JP5609003B2 - 無方向性電磁鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄心材料等として使用される無方向性電磁鋼板に関する。
回転機、中型又は小型の変圧器及び電装品等に鉄心が用いられており、鉄心の材料として無方向性電磁鋼板が用いられている。無方向性電磁鋼板から鉄心を作製する際には、所定の形状に加工された複数の無方向性電磁鋼板を積層し、これを焼き嵌め又はボルト締め等により外枠等に固定している。従って、鉄心には何らかの応力が外部から作用している。
このような応力により、無方向性電磁鋼板の鉄損及び磁束密度等の磁気特性が低下してしまう(非特許文献1)。そこで、圧縮応力に伴う性能の低下の抑制を図った技術が提案されている(特許文献1〜4)。
しかしながら、従来の種々の技術によっても圧縮応力に伴う磁気特性の低下を十分に抑制することは困難である。
特開2003−253404号公報 特開2005−307258号公報 特開2005−312155号公報 特開2008−189976号公報
電学論A、117(1997)311
本発明の目的は、応力が作用した場合の磁気特性の低下を抑制することができる無方向性電磁鋼板を提供することにある。
本発明に係る無方向性電磁鋼板は、質量%で、Si:3.16%〜4.0%、Al:0.09%〜0.15%、及びMn:0.05%〜1.0%を含有し、Cの含有量が0.0040%以下、Pの含有量が0.05%以下、Sの含有量が0.0040%以下、Nの含有量が0.0040%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Si含有量を[Si]、Al含有量を[Al]と表したときに式(1)及び式(6)を満足し、磁歪定数λ100が35×10-6以下であることを特徴とする。
0.7[Si]−[Al]≧−0.6 ・・・ 式(1)
25.1≦12.4[Si]+10[Al]≦55.1 ・・・ 式(6)
本発明によれば、組成が適切に調整され、かつ、磁歪定数λ100が適切に規定されているため、応力の作用に伴う磁気特性の低下を抑制することができる。従って、モータ等の電気機器の効率の向上等に寄与することができる。
外部磁場の大きさと歪との大きさとの関係を示すグラフである。 Si含有量及びAl含有量と磁歪定数λ100との関係を示すグラフである。 応力が作用していない場合の外部磁場の大きさと磁束密度との関係(磁化曲線)を示すグラフである。 応力が作用している場合の外部磁場の大きさと磁束密度との関係(磁化曲線)を示すグラフである。 図3(a)と図3(b)との差分を示すグラフである。 応力が作用していない場合の磁束密度と鉄損W10/50との関係を示すグラフである。 応力が作用している場合の磁束密度と鉄損W10/50との関係を示すグラフである。 図4(a)と図4(b)との差分を示すグラフである。
先ず、本願発明者が本発明に至った過程について説明する。
磁性材料には磁歪とよばれる性質があり、その程度を示す指標の一つとして物理定数である磁歪定数λ100が用いられる。磁歪定数λ100は、結晶中に自発磁化が存在しない状態から、自発磁化が<100>方向を向いたときに生じる<100>方向の歪の大きさを示す。従って、磁歪定数λ100が大きいほど、磁気特性と弾性との相互作用が大きく、応力の作用により磁気特性が大きく変動することになる。
本願発明者は、無方向性電磁鋼板においても磁歪定数λ100が変化するのではないか、変化するのであれば、磁歪定数λ100を小さくすることにより、磁気特性の低下を抑制することができるのではないかと考え、無方向性電磁鋼板における磁歪定数λ100の変化について検討を行った。なお、磁歪に関する一般式を得るためには、更に磁歪定数λ110又は磁歪定数λ111が必要であるが、本願発明者の検討の対象とする無方向性電磁鋼板では、<100>方向が磁化容易方向であるため、この検討では、磁歪定数λ100のみに着目した。
また、本願発明者は、この検討に際し、Fe、Si及びAlを主成分とする無方向性電磁鋼板と磁歪定数λ100との関連性に関する公知技術があるか調査したが、Fe−Si-Al三元系合金で0質量%<Si、Al≦4質量%の範囲では、磁歪定数λ100の測定結果を示す公知技術は見つからなかった。
そして、本願発明者は、以下に示すような実験を行った。
(実験1)
先ず、表1に示す組成のインゴットを溶製し、このインゴット中に存在する大きな結晶粒から、厚さが30μm、幅が1mm、長さが10mmの板状の単結晶試料を切り出した。なお、表1に示す組成の残部は、Fe及び不可避的不純物である。このとき、単結晶試料の長手方向の方位を<001>方向とし、表面の方位を(110)面又は(100)面とし、誤差は3°以内とした。次いで、乾燥水素中で800℃、2時間の焼鈍を施した。
Figure 0005609003
そして、各試料について、最大で20kOeの外部磁場を長手方向(L方向)又は幅方向(C方向)に印加し、静電容量法によって長手方向の歪を測定した。静電容量法とは、コンデンサを形成する電極に対象の試料を固定し測定する方法で、試料の歪を電極間距離の変化に伴う静電容量の変化として捕らえることを原理としている。次いで、各試料について、磁場の大きさと、長手方向に印加した場合の長手方向の歪(磁場印加方向と平行な方向の歪)εLとの関係を示すグラフ、及び磁場の大きさと、幅方向に印加した場合の長手方向の歪(磁場印加方向に垂直な方向の歪)εCとの関係を示すグラフを作成した。グラフの例として試料No.3について、図1(a)に、磁場の大きさと歪εLとの関係を、図1(b)に、磁場の大きさと歪εCとの関係を示す。
次いで、各試料について、上記の2つのグラフから磁歪定数λ100を求めた。このとき、0kOe〜5kOeの部分の測定結果を0kOeに内挿したときに得られる値を、歪εLのグラフ、歪εCのグラフの夫々において、εL0、εC0とし、「(2/3)(εL0−εC0)」で表わされる磁歪定数λ100を求めた。この結果を表2に示す。磁歪定数λ100がこのようにして求められることは、文献「磁気工学の基礎II(共立全書)」に記載されている。なお、0kOe〜5kOeの部分の測定結果を0kOeに内挿したのは、5kOeを超える外部磁場では、体積磁歪が生じる可能性があり、この影響を排除するためである。
Figure 0005609003
更に、Si含有量及びAl含有量と磁歪定数λ100との関係を整理したところ、図2(a)に示す結果が得られた。この結果から、無方向性電磁鋼板においても磁歪定数λ100が変化するといえる。
また、Si含有量及びAl含有量と固有抵抗との関係を図2(a)に示す結果に加えると、図2(b)のグラフが得られる。図2(b)に示す関係から、固有抵抗を一定としながら磁歪定数λ100を低下させるためには、多くの場合、Si含有量を増加させ、Al含有量を低下させればよいといえる。
(実験2)
次に、表3に示すように、磁歪定数λ100が相違する試料を作製した。このとき、固有抵抗は51μΩcmと一定にした。試料の作製に当たっては、先ず、表3に示す組成のインゴットを溶製し、このインゴットに対し、加熱温度が1100℃、仕上温度が850℃、仕上厚が2.3mmの熱間圧延を行うことにより、熱間圧延板を得た。次いで、この熱間圧延板に1000℃、2分間の焼鈍を施し、その後、酸洗いを施し、0.35mmまで冷間圧延を行うことにより、冷間圧延板を得た。続いて、この冷間圧延板に1000℃、30秒間の仕上焼鈍を施し、その後、55mm×55mmの正方形板状に圧延方向を辺の方向に合わせて切り出し、750℃、2時間の歪取り焼鈍を施した。
Figure 0005609003
各試料について、圧縮応力のある場合と無い場合の鉄損と磁化力を測定した。磁場印加方向は正方形試料の辺の方向であり、圧延方向、圧延直角方向に二回測定を行い、その平均をとった。応力は磁場励磁方向と平行に、50MPaの圧縮応力を印加した。周波数は50Hzとした。この結果(磁化曲線)を図3に示す。図3(a)は、圧縮応力を印加しなかった場合の磁化曲線を示し、図3(b)は、50MPaの圧縮応力を印加した場合の磁化曲線を示す。図3(c)は、図3(a)に示す磁化曲線と図3(b)に示す磁化曲線との差分を示す。
図3(a)に示すように、圧縮応力が印加されていない状態では、磁化曲線に大きな相違は生じなかった。一方、50MPaの応力が印加された状態では、図3(b)に示すように、磁歪定数λ100が低い試料ほど、小さな外部磁場で所定の磁束密度を得ることができた。このような傾向は、図3(c)に示すグラフに顕著に表れている。この結果から、磁歪定数λ100が低い無方向性電磁鋼板ほど、所定のトルクを得るために必要な磁化力を小さくすることができるといえる。
また、各試料について、磁束密度と鉄損W10/50との関係も測定した。この結果を図4に示す。図4(a)は、圧縮応力を印加しなかった場合の測定結果を示し、図4(b)は、50MPaの圧縮応力を印加した場合の測定結果を示す。図4(c)は、図4(a)に示す測定結果と図4(b)に示す測定結果との差分を示す。
固有抵抗が一定(51μΩcm)であるため、図4(a)に示すように、圧縮応力が印加されていない状態では、鉄損W10/50に大きな相違は生じなかった。一方、50MPaの応力が印加された状態では、図4(b)に示すように、磁歪定数λ100が低い試料ほど、一定の磁束密度下における鉄損W10/50が小さくなった。このような傾向は、図4(c)に示すグラフに顕著に表れている。この結果から、磁歪定数λ100が低い無方向性電磁鋼板ほど、応力が作用するモータ等の鉄心に用いられた場合の鉄損の上昇を抑制できるといえる。
このような実験1及び実験2の結果から、無方向性電磁鋼板においては、多くの場合、Si含有量を増加させ、Al含有量を低下させることにより、固有抵抗を一定としながら磁歪定数λ100を低下させることができ、応力に伴う磁化特性(鉄損W10/50、磁束密度等)の低下を抑制することができるといえる。
ここで、本発明に係る無方向性電磁鋼板の成分及びその数値限定理由について説明する。
[Si:2.0質量%〜4.0質量%]
Siは、鋼の固有抵抗を増加させ、応力印加なしの状態で鉄損を低減する。この作用を得るためには、2.0質量%以上含まれている必要がある。その一方で、Siが4.0質量%を超えて含有されていると、鋼が脆化し、圧延性が低下する。従って、Siの含有量は2.0質量%〜4.0質量%(好ましくは2.3質量%〜3.8質量%、更に好ましくは2.5質量%〜3.6質量%)とする。
[Al:0.01質量%〜1.0質量%]
上述のように、Al含有量が低いほど応力印加状態では鉄損が低くなる傾向がある。そして、この傾向はAl含有量が1.0質量%以下の場合に顕著となり、Al含有量の上限は、好ましくは0.5質量%であり、より好ましくは0.2質量%であり、更に好ましくは0.1質量%である。その一方で、Alは、鋼の固有抵抗を増加させ応力印加なしの状態の鉄損を減少させる。また、脱酸材としても機能する。この作用を得るためには、0.01質量%以上含まれている必要がある。従って、Alの含有量は0.01質量%〜1.0質量%(好ましくは0.5質量、より好ましくは0.2質量%、更に好ましくは0.1質量%)とする。
[Si含有量とAl含有量との関係]
上述のように、磁歪定数λ100は低いことが好ましく、磁歪定数λ100が35×10-6以下の場合に、特に磁気特性が応力の影響を受けにくくなる。このとき、Si含有量(質量%)を[Si]、Al含有量(質量%)を[Al]と表わすと、次式(1)が成り立つ。
0.7[Si]−[Al]≧−0.6・・・(1)
また、磁歪定数λ100がより低い30×10-6以下の場合、次式(2)が成り立つ。
0.7[Si]−[Al]≧0.4・・・(2)
また、磁歪定数λ100が更に低い25×10-6以下の場合、次式(3)が成り立つ。
0.7[Si]−[Al]≧1.4・・・(3)
Si含有量とAl含有量との関係は、式(1)を満たしている必要があり、式(2)を満たしていることが好ましく、式(3)を満たしていることがより好ましい。
また、鉄心には高い固有抵抗が要求され、固有抵抗は35μΩcm以上であることが好ましい。次式(4)が満たされるときに固有抵抗が35μΩcm以上になりやすい。
12.4[Si]+10[Al]≧25.1・・・(4)
一方、無方向性電磁鋼板では、添加元素が過剰に添加されると加工性が低下することがある。次式(5)が満たされるときに高い加工性を確保しやすい。
12.4[Si]+10[Al]≦55.1・・・(5)
従って、Si含有量とAl含有量との関係に関し、次式(6)が満たされていることが好ましい。
25.1≦12.4[Si]+10[Al]≦55.1・・・(6)
[Mn:0.05質量%〜1.0質量%]
Mnは、鋼の固有抵抗を高め応力印加なしの鉄損を低減させる。また、硫化物を粗大化して無害化する作用を呈する。この作用を得るためには、0.05質量%以上含まれている必要がある。その一方で、Mnが1.0質量%を超えて含有されていると、磁束密度の低下及びコストの上昇を招くと共に冷延時に割れやすくなるなど、加工性も劣化する。従って、Mnの含有量は0.05質量%〜1.0質量%(好ましくは0.1質量%〜0.8質量%、更に好ましくは0.1質量%〜0.5質量%)とする。
[C:0.0040質量%以下]
Cは、鉄損を上昇させる作用を呈する。従って、Cの含有量は0.0040質量%以下(好ましくは0.0020質量%以下)とする。Cが全く含まれていなくてもよい。つまり、C含有量が0質量%であってもよい。
[P:0.3質量%以下]
Pは、集合組織を改善したり、打ち抜き性を改善したり、機械的強度を向上させる作用を呈する。但し、Pは必ずしも含有されている必要はなく、0.3質量%を超えて含有されていると、鋼が脆化する。従って、Pの含有量は0.3質量%以下(好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量以下)とする。Pが全く含まれていなくてもよい。つまり、P含有量が0質量%であってもよい。
[S:0.0040質量%以下]
Sは、Mn及びCu等と結合して微細析出物を形成し、結晶粒の成長を阻害する。そして、結晶粒の成長が阻害されると、磁気特性が低下してしまう。このような作用は、Sが0.0040質量%を超えて含有されている場合に顕著となる。従って、Sの含有量は0.0040質量%以下(好ましくは0.0030質量%以下)とする。Sが全く含まれていなくてもよい。つまり、S含有量が0質量%であってもよい。
[N:0.0040質量%以下]
Nは、Al、Ti及びB等と結合して微細析出物を形成し、結晶粒の成長を阻害する。そして、結晶粒の成長が阻害されると、磁気特性が低下してしまう。このような作用は、Nが0.0040質量%を超えて含有されている場合に顕著となる。従って、Nの含有量は0.0040質量%以下(好ましくは0.0030質量%以下)とする。Nが全く含まれていなくてもよい。つまり、N含有量が0質量%であってもよい。
[希土類金属(REM):0.0010質量%〜0.0300質量%]
REMは、Sを、REM−S又はREM−O−Sとして固定し、硫化物の微細析出を抑制する作用を呈する。この作用を得るためには、REMが0.0010質量%以上含有されている必要がある。そして、Sを固定する能力はREM量に比例して高まるため、REMの含有量は0.0020質量%以上であることが好ましく、0.0030質量%以上であることがより好ましい。その一方で、0.0300質量%を超えて含有されていても、上記の作用は飽和してしまいコストが上昇するだけである。従って、REMの含有量は0.0300質量%以下であることが好ましい。なお、ここでいうREMとは、原子番号が57のLaから原子番号が71のRuまでの15元素に、原子番号が21のSc及び原子番号が39のYを加えた合計で17元素の総称を意味する。
[Ti:0.0010質量%〜0.0100質量%]
Al含有量が数100ppm以下のように低い場合、N含有量によってはAlN析出物が微細に析出することがあり、この結果、結晶粒の成長が阻害され、磁気特性が低下することがある。しかしながら、REMが含有され、かつ、Tiが含有されている場合には、AlN析出物の析出が抑制されることが判明した。これは、TiがNと結合してTiNが生成され、このTiNがREM−S及び/又はREM−O−S等の介在物と複合析出するためであると考えられる。このような作用を得るためには、Tiが0.0010質量%以上含有されていることが好ましい。0.0015質量%以上含有されているとさらに好ましい。その一方で、Tiが0.0100質量%を超えて含有されていると、固溶Tiが仕上焼鈍後の鋼板内に残存し、歪取り焼鈍時にTiC析出物等として析出して、結晶粒の成長が阻害されることがある。従って、Tiの含有量は0.0100質量%以下であることが好ましい。なお、REMが添加されていない場合は、Ti含有量は少なければ少ないほど好ましい。従って、REM含有量が0.0010質量%以下の場合は、Ti含有量は0.0040質量%以下であることが好ましく、0.0030質量%以下であることがより好ましく、0.0015質量%以下であることが更に好ましい。Tiが全く含まれていなくてもよい。つまり、Ti含有量が0質量%であってもよい。
[B:0.0005質量%〜0.0050質量%]
TiがREMと共に含有されている場合と同様に、Bが含有されている場合にも、AlN析出物の析出が抑制されることが判明した。これは、BがNと結合して粗大なBN析出物が生じるためである。このような作用を得るためには、Bが0.0005質量%以上含有されていることが好ましい。その一方で、Bが0.0050質量%を超えて含有されていると、鋼が脆化する。従って、Bの含有量は0.0050質量%以下であることが好ましく、0.0010質量%〜0.0030質量%であることがより好ましい。
[Sn、Sb:総計で0.01質量%〜0.10質量%]
Sn及びSbは、集合組織を改善したり、焼鈍時の窒化及び酸化を抑制する。このような作用を得るためには、Sn及び/又はSbが総計で0.01質量%以上含有されていることが好ましい。その一方で、Sn及び/又はSbが総計で0.10質量%を超えて含有されていると、へげ疵が生じることがある。従って、Sn及びSbの含有量は総計で0.10質量%以下であることが好ましく、0.03質量%〜0.08質量%であることがより好ましい。
本発明に係る無方向性電磁鋼板には、これらの成分が含有されており、残部はFe及び不可避的不純物からなる。
なお、このような無方向性電磁鋼板を製造するには、先ず、上記の成分を含むスラブ(鋼)を作製し、このスラブの熱間圧延を行い、そのまま、又は焼鈍を施した後に、冷間圧延を行う。この冷間圧延は、1回のみ行ってもよく、中間焼鈍を間に挟みながら複数回行ってもよい。次いで、仕上焼鈍を施し、その後、絶縁皮膜を塗布する。このようにして、無方向性電磁鋼板を製造することができる。なお、製造方法はこのようなものに限定されない。
なお、電磁鋼板の特性に関し、交流励磁に伴う寸法の変化のことを磁歪と称することがあるが、このような寸法の変化は、電磁鋼板を構成する結晶の方位及び集合組織に依存する現象であり、物質定数である磁歪定数との関連はない。
表4に示すように、磁歪定数λ100が相違する試料を作製した。このとき、固有抵抗は51μΩcmと一定にした。試料の作製に当たっては、先ず、表3に示す組成のインゴットを溶製し、このインゴットに対し、加熱温度が1100℃、仕上温度が850℃、仕上厚が2.3mmの熱間圧延を行うことにより、熱間圧延板を得た。次いで、この熱間圧延板に1000℃、2分間の焼鈍を施し、その後、酸洗いを施し、0.35mmまで冷間圧延を行うことにより、冷間圧延板を得た。続いて、この冷間圧延板に1000℃、30秒間の仕上焼鈍を施し、その後、55mm×55mmの正方形板状に圧延方向を辺の方向に合わせて切り出し、750℃、2時間の歪取り焼鈍を施した。
各試料について、圧縮応力のある場合と無い場合の、最大磁束密度Bm=1.4T、周波数50Hzの磁化力H1.4/50と、最大磁束密度Bm=1.0T、周波数50Hzの鉄損W10/50を測定した。磁場印加方向は正方形試料の辺の方向であり、圧延方向、圧延直角方向に二回測定を行い、その平均をとった。応力は磁場励磁方向と平行に、50MPaの圧縮応力を印加した。この結果も表4に示す。
Figure 0005609003
表4に示すように、実施例No.A1〜A22では、(a)応力印加なしの状態で、鉄損W10/50が、1.3W/kg以下であり、(b)応力印加なしの状態で、H1.4/50が、450A/m以下であり、(c)応力印加によるW10/50の増加量が、1.3W/kg以下であり、(d)応力印加によるH1.4/50の増加量が、1500A/m以下であった。つまり、良好な磁気測定の結果が得られた。
一方、比較例No.B1では、Si含有量が本発明範囲の下限未満であるので、応力印加なしの状態での鉄損W10/50が大きかった。比較例No.B2では、Si含有量が本発明範囲の上限を超えているので、冷間圧延時に割れが生じて試料を作製することができなかった。比較例No.3では、Al含有量が本発明範囲の下限未満であるので、応力印加なしの状態での鉄損W10/50が大きかった。比較例No.4では、Al含有量が本発明範囲の上限を超えているので、応力印加に伴う磁気特性の低下が顕著であった。比較例No.5では、Mn含有量が本発明範囲の下限未満であるので、応力印加なしの状態での鉄損W10/50が大きかった。比較例No.6では、Mn含有量が本発明範囲の上限を超えているので、冷間圧延時に割れが生じて試料を作製することができなかった。比較例No.7では、C含有量が本発明範囲の上限を超えているので、時間の経過に付随して磁気特性が低下する磁気時効という現象が生じた。比較例No.8では、P含有量が本発明範囲の上限を超えているので、冷間圧延時に割れが生じて試料を作製することができなかった。比較例No.9では、S含有量が本発明範囲の上限を超えているので、応力印加なしの状態での鉄損W10/50が大きかった。比較例No.9では、N含有量が本発明範囲の上限を超えているので、応力印加なしの状態での鉄損W10/50が大きかった。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    Si:3.16%〜4.0%、
    Al:0.09%〜0.15%、及び
    Mn:0.05%〜1.0%
    を含有し、
    Cの含有量が0.0040%以下、
    Pの含有量が0.05%以下、
    Sの含有量が0.0040%以下、
    Nの含有量が0.0040%以下であり、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    Si含有量を[Si]、Al含有量を[Al]と表したときに式(1)及び式(6)を満足し、
    磁歪定数λ100が35×10-6以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
    0.7[Si]−[Al]≧−0.6 ・・・ 式(1)
    25.1≦12.4[Si]+10[Al]≦55.1 ・・・ 式(6)
  2. 質量%で、
    REM:0.0010%〜0.0300%を含有することを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
  3. 質量%で、
    Ti:0.0010%〜0.0100%を含有することを特徴とする請求項2に記載の無方向性電磁鋼板。
  4. 質量%で、
    B:0.0005%〜0.0050%を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
  5. Sn及びSbからなる群から選択された少なくとも1種を総計で0.01質量%〜0.10質量%含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
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