以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るレンズ鏡筒が適用される撮像装置において、レンズ鏡筒がWIDE位置(広角位置)にある状態を示す要部断面図である。本実施の形態では、撮像装置の一例としてデジタルカメラを例示する。図2は、WIDE位置にあるレンズ鏡筒を第1レンズ群の光軸方向における被写体側(図1の上側)から見た主要部分の図(正面図)である。図17は、レンズ鏡筒がWIDE位置(広角位置)にある状態を第1レンズ群の光軸方向における被写体の反対側から見た主要部分の図(背面図)である。
このレンズ鏡筒は、収納位置と撮影位置との間を光軸方向にレンズ群を移動させて撮影倍率を変更するズーム式のレンズ鏡筒とされている。
図1及び図2に示すように、本デジタルカメラは、ズーム式レンズ鏡筒として、第1レンズ群10、第2レンズ群20、プリズム6、固定筒62、カム筒61、直進ガイド筒63及びズームボディ(本体)64を備える。図2では、第1レンズ群10、第2レンズ群20、固定筒62及び直進ガイド筒63の図示は省略している。
第1レンズ群10は、1群鏡筒11に1群レンズ1が保持され、第2レンズ群20は、2群鏡筒21に2群レンズ2が保持されて構成されている。1群レンズ1及び2群レンズ2から入射した光束は、プリズム6により1群レンズ1及び2群レンズ2の光軸Aに対して略90°の角度で交差する光軸Bの方向に屈曲されて、撮像素子8の結像面に導かれる。プリズム6は、光軸Bに沿って移動可能に保持部材60に保持されている。
プリズム6と撮像素子8との間には、プリズム6から撮像素子8に向けて順番に、撮影光量を制御する絞り兼シャッタ9、3群レンズ3、4群レンズ4、及び光学フィルタ7が光軸Bに沿って配置されている。
絞り兼シャッタ9は、シャッタ地板92に固定され、3群レンズ3は、3群地板31に保持されており、3群地板31とシャッタ地板92とを互いにねじ等で結合して一体化することで第3レンズ群(第1の光学系)30を構成している。第3レンズ群30がステッピングモータ(駆動手段)32(図2)の駆動により光軸Bに沿って進退することで変倍動作が行われる。
図3は、第3レンズ群30の駆動機構を説明するための斜視図である。図3に示すように、パルスモータであるステッピングモータ32の出力軸には、ギア33が取り付けられている。ギア33はギア34と噛合して、リードスクリューであるスクリュー35を増速回転させる。板バネ37は、スクリュー35を片寄せしている板バネである。スクリュー35には、3群地板31に取り付けられたラック36が噛合しており、3群地板31は、光軸Bと平行な2本のガイド軸86、87によって光軸Bに沿って移動可能に支持されている。従って、スクリュー35が回転することにより、ラック36が光軸B方向の力を受けて移動し、ラック36と共に第3レンズ群30が光軸B方向に移動する。3群レンズ3は3群カバー38によって覆われる。第3レンズ群30には、フォトインタラプタ(検出部)39が一体に設けられている。すなわち、3群カバー38には、フォトインタラプタ39が取り付け固定されている(図2、図3)。3群カバー38は3群地板31に取り付け固定されており、3群カバー38とフォトインタラプタ39とは共に3群地板31と一体として光軸B方向に移動する。
図4は絞り兼シャッタ9の斜視図、図5は絞り兼シャッタ9の分解斜視図である。図4及び図5に示すように、絞り兼シャッタ9は、シャッタ地板92と3群地板31側に配置されるカバー96との間に、開口96aを開閉する複数の羽根94、95が設けられている。カバー96とシャッタ地板92とは、ビス97により互いに固定されている。
ステッピングモータ91は、絞り兼シャッタ9の複数の羽根94,95を開閉駆動するためのアクチュエータであり、ステッピングモータ91のモータ軸には、モータ軸の軸線に対して直交する方向に延びるレバー93が取り付けられている。レバー93の延設方向の両端部には、それぞれ軸93a,93bが突設されている。
軸93aは、シャッタ地板92に形成された円弧状穴92a、羽根94に形成された長穴94a及びカバー96に形成された円弧状穴96aに挿入され、円弧状穴92a,96aに沿って移動可能とされている。また、軸93bは、シャッタ地板92に形成された円弧状穴92b、羽根95に形成された長穴95a及びカバー96に形成された円弧状穴96bに挿入され、円弧状穴92b,96bに沿って移動可能とされている。
そして、レバー93がステッピングモータ91の駆動により回転すると、羽根94,95が互いに逆方向に回動し、羽根94,95を往復回動させることで、開口96aを開閉する。これにより、開口96aを開閉する羽根94,95どうしの隙間を調整することで撮影光量を制御する絞り機能を実現し、開口96aを開いた状態から閉じた状態に羽根94,95を動かすことでシャッタ機能を実現する。
図19は、レンズ鏡筒がWIDE位置(広角位置)付近にある状態で第3レンズ群30と第4レンズ群とその周辺部を示す斜視図である。図1、図19に示すように、4群レンズ4は、4群レンズホルダ41に保持されて第4レンズ群(第2の光学系)40を構成する。4レンズ群40は、前述のガイド軸86、87により光軸B方向に沿って移動可能に支持されている。第3レンズ群30と4レンズ群40とは同一の光軸Bを有して隣接して配置され、共に光軸Bに沿って移動可能である。
4群レンズホルダ41には遮光板(被検出部)41a(図19)が一体に形成されている。この遮光板41aは、フォトインタラプタ39を遮光するためのものである。フォトインタラプタ39と遮光板41aとで「検出手段」が構成される。ここで、フォトインタラプタ39は、光を出射するLED等でなる発光部(図示せず)と該発光部から発した光を受光する受光センサ39a(図20)とが対向する構成のものである。受光センサ39aによる受光量に応じた電気信号が検出信号として得られる。発光部と受光センサ39aとの間を遮光板41aによって遮られると受光センサ39aは受光しなくなる。
また、図2、図19に示すように、4群レンズホルダ41がスリーブ部41dにてガイド軸87に吊られており、スリーブ部41dから腕部41bが延びている。ズームボディ64にはストッパ部(規制部)64bが形成されている。
図19に示すように、コイル型の引張バネ(付勢手段)43がズームボディ64の爪64cと4群レンズホルダ41の爪41cとの間に張架され、両者を引っ張りあっている。引張バネ43によって光軸B方向において4群レンズホルダ41が第3レンズ群30の側、すなわち、プリズム6の方向に常に付勢されている。撮影時においては、4群レンズホルダ41の腕部41bがズームボディ64のストッパ部64bに突き当たった状態となり、図1、図2、図17等に示された位置に片寄せされる。これにより、4群レンズホルダ41のプリズム6の方向における移動限界位置が規定される。
第3レンズ群30がステッピングモータ32(図2)によって駆動されることにより、第3レンズ群30と第4レンズ群40とは、収納位置(SINK)を初期位置とする移動行程において、途中までは一体に移動する。しかし、それ以降は第4レンズ群40が停止し、第3レンズ群30が単独で移動するようになる。ここでいう途中の位置とは、第4レンズ群40の腕部41bがズームボディ64のストッパ部64b(図2等参照)に光軸B方向において突き当たる位置である。
SINK位置を初期位置として、第3レンズ群30がステッピングモータ32によって駆動される移動行程において、腕部41bがストッパ部64bに当接するまでの間は、引張バネ43の張力によって第3レンズ群30と第4レンズ群40とは当接を維持する。従って、プリズム6の方向に移動するときは、第4レンズ群40が引張バネ43の張力によって第3レンズ群30と一体移動する。そして、腕部41bがストッパ部64bに当接した後は、第4レンズ群40がその位置で停止し、第3レンズ群30だけがプリズム6の方向に移動してTELE位置(望遠位置)まで移動する。
一方、逆に、第3レンズ群30が撮像素子8の方向に移動する行程では、第3レンズ群30が第4レンズ群40に当接するまでは第3レンズ群30が単独で移動する。そして、第4レンズ群40に当接してからは、引張バネ43の張力に抗して第3レンズ群30が第4レンズ群40を押し、撮像素子8の方向に両者が一体に移動して、SINK位置まで移動する。
図20は、フォトインタラプタ39と遮光板41aとの相対的な関係を示す模式的な断面図である。フォトインタラプタ39は第3レンズ群30と一体に移動し、遮光板41aは第4レンズ群40と一体に移動するので、第3レンズ群30と第4レンズ群40との間の距離によって、遮光板41aによるフォトインタラプタ39の遮光の程度が変化する。受光センサ39aへの受光量が閾値を横切ると、フォトインタラプタ39の受光センサ39aの電気的な出力が切り換わり、第3レンズ群30と第4レンズ群40との相対的な位置が検知される仕組みになっている。
第3レンズ群30と第4レンズ群40との間の距離(図15、図17、図18に示す間隔D1)は、SINK位置からWIDE位置付近までの領域では一定距離(所定間隔)より短い。この領域では、図20(a)に示すように、遮光板41aによってフォトインタラプタ39内の発光部の光が受光センサ39aに入らないように遮光されている。
図20(a)に示す状態は、第3レンズ群30がTELE位置(望遠位置)の方向に移動する行程において第4レンズ群40の腕部41bがズームボディ64のストッパ部64bに当接した少し後の状態である。図20(b)は、図20(a)の状態から第3レンズ群30がさらにプリズム6の方向に移動した状態(リセット位置)を示し、図20(c)は、第3レンズ群30がTELE位置まで移動した状態を示す。
図1に示すように、5群レンズ5が5群レンズホルダ51に保持されて第5レンズ群50を構成する。図2に示すように、5レンズ群50は前述のガイド軸86、87により光軸B方向に沿って移動可能に支持されている。ステッピングモータ42の駆動によりスクリュー42aを回転させて第5レンズ群50を光軸Bに沿って進退移動させることで、変倍動作及び合焦動作が行われる。光学フィルタ7は、空間周波数の高い光をカットする為のローパスフィルタ機能と赤外光をカットする機能を有する。
図6はレンズ鏡筒がTELE位置(望遠位置)にある状態を示す要部断面図、図7はTELE位置にあるレンズ鏡筒を第1レンズ群10の光軸A方向における被写体側から見た主要部分の図(正面図)である。図7では、第1レンズ群10、第2レンズ群20、固定筒62、及び直進ガイド筒63の図示は省略している。また、図18はレンズ鏡筒がTELE位置(望遠位置)にある状態を第1レンズ群10の光軸A方向における被写体の反対側から見た主要部分の図(背面図)である。
図6及び図7に示すように、第1レンズ群10が光軸Aに沿って被写体側に前進するとともに、第2レンズ群20が光軸Aに沿って後退してプリズム6に接近した位置で停止した状態となって、レンズ鏡筒がTELE位置に位置する。第3レンズ群30は、TELE位置になるとき、ステッピングモータ32の駆動により、光軸Bに沿ってプリズム6に向かって移動して該プリズム6に接近した位置で停止する。
ここで第4レンズ群40はWIDE位置(広角位置)となる以前から腕部41bがストッパ部64bに突き当たっているため、移動せずに停止している。そのため第3レンズ群30は第4レンズ群と離れてステッピングモータ32の駆動により移動し、フォトインタラプタ39も第3レンズ群30と共に移動する。フォトインタラプタ39を遮光していた遮光板41aは移動しないため、WIDE位置からTELE位置方向に第3レンズ群30が移動し始めると、図20(b)に示すように、やがて受光センサ39aの遮光板41aによる遮光が解除される。
本撮像装置の動作の全体を制御する不図示の制御部が設けられる。制御部は、この遮光の切り換わりのタイミングをフォトインタラプタ39の出力から検出する。制御部は、その位置をリセット位置とし、該位置を基準として以後のステッピングモータ32のパルスをカウントすることにより、第3レンズ群30と第4レンズ群40との相対的な位置関係、ひいては第3レンズ群30の絶対位置を把握する。
すなわち、リセット位置となったときに、第3レンズ群30と第4レンズ群40との間隔D1が所定間隔となったことがわかる。一方、第4レンズ群40の腕部41bがストッパ部64bに離接するときの第3レンズ群30及び第4レンズ群40の光軸B方向における位置は既知である。また、第1の区間における間隔D1も一定で既知である。従って、間隔D1が所定間隔となったときの第3レンズ群30の位置を基準として、収納位置からの第3レンズ群30の絶対位置も把握されることになる。ところで、第3レンズ群30と第4レンズ群40との間隔D1を規定する上で、図15、図17、図18に示した位置は一例であり、これに限定されない。第3レンズ群30及び第4レンズ群40の固定的で決められた位置同士の間隔であればよい。
第3レンズ群30の移動区間のうち、SINK位置から始まって、腕部41bがストッパ部64bに当接するまでの区間を「第1の区間」と称する。第1の区間は、第3レンズ群30が第4レンズ群40と一体となって移動する区間である。また、第3レンズ群30の移動区間のうち、腕部41bがストッパ部64bに当接状態となっていて第3レンズ群30が単独で移動する区間を「第2の区間」と称する。第2の区間は、第1の区間に隣接する位置からTELE位置までの区間である。上記したリセット位置は、第2の区間に含まれる。
ところで、第3レンズ群30がプリズム6の方向に移動する行程において、リセット位置からTELE位置までの間では、フォトインタラプタ39は遮光されない。
レンズ鏡筒のTELE位置においては、図7に示すように、ステッピングモータ91は、その光軸B方向の位置がプリズム6と一致するように、プリズム6の(図7の)下側において光軸Bと平行にプリズム6に対して全域が重なる位置に位置する。第5レンズ群50は、ステッピングモータ42の駆動により、光軸Bに沿って撮像素子8に向かって移動し、TELE位置においては撮像素子8に接近した位置で停止する。
図8は、レンズ鏡筒がSINK位置(収納位置)にある状態を示す要部断面図である。図9は、SINK位置にあるレンズ鏡筒を第1レンズ群10の光軸A方向における被写体側から見た主要部分の図(正面図)である。また、図15は、レンズ鏡筒がSINK位置(収納位置)にある状態を第1レンズ群10の光軸A方向における被写体の反対側から見た主要部分の図(背面図)である。図16は、レンズ鏡筒がSINK位置(収納位置)にある状態を示す第3レンズ群30の光軸Bに垂直な方向の要部断面図である。
図8、図9に示すように、レンズ鏡筒がSINK位置にある状態では、プリズム6、第3レンズ群30及び第5レンズ群50は、互いに干渉しないように光軸Bに沿って撮像素子8側に移動した状態となる。レンズ鏡筒がSINK位置に沈胴する際、第4レンズ群40は3レンズ群30に押されてSINK位置(沈胴位置)まで繰り込まれる。WIDE位置からSINK位置までの間では、フォトインタラプタ39は遮光板41aによってずっと遮光されたままになっている。プリズム6がSINK位置に移動したことで、第2レンズ群20及び第1レンズ群10の後方に収納空間が形成される。
ズームボディ64は2本のガイド軸86、87と光学フィルタ7を保持固定している(図9)。図15に示すように、ガイド軸86、87の片側の端部は、カム筒61内の2群鏡筒21と重なる位置まで延びており、反対の端部は、光学フィルタ7を保持している位置まで延びている(図2)。
また、ズームボディ64は、光軸A方向における被写体側に固定筒62を保持し(図1、図16)、後述するギア列群を保持している。図1、図6、図8に示すX寸法は、ズームボディ64の固定筒62やカム筒61をはじめとする部品を載せている部分より光軸A方向結像面側の寸法である。すなわち、X寸法は、ズームボディ64のうち、固定筒62やカム筒61を保持している部分の光軸A方向の厚みである。
図1,図6に示すY寸法は、光軸A方向における被写体の反対側のズームボディ64の端から、プリズム6を保持する保持部材60の端までの寸法である。ズームボディ64の最低肉厚やクリアランス等を考慮して、Y≧Xの関係となっている。
ズームボディ64に穴64aが空いているため、撮影状態においてプリズム6が位置していた空間からさらに奥に、光軸A上で像面方向(被写体の反対側)に穴64aによって形成されるY寸法分の空間が広がる。SINK位置となるときには、これらの空間を合わせた収納空間に、第2レンズ群20及び第1レンズ群10が光軸Aに沿って後退して、収納される。
また、図16に示すように、2群鏡筒21にはガイド軸86、87に干渉しないように対応する溝21a、21bが形成されている。2群レンズ2は、2本のガイド軸86、87に挟まれる位置に収納される。ガイド軸86、87よりも2群レンズ2の被写体の反対側(図16の左側)の面が、光軸A方向で結像面方向にZ寸法分だけ奥の位置となるように2群レンズ2が収納される。ここで、Z寸法は、被写体の反対側におけるズームボディ64の端とガイド軸86、87の端との距離である。
SINK位置においては、図9に示すように、ステッピングモータ91は、光軸B方向における位置がプリズム6と一致するように、プリズム6の図9の下側において光軸Bと平行にプリズム6に対して全域が重なる位置に配置される。
次に、固定筒62、カム筒61及び直進ガイド筒63について説明する。固定筒62の内周部には、カム筒61の外周部に設けられカムピン(不図示)がカム係合するカム溝62a(図12参照)が周方向に略等間隔で複数箇所形成されている。カム筒61の外周部には、後述する駆動ギア68に噛合するギア部61a(図10)が形成され、駆動ギア68から駆動力が伝達されることで、カム筒61が回転駆動される。このとき、固定筒62のカム溝62aとカム筒61のカムピンとのカム作用により、カム筒61は光軸Aに沿って進退することとなる。また、カム筒61の内周部には、不図示の1群カム溝及び2群カム溝が形成されている。
図1に示すように、直進ガイド筒63は、カム筒61の内周側に配置され、カム筒61と一体となって回転可能且つ、光軸A方向に移動可能とされている。カム筒61の半径方向において、カム筒61と直進ガイド筒63との間には、第1レンズ群10の1群鏡筒11の、被写体の反対側の端部が介在し、第1レンズ群10の1群鏡筒11の外周部に設けたカムピンがカム筒61の1群カム溝とカム係合している。また、直進ガイド筒63の外周部には、光軸A方向に沿って延びる直進溝(不図示)が形成されており、この直進溝に1群鏡筒11の内周部に設けた凸部が係合することにより、1群鏡筒11の回転方向の動きが規制されている。
直進ガイド筒63の内周側には、第2レンズ群20が配置され、第1レンズ群10と同様に、第2レンズ群20の2群鏡筒21に設けた不図示のカムピンがカム筒61の2群カム溝にカム係合する。また、直進ガイド筒63には、光軸A方向に不図示の貫通溝が設けられており、この貫通溝に2群鏡筒21のカムピンの根元に配置された係合部が係合することにより、2群鏡筒21の回転方向の動きが規制されている。
そして、カム筒61が回転すると、カム筒61の1群カム溝と1群鏡筒11のカムピンとのカム作用により、1群鏡筒11の凸部が直進ガイド筒63の直進溝を光軸A方向に摺動しながら、1群鏡筒11がカム筒61に対して光軸Aに沿って進退する。従って、カム筒61が固定筒62に対して光軸Aに沿って進退すると、カム筒61に対して1群鏡筒11が光軸Aに沿って進退して1群レンズ1が収納位置と撮影位置(WIDE位置乃至TELE位置)との間を移動する。2群レンズ2についても、同様の動作によって収納位置と撮影位置との間を移動する。
次に、図10〜図14を参照して、カム筒61及びプリズム6の駆動機構について説明する。図10は、カム筒61、及びプリズム6を駆動する機構の一部を分解した斜視図である。図14は、カム筒61を駆動する駆動機構の一部を切断した斜視図である。
図10において、SWモータ67は、第1レンズ群10及び第2レンズ群20をSINK位置とWIDE位置との間で移動させるための駆動源である。TWモータ53は、第1レンズ群10及び第2レンズ群20をTELE位置とWIDE位置との間で移動させるための駆動源である。SWモータ67及びTWモータ53は、それぞれモータ軸線を光軸B方向に向け、且つモータ軸をカム筒61の径方向内側に向けて配置されている。また、TWモータ53は、SWモータ67より被写体側に配置されている。SWモータ67のモータ軸には、ウォームギア52が圧入され、TWモータ53のモータ軸には、ウォームギア54が圧入されている。
図10、図14に示すように、ウォームギア52とウォームギア54との間には、被写体側(図の上側)から順に光軸Aと平行にズームリングギア55、ズームキャリアギア56及び太陽ギア列57が同軸配置されている。SW側斜歯ギア66は、被写体側の平歯部66aと被写体の反対側のはすば歯車である斜歯部66bとを有する。太陽ギア列57は、3段の平ギアからなる太陽ギア57a、57b、57cを備え、SW側斜歯ギア66の平歯部66aに太陽ギア57aが噛合し、斜歯部66bにウォームギア52が噛合している。
ズームキャリアギア56は、ギア部56a、及びギア部56aの被写体側を向く面に周方向に略等間隔で被写体方向に突設された3本の軸部56bを備え(図14)、3本の軸部56bには、それぞれズーム遊星ギア58が軸支されている。TW側斜歯ギア65は、被写体側の平歯部65aと被写体の反対側のはすば歯車である斜歯部65bとを有する。ウォームギア54にはTW側斜歯ギア65の斜歯部65bが噛合し、平歯部65aには、平ギアを介してギア部56aが噛合している。ズーム遊星ギア58は、ギア57bに噛合するようになっている。
ズームリングギア55は、内歯ギア55aと外歯ギア55bとを備え、内歯ギア55aには、ズーム遊星ギア58が噛合し、外歯ギア55bは、アイドラギア59を介して駆動ギア68に噛合し、駆動ギア68は、カム筒61のギア部61aに噛合する。
次に、プリズム駆動部80について説明する。図10、図14に示すように、プリズム駆動部80は、太陽ギア列57の被写体の反対側において、被写体側から順にプリズムキャリア81、トーションバネ84及びプリズムディレイギア82が太陽ギア列57と同軸に配置されている。プリズムディレイギア82は、プリズムキャリア81に回転自在に軸支される。
プリズムキャリア81の被写体側を向く面には、3本の軸部が周方向に略等間隔で被写体方向に突設されており、これら3本の軸部には、それぞれプリズム遊星ギア83が軸支されている。プリズム遊星ギア83は、図14の下側の太陽ギア57c及び不図示のギア地板に固定された内歯ギアに噛合するようになっている。
図13は、プリズムキャリア81とプリズムディレイギア82との位相関係、及びトーションバネ84のチャージ量を説明するための図である。プリズムディレイギア82のギア部には、プリズム駆動ギア85が噛合する。プリズムキャリア81及びプリズムディレイギア82には、それぞれ掛止部81b及び掛止部82bが互いに対向する方向に延びて設けられており、掛止部81bは、掛止部82bより径方向内側に配置されている(図13参照)。
トーションバネ84は、コイル部と、コイル部の軸方向両端から径方向外側に延びる2本の腕部84a,84bとを備える。2本の腕部84a,84bは、プリズムディレイギア82及びプリズムキャリア81の掛止部82b,81bに掛止される。トーションバネ84は、組み込み時には、掛止部82b及び掛止部81bが同位相に配置された状態(図13(b)参照)で、2本の腕部84a,84bが掛止部82bに掛止されてプリチャージされている。
この状態で、プリズムディレイギア82の回転を自由にして、プリズムキャリア81を回転させると、プリズムキャリア81、プリズムディレイギア82及びトーションバネ84は一体的に回転する。一方、プリズムディレイギア82の回転を規制した状態で、プリズムキャリア81を回転させると、トーションバネ84をオーバーチャージしながらプリズムキャリア81のみが回転する。
図11は、プリズム6を保持する保持部材60とプリズム駆動部80の一部を示す平面図である。
図11に示すように、保持部材60には、互いに平行配置されて光軸B方向に延びる2本のガイド軸86,87に移動可能に係合する係合部60a、60bが形成されている。係合部60aには、ラックギア60cが形成されており、該ラックギア60cは、プリズム駆動ギア85と噛合している。このため、プリズム駆動ギア85が回転すると、保持部材60がプリズム6と一体となって光軸Bに沿って進退する。
次に、図10、図14に戻って、カム筒61及びプリズム6の動作について説明する。
SWモータ67を駆動してTWモータ53を停止した場合、SWモータ67から駆動力が太陽ギア列57に伝達されて該太陽ギア列57が回転し、TWモータ53に接続されているズームキャリアギア56は停止している。そのため、ズーム遊星ギア58は、公転せず自転のみする。
ここで例えば、太陽ギア57bの歯数を9、ズーム遊星ギア58の歯数を10、ズームリングギア55の内歯ギア55aの歯数を30とすると、太陽ギア列57の回転は1/3.33倍に減速されてズームリングギア55に伝達される。これにより、外歯ギア55bの回転がアイドラギア59を介して駆動ギア68に伝達され、駆動ギア68の回転がカム筒61のギア部61aに伝達されてカム筒61が回転駆動される。このときのズームリングギア55の回転方向は、太陽ギア列57と逆方向となる。
また、このとき、太陽ギア列57の回転がプリズム遊星ギア83を経てプリズムキャリア81に伝達される。ここで、保持部材60が光軸B方向に移動可能であれば、トーションバネ84とプリズムディレイギア82がプリズムキャリア81と一体に回転し、保持部材60を光軸B方向に進退させる。一方、保持部材60の光軸B方向の移動が規制されていれば、プリズムディレイギア82も回転できないため、トーションバネ84がオーバーチャージしながらプリズムキャリア81の回転を吸収する。
一方、SWモータ67を停止し、TWモータ53を駆動した場合、SWモータ67に接続されている太陽ギア列57は停止し、TWモータ53に接続されているズームキャリアギア56は回転する。そのため、ズーム遊星ギア58は自転と公転をする。ここで例えば、太陽ギア57bの歯数を9、ズーム遊星ギア58の歯数を10、ズームリングギア55の内歯ギア55aの歯数を30とすると、ズームキャリアギア56の回転は1.3倍に増速されてズームリングギア55に伝達されて、カム筒61を回転駆動する。この場合、ズームリングギア55の回転方向は、ズームキャリアギア56と同じ方向になる。
また、このとき、太陽ギア列57が停止しているため、プリズムキャリア81も停止しており、保持部材60には駆動力は伝達されない。
SWモータ67とTWモータ53とを同時に駆動した場合、ズームリングギア55には、合成された回転数が伝達される。例えば、太陽ギア列57をCW(時計回り)方向に1rpm、ズームキャリアギア56をCW方向に1rpmで回転した場合を考える。太陽ギア列57によってズームリングギア55に伝達される回転数は、CCW(反時計回り)方向に0.3rpmであり、ズームキャリアギア56によってズームリングギア55に伝達される回転数は、CW方向に1.3rpmである。従って、これらを合成して、ズームリングギア55はCW方向に1rpmで回転する。
また、太陽ギア列57をCW方向に1.3rpm、ズームキャリアギア56をCW方向に0.3rpmで回転した場合を考える。太陽ギア列57によってズームリングギア55に伝達される回転数は、CCW方向に0.39rpmであり、ズームキャリアギア56によってズームリングギア55に伝達される回転数は、CW方向に0.39rpmである。これらを合成すると、ズームリングギア55は停止することになる。
以上の説明から、SWモータ67とTWモータ53の回転数と回転方向を適切に選択することで、カム筒61を停止させた状態でプリズム6を駆動することができることが分かる。また、SWモータ67に接続したギア列の減速比は大きく、TWモータ53に接続したギア列の減速比は小さくなることが分かる。この点については、後述する。
次に、図12及び図13を参照して、第1レンズ群10及び第2レンズ群20を光軸A方向に繰り出して、プリズム6を撮影位置に配置する動作について説明する。
図12は、固定筒62の内周側展開図である。図12に示すように、固定筒62の内周部には、カム筒61の外周部に設けたカムピンがカム係合するカム溝62aが周方向に略等間隔で複数箇所形成されている。また、固定筒62の後端部には、プリズム6を保持する保持部材60が光軸B方向に進退する際に通り抜ける切り欠き62bが形成されている。また、2群鏡筒21と同様にカム筒61及び直進ガイド筒63にはガイド軸86、87に対応する位置にそれぞれ溝が切ってあり、干渉しないように切り欠かれている。
レンズ鏡筒がSINK位置にあるとき、カム筒61のカムピンは、固定筒62のカム溝62a内で図12の位置62cに位置する。このとき、プリズムキャリア81とプリズムディレイギア82の位相関係は、図13(a)に示すように、トーションバネ84をオーバーチャージした位相関係にある。この状態において保持部材60は、トーションバネ84のチャージ力によって光軸Bの退避方向(撮像素子8側)に付勢されているが、不図示のメカ端によって退避方向への移動が規制されている。
レンズ鏡筒を撮影状態にするには、まず、SWモータ67をカム筒61の繰り出し方向に回転させる。このとき、カム筒61のカムピンは、固定筒62のカム溝62aを図12の右方向に移動する。すると、カム筒61の回転に伴って、直進ガイド筒63の直進溝及びカム筒61の1群カム溝の作用によって、カム溝62aのリフトを有する区間で第1レンズ群10及び第2レンズ群20が光軸Aに沿って繰り出し方向に移動する。
この繰り出し動作の間、プリズムキャリア81も保持部材60を撮影位置に繰り出す方向に回転するが、トーションバネ84がオーバーチャージの状態であるため、プリズムディレイギア82は停止したままとなる。従って、保持部材60は、退避位置から動かない。
カム筒61が光軸A方向に繰り出されて、保持部材60が撮影位置側に移動できる空間が形成されると、図13(b)に示すように、プリズムキャリア81の掛止部81bとプリズムディレイギア82の掛止部82bとの位相が一致する。
また、SWモータ67をカム筒61の繰り出し方向に回転させると、カム筒61のカムピンは、固定筒62のカム溝62aを図12の右方向に移動し、同時に保持部材60が撮影位置に向けて移動する。
そして、カム筒61がWIDE位置に達すると、SWモータ67をカム筒61の繰り出し方向に駆動した状態で、TWモータ53をカム筒61の繰り込み方向に駆動する。これにより、カム筒61はWIDE位置で停止した状態で保持部材60のみが光軸B方向に沿って撮影位置に向けて移動を続ける。
保持部材60は、撮影位置に達すると、不図示の撮影側ストッパに当接して停止し、保持部材60の停止と同時に、プリズムディレイギア82も停止する。このとき、SWモータ67をさらにカム筒61の繰り出し方向に駆動し続けることで、プリズムキャリア81が保持部材60を撮影位置に繰り出す方向に回転し続けて、トーションバネ84をオーバーチャージする。トーションバネ84をある程度オーバーチャージすることで、トーションバネ84の作用によって保持部材60が撮影側ストッパ側に付勢されるため、撮影時に保持部材60の位置や姿勢が安定する効果がある。
トーションバネ84が所定のオーバーチャージ状態に達した時点で、SWモータ67とTWモータ53を停止する。
以上の動作によって、第1レンズ群10、第2レンズ群20、プリズム6は、WIDE位置に配置される。カム筒61がWIDE位置に達すると、カムピンは、固定筒62のカム溝62a内の位置62d(図12)に位置する。
その後、ステッピングモータ32を駆動することにより、第3レンズ群30が、図20(b)に示したリセット位置まで移動する。このとき第3レンズ群30の位置がリセットされ、制御部がステッピングモータ32を逆転させてそのパルスをカウントしながら所定の位置まで第3レンズ群30を移動させる。
第4レンズ群40は第3レンズ群30に対して引張バネ43により片寄せされているため、SINK位置から、第4レンズ群40は第3レンズ群30と同時に一体として移動を開始する。そして、第4レンズ群40は腕部41bがストッパ部64bに突き当たるまで、第3レンズ群30と一体として同じ動きをして光軸B方向に移動する。この突き当たるまでが上記した第1の区間となる。
腕部41bがストッパ部64bに突き当たった後は第4レンズ群40は突き当て位置に固定され、移動を続ける第3レンズ群30とは分離される。この区間が上記した第2の区間となる。
レンズ鏡筒をWIDE位置からSINK位置に移動させる場合は、前述と逆の動作を行う。まず、ステッピングモータ42の駆動により第5レンズ群50を光軸B方向に沿って撮像素子8側に退避させる。次にステッピングモータ32の駆動により第3レンズ群30を撮像素子8の方向に移動させる。すると、第3レンズ群30が第4レンズ群40に近づいていき、フォトインタラプタ39と遮光板41aの遮光状態は、図20(c)→図20(b)→図20(a)に示す状態へと移り変わる。フォトインタラプタ39の受光センサ39aは遮光されない状態から遮光された状態に切り換わる。
そして、図20(a)に示す状態からさらにステッピングモータ32の駆動により第3レンズ群30を移動させると、第4レンズ群40に第3レンズ群30が突き当たり、腕部41bがストッパ部64bから離間する。この位置で第2の区間から第1の区間に切り換わる。
さらに、ステッピングモータ32の駆動を続けると、第3レンズ群30は第4レンズ群40と一体化して光軸B方向に沿って撮像素子8側に退避させられる。次に、TWモータ53をカム筒61の繰り出し方向に駆動しながら、同時にSWモータ67をカム筒61の繰り込み方向に駆動すると、カム筒61は回転せずに、プリズムキャリア81のみが保持部材60を撮影位置に繰り出す方向に回転する。
そして、上述したトーションバネ84のオーバーチャージ分だけプリズムキャリア81が回転して、プリズムキャリア81の掛止部81bとプリズムディレイギア82の掛止部82bの位相が一致する。このとき、プリズムディレイギア82は、プリズムキャリア81、トーションバネ84と一体的に保持部材60を退避位置に繰り込む方向に回転して、保持部材60が退避方向に移動する。
保持部材60が退避位置に移動して、カム筒61の後方に収納可能な空間が形成されると、TWモータ53が停止して、SWモータ67のみがカム筒61を繰り込む方向に駆動を続け、カム筒61が繰り込みを開始する。保持部材60は、退避位置まで移動すると、不図示の退避側メカ端に当接して停止し、同時にプリズムディレイギア82も停止する。
SWモータ67は、カム筒61を収納位置まで繰り込むために駆動し続けるので、プリズムキャリア81は、トーションバネ84をオーバーチャージしながら、保持部材60を退避位置に繰り込む方向に回転し続ける。カム筒61がSINK位置に収納されて、第1レンズ群10及び第2レンズ群20が収納されると、SWモータ67が停止する。
レンズ鏡筒をWIDE位置とTELE位置の間で変倍動作する場合は、TWモータ53のみを駆動することにより、保持部材60を光軸B方向に移動させることなく第1レンズ群10及び第2レンズ群20を光軸A方向に移動させることができる。レンズ鏡筒のTELE位置では、カム筒61のカムピンは、固定筒62のカム溝62aの位置62eに位置する(図12参照)。
次に、上述したように、SWモータ67に接続したギア列の減速比が大きく、TWモータ53に接続したギア列の減速比が小さいことによる効果について説明する。
通常、WIDE位置からTELE位置までの領域(以下「撮影領域」という。)よりも固定筒62のカム溝62aのリフト角が大きいSINK位置から撮影領域までの領域(以下「沈胴繰り出し領域」という。)の方が、カム筒61の駆動負荷が大きい。また、沈胴繰り出し領域では、不図示のレンズバリアの作動負荷がさらに加わる場合が多いため、減速比が大きいギア列を用いて、モータのトルクを増幅する必要がある。
一方、撮影領域では、動画等の撮影中にレンズ駆動音が録音されないように、モータの回転数を低く抑える必要がある。このとき、減速比の大きいギア列を用いると、カム筒の回転速度が極端に遅くなってしまう。
本実施の形態では、カム筒61の駆動負荷が大きい沈胴繰り出し領域では、減速比の大きいギア列を介してSWモータ67の駆動力をカム筒61に伝達してカム筒61を駆動する。また、撮影領域では、減速比の小さいギア列を介してTWモータ53の駆動力をカム筒61に伝達してカム筒61を駆動する。従って、動画撮影中にモータの駆動音が小さくなるようにTWモータ53を低速回転させても、快適な変倍動作速度を得ることができる。
また、本実施の形態では、SWモータ67とTWモータ53を異なる種類のモータにすることができる。例えば、SWモータ67にはDCモータを使用し、TWモータ53にはステッピングモータを使用することができる。ステッピングモータは、DCモータに比べて、低速での安定した制御ができるため、動画撮影中の低速駆動に好適である。
さらに、ステッピングモータは、駆動方式としてマイクロステップ駆動や2相励磁駆動等が選択できる。マイクロステップ駆動を用いれば、さらに静粛性の高い駆動ができ、2相駆動を用いれば、高トルク駆動ができるため、例えば静粛性が必要な動画撮影中の変倍動作にはマイクロステップ駆動を用い、静止画撮影中の変倍動作には2相駆動を用いると良い。
また、本実施の形態の駆動機構のギア列の構成は、沈胴繰出し領域及び撮影領域を含む全ての領域において、SWモータ67とTWモータ53のどちらを駆動してもカム筒61を駆動することができる。従って、高速の変倍動作が必要な場合はSWモータ67を使用し、低速の変倍動作が必要な場合はTWモータ53を使用するという使い分けも可能である。
次に、図10、図14に戻って、第1レンズ群10及び第2レンズ群20の光軸A方向の位置を検出するためのパルスギア列70について説明する。
図10、図14に示すように、パルスギア列70は、遊星ギア列の出力ギアであるズームリングギア55及びアイドラギア59に接続されている。パルスギア列70の最終段のパルス板71には、複数枚の羽根が設けられており、この羽根が通過した回数をフォトインタラプタ72によってカウントすることで、カム筒61の回転量を検出する。パルスギア列70の増速比とパルス板71の羽根の枚数は、光学設計によって決まる必要な分解能が得られるように決定される。
本来、モータの駆動力の伝達にギア列を用いる場合は、滑りによる回転量のロス等がないため、モータの回転量に対してカム筒の回転量は減速比によって線形に決まる。しかし、実際には、ギアのバックラッシュや噛み合い誤差によって、モータの回転量に対するカム筒の回転量はばらつきが生じる。
ただし、一つのモータで一つのカム筒を駆動する従来のレンズ鏡筒は、一度ギア列を組み立ててしまえば、モータを駆動してもギアの噛み合い関係が不変である。つまり、毎回同じ歯同士が噛み合うため、モータの回転量に対するカム筒の回転量のばらつきの状態は毎回同じである。従って、モータの回転量から計算によってカム筒の回転量を求めても、実際の回転量との誤差は小さい。
これに対し、本実施の形態のように、遊星ギア列を用いて二つのモータの回転量を合成して一つのカム筒を駆動する場合、一方のモータを回転させると他方のモータとズームリングギア55の間の噛み合う歯の関係が変化する。
つまり、カメラの電源をONするごとに、毎回違う歯同士が噛み合うため、モータの回転量に対するカム筒の回転量のばらつきの状態が異なる。そのため、モータの回転量から計算によってカム筒の回転量を求めても、実際の回転量との誤差が大きくなってしまう可能性がある。
しかし、本実施の形態では、遊星ギア列の出力ギアであるズームリングギア55とカム筒61との間のアイドラギア59から、パルスギア列70を分岐させているため、パルスギア列70とカム筒61のギアの噛み合い関係は不変である。そのため、従来のレンズ鏡筒と同等の誤差で、カム筒61の回転量を検出することができる。
以上説明してきたように、本実施の形態では、第3レンズ群30と第4レンズ群40が一体となって移動する第1の区間と、第3レンズ群40のみが移動する第2の区間との切り換わりをフォトインタラプタ39で検出して位置関係をリセットする。これにより、リセット後の第3レンズ群30の位置をパルスのカウントで位置制御することが可能になる。また、遮光板41aを第4レンズ群40と一体に設ける構成にすると共に、フォトインタラプタ39を第3レンズ群30と一体に動くように構成することで、遮光板41aの光軸B方向の長さを短く設計することができる。そのため、ズームボディ64等にフォトインタラプタ39や遮光板41aの配置スペースを設ける必要がなくなり、レンズ鏡筒の小型化に寄与する。ひいては、フォトインタラプタ39及び遮光板41aでなる検出手段の小型化も容易で、配置の自由度も高くなる。
ところで、本発明の構成は、上記実施の形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、反射光学素子としてプリズム6を例示したが、これに限定されず、例えばミラー等を用いてもよい。また3群地板31と3群カバー38は別部材を一体化して例示したが、3群カバー38がなく、3群地板31にフォトインタラプタ39を直接取り付ける構成にしても良い。
本実施の形態において、フォトインタラプタ39は第3レンズ群30に配設し、遮光板41aは第4レンズ群40に配設したが、フォトインタラプタ39と遮光板41aの配設関係をこれとは逆にしてもよい。
また、検出手段においてフォトインタラプタ39は、発光部と受光センサ39aとが対向する構成であったが、これに限定されず、フォトリフレクタであってもよい。例えば、発光部と受光部とを同じ側に設けると共に、発光部から発した光を反射する反射面を発光部に対向して設け、発光部→反射面→受光部の光路を遮光板41aが遮光する構成であってもよい。あるいは、第3レンズ群30に発光部と受光部とを設けると共に、第4レンズ群40には反射部を設け、発光部から発した光が反射部で反射して受光部で受光されるように構成してもよい。また、検出手段は、フォトセンサに限られず、磁気や超音波等を利用したものであってもよい。
本実施の形態では、第1の区間と第2の区間とで、第3レンズ群30の移動区間の全区間を占めたが、それに限定されるものではない。また、第1の区間と第2の区間との境目は、腕部41bがストッパ部64bに当接する位置で規定されるが、それに限定されるものではない。第3レンズ群30が第4レンズ群40と一体となって移動する第1の区間と第3レンズ群30が単独で移動する第2の区間とが、何らかの機構や制御によって切り換わるように構成されていればよい。
ところで、第4レンズ群40をズームボディ64に対して第3レンズ群30の側に付勢する付勢手段としては、引張バネ43を例示したが、これに限定されず、他の形態のバネやゴム等の弾性部材であってもよい。
本実施の形態では、2つの光学系が所定間隔となったことを検出する機構を説明し、2つの光学系としては、第3レンズ群30及び第4レンズ群40を採り上げた。しかし、これらに限定されず、共通する光軸方向に移動可能な互いに隣接する2つの光学系であって、ズーム、沈胴またはフォーカスの少なくとも1つの動作のために移動する各種の光学系に適用が可能である。