13の応答速度vの上昇が鈍り、それに起因して同機構13の動作による吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへの調整に遅れが生じることを回避できる。
以上により、バルブタイミング可変機構13の動作による吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへの調整に遅れが生じることを回避でき、且つオイルポンプ25が無駄に駆動されることを回避できるようになる。
上記S101の処理で用いられる基準値に関しては、エンジン回転速度、オイルポンプ25から吐出されるオイルの温度、及び、同オイルに基づく油圧のうちの少なくとも一つに基づいて可変設定することが好ましい。なお、オイルポンプ25から吐出されるオイルの温度としては油温センサ36によって検出される油温を用いることが可能であり、上記オイルに基づく油圧としては油圧センサ37によって検出される油圧を用いることが可能である。
また、上記S101での応答速度vとしては、バルブタイミング可変機構13の応答速度を実測した値が用いられる。ここで、バルブタイミング可変機構13の応答速度の測定手順について、その測定を行うための測定ルーチンを示す図9のフローチャートを参照して説明する。この測定ルーチンは、電子制御装置26を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、バルブタイミング可変機構13の応答速度の測定中でないこと、すなわち応答速度を測定するための同機構13の測定モードでの動作中でないことを条件に(S201:YES)、上記応答速度を測定する際の実行条件が成立しているか否かが判断される(S202)。こうした実行条件としては、予め定められたエンジン運転領域、例えば上記測定モードでのバルブタイミング可変機構13の動作が可能なエンジン運転領域であって、且つエンジン1の定常運転時であること、という条件があげられる。そして、S201にて上記実行条件が成立している旨判断されると、上記測定モードでのバルブタイミング可変機構13の動作が行われる(S203)。
具体的には、次の[A]〜[C]の手順で測定モードでのバルブタイミング可変機構13の動作が行われる。[A]バルブタイミング可変機構13を予め定められた動作開始位置まで動作させる。[B]バルブタイミング可変機構13を予め定められた動作終了位置まで動作させるための動作指令を開始する。言い換えれば上記バルブタイミング可変機構13の動作を実現するためのデューティ比指令値Dに基づくOCV19の駆動を開始する。[C]上記OCV19の駆動を通じてバルブタイミング可変機構13を上記動作終了位置まで動作させる。
こうした測定モードでのバルブタイミング可変機構13の動作が行われた後、その動作での同機構13の応答速度の測定が行われる(S204)。詳しくは、上記[B]で動作指令を開始してから、上記[C]で動作終了位置まで動作するに至る時間を測定する。そして、その測定した時間、及び上記動作開始位置から上記動作終了位置までのバルブタイミング可変機構13の動作距離に基づき、同機構13の応答速度を求める。そして、このように求められた応答速度が図8のポンプ駆動ルーチンにおけるS101の処理で用いられる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)バルブタイミング可変機構13を油圧動作させるためのオイルを吐出するオイルポンプ25として、エンジン1によって駆動される機械式のものであって、且つエンジン回転速度一定の条件下でオイルの吐出圧を可変とすることの可能な可変容量式のものが用いられる。そして、このオイルポンプ25のオイルの吐出圧がバルブタイミング可変機構13の応答速度vに応じて変更される。従って、応答速度vが遅いときにオイルポンプ25のオイルの吐出圧を高くするとともに、応答速度vが速いときにオイルポンプ25のオイルの吐出圧を低くすることが可能になる。
そして、上記応答速度vが基準値未満という遅い状態のときには、オイルポンプ25の可変容量による吐出圧の調整を通じて同吐出圧が高くされる。このようにオイルポンプ25のオイルの吐出圧を高くすることで、バルブタイミング可変機構13に作用させることの可能な油圧の最大値が大きくなるため、上記応答速度vを速めるべくOCV19の駆動を通じて同機構13に作用する油圧を上昇させるとき、その油圧の上昇幅を十分に確保することができる。従って、上記油圧の上昇幅を十分に確保できずに同油圧に基づくバルブタイミング可変機構13の応答速度vの上昇が鈍り、それに起因して同機構13の動作による吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへの調整に遅れが生じることを回避できる。
また、上記応答速度vが基準値以上という速い状態のときには、オイルポンプ25の可変容量による吐出圧の調整を通じて同吐出圧が低くされる。このようにオイルポンプ25のオイルの吐出圧を低くすることで、その吐出圧をそれほど高くしておく必要のない状況のもとで同吐出圧が高い値に保持されること、言い換えれば同ポンプ25が無駄に駆動されることを回避できる。更に、オイルポンプ25が無駄に駆動されないようにすれば、そのオイルポンプ25を駆動するためにエンジン1で消費されるエネルギが少なく抑えられるため、エンジン1の燃費を改善することができる。
以上により、バルブタイミング可変機構13の動作による吸気バルブ9の実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへの調整に遅れが生じることを回避でき、且つオイルポンプ25が無駄に駆動されることを回避できる。
(2)上記応答速度vとしては、予め定められた実行条件の成立をもってバルブタイミング可変機構13が測定モードで動作されたとき、その動作に基づいて測定された実測値が用いられる。このように実測された応答速度vに応じてオイルポンプ25のオイルの吐出圧が変更されるため、その吐出圧をバルブタイミング可変機構13の実際の応答速度に応じた適切な値とすることができる。
(3)上記応答速度vが速いか遅いかを判断するための基準となる基準値、すなわち図8のポンプ駆動ルーチンにおけるS101の処理で用いられる基準値に関しては、エンジン回転速度、オイルポンプ25から吐出されるオイルの温度、及び、同オイルに基づく油圧のうちの少なくとも一つに基づいて可変設定することが可能である。
ここで、オイルポンプ25のオイルの吐出圧を高くして応答速度vを速めるべき状況や、同吐出圧を低くしてオイルポンプ25を無駄に駆動しないようにすべき状況は、エンジン回転速度、オイルポンプ25から吐出されるオイルの温度(油温)、及び、同オイルに基づく油圧等のパラメータによって変わってくる。従って、それらパラメータに基づき上記基準値を可変設定することで、オイルポンプ25のオイルの吐出圧を高くしたり低くしたりすることを適切に実行できる。
例えば、上記基準値をエンジン回転速度に応じて次のように可変とすることが考えられる。すなわち、エンジン低回転時には、上記基準値が小さくなるよう同基準値をエンジン回転速度に応じて可変とすることで、オイルポンプ25の吐出圧を低めにして同ポンプ25の無駄な駆動を抑制することを優先する。一方、エンジン高回転時には、上記基準値が大きくなるよう園児員回転速度に応じて上記基準値を可変とすることで、オイルポンプ25の吐出圧を高めにしてバルブタイミング可変機構13の応答性の向上、ひいてはエンジン運転の応答性の向上を優先する。なお、この場合の油温及び油圧に応じた上記基準値の可変に関しては、上述したオイルポンプ25の無駄な駆動を抑制することを優先すべき状況(エンジン低回転時等)と、上述したバルブタイミング可変機構13の応答性の向上を優先すべき状況(エンジン高回転時等)との間で、オイルポンプ25の吐出圧が適切に可変とされるように行われる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・上記基準値は、予め実験等により定められた最適値に固定されていてもよい。
・応答速度vは必ずしも実測値である必要はなく、例えばエンジン回転速度、油温、及び油圧に基づく応答速度の推定値を応答速度vとして採用することも可能である。
・オイルポンプ25の可変容量による吐出圧の調整を通じて、その吐出圧を応答速度vに基づき低い状態と高い状態との二段階で可変となるようにしたが、三段階以上の多段階で可変となるようにしてもよい。
・オイルポンプ25の可変容量による吐出圧の調整を通じて、その吐出圧を応答速度vに応じて無段階で可変となるようにしてもよい。
・オイルポンプ25は、必ずしもエンジン1により駆動される機械式のものである必要はなく、モータ等により駆動される電動式のものであってもよい。
・エンジン1の機関バルブである排気バルブ10のバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構を可変動弁機構として備えた可変動弁装置に本発明を適用してもよい。
・機関バルブの可変動弁機構として、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角といったバルブ特性を可変とすべく油圧駆動されるバルブリフト量可変機構を備えた可変動弁装置に本発明を適用してもよい。
1…エンジン、2…燃焼室、3…吸気通路、4…燃料噴射弁、5…点火プラグ、6…ピストン、7…クランクシャフト、8…排気通路、9…吸気バルブ、10…排気バルブ、11…吸気カムシャフト、12…排気カムシャフト、13…バルブタイミング可変機構、16…油圧回路、17…進角側油路、18…遅角側油路、20…供給通路、21…排出通路、22…オイルパン、19…OCV、25…オイルポンプ、26…電子制御装置(制御手段、測定手段)、27…アクセルペダル、28…アクセルポジションセンサ、29…スロットルバルブ、30…スロットルポジションセンサ、32…エアフローメータ、34…クランクポジションセンサ、35…カムポジションセンサ、36…油温センサ、37…油圧センサ。

Claims (4)

  1. オイルポンプから吐出されるオイルに基づく油圧を可変動弁機構に作用させ、その油圧のオイルコントロールバルブによる調整を通じて同機構を動作させることで、機関バルブのバルブ特性を目標バルブ特性に調整する内燃機関の可変動弁装置において、
    前記オイルポンプとして設けられてオイルの吐出圧を変更することの可能な可変オイルポンプと、
    前記可変動弁機構を動作させる際の動作速度に応じて前記可変オイルポンプのオイルの吐出圧を変更する制御手段と、
    予め定められた実行条件の成立をもって前記可変動弁機構を同機構の動作速度を測定するための測定モードで動作させ、その動作に基づき同機構の動作速度を測定する測定手段と、を備え
    前記制御手段は、前記測定手段により測定された前記可変動弁機構の動作速度に応じて、前記可変オイルポンプのオイルの吐出圧を変更することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 前記制御手段は、前記可変動弁機構の動作速度が基準値未満であるとき、前記可変オイルポンプのオイルの吐出圧を高くする
    請求項1記載の内燃機関の可変動弁装置。
  3. 前記制御手段は、前記可変動弁機構の動作速度が基準値以上であるとき、前記可変オイルポンプのオイルの吐出圧を低くする
    請求項1記載の内燃機関の可変動弁装置。
  4. 前記可変オイルポンプは、内燃機関によって駆動されるとともに機関回転速度一定の条件下で吐出圧を可変とすることの可能なものであって、
    前記制御手段は、機関回転速度、前記可変オイルポンプから吐出されるオイルの温度、及び、同オイルに基づく油圧のうちの少なくとも一つに基づいて前記基準値を可変設定する
    請求項又は記載の内燃機関の可変動弁装置。
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