JP5603726B2 - 着色樹脂粒子及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、着色樹脂粒子及びその用途に関する。更に詳しくは、本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)等の各種表示装置や透過型スクリーン、反射型スクリーン等の各種スクリーンの表面部分に配置して、これらの表示装置やスクリーンの表面に外光が映りこむことを防止する防眩性部材用の着色樹脂粒子及びこの着色樹脂粒子とバインダー樹脂とを含む混合物の塗膜を透明基材樹脂上に備えた防眩性部材に関する。
液晶ディスプレイ等の表示装置において、その周囲が明るいと、鏡のようにその表示面に外光が映り込み、表示面に表示される画像や映像等の情報が見づらくなるという課題がある。
そのような課題を解決するために、表示面側に防眩性フィルムを設けて、表示面に射し込む光を拡散することにより、防眩性を付与して、表面反射による外光の映り込みを低減する技術が採用されている。
従来の防眩性フィルムは、その表面に設けられた微細凹凸形状により、表示装置の表示面に防眩性を付与するという構成であった。
微細凹凸形状の形成方法としては、凹凸形状の調整し易さ及び生産効率の観点から、樹脂粒子とバインダー樹脂をフィルムに塗布して乾燥することにより塗膜化する方法が主流となっている。
しかし、上記の方法では、防眩層(樹脂粒子が分散された塗膜)が、その表面の凹凸による光錯乱により、白っぽく見えて表示装置による表示のコントラストが低下するという課題や、防眩層表面の凹凸がレンズのような働きをすることにより表示がぎらついて見えるという課題があった。また、後方錯乱光(表示装置から発せられる光が樹脂粒子により錯乱されることにより生じる光)により表示のコントラストが低下するという課題もあった。
上記課題を解決するための技術として、黒色微粒子を用いた防眩性部材が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1によると、従来の樹脂粒子の替わりに黒色微粒子を用いることにより、後方錯乱光の増加、表示のコントラストの低下及びぎらつきを抑えることができるという効果がある。更に、粒子が黒色ということに起因して、暗表示部分がより暗く見えることによりコントラストが上昇するという効果がある。
国際公開番号WO2008/018339号公報
しかし、特許文献1による技術には、用いられる黒色微粒子が、粒子全体すなわち粒子の内部に至るまで全て黒色となっているため、光透過性が極めて低くなっており、これを用いた防眩部材が設けられる表示装置の表示が暗くなってしまうという課題がある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、表示装置の表示の明るさを大きく低下させることなく、表示のコントラストの低下やぎらつきを抑え、かつ表示面への外光の映り込みを防止し得る防眩性部材用着色樹脂粒子を提供することをその課題とする。
かくして本発明によれば、重合性ビニル系単量体に由来する樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面を覆う含窒素複素環式芳香族化合物の重合体からなる被覆層とを有し、前記被覆層が30〜300nmの厚さを有し、前記被覆層の厚さが、50%以下の振れに抑制されていることを特徴とする防眩性部材用着色樹脂粒子が提供される。
また、本発明によれば、透明基材樹脂と、上記の防眩性部材用着色樹脂粒子とバインダー樹脂との塗膜とを備えた防眩性部材が提供される。
本発明による防眩性部材用着色樹脂粒子は、その表面全体が含窒素複素環式芳香族化合物の重合体によりムラなく均一に被覆されていることにより、ある程度の光透過性を確保しつつ、公知の内部に至るまで全てが黒色の黒色粒子と同様の光錯乱を防止できる機能を有する。これにより、本発明の防眩性部材用着色樹脂粒子を用いて得られる防眩性部材は、表示装置による表示の明るさを大きく低下させることなく、表示のコントラストの低下及びぎらつきを抑えつつ、かつ表示面への外光の映り込みを防止することが可能になる。
また、含窒素複素環式芳香族化合物の重合体が、ピロール又はその誘導体の重合体である場合、本発明による防眩性部材用着色樹脂粒子は、上記の効果を更に際立たせることができる。
防眩性部材用着色樹脂粒子が、1〜10μmの平均粒子径を有する場合、防眩性部材として更に好適に使用することができる。
実施例1により得られた防眩性部材用着色樹脂粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例2により得られた防眩性部材用着色樹脂粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例3により得られた防眩性部材用着色樹脂粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
本発明による防眩性部材用着色樹脂粒子(以下、「着色樹脂粒子」とも言う)は、重合性ビニル系単量体に由来する樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面を覆う含窒素複素環式芳香族化合物の重合体からなる被覆層とを有している。被覆層は、30〜300nmの厚さを有している。また、その厚さの振れが、50%以下に抑制されている。
(樹脂粒子)
(1)重合性ビニル系単量体
重合性ビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステル単量体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の飽和脂肪酸ビニル系単量体、アクロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン系カルボン酸、無水マレイン酸等のエチレン系カルボン酸無水物、モノブチルマレイン酸などのエチレン系ジカルボン酸のモノアルキルエステル、及びこれらのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩等のエチレン系カルボン酸塩類、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のエチレン系カルボン酸の酸アミド類、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メチロール化ジアセトンアクリルアミド及び、これらの単量体と炭素数1〜8個のアルコール類とのエーテル化物(例えば、N−イソブトキシメチルアクリルアミド)等のエチレン系カルボン酸アミド類のメチロール化物及びその誘導体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエチレン系カルボン酸とエポキシ基を有するアルコールとのエステル類、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等のエチレン系カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のエチレン系カルボン酸とアミノ基を有するアルコールとのエステル類など、エチレン性不飽和結合を1個有する単量体、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の非共役性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。
これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記重合性ビニル系単量体のうち、1.5重量%以下の水(20℃)への溶解度を有する疎水性単量体がより均一な被覆膜を得られることから好ましい。また、疎水性単量体の中でも、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルが特に好ましい。
(2)重合方法(樹脂粒子の製造方法の例示)
重合方法としては、公知の重合方法であれば特に限定されるものではない。公知の重合法としては、例えば塊状重合、乳化重合、ソープフリー乳化重合、シード重合、懸濁重合等の方法が挙げられる。塊状重合の場合は、粉砕後、分級することで所望の粒径の樹脂粒子を得ることができる。乳化重合とは、水等の媒体と、媒体に溶解し難いモノマーと乳化剤(界面活性剤)を混合し、そこに媒体に溶解可能な重合開始剤を加えて行う重合法である。得られる粒子径のバラツキが少ないという特徴がある。ソープフリー乳化重合とは、乳化剤を用いない乳化重合である。均一径の粒子が得られるという特徴がある。シード重合とは、重合開始の際に別途で作られた種(シード)粒子を入れて行われる重合である。種粒子として粒子径と粒子径分布、量(個数)を任意に定めて重合することになり、所望の粒子径と粒子径分布を狙って重合できるという特徴がある。懸濁重合とは、モノマーと溶媒の水とを機械的に攪拌して、懸濁させて行う重合方法である。粒子径が小さくかつ整った粒子を得られることが特徴である。
以下にシード重合法の一般的な方法を述べるが、本発明による樹脂粒子の製造方法は、この方法に限定されるものではない。
先ず、単量体と水性媒体とから構成される乳化液(懸濁液)に種粒子を添加する。乳化液は、公知の方法により作製できる。例えば、単量体を、水性媒体に添加し、ホモジナイザー、超音波処理機、ナノマイザー等の微細乳化機により分散させることで、乳化液を得ることができる。ここでいう水性媒体としては、水又は水と有機溶媒(例えば、低級アルコール)との混合物が挙げられる。また、別途作製される種粒子の製造方法については、特に限定されないが、乳化重合、ソープフリー乳化重合あるいは懸濁重合等の方法を用いることができる。種粒子の粒子径の均一性や製造方法の簡便さを考慮すると、乳化重合及びソープフリー乳化重合法が好ましい。種粒子の重量平均分子量を、重合開始剤の使用量の加減あるいは分子量調整剤の添加量の加減等により、調整してもよい。
単量体には、必要に応じて重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤は、単量体に予め混合された後、水性媒体中に分散されてもよいし、両者を別々に水性媒体に分散されたものが混合されてもよい。得られた乳化液中に存する単量体の液滴の粒子径は、種粒子よりも小さい方が、単量体が種粒子に効率よく吸収されるので好ましい。
種粒子は、乳化液に直接添加されてもよく、種粒子が水性媒体に分散された形態(以下、種粒子分散液という)で添加されてもよい。種粒子が乳化液へ添加された後、単量体は種粒子に吸収される。この吸収は、通常、種粒子添加後の乳化液を、室温(約20℃)で1〜12時間攪拌することにより行うことができる。また、単量体の吸収を促進するために、乳化液は30〜50℃程度に加温されてもよい。
種粒子は、単量体を吸収することにより膨潤する。単量体と種粒子との混合比率は、種粒子1重量部に対して単量体5〜300重量部の範囲であることが好ましく、100〜250重量部がより好ましい。単量体の混合比率が小さくなると、重合による粒子径の増加は小さくなり、単量体の混合比率が大きくなると、単量体が完全に種粒子に吸収されず、水性媒体中で独自に懸濁重合して、異常粒子が生成されることがある。なお、種粒子による単量体吸収の終了は、光学顕微鏡の観察で粒子径の拡大を確認することにより判定できる。
必要に応じて添加される重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、(2−カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して、0.1〜1.0重量部の範囲で使用されることが好ましい。
次に、種粒子に吸収された単量体を重合させることにより、樹脂粒子が得られる。重合温度は、単量体や重合開始剤の種類に応じて適宜選択することができる。具体的には、25〜110℃が好ましく、より好ましくは50〜100℃である。また、重合時間は、1〜12時間とすることができる。重合は、窒素雰囲気のような重合に対して不活性な不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。なお、重合反応は、種粒子に単量体及び任意に用いられる重合開始剤が完全に吸収された後に、昇温して行われるのが好ましい。
上記重合工程において、樹脂粒子の分散安定性を向上させるために、高分子分散安定剤が添加されてもよい。高分子分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、セルロース類(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。また、トリポリリン酸ナトリウム等の無機系水溶性高分子化合物が併用されてもよい。これらの高分子分散安定剤のうち、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが好ましい。高分子分散安定剤の添加量は、単量体100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
また、上記重合工程において水系での乳化粒子の発生を抑えるために、亜硝酸塩類、亜硫酸塩類、ハイドロキノン類、アスコルビン酸類、水溶性ビタミンB類、クエン酸、ポリフェノール類等の水溶性の重合禁止剤が用いられてもよい。
(着色樹脂粒子の製造方法の例示)
着色樹脂粒子の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記で紹介したシード重合法等により得られた樹脂粒子を、無機過酸のアルカリ金属塩を含む水性媒体中で、含窒素複素環式芳香族化合物の単量体を任意の量添加して、酸化重合することにより得られる。含窒素複素環式芳香族化合物の単量体は、酸化重合により黒色に着色された重合体となる化合物である。
(1)含窒素複素環式芳香族化合物
含窒素複素環式芳香族化合物の単量体としては、ピロール、インドール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン及びこれらのアルキル置換体(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基での置換体)、ハロゲン置換体(例えば、フロロ、クロロ、ブロム等のハロゲン基での置換体)、ニトリル置換体といった誘導体が挙げられる。これらの単量体は単独で使用して、単独重合体とすることができ、あるいは2種類以上を併用して、共重合体とすることもできる。より均一な被覆膜が形成されやすいことから、ピロールおよびピロールの誘導体の重合体が好ましい。
含窒素複素環式芳香族化合物の単量体の量は、樹脂粒子100重量部に対し1〜30重量部の範囲で所望の黒色度に応じて設定できる。好ましくは、3〜20重量部である。1重量部より少ないと、樹脂粒子の表面全体が均一に含窒素複素環式芳香族化合物の重合体で被覆されず、所望の黒色度を得られない場合がある。一方、30重量部より多いと、添加した含窒素複素環式芳香族化合物の単量体が単独で重合し、目的とする被覆粒子以外のものができてしまう場合がある。
(2)無機過酸のアルカリ金属塩(酸化剤)
無機過酸のアルカリ金属塩は、含窒素複素環式芳香族化合物の単量体の酸化剤として作用する化合物である。具体的には過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
無機過酸のアルカリ金属塩は、含窒素複素環式芳香族化合物の単量体全量に対して0.5〜2.0モル当量が用いられる。0.5モル当量未満であると、樹脂粒子の表面全体が均一に含窒素複素環式芳香族化合物の重合体で被覆されず、所望の黒色度を得られない場合がある。一方、2.0モル当量を超えると、添加した含窒素複素環式芳香族化合物の単量体が単独で重合し、目的とする被覆粒子以外のものができてしまう場合がある。好ましくは、1〜1.5モル当量である。
(3)水性媒体
無機過酸のアルカリ金属塩は、水性媒体に添加され、所定のpHの水性媒体として用いられる。水性媒体は、含窒素複素環式芳香族化合物の単量体を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、水又は、水と、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、メチルセロソルブ、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類との混合媒体が挙げられる。
無機過酸のアルカリ金属塩が添加された水性媒体は、3以上のpHを有することが好ましい。pHが3未満だと、樹脂粒子の表面全体が均一に含窒素複素環式芳香族化合物の重合体で被覆されず、所望の黒色度を得られないことがある。
(4)界面活性剤
また、水性媒体には界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤をいずれも使用できる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、コハクスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイドや、リン酸エステル系又は亜リン酸エステル系界面活性剤が挙げられる。
上記界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。界面活性剤の添加量は、水性媒体100重量部に対して0.0001〜1重量部とできる。
また、水性媒体には界面活性剤以外に高分子分散安定剤が添加されてもよい。高分子分散安定剤としては、例えば、ポリアクリル酸、その共重合体およびこれらの中和物ならびにポリメタクリル酸、その共重合体およびこれらの中和物、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等が挙げられる。高分子分散安定剤は、上述の界面活性剤と併用してもよい。
(5)酸化重合
樹脂粒子表面が含窒素複素環式芳香族化合物の重合体で被覆された着色樹脂粒子は、例えば、上記で紹介したシード重合法等により得られた樹脂粒子が分散された乳化液(懸濁液)及び含窒素複素環式芳香族化合物の単量体を、無機過酸のアルカリ金属塩を含む水性媒体に添加して混合物を得、その混合物を好ましくは−20〜40℃の温度において、0.5〜10時間攪拌することにより、得ることができる。
なお、着色樹脂粒子が分散された乳化液は、必要に応じて遠心分離されて水性媒体が除去され、水及び溶剤で洗浄された後、乾燥、単離される。
(着色樹脂粒子)
上記の酸化重合により得られた着色樹脂粒子は、表面全体が均一に含窒素複素環式芳香族化合物の重合体からなる被覆層で覆われている。
ここで「均一」とは、樹脂粒子を覆う含窒素複素環式芳香族化合物の重合体の層の厚さの振れが50%以下であることを言う。
被覆層の厚さは、30〜300nmである。好ましくは、50〜200nmである。被覆層の厚さが30nm未満であると、黒色度が低く所望の防眩性が得られない場合がある。一方、300nmを超えると、光透過性が低くなってしまい、これを用いた防眩部材が設けられる表示装置の表示が暗くなってしまう場合がある。
なお、含窒素複素環式芳香族化合物の重合体の層の厚さを測定する方法及び厚さの振れの計算方法については、実施例の欄で説明する。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、防眩性部材としての用途を考慮すると、1〜10μmであることが好ましい。より好ましくは、3〜7μmである。着色樹脂粒子の平均粒子径が1μm未満であると、防眩性部材に微細凹凸が形成されず所望の防眩性が得られない場合がある。一方、10μmを超えると、微細凹凸の調整が困難となり所望の防眩性が得られない場合がある。
本発明の着色樹脂粒子は、表面全体が均一に含窒素複素環式芳香族化合物の重合体からなる被覆層で覆われているので、この重合体に由来する所望の黒色度を有する。また、粒子の表面部分のみが黒いため、粒子の内部まで黒色の公知の黒色粒子に比べて、粒子を透過する光量が大きく低下することもない。そのため、フィルムやシートにこの着色樹脂粒子を分散することにより、安定して所望の全光線透過率を有する防眩性部材を製造することができる。
(防眩性部材の製造方法の例示)
以下に、本発明の着色樹脂粒子を用いた防眩性部材の製造方法の一例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
防眩性部材は、着色樹脂粒子とバインダー樹脂を含む混合物を透明基材樹脂に塗布することにより得られる。
(1)透明基材樹脂
透明基材樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等のポリマーからなるフィルムが挙げられる。また、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等のポリマーからなるフィルムも挙げられる。更にイミド系ポリマー、サルホン系ポリマー、ポリエーテルサルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニルスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等のポリマーからなるフィルム等も挙げられる。特に複屈折率の少ないものが好適に用いられる。また、これらフィルムに更にアクリル系樹脂、共重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン−マレイン酸グラフトポリエステル樹脂、アクリルグラフトポリエステル樹脂等の易接着層を設けたフィルムも用いることができる。
透明基材樹脂の厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取り扱い等の作業性、薄層性等の点より10〜500μm程度である。20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。
また、基材には添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、屈折率調整剤、増強剤等が挙げられる。
(2)樹脂混合物
(2−1)バインダー樹脂
バインダー樹脂としては、透明性、樹脂微粒子分散性、耐光性、耐湿性及び耐熱性等の要求される特性に応じて、当該分野において使用されるものであれば特に限定されるものではない。バインダー樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂;(メタ)アクリルウレタン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;メラミン系樹脂;スチレン系樹脂;アルキド系樹脂;フェノール系樹脂;エポキシ系樹脂;ポリエステル系樹脂;(メタ)アクリルシリコーン系樹脂、アルキルポリシロキサン系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーンアルキド系樹脂、シリコーンウレタン系樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、シリコーンアクリル系樹脂等の変性シリコーン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィンビニルエーテルポリマー等のフッ素系樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、熱可塑性でもよいし、熱硬化性樹脂、温気硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の硬化性樹脂でもよい。
また、上記の他に合成ゴムや天然ゴム等の有機系バインダー樹脂や、無機系結着剤等を用いることもできる。有機系バインダー樹脂としては、エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。無機系結着剤のバインダー樹脂としては、シリカゾル、アルカリ珪酸塩、シリコンアルコキシド及びそれらの(加水分解)縮合物ならびにリン酸塩等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
このようなバインダー樹脂は、樹脂組成物の耐久性を向上させる観点から、架橋反応により架橋構造を形成できる硬化性樹脂が好ましい。バインダー樹脂は、種々の硬化条件で硬化させることができる。硬化のタイプにより、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、金属アルコキシドを加水分解、脱水縮合して得られる無機系または有機無機複合系マトリックス等を用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタンアクリレート樹脂等が挙げられる。またこれらの他にも、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も使用することができる。
電離放射線硬化性樹脂のうち、紫外線硬化性樹脂を用いる場合、バインダー樹脂に光重合開始剤を加える。光重合開始剤は、どのようなものを用いても良いが、用いる樹脂にあったものを用いることが好ましい。
光重合開始剤(ラジカル重合開始剤)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類等が挙げられる。光重合開始剤の使用量は、バインダー樹脂に対して0.5〜20重量%である。好ましくは1〜5重量%である。
熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
無機系または有機無機複合系マトリックスとしては、珪素アルコキシド系の材料を原料とする酸化珪素系マトリックスを用いる材料を使用することができる。具体的には、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
(2−2)有機溶剤
樹脂混合物には、有機溶剤が含まれていてもよい。有機溶剤は、含有することによって、基材樹脂への塗工が容易になるものであれば特に限定されるものではない。例えばトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメタン、塩化メチレン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
(3)樹脂混合物の基材樹脂上への形成
樹脂混合物を基材樹脂に形成する方法としては、硬化型組成物をバーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースコーティング、ダイティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、ディッピング法等の公知の塗工方法で基材樹脂に塗工した後に、必要に応じ溶剤を乾燥させ、更に活性エネルギー線を照射することにより、硬化型組成物を架橋硬化させる方法がある。前記活性エネルギー線としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線あるいは、通常20〜2000KeVのコックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の電子線加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線等を用いることができる。このようにして形成される、着色樹脂粒子が分散された層(防眩層)の膜厚は特に限定されず、着色樹脂粒子の粒子径により適宜決定されるが、1〜10μmが好ましい。より好ましくは、3〜7μmである。
(防眩性部材)
上記方法等により得られた防眩性部材は、防眩性部材を透過する光量を大きく低下させることなく、(光源である)表示装置からの後方錯乱光の増加を抑えて、表示のコントラストの低下及びぎらつきを抑えつつ、かつ(防眩性部材を設置した)表示面への外光の映り込みを防止することが可能になる。
防眩性部材は、全光線透過量が75%以上であることが好ましい。より好ましくは、80%以上である。全光線透過量が75%未満であると、表示装置等の表示面が、防眩性部材を設置しない状態に比べて、かなり暗くなると表示装置の利用者が感じる場合がある。
防眩性部材は、外光の映り込み防止の評価基準である45°反射光強度において、35以下であることが好ましい。より好ましくは30以下である。45°反射光強度が35を超えると、(防眩性部材を設置した表示面の)外光の映り込みが気になる程度になる場合がある。なお、45°反射光強度とは3次元光度計にて測定した入射角−45°の際の反射角45°における正反射光度である。45°反射光強度の測定方法については、実施例の欄で説明する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
先ず、実施例及び比較例中の測定方法及び計算方法について説明する。
(種粒子の平均粒子径)
種粒子の平均粒子径は、ベックマンコールター社製のLS230型により測定される。具体的には種粒子0.1gと0.1%ノニオン性界面活性剤溶液10mを投入し、ヤマト科学社製タッチミキサーTOUCHMIXER MT−31で2秒間混合する。この後、試験管を市販の超音波洗浄器であるヴェルボクリーア社製ULTRASONIC CLEARNER VS−150を用いて10分間分散させる。分散させたものをベックマンコールター社製のLS230型にて超音波を照射しながら測定する。そのときの光学モデルは、作成した粒子の屈折率にあわせて測定される。
(樹脂粒子の平均粒子径及び変動係数)
樹脂粒子の平均粒子径の測定は、Coulter Electronics Limited発行のReference MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、280μmアパチャーを用いてキャリブレーションを行う方法により行われる。測定には、精密粒度分布測定装置( ベックマンコールター社製: コールターマルチサイザーII)が用いられる。具体的には、樹脂粒子0.1gを0.1%ノニオン系界面活性剤溶液10ml中にタッチミキサー及び超音波を用いて予備分散させ、これを本体備え付けのISOTONII(ベックマンコールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせる。次にマルチサイザーII本体にアパチャーサイズ280μm、Currentを800、Gainを4、Polarityを+と入力してmanualで測定を行う。測定中は気泡が入らない程度にビーカー内を緩く攪拌しておき、樹脂粒子を10万個測定した点で測定を終了する。
体積加重の平均径(体積%モードの算術平均径:体積メヂアン径)が樹脂粒子の平均粒子径(x)として算出される。
変動係数(CV値)とは、標準偏差(σ)及び上記平均粒子径(x)から以下の式により算出された値である。
CV値(%)=(σ/x)×100
(含窒素複素環式芳香族化合物の重合体層の厚さおよび振れの測定方法)
着色樹脂粒子をエポキシ樹脂で包接し、粒子の中心を通る面で2分割し、その分割面を四酸化ルテニウム(RuO4)で染色してから透過型電子顕微鏡(SEM)で観察する。四酸化ルテニウムは、含窒素複素環式芳香族化合物の重合体の層を重合性ビニル系単量体由来の樹脂粒子よりも色濃く染色するため、被覆状態を把握し易い。分割面を面の中心を通る8本の線で分割し、均等な16個の弧に分割する。それぞれの弧において厚さの最大値と最小値を計測する。上記により計測した32点の数値から、平均厚み(x)、標準偏差(σ)を求め、以下の式により、厚さの振れ幅(%)を求める。
厚さの振れ幅(%)=(σ/x)×100
(防眩性部材の表面状態の評価)
得られたフィルムを黒色ABS板に張り付け、三次元光度計(村上色彩研究所社製ゴニオフォトメーターGP−200)にて、入射角−45°の際の反射角45°における反射光度を測定する。
粒子を含まないバインダー樹脂のみからなるフィルムの反射光度を100とし、粒子とバインダー樹脂からなるフィルムの反射光度を測定評価した。反射光度が低いほど光が拡散あるいは吸収し、眩しさが低減され、防眩性に優れることを意味する。具体的には、反射光度は35以下であることが好ましく、30以下がより好ましい。
(防眩性部材の全光線透過率の測定方法)
防眩性部材の全光線透過率をヘイズメーター(日本電色社製:NDH−2000)によりにて測定する。測定条件は、JIS K 7105に準拠する。
(種粒子合成例1)
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水1300g、メタクリル酸メチル(MMA)320gに分子量調整剤としての1−オクタンチオール3gを溶解させたものを投入して、攪拌しながら窒素雰囲気下で70℃に昇温した。重合開始剤としての過硫酸アンモニウム1.6gをイオン交換水300gに溶解させたものを続けて投入して、70℃で12時間攪拌し、重合反応を行った。この重合反応により、平均粒子径0.5μmのポリメチルメタクリレート粒子を含有する分散液が得られた。
撹拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水1300g、メタクリル酸メチル320gに分子量調整剤としての1−オクタンチオール3gを溶解させたものを投入した。更に、上記で得られた分散液160g加え、これを攪拌しながら窒素気流中で70℃に昇温した。重合開始剤としての過硫酸アンモニウム1.6gをイオン交換水300gに溶解させたものを続けて投入して、70℃で12時間攪拌し、重合反応を行った。この重合反応により、平均粒子径が1.1μmのポリメチルメタクリレート粒子(以下、種粒子1という)を含有する分散液が得られた。
(樹脂粒子製造例1)
攪拌機、温度計を備えた5Lの反応器に、重合性ビニル系単量体としてメタクリル酸メチル(MMA)100g、スチレン600g、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)300g、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)6gを入れて混合した。得られた混合物と、界面活性剤としてのコハクスルホン酸ナトリウム10gを含むイオン交換水1000gとを混合し、T.Kホモミキサー(プライミクス社製)により8000rpmで10分間処理して水性乳化液を得た。この水性乳化液に種粒子1を含有する分散液360gを攪拌しながら加えた。
3時間の攪拌後、分散液を光学顕微鏡で観察したところ、水性乳化液中の重合性ビニル系単量体が種粒子1に吸収されていることが確認できた(膨潤倍率約120倍)。その後、分散液安定剤として、ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA−224E)40gを溶解した水溶液2000gを反応器に更に加え、60℃で6時間攪拌しながら重合をさせた。得られた樹脂粒子(以下、樹脂粒子1という)の球換算体積平均粒子径は5.2μmであった。
(樹脂粒子製造例2)
重合性ビニル系単量体としてアクリル酸ブチル350g、メタクリル酸ブチル350、エチレングリコールジメタクリレート300gを用いたこと以外は樹脂粒子製造例1と同様にして樹脂粒子を得た。得られた樹脂粒子(以下、樹脂粒子2という)の球換算体積平均粒子径は5.2μmであった。
(実施例1)
水300gに過硫酸カリウム20gを溶解させた溶液に、50gの樹脂粒子1をイソプロパノール50gに分散させた懸濁液を添加して攪拌した。この懸濁液を5℃まで冷却し、ピロール5gとイソプロパノール50gとからなる溶液を更に加え、3時間攪拌して重合をさせた。その後、濾過により固形分を得た。固形分を取り出し、水、イソプロパノールで洗浄し、真空乾燥機により60℃で12時間乾燥を行った結果、黒色の着色樹脂粒子(以下、着色樹脂粒子1という)を得た。
着色樹脂粒子1を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ピロール(含窒素複素環式芳香族化合物の重合体)層の厚さは94nmであり、粒子の表面全体が均一に被覆されていることが分かった。ピロール層の厚さの振れは24.6%であった。透過型電子顕微鏡による写真を図1に示す。
(実施例2)
ピロールを2.5gとしたことを除き、実施例1と同様にして黒色の着色樹脂粒子(以下、着色樹脂粒子2という)を得た。
着色樹脂粒子2を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ピロール(含窒素複素環式芳香族化合物の重合体)層の厚さは37nmであり、粒子の表面全体が均一に被覆されていることが分かった。ピロール層の厚さの振れは22.9%であった。透過型電子顕微鏡による写真を図2に示す。
(実施例3)
樹脂粒子1に替えて、樹脂粒子2を50g用いたこと以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子(以下、着色樹脂粒子3という)を得た。
着色樹脂粒子3を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ピロール(複素環式芳香族アミン重合体)層の厚さは120nmであり、厚さの振れ幅は11.9%であった。粒子の表面全体が均一に被覆されていることが分かった。透過型電子顕微鏡による写真を図3に示す。
(比較例1)
ピロールを1.0gとしたことを除き、実施例1と同様にして薄茶色の着色樹脂粒子(以下、着色樹脂粒子4という)を得た。
着色樹脂粒子4を透過型電子顕微鏡で観察したところ、透過型電子顕微鏡では被覆層は確認できなかった。
(比較例2)
メタクリル酸メチル(MMA)900g、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)100gにカーボンブラック100gを加えて、これをボールミルで均一に混合した混合物を得た。次いで、混合物に水3000g、分散安定剤としての第3リン酸カルシウム100gを加えて混合液を得た。この混合液をT.Kホモミキサー(プライミクス社製)にて7000rpmで10分間攪拌して、液滴径が5μmになるように調製した。次いで、混合液を65℃に加熱して攪拌しながら10時間懸濁重合を行った。重合終了後、混合液を常温まで冷却し、混合液中の着色樹脂粒子を濾過、洗浄及び乾燥の工程を経て得た。得られた着色樹脂粒子(以下、着色樹脂粒子5という)は、平均粒子径は5.1μmの黒色樹脂粒子であった。
(防眩性部材の製造例)
バインダー樹脂としてのアクリル樹脂(三菱レイヨン社製:BR106)100重量部を溶剤としてのトルエン400重量部に溶解したバインダー溶液に、着色樹脂粒子1を10重量部配合して、均一に分散させて塗布用組成物を調製した。この塗布用組成物を50μmのアプリケーターを用いて、厚さ100μmの基材樹脂としてのPETフィルム上に塗布して塗布膜を形成した。70℃の恒温槽で2時間乾燥によりPETフィルム上の塗布膜を乾燥させることにより防眩性部材(以下、防眩性部材1という)を得た。
同様の製法により、着色樹脂粒子1の替わりに、着色樹脂粒子2を配合して防眩性部材2を、着色樹脂粒子3を配合して防眩性部材3を、着色樹脂粒子4を配合して防眩性部材4を、着色樹脂粒子5を配合して防眩性部材5を得た。
防眩性部材1〜5の全光線透過率及び表面状態(45°反射光強度)について、表1にまとめて示す。
防眩性部材1〜5の評価から、実施例1、2及び3による本発明の着色樹脂粒子を用いて得られた防眩性部材は、透過光を大きく低減することなく、外光の映り込みを防止できる効果があることが分かった。

Claims (4)

  1. 重合性ビニル系単量体に由来する樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面を覆う含窒素複素環式芳香族化合物の重合体からなる被覆層とを有し、前記被覆層が30〜300nmの厚さを有し、前記被覆層の厚さが、50%以下の振れに抑制されていることを特徴とする防眩性部材用着色樹脂粒子。
  2. 前記含窒素複素環式芳香族化合物の重合体が、ピロール又はその誘導体の重合体である請求項1に記載の防眩性部材用着色樹脂粒子。
  3. 前記防眩性部材用着色樹脂粒子が、1〜10μmの平均粒子径を有する請求項1又は2に記載の防眩性部材用着色樹脂粒子。
  4. 透明基材樹脂と、請求項1〜3のいずれか1つに記載の防眩性部材用着色樹脂粒子とバインダー樹脂との塗膜とを備えた防眩性部材。
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