JP4360349B2 - 軟磁性条鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、軟磁性条鋼に関し、さらに詳しくは、交流磁界で用いられる軟磁性条鋼に関する。
モータや発電機等の電装部品のコア材として、軟鉄、純鉄及び珪素鋼等に代表される軟磁性鋼材が使用されている。
軟磁性鋼材は、直流磁界又は交流磁界で使用されるが、軟磁性鋼材に求められる磁気特性は、直流磁界と交流磁界とで異なる。交流磁界で使用される場合、軟磁性鋼材には交流磁気特性の向上が要求される。具体的には、鉄損の低減が求められる。
ところで、交流磁界用のコア材は通常、複数の電磁鋼板を積層し、積層した電磁鋼板を打ち抜き加工等により加工して成型される。しかし、複数の電磁鋼板を積層して成型したコア材は強度及び剛性が低い。また、鋼板を積層する工程を含むため、製造コストが高い。そのため、近年、棒鋼や線材といった条鋼を素材としたコア材が登場している。条鋼を素材にすれば、冷間鍛造によりコア材を成型でき、素材の積層工程が不要となるため、製造コストを低減できる。さらに、電磁鋼板のように積層する必要がないため、コア材の強度及び剛性を向上できる。
上述のように条鋼を素材としたコア材を冷間鍛造により成型する場合、素材である条鋼は、高い変形能を要求される。近年のコア材は小型化及び複雑化しており、鍛造加工時に素材に割れが生じないようにする必要があるからである。
したがって、交流磁界用の軟磁性条鋼には、交流磁気特性の向上だけでなく、変形能の改善が要求される。
磁気特性や変形能の改善を目的とした軟磁性鋼は複数開示されている。特許文献1(特開2003−55745号公報)、特許文献2(特開2003−226945号公報)、特許文献3(特開2003−226946号公報)は、磁気特性や冷間鍛造性の改善を目的とした軟磁性鋼を開示する。しかし、これらの特許文献1〜3に開示された軟磁性鋼は、透磁率や磁束密度の向上を目的としており、鉄損の低減といった交流磁気特性の向上を実現するには充分でない。
特許文献4(特開2000−73149号公報)は、磁束密度が大きく、保磁力が小さく、かつ、電気抵抗が大きい軟磁性鋼材を開示する。しかし、特許文献4の軟磁性鋼材は、フェライト強化元素であるSi、Al、Crを多量に含有するため、変形能が低いと考えられる。
特許文献5(特開2001−115241号公報)は、交流磁気特性及び伸線加工性の改善を目的とした電磁鋼線用鋼材を開示する。また、特許文献6(特開2001−131718号公報)は、高周波磁気特性及び加工性の改善を目的とした電磁鋼線を開示する。しかし、特許文献5及び特許文献6の鋼材は、Si含有量が高いため、変形能が低いと考えられる。さらに、C、N、O(酸素)及びSの含有量の合計を低くするため、精錬等の製造コストが高くなる場合がある。
特開2003−55745号公報 特開2003−226945号公報 特開2003−226946号公報 特開2000−73149号公報 特開2001−115241号公報 特開2001−131718号公報
本発明の目的は、優れた交流磁気特性と高い変形能とを有する軟磁性条鋼を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明者らは、実質的にフェライト単相の低炭素鋼において、優れた交流磁気特性と高い変形能をバランスよく確保するため、下記のような技術思想により本発明に至った。
(a)初めに、本発明者らは、交流磁気特性を改善するために、鉄損を低減する方法を検討した。鉄損はヒステリシス損と渦電流損との合計であるが、交流磁界では渦電流損が鉄損の大半を占める。そのため、鉄損を低減するためには、渦電流損を特に低減する必要がある。渦電流損を低減するには、鋼の電気抵抗を高めることが有効である。また、鉄損に占める割合は小さいものの、ヒステリシス損も低減する方が好ましい。フェライト粒の微細化を防止すれば、ヒステリシス損を低減できる。
(b)鋼の電気抵抗を高める効果のあるSi、Mn、Alの固溶量を高くすれば、渦電流損を低減できる。さらに、Mnと硫化物を形成するS、Alと窒化物を形成するNは、MnやAlの固溶量を低くし電気抵抗を低下させる効果がある。よって、SおよびNを制限する必要がある。
(c)ヒステリシス損を低減するには、フェライト粒の成長を阻害する析出物や介在物の形成を抑制するのが望ましい。したがってC、N、Sの含有量を低くするのが有効である。また、粒界偏析によりヒステリシス損を増大するPも低く抑えることが効果的である。
(d)次に、本発明者らは変形能を向上する方法を検討した。変形能を向上するには、固溶強化元素の含有量を低くするとともに、時効硬化に寄与する元素の含有量をも低くする必要がある。
(e)したがって、交流磁気特性を改善する上では有効なSi、Mn、Alも、変形能を向上するという観点からは、過剰に含有すべきでない。また、時効硬化元素であるC、Nは、変形能向上との観点からも制限すべきである。また、MnSを形成するS、粒界偏析するPも変形能を低下させるので低くする必要がある。
(f)以上の観点から、本発明者らは、Si、Mn、Al、C、N、S、Pの全てが交流磁気特性及び変形能に強い影響を与えると考えた。そこで、各元素が交流磁気特性に与える影響度と、変形能に与える影響度とを検討した。その結果、本発明者らは、これらの元素の含有量が式(1)を満たせば、交流磁気特性及び変形能をともに改善できることを見出した。
0.85≦0.8−0.57C+0.82Si+0.07Mn+0.78P−3.56S+0.82Al−1.0N≦2.0 (1)
ここで、式(1)中の記号は各元素の含有量(質量%)である。
以上の検討の結果、本発明者らは以下の発明を完成した。
本発明による軟磁性条鋼は、質量%で、C:0.015%以下、Si:0.023〜0.30%、Mn:0.30〜0.5%、P:0.017%以下、S:0.02%以下、Al:0.010超〜1.3%、N:0.010%以下、O(酸素):0.020%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、式(1)を満たす。
0.85≦0.8−0.57C+0.82Si+0.07Mn+0.78P−3.56S+0.82Al−1.0N≦2.0 (1)
ここで、式(1)中の記号は各元素の含有量(質量%)である。
好ましくは、軟磁性条鋼の組織は実質的にフェライトからなり、フェライト粒径D(μm)が式(2)を満たす。
80≦D<200 (2)
ここで、フェライト粒径Dは、たとえば以下のように算出する。軟磁性条鋼の横断面の任意の10視野を100〜400倍の光学顕微鏡により観察し、JIS G0551に準拠した切断法により各視野におけるフェライト粒度番号を算出し、算出した10個のフェライト粒度番号の平均(平均フェライト粒度番号)を求める。平均フェライト粒度番号に基づいて各結晶粒の平均面積を算出する。平均面積から円相当径を算出し、得られた円相当径をフェライト粒径Dとする。
好ましくは、軟磁性条鋼はさらに、B:0.0005〜0.005%を含有する。
好ましくは、軟磁性条鋼はさらに、Te:0.0005〜0.01%及びCa:0.0005〜0.005%のうちの1種以上を含有する。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
1.化学組成
本発明の実施の形態による軟磁性条鋼は、以下の化学組成を有する。以降、元素に関する%は質量%を意味する。
C:0.015%以下
Cは鋼の強度を高める元素であるが、本発明においては時効硬化により変形能を低下する好ましくない元素である。但し、工業的にはC含有量を0%とすることはできず、不純物として0.001%程度の含有は避けることはできない。Cが高すぎると、Feとセメンタイトを形成することによりフェライト粒の粒成長を阻害し、また析出したセメンタイトにより交流磁気特性を劣化する。したがって、C含有量は0.015%以下にする。好ましいC含有量は0.008%以下である。
Si:0.023〜0.30%
Siは交流磁気特性を向上する元素である。具体的には、鋼の電気抵抗を高くし渦電流損を低減する必要な元素である。さらに鋼のフェライト化に寄与する。しかし、Si含有量が過剰であれば、変形能が低下し、変形抵抗が大きくなる。したがって、Si含有量は0.023〜0.30%にする。変形能の向上をより考慮すれば、好ましいSi含有量0.023〜0.10%である。
Mn:0.30〜0.5%
MnはSiと同様に、鋼の電気抵抗を高め、渦電流損を低減する。Mnはさらに、鋼中のSと結合してMnSを形成することにより、Sによる脆化を抑制し、変形能を向上するため、0.30%以上含有する必要がある。しかし、Mn含有量が過剰になると、変形能が低下し、変形抵抗が大きくなる。そのため、Mn含有量は0.30〜0.5%にする。
P:0.017%以下
Pは好ましくない元素である。鋼の粒界に偏析し、変形能を低下する。Pはまた、偏析することで交流磁気特性を劣化する。したがって、P含有量は低いほどよく、0.017%以下にする必要がある。好ましいP含有量は0.016%以下である。
S:0.02%以下
Sは鋼中のMnと結合してMnSを形成する。MnSは被削性を向上する効果があるが、本発明においては、Sは電気抵抗を高める効果のあるMnの固溶量を低減し、渦電流損を増大する好ましくない元素である。また、MnSは非金属介在物であり、かつフェライト粒の成長を阻害するため、ヒステリシス損にも悪影響を及ぼす。さらに、鋼中のMnS量が多いと変形能も低下する。したがって、S含有量は0.02%以下にする。好ましいS含有量は0.015%以下、更に好ましくは0.010%以下である。
Al:0.010超〜1.3%
Alは交流磁気特性を向上する。具体的には、鋼の電気抵抗を高め、渦電流損を減少する必要な元素である。Alはさらに、Siと同じく鋼のフェライト化に寄与する。Al含有量が少ない場合、Si及びMn含有量を増加することにより交流磁気特性を向上できるが、その場合Si及びMn含有量が高くなりすぎると変形能が低下する。一方、Al含有量が過剰であれば変形能が低下し、変形抵抗が大きくなる。したがって、Al含有量は0.010超〜1.3%にする。換言すれば、Al含有量は、0.010%よりも高くし、かつ、1.3%以下にする。好ましいAl含有量は0.05〜1.0%である。
N:0.010%以下
Nは好ましくない元素である。NはAlと結合してAlNを形成することによりAl固溶量を低減し、交流磁気特性を劣化する。Nはさらに、鋼を時効硬化するため、変形能を低下する。したがって、N含有量は0.010%以下にする。好ましいN含有量は0.005%以下である。
O(酸素):0.020%以下
Oは好ましくない元素である。Oは酸化物を形成し、磁気特性を劣化する。形成された酸化物はまた、変形能を低下する。したがって、O含有量は0.020%以下にする。好ましいO含有量は0.010%以下である。
なお、残部はFeで構成されるが、上述した以外の他の不純物が含まれることもあり得る。
本実施の形態による軟磁性条鋼はさらに、必要に応じてBを含有する。
B:0.0005〜0.005%
Bは選択元素である。Bは窒化物を形成することでNを固定し、NがAlと結合するのを抑制する。その結果、Alの固溶量の減少を抑制することで交流磁気特性を向上する。Bを過剰に含有しても、その効果は飽和する。したがって、B含有量は0.0005〜0.005%にする。好ましいB含有量は0.0008%〜0.002%である。
本実施の形態による軟磁性条鋼はさらに、必要に応じてTe及びCaのうち1種以上を含有する。Te及びCaは、ともに変形能を向上する。
Te:0.0005〜0.01%
Teは選択元素である。本発明においてはMnSは少ないほどよいが、皆無にはできない。Teは、この鋼中のMnSを球状化し、変形能を向上する。さらにMnSを球状化することにより切削性も向上する。Teを過剰に含有しても、その効果は飽和する。したがって、Te含有量は0.0005〜0.01%にする。好ましいTe含有量は0.0006〜0.008%である。
Ca:0.0005〜0.005%
Caは選択元素である。Caは、鋼中のMnSを球状化し、変形能を向上する。Caを過剰に含有しても、その効果は飽和する。したがって、Ca含有量は0.0005〜0.005%にする。好ましいCa含有量は0.0008〜0.002%である。
本実施の形態における軟磁性条鋼は、上記化学組成に加えて、以下の式(1)を満たす。
0.85≦fn1≦2.0 (1)
ここで、fn1は以下の式(A)で示される。
fn1=0.8−0.57C+0.82Si+0.07Mn+0.78P−3.56S+0.82Al−1.0N (A)
fn1中の記号は、各元素の質量%である。
C、Si、Mn、P、S、Al、Nは交流磁気特性及び変形能に特に影響を与える元素である。これらの元素の含有量が上述した化学組成の範囲内であり、かつ、式(1)を満たせば、交流磁気特性及び変形能がともに向上する。
図1はfn1と交流磁気特性及び変形能との関係を示す図である。図1は次のように求めた。上述した範囲の化学組成を有する複数の軟磁性条鋼を準備した。準備した各軟磁性条鋼に対して後述する実施例と同じ試験方法(交流磁気特性評価試験、変形能評価試験)を実施し、全鉄損及び限界圧縮率を求めた。なお、全鉄損は交流磁気特性の指標であり、限界圧縮率は変形能の指標である。
図1(b)の全鉄損の曲線を参照して、全鉄損はfn1の増大に伴い急速に低下し、fn1=0.85以降でその傾きが緩やかになる。換言すれば、fn1の増大に伴い交流磁気特性は向上する。一方、図1(a)の限界圧縮率の曲線を参照して、限界圧縮率もfn1の増大に伴い低下する。換言すれば、fn1の増大に伴い変形能は低下する。
fn1が式(1)を満足すれば、高い交流磁気特性及び変形能を得ることができる。具体的には、全鉄損が140w/kg以下になり、限界圧縮率が70%以上になる。
2.組織
本実施の形態による軟磁性条鋼の組織は、実質的にフェライトからなる。具体的には、フェライトが組織中の95%以上を占め、セメンタイトが5%未満である。セメンタイトはMnS等の非金属介在物と同様に、交流磁気特性を劣化する。組織を実質的にフェライト単相にすることにより、交流磁気特性を向上できる。
本実施の形態による軟磁性条鋼は、好ましくは、フェライト粒径D(μm)が以下の式(2)を満足する。
80≦D<200 (2)
ここで、フェライト粒径は以下のように算出する。軟磁性条鋼の横断面の任意の10視野を100〜400倍の光学顕微鏡により観察し、JIS G0551に準拠した切断法により各視野におけるフェライト粒度番号を算出し、さらに算出した10個のフェライト粒度番号の平均(平均フェライト粒度番号)を算出する。平均フェライト粒度番号に基づいて各結晶粒の平均面積を算出する。さらに平均面積から円相当径を算出し、得られた円相当径をフェライト粒径とする。
フェライト粒径Dが80μm以上であれば、保磁力が低下し、磁束密度が高くなるため、交流磁気特性はより向上する。一方、フェライト粒径Dが200μm未満であれば、変形能はより向上する。フェライト粒径Dが式(2)を満足すれば、より優れた交流磁気特性及び変形能を有する軟磁性条鋼が得られる。なお、フェライト粒径Dが式(2)を満足しなくても、従来よりも良好な交流磁気特性及び変形能を得ることができる。
3.製造方法
本実施の形態による軟磁性条鋼は、軟磁性を有する条鋼であって、より具体的には、軟磁性を有する棒鋼や線材等である。以下、本実施の形態の軟磁性条鋼の製造方法を説明する。
上記化学組成の鋼を溶製し、周知の方法で精錬する。続いて溶鋼を連続鋳造法により連続鋳造材にする。連続鋳造材とはたとえばスラブやブルームやビレットである。又は、溶鋼を造塊法によりインゴットにする。
連続鋳造材又は鋼塊を熱間加工して棒鋼及び線材といった軟磁性条鋼にする。たとえば、連続鋳造材等を熱間圧延によりビレットにして、ビレットを熱間加工して軟磁性を有する棒鋼又は線材にする。他の加工方法により軟磁性を有する棒鋼又は線材にしてもよい。
熱間加工後の軟磁性条鋼に焼鈍処理を実施する。焼鈍温度は700〜900℃にするのが好ましい。この焼鈍処理により鋼の組織が実質的にフェライト単相になり、かつ、フェライト粒径Dが式(2)を満たす大きさになる。なお、焼鈍温度が700〜900℃の範囲外となった場合、フェライト粒径Dは式(2)を満たさないものの、組織は実質的にフェライト単相になる。
表1に示す化学成分を有する鋼を真空溶解炉で溶製し、150kgのインゴットにした。
Figure 0004360349
表1中の「fn1」欄は、式(A)に基づいて算出した各鋼種番号の鋼のfn1を示す。表1を参照して、鋼種番号A1〜A6の鋼の化学組成は本発明の範囲内であった。また、鋼種番号A1〜A6のfn1は式(1)を満たした。
一方、鋼種番号B1〜B11は化学組成及び/又はfn1が本発明の範囲外であった。具体的には、鋼種番号B1のAl含有量は本発明の下限未満であり、fn1も下限未満であった。鋼種番号B2のSi含有量は本発明の上限を超え、Al含有量は本発明の下限未満であった。鋼種番号B3のAl含有量は本発明の上限を超えた。鋼種番号B4のAl含有量は本発明の上限を超え、fn1も上限を超えた。鋼種番号B5のSi含有量は本発明の上限を超えた。鋼種番号B6のMn含有量は本発明の下限未満であった。
鋼種番号B7の化学組成は本発明の範囲内であったものの、fn1が本発明の下限未満であった。鋼種番号B9のMn含有量は本発明の上限を超え、fn1は本発明の下限未満であった。鋼種番号B11のC含有量は本発明の上限を超え、fn1は下限未満であった。
表1に示す化学組成の各インゴットを1000〜1300℃で加熱し、加熱したインゴットを熱間鍛伸して直径40mmの棒鋼にした。続いて、作成した棒鋼に対して表2に示す焼鈍温度(℃)で2時間の焼鈍処理を実施した。
Figure 0004360349
焼鈍処理後、表2に示す各試験番号の棒鋼について、ミクロ組織を調査し、さらに変形能評価試験及び交流磁気特性評価試験を実施した。
[ミクロ組織]
各試験番号の棒鋼の横断面のミクロ組織を観察した。棒鋼を横断方向に切断した試験片の1/4(半径20mmの扇形、厚さ10mm)を樹脂埋めし、横断面を研磨した。研磨後、横断面をナイタル腐食液で腐食した。腐食後、100〜400倍の光学顕微鏡で横断面のミクロ組織を観察した。
観察したミクロ組織におけるフェライト相の面積率を測定した。具体的には横断面における任意10視野の光学顕微鏡写真(倍率100倍)を画像処理し、全視野面積中に占めるフェライト相の面積率を算出した。測定の結果、全ての試験番号の棒鋼のミクロ組織でフェライトが95%以上を占めた。換言すれば、すべての試験番号の棒鋼の組織は実質的にフェライトであった。
さらに、各試験番号でフェライト粒径を算出した。上述の試験片の横断面で任意の10視野を100〜400倍の光学顕微鏡により観察し、JIS G0551に準拠した切断法により各視野におけるフェライト粒度番号を算出した。算出した10個のフェライト粒度番号の平均(平均フェライト粒度番号)を算出した。続いて、平均フェライト粒度番号に基づいて各結晶粒の平均面積を算出した。さらに平均面積から円相当径を算出し、得られた円相当径をフェライト粒径とした。表2に算出したフェライト粒径を示す。
[変形能評価試験]
各試験番号の棒鋼から図2に示す複数の試験片を機械加工により作製した。試験片は直径14mm、高さ21mmの円柱であって、円柱表面の軸方向に切り欠き部(スリット部)を作成した。
作製した複数の試験片に対して冷間圧縮試験を実施した。冷間圧縮試験には500tonクランクプレスを使用した。冷間圧縮試験では圧縮加工量を変化させ、各圧縮加工量で複数の試験片を圧縮し、試験片のスリット部に割れが発生したか否かを調査した。各圧縮加工量における試験後の試験片のうち、割れの発生した試験片の数が50%以上となった最低の圧縮加工量を限界圧縮率とした。本実施例では、限界圧縮率が75%以上であれば変形能が非常に高いと判定し(表2中「◎」印で表示),限界圧縮率が70%以上75%未満であれば変形能が高いと判定し(表2中「○」印で表示)、限界圧縮率が70%未満であれば変形能が低いと判定した(表2中「×」印で表示)。
[交流磁気特性評価試験]
各試験番号の棒鋼からリング状試験片を機械加工により作製した。リング状試験片は外径30mm、内径20mm、厚さ5mmとした。
リング状試験片に磁界印加用のコイルと磁束検出用のコイルとを巻き線し、JIS C2504に準拠して全鉄損Wtを測定した。具体的には、周波数50Hz、磁束密度1.5Tの直流磁場でヒステリシス損Whを測定し、周波数50Hz、磁束密度1.5Tの交流磁場で渦電流損Weを測定した。全鉄損Wtは以下の式(3)で求めた。
Wt=Wh+We (3)
算出した全鉄損Wtが135W/kg以下であれば,磁気特性が非常に良好であると判定し(表2中「◎」印で表示),全鉄損Wtが135W/kgを超え、かつ、140W/kg以下であれば磁気特性が良好であると判定した(表2中「○」印で表示)。算出した全鉄損Wtが140W/kgを超えた場合,磁気特性が悪いと判定した(表2中「×」印で表示)。
[試験結果]
各評価試験の試験結果を表2に示す。表2を参照して、試験番号1〜は、化学組成及びfn1がいずれも本発明の範囲内であった。また、組織はいずれも実質的にフェライトからなり、組織中のセメンタイトが5%未満であった。そのため、試験番号1〜の交流磁気特性及び変形能は良好であった。具体的には、全鉄損が140W/kg以下であり、限界圧縮率が70%以上であった。
試験番号1〜47及び8はさらに、フェライト粒径Dがいずれも式(2)を満たした。そのため、試験番号1〜47及び8の全鉄損は、いずれも135W/kg以下であり、非常に優れた交流磁気特性を示した。さらに、試験番号1〜47及び8の限界圧縮率は、いずれも75%以上であり、非常に高い変形能を示した。
試験番号は、フェライト粒径が式(2)の下限未満となったため、限界圧縮率は75%以上であったものの、全鉄損が135W/kgを超えた。ただし、これらの全鉄損はいずれも140W/kg以下であり、良好であった。
また、試験番号は、フェライト粒径が式(2)の上限を超えたため、全鉄損が135W/kg以下であったものの、限界圧縮率が75%未満であった。ただし、これらの限界圧縮率はいずれも70%以上であり、良好であった。
一方、各試験番号19は、交流磁気特性及び/又は変形能が低かった。具体的には、試験番号は、Al含有量が低く、かつ、fn1が小さかったため、全鉄損が140W/kgを超えた。試験番号10及び13は、Si含有量が高かったため、限界圧縮率が70%未満であった。試験番号11は、Al含有量が高かったため、限界圧縮率が70%未満であった。試験番号12はAl含有量が高かったため、限界圧縮率が70%未満であった。試験番号14はMn含有量が少なかったため,全鉄損が140W/kgを超えた。試験番号15〜19は、fn1が低かったため、全鉄損が140W/kgを超えた。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
本発明による軟磁性条鋼は、電装部品に広く利用可能である。特に、モータ、発電装置、電磁スイッチ等における交流磁界用のコア材として利用可能である。
軟磁性条鋼のfn1と全鉄損及び限界圧縮率との関係を示す図である。 実施例における変形能の評価試験で使用する試験片の上面及び側面を示す図である。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.015%以下、Si:0.023〜0.30%、Mn:0.30〜0.5%、P:0.017%以下、S:0.02%以下、Al:0.010超〜1.3%、N:0.010%以下、O(酸素):0.020%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、式(1)を満たすことを特徴とする軟磁性条鋼
    0.85≦0.8−0.57C+0.82Si+0.07Mn+0.78P−3.56S+0.82Al−1.0N≦2.0 (1)
    ここで、式(1)中の記号は各元素の含有量(質量%)である。
  2. 請求項1に記載の軟磁性条鋼であって、
    前記軟磁性条鋼の組織は実質的にフェライトからなり、フェライト粒径D(μm)が式(2)を満たすことを特徴とする軟磁性条鋼
    80≦D<200 (2)
  3. 請求項1又は請求項2に記載の軟磁性条鋼であってさらに、B:0.0005〜0.005%を含有することを特徴とする軟磁性条鋼
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の軟磁性条鋼であってさらに、Te:0.0005〜0.01%及びCa:0.0005〜0.005%のうちの1種以上を含有することを特徴とする軟磁性条鋼
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