JP2014040775A - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基本目標圧縮比演算部231は、エンジン運転条件に応じて基本目標圧縮比を演算する。圧縮比上限値演算部232は、吸気バルブの実作動角と実位相とに対応する圧縮比上限値を設定する。そして、比較部233では、基本目標圧縮比演算部231が出力した基本目標圧縮比と、圧縮比上限値演算部232が出力した圧縮比上限値とを入力し、両者のうちでより低い圧縮比を選択し、選択した圧縮比を最終的な目標圧縮比として出力し、この最終的な目標圧縮比に基づいて圧縮比可変機構23を制御させるようにする。
【選択図】図4
Description
図1は、本発明に係る制御装置を適用するエンジンの一例を示す。
エンジン(内燃機関)1は、シリンダブロック2と、シリンダブロック2内に形成されたシリンダボア3内に設けられたピストン4と、吸気ポート5及び排気ポート6が形成されたシリンダヘッド10と、吸気ポート5,排気ポート6の開口端を開閉する一気筒当たりそれぞれ一対の吸気バルブ7,7及び排気バルブ8,8と、を備えている。
そして、ピストン4の冠面4aとシリンダヘッド10の下面との間に、燃焼室14が形成される。燃焼室14を形成するシリンダヘッド10の略中央には、点火栓15を設けてある。
尚、吸気バルブ7,7の開特性を変更する可変動弁機構として、可変バルブリフト機構21と可変バルブタイミング機構22とのいずれか一方を備えるエンジン1とすることができる。
この可変バルブタイミング機構22としては、例えば、特開2012−132473号公報などに開示される油圧ベーン式の機構や、歯車を用いてクランクシャフト9に対し吸気カムシャフト24を相対回転させる機構などを用いることができ、更に、油圧アクチュエータの他、モータや電磁ブレーキなどをアクチュエータとして用いる機構を適宜採用できる。
クランクシャフト9は、複数のジャーナル部9aとクランクピン部9bとを備えており、シリンダブロック2の主軸受に、ジャーナル部9aが回転自在に支持される。
ロアリンク11は、2分割に構成され、略中央に設けた連結孔にクランクピン部9bが嵌合する。
アッパリンク12は、下端側が連結ピン25によりロアリンク11の一端に回動可能に連結され、上端側がピストンピン26によりピストン4に回動可能に連結される。
制御シャフト29は、電動モータを用いた圧縮比制御アクチュエータ30によって回動位置が制御される。
これにより、コントロールリンク27の下端の揺動支持位置が変化し、コントロールリンク27の揺動支持位置が変化すると、ピストン4の行程が変化し、ピストン上死点(TDC)におけるピストン4の位置が高くなったり低くなったりして、エンジン1の圧縮比が変更される。
コントローラ31は、可変バルブリフト機構21、可変バルブタイミング機構22、圧縮比可変機構23それぞれによる制御量の検出値と、エンジン運転条件(例えば、エンジン回転速度、エンジン負荷、エンジン温度など)に応じて演算したそれぞれの目標値とを比較することで操作量(制御信号)を決定し、決定した操作量を、可変バルブリフト機構21、可変バルブタイミング機構22、圧縮比可変機構23それぞれのアクチュエータに出力する。
また、可変バルブタイミング機構22は、前述のように、クランクシャフト9に対する吸気カムシャフト24の位相を変更するから、例えば、クランクシャフト9の回転位置の情報と、吸気カムシャフト24の回転位置の情報とから、制御量(実位相)PHを検出することができる。
また、圧縮比可変機構23においては、制御シャフト29の回転に応じて圧縮比が変化するので、圧縮比可変機構23による制御量(実圧縮比)を示す信号として、例えば、角度センサ43が出力する制御シャフト29の角度を示す信号CVPが、コントローラ31に入力される。
この図2に示すように、可変バルブリフト機構21によって吸気バルブ7,7の最大バルブリフト量及び作動角を増大させると、吸気バルブ7,7の開時期IVOが進角し、ピストン上死点TDCにおける吸気バルブ7,7のリフト量が増大する。
ここで、コントローラ31がエンジン1の運転条件に応じて演算する、可変バルブリフト機構21、可変バルブタイミング機構22、圧縮比可変機構23それぞれの目標値は、それぞれの制御量が目標値に収束している状態で、ピストン4と吸気バルブ7,7との干渉が発生しないように予め適合されている。
この図3に示す例では、低負荷から高負荷への移行に伴って、圧縮比を低下させ、吸気バルブ7,7の作動角(最大バルブリフト量)を増大させ、吸気バルブ7,7の開期間の位相を遅角変化させるが、可変バルブリフト機構21、可変バルブタイミング機構22、圧縮比可変機構23が同時並行で動作すれば、図3(C)に示すように、低負荷から高負荷への移行過程(開特性及び圧縮比の過渡変化状態)においても、ピストン4と吸気バルブ7,7との干渉は発生しない。
そこで、コントローラ31は、係る過渡状態でのピストン干渉の発生を防ぐために、可変バルブリフト機構21、可変バルブタイミング機構22、圧縮比可変機構23における現時点での制御量の検出値から、各機構の作動範囲(目標値の可変範囲)を変更(制限)する処理を行う。
換言すれば、各機構の作動範囲(目標値の可変範囲)を変更(制限)する処理とは、上死点における吸気バルブ7,7とピストン4との距離を近づける方向への作動である、圧縮比の増大(上死点でのピストン4の位置を高くする)、吸気バルブ7,7の最大バルブリフト量の増大、吸気バルブ7,7の開期間の位相の進角を制限する処理である。
図4は、コントローラ(制御装置)31における、圧縮比可変機構23の目標値(目標圧縮比)の制限処理を示す機能ブロック図である。
この図4において、基本目標圧縮比演算部231は、エンジン負荷、エンジン回転速度などのエンジン運転条件を示す信号を入力し、エンジン運転条件に応じて基本目標圧縮比を演算する。
圧縮比上限値演算部232には、実作動角と実位相とに対応する圧縮比上限値を記憶するマップが予め備えられている。
ここで、実作動角(実最大バルブリフト量)が大きいほど、また、実位相が進角側であるほど、吸気上死点TDCでの吸気バルブ7,7のバルブリフト量が大きくなるので、実作動角が大きいほど、また、実位相が進角側であるほど、圧縮比上限値はより小さい値に設定される。
そして、圧縮比上限値演算部232では、入力した実作動角(実最大バルブリフト量)と実位相とに対応する圧縮比上限値の信号を、マップから検索して出力する。
つまり、基本目標圧縮比演算部231がエンジン運転条件に基づいて演算した基本目標圧縮比が、圧縮比上限値を上回る場合には、圧縮比上限値を最終的な目標圧縮比として出力することで、最終的な目標圧縮比を圧縮比上限値以下に制限する。
これに対し、圧縮比上限値は、前述のように、そのときの実作動角及び実位相において、ピストン4と吸気バルブ7,7との干渉を防ぐことができる値として設定されるから、この圧縮比上限値を下回る範囲内の圧縮比を最終的な目標圧縮比として圧縮比可変機構23を制御させることで、吸気バルブ7,7とピストン4との干渉を未然に防ぐことができる。
高負荷から低負荷への移行時に、例えば、作動角(最大バルブリフト量)の減少が遅れ、開期間の位相の進角と圧縮比の増大とが先行して進んだ場合、即ち、可変バルブリフト機構21が動作せず、可変バルブタイミング機構22及び圧縮比可変機構23が動作した場合、基本目標圧縮比に向けた圧縮比の増大制御を遂行することで、吸気バルブ7,7とピストン4との干渉が発生する可能性がある。
そして、作動角(最大バルブリフト量)を減少させる動作が進行し、吸気上死点TDCでのバルブリフト量が減少変化すれば、これに応じて圧縮比上限値はより高い値に変更され、最終的には、圧縮比上限値が、基本目標圧縮比を上回る値になって、基本目標圧縮比を最終的な目標圧縮比とする制御が行われるようになり、圧縮比は、そのときの運転条件に応じた値に収束することになる。
この図5において、基本目標作動角演算部211は、エンジン負荷、エンジン回転速度などのエンジン運転条件を示す信号を入力し、エンジン運転条件に応じて基本目標作動角を演算する。
作動角上限値演算部212には、実圧縮比と実位相とに対応する作動角(最大バルブリフト量)の上限値を記憶するマップが予め備えられている。
即ち、実圧縮比から、吸気上死点TDCで所定の余裕代をもってピストン4と対向することになるバルブリフト量が定まり、係るバルブリフト量を実現できる作動角は、吸気バルブ7,7の開期間の中心位相に応じて定まるので、実圧縮比と実位相とから、吸気上死点TDCでピストン4の冠面と吸気バルブ7,7とが所定の余裕代をもって対向することになる作動角が定まることになる。
尚、所定の余裕代は、実圧縮比や実位相の計測誤差、更には、作動角の制御精度のばらつきなどを考慮し、これらの最大値が積み重なっても、ピストン4と吸気バルブ7,7との干渉を防ぐことができる値として、予め適合されている。
比較部213では、基本目標作動角演算部211が出力した基本目標作動角と、作動角上限値演算部212が出力した作動角上限値とを入力し、両者のうちでより小さい作動角を選択し、選択した作動角を最終的な目標作動角として出力し、この最終的な目標作動角に基づいて可変バルブリフト機構21を制御させるようにする。
作動角上限値を上回る基本目標作動角に従って可変バルブリフト機構21を制御した場合は、ピストン4の上死点位置及び吸気バルブ7,7の開期間の中心位相に対して、吸気バルブ7,7の作動角(最大バルブリフト量)が大き過ぎて、上死点TDCにおいて吸気バルブ7,7とピストン4との干渉が生じる可能性がある。
ここで、図3に示した低負荷から高負荷への移行時であって、最大バルブリフト量を増大させ、開期間の位相を遅角させ、かつ、圧縮比を減少させる方向に制御する場合を例として、目標作動角の制限制御の作用を説明する。
これに対し、上記のように、そのときの実圧縮比及び実位相に基づいて作動角上限値を設定し、この作動角上限値以下に目標作動角を制限すれば、圧縮比を減少させる制御及び開期間の位相を遅角させる動作が遅れても、係る遅れ状態で許容できる最大の作動角以下に制限することになり、吸気バルブ7,7とピストン4との干渉を防ぐことができる。
上記制限制御では、可変バルブリフト機構21の目標値(作動範囲)を制限するものの、可変バルブリフト機構21による作動角の変更動作を停止させたり、変更速度を抑制したりすることはないので、基本目標作動角に向けた制御性(応答性、収束性など)の低下を抑制することができる。
この図6において、基本目標位相演算部221は、エンジン負荷、エンジン回転速度などのエンジン運転条件を示す信号を入力し、エンジン運転条件に応じて基本目標位相(基本目標進角量)を演算する。
位相上限値演算部222には、実圧縮比と実作動角とに対応する、吸気バルブ7,7の開期間の中心位相の上限値(進角上限値)を記憶するマップが予め備えられている。
尚、可変バルブタイミング機構22は、最遅角位置をデフォルト位置とし、係る最遅角位置から開期間の中心位相を進角させる機構であり、目標位相は、最遅角位置からの進角角度として演算され、目標位相の上限値は、最遅角位置からの進角角度の上限として演算される。
即ち、実圧縮比から、吸気上死点TDCで所定の余裕代をもってピストン4と対向することになるバルブリフト量が定まり、係るバルブリフト量を実現できる中心位相は、吸気バルブ7,7の作動角に応じて定まるので、実圧縮比と実作動角とから、吸気上死点TDCでピストン4の冠面4aと吸気バルブ7,7とが所定の余裕代をもって対向することになる中心位相(位相進角量)が定まることになる。
尚、所定の余裕代は、実圧縮比や実作動角の計測誤差、更には、中心位相の制御精度のばらつきなどを考慮し、これらの最大値が積み重なっても、ピストン4と吸気バルブ7,7との干渉を防ぐことができる値として、予め適合されている。
比較部223では、基本目標位相演算部221が出力した基本目標位相(基本目標進角量)と、位相上限値演算部222が出力した位相上限値(進角上限値)とを入力し、両者のうちで進角角度としてより小さい位相(より遅角側の位相)を選択し、選択した位相(進角角度)を最終的な目標位相として出力し、この最終的な目標位相(目標進角量)に基づいて可変バルブタイミング機構22を制御させるようにする。
位相上限値を上回る基本目標位相に従って可変バルブタイミング機構22を制御した場合は、ピストン4の上死点位置及び吸気バルブ7,7の作動角に対して、吸気バルブ7,7の開期間の位相が進角し過ぎて、上死点TDCにおいて吸気バルブ7,7とピストン4との干渉が生じる可能性がある。
ここで、図3に示した低負荷から高負荷への移行とは逆に、高負荷から低負荷への移行時であって、最大バルブリフト量を減少させ、開期間の位相を進角させ、かつ、圧縮比を増大させる方向に制御する場合を例として、目標位相の制限制御の作用を説明する。
これに対し、上記のように、そのときの実作動角及び実作動角に基づいて位相上限値を設定し、この位相上限値以下に(位相上限値よりも遅角側に)目標位相を制限すれば、作動角(最大バルブリフト量)を減少させる動作が遅れても、係る遅れ状態で許容できる最大の位相よりも遅角側に制限することになり、吸気バルブ7,7とピストン4との干渉を防ぐことができる。
上記制限制御では、可変バルブタイミング機構22の目標値(作動範囲)を制限するものの、可変バルブタイミング機構22による位相の変更動作を停止させたり、変更速度を抑制したりすることはないので、基本目標位相に向けた制御性(応答性、収束性など)の低下を抑制することができる。
例えば、可変バルブタイミング機構22と可変バルブリフト機構21とのいずれか一方を備えるエンジン1の場合、図5に示す制限機能と図6に示す制限機能との一方を備えることになる。
即ち、上死点における吸気バルブ7,7とピストン4との距離を近づける方向への動作(圧縮比の増大、最大バルブリフト量の増大、位相の進角)が速く、ピストン干渉の要因となる機構の目標値を制限する処理を選択的に実施させることができ、また、ピストン干渉の要因となる機構が、運転条件(各目標値の変化)に応じて異なる場合に、運転条件に応じて実施する制限処理を選択することができる。
図7は、可変バルブリフト機構21、可変バルブタイミング機構22の動作速度に応じて、圧縮比可変機構23における目標圧縮比の上限値を変更する処理を示す。
一方、圧縮比上限値演算部232は、現時点での可変バルブリフト機構21の制御量、即ち、実作動角の信号、及び、現時点での可変バルブタイミング機構22の制御量、即ち、開期間の実位相(実進角量)の信号を入力し、これらに応じて圧縮比上限値の信号を出力する。
圧縮比上限値演算部232が出力する圧縮比上限値の信号は、上限値補正部234に入力されると共に、補正値演算部235に入力される。
前記補正値は、圧縮比上限値演算部232で演算される圧縮比上限値が増大変化している場合には零に設定され、圧縮比上限値演算部232で演算される圧縮比上限値が減少変化している場合(偏差>0)には減少速度が速いほど、換言すれば、可変バルブリフト機構21で制御される作動角の増大及び/又は可変バルブタイミング機構22で制御される位相の進角変化が速いほど、より大きな値に設定される。
従って、補正値が大きい程、最終的な圧縮比上限値はより小さい値に変更され、実作動角及び実位相が同一である条件であっても、実作動角の増大速度及び/又は位相の進角速度が速い場合には、圧縮比上限値としてより小さい値が設定されることになる。
比較部233では、基本目標圧縮比演算部231が出力した基本目標圧縮比と、上限値補正部234で補正された圧縮比上限値とを入力し、両者のうちでより低い圧縮比を選択し、選択した圧縮比を最終的な目標圧縮比として出力し、この最終的な目標圧縮比に基づいて圧縮比可変機構23を制御させるようにする。
これにより、作動角の増大速度、位相の進角速度が遅い場合には、目標圧縮比の上限をより高くして、圧縮比可変機構23の作動範囲が制限されることを抑制でき、また、作動角の増大速度、位相の進角速度が速い場合には、目標圧縮比の上限をより低くして、ピストン干渉を防ぐことができる。
例えば、可変バルブリフト機構21、可変バルブタイミング機構22及び圧縮比可変機構23の全てについて、目標値に制限を加える場合には、一例として、制限の優先順が、可変バルブタイミング機構22、圧縮比可変機構23、可変バルブリフト機構21の順となるように、各上限値マップの設定を行う。
従って、可変バルブタイミング機構22における目標位相(目標進角値)の制限は、ピストン干渉の防ぐと共に、内部EGRガス量(残ガス量)の増大による燃焼悪化を抑制する方向に作用するため、制限の優先度として可変バルブタイミング機構22を最優先とし、干渉を防ぐための目標値の制限が、最初に可変バルブタイミング機構22について行われるようにする。
そこで、制限の優先度として、可変バルブリフト機構21の優先度を最も低くし、吸入空気量の増大が制限されることをなるべく抑制し、可変バルブタイミング機構22及び圧縮比可変機構23の目標値(位相の進角、圧縮比の増大)に制限を加えても、干渉発生の可能性が解消されない場合に、可変バルブリフト機構21の目標作動角の増大を上限値に基づき制限して、干渉の発生を防ぐ。
また、上記のような制限の優先度の設定は、可変バルブタイミング機構22を備えず、圧縮比可変機構23と可変バルブリフト機構21とを備えるエンジン1においても適用でき、ピストン干渉が発生する可能性がある場合に、まず、圧縮比可変機構23における目標圧縮比に制限を加え、係る制限によっても干渉発生の可能性が解消されない場合に、可変バルブリフト機構21の目標作動角に制限を加えることで、干渉の発生を防ぐようにする。
ここで、制限の優先順は、可変バルブタイミング機構22、圧縮比可変機構23、可変バルブリフト機構21の順に限定されるものではなく、例えば、燃焼性が確保できる場合には、可変バルブタイミング機構22の優先順を下げることができる。
更に、各機構21〜23の応答速度の変化に対して、制限処理における余裕代を変更することができ、例えば、各機構21〜23いずれかに応答が遅くなる異常(動作しない異常を含む)が生じた場合に、他の正常動作する機構での制限処理における余裕代を縮小させることができる。
吸気バルブ7,7として電磁駆動バルブを用いるエンジン1の場合には、電磁駆動バルブの開タイミングの目標値を、圧縮比可変機構23によって制御される実圧縮比に応じて制限することで、ピストン干渉を防ぐことができる。
排気バルブ8,8に可変バルブリフト機構を備えるエンジン1の場合は、係る排気側可変バルブリフト機構における目標作動角の増大方向が、吸気側の可変バルブリフト機構21と同様に、ピストン干渉を発生させる方向の動作となるので、圧縮比可変機構23によって制御される実圧縮比などに応じた上限値以下に、排気側可変バルブリフト機構における目標作動角を制限する。
(イ)前記可変動弁機構として、前記吸気バルブ又は排気バルブの作動角を可変とする可変バルブリフト機構を備え、
前記可変バルブリフト機構で可変とされる作動角の増大を制限する、請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンの制御装置。
上記発明によると、作動角の増大に伴い、上死点でのバルブとピストンとの距離が短くなるので、作動角の増大を制限することで、前記距離の減少を抑制する。
前記可変バルブリフト機構で可変とされる中心位相が上死点に近づくことを制限する、請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンの制御装置。
上記発明によると、中心位相が上死点に近づくことで、上死点におけるバルブリフト量が増大し、これによってバルブとピストンとの距離が短くなるので、中心位相が上死点に近づくこと(吸気バルブの場合は進角、排気バルブの場合は遅角)を制限することで、前記距離の減少を抑制する。
前記可変バルブタイミング機構を最優先に作動範囲を制限し、次いで、圧縮比可変機構の作動範囲を制限し、最後に前記可変バルブリフト機構の作動範囲を制限する、請求項4記載のエンジンの制御装置。
上記発明によると、可変バルブタイミング機構の作動範囲の制限は、バルブオーバーラップの制限となり、内部EGRガス量を低減して燃焼性の悪化を抑制することになるので、制限の優先度(先に制限を加える機構)として可変バルブタイミング機構を最優先とする一方、可変バルブリフト機構の作動範囲の制限は、作動角、即ち、エンジンの吸入空気量を制限して加速性を損ねることになるので、制限の優先度を最も低くして、最後に制限が加えられるようにする。
前記最終的な限界値を超えないように前記目標値を制限する、請求項1記載のエンジンの制御装置。
上記発明によると、基本限界値が目標値をより狭く制限する方向に変化する速度が速いほど、上死点におけるバルブとピストンとの距離の余裕代をより大きくすべく、限界値を、目標値をより狭く制限する方向に変更して、前記変化速度が遅い場合には、制限が過剰となることを抑制し、前記変化速度が速い場合には、ピストン干渉の発生を確実に防げるようにする。
Claims (4)
- 吸気バルブ又は排気バルブの開特性を変更する可変動弁機構と、
ピストンの上死点位置を変更する圧縮比可変機構と、
を備えたエンジンにおいて、
前記可変動弁機構と前記圧縮比可変機構とのいずれか一方の制御量の検出値に応じて、他方の作動範囲を変更する、エンジンの制御装置。 - 前記作動範囲の変更が、前記ピストンの上死点位置におけるバルブリフト量の変更と、前記圧縮比の最大値の変更との少なくとも一方である、請求項1記載のエンジンの制御装置。
- 前記一方の動作速度に応じて前記作動範囲の変更を異ならせる、請求項1又は2記載のエンジンの制御装置。
- 前記可変動弁機構の作動範囲の変更と、前記圧縮比可変機構の作動範囲の変更とに優先順位を設ける、請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの制御装置。
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