JP4360349B2 - 軟磁性条鋼 - Google Patents
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(a)初めに、本発明者らは、交流磁気特性を改善するために、鉄損を低減する方法を検討した。鉄損はヒステリシス損と渦電流損との合計であるが、交流磁界では渦電流損が鉄損の大半を占める。そのため、鉄損を低減するためには、渦電流損を特に低減する必要がある。渦電流損を低減するには、鋼の電気抵抗を高めることが有効である。また、鉄損に占める割合は小さいものの、ヒステリシス損も低減する方が好ましい。フェライト粒の微細化を防止すれば、ヒステリシス損を低減できる。
(b)鋼の電気抵抗を高める効果のあるSi、Mn、Alの固溶量を高くすれば、渦電流損を低減できる。さらに、Mnと硫化物を形成するS、Alと窒化物を形成するNは、MnやAlの固溶量を低くし電気抵抗を低下させる効果がある。よって、SおよびNを制限する必要がある。
(c)ヒステリシス損を低減するには、フェライト粒の成長を阻害する析出物や介在物の形成を抑制するのが望ましい。したがってC、N、Sの含有量を低くするのが有効である。また、粒界偏析によりヒステリシス損を増大するPも低く抑えることが効果的である。
(d)次に、本発明者らは変形能を向上する方法を検討した。変形能を向上するには、固溶強化元素の含有量を低くするとともに、時効硬化に寄与する元素の含有量をも低くする必要がある。
(e)したがって、交流磁気特性を改善する上では有効なSi、Mn、Alも、変形能を向上するという観点からは、過剰に含有すべきでない。また、時効硬化元素であるC、Nは、変形能向上との観点からも制限すべきである。また、MnSを形成するS、粒界偏析するPも変形能を低下させるので低くする必要がある。
(f)以上の観点から、本発明者らは、Si、Mn、Al、C、N、S、Pの全てが交流磁気特性及び変形能に強い影響を与えると考えた。そこで、各元素が交流磁気特性に与える影響度と、変形能に与える影響度とを検討した。その結果、本発明者らは、これらの元素の含有量が式(1)を満たせば、交流磁気特性及び変形能をともに改善できることを見出した。
0.85≦0.8−0.57C+0.82Si+0.07Mn+0.78P−3.56S+0.82Al−1.0N≦2.0 (1)
0.85≦0.8−0.57C+0.82Si+0.07Mn+0.78P−3.56S+0.82Al−1.0N≦2.0 (1)
80≦D<200 (2)
本発明の実施の形態による軟磁性条鋼は、以下の化学組成を有する。以降、元素に関する%は質量%を意味する。
Cは鋼の強度を高める元素であるが、本発明においては時効硬化により変形能を低下する好ましくない元素である。但し、工業的にはC含有量を0%とすることはできず、不純物として0.001%程度の含有は避けることはできない。Cが高すぎると、Feとセメンタイトを形成することによりフェライト粒の粒成長を阻害し、また析出したセメンタイトにより交流磁気特性を劣化する。したがって、C含有量は0.015%以下にする。好ましいC含有量は0.008%以下である。
Siは交流磁気特性を向上する元素である。具体的には、鋼の電気抵抗を高くし渦電流損を低減する必要な元素である。さらに鋼のフェライト化に寄与する。しかし、Si含有量が過剰であれば、変形能が低下し、変形抵抗が大きくなる。したがって、Si含有量は0.023〜0.30%にする。変形能の向上をより考慮すれば、好ましいSi含有量0.023〜0.10%である。
MnはSiと同様に、鋼の電気抵抗を高め、渦電流損を低減する。Mnはさらに、鋼中のSと結合してMnSを形成することにより、Sによる脆化を抑制し、変形能を向上するため、0.30%以上含有する必要がある。しかし、Mn含有量が過剰になると、変形能が低下し、変形抵抗が大きくなる。そのため、Mn含有量は0.30〜0.5%にする。
Pは好ましくない元素である。鋼の粒界に偏析し、変形能を低下する。Pはまた、偏析することで交流磁気特性を劣化する。したがって、P含有量は低いほどよく、0.017%以下にする必要がある。好ましいP含有量は0.016%以下である。
Sは鋼中のMnと結合してMnSを形成する。MnSは被削性を向上する効果があるが、本発明においては、Sは電気抵抗を高める効果のあるMnの固溶量を低減し、渦電流損を増大する好ましくない元素である。また、MnSは非金属介在物であり、かつフェライト粒の成長を阻害するため、ヒステリシス損にも悪影響を及ぼす。さらに、鋼中のMnS量が多いと変形能も低下する。したがって、S含有量は0.02%以下にする。好ましいS含有量は0.015%以下、更に好ましくは0.010%以下である。
Alは交流磁気特性を向上する。具体的には、鋼の電気抵抗を高め、渦電流損を減少する必要な元素である。Alはさらに、Siと同じく鋼のフェライト化に寄与する。Al含有量が少ない場合、Si及びMn含有量を増加することにより交流磁気特性を向上できるが、その場合Si及びMn含有量が高くなりすぎると変形能が低下する。一方、Al含有量が過剰であれば変形能が低下し、変形抵抗が大きくなる。したがって、Al含有量は0.010超〜1.3%にする。換言すれば、Al含有量は、0.010%よりも高くし、かつ、1.3%以下にする。好ましいAl含有量は0.05〜1.0%である。
Nは好ましくない元素である。NはAlと結合してAlNを形成することによりAl固溶量を低減し、交流磁気特性を劣化する。Nはさらに、鋼を時効硬化するため、変形能を低下する。したがって、N含有量は0.010%以下にする。好ましいN含有量は0.005%以下である。
Oは好ましくない元素である。Oは酸化物を形成し、磁気特性を劣化する。形成された酸化物はまた、変形能を低下する。したがって、O含有量は0.020%以下にする。好ましいO含有量は0.010%以下である。
Bは選択元素である。Bは窒化物を形成することでNを固定し、NがAlと結合するのを抑制する。その結果、Alの固溶量の減少を抑制することで交流磁気特性を向上する。Bを過剰に含有しても、その効果は飽和する。したがって、B含有量は0.0005〜0.005%にする。好ましいB含有量は0.0008%〜0.002%である。
Teは選択元素である。本発明においてはMnSは少ないほどよいが、皆無にはできない。Teは、この鋼中のMnSを球状化し、変形能を向上する。さらにMnSを球状化することにより切削性も向上する。Teを過剰に含有しても、その効果は飽和する。したがって、Te含有量は0.0005〜0.01%にする。好ましいTe含有量は0.0006〜0.008%である。
Caは選択元素である。Caは、鋼中のMnSを球状化し、変形能を向上する。Caを過剰に含有しても、その効果は飽和する。したがって、Ca含有量は0.0005〜0.005%にする。好ましいCa含有量は0.0008〜0.002%である。
0.85≦fn1≦2.0 (1)
fn1=0.8−0.57C+0.82Si+0.07Mn+0.78P−3.56S+0.82Al−1.0N (A)
本実施の形態による軟磁性条鋼の組織は、実質的にフェライトからなる。具体的には、フェライトが組織中の95%以上を占め、セメンタイトが5%未満である。セメンタイトはMnS等の非金属介在物と同様に、交流磁気特性を劣化する。組織を実質的にフェライト単相にすることにより、交流磁気特性を向上できる。
80≦D<200 (2)
本実施の形態による軟磁性条鋼は、軟磁性を有する条鋼であって、より具体的には、軟磁性を有する棒鋼や線材等である。以下、本実施の形態の軟磁性条鋼の製造方法を説明する。
各試験番号の棒鋼の横断面のミクロ組織を観察した。棒鋼を横断方向に切断した試験片の1/4(半径20mmの扇形、厚さ10mm)を樹脂埋めし、横断面を研磨した。研磨後、横断面をナイタル腐食液で腐食した。腐食後、100〜400倍の光学顕微鏡で横断面のミクロ組織を観察した。
各試験番号の棒鋼から図2に示す複数の試験片を機械加工により作製した。試験片は直径14mm、高さ21mmの円柱であって、円柱表面の軸方向に切り欠き部(スリット部)を作成した。
各試験番号の棒鋼からリング状試験片を機械加工により作製した。リング状試験片は外径30mm、内径20mm、厚さ5mmとした。
Wt=Wh+We (3)
各評価試験の試験結果を表2に示す。表2を参照して、試験番号1〜8は、化学組成及びfn1がいずれも本発明の範囲内であった。また、組織はいずれも実質的にフェライトからなり、組織中のセメンタイトが5%未満であった。そのため、試験番号1〜8の交流磁気特性及び変形能は良好であった。具体的には、全鉄損が140W/kg以下であり、限界圧縮率が70%以上であった。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.015%以下、Si:0.023〜0.30%、Mn:0.30〜0.5%、P:0.017%以下、S:0.02%以下、Al:0.010超〜1.3%、N:0.010%以下、O(酸素):0.020%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、式(1)を満たすことを特徴とする軟磁性条鋼。
0.85≦0.8−0.57C+0.82Si+0.07Mn+0.78P−3.56S+0.82Al−1.0N≦2.0 (1)
ここで、式(1)中の記号は各元素の含有量(質量%)である。 - 請求項1に記載の軟磁性条鋼であって、
前記軟磁性条鋼の組織は実質的にフェライトからなり、フェライト粒径D(μm)が式(2)を満たすことを特徴とする軟磁性条鋼。
80≦D<200 (2) - 請求項1又は請求項2に記載の軟磁性条鋼であってさらに、B:0.0005〜0.005%を含有することを特徴とする軟磁性条鋼。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の軟磁性条鋼であってさらに、Te:0.0005〜0.01%及びCa:0.0005〜0.005%のうちの1種以上を含有することを特徴とする軟磁性条鋼。
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