JP2005307258A - 圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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昌浩 藤倉
Yosuke Kurosaki
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Abstract

【課題】 鋼板面内に圧縮応力が作用しても、鉄損劣化が小さい無方向性電磁鋼板を提供すること。
【解決手段】 質量%で、C :0.002%以下、Si:0.8〜4.0%、Al:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜1.5%を含有し、かつ、Si+2Al−Mn:2%以上で残部はFeおよび不可避的不純物からなる無方向性電磁鋼板において、面内の磁気異方性の程度を示す面内異方性指標SがS<0.05を満足することを特徴とする、面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板。
面内異方性指標Sは、鋼板の圧延方向から0°、45°、90°方向に周波数50Hz、磁化力5000A/mで励磁、測定した磁束密度B50 、B50 45、B50 90と、それらの最大値Bmaxと最小値Bminを用いて
S = 4×(Bmax−Bmin)/(B50 +2B50 45+B50 90
から求める。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電気機器の鉄心材料として使用される磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板に関するものである。特に焼き嵌めなどの固定方法によって鉄心に圧縮応力が作用する場合に、応力作用による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板を提供するものである。
近年の世界的な電力・エネルギー節減、地球環境保全の動きの中で、無方向性電磁鋼板が鉄心材料として使用される回転機、中・小型変圧器、電装品などの各種電気機器に対しても高効率化の要請が強まっている。当然、鉄心材料である無方向性電磁鋼板に対しても性能向上、特に鉄損の低減が求められている。
周知の様に無方向性電磁鋼板の鉄損低減に関しては、数多くの手段がとられてきた。例えば、渦電流損失低減の観点からSiやAlの含有量を高め、固有抵抗を高める方法は一般的に知られている方法である。
また、C、N、Sなどの不純物を極力減少させ高純度鋼化する方法や、Ca添加などの方法(例えば、特許文献1参照)は、ヒステリシス損失を低減する、あるいは、結晶粒成長性を改善することによって鉄損低減を達成しようとするものである。
さらに、仕上げ焼鈍条件の工夫などの製造プロセス上の処置もなされてきた(例えば、特許文献2参照)。
上記のような無方向性電磁鋼板の鉄損改善においては、通常、JISに規定された方法で鉄損が評価される。即ち、何の外力も加えない状態で、鋼板圧延方向および直角方向の二方向の鉄損の平均値が測定されるのみである。
しかしながら実際の鉄心においては、鋼板は所定の形状に打ち抜かれた後積層され、ボルト締め、かしめ等の方法によって固定され、更にコンプレッサーモータなどでは、焼き嵌めにより外枠に固定される。これらボルト締め、かしめ、焼き嵌め等は鉄心に応力を付加することになるが、応力付加は鋼板の鉄損を大きく劣化させることが知られている。
焼き嵌めの場合について山本らは、積層鉄心に対して鋼板面内の円周方向に圧縮応力が作用しており、この応力によって鉄心損失が増加していることを示している(例えば、非特許文献1参照)。
また、面内方向の圧縮応力に対して性能劣化の小さい無方向性電磁鋼板とその製造方法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平3−126845号公報 特開昭61−231120号公報 特開2003−253404号公報 「電学論A」、117(1997)311頁
本発明は、鋼板面内の圧縮応力が作用しても鉄損劣化が小さい無方向性電磁鋼板を提供する事を課題としている。これにより、鉄心組み立てによる鉄損劣化を小さく抑えることができ、最終的にモーターなどの機器の効率向上に寄与することができる。
先に示した特許文献3も同じ課題を持っているが、そこでは応力の作用している状態と作用していない状態の鉄損の平均値などで発明の規定を行い、材料因子と応力下の鉄損との関係は明らかにされていない。従って本課題に最適な電磁鋼板を必ずしも提供できない。
本発明では、応力下の鉄損増加に与える材料因子を特定することにより、本課題に最適な無方向性電磁鋼板のあり方を提供することを目的としている。
発明者らは鋼板の各種材料要因が鉄損の応力依存性に与える影響について検討を重ねた結果、鋼板の集合組織が応力による鉄損劣化に影響を与えることを発見し、圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板を開発するに至った。
本発明の要旨は、面内等方的な集合組織をもつ無方向性電磁鋼板であり、その製造方法である。具体的には以下のとおりである。
(1)質量%で、
C :0.002%以下、
Si:0.8〜4.0%、
Al:0.1〜2.0%、
Mn:0.1〜1.5%を含有し、かつ、
Si+2Al−Mn:2%以上で
残部はFeおよび不可避的不純物からなる無方向性電磁鋼板において、面内の磁気異方性の程度を示す面内異方性指標Sが
S<0.05
を満足することを特徴とする、面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板。
面内異方性指標Sは、鋼板の圧延方向から0°、45°、90°方向に周波数50Hz、磁化力5000A/mで励磁、測定した磁束密度B50 、B50 45、B50 90と、それらの最大値Bmaxと最小値Bminを用いて
S = 4×(Bmax−Bmin)/(B50 +2B50 45+B50 90
から求める。
(2)質量%で、
C :0.002%以下、
Si:0.8〜4.0%、
Al:0.1〜2.0%、
Mn:0.1〜1.5%を含有し、かつ、
Si+2Al−Mn:2%以上で
残部はFeおよび不可避不純物からなる無方向性電磁鋼板において、鋼板中心層の{110}反射面強度が対ランダム比0.3以下であることを特徴とする、面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板。
(3)質量%でさらに、
REM:0.0005〜0.0200%
を含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板。
(4)質量%で、
C :0.002%以下、
Si:0.8〜4.0%、
Al:0.1〜2.0%、
Mn:0.1〜1.5%を含有し、かつ、
Si+2Al−Mn:2%以上で、
残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼を、熱間圧延後、熱延板焼鈍を施し、一回の冷間圧延により最終板厚としたあと、仕上焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、冷間圧延を圧延率85%以上で施し、仕上焼鈍を700〜1100℃で10秒以上1分以下施すことを特徴とする、面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板の製造方法。
(5)質量%で、
C :0.002%以下、
Si:0.8〜4.0%、
Al:0.1〜2.0%、
Mn:0.1〜1.5%を含有し、かつ、
Si+2Al−Mn:2%以上で、
残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼を、熱間圧延後、一回の冷間圧延により最終板厚としたあと、仕上焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、仕上焼鈍を700〜1100℃で10秒以上1分以下施すことを特徴とする、面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板の製造方法。
(6)質量%でさらに、
REM:0.0005〜0.0200%
を含有する鋼を用いることを特徴とする(4)または(5)に記載の面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板の製造方法。
(7)質量%でさらに、不可避的不純物としてのS、N、Tiをそれぞれ0.002%以下とした鋼を用いることを特徴とする(4)〜(6)のいずれか1項に記載の面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板の製造方法。
(8)質量%でさらに、不可避的不純物としてのV、Zr、Nb、Asをそれぞれ0.003%以下とした鋼を用いることを特徴とする(4)〜(7)のいずれか1項に記載の面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明の無方向性電磁鋼板をモーターの鉄心材料として用いた場合、鉄心に鋼板面平行に圧縮応力が作用しても鉄心の鉄損劣化は小さく、最終的にモーターの効率向上に寄与することができる。
また、回転機の鉄心に限らず、鋼板に圧縮応力が作用するような種々の使用状態に対して電磁鋼板の素材性能を維持し、機器の性能向上に寄与することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、鋼板への面内圧縮応力による鉄損劣化を小さくするため、鋼板に面内等方的な集合組織を持たせることを特徴としているが、まずその根拠を示す。
表1に示す成分を含有する鋼を2.2mmに熱延後、熱延板焼鈍、冷延、仕上げ焼鈍を施し無方向性電磁鋼板を作製した。この際、面内異方性を大きく変化させるため、熱延板焼鈍条件を表2に示す様に変化させた。冷延率は77.3%として最終板厚0.5mmに仕上げ、900℃×30秒の仕上焼鈍を施した。
鋼板の面内の磁気異方性は、次式から決定される面内異方性指標Sで評価できる。即ち、鋼板の圧延方向から0°、45°、90°方向に周波数50Hz、磁化力5000A/mで励磁、測定した磁束密度B50 、B50 45、B50 90と、それらの最大値Bmaxと最小値Bminを用いて
S=4×(Bmax−Bmin)/(B50 +2B50 45+B50 90
から計算される面内異方性指標Sである。
Sが小さいほど、面内各方向のB50の差が小さいことを示しており、面内異方性が小さい。Sが大きいほど面内異方性が大きい。それぞれの試料のSを表2に示した。試料No1、2、3と熱延板焼鈍を強化するほど、面内異方性が大きくなる。
また、表2にそれぞれの試料の{110}面反射強度の対ランダム比を示した。Sと{110}面強度比は相関があり、{110}面強度比が大きいほどSも大きくなる。
それぞれの条件の鋼板から、55mm×55mmの板を圧延方向0°、45°、90°方向に切り出し、磁気測定用の試料とした。磁気測定には、鋼板の断面に圧縮応力を付加させながら磁気測定ができる双ヨーク式のHコイル法単板試験機を用いた。応力の方向と励磁方向は同じである。
3方向の鉄損値W、W45、W90から、全周平均の鉄損Waveとして
ave=(W+ 2×W45 + W90)/4
を求めた。
応力を付加していないときの全周平均鉄損と応力作用時の全周平均鉄損の比Pの圧縮応力との関係を図1に示す。最大50MPaの圧縮応力を付加した。どの材料も圧縮応力と共に鉄損は劣化するが、面内異方性が小さいほど鉄損の劣化は小さいことが分かる。
Figure 2005307258
Figure 2005307258
面内等方的な材料において鉄損の応力感受性が小さいことの理由は定かではないが、磁気モーメントの分布が関連しているものと考えられる。応力の作用していない基準の状態と、応力付加状態の磁気モーメントの分布状態が大きく変化するほど、応力感受性が強いと考えられる。
磁気モーメントが等方的に分布できる面内等方的な集合組織では、応力が作用してある一方の方向だけに磁気モーメントが向きにくくなっても、面内で他の方向を向くことができるので、基準状態と応力付加状態の磁気モーメントの分布の変化は小さい。
ところが、面内異方性が強い場合、応力の作用していない基準状態で磁気モーメントはある方向に集中しているので、集中している方向に応力が作用すると、応力付加状態の磁気モーメントの分布状態は基準状態から大きく変化する。従って、面内異方性が小さい場合の方が磁気モーメントの分布の変化が小さく、応力感受性も小さいと考えられる。
次に、面内異方性の指標であるSおよび{110}面反射強度比の限定理由について述べる。
表1に示した成分の鋼スラブを出発に、熱延、熱延板焼鈍、冷延、仕上焼鈍の各条件を種々変更し板厚が0.5mmで種々の面内異方性を持つ電磁鋼板を作製し、応力による鉄損の変化を調査した。各鋼板の異方性評価指標Sと30MPaの圧縮応力が作用しているときの鉄損比P30との関係を図2に示す。
図2より異方性評価指標Sが0.05以上となると、鉄損比P30が急激に増加することが分かる。そのため、本発明の電磁鋼板は異方性評価指標Sが0.05より小さいこととする。
また、図3に各材料の{110}面反射強度比と鉄損比P30の関係を示す。{110}面強度比が0.3以下で鉄損比P30の値が小さいので、{110}面強度比は0.3以下とする。
次に、本発明の鋼成分の限定理由について述べる。
Cは、鉄損を増加させる有害な元素であり、磁気時効の原因ともなるので0.002%以下とする。
Siは、電気抵抗を増大させて渦電流損失を減少させる元素である。その効果を享受するには0.8%以上含有させる必要がある。
ただし含有量が増えすぎると、磁束密度の低下に加え、硬度が上昇し、打ち抜き加工性の劣化、鋼板製造工程における冷延作業性の低下等を招き、更にコストも上昇するので4.0%以下とする。
AlもSiと同様、電気抵抗を増大させて渦電流損失を低減する元素である。また、仕上焼鈍時の結晶粒成長を促進する作用も持つ。それらの効果を享受するため0.1%以上含有させる必要がある。
一方、増えすぎると磁束密度を低下し、降伏比の減少も招いて加工性を劣化させるため2.0%以下とする。
Mnも電気抵抗を増大させて渦電流損失を低減する元素であり、その目的のため0.1%以上を含有する。ただし過剰な含有は、仕上焼鈍時の結晶粒成長性を劣化させるので1.5%以下とする。
なお、上記の合金元素Si、Al、Mn相互間には、Si+2Al−Mn:2%以上の関係を満足する必要がある。Si+2Al−Mnが2%未満ではα−γ変態が存在する成分系となり、無方向性電磁鋼板の製造工程における焼鈍時、特に仕上焼鈍時に結晶粒成長の妨げになってしまうからである。
更にCe、Laなどの希土類元素REMは、固溶温度の高い析出物を形成することにより鋼中の有害元素であるSやTiを固定し、焼鈍時の結晶粒成長を促進する。その目的のためには0.0005%以上の含有が必要である。
ただし、過剰な含有は製鋼工程でノズル詰まりの原因となるので、含有は0.02%以下とした。
Sは、MnSなどとして微細析出し、焼鈍時の結晶粒成長を阻害するので0.002%以下とする。
Nは、AlN、TiNなどとして微細析出し、焼鈍時の結晶粒成長を阻害するので0.002%以下とする。
Tiは、再結晶温度を上昇させ、仕上焼鈍時の再結晶および結晶粒成長を遅らせる。また、TiN、TiCなどとして微細析出し、焼鈍時の結晶粒成長を阻害する。従って0.002%以下とする。
V、Zr、Nbは、VN、VCなどの炭化物や窒化物として微細析出し、焼鈍時の結晶粒成長を阻害するので0.003%以下とする。
Asは、本発明の成分範囲内では上記のような微細析出物は形成しない。しかし、MnSなどの硫化物の微細析出を促進し、焼鈍時の結晶粒成長を阻害するので0.003%以下とする。
また、特に規定はしないが、集合組織改善を目的に、あるいは、鋼板表面での窒素侵入抑制のために、Sn、Sb、Cuなどの元素を適当量添加することは一向に差し支えない。
次に各工程での製造条件について説明する。
製造方法のひとつは、製鋼工程において合金元素を添加し、熱間圧延後に熱延板焼鈍を施し、一回の冷間圧延で製品板厚とした後、仕上焼鈍を施す。
この際、先に示した面内異方性指標Sの要件、S<0.05や{110}反射強度比0.3以下を達成するため、冷間圧延の圧延率を85%以上とする必要がある。
また、仕上焼鈍は700℃以上、1100℃以下とする。700℃未満では一次再結晶が不十分である。結晶粒径を大きくし鉄損を低減するためにはなるべく高い温度が良いが、高すぎるとコストの上昇や設備制約上の問題点が生じるので上限を1100℃以下とした。
また、時間は10秒以上1分以下と限定した。10秒未満では結晶粒の整粒性が悪く、磁束密度低下や鉄損増加に繋がる。1分超では、再結晶後の粒成長は飽和し、生産性の低下やコスト上昇を招く。
もうひとつの製造方法は、製鋼工程において合金元素を添加し、熱間圧延後に一回の冷間圧延で製品板厚とした後、仕上焼鈍を施す方法である。熱延板焼鈍を施さないことによって、面内異方性指標Sの要件、S<0.05や{110}反射強度比0.3以下を達成することができる。
仕上焼鈍の温度や時間は先の製造方法と同じであるが、鉄損の絶対値を小さくするため、望ましくは、条件の範囲内でなるべく高い温度で長時間焼鈍することが望ましい。
厚さ0.5mmで、表3に示す成分を含有する鋼板を表4に示す条件で作製した。面内異方性指標Sおよび{110}面反射強度の対ランダム比を表4に示す。
55mm×55mmの単板試料を圧延方向から0°、45°、90°方向に切り出し磁気測定した。50Hz、1.5T励磁の全周平均鉄損Waveと30MPaおよび50MPaの圧縮応力が作用した場合の鉄損比P30、P50を表5に示す。
Figure 2005307258
Figure 2005307258
Figure 2005307258
表4および5に示した本発明では、面内磁気異方性が小さく、圧縮による鉄損劣化が小さい。No.12、13の比較例は、冷延率が低いため面内異方性が大きく、圧縮による鉄損の劣化が大きい。また、No17、18は、Si+2Al−Mnが2%未満であることから、仕上焼鈍による結晶粒成長が十分でないために、鉄損の絶対値が大きい。
表6に示す成分を含有する厚さ0.35mmの電磁鋼板を、表7に示す条件で作製した。面内異方性指標Sおよび{110}面反射強度の対ランダム比を同じく表7に示す。
55mm×55mmの単板試料を圧延方向から0°、45°、90°方向に切り出し磁気測定した。それぞれの材料について、50Hz、1.5T励磁の全周平均鉄損Waveと50MPaの圧縮応力が作用した場合の鉄損比P50を表8に示す。
Figure 2005307258
Figure 2005307258
Figure 2005307258
本発明では、面内磁気異方性が小さく、圧縮による鉄損劣化が小さい。特に、No.24〜26のREM添加した材料では、仕上焼鈍時の結晶粒の成長性が良好なため、鉄損の絶対値も小さくなって良好である。
表9に示す成分を含有する鋼を、2.9mm厚に熱間圧延後、800℃で2分間の熱延板焼鈍を施し、0.35mmに冷間圧延(圧延率88%)し、930℃で40秒の仕上焼鈍を施した。
55mm×55mmの単板試料を圧延方向から0°、45°、90°方向に切り出し磁気測定した。それぞれの材料について、異方性指標Sおよび50Hz、1.5T励磁の全周平均鉄損Wave、50MPaの圧縮応力が作用した場合の鉄損比P50を表10に示す。
Figure 2005307258
Figure 2005307258
S、N、Ti、V、Zr、Nb、Asなどの含有が所定より多いと、鉄損の絶対値が大きくなってしまう。本発明は鉄損の絶対値が小さいと共に、応力による鉄損の劣化も少ない。
面内圧縮に伴う全周平均鉄損の劣化を表す図である。応力作用時の鉄損値を応力が作用していないときの鉄損値を1として比で示した。 異方性評価指標Sと30MPaの圧縮応力が作用しているときの鉄損比P30との関係を表す図である。 {110}面反射強度比と鉄損比P30の関係を表す図である。

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C :0.002%以下、
    Si:0.8〜4.0%、
    Al:0.1〜2.0%、
    Mn:0.1〜1.5%を含有し、かつ、
    Si+2Al−Mn:2%以上で
    残部はFeおよび不可避的不純物からなる無方向性電磁鋼板において、面内の磁気異方性の程度を示す面内異方性指標Sが
    S<0.05
    を満足することを特徴とする、面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板。
    面内異方性指標Sは、鋼板の圧延方向から0°、45°、90°方向に周波数50Hz、磁化力5000A/mで励磁、測定した磁束密度B50 、B50 45、B50 90と、それらの最大値Bmaxと最小値Bminを用いて
    S = 4×(Bmax−Bmin)/(B50 +2B50 45+B50 90
    から求める。
  2. 質量%で、
    C :0.002%以下、
    Si:0.8〜4.0%、
    Al:0.1〜2.0%、
    Mn:0.1〜1.5%を含有し、かつ、
    Si+2Al−Mn:2%以上で
    残部はFeおよび不可避不純物からなる無方向性電磁鋼板において、鋼板中心層の{110}反射面強度が対ランダム比0.3以下であることを特徴とする、面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板。
  3. 質量%でさらに、
    REM:0.0005〜0.0200%
    を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板。
  4. 質量%で、
    C :0.002%以下、
    Si:0.8〜4.0%、
    Al:0.1〜2.0%、
    Mn:0.1〜1.5%を含有し、かつ、
    Si+2Al−Mn:2%以上で、
    残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼を、熱間圧延後、熱延板焼鈍を施し、一回の冷間圧延により最終板厚としたあと、仕上焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、冷間圧延を圧延率85%以上で施し、仕上焼鈍を700〜1100℃で10秒以上1分以下施すことを特徴とする、面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 質量%で、
    C :0.002%以下、
    Si:0.8〜4.0%、
    Al:0.1〜2.0%、
    Mn:0.1〜1.5%を含有し、かつ、
    Si+2Al−Mn:2%以上で、
    残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼を、熱間圧延後、一回の冷間圧延により最終板厚としたあと、仕上焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、仕上焼鈍を700〜1100℃で10秒以上1分以下施すことを特徴とする、面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 質量%でさらに、
    REM:0.0005〜0.0200%
    を含有する鋼を用いることを特徴とする請求項4または5に記載の面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 質量%でさらに、不可避的不純物としてのS、N、Tiをそれぞれ0.002%以下とした鋼を用いることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板の製造方法。
  8. 質量%でさらに、不可避的不純物としてのV、Zr、Nb、Asをそれぞれ0.003%以下とした鋼を用いることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の面内方向の圧縮応力による鉄損劣化の小さい無方向性電磁鋼板の製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010248559A (ja) * 2009-04-14 2010-11-04 Nippon Steel Corp 無方向性電磁鋼板
JP2011084778A (ja) * 2009-10-15 2011-04-28 Nippon Steel Corp 高周波励磁用無方向性電磁鋼板
JP2011233731A (ja) * 2010-04-28 2011-11-17 Nissan Motor Co Ltd 無方向性電磁鋼板、無方向性電磁鋼板の積層体、及びこの積層体からなる電動モータのステータコア
JP2011246810A (ja) * 2010-04-30 2011-12-08 Jfe Steel Corp 無方向性電磁鋼板およびそれを用いたモータコア

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